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家族を育てるRV

キャンピングカーライフ
は女性が創る時代  vol.2
前回の続き)

くるま旅6号表紙

 【 対談 ・ 家族を育てるRV 】

 国産キャンピングカービルダー・社長 山口寿子さん
 輸入キャンピングカー販売店・社長  安達二葉子さん

《 女は常に家族の “調和” を大事にする 》

【山口】 旦那さんと奥さんで、キャンピングカーの判断基準が異なるのは、どうも、男性と女性の “文化” の違いが反映しているように思えるのです。
 やはり、小さい頃から 「機械」 に興味を感じる男の子と、 「おままごと」 を楽しめる女の子のそれぞれの “文化” がそのまま継続されているように感じます。

 そのため、男性の場合は圧倒的に機能的なものに関する関心が高く、 「サブバッテリーの増設は必要か」 とか、 「インバーターでどのくらい持つか」 とか、「ソーラーを付けたらどうなる?」 といった方向に話題が集中するんです。

 だけど、女性は、そういうことは分からない部分なんです (笑) 。
 女性は、それよりも、そういう 「電気」 が確保されたときに、部屋の中にどういう照明が実現されるのか? そのことにより、家族と過ごすダイネットがどういう雰囲気になるのか? そちらの方が大切なテーマなんですね。

【司会】 そのような違いは、どうして生じるんでしょうね?

【山口】 やっぱり、男性は昔から狩猟して、外でエモノをとってきて、妻子を養うという生活が “文化のDNA” みたいな形で残っているんじゃないでしょうか。
 だから、エモノをしとめる武器の構造とか、狩を効率よく行うシステムなどに関心が向く。

 それに対して、女性は、男がとってきたエモノをどう家族に分配するか。どう調理して、みんなでおいしく食べるか。男の労働をどうねぎらってやるか…というような、常に 「家族全体」 のことを考えながら生きてきたと思うんです。
 だから、女にとっては、 「家族の関係」 こそが大事なんですね。

 キャンピングカーも同じであって、そういう男性と女性の組み合わせのバランスがうまく取れたときに、 「よし買おう」 という家族の決断が生まれると思います。

【安達】 ヨーロッパの場合は、なおのことキャンピングカーを使う男女の分業体制がしっかり確立されています。
 クルマを安全に運転するのは男の役目。

安達二葉子さん001
▲ 安達二葉子さん

 それを補佐して、男が眠くなったり、疲れたりしないように、話題にも気を配り、地図をチェックするなどしてケアするのは奥様の役目。
 だから、ヨーロッパのキャンピングカーの場合は、助手席を 「マダムシート」 などといったりすることもあります。

【山口】 また、ファミリーのある家族には、 「キャンピングカーがあれば子供の心が豊かになる」 ということをぜひ理解してもらいたいと思うんです。
 たとえば、食事を介して、子供たちに健康な食生活を伝えることを 「食育」 などといったりすることがあるでしょ。

山口寿子さん001
▲ 山口寿子さん

 また、住宅などにおいても、住み方を工夫することで、子供に暮らし方を学ばせることを 「住育」 などともいいますよね。 
 それと同じように、 「車育」 という概念があってもいいように思うんです。
 つまり、家族のコミュニケーションが密に取れるようなクルマがあれば、子供たちだって豊かな家族関係を学んでいけるようになると思うんです。

キャンピングカーとファミリー003

《 これからは 「車育」 の時代 》

【安達】 「車育」 というのは、本当にいい言葉ですね。確かに、キャンピングカーには、子供たちとコミュニケーションをとる材料がたくさん揃っていますね。

【山口】 今の子供たちを見ていると、学校から帰ってきたらすぐ塾へ行って、10時頃家に戻ってきて、チラッとゲームして…。
 それでは、いつ家族と向かい合って、いつ団らんするの? と心配になってきます。

 昔の家では、4畳半と6畳ぐらいの間取りに、親子5人くらいで生活したりしてきたわけですから、否が応でも家族同士で話し合う時間と空間を共有できたわけですね。
 だけど、今の子供たちは贅沢に個室を持っていて、それぞれ自分のテレビを持っていて、しかも家族が一緒に食事をとることもない。
 それでは、親は子供が何を考えているのか知る機会もなくなるし、子供も、親が何を考えているか分からない。

キャンピングカーとファミリー002

【司会】 それを 「キャンピングカー旅行」 で解消しようと…?

【山口】 そうです。ファミリーでキャンピングカー旅行をすれば、どうしても狭いダイネットを中心に、家族がみんな集うしかないわけですから、自然に会話も復活すると思うのね。

 そのときに、ようやく子供は、自分の学校の交友関係の楽しさや悩みを話題にするかもしれない。
 親も、キャンピングカー旅行を通じて、 「ゴミを捨てる場所はどこか」 とか、 「公共駐車場で休むときのマナーはどうだ」 とかいうことを、実践を通じて子供に伝えることができるわけですね。それが 「車育」 だと思うんです。

キャンピングカーとファミリー001

【安達】 キャンピングカー自体が、 「旅」 そのものも豊かにするということも子供たちに伝えたいですね。
 塩野七生さんのエッセイに書かれていたことなんですけれど、 「海外旅行に行くと、日本人は景色を見る前に写真を撮る」 って。
 で、景色は見ないで、日本に帰ってきてから写真を焼き増ししたときに景色を確認すると… (笑) 。

 しかし、そういう旅は豊かさにつながらないように思うんです。
 日本人は、よく 「写真に残す」 とか、 「お土産を買う」 というように 「形に残るもの」 に気をつかいがちですけど、時には 「形に残さない」 旅も必要なのではないでしょうか。
 記録に残すよりも、 「今ここで味わっておかないと二度と見られない景色だ」 と思いながら風景を楽しんだ方が、後になって思い出すときに鮮明な記憶として残っていることが多いんです。

 結局、どんなに宝石とかお金を手に入れても、死ぬ間際にはすべて手放さなければならない。そこには 「思い出」 しか持っていけないわけでしょ。
 そういうことが理解できれば、キャンピングカーの中で家族と一緒に過ごす時間がどれほど貴重かということを、みんなで共有できると思うんです。
 車内で家族と楽しい交流ができれば、過ぎていく時間がダイヤモンドの輝き以上のものになりますよ。

ヨーロッパのキャンピングカー002

【山口】 そういう意味で、キャンピングカーというのは、日頃それぞれ別の生活圏で暮らす家族が、お正月などに集まって家族の絆を確かめあう 「ふるさと」 ですね。
 そういう場があってこそ、親子が共通した 「趣味」 を持てるようになると思うんです。

 「趣味」 というものは、親が本当に楽しんでいないと、子供に伝わらないんです。
 たとえば、お父さんもお母さんも音楽にあまり興味がないのにもかかわらず、子供を 「ピアノ教室」 に通わせたって、子供だって面白いはずがないんです。
 親が本当に 「楽しい」 と思わないと、子供は何も学ばない。
 絵画教室だって、親がスケッチひとつ楽しむこともしないで、子供だけ通わせたって、子供は何のためにそんなことをやるのか分からない。

 だけど、キャンピングカー旅行って、両親のどちらかが、あるいはその両方が、 「本当に楽しい!」 と思って始めたわけでしょ。これは絶対子供の心を動かしますよ。

【安達】 それが 「車育」 ですね。私は 「車育」 の中には、 「食育」 も 「住育」 もすべて含まれるように思うんです。
 だって、旅行に行けば、その産地の美味しいものをダイレクトに食べる機会が増えるわけですよね。
 いま食べているものの産地を知り、素材を知る。それがキャンピングカーの中ですべてできるんです。そして、ものを食べるときのありがたさとか、食べるマナーなどを学ぶわけですよね。

安達二葉子さん002

 また、キャンピングカーは動く 「住宅」 ですから、その中には 「住育」 も含まれます。
 そういうものが、子供たちの脳の中に蓄積していけば、キャンピングカーで育った子は、ものすごく豊かな感性を持つ人間に成長する可能性があるわけですよね。

【山口】 そうそう。だから、子供が思春期のむずかしい年頃になっても、キャンピングカーを通じて親子のコミュニケーションをとっている人々は、気持ちが通じ合うんですよ。

山口寿子さん002

 反抗期になって、子供が急に口を利かなくなると、たいていの親はあわてて、 「どうした? 何を考えているんだ? 話せ!」 ときつく迫るけれど、子供の気持ちを分かっている親は、無理にそんなことをしないんです。
 ただ、ギュッと抱きしめるような気持ちで、 「いいのよ、しゃべらなくても。私はあなたを信じているから」 というメッセージを、言葉にしなくても伝えることができると思うんです。
 それができるかどうかは、子供の小さい頃から親が一緒になって、キャンピングカー旅行を楽しんだかどうかという、その一点にかかっているんではないでしょうか。

《 親がキャンピングカーを好きなら子も習う 》

【安達】 日本ではすぐ 「中学生ぐらいになると子供が付いてこなくなる」 と言いますけれど、ヨーロッパでも、子供はある程度の年になると、付いてこなくなるんですね。

 ただ、向こうでは、中学生や高校生ぐらいになると、自分たちでキャンプを始めるんです。
 もちろん、若いからお金もないのでテントキャンプが多いんですけれど、大学生ぐらいになると、もうお爺さんが使っていた古いトレーラーなどを引いて、自分でキャンピングカー旅行を始めるんです。

【山口】 最近日本のキャンプ場でも、大学生ぐらい子供たちがコテージやバンガローなどを利用して泊まっているのを見るようになりましたね。まだキャンプ道具を揃えられないからそうしているのでしょうけれど、たぶん、その子たちは親がキャンプに連れていっていたのではないかしら?

家族キャンプの風景003

【安達】 日本でも、ようやくそういう流れが生まれてきたのでしょうね。
 だから 「キャンピングカーの旅に子供が付いてこなくなった」 といってがっかりするのは早いんです。
 そのお父さんとお母さんは、もうすごい役割を果たしているんですよ。すぐに芽が出なくても、種まきをしたわけですから。

 キャンピングカーの旅を楽しいと思った子供たちは、絶対に自分たちでも始めるようになると思います。

【司会】 キャンピングカーの可能性が大きく広がるような結論が出ましたね。ありがとうございました。

(終わり)

前回 「奥様から見たRV」

※ 『くるま旅』 は、日本RV協会主催のキャンピングカーショー会場で無料で配布されています。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 01:24 | コメント(13)| トラックバック(1)

奥様から見たRV

 日本RV協会 (JRVA) が発行する広報誌 『くるま旅』 6号の特集テーマは、 「女性が求めるキャンピングカーライフ」 。

くるま旅6号表紙

 雑誌では、キャンピングカーを持つ家庭の奥様方や女性ユーザーからのアンケート調査が公表されていたり、ユーザーのナマの声を収録したインタビュー記事が掲載されるなど、内容は盛りだくさん。

 なかでも、読みごたえがあるのは、キャンピングカー販売を行っている女性経営者のお二方による対談ページ。
 女性経営者だからこそ分かる女性の心の “奥の奥” 。
 キャンピングカーに対する女性の “本音と希望” が縦横に語り尽くされていて興味深い。

 今回のブログでは、RV協会さんの許可をいただいて、その対談ページを紹介してみたい。
 (※ 対談は、いちおう私が構成したものなので…)


 キャンピングカーライフは
 女性が創る時代
  vol.1

 【 対談 ・ 奥様から見たRV 】

 国産キャンピングカービルダー・社長 山口寿子さん
 輸入キャンピングカー販売店・社長  安達二葉子さん


【司会 (町田) 】 キャンピングカーを購入するとき、奥様方に購入決定権があるという話をよく聞きます。
 つまり、旦那さんが選んだキャンピングカーでも、奥様が 「NO」 といえば、そのクルマは購入対象から外れてしまうといわれています。

 一方、奥様が気に入られたクルマは、購入される率が高まるそうです。
 そこで、旦那さんのキャンピングカー選びと、奥様のキャンピングカー選びはどこが違うのか?
 それにまつわる微妙な話を、 「女性の願い」 や 「女性のホンネ」 を交えながら、キャンピングカー販売に関わる女性経営者のお二方に語っていただきたいと思います。

《 キャンピングカーは男のロマンか? 》

【司会】 まず、キャンピングカーに関心を持つのは、男が先か、女が先か、これに関してはどうですか?

山口寿子さん001
▲ 山口寿子さん

【山口】 キャンピングカーというのは、昔から 「男のロマン」 だったと思うんです。展示会やお店の方に来られる方々を見ても、まず旦那さんが興味を持っていろいろと知識を身につけてから、奥さんを同伴して来られるというケースが多いんですね。

 ただ、いつも感じるのは、やはりお二人の間に微妙なズレがあることなんです。奥様は、旦那様が気に入ったクルマに対して、必ずしも満足していない。あるいはその逆もあります。
 ひとつ言えることは、多くの奥様方から見て、 「今のキャンピングカーは女性から見ると、まだ完璧なものになっていない」 ということなんですね。
 そこで、うちでは女性の意見をなるべく採り上げた商品開発をしたいと思い、女性の方々からアンケート調査や聞き込み調査を行ったりもしています。

安達二葉子さん001
▲ 安達二葉子さん

【安達】 日本人の場合、確かに旦那様の 「男のロマン」 から始まりますよね。
 私の場合は、主人と一緒にヨーロッパを旅しているとき、主人が突然 「キャンピングカーを買おう」 と言い出したのがキャンピングカーライフの始まりでした。
 当時は、 「旅」 といえばホテルを泊まり歩くものだとばかり思っていましたから、 「キャンピングカーの旅」 といわれても、それが快適なのかどうか、そんなことすらイメージに浮かびませんでした。

 でも、実際にキャンピングカーの旅を始めると、 「自由」 と 「快適性」 と 「気楽さ」 がすべて簡単に手に入ってしまい、世界観が変わりました。そういった意味で、主人の 「ロマン」 に感謝です。

ヨーロッパのキャンピングカー002

《 奥様を “女王” にするのが秘訣 》

【司会】 奥様たちが、旦那さんの選んだキャンピングカーに、満足するか、しないかという “分かれ目” には何があるんでしょう?

