町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

最近の記事
新ブログのご案内
04/28 17:06
久々の更新です
04/27 19:06
3・11以降
04/12 09:56
人類に残された資源
04/05 10:18
ザ・ウォーカー
04/03 00:53
島尾敏雄・贋学生
04/02 03:45
日本人は変わるか
03/31 01:36
渚にて
03/26 02:03
テレビは終わった
03/23 00:23
明かりの果ての闇
03/21 08:05
東電を怒る父さん
03/18 17:00
深い言葉
03/16 09:53
何かが変わった
03/15 00:06
災害時のキャンカー
03/13 16:18
大地震
03/12 13:16
ジュリアンオピー
03/11 02:35
親孝行ビジネス
03/08 20:02
OMCの北斗
03/07 00:18
アレクサンドリア
03/05 15:49
AtoZのバンビ
03/03 20:36
かるキャン
03/02 18:39
ハーレーの魔力
02/28 21:59
パークウェイ
02/23 18:59
CG880
02/20 13:11
忙しいぞぉ!
02/18 22:01
都市型キャンプ場
02/09 23:55
ファビュラス日本
02/07 19:32
老人の孤独
02/06 20:36
「都会」 の匂い
02/05 01:53
エジプトでは何が?
02/04 15:44
同人雑誌仲間
02/03 00:20
自己啓発ビジネス
02/01 02:10
ノスタルジー
01/30 05:23
夫婦の会話の危機
01/28 23:58
その一服は必要か
01/24 23:40
荒野の炎
01/23 19:43
山口冨士夫の精神
01/22 03:11
焚き火で育つ感性
01/20 19:55
キャンカー1人旅
01/19 01:37
車中泊の社会実験
01/17 15:40
個人の時代
01/16 11:50
細くなるネクタイ
01/13 20:32
映画アバター
01/12 20:07
若者の考える商売
01/11 14:36
パリッシュの絵画
01/09 04:00
300万アクセス
01/08 12:15
不思議な青空
01/07 21:04
TV・新聞の凋落
01/06 19:44
中国ルネッサンス
01/05 20:19
ベルイマン・沈黙
01/04 21:33
出来事いろいろ
01/03 02:43
謹賀新年
01/01 00:48
オールドマン
12/30 18:53
好奇心の力
12/29 14:28
「孤独死」の原因
12/27 20:17
廃墟のある島
12/26 02:48
遠いクリスマス
12/25 01:06
ロビン・フッド
12/24 03:48
地獄の電車
12/23 11:35
バッグス・バニー
12/22 02:59
正義の話をしよう
12/19 23:46
空気人形
12/18 13:10
ジジイ同士の酒
12/17 04:32
世界ゲーム革命
12/14 02:47
ハイマー懇親会
12/13 16:11
ガールズキャンプ
12/12 23:48
イタリアをめざせ
12/10 15:15
外来種の驚異 Ⅱ
12/09 00:41
外来種の脅威とは
12/08 20:46
Kポップの台頭
12/07 01:19
うつろひ
12/06 01:21
海老蔵さんの悲劇
12/05 01:07
追悼ジョンレノン
12/03 04:52
「個性化」のワナ
11/30 04:13
戦うブログ
11/29 04:09
子供の自然体験
11/28 04:50
RV好きの芸能人
11/26 01:01
胃の中にヘビ
11/25 16:12
消えた秋
11/22 14:14
歌謡ブルースの謎
11/20 04:29
おひとりさま時代
11/19 00:33
3行で総てを語る
11/18 00:15
塔の形而上学
11/17 02:04
裕次郎スナック
11/15 23:10
自然は子供を養う
11/12 20:28
おれ、ねこ
11/10 01:19
NHK車中泊報道
11/09 17:17
お台場パラダイス
11/08 20:34
伝える力
11/05 00:12
お台場ショー迫る
11/04 02:02
昔は戻らない
11/03 02:11
電子タバコ
11/02 00:04
一般国道の不思議
10/29 18:25
酒場放浪記
10/26 22:25
名古屋RVショー
10/25 19:25
ハイマーカー322
10/21 12:31
猫会議
10/21 00:05
飽きるという知恵
10/20 01:28
ロボット兵器
10/19 02:52
最近のコメント
突然の書き込み失礼…
最近の流行 05/12 00:01
はじめまして~文…
すまそ 05/08 16:44
>TJさん、ようこそ…
町田 04/28 13:47
>TJさん、ようこそ…
町田 04/28 12:06
便利+楽=快適、これ…
TJ 04/28 10:05
町田さん久しぶり…
motor-home 04/28 06:07
やはり、時代の変化・…
TJ 04/21 02:27
私はこのところ「自然…
磯部 04/12 14:52
>aki さん、よう…
町田 04/12 10:18
何度も投稿ボタンを押…
aki 04/08 10:57
>aki さん、よう…
町田 04/08 09:13
今のVWに乗り換える…
aki 04/07 15:19
>雷さん、ようこそ。…
町田 04/06 15:20
>ミペット@倉庫の肥…
町田 04/06 13:46
>JoeCoolさん…
町田 04/06 11:06
キャンピングカーは、…
雷 04/05 21:37
率直に言うと、研究所…
ミペット@倉庫の肥やし保存中 04/05 20:10
町田さま度々失礼…
JoeCool (in Peanuts) 04/05 12:56
>aki さん、よう…
町田 04/05 11:14
今のこの国の空気、ど…
aki 04/04 10:32
>solocarav…
町田 04/01 11:08
>JoeCool さ…
町田 04/01 10:32
>ムーンライトさん、…
町田 04/01 09:56
>赤い屋根さん、よう…
町田 04/01 08:53
「心に届く言葉」・・…
solocaravan 03/31 23:23
今回のように社会全体…
雷 03/31 23:05
米国では9.11の前…
Jo 03/31 11:21
米国では9.11の前…
JoeCool 03/31 11:19
米国では9.11の前…
JoeCool 03/31 11:05
そうだ、普遍性だ。…
ムーンライト 03/31 09:31
町田さんおはようござ…
赤い屋根 03/31 07:50
>おおきに! さん、…
町田 03/30 15:47
>雷さん、ようこそ。…
町田 03/30 14:57
>雷さん、ようこそ。…
町田 03/30 14:33
町田編集長さん こん…
おおきに! 03/29 08:29
今回の震災では、各局…
雷 03/28 21:22
本作品のリメイクであ…
雷 03/28 21:09
>おおきに! さん、…
町田 03/23 19:54
町田編集長さん こん…
おおきに! 03/23 07:48
>s-_-s さん…
町田 03/23 01:19
>ムーンライトさん、…
町田 03/23 00:46
人間は電気によって闇…
s-_-s 03/22 22:55
追記です。先ほど…
ムーンライト 03/22 14:24
数日前、市内の大型ス…
ムーンライト 03/22 12:24
>ブタイチさん、よう…
町田 03/22 03:09
お久しぶりです。町田…
ブタイチ 03/21 22:54
>鈴木様、ようこそ。…
町田 03/19 23:12
>ムーンライトさん、…
町田 03/19 22:35
今日、店からはじめて…
デルタリンク宮城 03/19 19:40
この「東電を怒る父さ…
ムーンライト 03/19 11:45
>ゆんたさん、ようこ…
町田 03/19 09:11
言葉に出して誰かに代…
ゆんた 03/19 07:50
>鈴木 様本当に…
町田 03/18 00:00
町田さん、ご心配あり…
デルタリンク宮城 03/17 20:52
>鈴木様コメント…
町田 03/17 16:04
>TOMYさん、よう…
町田 03/17 14:39
町田さんこんにちは。…
デルタリンク宮城 鈴木 03/17 11:32
こんばんは、町田さん…
TOMY 03/16 20:23
世界中に5億人を超え…
フェイスブック 03/15 11:30
>s-_-s さん、…
町田 03/14 00:28
町田さんご無事で何よ…
s-_-s 03/13 22:55
>ムーンライトさん、…
町田 03/12 17:43
町田さん。ご無事でし…
ムーンライト 03/12 16:25
>YAMAさん、よう…
町田 03/12 13:33
シンプルな風景画、い…
Yama 03/11 12:14
>渡部竜生さん、よう…
町田 03/10 02:33
>キャンピングカーと…
渡部竜生 03/09 14:02
>スパンキーさん、よ…
町田 03/08 19:22
いいですね、北斗。久…
スパンキー 03/07 13:52
>マッキー旅人さん、…
町田 03/03 22:45
町田さん、今日は。…
マッキー旅人 03/03 16:23
>ムーンライトさん、…
町田 02/28 22:42
町田さん。アマゾ…
ムーンライト 02/24 10:29
>渡部竜生さん、よう…
町田 02/19 05:42
>小平の福ちゃん様、…
町田 02/19 05:31
>matsumoto…
町田 02/19 05:18
>solocarav…
町田 02/19 05:03
>el さん、ようこ…
町田 02/19 04:50
>旭川の自称美女さん…
町田 02/19 04:14
幕張ではお世話になり…
渡部竜生 02/19 00:58
ご無沙汰しております…
小平の福ちゃん 02/19 00:03
お久しぶりです。ma…
matsumoto 02/14 07:35
ぜひ実現させたいアイ…
solocaravan 02/11 20:59
だいぶ経ってからのコ…
旭川の自称美女 02/11 11:51
町田さん、こんにちは…
el (エル) 02/11 11:11
>TOMY さん、よ…
町田 02/10 00:21
こんばんは、町田さん…
TOMY 02/09 21:45
>ムーンライトさん、…
町田 02/09 15:38
>ゆんた さん、よう…
町田 02/09 14:48
>Joe Cool …
町田 02/09 13:46
>磯部さん、ようこそ…
町田 02/09 11:54
「ゆんたさん」の文章…
ムーンライト 02/09 11:46
>TJさん、ようこそ…
町田 02/09 11:22
色々なことを考えまし…
ゆんた 02/09 06:36
同居していて5年前に…
JoeCool 02/08 16:01
最初に、このブログを…
磯部 02/08 05:14
写真で見る限り「FA…
TJ 02/07 21:20
>aki さん、よう…
町田 02/03 00:58
人生にドーピングはな…
aki 02/01 10:07
最近のトラックバック
ザ・バンド
12/11 09:46
鉄道の魅力、立体的に
09/10 07:38
関越高速道・・・寄居…
07/24 09:18
女性目線で見たキャン…
03/05 10:18
かるキャン 画期的な…
02/26 06:14
「くるま旅くらし読本…
02/06 10:22
言葉にならない
01/13 20:10
電動ポルシェ!?その…
10/31 09:50
路地裏
08/18 09:49
「すべての男は消耗品…
08/17 20:24
ガマの油
06/15 21:53
「ガマの油 」ちょっ…
06/15 07:58
52nd
04/25 21:52
007 カジノ・ロワ…
02/02 01:18
関西(大阪・京都・神…
01/30 05:21
【ネットができる宿|…
01/05 19:52
4輪&2輪
09/22 16:41
『秘伝 大学受験の国…
09/19 03:09
LPガスボンベ
07/26 11:37
ロス
05/28 22:39
テスト
05/28 22:36
大阪キャバクラnig…
04/26 20:37
キャバクラ/ニューク…
04/09 17:32
キャバクラ嬢ご用達し…
03/14 14:32
気になるキャンピング…
03/08 07:08
キャバクラ求人-Ag…
02/23 14:41
キャバクラ情報誌クラ…
02/22 19:14
No6 LPガスの充…
02/14 14:47
大阪キャバクラブログ
01/20 21:35
御当地!プルバック・…
12/20 00:53
カップヌードル
08/09 01:54
【キャンピングカー】…
08/05 16:23
【キャンピングカー】…
08/05 16:20
村松友視の「淳之介流…
08/04 11:11
荒井千暁著『職場はな…
06/29 22:35
元ちとせ/千の夜と千…
04/15 01:55
軽自動車エッセのうる…
03/26 08:21
カーナビの渋滞回避?…
03/10 20:07
車中泊なら虫の心配い…
03/07 18:35
こんなキャンピングカ…
03/07 03:56
キャンピング&RVシ…
03/02 01:17
キャンピング&RVシ…
02/23 18:45
キャンピング&RVシ…
02/18 06:43
キャンピング&RVシ…
02/17 00:23
ZECC(ゼック) …
02/15 23:27
トイレどうする?
02/15 10:25
キャンピング&RVシ…
02/10 21:46
新古車
02/04 17:19
軽自動車キャンピング…
01/25 13:10
ブレードランナー
01/14 12:03

