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春の物憂さ

 天気が良いのに、1日部屋から出ずじまい。
 家でずっと仕事をしていました。
 
 自宅のパソコンで原稿を書いて、会社の自分のパソコンにメールで飛ばす。
 そんなことを1日繰り返して…。

 ときどき外を見ると、「春」 なんですね。

 春って、昔から淋しい季節だと思っていました。
 ポカポカと温かくなって、みんな陽気に外に出て。

 しかし、外に出て浮かれる材料のない人間にとっては、誠に辛い季節です。

 春の物憂さ。
 別に花粉症の人じゃなくても、春って、本当はやるせない季節なんだと思います。

 春霞が漂う野辺は、のどかなようだけど、どこか頼りなくて、はかなくて。

キリコの絵

 春眠暁を覚えず

 いくら寝ても、寝たりないような。
 それでいて、うっかり寝ると、とてつもない時間がいつの間にか奪われてしまうような。

 生命力の旺盛な夏
 透明度の高い秋
 峻厳な冬

 他の季節には、みな個性があるというのに、春って個性がない。
 捉えどころのない、不思議な季節です。
 
 冬に死んだ生命が復活する季節などと、文学的な表現を許すところもありますが、それって、生命でもなく、非生命でもない、不思議な 「命」 がうごめいているということでしょ? 

 春というのは、どこか、とりとめのない不安をこっそり宿している季節ですね。

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:46 | コメント(11)| トラックバック(0)

ニュース24時特番

《 ニュース24時 特番 》
「コンスタンチノープルの戦い」

 【司会】 こんばんは。「ニュース24時」 の時間がやってまいりました。

 今日はですね、先ほど臨時ニュースでお伝えしたように、ついにキリスト教側とイスラム諸国が事実上の交戦状態に入った事件を中心に、放送時間を延長してお伝えしようと思います。

 解説には、関東関西大学の町田先生にお越し頂いておりますが、その前に、まず、状況がどうなっているのか。そちらの方から先お伝えしたいと思います。

 ええ、コンスタンチノープルには、河村記者が行っております。
 河村さん、そちらの様子を教えてください。

海峡

 【河村記者】 はい、今私はですね、カリシウス門から入った近くのセントソフィア大聖堂の前にいます。眼下に見下ろせる金角湾からはですね、今日はしきりに船が往来しています。
 首都防衛にかけつけたキリスト教側の戦闘艦と、首都に穀物などの食料を運び入れる輸送船がせわしく湾内を行き来しています。

constan20

 先ほどから教会の鐘が鳴り響き、セントソフィア寺院には、首都防衛を祈願するたくさんの市民が集結し、朝から礼拝に余念がありません。

 たった今ですね、ヴィザンチン帝国の皇帝コンスタンティヌス11世ほか、イシドロス枢機卿、ほかヴェネツィア大使、ジェノバの代官らも交えた作戦会議が催された様子です。

 会議の詳細は分かっておりませんが、初代のコンスタンチン大帝以来1,100年続いたこの歴史と伝統ある街を守り抜くために徹底抗戦を貫くという方針が定まったようです。

コンスタンチノープル城壁1

 今日は朝から、防壁の上も相当混雑しておりまして、城壁の上に設置された大砲で使う弾丸が、しきりに運び込まれています。これには兵士のほかに、一般の市民も協力している模様です。
 先ほどからですね、私の回りにも、城壁の階段を物資を運ぶ人々の姿が動きを早めています。

 ちょっと市民の声を聞いてみたいと思います。
 
 「ああ、ウンベルディアノクレス、アラ、モラビアータ、ウン、ポンドゴレス、メゾ、ソフォン、クレ?」
 「ディアメゾン、ゴランヴィラクレメンソ、ゴナ、ミノレット、トレヴィザン」
 「フラゴナ、ゴメ、プリメラゾン?」
 「ジャガ、メンドゥーサ、オモン、ゴラン」

 ええ、今私は城壁の上に武器を運び上げようとしていた市民のひとりにインタビューしてみましたが、彼が答えるには、
 「この町は、今まで一度も陥落したことがない。今回も、我々は町を死守するつもりだ。神が私たちを見放すことはないだろう」

 こう言い残して、市民のひとりは城壁の上に武器を運んでいきました。

コンスタンチノープル城壁2

 このようにですね、コンスタンノープルを守る市民たちの士気はかなり高そうです。

 先ほどですね、キオス島を本拠地としたジェノバの将軍シュスティアーニ率いる500のジェノバ兵が2隻の軍船で到着しまして、市民に歓呼の声で迎えられ、市民の表情は意外と明るい表情に包まれています。

ガレアス船

 現在金角湾には、ジェノバ艦隊のほかヴェネツイアの大型ガレー船5隻も金角湾に集結しておりまして、海軍力に関してはトルコ軍より上との評判もありますので、ヴィザンチン側はこの海軍力を結集して首都の防衛に力を注ぐ意向のようです。

 しかし、市民の中で戦える男子も含めましてヴィザンチン側の守備兵力は7千人しかおりません。
 このあたり、人海戦術を展開するであろうトルコ軍に関して、どこまで町を防衛できるのか。
 ヴィザンチン側に与えられた厳しい条件をどうクリアするのか。その辺の課題はいまだ解消されてはおりません。
 
 …………………………………………………

 【司会】 さて、いっぽうアドリアノープルを出発したトルコ側の様子を伝えてもらいましょう。
 アドリアノープルにはバッキー記者が行っております。

 バッキーさん、…バッキーさん。アドリアノープルの様子はどうでしょうか。

 【バッキー】 はーい、こちらは今まるでお祭りのような騒ぎに包まれています。
 私は今、アドリアノープルの宮殿前広場におりますが、もうスルタン出征の様子を一目見ようという市民がですね、朝から広場を埋め尽くして、歩くこともできない状態です。

城壁の門

 今日は1日中軍楽隊が景気の良い行進曲を奏で続けていまして、それに市民の歓声、そして軍馬のいななきが混じりまして、ちょっと人々の話す声も聞き取れない状況です。

 今私の目の前にですね、イザク・パシャ率いるアナトリア軍団が行進中です。
 このアナトリア軍団というのは、トルコ軍の中でも正規軍団だけに、全員が赤いトルコ帽に装備を統一して、一糸乱れぬ行軍を続けております。

オスマン・トルコ軍楽隊1

 実はですね、このあとトルコ軍の誇る最新のハイテク兵器が登場するとあって、市民たちはその話題で持ちきりです。

 なんでも、ギリシャ人の技術者であるウルバンという人が設計した砲身が8mにも及ぶという巨砲でありまして、その射程距離は1㎞という超ハイテク兵器だそうで、30頭の牛と700人の兵士の力でやっと動くという、恐るべき大型大砲だということです。
 軍事大国であるオスマン・トルコの恐ろしさを示す新兵器もこれからお目見えする予定です。

 あ、今ファンファーレが鳴り響きまして,人々の歓声が一段と高まりました。
 あ、いよいよスルタン,マホメッド2世の登場のようですね。
 お聞きください。割れんばかりの大歓声です。

オスマン・トルコ軍楽隊2

 ああ、宮殿の門からイエニチェリ軍団が出てきました。
 スルタンの親衛隊といわれるイエニチェリが、白いフェルトの帽子に緑色の上着を着て、肩に弓を抱えて行軍してきます。

 スルタンの親衛隊といわれる無敵のイエニチェリです。 
 全員が白のトルコ式ズボンに、ベルトに半月刀を差し込んで、見事な隊列を組んでやってまいります。
 
 実に整然とした行進です。
 兵士の背たけも、まるで物差しで計ったように、同じぐらいの背たけで統一されてですね、まるで機械仕掛けの兵隊のように、見事に同じ歩調で歩いてやってまいります。

 弓を抱えた兵隊の後ろは、槍を抱えた部隊が続いております。
 すごいです!
 槍の穂先がきらきら輝いて、まるで銀色の林が動いているようです。

 その周りをですね、赤字に白の半月を染めたトルコ国旗が何千、何百とはためています。世界帝国をめざすオスマン・トルコの威信をかけたイエニチェリの行進が、いま私の前を進んでいます。