【山口】 奥さんが元々キャンプが好きだったり、アウトドアに馴染みがあるようなカップルの場合は、好みが分かれることはほとんどないんです。
 特にそういう夫婦に子供がいれば、親たちはキャンプを通じて、子供に 「自然を学ばせたい」 という意識を持つようになるでしょうから、キャンプ道具もしっかり積めるような、アウトドア志向の強いキャンピングカーを求められるケースが多いようです。

 しかし、キャンプの経験のないような奥様の場合は、キャンプとかアウトドアというのは、ものすごく面倒くさく感じられるものなんですよ。
 キャンプ場などで、火を熾して、ご飯を作って…というキャンプは、家の中の家事よりも負担感が強くなるんですね。
 そうなると、キャンピングカーを買うよりも、やはりホテルに泊まる方が楽に思えるのでしょうね。

【司会】 では、奥様方にキャンピングカーの旅に関心を持ってもらうには、どうしたらいいのでしょう?

【山口】 ひとつは、まず旦那さんが、奥様にはぜったい負担をかけさせないような 「旅のビジョン」 を明確に打ち出すことでしょうね。
 奥様方というのは、家庭にいるときは、さんざん家事に手こずらされているわけですから、旅行に来てまで家事をしたくない…というのがホンネでしょう。

 だから、キャンプ場でバーナーを出して、お米を研いで、皿を洗って…というようなことまで奥様にやらせるようだと、キャンプの嫌いな奥様はまず乗ってこないでしょう。

家族キャンプの風景003

【安達】 ヨーロッパでキャンプ場に泊まっている人たちの間では、調理や洗い物は、みな旦那さんの役目なんです。
 向こうのキャンプ場で、私が洗い場で皿を洗っていたときのことなんですが、周りの旦那さんたちが私の主人に対して怒るんですよ。
 「君は、お手伝いさんを雇っているつもりなのか?」 って… (笑) 。

 でも、彼らだって、料理や片づけを率先して行うのは、別に奥さんの尻に敷かれているからではないんです。キャンプに来たときの 「レジャーのひとつ」 なんですって。普段やれないことを楽しんでいるんですね。

安達二葉子さん002

《 旦那さんが先行する日本。夫婦が肩を並べるヨーロッパ 》

【安達】 日本では、男性が先にキャンピングカーに興味を示し、奥様がそれに追従するという手順を踏みますけれど、ヨーロッパでは、夫婦が同時に興味を持つんですね。
 それは、結婚生活というものの中に、最初から 「何年ぐらい先にはキャンピングカーの購入を検討しよう」 などというプログラムが組み込まれているからなんです。
 だからキャンピングカー販売店に最初に訪れるときから、ヨーロッパでは夫婦同伴です。そして、2人でほぼ同時に決めてしまう。
 「家に帰ってから女房と相談してみる」 とか、 「話したら奥様が許してくれなかった」 などと旦那さんが語るケースは、向こうにはありません。

【司会】 奥様方は、キャンピングカーのどんな “ところ” に注目するのでしょうか?

【安達】 私は自分が買うときに、最初に注目したのはクルマの外形的なスタイルでした。
 最初はキャンピングカーのことを何も知りませんでしたから、まず形の美しいものを写真の中から選び、その後でそのクルマがわれわれ夫婦にとって妥当なものかどうか、主人に判断を委ねました。

【山口】 やっぱり女性はどうしても視覚的なものから入っていきますよね。それも、まず自分の好みに合うかどうかを一瞬のうちに決めてしまいます。外装のグラフィックから家具の質感や色合いまで、ほとんど直感的に判断します。

 ただ、女性というのは、そういう雰囲気で判断するだけでなく、 「このクルマを買っても、元が取れるだろうか? 使いこなせるだろうか?」 という現実的な視線でもクルマを見ているものなんですね。

山口寿子さん002

 特に、いろいろな事情でセカンドカーを持てないような場合は、その1台で買い物や送迎もこなさなければなりませんから、たいていの女性はサイズに敏感になります。 「私でも運転できるかしら?」 というようなことは絶対見逃しませんね。
 仮に、奥様が運転免許を持っていなくても、家の前の道路の幅とか、車庫との関係とか、そういうことを直感的に思い浮かべ、稼働率がどのくらいになるかなどを結構シビアに計算したりしています。

【安達】 私のところが扱うようなキャンピングカーは、サイズも多少大きい輸入車が主流ですから、稼働率は高くないでしょう。

 代わりにお客様がチェックされているのは 「耐久性」 ですね。
 「長く満足して使えるかどうか」
 それに関して、おもに男性はベース車の機構やメンテナンス体制に関心を持ち、女性は家具や装備類の造り込みに興味を示すというように、それぞれの見方でチェックされています。

《 男性は機能を求め、女性は調和を生きる 》

【司会】 家具や装備類の使い勝手などに関して、女性は何を基準にして自分の見方を定めているのでしょうか?

【安達】 私は、その女性が育ってきた家庭環境とか、現在住んでいる住宅の環境などが意外と反映されているように思うんです。
 だからシックなインテリアの中で育ってきた人は、クルマにもそれなりのテイストを求めるし、華やかな色柄のインテリアになじんできた人は、同じ傾向のクルマを好みます。

 若いカップルなどの場合は、現在住んでいるマンションや住宅の流行りのインテリアが、そのままクルマの内装を選ぶときにも反映しているように思います。

「家族を育てるRV」 に続く)

 ※ 『くるま旅』 は、日本RV協会主催のキャンピングカーショー会場で無料で配布されています。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 00:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

芸能人のRV

 キャンピングカーに乗っている芸能人、スポーツ選手というのは、実はけっこう多い。
 先だって亡くなられた藤田まことさんは、体調を崩されていた頃、 「必殺仕事人」 を収録した京都撮影所の現場にキャンピングカーを用意し、出番が終わると、その中に入って休んでいたらしい。

 キャンピングカーの中には酸素吸入器が積んであり、車内で休憩するときは、それを使って体力の回復を待っていたという。 (週刊朝日 3月5日号) 。

藤田まこと必殺仕事人

 実際に、芸能人やスポーツ選手のなかにはキャンピングカーユーザーがけっこういるはずなのだが、なぜかあまり話題としては出てこない。
 それを売ったお店の人も、あまり大っぴらには語りたがらない。

 人々に顔の知られている芸能人たちにとって、キャンピングカーというのは、世間の目から隠れて、自分の家族だけで、くつろぎながら旅を楽しめる貴重な 「プライベート空間」 。
 それだけに、彼らも 「キャンピングカーに乗っている」 ということを、メディアには語りたがらない。
 売った方のお店も、そういう彼らの気持ちを尊重して、あまり公表しない。

 私なんかは、 「スターの愛車」 としてどんどん宣伝すれば、キャンピングカーに対する世間の注目度ももっと上がるだろうに…などと単純に考えてしまう方だが、事務所を通じて高額なギャランティを払ったとしても、芸能人たちは、大切なプライベート空間であるキャンピングカーを、あまりメディアにはさらしたくないようだ。

 だから、どの芸能人がどんなキャンピングカーに乗っているかは、 “事件” があったとき、はじめてマスコミの取材を通じて伝わることがある。

 昔、芸能人同士の夫婦が、離婚する前に別居生活に入ったことがあったが、旦那さんの 「住まい」 というのが、庭先に止めたキャンピングカーであったことが、離婚騒動のときにニュースネタとして、テレビで公開されたことがあった。

 キャンピングカーの名前は語られなかったが、その映像をテレビで見たとき、
 「あのクルマなら家にいるより快適かもしれない…」
 と思ったりもした。

 もっともタレントさんの中には、清水国明氏のように、キャンピングカーを持っていることを堂々と公表する人もいる。
 しかし、そういう人は、 「アウトドア」 を志向する自分のライフスタイルを仕事に結びつけている人たちで、いわばキャンピングカーにこだわるのが仕事の一環。
 その場合は、キャンピングカーライフを語ることが広報活動でもあるのだ。

 ミュージシャンのタケカワユキヒデ氏も、アウトドアライフへの傾斜を強めるようになってから、家族でキャンピングカーで使って楽しんでいることを公開するようになった。

 エコライフを提案しているシンガー・ソングライターの白井貴子さんも、仕事やプライベートの移動でキャンピングカーを積極的に活用していることをよく語っている。

 こういう有名人の “カミングアウト” がもっと出てくるようになると、マスコミにおけるキャンピングカーの話題も華やかになるのになぁ…などと単純に考えてしまう私だが、芸能人にキャンピングカーを売ったことのある販売店経営者は語る。

 「有名人に買っていただくのは、自分のクルマが認められたことになるから、そりゃうれしいですけれど、やはりちょっと…いろいろ意味で気をつかいますよ」

 「気をつかう」 ことの内容までは詳しく聞かなかったが、なんとなく、その言わんとしていることは推測がついた。

 たとえば、万が一その芸能人が、キャンピングカーで事故など起こした場合、どこの会社の造った何というクルマか? ということは、キャンピングカーユーザーや業者間ではけっこう大きなニュースになる。
 その話題の採り上げられ方によっては、そのメーカーなり、販社は致命的なダメージを受けるかもしれない。

 また、有名な芸能人がスキャンダラスな話題に巻き込まれてしまったときは、どうでもいいようなネタさえ、歪められて誇張されて、喧伝される。
 そこにキャンピングカーの話題が絡まないという保証はない。

 「気をつかう」 …という意味が、なんとなくしのばれる。

 しかし、今後、芸能人・スポーツ選手に限らず、有名人のキャンピングカーオーナーはどんどん増えていくだろう。
 売っている方も、事故とかスキャンダラスなどをいちいち心配していては、身が持たないようになる。

 また、 「安全の提供」 や 「事故の防止」 といった重要な課題を追求するときは、芸能人も、一般ユーザーもない。
 それらを、分けて考えることはできない。 
 誰が乗っても安心できるキャンピングカーというのが、当たり前なのだから。

 キャンピングカーを楽しんでいる芸能人やタレントさんが、気楽に自分のキャンピングカーライフを語れる日がもっと早く来るといいのになぁ…と思っている。 単純な、個人的好奇心からも、そういうのを取材してみたい。


campingcar | 投稿者 町田編集長 17:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

湾岸道路のタンゴ

 忘れられないCMというのがある。
 ブリヂストンのレグノのCMで、林の中を、赤と青の2台のフェラーリが走っているCMは、25年という歳月を超えて、今だに忘れられないCMのひとつになっている。

林の中のフェラーリ001

 あんな走りは、それまで見たことがなかった。
 「踊っている」 のだ。
 ゆっくりとしたスローモーション映像で撮られた2台のフェラーリは、林の中の、見物人のいない緑のフロアの上を、手と手をたずさえながら、二人だけのダンスを踊っていた。

 バックに流れる曲が、また極上だった。
 ロバータ・フラックとピーボ・ブライソンの 「愛のセレブレーション (Tonight I Celebrate My Love) 」 。

林の中のフェラーリ002

 スーパーカーの “疾走感” とはまったくそぐわないスローバラードなのに、それこそフェラーリのためにつくられたテーマミュージックのようだった。
 その曲に合わせてステップを踏む2台のフェラーリ・デイトナは、森の中で無邪気にたわむれる恋人同士そのものだった。

 そのCMに触発されて、昔書いた小説がある。
 トヨタのPR誌を編集していた時代のもので、当時、新型クレスタの 「フォトストーリー」 をつくることになって、急遽でっち上げたものだ。

 フェラーリではなく、クレスタが主役になるというところが、ちと悲しい。
 でも、これは雑誌の性格上やむを得ないことで、頭の中では、 “ダンスを踊る” フェラーリの姿を思い浮かべつつ書いた。

林の中のフェラーリ003

 昔、このブログで、こそっと登場させたことがある。
 そのときは車名を変え、時代設定も現代にして、多少小説的な粉飾をつけ加えてみたが、今回はオリジナルに戻した。

 出来ばえは、とても、レグノのCMの域には達していない。
 しかし、自分でそれを読み返してみると、いかにあのCMに心を奪われていたか、ということがよく分かる。
 それほど、あのCMは、当時の自分を魅了していたのだ。 


 短編小説
「湾岸道路でラスト・タンゴを」


湾岸道路夜景001

 「4ドアセダンです。トヨタのクレスタ」
 と課長に言ったとき、
 「ほぉー」
 と、予想どおり、意外なものを見たような声と視線が返ってきた。

 「ジープ型のでっかいクルマはどうしたの?」
 「売って、今度のクルマを買ったんです」
 「君もいよいよ旦那さんを見つけて、子供でもつくる気になったのかね。あのでっかいジープは、お嬢さんには似合わなかったもんな」
 「そうなんです。いい彼氏が見つかったので」

 4ドア車……結婚……家庭、という図式しか頭に描けない課長の粗雑さにうんざりしながら、私は軽く受け流した。

 「僕に紹介するんだよ。君ぐらいのキャリアを積んだ女なら、男を見抜く力もあるとは思うが、念のために、僕が彼氏の品定めをしてあげよう」

 とは言っても、私の話を信じている顔ではない。
 さぐりを入れるような、ずるい目つきだ。
 いつか、忘年会の帰り、「今晩あいているかい?」
 と、ささやきかけてきたときの目だ。

 その視線から逃れるように、私は柱の時計に目をやる。
 6時10分過ぎ。

 「買ったばかりのクルマをテストしたいので、今日はこれで帰らせてもらいます」
 「いいとも。今度は僕をテストしてごらん」
 と、課長の好色そうな小声が返ってきた。

 なんというジョーク!
 と、私はこみあげてくる怒りを、そっと押し戻して、
 「いいわ、課長」
 と、ウィンクして席を立った。

林の中のフェラーリ003
 
 34歳になっても結婚していない女の立場はつらい。
 上司からは、奔放に遊びまわっている女に見られるし、若い男や女の子からは、不倫の愛人役をやっていると決めつけられる。
 いちいち弁解するのも面倒くさいので、放っておくから、あらぬ憶測だけが一人歩きする。
 だんだんクルマだけが、 “友だち” になっていく。  
 
 夕暮れの街。
 会社の駐車場の前から渋滞が始まっていた。

 昼間の仕事の余韻と、退社後の解放感が、街にあわただしげな活気を呼んでいる。
 以前乗っていたランクル80で、街を流していると、「女だてらに…」 という、好奇心をはらんだ男たちの目にさらされたものだ。
 それがなくなっただけでも、今度のクルマ選びは大正解。