ロスのコンサート

 「コール&レスポンス」 という言葉がある。
 音楽用語として使われるときは、主にゴスペルを楽しむ黒人たちの、歌い手と聴衆の間にくり広げられる 「応答」 を意味する。

 黒人教会で、牧師が、聖書の言葉などを引用して唄い始めると、聴衆が 「エーイメン」 とか、「ハレルヤ」 などと合いの手を入れる。

 そんな雰囲気を想像すれば、この言葉のイメージが伝わりやすいかもしれない。

 ゴスペルに限らず、広い範囲の黒人音楽で、このコール&レスポンスの精神が息づいていることを、ロサンゼルスのコンサートで体験したことがある。
 もう30年以上も前の話だ。

 日本で手に入らないR&Bのレコードを買い付けるために、サンフランシスコとロサンゼルスに行ったことがあった。
 日本で、「R&B」 を聞かせる店を開きたかったのだ。
 そんな店を営業しながら、黒人音楽のレコードなどに付いてくるライナーノーツなどを書く。
 それが、20代を迎えたばかりの自分の夢だった。

 初めてのロサンゼルス。
 いやぁ、びっくり。

 飛行機が機首を下げて空港に近づくにしたがって、それこそ地平線のかなたまで 「街」 が広がっている。
 それも、「整然」 という言葉がぴったりの、超人工的な雰囲気なのだ。
 見ていると、平屋の家屋が多い。
 2階以上の建物を見つける方が難しい。
 土地が広いということは、そういうことか…と思った。

 予約していたホテルに着いて、ますます面食らった。
 ダウンタウンまで歩いて、きままにレコードショップを探す。
 そんなことができるような街ではなかった。

 ホテルの玄関から外を見回しても、「人」 が歩いていない。
 路地というものがない。
 すべてが 「メインストリート」 なのだ。
 動いているのは自動車だけ。
 
 ヒューマンスケールで造られた日本の都会とは違って、ここは徹底的に 「自動車のスケール」 で都市計画が進められた街であることが分かった。

 それでも、とにかく 「黒人音楽」 の匂いのする場に近づきたかった。
 ロビーに、その日のイベントスケジュールのようなものを掲載したニュースペーパーらしきものが置かれていたので、それをむさぼるように読んだ。

 「ボビー・ウーマック&オージェイズのジョイントコンサート」
 それが本日 「グリークシアター」 というところで開かれる。
 
 かろうじて、そう読めるインフォメーションを見つけた。
 でも、どう行ったらよいのか。

ボビー・ウーマックジャケ
 ▲ ボビー・ウーマックの74年のヒットアルバム
 「ルッキン・フォー・ア・ラブ・アゲイン」
 初めて買ったボビーのレコード


 オージェイズジャケ
 ▲ オージェイズ 「裏切り者のテーマ」
 これも擦り切れるくらい聞いた

 
 タクシーを呼ぶことを思いつき、慣れない英語で電話をかけて、イエローキャブを頼んだ。
 そして、エントランス前に横付けになったイエローキャブに乗り込んで、運転手に 「グリークシアター」 と、行き先を告げた。

 温厚そうな白人の運転手は、とても親切に、
 「そりゃいい場所だね」
 と喜んでくれた。

 「何のコンサートがあるのかね? ブラームス? ドビッシ-?」
 
 クラシック音楽が好きな運転手だったのかもしれない。
 …この東洋人の若者は趣味がいい…ぐらいに思ってくれた気配がある。

 「ボビー・ウーマックとオージェイズだ」
 と答えると、彼はそれが分からない。

 「コンポーザーなのか? アーチストなのか?」
 と尋ねてくる。

 「ブラック・コンテンポラリー・ポップミュージック」
 と答えてしまって、まずい! と感じた。
 彼の顔つきがこわばったのである。

 やがて、グリークシアターとおぼしき建物が見えてきた。
 …なるほど。
 確かに、日頃はクラシックコンサートでも開いていそうな、格式高い建物だ。

 ところが、その建物が近づいてくるにしたがって、道路のあちこちに野放図にたむろする黒人たちの姿が増えてくる。
 ガムをくちゃくちゃ噛みながら、ストリートダンサーよろしくステップを踏む黒人青年。
 人目も気にせず、抱き合ってキスしあう黒人カップル。
 地べたに座って、無心にハンバーガーをむさぼっている人間もいる。

 運転手の口から、次第に呪詛に満ちた言葉がこぼれるようになった。
 よくは分からないのだが、
 「こいつら、こんな神聖な場所を汚しやがって」
 …みたいな感じの言葉が、運転手の口からはき捨てられる。

 突然、クルマが止まる。
 運転手は、苦虫を噛みつぶしたような顔で振り返った。
 「ここから先は進みたくない。歩いてくれ」

 私は、まだ入口までかなりの距離がある場所で、クルマから降ろされた。

 会場に足を踏み入れて、また驚いた。
 席を埋め尽くしていたのは、みな黒人ばかり。
 白人の姿などどこにも見ることがなく、ましてや、黄色い肌の東洋人は私一人しかいない。

 その私を見る彼らの目が怖い。
 黒人たちが猜疑心と敵意を抱くと、どのような目つきになるのか、私ははじめて知った。

 しかし、私は音楽だけを純粋に楽しみに来たのだから、とにかくそれが彼らに伝われば、猜疑心と敵意に満ちた視線も変るだろうと開き直った。

 案の定、私が、ただのソウルミュージック好きの人間だと分かったとき、彼らの対応が変った。

 手拍子のリズムが違う、という。
 日本人がよくやる4拍子の手拍子ではなく、8拍子。
 つまり倍テン。
 そのリズム感をつかめたとき、周りの連中が、それだけで、ウォーっと盛り上がった。 

 「ヘイユー・ホェア・ユー・フローム?」
 「トーキョー」
 「オゥ、リアリー?」
 いきなり丸太みたいにぶっとい腕が私の肩に絡みつき、私の身体は、即座に会場全体のうねりに巻き込まれた。

 そこで、私ははじめて本場の 「コール&レスポンス」 を知った。
 
 ステージでは、ボビー・ウーマックがマイクをひらひら振り回しながら、くちゃくちゃ喋っている。
 バックミュージシャンは、とろとろ音を流しているのに、いっこうに歌が始まらない。

 「5年前、俺はある女にホレたんだ」
 ボビーが甘い声でうなる。
 すると、私の斜め前にいた女が、突然立ち上がって、
 「イッツ・ミー!」
 と叫ぶ。

 すると、ボビーがその女に視線を合わせ、
 「やぁ、元気だったか?」
 と答える。
 
 「お前を得るために、俺はいろんな男とケンカしたぜ」
 そうボビーがいうと、
 別の席から、
 「負けていたのは、いつもお前だったな」
 と、男が笑う。

 ああ、本場のコンサートはこういうものか……と思った。

 日本でも、来日した黒人ミュージシャンのコンサートにはたくさん出かけた。
 ジェームズ・ブラウン
 スティービー・ワンダー
 ウィルソン・ピケット
 テンプテーションズ
 スタイリスティックス