トルコの旗

 あ、いよいよスルタンの登場のようですね。
 あ、来ました! 来ました! 
 イエニチェリ軍団の中央を、白のマントに白のターバンを巻いた若者が颯爽とした馬に乗って姿を現しました。

 オスマン・トルコの若い君主、マホメッド2世の登場のようです。
 白く輝くばかりの純潔アラブ馬にまたがっております。少し顔を高潮させながらも、まっすぐ前を向いたまま堂々とした手綱さばきでこちらに向かってきます。

スルタン騎馬像

 沿道の歓声が一段と高まっています。
 私の隣にいて手を振っている老人が、しきりに大声で声援を浴びせています。

 ちょっと声を聞いてみましょう。

 「スルジュ、スル、デウシメル、アナドルアースゥ、メクテプ、メドレセ?」
 「エフェエンディ、フェイズスッラア、イジャーゼット、ギュルババル、コンスタンチノープル、アスケリ、レアラー」

 ええ、今日の日を心待ちにしていたんだ。神がコンスタンチノープルを我々にお与え下さるのは間違いのないことだ。今日は我々にとって永遠に記念として残る日になる」

 ええ、私の隣の老人はこう答えています。
 それでは、アドリアノープルからの実況をひとまず終りにします。

【司会】 バッキー記者どうもありがとうございました。
 ここでひとまずお知らせをはさんで、なおもこの事件の報道を続けたいと思います。
 
 ………………………………………………………

 【司会】 それではですね、この戦闘がどういう方向に向かうのか、今日は軍事評論家の関東関西大学の町田先生にお伺いしたいと思います。

 先生、いよいよオスマン・トルコのモハメッド2世がアドリアノープルを出発したわけですが、今後どういう展開が予想されるのか、そのあたりをお聞かせ願えますでしょうか。

 【町田】 ええ、僕はねぇ、この戦い相当長引くと思いますよ。
 確かにトルコ軍は準備万端整えて、おそらく一挙にコンスタンチノープルを陥落させようと思っているでしょうが、この都市は非常に堅固な城壁を持っておりまして、今まで正攻法の攻撃では一度も陥落したことがないんですね。
 だから、今回も持ちこたえるような気がしてならないんです。

コンスタンチノープル城壁1

 僕はねぇ、場合によっては、ヴィザンチン側が、きわめて有利な条件で講和を結ぶという決着を迎えると感じているんですがねぇ。

 【司会】 はぁ、なるほど。その根拠はどういうところにあるのでしょうか。
 【町田】 まぁ、この戦いそのものが理屈の通った戦いではないんですね。
 トルコ側にコンスタンチノープルを落とす理由が実はないんですな。

昔のコンスタンチノープル
 
 まぁ、現在コンスタンチノープルというのは、確かにキリスト教側の象徴的都市のひとつでありまして、それを落とすことがイスラム側から見ればひとつの大きな意味をもたらすようにも見えるかもしれません。

 しかし、実際この町は東西貿易の要としてですなぁ、この町が存続することによって、トルコ側も十分な恩恵を得ているんですな。

 要するに、この町はですねぇ、ヴェネチアやジェノバの商人が事実上交易の拠点として巨額な貿易取引を行っておりまして、その富がトルコ側にももたらされているわけなんですね。

 それをトルコが直接支配したとしても、交易のノウハウを持たないトルコでは、現在の交易水準を維持できないわけで、それは経済的にみれば、むしろトルコにとってマイナスなんですな。

メフメト2世と重臣

 【司会】 そのへんトルコ側はどう思っているんでしょうか。
 【町田】 トルコ側にも、ハーリル・パシャという、わりと開明的な大臣がおりまして、もともと彼は今回の軍事行動には反対の立場を示しておりますから、戦いが硬直状態に入ってくれば、彼を通じてヴィザンチン側との講和が生まれる可能性もあると、僕は見ているんですがね。

 【司会】 分かりました。今日は緊迫したアナトリア半島の様子を実況を踏まえてお送りいたしました。
 「ニュース24時」 は、この後もスポーツニュースをはさんで、この状況の推移をお伝えするつもりです。ひとまず皆さんとお別れします。

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:25 | コメント(0)| トラックバック(0)

新聞報道の仕掛け

 3月11日 (火曜日) 売りの朝日新聞13面に 「再出発、キャンピングカーで」 というタイトルで、キャンピングカーに関する記事が掲載された。
 
 「キャンピングカーが売れている。国内の自動車販売が落ち込む中、キャンピングカーは少なくとも3年連続で前年を上回る人気だ」
 という内容である。
 「第二の人生を楽しもうという団塊世代にうけている」
 とも解説されていた。

お台場会場ゲート
 ▲ キャンピングカーショー会場

 当日、会社に泊まりこんでいたので、自分の目でその記事を読むことはできなかったが、知人が教えてくれた。

 やったな!
 と思った。

 仕掛けが当たったという感慨を持った。

 もともと、その記事の元になる原稿は、私がこのブログ用に書いたものだった。
 それをUPする前に目にした知人のイベント業者が、
 「それ、ブログに発表するの待った! ネタになります。プレスリリースとして各報道機関に流しましょう」
 と言ったのである。

 彼は、マスコミ相手のプロモーションに長けている人間なので、何をどう訴えればマスコミが飛びつくかということをよく心得ていた。

 彼の意見を入れて、記事そのものをプレスリリース用に書き直し、彼が仕切って、その原稿は各メディアに発送された。
 そのひとつが朝日新聞の記者の目にとまり、日本RV協会に取材が入り、記事として公表されることになった。

 プレス用の記事としてリライトしている段階で、何度か彼の指示を仰いだ。
 さすが、マスコミ慣れしている人間は違う。
 記事の一語一語に対し、メディアの人間ならば、こういう表現の方が興味そそる、というようなことをアドバイスしてくれる。
 
 主観をなるたけ省く。 
 正確な数字だけをしっかり連ね、その数字が出てくる根拠を、むしろメディアの人たちの想像力に預ける。
 
 そんなことを指導された。
 勉強になった。

 リリースを流し終わった段階で、元になった原稿をようやくこのブログにもUPした。
 そちらは、主観を交えた記事構成にしてある。
 個人のブログだから、それは許されるだろう。

 新聞などにひとつの記事が取り上げられる前には、そのネタを仕掛けて人たちの影の働きがある。
 そこに関与できたというのは、面白い経験になった。
 
 関連記事 「車が売れない時代」

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 02:16 | コメント(2)| トラックバック(0)

ムーンライト

《 掌編小説 「ムーンライト」 》

 「もし、今晩8時までに、あなたの部屋へ行ったなら…」

 そこで彼女は言葉を切った。
 そして目を伏せたまま、
 「そのときは、あなたの気持ちを受け入れたと思って…」
 と、消え入りそうな声でつぶやいた。

 僕は、喉がからからに渇くのを感じた。
 「…待っている」
 そう答えるだけで精いっぱいだった。

 授業が始まるチャイムが鳴っていた。
 彼女は哲学の講義ノートを抱え直すと、キャンパスの芝生の上を走っていった。
 
 グリーンの上に跳ねる白いスニーカーが遠ざかっていくのを見守りながら、
 僕は、「やった!」 という気持ちと、
 「でも、そんなはずが…」
 という疑問の両方に、身体が引き裂かれるのを感じた。

 でも、思い悩んでいてもしょうがない。
 彼女が僕の愛を受け入れてくれたときの準備だけは必要だ。

 とにかく、午後は授業をサボっても、部屋の掃除だ。
 ワインを。
 いや、シャンパンを。

 それよりも、まずビール。
 そして、テーブルの上にはバラの花を。


 いったい、どれだけの男が彼女に恋焦がれたか分からない。
 彼女が軽音楽部に入ってピアノを弾き出して以来、僕も含め、メンバーは全員彼女にイカれてしまったし、彼女のいる哲学科では、教授ですらラブレターを送ったという噂すらある。

 でも、彼女はどの男の誘いにも、ついに乗ることがなかった。

 むしろ男に誘われれば誘われるほど、ますます悲しそうになっていった。
 みんなが帰ったクラブの部室で、月の明かりを頼りに、独り淋しそうにピアノを弾いている彼女を、僕は何度目撃したか分からない。