 年をとるということは、人目をうるさく感じるようになることかもしれない。

 私は、バッグから、会社では吸わない煙草を取り出して火をつけた。
 煙を深く吸い込むと、まだ馴染まないこのクルマの香りも一緒に鼻腔に広がった。
 行儀よく並んだメーターパネルの上を、吐き出した煙が流れていく。

 いい走りだ。
 やはり6気筒はシルキーだ。

 どこに行くというあてもなく、交通の流れに身を任せる。
 街を流していれば、何か面白いことに出遭うという期待はもうないけれど、それでも、走っていれば、誰もいない自分の部屋でうずくまっているときの淋しさをまぎらわすことはできる。

夜のビル0026

 ラジオがテナーサックスの泣き節を流しているので、チャンネルを変える。

 バースの満塁5号を絶叫するアナウンサーの声が耳に飛び込んできた。
 かっ飛ばせ阪神!
 センチな音楽は街に似合わない。

 左折車線から遠慮がちに、しかしスマートに割り込んできたクルマに気をとられて、私は試合の得点経過を聞き逃した。
 ええい! バカ…
 と、わざと下品な感じで舌打ちする。

 私の前に割り込んだ、ブルーの52年型セリカLBが、深海の小魚たちを睥睨 (へいげい) するサメのように、宵闇の街に消えていこうとしている。

 「まさか!」
 一瞬、私は息を呑んだ。

 流れの早い交差点の中を、ブルーのLBのテールランプが右に大きく切れていく。
 私は、アクセルを踏み込み、信号が変りかける前に、急いで交差点に飛び込んだ。
 LBは、すでに、3台先を走っている。

 何をあわてているんだ、と私は自分に問いかけた。
 ブルー、52年型セリカ、LB…

 単なる偶然の一致かもしれない。
 そう思っても、ステアリングを握る手がふるえている。

 私は、空いている右車線を飛ばして、なんとか次の信号で、セリカLBの隣に並んだ。

 ネオンの逆光になって、ドライバーの顔がよく見えない。
 私は、首を必死にひねって、自分の顔を相手に向けた。
 気づいたら、合図をよこして。

 …とは思ってみたが、10年の歳月は、相手の記憶から私の顔を消し去っているかもしれなかった。

 信号が無残にも青に変り、LBは、何事もなかったかのように、スルスルとスタートしていった。
 私は、またあわててその後を追った。

 10年の間、同じクルマを乗りとおすなんて。

 でも、あの男はやっぱりそのクルマが好きだった。

 ブルーのセリカは、繁華街を離れた、淋しい倉庫街を走っていく。
 もうすでに、私がずっと尾行していることを知っているはずである。付けやすいように、わざと速度を落としているからだ。

夜景0023

 ネオンのとぎれた路地裏に入ると、セリカは静かに停まった。
 ドアが開き、男がゆっくりと立ち上がった。

 暗がりで、顔がよく見えない。
 こっちに向かって歩いてくる。
 私は、後を付けて来たことを後悔し、ステアリングの陰に顔をひそめた。

 コンコンと、ウィンドーガラスを叩く音が聞こえた。
 窓を開けると、昔と変らない、あの男の目が笑っていた。

 「久しぶりだな」
 男は短く言った。
 ぶっきらぼうで、さり気なく、しかし、とてつもなく温かい声だった。

 「トシ…」
 と、私は、かつて何度も舌の上で転がした男の名を呼んだ。

 「ずいぶん運転がうまくなったな。クルマも素敵なクルマだ」
 男は、私のクレスタをまぶしいものを眺めるように見つめた。
 私は、何と答えたらいいのか分からなかった。

 10年の歳月は、とっさに対応できるようなどんな言葉も、遠くへ押し流してしまっていた。
 「バースが打ったの。逆転したと思ったから、一瞬喜んだのだけれど、そうしたら突然トシが、急に…」
 
 いったい何を言っているんだろう。
 これでは意味が相手に通じるはずもない。

 そんな私を見て、男は困ったようにニヤリと笑った。
 ……昔と変らんな。
 そんなふうに見ている目である。

 「ちょうどいい店がある。食事がまだなら一緒にしよう」
 と、男は言った。
 「いいわ」
 と、私は目で合図した。

レストランのネオン
 
 「今でもときどき、君の夢を見る」

 男は、テーブルにひじをつき、グラスを宙に浮かしたまま、ボソッと言った。
 薬指に、結婚指輪が光っていた。
 私は、男が結婚したというウワサを聞いた日の、ひとり荒れた夜を思い出した。

 そのときも、こんなふうに、淡いライトがテーブルクロスを赤く染めるタンゴの流れる店だった。
 私は同僚の女たちをなじり、男たちを嘲笑し、見知らぬ客とチークを踊った。
 20代最後の夜だった。

 「どうして私を待っていてくれなかったの」
 言うつもりもなかったのに、ついなじる口調になった。

 「待っていれば、俺と一緒になるつもりでいたのか?」
 男は、かすかに皮肉っぽく唇を歪めた。

 「そのつもりだったわ。最後はあなたのもとに戻るつもりでいたわ」
 「今さら言っても遅いよ」
 男はぽつりと言って、目を伏せた。

ダンス0041
 
 バンドネオンの低い響きに、悩ましげなヴァイオリンの音がからみついて流れていた。

 「私が、あのとき浮気をしたから、私を嫌いになったというわけ?」
 「そういうことじゃないんだよ」
 「ではなぜ結婚なんかしちゃったのよ」
 「仕方がなかったんだ」
 「分からないわ、そういうの」

 それっきり、男は黙りこくった。
 私は、もう男が、私には分からない別の世界を持っていることを感じた。
 会ったことがよかったのか悪かったのか、私には分からなかった。

夜のテラス0023

 それから、私たちは、沈黙が来ないように、罪のない世間話をして別れた。

 別れしなに、男が何を言おうとしたのか、私には分かっていた。

 私は機先を制して、言った。
 「またどこかで、偶然会ったら…」

 男は、それだけで察したのか、軽くうなづいて、黙って笑った。

 「待って」

 私は、クルマに乗り込もうとする男の背中に向かって、叫んだ。

 「ハイウェイでも、思いっきりとばして別れない? 途中でお互いを見失ったら、それで “おやすみなさい” 」

湾岸道路夜景001

 広大な埋め立て地を、まっすぐに貫く3車線の両側で、路肩のライトポールが、ミラーボールの光のように流れていく。

 装甲の厚そうな外車、カラフルなスポーツカーが洒落のめして滑走していく。
 ブルーの52年型セリカLBが、踊るようなフットワークで、その中を分け入っていく。

 私は、セリカに寄り添うように、クレスタのアクセルを踏む右足に、そっと力を込める。
 それに合わせ、隣りの車線に入った男のセリカが、私の手を取るように、すっと後ろに回り込む。

 もし、ほかのクルマが私たちを見たら、きっと呼吸ぴったりのダンスを踊っているように見えるだろう。

 開けた窓から、海の匂いを強く含んだ風が流れ込み、私の髪を乱していく。


 ▼ レグノのCMに使われた 「愛のセレブレーション」




コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 01:14 | コメント(4)| トラックバック(0)

キャンカーの歴史

《 『日本のキャンピングカーの歴史』 ついに発売 》

 2月初旬に行なわれた 「キャンピング&RVショー2010」 会場において、私が編集を担当した 『日本のキャンピングカーの歴史』 が発売された。

 ページ数は本文90ページ。
 中の写真はモノクロ。
 地味な体裁の冊子だが、それでも幕張ショー会場においては10数冊売れたという。

日本のキャンピングカーの歴史

 書店コードを取るほどの作りでもない小冊子なので、書店売りはしない。
 発売は、申し込みによる直販と、日本RV協会 (JRVA) さんが主催するキャンピングカーショー会場において行う予定。

 ほんとうは、もう少し詳しい画像を探し出して取り込み、さらに多くの証言や資料を加えた本格的な “歴史書” を作りたかったのだ。

 しかし、それには資料集めや取材に時間がかかる。
 急ぎの仕事を優先していたため、途中、この書を編纂する業務がストップしてしまったこともあった。

 そんなことをしているうちに、いちばん読んでいただきたかった日本オート・キャンプ協会の初代専務理事を務められた岡本昌光氏が亡くなられた。

 それを機に、キャンピングカーの黎明期を支えた方々がお元気なうちに目を通していただかなければ意味がないと思い始め、急遽、書店コードを通さない小冊子のまま発行することに踏み切った。

 幸いなことに、取材にお応えいただいた方々にお渡ししたときの反応や、オートキャンプ系メディアに携わっている方々からの評判はいい。

 うれしいのは、 「文章が読みやすくて、面白い」 というご評価をくださった方々が多かったこと。

 なかには、 「こりゃ歴史書というより “物語” だな」 という表現を使われた方もいらっしゃった。
 歴史書としての厳密さが後退し、“脚色” を重視したエンターティメント性が前面に出ていると感じたという。

 たぶん、それは語り口のことを指摘されたのだろうと思う。
 ブログと違って、ことさら誇張したり、煽ったりするような文章はひかえたつもりでいたが、読む人が読むと、 「小説やエッセイの語り口になっている」 らしい。
 
 そうだとしたら、それはもう自分の 「生理」 や 「体質」 みたいなもので、そう簡単に治らないものかもしれない。

《 キャンプブームとともに歩んだキャンピングカー 》

 本書の前半では、日本における “キャンピングカー1号車” の話に始まり、今から50年前に繰り広げられた国産キャンピングカーによる世界冒険旅行をレポートした。
 それに続き、わが国のオートキャンプブームの台頭とともに、手作りキャンピングカーが流行りはじめ、それが全国に普及していく様子を眺めてみた。

 従って、前半は 「キャンピングカーの歴史」 というよりも、オートキャンプの歴史の中で、キャンピングカーがどのような役割を果たしていったかということにフォーカスされている。

 ここまでの取材では、主に (社) 日本オート・キャンプ協会 (JAC) に関わられた方々にお会いして、話を聞いた。
 なんといっても、日本のオートキャンプの普及はJACの存在を抜きにしては語れない。
 キャンピングカーもまた、このJACの成長とともに裾野を広げてきたのだ。

 後半は、プロのビルダーたちの夢と情熱をかけた闘いのドラマを描いてみた。

 キャンピングカーが1台止まっていれば、それを見た100人のうちの100人が 「レントゲン車」 と答えるような時代。
 それを 「キャンピングカー」 として認めてもらうためには、開発者や制作者の智恵と努力の結集がどれだけ必要だったことか。

 この本の後半では、その智恵と努力を使って勝負してきた今のビルダーや輸入車販売店の足跡を描いた。

《 日本RV協会・前史 》

 この後半部分になると、現在の業界を支える会社の名前がかなり出てくるはずだ。
 いってしまえば、この後半部分は、 「日本RV協会・前史」 という性格を持っている。

 この業界に携わる若い人たちは、自分たちの先達が、いかに 「RV協会の歴史」 を造ってきたかということを、この書によってはじめて知ることになるだろう。

 本書はひとまず、日本RV協会が設立された時点で終了させた。

 しかし、実は、ここに登場していない方々が作られた 「歴史」 というものがある。
 たまたま取材地が遠方であったり、お会いできるタイミングが合わなかったりして、歴史を語るキーパーソンでありながら、ここに漏れてしまった方々も多くいらっしゃる。

 また、年齢的にはまだ若くても、すでに業界の歴史を背負うような大事業を成し遂げている方もいらっしゃる。

 今回は、資料としてのボリュームと時間の制約があって、世代的に、キャンピングカーの黎明期から成長期にかけて活躍された方々の取材が中心となったが、今回の取材に漏れてしまった方々や、その後に活躍された方々が作り上げてきた 「歴史」 の方は、次の機会にぜひ紹介したい。
 その含みもあって、本書のタイトル下に 「準備号」 と銘打った。

《 歴史のだいご味 》

 キャンピングカーが今の形を整える前、初期のハンドメイドユーザーや業者たちが造ったもののなかには、今では信じられないほど奇抜なもの (自信作? 失敗作?) もあった。

 しかし、それは今の視点で見るから “奇抜” なのであって、もし、そっちの方が主流になっていれば、今のキャンピングカーのスタイルこそSF映画にでも出てくる “宇宙人の乗り物” のように見えるのかもしれない。

 「歴史」 とは、そのような視点でモノを眺めることの面白さに触れることであり、だからこそ歴史は、 “未来のヒント” が詰まった宝庫でもあるのだ。
 そのような本の編纂に携われたことを幸せに思っている。


《 本書の購入について 》

 直販をお望みの方は、 『日本のキャンピングカーの歴史希望』 と書き添え、下記にまでご連絡をいただきたい。
 info@campingcar-guide.com

 定価は600円 (税込み)
 判はA4サイズ、90ページ

 料金徴収は、郵便配達された段階で、郵便局員にそのまま 「本体価格、送料、手数料」 を払い込む 「代引き」 となる。(本体価格 + 送料 + 手数料で、1,200円程度) 

 また、本書は、日本RV協会さんが主催される全国のキャンピングカーショー会場の 「協会ブース」 においても発売される予定。
 こちらでは、送料、手数料なしの定価通りの販売となる。

 時間的な余裕のある方は、RV協会主催のショー会場に足をお運びいただき、ショーを見物するかたわら協会ブースでご購入されることをお薦めする。

RV協会ブース(幕張)
▲ 幕張ショーの協会ブース

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 なお、本書の購入できる2010年度前半のキャンピングカーイベントは下記の通り。

 ● 名古屋キャンピングカーフェア
 2月27日 (土)~ 28日 (日)
 ポートメッセ名古屋 (愛知県)

 ● キャンピングカーショー大阪 (大阪アウトドアフェスティバル)
 3月6日 (土) ~ 7日 (日)
 インテックス大阪 (大阪府)

 ● 東北キャンピングカーショー
 3月20日 (土) ~ 21日 (日)
 夢メッセみやぎ (宮城県)

 ● キャンピングカーフェスタ in HIROSHIMA
 3月27日 (土) ~ 28日 (日)
 広島市中小企業館 (広島県)

 ● 九州キャンピングカーショー
 5月22日 (土) ~ 23日 (日)
 グランメッセ熊本 (熊本県)


 
音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 04:05 | コメント(6)| トラックバック(0)