 しかし、彼らは歌こそ唄えども、喋ることはなかった。
 どうせ英語で喋っても、何も返ってくることはあるまい。
 そう思っていたのだろう。
 だから、コンサートも、40分か50分ぐらいで終わってしまうものがほとんどだった。

 でも、この日はボビーのステージだけでも2時間近くあったような気がする。
 ほとんどが、歌ではなく、客席との 「コール&レスポンス」 だったのだ。

 オージェイズとボビーが一緒にステージに立つ頃になると、私には、たくさんの友だちができた。
 「終わったら、どこそこに行こう。今晩は飲み明かそう」
 そんな誘いばかりだった。
 さすがに、それには不安があったので、結局、終わるとまたイエローキャブを呼んでホテルに帰った。

 何日かして、当時サンフランシスコに住んでいた日本人の友だちに、その日のことをとくとくと話した。
 
 友だちの声が、突然うかぬ調子になった。
 「お前知っている? その翌日、会場近くでお客同士のケンカがあって、一人ナイフで刺されて死んだんだぜ。
 ヤツらの中には物騒な連中もいるんだよ。旅行者をだまして身ぐるみ剥ぎ取るようなヤツだっている。
 ホテルに戻れただけでも儲けものなんだぜ。白人の運転手さんの方が、正解なの」

 うへぇー!
 なんと運の良いことか。

 まぁ、知らないことは、案外いい結果を生む。
 おかげで、私はいまだに黒人&黒人音楽フリークでいられる。

 R&B系記事 「アフロヘアの少女」
 R&B系記事 「JBよ安らかに」
 R&B系記事 「都会の夜はR&B」
音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 03:48 | コメント(8)| トラックバック(0)

ワンタイR-5

【お勧めキャンカー20 「WANTAI R-5」 】

 今年11月に開かれた 「お台場くるま旅パラダイス」 で、ボディショップ アジロさんが開発した新型 「ワンタイR-5」 がデビューした。

ワンタイR5外形2

 ベースは、トヨタ・ランドクルーザー80.
 そのボディがカットされ、一見FRP製に見える白いシェルが架装されていた。
 実は、このシェルがクセモノ!
 アルミニュームなのだ。

 しかし、またなんとも優美な造形ではないか。
 普通、アルミパネルを使えば、ボディサイドのつなぎ目が直角になってしまうことは避けられず、見た目にはペキペキしたスクエアなクルマになってしまう。
 なのに、このモデルでは、コーナーに丸みを持たせるために、コーナー部はFRPでアールが取られている。

ワンタイR5外形1
 
 このFRPとアルミの接合部分が、外から見ただけではまったく分からないというのが、このクルマのマジック。
 そこにボディショップ アジロが長年蓄積してきた特許申請済みの “秘伝” が生かされている。

 アルミをシェルの素材に使った理由は、まずはボディの軽量化。
 もともとランクル80の車両重量は、2,200kgぐらいだという。
 それをボディカットして、シェルを架装した状態で2トン半の状態に持ってきているらしい。

 「もっと軽くなる」
 と網代社長はいう。

網代社長

 「家具をフラッシュ (中抜き) にして、フロントバンパーをファイバーにする。そうなると、2,280㎏ぐらいまで重量を落とすことができる。実際にやってみないと分からないけれど、確実に2トン半は切れる」
 そうなれば、さらにクルマの走りも軽快になるし、燃費もよくなる。
 網代さんは自信たっぷりだ。

 もともと、ハイラックスベースの時代から、ワンタイR-5シリーズは、その軽量ボディによる運動性能の高さでは定評があった。
 ワンタイR-5の前モデルは、トイレルームなどをあっさり取り払ったレイアウトによって、コンパクトボディを実現。それがまた、俊敏な走りを可能にしていた。

 今回のインテリア造形も、雰囲気はハイラックス時代のスタイルを踏襲している。しかし、家具の精度や質感はものすごく向上した。
 ユニークなのは、セカンドシートの設定。 

ワンタイR5室内5 ワンタイR5室内1

 ダイネット前の補助シートを低く設定することもできるため、運転席・助手席と同じ高さを保ったまま、前向き乗車が可能になっている。その部分をマットで埋めれば、対面ダイネットも完成。

ワンタイR5ダイネット

 また、ランクル80シャシーはハイラックスより大きいので、トイレルームが設けられたことも特徴として加わった。
 そういった意味で、ハイラックス時代のR-5よりも、より長期滞在に適したクルマになっている。

ワンタイR5トイレ ワンタイR5キッチン

 トイレルームの上方には、電子レンジ収納スペースもしっかり設定されているというのも便利だ。

 この新ワンタイR-5のもうひとつのセールスポイントは、 「雨音を消すルーフ」 。
 これも、長年の研究成果が実って実現したボディショップ アジロならではの先進技術。
 なんとこの11月末に、申請していた特許をついに取得することができたそうだ。
 特許を取ったときの “発明品” としての名称は、
 「車のルーフ雨音の減少方法および車のルーフ構造」
 というもの。
 2ヶ月ほどで特許番号が下りるという。

 この新構造のルーフによって、夏はエアコンの効きも抜群。
 冬は暖房効果も向上。
 「1年中快適な室内を実現することができた」
 と、これまた、網代社長はご満悦。

ワンタイR5室内6

 実際に、この新型ワンタイR-5をオーダーするとなると、ベース車のランクル80を探さなければならない。
 すでに生産が終わっているシャシーだからだ。
 その場合は、中古車を探して、アジロさんのショップに持ち込んでもよいし、網代さんに、80の中古車を探してもらうことも可。
 ただし、ディーゼル車は排ガス規制を受けるので、規制の対象から外れるガソリン車に限られる。

 「本当は、ランクル100ぐらいでデモ車を造りたかったのだけれど、なにぶん車両価格が高すぎるんでね」
 と、網代さんはちょっぴり残念そうだ。
 ただ、ランクル100になってしまうと、ベース車自体が重くなってしまうので、アルミシェルを架装しても、あまり軽量化のうまみが出ないとも。

 でも、100のオーダーがあれば造りたいらしい。
 本当は、そういう顧客が現れることを待ち望んでいるようだ。

campingcar | 投稿者 町田編集長 16:32 | コメント(0)| トラックバック(0)

ピッコロキャンパー

【お勧めキャンカー19 「Piccolo Camper」 】

 軽キャンカーブームは依然として続いている。
 いや、もしかしたら、これは 「ブーム」 ではないのかもしれない。
 ブームであるかぎりは、いつか人々は飽きて、去っていく。
 しかし、軽自動車キャンピングカーは、一向に衰える気配を見せないどころか、ますます隆盛を極めている。
 「ブーム」 というよりも、もう完全に軽キャンカーは、日本のキャンピングカーの1ジャンルとして定着したといえそうだ。

 軽キャンカーの魅力のひとつは 「手軽さ」 。
 取り回しの手軽さもあるし、税金などの維持費を含めた経済性の良さも、購入するときの気分を軽いものにする。
 しかし、そのような手軽さを売りにする軽キャンカーのなかには、造りの質感も “手軽” に感じられるものがないわけではない。

 ところが、このオートワン (株式会社クルーズカンパニー) さんが手がける 「ピッコロキャンパー」 と 「ピッコロキャンパープラス」 は、軽キャンカーには珍しい高級感が漂っている。
 「軽の高級車」 というのは、案外ありそうでなかった。
 
 高級感の秘密は、無垢材を使った木工家具の造り込みにある。
 たとえば、スバルサンバーをベースにした 「ピッコロキャンパー」 のギャレーまわりやオーバーヘッドキャビネットまわりなどを見ると…

ピッコロキャンパー内装1 ピッコロキャンパー内装3

 いやぁ、もう一瞬ハイエースあたりの上級バンコンを見るかのように思えてしまう。
 このような無垢材をふんだんに使ったピッコロキャンパーの木工家具の出来栄えは、一般の人がイメージする 「軽自動車」 の領域を軽々と超えている。
 ギャレーカウンターの支えの木工も、手が込んでいてお洒落だ。
 もちろん、この波打ったデザインは、ロッドホルダーのような 「物掛け」 として機能していることはいうまでもない。

 頭上の圧迫感を取り除くために、オーバーヘッドキャビネットの扉などには傾斜が設けられているのだが、そのアールの採り方も絶妙。
 ▼ こちらはピッコロキャンパープラスのオーバーヘッドキャビネット。

ピッコロプラス内装4

 ピッコロキャンパーと、ピッコロキャンパープラスの違いは、ベース車の違い。
 キャンパーはスバル・サンバー。
 プラスはスズキ・エブリィ

ピッコロキャンパー外装 ピッコロプラス外形2
 ▲ ピッコロキャンパー     ▲ ピッコロキャンパ-プラス

 ベース車の違いによって、レイアウトが若干異なる。

ピッコロキャンパー内装1 ピッコロプラス内装1
 ▲ ピッコロキャンパー内装   ▲ プラスの室内

 ピッコロキャンパーには、小さいながらも本格的なギャレーがボディ左サイドに設けられている。
 これは、サンバーがもたらすこのクラス最大級の室内容積を生かしたからこそ生まれた企画。このギャレーを設定した状態で、夫婦2人が寝られるスペースが確保されている。