 「あの女、月からでも来たかぐや姫じゃないか?」
 
 いつ頃からか、男たちはそう言い合うようになった。
 
 「地上の女じゃないぜ、あれは…」
 「人間なら、これだけの男から言い寄られば、どこかで気に入った相手を見つけるはずだぜ」

 8時30分。

 …やはり彼女は来なかった。

 僕は、彼女が訪ねてきたときの2人だけのディナーのためにとっておいたビールの栓を開け、テーブルの上に足を投げ出して、ラッパ飲みをした。

 窓を開けると、目の前に見事な満月があった。
 まるで約束した訪問者のように、月は僕の真正面に昇ってきて、涼しげな光りを投げかけたきた。

ムーンライト

 その瞬間、部屋の中のすべてのものが、待ち焦がれたように、青白く、生き生きと輝き出した。
 本棚が、ギターケースが、食器棚が…。
 そしてバラの花が、待っていた遠方からの客を迎え入れるかのように、華やいだ光りを放ち始めた。

 「そうか。やっぱり来てくれたんだね」
 
 僕は納得して、ビールの瓶を “彼女” に向かって高く掲げた。

 「乾杯! ようこそ僕の部屋に」
 
 
 ※ 昔、ハートランドビールのPR誌 『HEATLAND JUNCTION』 の創刊準備号のために書いた原稿
 
 
コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 02:02 | コメント(4)| トラックバック(0)

ちょんまげコント

《鬼退治》

犬・猿・キジ 「わぁーい、桃太郎さん! 鬼退治に連れていって!」
桃太郎    「よしよし。殊勝な心がけじゃ。首尾よくいったらキビ
        団子をあげよう」
犬・猿・キジ 「なんか話が違うなぁ…。キビ団子は行く前にくれるん
        じゃなかったの?」
桃太郎    「キビ団子は成功報酬じゃ。成功する前から報酬を出す
        なんて契約は、最近はないぞ」
犬・猿・キジ 「わかったよ。で、鬼とどうやって戦うの?」
桃太郎    「寝込みを襲うんだ。皆殺しだ! でも美しい女の鬼は、
        裸にして縛って、風俗に売りとばす。儲かるぞぉ!」
犬・猿・キジ 「…やっぱ、俺たちここで帰ります」


《水戸黄門 最後の旅》

黄 門  「これ、悪人たち、この “葵の御紋” が目に入らぬか!
      ふにゃふにゃ…」
悪人たち 「お客さん、そりゃ困りますぜ」
黄 門  「助さん角さんや、葵の御紋も通じない時代になったん
      かの? ふにゃふにゃ…」
助・角  「おそれながら、船着き場では印篭を見せるより、やは
      り、船賃を払われた方がよいかと思われますが…」
黄 門  「昔と違って、ずいぶんせちがらい世の中になったもん
      じゃのぉ…」
助・角  「違うだろ!」

葵の印籠


《三河屋》

代 官 「おい“三河屋”。最近、“越後屋” の様子がおかしい
     と思わぬか」
越後屋 「おそれながら、手前どもは“越後屋”でございます」
代 官 「おっとそうか。では “越後屋” に聞くが、最近 “三河
     屋” の様子がおかしいと思わぬか」
越後屋 「おかしいとは、どのような意味でお尋ねでありましょ
     うや?」
代 官 「わざと店の名前をあやふやにして、まぎらわしくさせ
     ている気配がある」
越後屋 「………」
代 官 「そうは思わぬか? “三河屋”」
越後屋 「思いませーん!」


ちょんまげコント 1
ちょんまげコント 2

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 23:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

マニュアルの功罪

 ある対談集で、演出家の野田秀樹氏と、サッカーライターの金子達仁氏が、こんなことを語り合っていた。

 「若い子を集めて芝居のオーディションをやったんです」
  と、まず野田氏が語る。

 「…そうしたら、とにかくみんないい子だった。僕が大きな声を出してくれと言うと、必死になって大きな声を出すんだもん。
 僕が俳優の立場で同じことを言われたら、絶対にものすごく小さな声でしゃべると思う。
 でないと、みんなと一緒になっちゃって、アピールできないじゃない?
 自分から何かを仕掛けるクセがないというのかなあ、今の若い人たちにはすごく無防備な素直さみたいなものを感じる」

 野田秀樹氏は、そういって、日本の若者たちの 「個」 の希薄さを憂う。
 彼は、その原因のひとつに、『ピア』 から始まったマニュアル文化の浸透があると指摘する。

 「たとえば、京都に行くとすると、すでに情報誌がいっぱいあって、どこに泊まって何を食べたらいいかが全部書いてある。
 ホントだったら、知人に聞くなり地元の人に聞くなりっていうコミュニケーションが必要になってくるはずなんだけど、マニュアルがあれば、そういうのが一切不要になっちゃう」

 ここで野田氏が 「マニュアル」 というものを持ち出してきたのは、なかなか慧眼だという気がする。

 そもそもマニュアルとは何なのか?

 それは、作業現場の指導者が、指導に関するコストの削減と、業務の効率化を促進させるために考えついたものにほかならない。
 指導者がいちいち生徒と質疑応答を繰り返して業務内容を修得させていくのは、はなはだ非能率的である。

 そこで、教育期間を十分に与えることのできない未熟者に、熟練者と同じ仕事内容を達成させるために考案されたものが、マニュアルである。

 それは、意味を問うことなく、命令だけが細目化された体系といっていい。

 もともとが、未熟者のあやふやな意思決定を排除するためのものなのだから、マニュアルの世界には、「個人」 が入ることが最初から許されていない。

 金子氏は、野田氏のインタビューを追えた後の感想にこう書いている。

 「人間が、自分の感情なり経験に基づいて他人に何かを伝えようとしたら、伝えられた側は “なぜこの人はそう言うのだろう” と考える。
 そこで想像力が鍛えられるし、この世には、自分と違った考え方をする人間がいるということを、当たり前のように実感することができる。
 だが、マニュアルは想像力を刺激しない。
 以前よりはるかにマニュアルというものの増えた社会で生きる日本人が、以前と比べると想像力を失っているのも無理からぬことだと思う」

 「マニュアル」 に対して、「レシピ」 が必要だと金子氏はつけ加える。

 「ハンバーガーショップにはマニュアルしかない。しかし、一流のレストランにはレシピがある。
 マニュアルは、作り手の想像力や個性の介在を許さない。いつ誰がつくっても同じものができるようにとの狙いによって生まれたものだからである。
 レシピは違う。
 優れたレシピは、素材のバラつきを補い、いつもと同じ味を提供するために必要な作り手の経験と想像力を要求する」

 マニュアルとレシピ

 言葉の遊びのように取る人がいるかもしれない。

 しかし、市場原理主義的な経済がますますその隆盛を極め、格差社会が明瞭な広がりを見せ始めている今日、その違いを意識することは重要だ。

 生き残りをかけた各企業は、仕事の効率化を図るために、ますます人間の “マニュアル化” を進めていくだろう。

 私たちは、レシピを持たなければならない。

フィギア2
コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 00:24 | コメント(6)| トラックバック(0)

カミングアウト

 以下の話は、食事中の人、ないしは想像力の活動が過度に活発な人には、この先を読むことを勧めない。
 この忠告を無視して、読まれてしまった方が、その後どのような心理的、生理的苦痛を感受しようが、それに対して当方は責任を取らないので、心して対処していただきたい。

 で、何の話かというと、肉体的欠陥に対する個人的なカミングアウトだ。
 
 誰にでも、肉体的な欠陥というものがある。
 私にもある。
 足だ。

 「短い?」
 それは言われなくても、分かっている。

 そういう構造的な欠陥ではなく、生理学的な欠陥というものを抱えている。
 「油足」 とでもいうのか。
 年中足が、熱気と湿気と油っ気を持って、熱く火照っている。
 靴など半日履いているだけで、冬でも、足がブロイラー状態になっている。
 
 で、靴下を脱ぐと、その靴下自体が、すでに真夏の運動場で100mダッシュを繰り返したときのトレーニングシャツのように、大量の水分を含んで重くなっている。
 絞ると、タラタラと汗が床にこぼれ落ちる。