夜の妄想

 幕張ショーが開かれたメッセ9号館の裏手の駐車場に、深夜の2時頃戻る。
 そこに止めておいた自分のキャンピングカーの中で寝るためだ。

 親しい人たちと居酒屋でさんざん飲んで、ついでに、彼らの泊まるホテルの大浴場にちょっと入らせてもらって、夜道を帰るときには、もうすっかり酔いも醒めている。

 片道2車線の広い道路は、遠くまで見通せるというのに、視界に入るクルマの姿は1台もない。
 天を突くばかりの高層ビルには、明かりの漏れている窓もあるが、人の影は見えない。

夜のビル001

 舗道を照らす街路灯は、やたら煌々と明るい光を投げかけるが、その下を通る犬一匹いない。
 パビリオンの入口には、小さな守衛室があるというのに、ガードマンの姿が見えない。

 光はあるが、音のない世界。
 鮮やかな都市の姿をとどめながら、空漠とした荒野の静けさに満ちた街。 
 
 死に絶えた未来都市の風貌を持つ深夜の幕張は、ビルそのものが巨大な墓碑となる。

 自分のキャンピングカーに戻り、鍵を回して中に入ると、今日も人の姿を求めてさまよいながら、結局誰にも会うことのなかった “地球最後の人類” になったような気分になる。

 食料はまだ少しある。
 水もある。
 ガソリンも、もう少し残っている。
 だが、それもあと何日持つことやら。

 明日陽が昇ったら、もう少し南へ下ってみよう。
 せめて、魚が泳いでいる海か川にでもたどりつけるように。
 そこには、まだ生き残った仲間がいるかもしれない。

 ……なんていう妄想を頭に浮かべながら、冷蔵庫からウィスキーのミニボトルを取り出して、寝酒をあおる。

 ダイネットの窓から見える街路灯が、凍った光を舗道に落としている。
 時が止まったように見える。

 ひとつ気づく。
 「光」 とは、 「時」 の死骸なのだと。

 死に絶えた 「光」 を見ていると、FFヒーターの噴出し口から昇る温風にも、どこか首のあたりを刺す冷たい刃の感触が交じっている気がしてくる。

夜の街路灯010

 この怖さは何なのか。

 昔、各地のキャンプ場を取材しながら、山道の路肩などにキャンピングカーを止めて寝ていた時代があった。
 ヘッドライトが照らす一角だけが、唯一の 「世界」 で、それ以外はすべて漆黒の闇。
 周囲がどんな場所かも分からないようなところで寝るのは怖かった。

 闇は、人間の妄想をたくましくする。
 視界の届かない闇の奥で、魑魅魍魎がうごめく気配を察することもある。

 何かが 「いる」 という怖さ。
 人の思考も届かぬような闇の底で、何かが息を潜め、こちらをうかがっているという怖さ。

 あの感じも怖かったけれど、何も 「いない」 という怖さに比べると、まだ心が安らぐ。
 邪悪なものか聖なるものか知らないけれど、少なくとも、それと拮抗して、対決しようとする自分の存在を確認することができる。

 しかし、何も 「いない」 世界と向き合うことは、自分も 「無」 になっていく感じがする。

 ダイネットの明かりを消して、バンクに這い登る。
 
 最後の夢をみよう。
 そして、まだ地球に、花と緑が息づいていた時代を思い出すことにしよう。

 ……ってなことを妄想していると、キャンピングカーの中で一人で過ごす夜にも退屈することがない。


ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 02:54 | コメント(0)| トラックバック(0)

若者の旅行離れ

 「キャンピング&RVショー2010」 の会場で行なわれたフォーラムにおいて、かなり興味を感じた話題があったので、それを少しフォローしてみたい。

幕張ショーフォーラム001

 それは、 「若者の旅行離れ」 についての考察である。

 近年、若者が旅に対する興味を失っているという話はよく聞く。
 旅行に出るよりは、家でテレビを見たり、パソコンで遊ぶ若者が増え、旅行業者の悩みのタネになっているとか。

 この問題は、同時に 「若者のクルマ離れ」 、 「アウトドア離れ」 、 「スポーツ離れ」 という現象とも深く関わりあっている。

 フォーラムにおいても、当然そのことがテーマになった。
 「旅」 と 「クルマ」 が合体したようなキャンピングカーの世界は、その両方から離れようとしている若者からすれば、最も縁遠い世界であるかもしれないからだ。

 しかし、そのような 「若者の ○○○ 離れ」 を、一概に 「若者たちの生活欲の減退」 や 「積極性の喪失」 などという視点で語ってしまうのは間違いだ、と松本大学の佐藤博康教授などは語る。

 佐藤教授が指導している学生たちを見ると、彼らが従来型の観光旅行に興味を失っていることは確からしい。

 つまり、彼らは観光地として “完成された” 景色を眺め、その近辺で、 「地元の名物料理」 と言われながらも、実はどこにでもあふれている食事をとることなどには、もう飽き飽きとしている。
 そういうものは、すべて 「情報」 に過ぎず、それならば、テレビやネットでざんざん流されている。

 しかし、 「旅行先で友だちをつくろう」 などという企画になると、今の若者は積極的には乗ってくるというのだ。

 教授は、 「どうやら今の若者は、デジタル社会に対するアンチメッセージを求めているのではないか?」 と推察する。

 旅先で、何に出会うか分からないというワクワク感。
 人と人が、リアルに接することで生まれるしっかりした絆への期待。

 若者がそういうものを求めていることを見逃すと、さまざまなマーケットが縮小していくことを 「若者のせいだ」 と結論づける暴論に走ってしまう。

 テレビ、ネットなどでは体験できないリアルな感触に対する若者の “飢え” が、逆に、本当の意味でのリアルさを失った “リアル世界” に対する拒否反応として出ているのではないか。

 そのような説を、佐藤教授はフォーラムの基調講演で展開していたと思う。

 今の若者たちは、この20年ほど全世界を席巻した 「グローバリゼーション」 という名の画一化された文化の中で生まれ、育った。
 だから、彼らは逆に、 「ローカリゼーション」 の中に、リアルさを感じ始めている。
 フォーラムでは、そのような説も披露された。

 ローカリゼーションとは、日本の場合、各地域に残る和風テイストの伝統文化のことをいう。

 山岡拓氏は 『欲しがらない若者たち』 (日経プレミアシリーズ) という本の中で、今の20代くらいの若者たちが 「次世代に残したいもの」 として、 「日本の伝統文化や季節感」 をトップに挙げていることを指摘している。

 これは、2008年に行われた 「若者意識調査」 のデータを引用したもので、それによると、今の若者たちは、和風デザインの調度に関心を示すだけでなく、寺社仏閣に興味を抱いたり、京風の雅 (みやび) の精神に共感を感じたりする傾向を強めているというのだ。

 そして、彼らにとって、それは 「日本文化」 への “回帰” ではなく、 “発見” であるのだとか。
 つまり、西欧風モダニズムの洗礼を受けて発展してきた戦後文化が、ブルドーザーで押し出すように排斥してきた日本の伝統文化が、彼らにとっては、今すごく新鮮に映っているというのである。
 
 「和の文化」 というのは、基本的に 「自然との調和」 に美の規範を求める文化である。
 天然素材を活かした畳や障子という調度。
 屋外との一体感を演出する、縁側や、渡り廊下という家屋構造。
 さらに、季節感や自然感を尊重する、俳句や和歌という文学。

 日本の文化は、常に自然と寄り添うかたちで、その独特の風情や美意識を醸成してきた。
 そこには、ガラスと鉄で造られた近代の都市社会が見過ごしてきた、風の香り、土の匂い、森の息吹を尊重する文化がある。

 若者は、 「アウトドア」 に興味がないように見えて、実は、モダニズムの装いで満たされた商業的なアウトドア文化に対して興味を失っているだけであって、彼らの心は、むしろ昔の日本人が持っていた日本的自然観への親和性を高めているようにも思える。

 そのようなことを考えると、若者が興味を抱くキャンピングカー旅行というもののイメージも見えてくる。
 
 「買って、食べて、飲んで」 という即物的な観光から、日本の自然や森の文化に深く接する旅行、さらに伝統芸能や伝統文化と触れ合える旅行。

 そのようなキャンピングカー旅行をコーディネートすることも、「旅行離れ」 「クルマ離れ」 を進めている若者たちの心を取り戻すためには有効なのではないか。

 温泉とグルメと道の駅だけでキャンピングカー旅行を特徴づけようとする発想は、熟年層とファミリー層には通用しても、若者には通用しない。

 それ以外のキャンピングカー旅行のスタイルをどう創造していくのか。
 業界の力と同時に、キャンピングカーメディアの力も試されている。


campingcar | 投稿者 町田編集長 04:05 | コメント(8)| トラックバック(0)

幕張のフォーラム

 キャンピングカーシーンが、未来に向かって力強い前進を開始している。
 そんな感触を得ることができた今回の 「幕張キャンピング&RVショー」 。

幕張キャンピングカーショー2010全景

 それは展示された新車群からも感じられたのだが、それ以上に、“場の空気” として、日本にもしっかりとした “キャンピングカー文化” のようなものが根づきそうだという予感が、このショーには漂っていた。

 どういうことかというと、ようやくこの国で、アカデミズム、行政、ジャーナリズムが一体となって、 「キャンピングカーを日本を支える産業として育成しようではないか」 という動きが始まったように思えたからだ。

 その具体例が、初日に開かれた 「開催記念フォーラム」 である。
 討議内容は、 「観光立国の実現にキャンピングカーは貢献できるか」 。

幕張ショーフォーラム001

 遠大なテーマである。

 過去、このようなテーマを追求するフォーラムが、キャンピングカーショーの会場で行われたことはなかった。

 それが、今、なぜキャンピングカーショーの会場で開かれるようになったのか。

 そこには、国交省・観光庁の目指す 「観光立国」 というプロジェクトの推進に、キャンピングカーの果たす役割というものが、少しずつ認知されてきたという背景がある。

 少子高齢化に伴う人口減少は、日本の地域経済に深刻なダメージを与え始め、人口の集中している大都市圏と各地方の 「地域格差」 がはっきりと際立つような時代がすぐそこまで迫ってきた。

 それを解消するため、政府は、平成19年1月に 「観光立国推進基本法」 を施行することに踏み切り、日本を 「観光立国」 として立て直す方向に大きく舵を切った。

 つまり、各地方の 「定住人口」 の減少を、観光による 「交流人口」 の増加でおぎない、観光客の誘致とその長期滞在を促進することによって、地域経済の活性化をうながそうという方針が確立されたわけである。

 そのためには、 「日帰り中心」 の観光客を、いかに 「1泊」 させるか。
 「1泊」 の観光客を、いかに 「連泊」 させるか。
 そのような、観光客の長期滞在化が観光産業の育成を図るカギとなってくる。

キャンピングカー旅行(BCヴァーノン)

 そこで、行政やジャーナリズムが注目し始めたのが、キャンピングカーユーザーの旅行形態だった。

 2008年度の調査に基づく 『キャンピングカー白書』 によると、 「ユーザーが将来してみたいこと」 の筆頭に、 「日本全国をゆっくり一周したい」 (80.7%) という声が掲げられ、2番目は 「気に入った場所を見つけて2~3週間滞在したい」 (55.4% ※いずれも複数回答) という回答が寄せられている。

 また、つい最近、日本RV協会が行なった 「北海道旅行に対するアンケート調査」 においても、年々観光客の旅行日程が短縮化されるなかで、キャンピングカー旅行客だけは長期滞在の傾向を示し、62.2%のユーザーが、北海道では  「1週間以上」 の長期旅行を楽しんでいるという。

 このような長期旅行が成立する背景には、日本RV協会などが繰り広げてきた 「団塊世代マーケット」 の掘り起こしによる、リタイヤ層の拡大が原動力となっているが、もともとキャンピングカーユーザーは、ファミリーユースにおいても長期旅行を楽しむ傾向が強いという特徴がある。

 それは、旅館やホテルなどの予約を取らなくても旅行できるという気楽さと、宿泊費・滞在費を圧縮できるという、キャンピングカー旅行ならではのメリットが作用しているからだ。

喜連川キャンプ場サイト

 今回、幕張のキャンピング&RVショーで行なわれたフォーラムは、そのようなキャンピングカー旅行の特徴をいかに地域の観光産業の活性化と結びつけるかという、行政、アカデミズム、ジャーナリズムの知者たちの問題意識から生まれたものだといえよう。

 参加した講演者・パネリストたちの顔ぶれは、下記の通り。

● 国土交通省観光庁・国際交流推進課の河田敦哉課長補佐。
● 松本大学・観光ホスピタリティ学科の佐藤博康教授。
● フリーランスライターのシェルパ斉藤氏。
● 財団法人ボーイスカウト連盟事務局の小林孝之助事務局次長。
● 日刊自動車新聞社・取締役主幹の佃義夫氏。
● 日本RV協会の福島雅邦会長。
● 日本アウトドアジャーナリスト協会代表の中村達氏。

 いわば、行政の代表、アカデミズムの代表、アウトドアや自動車を専門に語るジャーナリストの代表、RV業界の代表といったそれぞれのスペシャリストたちが、キャンピングカーと観光産業を語るために集まったといえよう。

幕張ショーフォーラム002

 討議されたテーマは多岐にわたった。
 議論は、日本人観光客を増やすだけでなく、外国人観光客を誘致するためのレンタルキャンピングカーの整備という課題にまで及んだ。

 観光庁がめざす 「観光立国」 という理念には、日本人観光客を日本全体に循環させようという意図もあるが、もうひとつ、外国人観光客をもっと日本に誘致させようという狙いも含まれている。

 政府が外国人観光客の誘致に自信を持っている理由は、
 「日本の観光資源は、世界でもトップレベルの豊かさに恵まれている」
 ということにある。

 日本には四季があり、南北に長い。
 同じく国の中で、スキーもできれば、スクーバ・ダイビング、史跡めぐりなど何でも楽しめる。かつ、どこの土地もみな風光明媚だ。
 街に出れば、アニメや日本食など、外国人が求める文化やサービスが簡単に手に入る。

 そのためのインフラを整備するとき、高コストのハコモノを次々と開発するよりも、低コストで、しかも環境負荷の少ない都市型キャンプ場などを設けていった方が、よほど環境保全にも貢献するし、時代の求めるスロートラベルの趣旨にもかなう。