 一方、プラスの方は、さらに居住スペースを広く取っているのが特徴。

 ▼ ピッコロキャンパーの独立型シンクとは異なり、こちらにはボディサイド埋め込み型の 「収納式シンク」 が採用されている。

ピッコロプラス内装2

 ▼ どちらのタイプにも、脱着式のセンターテーブルが、リヤ側にも、エントランスドア側にも付けられるようになっていて、野外テーブルとしても機能している。

ピッコロキャンパー内装2 ピッコロプラス内装3

 軽自動車キャンピングカーの世界は、ビルダーにとっては激戦区。
 しかし、ユーザーにとっては、ますます刺激的な、面白いジャンルになってきた。
 ピッコロキャンパー兄弟には、大いに期待したい。

 ちなみに、お値段は、
 ピッコロキャンパー (サンバーバンVB) 2WD MT 1,585,000円~
 ピッコロキャンパープラス (エブリィGA) 2WD MT 1,649,000円~


campingcar | 投稿者 町田編集長 23:45 | コメント(0)| トラックバック(0)

3泊4日の旅

 3泊4日、往復900㎞ほどの旅を終えて、先ほど帰ってきたところ。
 TAS (トレール・アドベンチャー・スピリット) からのご招待を受けて、富山県・高岡市を流れる庄川の 「鮭祭り」 を堪能した。

庄川風景 鮭祭り看板

 直前にカミさんが熱を出してしまったため、1日遅れての出発。
 金曜日の夕刻家を出て、長野道の梓川SAで1泊。

雪景色

 妙高の雪景色を眺めながら、北陸道に入ったのが、土曜日の昼頃。
 左に展開する雄大な立山連峰。

立山連峰

 だだっ広い関東平野に住んでいる人間にとって、こういう山脈が連なる風景を眺めるというのは、もう、それだけで “ご馳走” だ。

 会場入りできたのは、14時過ぎ。
 1日遅れとなったが、戸川さん、川越会長らに暖かく迎えられ、長旅の疲れも一気に吹き飛ぶ。

 さっそく長江さんから、小鉢に山盛り一杯に盛られたイクラをいただく。
 取れたばかりのイクラというのは、臭みがないばかりでなく、味そのものがまろやか。
 これほど新鮮なイクラを、しかも大量に食べたのは生まれて初めて。
 自分の胃がびっくりしている感じが自分の脳に伝わってくる。

イクラ

 17時よりパーティ。
 いつもお世話になっている小杉夫妻と、山本馬骨夫妻と同じテーブルに着く。
 鮭の串揚げ、クリームシチューなどを堪能。
 山本夫妻からは、おいしいお味噌をつけて食べる野菜スティックなどをご馳走になる。
 小杉夫妻ともども、3夫婦で旅の話に花が咲く。

 メンバーを紹介する戸川さんのトークが、相変わらず冴えに冴えわたっている。
 なんで、この人はこんなに絶妙のしゃべりのワザを持っているのか。
 いつものことながら感心する。

 ビジターとして初参加の山本馬骨さんの自己紹介が始まる。
 「最近私は、ずっと帽子を着用しているのですが、その理由は、帽子を取ると皆さんがまぶしくて困るだろうから…」
 …といいながら、帽子を脱いで挨拶するというシャレに、会場がドッと湧く。
 なんと温かいユーモアをお持ちの方なんだろう。

 そのあとは、同じジョークで帽子を脱ぐ方々が続出。
 パーティ会場は笑いの渦に。

 テントの中で2次会が始まる。
 よせばいいのに、酔っ払って調子をこいた私は、またしても谷口さんのギターを取り上げて、下手な歌を唄う。
 幸い、谷口さんは優しいから、大目に見てくれる。
 でも、聞いている人たちは、悪酔いしたと思う。

 しかし、さすがに戸川さんは、場の雰囲気を正常に戻そうという理性を働かして、立ち上がってカンツォーネを独唱。
 やっぱ、かつてプロだった人は違うわ。
 ようやくパーティらしくなった。

 寝る前に、馬骨さんの愛車の中を見せてもらった。
 「くるま旅」 の達人らしく、創意工夫を凝らした 「生活の場」 になっている。
 それに比べると、自分のクルマはイベント会場に置かれた展示車のように素っ気ない。
 いろいろ勉強になった。

 翌朝、記念の集合写真を撮った後、参加者も三々五々帰路につく。
 小杉夫妻に教えていただいた 「上山田温泉」 の 「瑞祥」 という立ち寄り湯を目指す。

 今回の旅での初の温泉に浸かって、疲れを癒す。
 そのまま上信越道を使って、関越に入るか、それとも長野道に戻るか迷う。
 距離にすると100㎞ほど遠回りになる長野道~中央道を使って、諏訪を目指す。
 
 日曜の夜は、諏訪SAの湖岸の明かりを眺めながら休憩。
 コルド・ディナモの先客が1台いる。
 もしかして、名古屋のショーに行かれたキャンピングワークスの鈴木さんかな…とも思いながら、休んでいられるようなので、声をかけるのをひかえる。
 
 月曜の朝は快晴。

うろこ雲

 諏訪から降りて、国道20号線をのんびり走る。
 夕方、家に着く。
 荷物を下ろして、車内を簡単に掃除して、カセットトイレの処理をしたらもう夜。
 犬のウンチは、トイレットペーパーに包んで、みなトイレに流してしまうので、家のトイレに流したら、紙がいっぱいだった。
 あれは絶対溶ける紙でなければ大変。

 そういう後処理の苦労はあるものの…
 不思議なものだ。
 荷物を下ろしてガランとした車内を見ると、なんとなく淋しくなって、また、旅に出たくなってしまう。

 
旅&キャンプ | 投稿者 町田編集長 23:42 | コメント(0)| トラックバック(0)

準備OKだが…

 この3連休、遠出の計画があった。
 わが愛車も5年目。遠出を前に気になっていた箇所を修理に出した。

コマンダーコインP

 お台場のショーに持ち込んだ帰り、いくら走っても、サブバッテリーが充電しなくなったのだ。
 去年替えたばかりなので、まだそんなに弱っているはずはない。配線トラブルも考えられる。

 ということで、急いで近所の 「キャンピングワークス」 さんに持ち込んで見てもらうことにした。

 配線にはまったく問題がないという。
 考えられるのは、メインバッテリーの弱りすぎ。走行充電しても、メインの方に取られるので、サブまで回らなかったのではないかという。

 メインバッテリーももう5年使っている。
 思い切って、交換してもらうことにした。
 ついでに、オイル交換もお願いする。
 ついでに給水。

 その足で、タイヤ屋さんに行って、注文していたフロントタイヤも2本交換。
 ミゾはまだ十分残っていたが、すでにひび割れが目立ってきている。
 高速道路を長く走るのでバーストが怖い。
 これも遠出を意識して今日替えた。
 
 これで旅支度は万全。
 …と思いきや、家に帰ってきたら、カミさんがバーストしていた。
 風邪を引いて熱を出してしまっている。

 今晩家を出る予定だったが、一晩様子見。
 なかなかうまくいかないものだ。

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 00:33 | コメント(0)| トラックバック(0)

怖い預言者

 昔からときどき仕事上のアドバイスをもらっている先輩がいる。

 怖い人だ。
 相手が誰であろうと、自分の意見と合わない人間に対して容赦しない。
 目上の人に対しても、いつもタメ口。
 気に入らない相手を前にすると、一言もしゃべろうとしない。

 で、タバコの煙をその人間に向かって、フゥーっと吐きつける。
 ま、ケンカも好きな男なんだわ。
 弱いくせして。

 俗世間のアカに染まった私なんぞは、そういう態度が改まらない先輩に対して、いつもヒヤヒヤしてしまうのだが、本人はいたって平気のようだ。

西園

 「オレは、人のいない荒野に向かって、メシア (救世主) の到来を叫ぶ預言者だ。オレの意見など聞く人間が一人もいなくても、オレがその登場を予言したメシアが現れれば、その声には、やがて全世界の人が耳を傾けなければならなくなる。
 だから、お前が救世主になれ。そしてオレの声を民に伝えろ」
 
 …と、訳の分からないことを言う。
 私は、“救世主” などという面倒くさい役目はまっぴらゴメンだが、この煙たい預言者の前に出ると、どうも、ネコの前でちぢこまったネズミのような気分になってしまい、何も言い返せなくなる。

 ま、世の中の流れに乗らずに超然と生きている人だ。
 だから私は、密かにその先輩を 「K仙人」 と呼んでいる。

 そのK仙人から電話があった。
 以下は、そのやりとり。

【仙人】 JRVAのシンポジウム手伝ったんだって? ホームページで読んだわ。まだまだあかんな。
【オレ】 ダメですかねぇ…
【仙人】 キャンピングカーは宿代がかからず、どこでも好きな所で泊まれるなんて言い続けてきたから、アホな問題が起こっているんや。
 キャンピングカー業界も、ユーザーも、いつまでもそんなのんきな気分でいると、もう先はないんとちゃう?