 そのときの臭気には、さすがに自分でも耐えられない。
 うちの犬などは、それをめがけて突進して来て、くんくん臭いを嗅ぐばかりでなく、場合によってはなめる。

 実に下等動物だ。 
 だから、あれらの四足動物は、永遠に 「文化」 を持つに至らないのだろう。

 このような足と付き合うからには、それなりの覚悟が必要だ。
 会社で寝泊りしながら、仕事をしているときなど、3日目ぐらいから、足対策が最大の課題となる。

 寝る前には、「アルコール除菌ウエットタオル」 などというもので、丹念に指裏の油分を擦り取る。
 しかる後、空気に触れさせて乾かせてから、指がそれぞれ分離する 「5本指ソックス」 に履き替える。
 それでも、一晩寝ると、もう5本指ソックスですら、指の間に溜まった汗と油を吸って、クラゲみたいにぶよぶよしている。

 なまじ、5本も指がある不思議な形のソックスなので、ぶよぶよ状態で摘み上げると、新種の生物でも発見したような感動がある。

足対策セット
 ▲ 足対策3点セット

 このような、高温多湿系の足というのは、水虫などとも相性がいい。
 で、水虫が発生してくると、これが厄介だ。

 もともと、水虫は嫌いではない。
 独身時代、アパートに戻ってきて、誰もいない部屋の電気をつけるときに、妙に寂しいものを感じたが、水虫が痒いと、とりあえず一刻も早く靴下を脱いで、指を掻きたいので、そういう寂しさを忘れることができた。

 だから、水虫には恩がある。
 
 しかし、今はそうも言ってはいられない。
 掻くと気持ちがいいので、そっちに気をとられると、仕事に集中できない。
 でも、掻かずにいられないので、ついつい掻いてしまうから、皮が剥けて赤肌状態になる。
 こうなると、今度は、痒いけれど、掻くと痛いので、掻くわけにはいかない。
 
 どうしたらいいのやら…。
 
 風呂に入って、皮膚科に行けばいいだけの話なんだけど、その時間が取れない。

 気持ち悪くなった?
 
 だから、言ったじゃない、最初に。
 「この先は読むな」 って。

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:09 | コメント(4)| トラックバック(0)

拳銃の報酬

《 昔の映画の現代的鑑賞法 8 》
「拳銃の報酬」


 小さい頃、何度か親父に映画に連れていったもらったことがある。
 しかし、記憶に残っているのは、この一本しかない。

 『拳銃の報酬』
 原題は、「ODDS AGAINST TOMORROW (明日に賭ける)」
 ギャング映画だ。

拳銃の報酬DVD

 お袋が、
 「あなた、家の中でごろごろしていないで、休日なのだから、子供を遊園地にでも連れて行ったら」
 などと、親父を焚きつけたのだろう。

 お袋がこのように指示を出さないかぎり、親父は、子供に対しては不器用な男であり続けた。

 私たちは、人もまばらな午後の電車に揺られて、新宿に出た。

 「ピストル映画でも観るか?」

 親父にとって、ギャング映画も西部劇も、みな “ピストル映画” だった。

 彼が、本当にそういう映画を好きだったのかどうか、分からない。
 たぶん、子供はみな、ピストルを撃ち合う活劇映画を好むはずだ…ぐらいの認識だったのだろう。
 
 私は、素直な笑いを顔に浮かべたかどうか。
 なにしろ、どんな会話を交わしたことやら、とんと思い出せない。
 おそらく、2人ともぎこちなく並んで歩いていただけだと思う。
 日頃、子供と遊ぶ時間が取れない親父の、思いっきり不器用な休日だった。

 当時の新宿は、まだ田舎臭かった。
 新興都市の猥雑さはあっても、田舎の寂しさがたぶんに残っていた。

 それでも、東口には中村屋があったり、紀伊国屋書店があったりして、それなりに活気があった。
 しかし、西口には発展のかけらもなく、駅前に居酒屋や喫茶店があったかと思うと、そのままダラダラととりとめもなく住宅街につながっていた。

 高層ビルなどは陰も形もない。
 夕空を飛ぶカラスが、そのまま山にでも帰っていくような景色が広がっていた。

 商店街が途切れる一角に、「場末」 という言葉がぴったりの映画館があった。
 
 『拳銃の報酬』 という看板がかかっていた。
 親父にとって、おあつらえ向きの “ピストル映画” だった。

 休日の物憂い午後。
 客の入りもまばらだった。


 このとき観た 『拳銃の報酬』 は、後に 「フィルム・ノワール」 の傑作とまでいわれるほど、マニアックなファンの間で評判となった。
 
 監督は、ロバート・ワイズ。
 後に、「ウエストサイド・ストーリー 」、「サウンド・オブ・ミュージック」 の監督として知られることになる。

 主役は、黒人歌手のハリー・ベラフォンテと、白人俳優のロバート・ライアン。
 この2人が、元警察官の老人の仲介により、銀行強盗の仲間としてタッグを組むことになる。

拳銃の報酬1

 ハリー・ベラフォンテの役は、キャバレーの歌手。
 しかし、彼は、別れた妻子への生活費の支給も思うようにいかず、競馬の借金もかさんで、暗黒街のボスから、「金を返さないと妻子に危害を加える」 と脅されている。

 一方のロバート・ライアンは、殺人の前科があるため就職も思うようにいかず、情婦に養われながら鬱屈した日々を送っている。

 金が欲しくてうずうずしている2人。
 (というよりも、今の状況から抜け出したくて仕方がない2人)
 そういう状況を察した元警察官の老人が、彼らに銀行強盗のアイデアを持ちかける。

 しかし、ロバート・ライアン演じる中年男は、大の黒人差別主義者。
 「黒人が仲間に加わるなら、俺はやらない」
 と、老人に駄々をこねる。

 一方、黒人のハリー・ベラフォンテは、そういう人種差別主義者に、激しい憎悪を燃やす。

 最初から、波乱含みの人選なのだが、この計画には、どうしても黒人が加わる必要がある。

拳銃の報酬2

 つまり、狙った銀行は、6時になると数人の従業員を残しただけでシャッターを閉めてしまうのだが、その15分後には、レストランから運び込まれる夜食を仕入れるために、一瞬だけ裏口を開ける。
 その夜食を届けるのが、いつも決まった黒人の給仕。

 ハリー・ベラフォンテがそいつに成りすまして、開いたドアをからまんまと銀行に入ってしまおうというのが、元警官の老人が立てた計画だったのだ。

 計画は、結局ロバート・ライアンの人種差別が災いして、破局に至る。

 しかし、子供心に、ものすごく印象に残った映画だった。
 モノクロームの映像と音楽がよかった。

 音楽を担当したのは、MJQ。
 ピアニストのジョン・ルイスが、わざわざこの映画のために、テーマ曲 「ODDS AGAINST TOMORROW」 を書いている。

odds against tomorrw MJQ

 そんなことを知ったのは、ずっと後のことだが、たぶんこの映画で、私はジャズという音楽を初めて意識したことになる。

 それは、子供が知らない大人の世界を感じさせる音楽だった。
 この映画が、とても強い印象として残ったのは、人種差別という社会派的なテーマとは関係なく、
 「ああ…大人って辛いんだ」 という思い。
 「生きることって、悲しいんだ」 という思い。
 でも、大人の辛さと悲しさには、「陰影がある」 といったような、様々な思いを抱いたからだ。

 それは、コントラストの強いモノクロの映像と、クールなジャズの響きがもたらしたものだと思う。

 音楽が画面に及ぼす支配力は強い。
 買い物客であふれるニューヨークの映像も、ワルツでも流れていれば、人々が舞踏を楽しんでいるように見えるだろうが、クールなジャズがかかると、華やいだ人々の笑顔の裏に、けだるい孤独が浮かび上がる。