 なぜなら、そのような場所にキャンピングカーを止めておけば、そこから先はウォーキングなり、自転車などによる移動手段と有機的に連携できるからだ。

 議論は、そのような展開を見せながら、少しずつ観光とキャンピングカーの将来的展望を築き上げるのに成功した。

幕張ショーフォーラム003

 このような外国人観光客の旅のツールとしてキャンピングカーを選択肢に入れるという企画には、実は、もうひとつのもくろみが潜んでいる。

 そこには、キャンピングカーマーケットの中国大陸への拡大というモチーフが隠されているのだ。
 年々増加の傾向を見せる中国人観光客に、キャンピングカーによる日本観光をプレゼンしてみせることによって、キャンピングカーの快適さと利便性を感じとった中国人による大陸マーケットが生まれるとしたら、いったいこの業界は、どれほどの産業規模に広がるか。
 
 もちろん、今はまだ遠い夢だ。
 それを実現するための現実的課題は山積している。

 しかし、そのような巨視的な展望がないかぎり、マーケットの成長どころか、車両開発の進歩も停まってしまう。

幕張ショーフォーラム004

 もちろん、簡単に結論が出る問題ではない。
 討議したところで、すぐにユーザーの利便性を図るインフラ整備が実現するわけでもなく、即効的にマーケットが広がるようなものでもない。

 現に、テーマが膨大に広がりすぎて、2時間という枠内では消化しきれない課題が数多く残ってしまった。
 また、聴講者との質疑応答の時間を採る余裕もなかった。

 しかし、キャンピングカーが、 「行政」 や 「社会」 に認知される産業に成長するためには、避けては通れない道程であったように思う。
 少なくとも、キャンピングカーを造る人たち、使う人たちが、 「自分たちはどこに向かえばいいのか」 という指針は示されたように感じる。

 このフォーラムが実現されたおかげで、今回の幕張ショーは、この業界にとっては記念すべき年になったような気がする。

 ※ 「若者の旅行離れ」 に続く


 なお、今回フォーラムに参加された方々のプロフィールは下記のとおり。

 佐藤博康 (さとう・ひろやす)
 1949年生まれ。松本大学・観光ホスピタリティ学科教授。
 専門は国際観光、エコツーリズムなど。NHK 「Cool Japan」 に出演中。
 著書に 『インバウンド観光の現状と課題』 、 『外国からのお客様をお迎えするために』

 シェルパ斉藤 (しぇるぱ・さいとう) 氏。
 1961年生まれ。フリーランスライター。 『BE-PAL』 、 『東京生活』 などの雑誌に連載中。
 著書に 『シェルパ斉藤の東海自然歩道全踏破』 、 『犬連れバックパッカー』 、 『スローな旅で行こう』 など多数。

 小林孝之助 (こばやし・こうのすけ) 氏。
 財団法人ボーイスカウト連盟事務局次長。平成23年8月に、静岡県富士宮市で約2万人を集める日本大会開催を予定。

 佃義夫 (つくだ・よしお) 氏。
 1970年、日刊自動車新聞社に入社。86年より編集局部長を歴任。2002年に取締役に就任。
 著書に 『トヨタの野望、日産の決断』 、 『この激動下、トヨタだけがなぜ大増益なのか』 など。

 福島雅邦 (ふくしま・まさくに) 氏。
 1991年に株式会社フィールドライフを設立。世界初の量産型軽自動車キャンピングカーを開発・販売。
 2000年に国産初のフルコンバージョン (クラスАタイプキャンピングカー) の発売を開始する。
 2009年より日本RV協会会長を務める。

 中村達 (なかむら・とおる)
 1949年、京都生まれ。日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事。NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構副代表理事。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど、アウトドア事業に深く関わる要職を務める。
 著書に 『アウトドアマーケティングの歩き方』 、 『アウトドアビジネスへの提言』 、 『アウトドアズがライフスタイルになる日』 など。


関連記事 「日本のアウトドアの考察 1」
   〃   「日本のアウトドアの考察 2」



campingcar | 投稿者 町田編集長 02:34 | コメント(0)| トラックバック(0)

スロープ ボブ

2010幕張ショー会場全景

 先週幕張で開かれた 「キャンピング&RVショー」 は、わが国では最大級のキャンピングカーショーという位置づけになる。
 それだけに、各ビルダーが自分たちが自慢の “一押し” の新車を投入してくる未来志向の強いショーになる傾向がある。
 いってしまえば 「モーターショー」 におけるコンセプトカーに近い提案型の車両が披露されるわけだ。 

 ただモーターショーとは違って、イベント会場がそのままキャンピングカーの “即売会” という性格を持っているため、展示車両に 「価格表示」 や装備品の 「性能説明」 を表す貼り紙などがたくさん貼られる傾向も強く、来場者に車両説明を行うスタッフたちも購買意欲をそそるようなトークになりがち。
 そこにちょっと各社の “商売っけ” が漂ってしまう。

 やむを得ないことだろうけれど、ショーとしての楽しさや華やかさがちょっと削がれるのも事実だ。

 その傾向に対し、 「今回は “売らない” ショーに徹しようと思った」 と、きっぱり言ってのけたのがファーストカスタムの佐藤和秋社長だった。

 では、ファーストカスタムのブースではどんな世界が生まれたのか。

 いやぁ、もうびっくりでしたね!
 「東京モーターショー」 レベルの観客を楽しませる華やかなイベント会場が誕生していた。

ファーストブースコンパニオン001
 
 ずらりと並んだコンパニオンたちが、車両概要を説明するだけでなく、アウトドアのスターである田中ケンさん (快適生活研究家) をゲストに招き、トークショーを展開。

ファーストブース田中ケントーク001

 ケンさんはケンさんで、映像を流しながら、自分が得意とするアウトドアスポーツの極意を語り、自慢の野外料理を語り、フィールドを楽しむ人間の視点から、キャンピングカーを語る。

田中ケン氏002

 だから、ケンさんのアウトドア人生をかいま見ようと、自然に人が集まる。
 そのおかげで、ファーストカスタムのブースは、いつも見学者があふれていたように思う。

ファーストブース田中ケントーク002

 提案型という意味では、画期的な新車も紹介された。
 同社の誇るCGシリーズに、 「スロープボブ」 という車椅子対応のユニバーサルデザインの車両を登場させたのだ。

ファーストブースCGユニバーサルデザイン001

 この車両では、スロープと連携したエントランスドアに、新開発されたスライドドアが採用されていことも印象的だった。
 これならば、開口部が広い上に、ドアを開いた状態で風に煽られることもない。
 一見、ハイエースの純正スライドドアを流用したように見えるが、新規に起こしたオリジナルだという。

 スロープも市販品を流用したように見えるが、これも同社のオリジナル。
 2段目までは床下に収納できるので、スペース効率もいい。

ファーストCGユニバーサルデザイン002

 中に入ると、フロアが広くとられていて、ちょっとガランとした印象に見える。
 しかし、私なんかには、その意図がすぐに分かった。
 車椅子の回転スペースを考えて設計されているのだ。

 自分にも、車椅子生活を余儀なくされている義母がいるので、車椅子を回転することのできないスペースの不便さはよく知っている。

 トイレ周りには手すりもあって、これなら重度の身障者でなければ、健常者の介護を必要とせずに、自分でトイレを使用できるだろう。
 そのへんもよく考えられていると感じた。

ファーストCGユニバーサルデザイン003

 このような社会的な提案を盛り込んだ車両を展示しながら、あくまでも “モーターショー” 的な 「ショーとしての楽しさ」 を貫いたファーストカスタムブース。
 幕張ショーのようなビッグイベントにふさわしい試みだったと思う。

ファースト田中ケン&佐藤社長

 田中ケンさんとのトークには、途中からファースト代表の佐藤和秋氏も登場。
 現在、ケンさんとのコラボによる新車の企画が進行中だと語った。
 “フィールドの達人” というケンさんの視点を導入したアウトドア精神をたっぷり盛り込んだクルマを目指すのだとか。
 きっと面白いキャンピングカーが誕生すると思う。



campingcar | 投稿者 町田編集長 02:04 | コメント(2)| トラックバック(0)

連夜の宴会

 飲んだくれた4日間でした。
 毎晩ね。

 千葉県の幕張で開かれた 「キャンピング&RVショー2010」 。
 その車両搬入日から最終日まで。
 夜は連日宴会。

 そして、深夜に、幕張メッセのプレス用駐車場に止めたわが “コマンダーホテル” に戻り、そこで毎晩 「バンクで独り寝」 。

 本当は、 「幕張ショー」 の速報をお届けしなければならない…と思いつつ、まだ取材メモもまとめてないし、画像の取り込みも行っていないので、まぁ、今日もヨタ話でゴメンです。

 ショーそのものは、近年まれにみるほどの、すっごく充実したショーでした。
 
 “目を見張るような新車がいっぱい!”

 …というわけではないのですが、どの開発車両にも、はっきりした哲学があり、時代のニーズに対する見事な提案があり、 (怒られるかもしれないけれど) 「東京モータ-ショー」 よりすごかったよ。

 のきなみEV化、ハイブリッド化で、 “未来社会への提案” を画一化してしまった 「東京モータ-ショー」 よりも、 「キャンピング&RVショー」 の方が、 (技術力としてのレベルや、マーケティング戦略などは大メーカーにまったく及ぶべくもないけれど) 、提案の幅は、逆に広いと思った。
 
 少なくとも、クルマが人間に与える “幸せ” という意味で、しっかりした具体性があった。

 「オレが関わってきたキャンピングカー業界ってすごい!」
 …そんな手応えがあった。

 やっぱり、夜は飲まずにはいれらないじゃないですか。

 で、連夜、声をかけてくださった業者さんたちと、場を変え、人を変え、もう飲んじゃいましたよ。
 海浜幕張駅近くのビルに点在するあっちこっちの居酒屋でね。

 熱いんだよね、そこで繰り広げられる議論が。

 技術屋と営業の間に買わされるマーケットをめぐる議論。
 古くから業界にいる重鎮と、新入り業者の間の、車両開発の安全性をめぐっての討論。
 社長と社員の間に交わされる、ときに “タメ口” になってしまう自社製品の位置づけにおける白熱した議論。

 聞いているだけで、こっちも燃えてくるもんね。

 つくづく、 「オレ、こんな仕事をしていて幸せ…」 と思ったもんね。

 取材メモの整理がついた段階で、少しずつその成果を披露したいと思っています。


ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 02:50 | コメント(2)| トラックバック(0)

義理チョコの悲哀

 もうすぐバレンタインデーやね。
 そんなもんが気にならない年になって、もうずいぶんになる。

 なにしろ、仕事場の周辺に、いわゆる “女性” というものの姿が見えなくなってから、何年も経った。
 「編集部」 といったって、編集員は自分一人なので、義理チョコ、義務チョコとも縁がない。

 カミさんは、昔からチョコレートなんかくれたことがない。
 犬は、……メス犬には違いないけれど、そもそもチョコレートなど食べたことがないから、その存在すら知らない。

チョコレート001

 最後に義理チョコっぽいものをもらったのは、やはりもうずっと前だけど、幕張メッセで開かれた 「キャンピング&RVショー」 の会場ではなかったか。

 会場で出会った広告系の仕事をしている女性から、
 「あ、そういえば、チョコが一つ残っていたから、町田さんに渡してしまえば、荷物がなくなる」
 …ってな感じでいただいたのが最後だったかな。
 うれしくいただきましたけれど。

 そんなわけで、バレンタインのチョコとは、昔から縁の薄い人生を送ってきた。

 私のような “モテる男” というのは、昔から女性同士が牽制し合ってしまうから、案外、バレチョコはもらえないことが多いのだ。

 高校時代なんか、私にチョコを渡そうと思っていた女の子がいっぱいいたはずなのだが、そういう女性はみなライバルを警戒しすぎて、お互いに牽制しあい、とりあえず、その場を通りがかった男の子に渡しちゃうために、結局、 “本命” であるはずの私のところには一つも来ない。

 で、たまりかねて、ちょっと気になっていた女の子に、 「オレの分はないの?」 と聞いてみたこともあったが、彼女は、たぶん一番好きだった私に、突然声をかけられたことでドキドキしてしまったのだろう。
 自分でも思ってもいない言葉を口にしたようであった。

 「ごめんね、町田君の分は忘れてた……。来年きっとね」

 そうか、本命の男性に声かけられちゃうと、どんな女の子も恥ずかしがって、つい心にもないことを言っちゃったりするよね…などと思って、その場を立ち去ったけれど、よ~く考えてみたら、それが高校生最後のバレンタインデーで、 「来年」 はないことに気がついた。

 私にとっては痛恨の出来事だったが、彼女にとっても一生の悔いとして残った事件であったろう。

 もっとも、私の存在など、相手は最初から気にしていなかったことも考えられ、彼女のとっさの言い逃れだった可能性も捨てきれないので、真相は謎。
 私の 「青春3大ミステリー」 のひとつになっている。

 ところで、義理チョコという習慣が生まれたことに対して、女性たちはどう思っているのだろうか。
 無駄な出費とメンドーな対応が増えただけで、もううんざり…と思う人も多いのではなかろうか。

 私が女性だったら、義理チョコってすご~く面倒くさいように思う。

 「あ、ありがとね。その気がない男に配るのって、けっこうイヤなもんだよね。でも、うれしいな。
 だけどさ、さっき河合に渡しのは、ちょっと大きめのハート型だったけれど、僕のは、ただの四角い銀紙でくるんだだけのヤツで、小倉に渡したのと同じだよね。
 僕とか小倉はさ、 “義理チョコグループ” ってわけなんだよね。
 でも、いいの、いいの。
 そういう西村さんの優しい気持ちに触れるだけでさ、僕なんか癒されるのよ。……へへへ」

 とかいう男性を相手にしていたら、渡す方も疲れるだろうな。
 
 だから、私は、もし、義理チョコを渡すために部屋に入ってきた女性がいたとしたら、こう対応することにしている。

 「町田部長……」
 「いや、分かっている。気持ちはうれしい。だけどね、僕は糖尿病の身だし、もう甘いモノに魅力を感じなくなったし、その気持ちだけを受け取らせてもらうよ」