【オレ】 え、どういう意味ですか?
【仙人】 考えてもみいぃよ。やれ温暖化だの、やれ石油が残り少なくなってきただのというご時世なんだから、建て前でもいいから、「環境保全」 でも訴えないかぎり、世間的に通らへん時代だろが。
 そんなとき、「安く旅しよう」 なんて言うてみな。
 それなら、クルマをやめて電車や自転車で移動しましょう…となるじゃないか。
 みんなアホやな。自分で自分の首を絞めおって。

【オレ】 じゃ、どうすればいいんですか?
【仙人】 発想の転換が必要なんや。「贅沢」 という言葉の意味を変えないといかん。
 今、キャンピングカーで 「贅沢」 というと、やれインバーター付けて、発電機買って、薄型テレビを付けて…となるだろうが。
 要は、物ばかりかさんでいくというスタイルやな。
 だけど、「エアコンの温度を28度にとどめましょう」 なんていう時代になったんやで。
 快楽を追求するためのエネルギー消費を見直そうという風潮がこれから加速してくやろうから、「便利な装備」 なんて、やがて売りにならん時代になってくる。

 そのときに 「不便を楽しむことこそキャンピングカー旅行の贅沢」 という売り方をせんとあかん。
 そして、「それこそがキャンピングカーの贅沢である」 と訴えていかんと、この先商売そのものも難しくなるとちゃう?
 ほんとの金持ちは、不便な生活環境を楽しむことが 「お洒落」 って感覚を身に付けているものよ。

【オレ】 いやぁ、おっしゃることは分かりますけどね。でも便利なものを増やしていくというのは、人間の文明の性 (さが) みたいなものじゃないですか。
 それは正しくないことのなのかもしれないけれど、快適性というものが物質的に保証された社会をそう簡単にくつがえすって、理屈で言うほど単純なものじゃないと思うけどな。

【仙人】 お前アホやな。便利な物ってのは、キリがないんだわ。人間はひとつの快適さに慣れれば、やがてそれにも不満を感じる動物なんだわ。
 そして次から次へと快適さを求める無限地獄に陥るわけよ。
 そんなふうにキャンピングカーを売り続けていくと、どんどん高いものになって、それこそ庶民の高嶺の花になっていくやろ。
 それって、結局マーケットを縮めることになるんとちゃう?

【オレ】 じゃ、どうすればいいんですかね。
【仙人】 だからさっきから言っとるやろ。発想の転換や。つまり 「洗脳」 や。「不便さを求めて山奥のキャンプ場に行くことこそ贅沢」 って売ればいいのや。

【オレ】 そりゃ言葉としてはカッコいいですけど、現実的にはそれじゃなかなか売れませんよ。
 もちろん認めますよ、そういう意見。
 でも、やっぱりコンビニやファミレスが近くにあったり、すぐに立ち寄り温泉に寄れたりする便利さって、否定してはいけないものなんですよ。
 難行・苦行こそキャンピングカーの楽しみっていうのは、どこか倒錯的じゃないですか?

【仙人】 いいよ、今のうちは。でも、あと10年、いや5年のうちにモータリゼーションに対する考え方はガラっと変る。
 便利とか、快適とか、そういうのを求め続けてきた消費文明そのものが、いま見直しを迫られているわけやろ?

 自動車もそうなんよ。
 この前までやっていた 「モーターショー」 見れば分かるやんか。
 どこのメーカーも、模型のようなエコカーと、即売できるようなハイパワー車の2本立てやったろ? 
 あの意味分かる?
 ガソリンがあるうちは、夢のハイパワー車でがんがん稼ぎ、やがて 「ガソリン消費量を見直そう」 という世論が強くなってきたら、さっとエコカーに切り替える。
 乗用車メーカーはしたたかなんよ。
 
 キャンピングカー業界も、今のうちに 「私らもエコに関して十分に関心を払っていますよ」 という姿勢を見せておかなきゃいかんでしょ。
 ただでさえ図体のでかいクルマなんだから、「あれって、ガソリンがぶ飲みだよね」 なんていう世論形成がなされたら、ぜったい不利よ。

【オレ】 いやぁ、そりゃそうですけど…、その 「姿勢」 ってのが、難しい。
【仙人】 だから、キャンピングカーって、ガソリンを消費して走っているときよりも、泊まっているときに真価を発揮する乗り物なんだという、その特徴をアピールしていけばいいんだよ。
【オレ】 あ、それは私も考えたことがありますけど、…でも詭弁という感じも…

【仙人】 詭弁でも何でもあらへん。それは事実やろ?
 で、キャンピングカーの行く先といえば、人間が共生を図らなければならない 「自然」 や。
 人間は自然と触れ合った時のバイブレーションを経験してこそ、生き物としての実感を得られるようになっている。
 その自然と人間のバイブレーションを取り持つ役がキャンピングカーや。
 どや? それには誰も反論できんやろうが。
 「グッ、グッ、グッ、グッバイブレーション!」 ビーチボーイズや。

【オレ】 先輩、古いっすね。
【仙人】 古いってこと知っているお前も、古いね (笑)
 …ま、とにかく、コンビニとか立ち寄り湯とか、既成の快適さを求めるだけのキャンペーンを続けていると、10年後のキャンピングカーマーケットは縮小だな。
【オレ】 じゃ、どうすればいいんですか?

【仙人】 何もない状態でも楽しめるという、「物」 に頼らないキャンピングカー文化をつくらねばいかんな。
【オレ】 …というと?
【仙人】 なんで旅に出てまでも、電源つないで車内でテレビを見なければいかんのだ?
 ランタンの明かりだけで、じっくりと舌の上に酒を転がすだけでいいじゃないか。
 何もないキャンプ場で退屈するという人もおるが、そういうところに長逗留するには、知性と教養が必要なんだよ。

 瞑想する。本を読む。散歩をする。
 心が豊かになれば、気を紛らわすものがないという嘆きなどととは無縁になるだろうが。
 不便を楽しむってのは、貧乏くさくなれってこととは違うのよ。
 むしろ、そっちの方が、高度に知的な遊びなのよ。
 そいつを 「文化」 と呼ぶわけね。

【オレ】 そりゃ 「仙人様」 の発想ですよ。私ら庶民には高尚すぎて…
【仙人】 だから貧しいんだよね。
 想像力の豊かな人間には、道ばたに転がる石を眺めているだけで、何時間にも及ぶドラマを見出すことができるのよ。
 今、キャンプ系メディアが取り上げなければいかんことは、ダッチオーブンの使い方なんかやなくて、「路傍の石」 の眺め方なんよ。
 お前のところが出している本も含めて、そういうことを訴えるキャンプ本ってないよね。
 ま、お前は “救世主” なんやから、これからも頑張ってや。

 ガチャン

 いつも電話は唐突に切れる。
 私は、そのたびに宿題を背負わされる。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 01:50 | コメント(7)| トラックバック(0)

ドルフィン

【お勧めキャンカー18 「 Dolfin 」 】

 1990年代末、「カリフォルニア・ドルフィン」 という画期的なキャブコンが登場したことがあった。
 『キャンピングカー super ガイド』 が、まだ 『RV & キャンピングカーガイド』 と名乗っていて、写真はモノクロだった時代だ。

カリフォルニアドルフィン

 カリフォルニア・ドルフィンは、当時の人気車だったオックス、ジル、リバティ、トランクサルーン、チャンプなどと並んで、ショーの会場でも注目を集めた。
 驚異のコストパフォーマンスを発揮したクルマだったからだ。

 当時、トラックシャシーをベースとするキャンピングカーにはカムロードの供給が始まっていたが、「キャブコン」 という言葉は生まれていなかった。それらは一括して 「Tボディ」 と呼ばれた。

 そのTボディの人気車たちは、みな400万円台から500万円台の価格で売り出されていたが、カリフォルニア・ドルフィンが提示したプライスは、なんと398万円。
 しかも、3ウェイ冷蔵庫、温水ボイラー、FFヒーターなど、当時のキャブコンの人気装備類をほとんど標準にした状態だった。

 ただ、このクルマは、インテリアのテイストが進み過ぎていた。
 当時は、合板を使っても 「高級天然木」 っぽいデザインが好まれていた時代で、家具色も濃い目が主流。家具扉などには、アメ車ゆずりの金モールが施されたクルマも多かった。

 そんな流れに立ち向かうように、カリフォルニア・ドルフィンの1号車は、浅めの家具色にブルー地のシートを組み合わせ、カジュアル路線を打ち出していたのだ。
 キッチンカウンターは、目にも鮮やかなホワイト。
 外板色も、うちの本で紹介したバージョンは、純白のシェルにブルーのスカートを巻いたマリンカラーだった。

 今、スポーツ志向のユーザーが見たら、とても新鮮に映るはずのこのカジュアル路線は、当時として早すぎたのかもしれない。
 どのクルマも、掲げたプライスにかかわらず 「高級感」 にこだわる傾向が強いなかで、カリフォルニア・ドルフィンのスポーティ感覚は、若い人以外には理解されにくかったと思う。
 
 せっかくのコストパフォーマンスの魅力を発揮しながら、カリフォルニア・ドルフィンは、いつの間にか姿を消していった。

 ところが、11月初旬の東京・お台場のショーで、なつかしい 「ドルフィン」 という名を掲げたキャブコンを見ることができた。

 出展者は、やはり、あのカリフォルニア・ドルフィンを開発したカスタムモーターサービスさん。
 今回は、ボディパネルが、なんとオレンジ色のエンボス。
 こんなキャブコン見たことがなかった。

ドルフィン外形1 ドルフィン外形2

 開発したカスタムモーターサービスの鷹森社長に、FRPパネルをエンボス加工した理由を聞いてみた。
 
 「FRPパネルは、どんなに平滑性を追求しても、波打ったり、凹んだりすることが避けられません。ならば、いっそのことエンボスにすれば傷つきにくくもなるし…」
 とのこと。

 ヨーロッパモーターホームや輸入トレーラーなどには、ときどきアルミ板をエンボス加工したパネルが採用されている。
 エンボスは、確かに板そのものの強度を増すし、腰が強くなるというメリットをもたらせ、傷がついても目立たないという利点を生む。
 しかし、掃除の手間がかかるとも言われる。

 「掃除のことは皆さんよくおっしゃるけれど、ワックス効果のあるシャンプーなどで外板を洗ってもらえれば皮膜ができるので、掃除はそんなに大変じゃないんです」
 と、鷹森さんはいう。