 都会に生きる人間の、砂を噛むようなやるせなさ。
 同じ生活が続いていくことの、とりとめのなさ。
 今の生活から脱出したいという、身をよじるような焦燥感。

 そういう主人公たちの切実感が、テーマ曲 「ODDS AGAINST TOMORROW」 の暗い甘さとともに、胸の奥にまで忍び寄ってきた。

 映画を観終わった後、私と親父はどうしたのだろう。
 中村屋にでも寄って、カレーでも食べたのだろうか。

 親父が、この映画をどう思ったか分からない。
 たぶん、映画の感想を語り合うほど、私は言葉を持っていなかったし、親父の方も、なにがしかの感想を抱いたとしても、それを子供が理解するとは思っていなかっただろう。

 だいぶ後になって、私はこの映画のテーマ曲の入ったMJQのアルバムを手に入れた。
 自分がジャズというものに最初に触れた、記念すべきアルバムだと思ったからだ。
 しかし、私は、この映画のこともテーマ曲のことも、親父の前で話すことはなかった。
 
 アルバム自体は親父が死んだ今も、時々、思い出したように聞く。
 自分で買ったアルバムなのに、親父からのプレゼントであるように感じることがある。

音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 00:07 | コメント(2)| トラックバック(0)

シド&ナンシー

《 昔の映画の現代的鑑賞法 7 》
「シド・アンド・ナンシー」


シド&ナンシーDVD

 1970年代半ば、パンクロックが生まれて、ニューヨークとロンドンのロックシーンが大きく変わろうとしていた頃、私は 「聞く音楽」 をなくしていた。
 大好きだった黒人ソウルミュージックは、次第に商業色の強いディスコ・サウンドに侵食され始め、音楽というより、踊りのBGMとしての性格を強めていた。

 かといって、パンクは嫌いだった。
 ビートルズ、ストーンズからツェッペリン、CSN&Y、バンド、サンタナなどをすべてデビュー当時からフォローしていたつもりの自分にとっては、パンクは 「音楽」 ではなかった。

 しかし、あの時代、もしビートルズもストーンズもツェッペリンも知らず、かつ、「音」 としてよりも 「映像」 から先にパンクに入っていたならば、私はパンクの虜 (とりこ) になっていたかもしれない。

 セックス・ピストルズのライブを初めてテレビで見たのは、もう彼らが解散した後、80年代に入ってからである。

 安っぽいクラブの貧相なステージで、ジョニー・ロットンが観客をあざ笑うかのようなおどけた目つきで、ツバを吐きながら、猥雑な歌を叫んでいた。
 彼らの動作は、単純に上下に飛び跳ねるだけの硬直したジャンプか、地を這うような蛇ダンス。
 これでもか、これでもか…とばかりに、ひたすら観客を挑発しているだけのようにも思えた。

セックスピストルズ1

 でも、それが新鮮だった。
 たとえ、ビジネス志向のロックバンドのステージと差別化を図るための演出だったとしても、やはり、紛れもなく新しいもの生まれていたんだ…という実感を強く持った。
 大人たちを不快にさせたといわれたファッションも、基本的にはシンプルなもので、むしろ爽やかさがあった。
 下品なパフォーマンスにも、おし隠せない “ういういしさ” があった。

 あ、いいな…と、ぼんやり思った。

 その映像を見ていたのは、すでに感性もカラカラに乾ききった中年の私だったが、もし、ここにいるのが15~16歳頃の自分だったら、完全に向こう側に行っていただろうと想像できた。

 ただ、映像を伴わない音として聞いたときはどうか。

 私は、テレビのスピーカーから流れてくるサウンドを、
 「けっこうカッコいい音を出していたな!」
 と感心はしたけれど、それが、映像を伴わない音だけの場合、いま受けた感激をそっくり得られるかどうかは、自信がなかった。

シド・ヴィシャス
▲シド・ヴィシャス

 『シド・アンド・ナンシー』 は、そのセックス・ピストルズの伝説的なベーシスト、シド・ヴィシャスとその恋人ナンシーが、ヘロインの吸引を繰り返していくうちに身を滅ぼしていくという、ふたりの破滅に至るまでの短い人生を描いたドラマだ。 (※ シド・ヴィシャスの役をゲーリー・オールドマンが演じている) 。

 シド・ヴィシャスは、ベーシストとしてセックス・ピストルズに参加しながらも、ベースが弾けなかったらしく、彼のステージではプラグがアンプにつながれたことはなかったと言われる。
 しかし、ステージ上のパフォーマンスを含め、まさにパンクの 「精神」 を体現したような生き様を貫いたおかげで、死後 「伝説のアーチスト」 になった。

 劇中、ステージでの演奏シーンがある。
 それを見るだけで、日本のJ・ロックといわれるものが、いかにパンクの影響を受けていたかということが分かる。

 ダルで、投げやりで、それでいてエキセントリックな挑発性を秘めた演奏スタイル。
 機械仕掛けの人形のような動き。
 ヘタウマギターというより、はっきりとヘタヘタを目指したようなギター。
 3コード中心の縦揺れリズム。

 80年代から90年代における日本のロックシーンには、こんなバンドが満ちあふれていた。
 そして、その流れは今も続いている。

セックスピストルズ3

 芸術運動でいえば、パンクはダダイズムだ。
 ダダイズムは美術史のなかでは大きなムーブメントとして取りあげられるが、誰もその代表的な作品を挙げられない。
 パンクも、演奏スタイルではロック史のターニングポイントとなったが、その代表曲は、彼らと寄り添うことができたコアなファンしか挙げられない。

セックスピストルズ画像

 どちらも、後世に作品を残すという発想から決別したのだから、それは当然の帰結であったろう。
 逆にいえば、「作品を残す」 などというさもしい根性にまみれなかったからこそ、彼らは今でも爽やかであり、偉大なのだ。

 この映画に出てくるシドとナンシーという恋人たちも、ふたりの生き様を後世に伝えるなどという意識をこれっぽっちも持つことなく、最後は静かに画面の外に消えていく。

 芸術家 (アーチスト) が私生活で身を滅ぼしていくというテーマは、映画やドラマの格好のネタのひとつである。
 アルコール中毒で死んだアメリカのE・A・ポーや、同性愛で逮捕されたオスカー・ワイルドなど、欧米には 「破滅」 が勲章となるような芸術家がたくさんいる。

 しかし、シドは、ここでは芸術家として描かれてはいない。
 幼児の感性のまま、身体だけ大人になってしまった未熟な人間として描かれている。
 恋人ナンシーも、幼児の脳のまま成熟してしまった女性だ。

 だから、「反・社会的」 という自覚もなしに、無意識に 「脱・社会的」 な生き方をしてしまうふたり。
 何ごとも、ふたりの快楽がまず優先。
 レコード会社も、ステージも、お客もクソくらえ!
 明日の仕事よりも、今日のヤク!

 ふたりは、どんどん奈落の底に落ちていく。

 しかし、彼らの薬物への依存度が高くなり、ふたりの日常生活が混沌にまみれていけばいくほど、むしろ画面は静謐になり、安らぎのようなものが漂っていく。

 ラストシーン

 クスリによって意識が混濁したシドは、ナンシーを刺して殺してしまうのだが、そのシドがようやく出所してくる。

 ニューヨークの摩天楼が見える荒涼とした場所を、シドがひとりで歩いている。 (なんと、彼の背後に、9・11テロで破壊される前の貿易センタービルが映っている)

 空は曇天。
 朝なのか夕方なのかはっきりしない。
 周囲には朽ち果てた自動車が、墓石のように並び、電信柱と電信柱の間では、切れた電線が風に揺れている。
 核戦争によって人類が滅亡したような光景だ。

 廃虚のようなピザ屋が1軒だけ建っている。
 宗教画のような光がどこからともなく射して、窓の中を照らす。
 客も店主もいない店のテーブルに座り、シドが独りでピザにむしゃぶりついている。
 モノトーンに近い風景の中で、シドの姿だけが鮮やかな色をたたえている。

 「ああ…、これは現実の風景ではなく、死後の世界だな」
 と観客は、そこでそのことを理解する。

 ピザ屋を出たシドに、3人の黒人の少年が駆け寄ってくる。
 ひとりの子どもの手には、カセットデッキが握られている。

 死の冷気が漂う廃虚の街に、音楽が流れる。

 「シド、踊ろうよ」 と別の子がいう。
 「子供となんて…」
 と、うんざり顔のシドだが、そのうち一緒に踊り始める。
 死の舞踏だな……と解る。

 1台のタクシーが寄ってくる。
 後席に乗っているのは、純白のドレスに身を包んだナンシー。

 晩年のナンシーは、ドラッグで顔が崩れてしまうのだが、白いドレスのナンシーは、シドと知り合った頃のような爽やかな顔に戻っている。
 お迎えだな……と解る。

 ふたりを乗せたタクシーが、世にも荒涼とした風景の中を去っていく。

音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 00:06 | コメント(2)| トラックバック(0)