 「いいえ、そんなこと……」
 「いや、分かってる。君の優しさも分かっている。ありがとう」

 「あの、町田部長……」
 「だから好意だけ受け取らせてもらうよ」

 「町田部長! あの、お客様がお見えなんですけど!」


 ま、取り次ぎの女性がいるような仕事場でもないし、来客も滅多にないので、そんなこともありえないだろうなぁ。

 義理チョコのない世界は、気楽でいい。


ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 01:04 | コメント(2)| トラックバック(0)

RVフォーラム

 今年 (2010年) の2月12日 (金) ~14日 (日) の3日間、千葉県の幕張メッセで 「キャンピング&RVショー2010」 が開催される。

2009年幕張ショー会場風景
▲ 2009年幕張ショー会場風景

 このショーは、日本最大級のキャンピングカーイベントであり、各ビルダーがこのショーに合わせて開発した新型車が集中するショーとしても知られている。

 今回のイベントに参加する企業・団体の出展社数は、2009年の90を上回る100ともいわれ、展示されるキャンピングカーだけでも約150台が見込まれている。

 そういった意味で、各メディアの関心が集まりそうなイベントであるが、私が注目しているのは、初日の12日 (金) に開かれる 「キャンピング&RVショー2010開催記念フォーラム」
 ここでは、キャンピングカーの現在の市場規模が公開され、それを参照しながらキャンピングカーの普及を図るための課題が検証され、討議されるという。

 どちらかというと、一般ユーザー向けというより、業者や専門家を対象としたフォーラムのように思えるが、パネリストたちの顔ぶれが画期的だ。

 観光ホスピタリティを専門に研究を進める大学教授、国交省観光庁に務める担当官、バックパッカーライター、自動車専門紙の編集記者たちが、 「これからの観光とキャンピングカーレジャーの可能性を考える」 ための討議を行うという。

 このようなアカデミズム、行政、旅行ジャーナリズム、自動車専門紙などを代表する 「知性」 がキャンピングカーを論じるために集まるのははじめてのことであり、日本のRV業界が、社会的責務を熟慮する一大産業として成長してきた様子がしのばれる。

 プログラムは二部に分かれ、第一部は、松本大学の総合経営学部・観光ホスピタリティ学科学科長である佐藤博康教授の 『RV&キャンピングカーと観光の可能性』 と題する基調講演が行なわれ、続いて、国土交通省観光庁・国際交流推進課の河田敦哉課長補佐による 『観光立国の実現に向けたインバウンドの振興について』 というレポートが発表される。

 第二部は、パネルディスカッションとなり、
 ・ 日刊自動車新聞社 専務取締役 主幹の佃義夫氏。
 ・ 松本大学教授の佐藤博康氏。
 ・ 日本ボーイスカウト連盟 教育部門長の小林孝之助氏。
 ・ バックパッカーライターのシェルパ斉藤氏。
 ・ 日本RV協会会長の福島雅邦氏らが参加して、観光振興という観点から捉えたキャンピングカーの可能性を討議する。

 これらの議事進行を務めるのは、アウトドアジャーナリスト・プロデューサーの中村達氏。

中村達氏001
 ▲ 中村 達氏

 乗用車の販売不振、スポーツ人口の減少などというマイナス要因が目立つ日本の現状をどう捉えるか。
 また、そこからどのような蘇生の道が開かれるのか。
 それらをテーマに、 「観光」 と 「キャンピングカー」 を軸とした熱い議論が繰り広げられそうな気がする。

 期日 :2月12日 (金曜日)
 会場 :幕張メッセ特別会議室。
 時間 :15時00分~17時00分。
 参加費:無料
 定員 :50名


 参加者はジャーナリストや業界関係者が中心となるものと思われるが、一般の見学者も歓迎とのこと。

 なお、各講師のプロフィールは次のとおり。

 佐藤博康 (さとう・ひろやす)
 1949年生まれ。松本大学・観光ホスピタリティ学科教授。
 専門は国際観光、エコツーリズムなど。NHK 「Cool Japan」 に出演中。
 著書に 『インバウンド観光の現状と課題』 、 『外国からのお客様をお迎えするために』

 シェルパ斉藤 (しぇるぱ・さいとう) 氏。
 1961年生まれ。フリーランスライター。 『BE-PAL』 、 『東京生活』 などの雑誌に連載中。
 著書に 『シェルパ斉藤の東海自然歩道全踏破』 、 『犬連れバックパッカー』 、 『スローな旅で行こう』 など多数。

 小林孝之助 (こばやし・こうのすけ) 氏。
 財団法人ボーイスカウト連盟事務局次長。平成23年8月に、静岡県富士宮市で約2万人を集める日本大会開催を予定。

 佃義夫 (つくだ・よしお) 氏。
 1970年、日刊自動車新聞社に入社。86年より編集局部長を歴任。2002年に取締役に就任。
 著書に 『トヨタの野望、日産の決断』 、 『この激動下、トヨタだけがなぜ大増益なのか』 など。

 福島雅邦 (ふくしま・まさくに) 氏。
 1991年に株式会社フィールドライフを設立。世界初の量産型軽自動車キャンピングカーを開発・販売。
 2000年に国産初のフルコンバージョン (クラスАタイプキャンピングカー) の発売を開始する。
 2009年より日本RV協会会長を務める。

 中村達 (なかむら・とおる)
 1949年、京都生まれ。日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事。NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構副代表理事。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど、アウトドア事業に深く関わる要職を務める。
 著書に 『アウトドアマーケティングの歩き方』 、 『アウトドアビジネスへの提言』 、 『アウトドアズがライフスタイルになる日』 など。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

人気の北海道旅行

 北海道観光の人気は高い。

ハイウェイの空と雲

 北海道は、昔から日本人の旅行先として根強い人気を保っており、2009年にJTBが行なった 「今年の夏の日本の旅行先」 調査では、32パーセントの男女が、その年に行く旅行先を 「北海道」 と答え、2位の 「沖縄」 (16パーセント) を大きく引き離したそうだ。

 また、(財) 日本交通公社がまとめた 「旅行者動向2008」 では、自然や景勝地を見て回る 「自然観光」 と、おいしいものを食べる 「グルメ旅行」 の項目において、北海道が他を大きく抜いて1位に輝いているという。

北海道クマ出没注意交通標識

 そのような人気エリアの北海道だが、旅行者の滞在日程でみるかぎり、北海道観光の日程は、短縮傾向にあるといわれている。

 北海道経済部観光局が2009年に調査した結果によると、1999年度に 「3泊4日」 の旅行を楽しんだ観光客が38.8パーセントいたのに対し、2007年度においては、それが26.4パーセントに減少。
 逆に、1999年では29.6パーセントであった 「2泊3日」 の客は、2007年では46.1パーセントに達したらしい。
 つまり、 「行ってはみるが、すぐ帰る」 という傾向が強まっているという。

 このような観光客の旅行日程が短縮化されるなかで、唯一、旅行日程をどんどん伸ばしている旅行スタイルがある。

 それが、 「キャンピングカー旅行」 である。

ふうれん望湖台キャンプ場001
▲ 名寄市のふうれん望湖台キャンプ場

 日本RV協会 (JRVA) が定期的に発行しているプレス・インフォメーション (日本RV協会通信) によると、キャンピングカーユーザーの62.7パーセントが、北海道では 「1週間以上、2週間以内」 という長期旅行を楽しんでいることが判明したという。

 この調査は、RV協会が、2009年10月から約2ヶ月にわたって同協会のホームページにアクセスしたユーザー273人を対象に行ったもので、
 「ここ数年、北海道を旅した日程がどれくらいであったか?」
 ということを、1週間以内、2週間以内、3週間以内、1ヶ月以内、2ヶ月以内、3ヶ月以内、さらに長期、という7段階にわたって尋ねたもの。

 それによると、一番多い回答は 「 (1週間以上) 2週間以内」 で40.3パーセント (110人) であったという。
 2位は 「1週間以内」 で37.4パーセント (102人) 。
 3位は 「3週間以内」 の7.7パーセント (21人) 。
 さらに  「3週間以上」 という回答を寄せた人も14.7人パーセント (40人) いたらしい。

 一般観光客の旅行日程が 「3泊4日」 から 「2泊3日」 へと減少しつつあるなかで、キャンピングカーユーザーの 「1週間を超えて3週間にも及ぶ」 という旅行日程は、確かに長い。

小樽「宏楽園」露天風呂
▲ 小樽市 「宏楽園」 の温泉

 これはやっぱり、北海道とキャンピングカーの相性の良さを反映したものといえそうだ。
 北海道は、なにしろ大自然を擁した広い大地に恵まれた土地。
 道もまっすぐで広く、外国のような景観が連続する。
 しかも、本州に比べると、比較的キャンプ場の宿泊料が安く、なかには無料のキャンプ場もたくさんある。

 そのため、キャンピングカー専門誌では、毎年夏が近づくと 「北海道特集」 を組むものが多く、ユーザーの間には、すっかり 「北海道はキャンピングカーの聖地」 というイメージが形成されている。

道民の森一番川
▲ 当別町 「道民の森一番川キャンプ場」

 同リリースによると、このようなキャンピングカーユーザーを招へいすることは、北海道の観光振興施策とも合致するという。

 北海道観光局では、やや陰りを見せている観光客数に歯止めをかけるために 「ゆとりツーリズム」 などのキャンペーンを提案し、積極的に観光客誘致の対策を進めている。
 その具体的な対策として、 「地域の観光商品の企画・開発の促進」 とともに、 「複数市町村にまたがる新たな “滞在型観光地” づくり」 が盛り込まれているとも。

芝生と空002

 ある程度広いエリアにわたっての “滞在型観光地” がどんどん具体化されれば、それはキャンピングカーユーザーの便宜を図ることにつながり、またそれによってキャンピングカー客が増加すれば、北海道の観光産業が活性化する、…と同リリースはいう。

 キャンピングカーユーザーの北海道旅行の日程の延長化傾向は、観光資源を存分に生かした北海道旅行の未来を予感させる。

 詳しくはJRVAホームページへ。


コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 17:23 | コメント(2)| トラックバック(0)

ツィッター

 最近よく耳にする 「ツィッター (Twitter) 」 。
 これがよく分からん。

 マスコミが話題にしているのを見ると、今や、 「あなたの周りの人間はみな始めてますよぉ~」 ってな言いっぷりなんだけど、ごくごく少ない私の “周りの人間” に聞いてみたら、一人もそんなことを始めていなかった。

 もっとも、私が日常的に接している人たちというのは、病院で冬眠しているクマと、いま介護施設に入っている義母と、犬だけなので、彼らはそもそもインターネット以前の生き物だから、参考にならない。

 では、電車に乗っている人たちはどうなんだろう?

電車の中001

 どうやら、携帯電話からでもできるらしいので、きっとみんなやっているんだろうなぁ…と思って、通勤電車の中で、携帯 (っぽい機器) をピコピコしている人たちのモニターを、そぉっと覗き込んだりするが、たいていゲームをやっていて、ツィッターとはほど遠い感じだ。

 すこーし知ってそうな会社の同僚に尋ねみたら、
 「140字までの “つぶやき” ですよ」
 と教えてもらった。

 なんだよ? それ…

 こういうときは、Wikipedia に頼るしかないんだけど、それを読むと、
 「個々のユーザーが 『ツイート (つぶやき) 』 を投稿することで、ゆるいつながりが発生するコミュニケーション・サービス」 って、まず最初に書かれているんだけど、 “ゆるいつながり” という意味が、よく分からん。

 「君、だれ?」
 「通りすがりの者です」
 「じゃ元気でね」

 …そんなことなんだろうか?
 
 ウィキをもう少し読んでみると、
 「例えば 『ビールが飲みたい』 というつぶやきに対し、それを見たユーザーが何らかの反応をすること」
 …ってあるんだけど、どういう反応なのだろう。

 もし、私が誰かのツイートを受け取り、 「ビールが飲みたい」 って言われても、
 「あ、そう」
 「勝手に飲めば」
 の二つの反応しか思い浮かばない。

 もしそこで、こっちが 「いいねぇ! 」とか言ったとして、 「あ、じゃご一緒しましょう! 今どこ? …当方、25歳で、友だちからは綾瀬はるかに似ていると言われます」 なんて返事が来たら、まず最初に 「怪しい!」 と思うだろうし。

 で、ツィッターの特徴は、 「リアルタイム性にある」 っていわれるんだけど、普通に仕事している人が、 「オレ、いま決算報告作成中。もうすぐ完了」 とか、そんなにしょっちゅう “つぶやく” 時間があるのだろうか。

 分からないなりに想像するに、まず私が思うのは、 “ウザいなぁ…” ってこと。
 「神田××町の角のコーヒー屋は、雰囲気がよくって、とってもおいしい」
 とか、誰かにつぶやかれても、…そんなところに行くことも滅多にないしなぁ…と思うのが関の山なんだけど、そういうもんでもないのかしら?

 きっと私なんかの古い感性では理解できない面白さってのがあるんだろうな。
 そういう形で人と人がつながるって、もしかしたら、とっても素敵なことなのかしら。
 人と人が 「心を通い合わせる方法」 ってのが変ってきているのかしら。

 ツィッターは何が面白いのか。
 ツィッターは今後ブログやHPを超えるWEBコミュニケーションツールに成長するのだろうか。
 ツィッターが普及した社会というのは、どういう社会なのだろうか。

 誰か分かっている人、教えてくんない?


ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 01:36 | コメント(7)| トラックバック(0)

ウルフボーイ

 ちょっと “カミさんの入院ネタ” が最近多くなりすぎてしまった。
 怒られた。

 「あんた、ちょっとブログで何書いているの?」
 と、今日洗濯物の交換に行ったとき、カミさんがまなじり吊り上げて怒るのだ。

 近年あまり連絡を取らなかったような人たちが、最近不意に見舞いに来たり、励ましのメールを送ってきたりするようになったのだという。
 
 いいことじゃない!
 …と思うのだけれど、

 「ご主人も、牛丼ばっかり食べていて大変ね。身体壊しちゃうんじゃない?」
 とか、みな口々に言うらしい。

 カミさんにとっては、

 「???」

 …なんだけれど、
 相手は、 「ご主人のブログに書いてあったわよ」 というのだそうだ。

 「だいたいあなたは、ウソばっかり書いている」
 と、カミさんはいう。

 はじめて会った人から、こう言われたことがあるという。

 「クマみたいっていうけれど、ぜんぜんそんなことないですよね。可愛らしい方なのに…」

 そう言われて、カミさんは、最初は 「????」 だったけど、すぐに、私のブログでは、自分が 「クマ」 と表現されていることに思い至ったらしい。

熊出没注意

 怒ったこと、怒ったこと。
 そのときは、後ろ足で立ち上がり、前足をグルグル振り回して、威嚇しながら、天に向かって吼えた。

 その恐怖が忘れられず、それから3日ほどは、家の廊下を抜けるときも、スズを鳴らしながら歩いた。

 …ってなことを書くから、また怒られるんだろうな。 

 確かに、自分でもウソが多いと思う。
 特に、私生活をテーマにしたときは、1のことを10ぐらいに誇張するし、10のことは170倍ぐらい大げさに言う。

 もともとウソつき人間なのである。
 ウルフボーイ (狼少年) なのだ。
 ことあるごとに、 「狼が来たぞぉー!」 ってウソをついて、ついに村人たちにそっぽを向かれた少年の話があるけれど、その話をはじめて聞いたとき、 「あ、オレだ」 と思った。

 でも、自分ではウソを言っているつもりではなくて、“創作活動” のつもりなんだけどね。
 つまり、ウソではなくて、ホラ。
 聞いている人が楽しければ、それでいいじゃん…っていう気分が、どこかにある。

 その手で何人オンナを泣かせたことやら。
 (↑) もちろんウソね。


 ここからは、ちょっとマジになって書くけれど、実は、業界の方を中心に、個人的なメールや電話で、たくさんの励ましをいただいた。
 また、このコメント欄に、励ましのコメントをお寄せいただいた方もいらっしゃった。

 それらをまとめてプリントアウトして、カミさんのところに持っていった。
 読んで、カミさんが涙ぐんだものもある。

 ありがとうございました。
 本当にお礼を言いたい。


ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:04 | コメント(8)| トラックバック(0)

家事デー

 土曜日というのは、けっこう (個人的に) 忙しい日なのだ。
 いちおう会社が休みの日なので、 “家事デー” と決めている。
 一週間分の溜まった家事を集中的にこなす。

 布団を乾して、台所の洗い物をして、シンクを磨き、何回かに仕分けた洗濯物を日に乾したり乾燥機にかけたり、古新聞をまとめて結束し、風呂の栓を抜いて湯船を洗って、その間にカミさんの病院に行って、洗濯物を交換し、病院食も飽きただろうから、ちょっとしたおかずを買って、夕方それを持って病院に…ってなことをしていると、もう夜になる。

 そんなことをしているうちに、ようやく家庭内の “コスト” というものに気づくようになった。
 恥かしい話である。

 今まで何も気にせず洗濯物を乾燥機にブチ込んでいたけれど、 「こんな天気が良いんだから、日に乾せばいいじゃん…」 ってなことに、遅まきながら気づく。

 新聞だって、朝飛び起きて、深夜に帰ってくると、まったく読まない新聞も出てくる。
 今までは、カミさんが読んでいるなら、それでいいじゃん…と思っていたけれど、今だと、誰も読まなかった新聞をそのまま捨てることに、ものすごく心が痛む。
 休みの日に集中して読む…ったって、全部目を通すわけにもいかんしね。

 暖房だって、もう一部屋でいいんだから、お昼頃の陽の光が回っている時間帯は、パソコンのある自分の部屋にはこもらず、陽の差すリビングで過ごすようになった。
 そうすりゃ、温かいから、暖房しなくてもいい時間帯が生まれる。

リゾートホテルの庭 
 ▲ リビングから見えるわが家のプール
   …ってなわけないか。 


 エコロジーってのも、結局そういうことなんだろう。
 
 「地球資源を効率的に使う社会を実現するにはどうしたらいいか」
 なんてことを、個人レベルで、机上の空論として語っていても、な~んも進展しない。
 
 社会変革を議論の俎上に乗せて、ムーブメントをつくることも大切かもしれないけれど、そういう個人が、私生活で無駄なエネルギーを垂れ流していたら、まったく意味がない。

 大河の流れを、指一本でせき止めようということに近いけれど、結局それしかないように思う。
 
 家事をすべてカミさんに任せっきりだと、そういうことに気が回らなかった。

 「オレは仕事して稼いでいるんだぞ!」
 …だから、家庭内の切り盛りはお前の仕事だろ? ってな威張った意識が、やはり自分にもあったのね。
 反省。


  
ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 12:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

JキャビンFC

 軽トラックにキャンパーシェルを載せるという、MYSミスティックの 「Jキャビンミニ」 が登場したとき、多くの人は、デフレ時代の低価格路線を狙った商品設定だと思ったかもしれない。

JキャビンミニFC外形001
▲ JキャビンミニFC

 地方の軽トラ普及率は高い。
 その軽トラをベース車として、遊びに行くときだけキャビンを積載しようというニーズは確かにあるだろう。
 そうすれば、キャンピングカーとして架装されたクルマを新たに購入する必要がない。
 買うのはキャンパーシェルの部分だけ。
 コストパフォーマンスは無類によい。
 …ならば、ひとつ買ってみようか。

 Jキャビンミニとは、そう計算した人々を狙った商品なのだろう…と分析した人は、
 「いい狙いどころだな」
 と感心したかもしれない。

JキャビンミニFCシェル003

 しかし、Jキャビンミニを構想したMYSの佐藤正社長の思惑は、もう少し別のところにあった。

MYS佐藤さん001

 彼は、まず最近の軽トラックの上級グレードの驚くほどの走行性能の改善に注目した。
 
 「食わず嫌いでした。乗ってみてはじめて分かった。
 こんなに走りに余裕があり、かつ刺激的な走行フィールを持った乗り物だとは思わなかったんです。
  軽トラというのは、もしかしたら、今までの自動車のカテゴリーを大きく揺るがすものなのかもしれない」

 佐藤さんは、そう感じたという。

JキャビンミニFCリヤ002

 低コストで乗れる。
 小回りが利く。
 駐車スペースを取らない。

 そのようなエコロジカルな特性には収まりきらない、とてつもない魅力が軽トラにはある…と、佐藤さんは読んだのだ。

 その魅力を一言でいうと、 「走りのビート感」 。

 「たとえばスバルなんかの軽トラに、このJキャビンミニを積載しますよね。
 すると、カツン、カツン、カツンと乾いたビートを刻んで、感性を刺激する走りが生まれるんですよ。まさにフォービートかエイトビートという感じ…」

 それは、ハーレーの、タンタンタンという3拍子のリズムにも拮抗するような、胸を騒がす 「生命の鼓動」 なのだとか。

 だから、この軽トラをベースにしたJキャビンミニシリーズは、走る楽しみにおいても、従来のキャンピングカーとは一線を画する 「次世代RV」 なのだと佐藤さんは位置づける。 
 
 ならば、その肝心のシェルの部分にも、 「次世代RV」 を語るにふさわしい “意匠” を考案しなければならない。  
 単なる 「コストパフォーマンスに優れたキャンピングカー」 と見なされるのではなく、持つこと自体を誇れるような、究極のデザインを試みなければならない。

 そういう思いが 「形」 となって結実したのが、この 「JキャビンミニFC」 である。

JキャビンミニFC外形001

 「FC」 とは、ファクトリーカスタムのこと。
 佐藤さんの念頭にあったのは、ハーレーのカスタムだった。

 ノーマルでさえ強烈な存在感を持つハーレーが、一つひとつクロームメッキパーツを身に付けて輝いていくときに生まれる “際だつ個性” 。
 その燦然と輝く 「個性」 を、ファクトリーとして鍛え上げられた自分たちの職人芸で、最高の仕上がりにまで持っていく。

 それが 「JキャビンミニFC」 の思想である。

 このシェルの扉を開け、中に入っただけで、その 「思想」 に感染しない人はいないはずだ。
 ここまで手の込んだ作りを誇るピックアップキャビンというものは、かつて存在したことがなかったのではないか。

JキャビンミニFC室内003

 まず、丹念に仕上げられた木工家具のグレード感に、人はびっくりするはず。
 深い渋みを湛えた美しい塗装。
 それが室内に差し込む光の角度によって、微妙な陰影を室内に投げかける。

JキャビンミニFC002

 それとバランスを取るように、対照的な明るさを際だたせるシートの柔和感。
 「書斎」 の重厚感と、 「リビング」 の軽快感の絶妙なマッチングが、ここでは試みられている。

 ちなみに、シートは、中にチップを入れた3層構造。
 座り心地も万全ならば、ベッドメイクしたときの感触も秀逸だ。

 壁紙にも、繊細なデザインセンスが発揮されている。
 竹を組んだように見えるアジアンテイスト・デザイン。
 ヨーロッパのリゾートとはひと味違う、アジア風高級リゾートの涼しげな感触が、この壁紙素材から伝わってくる。

JキャビンミニFC006

 インバーターで回すエアコン (オプション) には、省電力タイプのものが採用されているので、少ない電力でも相当な涼風が約束されるという。

 そこから流れ出る風が、アジアデザインの壁紙をかすめるとき、中でくつろぐ人は、窓の外に、ヤシの木陰の向こうに広がるインド洋か東シナ海を夢想するかもしれない。

 照明は、あえて流行のLEDを使わず、蛍光灯も避けて、昔ながらの電球を使った。
 そこにも “こだわり” があり、ランプのような光がもたらす自然な温かみを狙ったのだという。

JキャビンミニFC005

 小物入れも豊富。
 趣味にこだわる人は、自分にとって大切な “秘密のアイテム” をそっと貯め込んでおきたくなるもの。
 大人の風格を備えながらも、男が 「少年に還る」 ときの楽しさを、このクルマは失っていない。

JキャビンFC004

 「コストを度外視しても、凝りに凝ったものをつくってみたかった」 という佐藤さん。

 そこに実現されたものは何だったのだろう。

 私は、 「男が自分の “精神” に出会う場」 だと思った。

 自分がどこから来たのか
 自分はどこへ行こうとしているのか
 自分とは何か

 忙しい日常生活の中で、忘れてしまった 「自分を問う心」 。
 そのような 「問い」 は、日常性を超える異次元空間でなければ生まれない。
 自分が、キャンピングカーの中にいることすら忘れるような、至上の愉楽を約束する空間があってこそ、生まれる 「問い」 なのだ。

JキャビンミニFC001

 もちろん、そのような 「問い」 に、本当の答などない。
 それでも、答を求めながら、この贅沢な空間で、ゆっくり自分の好きな酒を飲み、好きな音楽を聞く。
(佐藤さんなら、そこでフジコ・ヘミングのピアノ曲を聞くことだろう)

 そして、答を求め続け、けっきょく分からないままに、快適なベッドの上に、酔った身体を横たえる。
 ほのかなランプの光が、火照った頬を優しく撫でていくのを感じながら、いつしか眠りの底に落ちていく。

 「幸せ」 ってのは、そういうものだ。

 JキャビンミニFCは、その 「幸せ」 を約束してくれるクルマだ。


campingcar | 投稿者 町田編集長 11:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

岡林信康の時代

岡林信康001

 NHKの歌番組 『SONGS』 で、岡林信康を見た。
 実は、彼の顔を映像を通じてまじまじと見たのは、これがはじめてだった。
 1946年生まれだというから、もう60代半ば。
 どこにでもいる “おっちゃん” の顔だったが、さすがにいい顔をしていた。

 時代の寵児のような扱われ方をして、周囲の期待や評価と自分自身とのギャップに悩み、音楽活動から足を洗って田舎で隠遁生活を送ったこともあるという。

 苦労もいろいろあったのだろうが、その苦労が刻まれていない表情がいい。

 若い頃の映像や写真も紹介されていたが、意外と無防備のボンボン風の顔つきの人で、ちょっとびっくりした。
 当時の音楽雑誌に登場していた顔やレコードジャケットの顔から、どこか凄みを漂わせたカリスマ風の男だと思い込んでいたのだ。

岡林信康002

 放送禁止となるような歌をいくつもつくり出し、時代に激しく抗議した男。
 そんな自分におののき、周囲の過剰な期待におびえて、逃げ出したくなる男。
 どちらも真実だったのだろう。

 時代的には、私は、岡林信康の歌をほぼリアルタイムでフォローした世代である。
 とりたてて熱心なファンではなかったが、彼の歌は、いつも自分の生活の中に流れていた。

 友だちの下宿を訪れ、ギターを弾きながら酒を飲むぐらいが唯一の娯楽だった時代。サントリーホワイトを、氷も入れず、水道の水で薄めながら、友だちの弾く 「チューリップのアップリケ」 を聞いた。

 ガード下の飲み屋では、学生運動をやっていた先輩たちがコップ酒をあおりつつ、 「山谷ブルース」 を口ずさむのを聞いていた。

 小学校からつきあいのあった旋盤工の友だちが、給料日におごってくれた日、公園の夜道を、 「友よ」 歌いながら肩を並べて歩いた。

 あまりにも岡林的な生活の中にいたので、それは 「歌」 ではなく、 「空気」 だった。

 「空気」 だから、感傷もない。
 それらの歌を、いま歌ったとしても、センチな気分も湧かない。

 しかし、 『SONGS』 という番組で、あらためて彼の歌を聞いてみて、彼がかつてつくった歌が、今の時代にも十分に耐えられるものであることを知った。

 派遣切りが横行する今の過酷な格差社会が、 「山谷ブルース」 の時代と酷似してきた、などというつもりはない。  
 彼の歌に、きわめて日本人特有の “詠嘆” のようなものが感じられたからだ。

 「山谷ブルース」 には、
 「どうせ、どうせ、山谷のドヤ住まい…」 という歌詞が出てくる。
 
 あるブログを読んでいたら、日本人が使う 「どうせ」 という言葉のニュアンスは、外国人は分かりにくいものだろうという表現が出てきた。

 それは 「皮肉でも、絶望でも、怒りでもなく、この世界を希望のないかたちで受け入れつつ、 “自分はここにいてはいけないのではないか” という嘆きをカタルシスに変えてゆく心の動きからこぼれ出る言葉……」 なのだそうだ。