 「いちばん理想的な掃除方法は、生ダイコンで擦ること。これでスリおろしたダイコンおろしはおいしいんです (笑)」
 「???」
 …危うく信じるところだった。

 中を見せてもらったが、今回もスポーティ路線にこだわっている。
 最大のポイントは、ガバッと大きな開口部を持つリヤラゲッジルーム。
 
ドルフィンリヤラゲッジ

 床にはシャワーパンが設けられ、天井、側面もFRPで覆われている。
 釣り、ダイビング、サーフィンなどを趣味とするユーザーを想定した造りだ。
 あいかわらず、マリン志向。
 カリフォルニア・ドルフィンの精神は、10年近く経っても健在だった。

ドルフィン内装5

 このラゲッジルームとキャビンの間は、扉で仕切ることも可能だが、基本的には貫通。
 カヌーなどの積み込みも想定しているからだ。

 リビングはL字ソファ。
 その上にはFRP製のオーバーヘッドキャビネットが付く。このプロトタイプでは扉が付いていなかったが、扉を付けず、ゴムのネットを張ることも想定されている。
 ただ、FRPのむき出しは素っ気ないので、革を巻いたとか。

ドルフィン内装6 ドルフィン内装4

 「むき出しのままでも、昔のデヘラーみたいな雰囲気でいいんじゃないですか?」
 と聞いてみたが、
 「いやぁ、あの雰囲気はどう頑張ったって出ないですよ。あれはFRPではなく、樹脂ですから。デヘラーみたいなクルマは、よほどお金をかけないと無理でしょうね」

 鷹森さんのさりげない一言に、ヨットメーカーの 「デヘラー」 が造ったキャンパーに対する彼の畏敬の念が伝わってきた。
 私もあのクルマに憧れたクチだから、あまり木工が全面に出てくるクルマでなくても構わないという気持ちが、どこかにある。

 ヨットメーカーがお金をふんだんに投入して、マリンのイメージと機能をキャンピングカーに盛り込んだデヘラー。
 形としては対極にありながら、その精神は、どこかドルフィンにもつながっているような気がする。

 このドルフィンでユニークなのは、リヤサスに標準装備されたエアサスペンション。
 エアバッグで車高を調整しようというもの。
 ラゲッジルームに重量物を積載したときの尻下がりを防ぐためである。

 売りは、このクルマにおいてもコストパフォーマンス。
 2WDの5速ミッションで、2,980,000円。
 4WDでも3,290,000円。
 かつてカムロードをベースとしたカリフォルニア・ドルフィンでは、驚異のコストパフォーマンスが話題になった。
 このクルマも、台風の目になるかもしれない。

 お台場ショーのデビューでは、まだ8分ほどの仕上がりだった。
 来年2月の幕張ショーでは完成形が出るという。
 そのときに、「ドルフィン」 を名乗っているかどうかは分からないというが、でも、きっと大海を泳ぎ回るイルカのように、颯爽とした小型キャブコンが誕生していることは間違いない。

campingcar | 投稿者 町田編集長 03:14 | コメント(2)| トラックバック(0)

デュエットT-2

【お勧めキャンカー17 「Duetto T-2」 】

 「魔法の小箱」
 そんな言葉がすんなり浮かんでくるトレーラーだ。
 何が “魔法” なのか?

 外と中が大違い。
 広さのことである。

 この 「デュエット T-2」 というトレーラーは、外から見ると実に小さい。ドローバー部分を入れても全長4.8mだから、かなりコンパクトにまとまっているといえよう。
 第一印象では、
 「まぁ、可愛い!」
 という言葉がすぐ浮かんできそうだ。

デュエット外形1
 ▲ 洗練されたモダンテイストを持ちながら、愛くるしい愛嬌もあり、「カッコいい!」 と 「可愛い!」 が両立した稀有なデザイン

 ところが、中に入るととてつもなく広い!
 
デュエット内装3 

 視覚のマジックなのだが、キャンピングカーの場合、実測値の広さよりも、視覚的な広さの方がはるかに 「心のゆとり」 が得られる場合が多い。
 デュエットT-2ならば、夫婦2人で使う限り、どんなに室内に長くこもっていても、「室内が狭い」 などという不満が出ることは、まずないだろう。

 「広さ」 を感じさせる最大の秘密は、迫力あるパノラマ感を演出しているフロントウィンドウ。
 横幅ぎりぎりまでに広げられたグラスエリアが、車内をサンルームのような明るさで満たしてくれる。
 
 左右のウィンドウや、リヤウィンドウも、キャブコンナ並みの大きさが与えられており、採光効果は抜群。これだけの窓面積の比率の高いトレーラーも、ちょっと見当たらない。
 晴れた日のキャンプ場の芝生サイトなどに止めておけば、フロントウィンドウには青空が広がり、サイドウィンドウには芝生のグリーンが映えて、さぞや気持ちいいだろう。

デュエット内装5


 このトレーラー
 果たしてどういう経緯で開発されたのだろうか?
 
 製作しているのはグローバルさんだ。
 エクステリアの特徴から、すぐそれを見抜かれた方も多かろう。
 ボディ側面には、断熱材を封入しやすいパネル工法が生かされ、それをアールを持たせたコーナーを使ってデザイン的に処理している。キングやユーロスターなどのキャブコンを思わせるスタイルだ。

 そのグローバル社の技術を生かし、「あかひら」 の赤平好美社長が、ご自分の構想を導入してまとめあげたのが、このデュエットT-2.

 狙いは、ずばりトレーラー版 「ふたりのくるま旅」 。

あかひら赤平社長

 トレーラー利用者は、ファミリーの比率が多い。
 それも、子供が大きくなるにつれ、牽引免許対応型の大型トレーラーに移行するケースが目立ってくる。

 しかし、子供が成人してキャンプに着いてこなくなると、トレーラーから卒業してしまうユーザーも多い。高齢になると、重量級トレーラーを大型ヘッドで振り回すことを面倒だと感じる人も出てくるからだ。
 それよりも、取り回しがよく、維持費も安い小型の自走式を買って、「気楽に旅したい」 と思うのは人情。
 軽キャンカーに注目が集まっているのも、そういうシニアの志向を反映している部分がある。

 「しかし、それではつまらなかろう」
 と、赤平さんは言う。

 定年退職をするぐらいの年齢になれば、あり余るくらいの時間を持てるようになる。
 土日しか利用できない現役時代から解放され、気に入った場所にじっくり腰を落ち着ける旅ができるようになるのだ。
 ましてや、旅行者の旅先における滞在時間を、国を挙げて増やそうとしているようなご時世。

 連泊サービスやシニアサービスのある安いキャンプ場などに腰を落ち着けるような旅では、ヘッドを自由に使って観光地めぐりができるトレーラーが絶対に有利……なのだが、肝心のシニアがなかなかそれに気づかない。

 彼らを振り向かせるには、体力・気力の減退を自覚したシニアでも気楽に取り回せる小型トレーラーを開発するしかない。
 赤平さんがこのデュエットT-2でやりたかったことは、それだ。

 デュエットのような軽量コンパクトなライトトレーラーなら、大げさなヘッドも要らないし、連結状態での取り回しも楽。
 プロトタイプの重量は約700kgだが、装備や家具の見直しによって、量産タイプでは650~680kgぐらいまでのスリム化が図れるという。

デュエット外形2

 シニアユースを意識して、レイアウトも “お座敷風” 。
 二の字のソファで構成される洋風対面ダイネットが通常の使い方だが、赤平さんのご推奨は、フラットなフルベッド状態であぐらをかき、テーブルを “ちゃぶ台” として使う和風スタイル。
 これだと、疲れたときはそのままゴロンと横になれる。
 キャンピングカーの中に靴を脱いで入る日本人にとって、この 「やぁ食ったぁ…ゴロン」 感覚は、一番のくつろぎになる。

デュエット室内4

 「今後は、そのものズバリの畳仕様も検討中」
 とか。

 どのような仕様も思いのままであることが、国産トレーラーのメリット。
 トレーラーの世界に、新しいムーブメントが生まれるかもしれない。 
 
campingcar | 投稿者 町田編集長 11:51 | コメント(2)| トラックバック(0)

久しぶりの麻雀

 土曜日の午後、久しぶりのマージャン。
 メンバーは、かつて同じ職場にいた同僚たちだが、マージャンそのものが久しぶりなら、会うのも久しぶり。

マージャン牌
 
 当然、雀荘というのが久しぶりなので、何事も戸惑うことばかり。
 まず、卓が自動卓になっている…ということぐらいは以前から知っていたけれど、最近の自動卓というのは、サイコロすら使わない。
 親を1回決めると、後は勝手にツモ牌が卓の下から自分の前にせりあがってきて、ドラ牌まで勝手にひっくり返っている。
 
 点棒箱も、万点棒、千点棒の重みを自動的に計算する仕組みになっていて、自分が現在所有している点棒のみならず、対局者全員の点数が瞬時に把握できるようになっている。

 しばらくマージャン牌などというものを握っていない間に、マージャンの世界はとんでもないことになっていたことを知って、愕然とした。

 自動卓になって、積むのも機械、サイコロを振るのも機械になってしまえば、イカサマなど遠い世界。
 詰め込みの技術などを誇っていた昔風のイカサマ氏など、まったく活躍する場がなくなってしまったわけだ。阿佐田哲也の 「麻雀放浪記」 を読んでも、その世界を理解できない人たちも増えたと思う。

 日本のマージャン人口が増えているのか、減っているのか知らないけれど、街を歩いていても、雀荘の姿をあまり見なくなったところを見ると、遊ぶ人の数は減っているのだろう。
 