一店一品主義

 自慢じゃないが、外食に関しては 「一店一品主義」 を貫いている。
 何のことか。

 近所の料理店に行く場合は、たいてい一つの店で食べる料理が決まっているということだ。
 たとえば、同じ中華料理でも、餃子を食べる店とラーメンを食べる店は異なるのだ。

 近所の料理屋の例をとると、餃子ライスだったら 「風神」 。
 ラーメンなら、駅前のオープンキッチン (別名屋台) の「鳳」 。
 皿うどんだったら、「登龍」 ということになる。

 そんなことを自慢して何になる?
 何にもならないと思う。

 私も、私以外に 「一店一品主義」 などを自慢している人間に会ったことがないし、仮にそういうことを自慢げに吹聴している人間と会ったところで、私はそいつを尊敬しないだろう。

 だけど、そういってしまえば終わってしまうので、なぜ、私がそういう主義を貫いているかという理由を述べれば、それはひとえに、卑しいからである。
 食い意地が張っているに過ぎない。
 早い話、その店で一番 「おいしいもの」 と、自分で思い込んでいるものを食べているつもりなのである。

 しかし、世の中はよくしたもので、そいつを 「こだわり」 などと称して持ち上げる風潮がある。
 ありがたいことだ。

 で、今日の昼休みは 「登龍」 に皿うどんを食いに行った。 
 こいつは無類にうまくて、量があって、しかもコストパフォーマンス (550円) に優れているという三冠王状態にいる。

 これを食べると、1日中幸せだ。 
 舌に残った味を少しでも長い時間反すうしたくて、その後2時間ほどは水も飲まないし、煙草も吸わない。

 こんなにうまい皿うどんがあるというのに、なんで他の人はチャーハンや中華丼や焼肉定食を食べているのか、不思議に思う。

 でも、それは他人の勝手なので、相席になった人には一度も、「なぜ皿うどんを食べないのですか?」 などと尋ねたことはない。

 そもそも皿うどんという料理は、微妙に 「時間」 と勝負する食べ物だ。
 味が、時間の経過とともに、刻々と変化する。
 あれは、そもそも油で揚げた麺に熱いタレをかける食い物で、タレに侵食されて、麺がシナシナになっていく状況を楽しむ料理なのである。

 そういった意味で、揚げ麺にあんかけをかける固焼きソバに似ている。

 最初はカリッとしたセンベイ状態で麺が出てくる。
 こいつを、かりかりと音を立てて食べるのがうまい。

 しかし、そのうちタレに浸ったところから、どんどん柔らかくなる。
 柔らかくなると、やっと野菜や豚肉やキクラゲなどといった食材とのマッチングがよくなる。
 これはこれでうまい。

 途中から違った料理になるので、一皿で二度おいしい。

 ぼやぼやしていると、このタイミングを失する。
 のんびりしていると、麺がセンベイ状態でいるときのカリカリ感を堪能できなくなる。
 かといって、あんまり急ぎすぎると、今度は麺がしっとりしていく途中の微妙な食感を逃してしまう。

 あわてず、遅れず、タイミングを慎重に見計らいながら、整然と食べる必要がある。
 この料理を上手に食べる人は、きっと時間管理がうまいはずだ。

 …で、昼休み時間から会社に戻ってくると、また各業者さんにお願いしていた画像がたくさん集まっていた。
 
 今日の 「お勧め画像」 はコレ!
 ミスティックさんの 「トネリコ・ファミリー」 。

トネリコファミリー内装

 昨年の長野のキャンピングカーショーで、ちょっと洒落たトランポ系バンコンとしてデビューしたトネリコのファミリー仕様。
 5人乗車のスタンダード版に対し、こちらはファスプシートを入れて、8人乗車にしている。

トネリコファミリーリヤ

 これも出来立てのホヤホヤのクルマ。
 『キャンピングカー super ガイド2008』 に先んじて、皆様に公開。
 
ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:13 | コメント(0)| トラックバック(0)

じゃんけんの文化

 ゲームやスポーツを始めるとき、その先攻・後攻を決めたりするときに、日本人はよくジャンケンを使う。

 それに対し、欧米ではコインをトスして、その裏表で決めたりする。

 どうってことのない習慣のようだけど、ジャンケンの勝ち負けに従う民族と、コインの裏表に従う民族って、それだけで、モノを考える基本がまるっきり違うように思いません?

 まずコインの方だけど、表が出るか裏が出るか、その確率はそれぞれ50パーセント。
 そして、結果が出るまで、人間が関与できる場面はまったくない。 「運を天に任せて…」 という言葉がぴったりの、厳格で公平なスタイルだ。

 だから、コインの決定には、
 「それが神のご意志ならば、何の不満がありません」
 と、潔く従うしかない。

 こういう表と裏だけの世界で生きてきた人たちは、シロクロをはっきりさせることが好き。
 「正義」 と 「悪」 も単純な二元論に還元する傾向がある。
 自分たちが 「正義」 であるならば、敵対する相手は無条件に  「悪」。

 コインの表と裏は、神の光に照らされ表側と、闇に閉ざされた裏側という宗教的構造をも象徴している。

 それに対して、ジャンケンというのは、実に人間臭い。
 「グー」 「チョキ」 「パー 」の選択肢のうち、何を選び取るかは100パーセント人間側にゆだねられている。
 そして、相手のクセなどを知っていた場合は、その心理を読んで「裏をかく」 といった、高等芸を発揮できる余地が残されている。

じゃんけんイラスト

 さらに、タイミングをずらして後出しするなど、きわどいテクニックが試みられることもある。これは厳格な一神教の精神風土からは、なかなか生まれてこない発想のように思える。

 善・悪の二項対立を象徴するようなコイントスの発想に比べると、ジャンケンは最初から三すくみだ。

 グーの正義はパーに通ぜず、パーの正義はチョキに否定される。
 絶対的勝者がいない。
 「悪も場合によって善となり、善もまた場合によって悪となり…ゴニョゴニョ」
 という禅問答の世界に入っていく。

 だから、こういう融通無碍 (ゆうずうむげ) なジャンケンの精神を好む民族は、シロクロをはっきりさせることが苦手。
 「それじゃちょっと、グーさんの意向を聞いてみて」、
 「次にパーさんと調整して」、
 「最後はチョキさんにまとめてもらいましょうか」
 などと、案件をたらい回しにするのが、得意。

 お互いに憎み合おうが、うらみ合おうが、表面上は仲良くかけ声合わせて、
 「ジャンケンポン!」

 ジャンケンの持つこういう柔軟性は、「腹芸」 、「根回し」 、「談合」 といった日本人の得意ワザとも相性がいいようにも思える。

 このジャンケンが、世界でいちばん普及した国は日本だという。
 起源については日本起源説と中国起源説がある。何をオリジンと考えるかで、解釈が違ってくるらしい。
 欧米人がこのジャンケンを知ったのは、数10年ほど前に過ぎないという説もあるようだが、確証はない。

 芳沢光雄 (桜美林大学) 教授の研究によると、ジャンケンの「グー」 、「チョキ」 、「パー」 では、グーを出す人が最も多く、チョキが最も少ないのだとか。
 人間は、警戒心を持つと拳を握る傾向があるので、グーの比率は多くなり、反対に、チョキは指の動きが複雑になるため、それをとっさに出すのが面倒なので比率も小さくなる。

 …ほんとかいな。

 ちなみに、芳沢教授がゼミナール学生725人を集めて、のべ11,567回のじゃけんデータを取ったところ、
 グーの出た回数は4,054回、
 パーは3,849回、
 チョキは3,664回であったという。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 00:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