 岡林の 「山谷ブルース」 を聞いていたら、きっとそういうことなんだろうな…という気がした。

 『SONGS』 は、岡林と美空ひばりの交友に中心が当てられたつくりになっていた。
 田舎に隠遁し、畑を耕しながら、自給自足の生活をしていた岡林は、自分一人で生き抜くことの辛さをはじめて知り、日本人の心を支え続けてきた演歌の深さに目覚めたという。

 そんな岡林のつくった1曲の演歌を、美空ひばりが認める。

 美空ひばりは美空ひばりで、彼のつくった演歌に、今までの演歌産業の現場では触れることのなかった “失われた青春” というフォークの叙情を嗅ぎとったのかもしれない。

 二人の間に友情が芽生え、歌を通じた心の通い合いが生まれる。

 番組では、その当時、美空ひばりが岡林に作曲を託した歌があったことを伝える。
 歌詞をつくった美空ひばりは、その歌詞にメロディーをつける人間として、岡林以上の人はいないと判断したらしい。

 しかし、岡林は、その歌詞を託された当時、 「歌にならない」 と思ったという。
 歌には 「死の谷を越えて飛び続けるひばり」 などという歌詞が登場し、その暗さを、当時29歳だった岡林は受け止め切れなかったのだそうだ。

 ひばり没後20年にして、ようやく彼は、その詞に曲をつける。
 『麦畑の鳥』 と題されたその歌は、演歌やフォークともまた違った、静謐な哀しみに包まれた、透明度の高い曲だった。

 彼は、美空ひばりの曲ばかりで固めたカバーアルバムも出したという。
 レコーディングに参加した面々の顔ぶれが意外だった。
 山下洋輔や細野晴臣も加わったというから、およそ単なる演歌のアルバムではないことがすぐに分かる。

 その中の1曲、 「悲しき口笛」 が山下洋輔のピアノを背景に披露された。
 ジャズのアレンジが施されたせいもあるのだが、なんとも 「都会的」 な歌になっていた。

 「都会的」 という言葉は誤解を招きやすいかもしれない。
 今の東京や大阪のような都会にはない 「都会」 といえばいいのだろうか。
 
 かつての西田佐知子とか、フランク永井の持っていた 「都会性」 。
 都会に、まだ 「裏町」 や 「場末」 という甘く危険な香りを放つスペースがあった時代の 「都会性」 。
 大人だけが楽しめる、ちょっと排他的な快楽の匂いがかすめる 「都会性」 。

 そんな、今はどこの都会からも消えた幻の都会の匂いが、岡林の歌った 「悲しき口笛」 には感じられた。

 プロテストソングから、演歌の道をたどり、今、さらにそこから別の進化を遂げようとしている岡林信康。 

 かつては、必ず 「フォークの神様」 という枕詞で語られた岡林信康が、ようやくその枕詞から解放された姿を見たような気がした。

 岡林信康の 「時代」 とは、まさにこの 「現代」 のことだと思った。

 
 
音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 02:04 | コメント(4)| トラックバック(0)

山本馬骨氏の新著

 『くるま旅くらし心得帳』 (新風舎 2006年) の著書を持つ山本馬骨氏が、その続編ともいうべき 『くるま旅くらし読本』 を発行された。
 といっても、前著の出版を引き受けた会社がなくなってしまったため、今回は著者ご自身の手による手作り製本。

くるま旅くらし読本

 “手作り” といえども、しっかりした無線綴じで製本されたていねいな仕上がりで、ところどころ美しい写真が挿入され、巻末には紙色を変えて 「付録」 がつけられるという、贅沢な本になった。

 ただ、凝ったつくりのため、量産はできず、初版は20部だとか。

 その貴重な1冊を昨日お送りいただいた。

 素晴らしい本である。
 前著はプロの出版社から発行されたものであったため、本の体裁は整っていたが、大量生産品の匂いが強かった。
 しかし、今回は、装丁の色合いといい、誌面構成といい、中の写真といい、心のこもったつくりになっていて、 「アート」 の風格が漂う素敵な本になっている。

くるま旅くらし読本グラビア001

 もちろん、内容的にも深みが増している。

 「60歳からのくるま旅くらしの楽しみ方」 というサブタイトルからも分かるとおり、リタイヤされた方々のキャンピングカーライフのノウハウを伝授した本であるが、単なるノウハウ本とは違って、 「セカンドライフとどう向き合うか」 という、人生そのものを問う著者の眼差しが、なんとも鋭く、かつ温かい。

 第一章の 「定年後という人生」 という章を読んだだけで、早くも著者の透徹した視線の確かさに、居住まいを正すような気分になる。

 「現役時代に、自分の好きなことを好きなようにやって来られた人は、恵まれた人だと思います。
 しかし、そのような人はほとんどいない、というのが私の見解です。
 自由な意思決定を行えるような立場にいた人でも、自由な意思決定が許される場面など、ほとんどなかったというのが実態のような気がします。
 しかし、定年後の人生は自分自身が主役になり、自分の自由意思で、その行き方を判断し、決めてゆくことが可能なのです」

 定年を間近に控えた人で、このような言葉に触れて、心がときめかない人がいるだろうか。
 ようやく、自分の人生を手に入れられると、心が “はやる” ではないか。

 しかし、著者は続けて、このようにも言う。

 「ところが、この自分で主役となって物事を決めていくというヤツは、なかなか厄介なのです」

 つまり、自分が主役になったとたん、何をしたらいいのか、それがなかなか見つからないものなのだ…ということを、馬骨さんは自分の経験と照らし合わせて語る。
 ここには、哲学者をいつも悩ませた 「自由とは何か」 という普遍的な問題に迫る洞察が潜んでいる。

 さらに、素晴らしいなぁ…と思って、思わずアンダーラインを引いてしまった文章があった。

 「旅は発見である」 と書かれたあとの文章は、こう続く。

 「旅くらしでは、新発見というよりも再発見ということが多いように思います。
 今まで解っていたこと、あるいは観ていたつもりでいたことも、時間をかけてじっくり観たり聴いたりしてみると、今までとは違った新たな感慨に触れることが多いのです。
 駆け足の観光旅行では、ほんの上っ面だけしか見ていないものです。
 だからスピードを落とせば落とすほど、 “再発見” の可能性が高まります。
 スピードを落としても、失う時間よりも獲得する時間の方が多いように思えます」

 “スロートラベル” といわれるキャンピングカー旅行の真髄を、これほどまでに的確に表現した文章があっただろうか。

 結局、どんなに時間をかけて日本一周をしたとしても、 「再発見」 の目を持たない旅行は、何ももたらさない。
 本著は、その 「再発見」 の目をどうやって育てていくのか。それについて語っているような本でもあるのだ。

くるま旅くらし読本グラビア004

 かといって、難しい本ではない。
 基本的には、キャンピングカーを使った長い旅を、安全に、健康に、楽しく続けるための“指南書”であり、そのための鮮やかなヒントが、宝石箱につまった宝石のように、キラキラと散りばめられた本である。

 馬骨氏は、キャンピングカーを使った 「くるま旅くらし」 が、高齢化の進むこれからの社会では老人医療の負担を軽減するという視点を明確に打ち出しており、キャンピングカーライフがいかに心身の 「健康維持」 をもたらすかという分析は、傾聴するに値する。

 「くるま旅くらし」 というものが、どういうものであるか。
 手っ取り早く知りたい人は、巻末に集められた付録の 「くるま旅くらしに関する何でもQ&A」 を見ることをお薦めする。  

 ここには、車種選びから、装備品目の使い方、泊まる場所の選び方から、ゴミ処理に至るまで、馬骨氏の豊富な経験から得られた貴重なノウハウがぎっしり詰まっている。
 おそらく、これだけ徹底したノウハウ集は、専門誌に掲載されることもないと思う。

くるま旅くらし読本グラビア003

 ところどころのページに彩りを添える、奥様の撮られた写真も美しい。
 長い時間をかけた旅だから撮ることのできたベストショット集。
 贅沢な本である。

山本馬骨夫妻
 ▲ 山本馬骨 夫妻

 送料・手数料込みで、1,000円。
 お問い合せは、直接、馬骨さんのブログに 。
 
 http://blog.goo.ne.jp/vacotsu8855


音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 23:33 | コメント(7)| トラックバック(1)

ホワイトカントリ-

 『答は風の中』 というWEBエッセイを連載されている九州の 「カスタムプロホワイト」 の池田さんから、最新キャンピングカー情報が送られてきた。

 長年、ハイエースやキャラバンをベースに 「フィールドキング」 シリーズを作成してきた池田さん。
 今回は思い切って、軽キャンピングカーに挑戦したという。
 その名は 「ホワイトカントリー」 。
 30年ほど前、はじめてキャンピングカーを造り始めた頃に考えていた名前なのだそうだ。

ホワイトカントリー外形(松林)

 ベース車両はホンダ・アクティ。
 鮮やかにペイントされたツートンのボディが、なんとも可愛く、なんとも斬新。
 リヤパネルが、ボディ同色のプラスチックパネルで窓埋めされており、なかなか凝った仕上がりぶりだ。

ホワイトカントリープラスチックパネル

 エクステリアにも力が入っているが、内装を見ると、さらにびっくり。
 ハイセンスに仕上げられた木工家具が架装され、4ナンバー登録の軽キャンパーとは思えない充実ぶりだ。

ホワイトカントリー内装002

 リヤゲートを開けると、右側には、フィールドキングゆずりのムク材を使ったミニキッチン。軽には少し贅沢と思える中型のホーローシンクに、本格的なフォーセット。
 シンク下には、13リットルの給水タンクが標準装備。
 シンクの左側には、小型のカセットコンロがこぢんまりと収まっている。 
 排水タンクの設置も可。

ホワイトカントリー内装003

 ボディ左側は、収納棚とフライングテーブル。
 (本棚には、しっかりと 『キャンピングカースーパーガイド』 を収めてくれてますねぇ。ありがとうございます!)

ホワイトカントリー内装003の2

 ルーフ内側にはキルト素材のフルトリム (厚さ10mm) が施され、断熱・防寒対策と、美観の演出を引き受けている。
 よく見ると、リヤ扉の内側にも、しっかりウッドが張られている。
 こりゃもう 「部屋」 ですな。

ホワイトカントリー内装004

 運転席の頭上には、たっぷりとした容量が確保されているルーフ収納が設定されている。
 その容量、約180リットル。
 これは、フロント部の傾斜が比較的ゆるく、かつルーフ高がたっぷり取られたホンダ・アクティの特徴を生かしたところから生まれた。

 ここには、コンロ、寝袋 (2~3人分) 、やかん、フライパン、ナベなどがすんなりと収納できるという。

ホワイトカントリー内装005

 ベッドマットはなし。
 じゃ、どこで寝るの? …となるのだが、代わりにモンベルの登山用エアマット (1800×500mm) が二つ用意されている。

 寝るときに膨らませることになるが、たたんでしまえば、1人分が牛乳瓶くらいなので、無類に空間効率が高まる。
 ベッドマットがないため、このクルマがトランスポーターとしての役目を負わされるときは、荷物の積み込みも楽になり、かつ積載容量も確保される。
 ちなみに、室内高は最大1200mm。くつろぐには何の不満もないゆったりスペースが実現されている。

 オシャレなのは、車両ドアパネルの加工。
 トリム生地と同系統の色調に仕上げられ、ちょっと 「軽」 とは思えない質感が生まれている。
 インパネもすごい!
 ここもドアパネルと同色に塗装され、室内のカラーコーディネイトは万全だ。

ホワイトカントリー内装006

 気になるお値段は、なんと80万円 !?
 ただし、これは架装費だけの価格。
 ベース車両は別で、持ち込み架装も可。
 でも、リアルウッドの手の込んだ家具を多用したハイグレードな室内架装が80万円というのは、なんともリーズナブルな設定ではなかろうか。

 4ナンバーの 「アクティ」 と、5ナンバーの 「バモス」 の価格差が約70万円ほどであることを考えると、その価格差を架装費で吸収しようという 「ホワイトカントリー」 の戦略は、うまいところを突いているようにも思う。

 この80万円の架装費に、シートカバー、ツートン塗装、プラスチックパネル、4スピーカー、カーテンなどをプラスして、だいたい115万円程度だとか。


 この写真を送ってくださった池田さんに電話取材を試みた。

カスタムプロホワイト池田氏

 池田さんは、お客様に選んでもらうときに、 「軽しか買えない」 という選択ではなく、 「この軽が欲しい!」 というものを目指したのだという。
 
 また、 「大きなクルマに乗って見栄を張ることに少し飽きて、軽自動車の利便性と、軽自動車の経済性を合理的に判断できるクレバーな人たちに見てもらいたい」 とも。

 年間5~6台しか生産しない同社の営業方針は、大量生産・大量販売の正反対をゆくものだ。
 だからこそ、少量生産の意味をしっかり訴えていきたいという。

 それは、内装クロス張りから木工家具製作、さらにボディ改造から塗装まで、1人でコツコツ仕上げるところから生まれる 「職人の味」 を “売る” こと。

 「たぶん、全国のビルダーの中で、現場に関わる時間でいえば、私は一、二を争う働き者だと思いますよ」
 と池田さん。

 毎日8時間。
 それを1年300日、休むことなく自分の手を使い、働き続けた。
 その歴史が30年あるということは、これまでの累積労働時間数が7万2,000時間。

 「それだけの経験を積めば、職人としての腕を売り物にしたって、少しは許されるでしょう」
 と池田さんは笑う。

 彼はその “職人の腕” に、さらにカヌー、ダイビング、キャンプ、焚き火 (?) などのアウトドア体験をプラスして、自分のクルマを練り上げてきた。

 もともと、バックパックに荷物を詰め込んで、山登りやヒッチハイクの旅を楽しんできた人である。
 今回の 「ホワイトカントリー」 も、そんな自分の生き方の原点に戻った “作品” なのだそうだ。
 モンベルのエアマットを使うというのも、荷物をコンパクトにたたんで収納するバックパッカーの習慣をそのまま反映したもの…だとか。

 今度の 「ホワイトカントリー」 は、そのようなライフスタイルを貫いてきた池田さんの原点でもあり、同時にその集大成だという。
 「サイズ」 は軽でも、 「志」 は巨大モーターホーム。
 そんなクルマだと言いたげに、電話の向こうの声が、明るく笑った。



campingcar | 投稿者 町田編集長 21:20 | コメント(0)| トラックバック(0)
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