 なにしろ、マージャンをやるためには、4人のメンバーを集めなければならない。
 これがけっこう大変だ。
 声をかけあってすぐ集まれるのは、よっぽどヒマな学生か老人か、ということになるが、遊びのアイテムに恵まれた若者たちが、マージャンだけにうつつを抜かすとは考えにくく、結局は、ゲートボールみたいにジジイの遊びになっていくのだろう。

 しかし、ゲームとしては、マージャンは実によくできたゲームだと思う。
 なによりも、「人間観察」 の場を提供してくれる。

 マージャンには、その人間の性格が表れるとよくいわれる。
 日頃温厚そうに振る舞っている紳士が、マージャンの卓を囲んだ瞬間に攻撃的性格を発揮したり、そそかっしい感じの人が、意外と慎重な打ち方を披露したりする。

 だから、マージャンに勝つためには、牌の流れを読むだけでなく、対戦相手の性格分析のようなものまで必要だ。
 
 相手が勝負してくるタイプなのか。
 勝負を避けて、チャンスが来るまで待つタイプなのか。
 それによって、こちらの打ち方も変る。

 対局中に相手が発する冗談、雑談のたぐいから、タバコに火をつけるときの仕草まで、相手の進行速度を読む判断材料となる。

 そういった意味で、人間を読むことに長けた人には面白いゲームなのかもしれない。
 小説家の吉行淳之介や色川武大 (阿佐田哲也) などが数多くの武勇伝を残しているというのも、彼らが人を読む仕事に携わっていたからだろう。

 で、昨日のマージャン。
 半荘2回で、マイナス19。
 えーい、負けてしまったわい。

 現在、マージャンはパソコンやゲーム機で、一人で遊ぶことができる。
 自分もさんざんパソコンでマージャンも打ったけれど、「人の心理を読む」 という面白さは、そこにはない。

 マージャンというゲームは、いろんな意味で、「昭和のゲーム」 だったなぁ…と思う。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 04:48 | コメント(4)| トラックバック(0)

アトランティス

【お勧めキャンカー16 「 ATLANTIS 」 】

 日産ピーズフィールドクラフトの野望。
 新型アトラスをベースにした 「アトランティス」 というクルマを見ていたら、ふとそんな言葉が浮かんだ。
 
 「野望」 などという言葉を使うと、何やら下品でワルっぽいイメージを抱く人がいるかもしれない。
 しかし、「野望」 は 「希望」 のスケールがでっかくなった時の言葉である。
 「希望」 が口を開けて待つものだとしたら、「野望」 は自ら進んで取りに行くものだ。
 カッコいい言葉なんである。
 KOEIの戦国時代ゲーム 『信長の野望』 が変らぬ人気を集めているのは、それが 「野望」 だからだ。 『信長の希望』 だったら、きっと誰も遊ばないだろう。

 で、ピーズさんの野望。
 アトランティスを引っさげて、お台場のショーに乗り込んできた日産ピーズさんには、
 「やがて、国産キャブコンのアタマを取ってやる!」
 ぐらいの気迫が感じられた。

アトランティス外形1
 
 なにしろ、ベース車のニューアトラスは、この7月にリリースされたばかり。
 それが10月末の 「東京トラックショー」 では、もうシェルを積んだキャブコンの形でデビューしている。

 開発期間は、正味2ヶ月ほど。
 この異例の開発スピードは、このクルマが、実はそうとう前から密かに企画されていたことを物語っている。
 そうでなければ、あれほどの完成度の高さは生まれない。
 「これがキャブコンの初挑戦? ウソでしょ?」
 と言いたくなるほどだ。

 開発担当者の畑中一夫取締役に、そこのところを聞いてみた。
 「すでに3年ほど前からの構想だった」
 という。

畑中一夫氏

 今までのピーズクラフトさんの開発するクルマは、キャラバンやセレナをベースに、簡易的な装備を組み込んだライトキャンパー的なものが多かった。
 「しかし、いつかはキャブコンからバンコンまでを揃える総合メーカーとして名乗りを挙げたい。それも、カムロードやハイエースが主流の国産キャンピングカーシーンにおいて、日産ベース車の凄さをキャンピングカーの分野で訴えたい」

 そういう畑中さんの気持ちは、すでに3年ぐらい前に固まっていた。

 あの世評の高いキャラバンベースのバンコン 「グルーヴィー」 も、ある意味で、このアトランティスを開発するための準備だったという。

 グルーヴィーのような本格的な家具を搭載するキャンピングカーを、どこまで緻密に仕上げることができるか。その正否が、次のジャンプの距離を決める。
 畑中さんは、それに賭けた。

 幸いなことに、グルーヴィーの成功は、このアトランティスの開発を自信をもって進めることにつながった。

アトランティス外形2 アトランティス外形リヤ

 実際、このアトランティスを眺めていると新鮮だ。
 あきらかに、カムロードとは違うたたずまいのキャブコンが生まれている。
 ベース車自体にエッジが立っている。
 それに合わせて、シェルも、スクエアなフォルムに凛々しさを湛えたバランスの良いデザインにまとまっている。

 全長は4.96m。全幅1.96m。
 5m×2mの規格をわずかに縮め、取り回しの良さを追求している。
 ターニングサークルは4.4m。
 これは、日産車でいえばキューブの回転半径だ。
 小回りの利くキャブコンであることが、それからも分かる。

 エンジンは2リッターのガソリンと、3リッターのディーゼルターボ。新長期排ガス規制をクリアしたものだ。
 特にディーゼル車は、時速100~120㎞ぐらいの巡航速度で走っていても、そこからスロットルを踏み込めば、さらに力強く加速していくというから頼もしい。

 カムロードのように、キャンパーシャシーが開発されているわけではないので、ワイドトレッドのような設定はない。
 しかし、リヤサスペンションには、耐過重性を強化した重荷重サスペンションの設定がある。
 「ちょっと、今の国産車の主流シャシーでは太刀打ちできないほどの素晴らしいコーナリングですよ」
 と、暗にカムロードを指しているのか、畑中さんは胸を張る。
 このあたりは、まだ試していないので、まぁ、言葉を信じよう。

 室内レイアウトは、オーソドックス路線。
 対面ダイネットにリヤ2段ベッド。
 それによって、7人乗車の7人就寝が実現されている。

アトランティス内装1 アトランティス内装3

 最初のキャブコンなので、奇をてらうより、いちばん需要の多いところを狙ったとのこと。
 「どこにでもある定番レイアウトのなかで、いかにピーズクラフトらしさを出すか」
 それが最大の課題だったとも。

 勝負ポイントのひとつは質感。
 樺 (かば) の天然木を使った木工家具は、造りの精度の高さ、仕上げの緻密さで上級キャブコンとしての貫禄は十分だ。
 シート地は、大胆なチェーン柄で、オレンジの縁取りが回っている。
 派手だ。
 しかし、楽しい。
 エントランスドアを開けて、中を覗き込んだだけで、このクルマの放つ強烈な個性が目を捉えて離さない。
 イベントで展示されたとき、きっとこの柄を記憶にとどめる見学者は多いことだろう。

アトランティス内装4

 勝負ポイントの二つ目は、きめ細やかな 「便利装備」 。
 たとえば、エントランス脇に設定されている傘立て。
 単座シートの上に展開できるフライングテーブル。
 電子レンジの専用スペースも、あらかじめ寸法取りをされた上でギャレー上に設定されている。

 プロトタイプに近いモデルなので、シンクなどはさらに使い勝手をよくしたツインバーナー一体型のものに変更されるという。

アトランティス内装5 アトランティス内装6

 エクステリアの話に戻るが、スカート部ももう少し短く切られて、段差のある路面をまたいでも擦らない形状のものに変更される予定。

 いくつかの改良点は出るようだが、基本形は完成の域に達している。
 これなら、熟成するのも早いはずだ。
 今後パリエーションが追加されるようになってくれば、カムロード系キャブコン勢もうかうかしてはいられない。
 アトランティスの完成度を見て、すでに、新型アトラスに注目しているビルダーは多い。

 おりしも、ベース車としてはライバルに当たるカムロードもモデルチェンジを遂げたばかり。
 日産アトラス VS トヨタカムロード。
 この対決が、国産キャブコンシーンに新しい刺激を与えてくれることは間違いないだろう。

 ちなみに、アトランティスのお値段は、
 2WD 2000cc ガソリン 5AT 5,480,000円。
 2WD 3000cc ディーゼルターボ 6AMT 5,860,000円。

 関連記事 「グルーヴィー」


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:40 | コメント(2)| トラックバック(0)

ファー

【お勧めキャンカー15 「 F a r 」 】

 Far
 はるかに。
 遠くに。
 キャロル・キングが、「Sor Far Way」 …なんて歌うのを聞くと、涙が出てきちゃう。

キャロル・キングtapestry

 26歳のとき、女にフラれてクルマを買った。
 当時トヨタで売っていたスターレットSTという一番小さいクーペ。
 気を紛らわす “おもちゃ” が欲しかったのだ。

 それに乗って、毎日よく走った。
 平日の夜は、ネオンまたたく六本木、原宿へ。
 休日は、峠を越え、林道を走り、海岸に降りて、ひなびた漁村へ。

 東京から18号線を一晩走って新潟へ抜け、日本海を眺めてトンボ帰りなんてこともあった。

 So Far Way
 とにかく、「こんな遠いところまで来た」 という実感が欲しかったのだ。

 あの時、もし女にフラれていなかったら、私はもっと自動車と別の出会い方をしていたように思う。
 仕事のために、必要に迫られて買ったか。
 家庭を持って、家族を楽しませるために買ったか。
 いずれにせよ、自動車は 「生活のツール」 に過ぎなかったかもしれない。
 