仕事中に酔った

 コンビニ弁当にも飽きちゃった。

 毎年、この時期は会社に泊まりこんで、『キャンピングカー super ガイド』 の編集作業に励んでいるわけだが、さすがに夜食の買出しに出たとき、今日は空しいものを感じた。

 たまに、焼きたての厚揚げとか食ってみてぇ。
 ニラ玉なんかもうまいだろうなぁ…。
 子持ちししゃも!
 あれ、バリっと噛んで、中からやわらかい魚卵の部分が舌に乗ったときの快感。
 それもいいよなぁ…

 なんて、夜道をトボトボ歩いていたら、「居酒屋」 の看板の誘惑に効しきれなくなっちゃった。

 腕時計を見ると、夜の8時。

 まだ会社に戻って仕事をこなすわけだから、酒を飲んでしまうのはまずい。
 …でも、居酒屋に入ったら、酒も頼まずにいきなり白いご飯をオーダーするってのも、礼を失するよな…などとごちゃごちゃ考えながら、扉を開けたときには、
 もう、
 「ママさん、焼酎のお茶割ね」
 なんて叫んでいるんだから、どうしようもねぇよな。

 厚揚げ食って、シマホッケつついて、ほうれん草のバター炒めオーダーして。
 至福の1時間。

 カウンターの隣に座ったおじさんと話すきっかけができた。
 サラリーマンを40年務め、定年退職をした後に、岩手の山奥に家を買って、家庭菜園を楽しんでいるという。
 年に10回ぐらい、昔住んでいたこの町まで帰ってきて、この馴染みの居酒屋で、昔話にふけるんだとか。

 で、自慢の菜園の話が続く。

 「化学肥料なんてまったく使わないわけよ。肥料はすべて馬のフン。もちろん虫がついて大変よ。
 でも、うまいよぉ!
 そうやって採れたニンジンなんて、一度食ってもらいたいもんだ。
 こんな甘みがある食い物なのか! って、まったく別の “食材” に触れた気分になるよ」

 ふぅーん。なかなか楽しそうだ。

 「で、たんぱく質は、タヌキなの。あれは、撃ってもかまわないわけよ。そいつでタヌキ汁を作るんじゃなくて、焼肉にするんだよ。うまいよぉ!」
 とおじさんは言う。

 「クマもときどき出るよ。でも、まぁ、帰っていくまで、刺激しないように。そぉっとしておくの」

 タヌキやクマと自然にご対面する毎日。
 いや、本当に自然の中で暮らしている雰囲気が伝わってくる。

 おじさんと意気投合して、焼酎のお茶割りも2杯目に突入してしまった。
 
 「今度遊びに来てよ。庭だけで500坪あるんだわ。夏がいいな。春は種を植える時期だから、収穫できる夏以降がいい。俺の作った野菜、うまいよぉ!」

 で、名刺までもらった。

 もっと話していたかったけれど、やっぱり仕事の途中。
 夜の9時半には、意を決して、店を出た。

 会社に戻ると、CDの画像やら、メールの画像がいろいろ寄せられていた。
 それを仕分けして、ページ番号を振っていくわけだけど、
 ありゃりゃ….
 やっぱり、ちょっと酔っているわ。
 番号を打ち込む手元が怪しい。
 
 今日の 「お勧め画像」 はこれ!
 ニートRVの猪俣常務が、ウィネベーゴ社から直送された新型フォードのアスペクト26Aの画像を送ってくださった。
 おそらく、ニートのスタッフ以外は、私がその姿を最初に見た日本人ではあるまいか。
 
 独り占めするのも気が引けるので、皆様にも、ちょっと公開。

08アスペクト26A外装
ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:26 | コメント(0)| トラックバック(0)

フィールドキッズ

 長崎のビルダー 「カスタムプロ ホワイト」 さんから、2008年版 『キャンピングカー super ガイド』 用に、たった今送られてきたホットな映像をご紹介。

フィールドキッズ

 ホワイト初の軽キャンカー 「フィールドキッズ」 です。

 シンクもコンロも置かない軽4登録の車両ですが、う~ん。
 見てください。
 見事な木工家具!
 木工家具の隙間はフルトリム。

 軽の “貨物車” にここまでやるか?
 という感じですね。

フィールドキッズ内装

 凝っているのは、両サイドのリヤ側の窓枠。
 木工のブライドパネルになっています。窓面のサイズにぴったり合わせながら、内側の木の棒で支えているところがミソ。
 棒がそのまま、ハンガーのフックとして機能しています。

 天井も、純ムク仕上げ。
 
 ルーフと天井の間は収納になっていて、シュラフとキャンプテーブルが入るそうです。
 ベースが軽なのに、純ムクを多用しているので、重量が心配…と思ったのですが、カスタムプロホワイトの池田さんは、
 「キャンパーの装備を積んどらんから、心配なか」
 と笑い飛ばして、おしまい。

 標準装備のなかには、走行充電システムさえなし。
 代わりに、簡易ソーラーシステムで対応。
 1時間に2Wという微弱電流ながら、昼間充電しておけば、夜間に使う照明の電気ぐらいはまかなえるとか。

 軽キャンカーの需要で多い、「道の駅」 などで夜更かし…という使用状況はあまり考えていないとのこと。
 「朝早く行動して、日が暮れたら寝るというクルマ。それが健康にもよか。アウトドアのクルマはそれでよか」
 …だそうです。

 もともと、カスタムプロホワイトというビルダーさんは、
 「キャンピングカーはハイテクの実験場ではない」
 という思想で、クルマ造りを進めてきた会社。

 キーワードは 「ナチュラル」。
 キャンピングカーは、「自然と人間をつなぐための道具」 。

 その思想が、この 「フィールドキッズ」 の小さいボディの中にも、しっかり息づいています。
 
 架装費は、74~90万円ぐらいとか。
 今年のガイドに、また面白いクルマがひとつ増えました。 

campingcar | 投稿者 町田編集長 01:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

塔は淋しい

 子供の頃、塔を見上げると、その上で、仮面をつけた紳士がじっと下を見下ろしているように思えた。

塔1

 当然、その紳士は、江戸川乱歩の小説に出てくる 「怪人20面相」 のような悪人で、この世に災いをもたらす者である。
 しかし、その紳士はいかにも淋しげに、夕焼け空を背負ったまま、下に広がる街を見下ろしている。
 中途半端な高さでいることの淋しさが、塔と、その塔の上にたたずむ紳士のまわりに漂っている。

 …自分の魂は、地上を這いまわる者たちのような、卑小な生活から抜け出した。
 だけど、これ以上、天に近づくこともできない。
 「塔というのは、天国と地獄の間に位置するといわれる “煉獄” のことなのだろうか?」

 そんな紳士のつぶやきが聞こえてきそうな気がした。

塔2

 
 ドラゴンクエストが、まだ任天堂のファミコンだった時代。
 「復活の呪文」 などをノートに書き写しておかないと、次のゲームが再開できない、面倒くさい時代のドラクエだったころ、ダンジョンの塔は淋しかった。

キリコの塔

 数々の試練をくぐりぬけて塔の最上階まで来ると、そこには何もなかった。
 塔の屋上にくるまでに、すでにモンスターはみな退治したので、襲ってくるものもいない。
 しかし、ゲームを進めるために必要なアイテムもない。

 一人の兵士が、塔の上で見張りをしているだけだった。
 話しかけると、兵士はくるりと振り返り、
 「ここで魔物が来ないかどうか、見張っているんですよ」
 そう答えて、また前の方を振り向く。

 もう一度話し掛けると、兵士は同じ動作を繰り返し、また同じことをいう。

塔(アメリカの荒野)

 塔の彼方から見えるのは灰色の大地。
 当時のゲームは、今のゲームよりもメモリー容量が少なかったから、画面が簡素だ。
 それが逆に、人気の絶えた荒野の乾いた匂いを伝えてきた。
 昔のドラクエの塔には、虚空をたなびく風の音がいつも鳴っていた。

塔3

 レイ・ブラッドベリの小説に 『霧笛』 という短編がある。
 灯台守をしている老人のところに、ときどき少年が遊びに来る。
 孤独な影を引きずった2人は、どこか気が合う。
 
 嵐の夜、老人は少年に奇妙な話をする。
 「こんな晩は、決まってあいつが姿を現すんだ」

 あいつ。
 
 船も、荒波を避けて港に避難し、陸に住む人々も家の中に閉じこもってしまう嵐の夜。
 航海する船に警告を与えるために灯台が定期的に鳴らすサイレンに、ただひとり応えるヤツがいる。

 海底の底で何万年もひっそりと耐えながら、仲間を探し、探し疲れて、それでも最後の望みを捨てきれず、嵐の夜に浮上してくる、あいつ。

 老人と少年が、闇夜の海に目を凝らしていると、やがて波を大きく割って、海の上にもうひとつの 「灯台」 が浮かびあがる。
 
 少年が息を飲む。
 老人が、「あいつ」 に向かって、灯台のサイレンを鳴らす。

 それに応えるかのように、海の上に長い首を突き出した一匹の獣が、力を振り絞って鳴き声をあげる。

 しかし、水上に浮上するまでに力を使い果たした悲しい獣は、自分の仲間が、まだこの世に残っていたことだけを確認して、近づくことをあきらめ、海の底に戻っていく。
 
 海底に戻っていく恐竜も淋しいが、残された灯台も淋しい。

 塔は淋しい。

ホッパーの灯台

 「1日25ドルなのね」 と、彼女はいった。
 「哀れな淋しいドルさ」
 「とても淋しい?」
 「灯台のように淋しい」

 (フィリップ・マーロウとメイヴィスの会話)

 レイモンド・チャンドラー 『かわいい女』 より

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 00:25 | コメント(0)| トラックバック(0)

ブログ掲載500回

 一昨年の8月より始めたこのブログ。2月末日で、書いた記事が500回を記録しました。
 この記事で502話目。

 初めて約1年半。
 根気のない性格なのに、よくもまぁ自分でも続けてこれたものだと思います。
 ひとえに、読んでくださる方々の支援のたまものだと思っています。

 最近、キャンピングカーショーの会場などで、顔を合わせた業者さんたちから、よくいただく一言目が、
 「ブログ読んでますよ」
 という挨拶。

 図々しいわりに照れ屋なもので、素直に 「ありがとうございます」 と答えればいいものを、
 「え、あんなもんを読んでんですか?」
 なんて、ときどき言い返すので、気分を害された方もいらっしゃるのでは。
 可愛げないよね。
 まぁ、悪気はないのです。お許しください。

 キャンピングカーの話やキャンプや旅行の話以外にも、好きな映画や音楽、本の話など織りまぜて書いているので、ネタに困るということはありません。
 でも、さすがに忙しいと、アップしている時間が取れないですね。

 裏事情をバラして恐縮ですが、忙しいときは、ヒマなときに作り置きしていたネタを機械的にコピペしているだけです。
 タイムリーじゃないネタが載っている場合は、たいてい “昔つくった話” です。 

 それでも1年半ぐらい続けていると、少し状況が変わりました。
 親しい人たちと会って話すときも、ブログネタから話が発展することが多くなりました。

 個人の独りよがりの記事ではあっても、それでも楽しみに読んでくださる方々がいらっしゃるんですね。

 「あの話はこう感じた」
 「あっちの話は意外だった」
 …等々、久しぶりに会った人や初対面の人でも、ストレートに話の核心に行き着く機会が増えました。

 やはり、ブログはコミュニケーションツールとしての機能をしっかり持っているんだな、と痛感しました。

 また、「検索ワード」 などをたどってみると、最近はキャンピングカーに関心のない方々からのアクセスも非常に増えていることに気づきました。

 知り合いの主婦層などから話を聞くと、
 「クルマネタが続くと面白くないので、ヨタ話系の話題に早く戻ってください」
 などというリクエストも。

 いやぁ、コント作家じゃないので、
 トホホ…です。

 いつまで続くやら…という気持ちもなきにしもあらずですが、これからもよろしくお願い申しあげます。

街角スナップ1
ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:55 | コメント(14)| トラックバック(0)

Tグローブの世界

 ユニークなエッグ型のトレーラー 「Tグローブ」 を開発した、トランキルグローブの松原豪さん。

Tグローブ牽引

 各地のキャンピングカーショーを取材しているとき、いつもこの松原さんのブースを見ると不思議な気分になる。

 「いったい、いつ商売をしているのだろう?」
 
 松原氏が、お客様をトレーラーの中に案内し、その構造的特徴や装備類の使い勝手を説明している姿を見たことがない。

Tグローブ室内

 それよりも不思議なことは、Tグローブを展示しているブースでは、肝心の商品であるTグローブというトレーラーが、よく見えないことだ。

Tグローブブース1

 たいてい、その前には、コールマンのヴィンテージランタン、年代もののコーヒーメーカー、骨董クラスの釣り道具…ありとあらゆる遊びのギアが、所狭しと並べられており、展示の主役を務めるはずのTグローブは、それらの小物の引き立て役といった感じで、遠慮がちに後ろの方でかしこまっているに過ぎない。

Tグローブブース2

 で、当の松原さんは、楽しい遊びのギヤを並べたテーブルの前に立ち、例の見るからにアウトドアマンといった風情をたたえたおヒゲを目立たせながら、ていねいにコーヒーを入れ、にこやかに客人に勧めている。

トランキル松原氏

 この客人たちが、みな仲間。
 Tグローブというトレーラーを介して集まってきたユーザーたちで、その雰囲気は、まるでクラブキャンプだ。

 とにかく、「まずは商談が大事」 という他のブースの張りつめた雰囲気をよそに、トランキルグローブのブースだけは、パーティ会場のようななごやかな空気に包まれている。

トランキルブース3

 普通、こういう身内だけで固まった集団というものには、なかなか初めての人間は近づきにくいものだ。 
 しかし、このブースの雰囲気は違うのだ。
 Tグローブに興味を持って、遠くから覗き込もうした人がいれば、松原さんは、きっとこう言うだろう。

 「トレーラーの方は後でゆっくり見ることにして、まず煎れ立てのコーヒーが冷めないうちに、一杯どうですか?」 

 声をかけられた人は、もうその一言で、Tグローブ集団の仲間入り。
 その場のアットホームな雰囲気に包まれて、ついつい自分もオーナーにでもなったかのような錯覚に陥ってしまう。

Tグローブ牽引2

 それも一つの売り方だと思う。
 「商品」を展示するのではなく、その商品がもたらす 「文化」 を展示する。

 松原さんのブースには、「Tグローブ文化」 ともいうべきものが育っているように思う。

 実用性を持ちつつも、夢の部分を忘れないグッズ類。
 時間を掛けて、ていねいに煎れられるコーヒー。
 楽しい仲間と、カヌーやスキーに興じた思い出話。
 そういうものを共有し合うことで、仕事や世間のしがらみから解放される時間帯。

 松原さんは、
 「それがTグローブというトレーラーがもたらすライフスタイルなんだよ」
ということを、空気として、見学者に教えているような気がする。


 「名古屋キャンピングカーフェア」 の会場で、松原さんに呼び止められた。
 
 「これ、ちょっと手に取ってみてくださいよ」
 そういって手渡されたのが、オービスのカーボンロッド。
 2008年の限定モデルだという。
 アメリカで、海釣り用のフライとして開発されたものだとか。

 握ってみると、びっくりするほど軽い。
 手を離すと、宙を泳いで舞い上がっていきそうなほど軽い。
 
 「昔は、フライの疑似エサもけっこう凝って、自分で作ったんですけど、もう老眼で無理。今は毛針も買っちゃいますね」
 そういって松原さんは、うれしそうに、ロッドにリールを取り付けたりしている。

松原氏とロッド

 またしても、トレーラーの話はなし。

 でも、釣りとTグローブに関心を持つ見学者だったら、もうこれだけで、自分もオーナーになって、松原さんと肩を並べて、釣り糸を垂れる姿を想像してしまうかもしれない。

 トレーラーよりも、釣り道具の話をする松原さんから、逆に、Tグローブを手に入れたときの楽しみ方がビンビンと伝わってくる。
 彼は、無敵の 「セールストーク」 を会得しているように思えた。
 
campingcar | 投稿者 町田編集長 00:13 | コメント(4)| トラックバック(0)
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