 しかし、私は自動車と幸せな出会い方をした。
 それは最初から、So Far Way を教えてくれるロマンそのものとしてあったからだ。

 で、何の話だっけ?
 そうそう。
 お台場くるま旅パラダイスで見た 「Far」 というクルマの話。

ファー1

 ピックアップキャビンの専門店であるミスティックさんは、いつもとてつもない発想の商品開発を試みる会社である。
 
 アルミサイディングで軽量化を図った唯一の国産ピックアップキャビンであるJキャビン。
 タンドラを逆輸入してシェルを載せたTキャンパーやJキャビンFT。

 同社が開発したウィンピュアJ'sなどは、バンコンへの初挑戦ながら、そのユニークな開発コンセプトがまずマニアに認められ、今ではいちばん合理的なレイアウトを持つ人気商品として認知されるにいたった。

 で、この 「ファー」 。
 
 今回、お台場でいろいろな新型キャンピングカーを見たけれど、いちばん衝撃を受けたのが、実は、この搭載装備がほとんどない 「ファー」 だった。

 キャンピングカーではない。
 「寝られる乗用車」 にすぎない。

 でもそれは、ひたすら遠くに行くことだけを願って走り続けた、20代の自分が求めていた自動車だった。

 「ファー」 のベースはトヨタのサクシード。
 展示車は5ナンバーワゴンだが、もともとメインユースを商用車に置いたクルマだ。
 だから、造りは素っ気ない。
 しかし、そこがまたいい。 「男の仕事場」 の匂いがする。ファミリーユースを考慮したセダンやワンボックスにない 「色気」 がある。
 もし、これが乗用ユースのカローラ・フィルダーあたりだったら、逆にこの 「男の色気」 はなかったろう。

 若い人はそんなところに敏感だから、このクルマはけっこうローダウン仕様にされて、ビレットグリルを付けたカスタムカーのベースになったりもしている。

 それに、こいつはよく走る。
 今年の春、まとまった荷物を運ぶ必要があったので、姉妹車のプロボックスのレンタカーを借りた。
 ひぇ、韋駄天!

 仕事で走る人たちのストレスを軽減するために企画されたクルマは、乗用車の 「ファン・トゥ・ドライブ」 などとは違った快適性がある。

 次の配達先に、何時までにたどり着けるか。
 どの道を選べば、渋滞を避けられるか。

 そんなことばかり気にしているドライバーを尻目に、このクルマは、黙々と正確なリズムを刻むデジタル時計のような律儀さで疾走する。 「頼りになる相棒」 が寄り添ってくれる感じだ。
 乗りなれてくると、アクセサリーだけがゴージャスな乗用セダンが、なんとものんきな乗り物に思えてくる。

 ファーは、基本的にベッドスペースとして使える荷室があるだけのクルマだ。
 ただ、顧客の希望によって、ベッドマット、FFヒーター、サブバッテリー、冷蔵庫、テレビ、ルーフオンテントなどが付けられる。
 ユニークなのは、それぞれの装備がみなパーツ売りになっているところ。
 ベッドマットだけ欲しい人は、それを単体で買うことができる。

ファー2 ファー7

 簡素といえば簡素な架装だが、パーツ一つひとつは凝っている。
 ベッドマットひとつとっても、沈み込むことなく、固すぎることもなく、ほどよ寝心地を確保したものがしっかり選ばれているし、ベバストヒーターやバッテリー収納スペースもコンパクトに収まるよう工夫が施されている。
 ヒーターと簡易テーブル、それに5.5リッターの冷蔵庫とテレビがあれば、このクルマで 「あと何がいる?」 って感じ。

ファー5 ファー6

 ベッド長はいちばん長いところで1800㎜。ラウンドした左右の端っこでも、1730取れている。
 姉妹車のプロボックスの設定もあるが、プロボックスはサクシードよりも荷室長が20㎜ほど短い。
 だから、ベッド長を確保するとなると、サクシードの方がベター。このクラスでは最大級の荷室長が確保されている。

ファー4 ファー3

 キャブコンで独り旅を楽しむこともあるけれど、そこには何かが欠如している。
 「家族」 が欠如しているのだ。

 たとえ5m未満のキャブコンであっても、独り旅のときにふと後ろを振り返ると、あのダイネットやキッチンを持つ空間が、よけい家族の不在を物語ってしまう。
 しかし、このファーのようなクルマは、振り返っても素っ気ない空間があるだけだから、逆に家族が不在であるという淋しさとも無縁。
 むしろ、独り旅の解放感を与えてくれる。

 お台場くるま旅パラダイスの会場で、夜、ファーを企画したミスティックの佐藤社長のパーティに顔を出した。

 「なんで、Farという名前にしたんですか?」
 と聞いた。
 「小さいときから、Far …遠くへ、という語感が好きだったんですよ。いつも遠くへ行きたいという思いがあったから」
 
 ふ~ん。
 乗り物が好きな人には、こういう人が多い。
 「ここに同士がいた!」 という思いを強くした。

 参考記事 「ウィンピュアJ's」
 参考記事 「これぞトラキャン」

campingcar | 投稿者 町田編集長 02:59 | コメント(2)| トラックバック(0)

トンデモ検索用語

 このブログを初めて覗かれた方が、果たして、どんな 「検索ワード」 でここにたどり着かれたのか。
 ブログ管理者としては、興味シンシンというところである。

 全体的な傾向としては、やはりキャンピングカー系用語が多く、なかでも、軽キャンカー用語でこのブログにお越しいただいた方は、この半年だけで、3,500人を超える。

 …それはいいんだけれど、

 ときどき、
 ドキッとさせられたり、
 ニヤッとさせられたり、
 ??? …とさせられたりする言葉が寄せられることがある。
 
 最近目立つのは、こんな言葉。

 「愛人のいる家庭」
 「女子高生の身体の火照り」
 「女房の痴態」

 なんだこれは?
 いったい俺は、どういう記事を書いているんだ?
 …と自分で驚いてしまう。

 「火のないところに煙は立たず」 のたとえどおり、上記のような検索が入ってくるというのは、当然、そのような単語が含まれている記事を書いているわけだが、「検索ワード」 というのは、前後の脈絡なく 「該当する単語」 だけを拾ってしまうので、まともな記事であっても、言葉の組み合わせによっては、ギョッ! とすることになる。

 で、愛人ネタで傑作のは、
 
 「プレゼント 愛人から」
 「愛人の怖い話」
 「愛人のいる会社」
 「愛人50歳」

 こういう検索ワードは、情報を求められた方々のそれぞれの事情が、なんとなくしのばれる思いがする。

 特に、最後の 「愛人50歳」 。
 自分の愛人が、50歳になってしまったという意味なのだろうか。
 そうだとしたら、男の場合、そのことに対するうんざり感と相手へのいとおしさに耐えながら、
 …どうしようかな…などと、渡哲也のような紳士が、缶コーヒー片手につぶやいている情景が浮かんでくる。

 ひわいな検索もよく入る。

 「女のお尻の触り方」
 「女子高生の身体の火照り」
 「混浴温泉に入る妻の投稿画像」
 「女房を攻める 好きな道具」
 「妻の痴態」
 
 なんじゃ? 俺はポルノ作家か?
 はじめてこのページを開いた人は、確実に 「エロサイト」 と誤解するだろうな。

 それにしても、「妻」 に欲情する男性が多いようだ。
 夫婦仲が良いという意味で、これは、歓迎されてしかるべき傾向なのだろうか。
 それとも、奥さんにとっては迷惑なことなのか。
 う~ん…微妙だ。

 一方、女性の気持ちを代弁するような検索もある。

 「34歳 結婚していない女」
 「尻軽っていわれた」

 深夜。疲れて帰ってきたキャリアウーマンが、ファンデーションを落としてドリンク片手に、パソコンの前に座る。
 無意識のうちに、キーボードに打ち込んでしまった言葉。
 「34歳 結婚していない女」

 おお、ドラマになるじゃん!

 「尻軽っていわれた」 ってのも、哀しげで、切なげで、なかなかよろし。
 本当に軽薄な女なら、「尻軽」 なんて言葉さえ気にならないだろう。
 ところが、この女性は、カレシのその一言で傷ついたんだろう。
 センシティブな感性を持った人のように思える。
 
 今度、こっそりコメントを寄越しなさい。
 ハンドルネームは 「light Hip (尻軽) 」 でね。
 
 それに比べると、どうも、男性とおぼしき方からの検索ワードはストレートな感じがする。

 「性愛中高年ブログ」
 「投稿小説 中年男がまん汁」

 がまん汁って、何のことだろう?
 …あれか?

 映画や小説に関する検索ワードも多い。
 グレゴリ-・ペック主演の映画 「渚にて」 などという検索で、このブログにお越しいただけるなんて、すごく光栄なのだが、
 「映画 渚にて」
 「渚にて 合唱曲」
 などというワードとともに、
 「ビニ本 渚にて」
 なんていう言葉も混じってくると、ちょっと違うかな…という気分になる。

 最近特に多いのは 「オカマバー」 という言葉。

 「オカマバー東京」
 「オカマバー名古屋」
 「オカマバー足利」

 これは、地名の部分が、どんどん全国に広がっていきそうな気配がある。

 ヤバい系というのもある。

 「男同士で入れるホテル 町田」
 「ガムテープでしばられた人の画像」

 ふ~む。
 こうなると、禁断の世界に招き寄せられそうな気分になってくる。

 この記事を読み返してみたら、自分が毎日とんでもない原稿を書いているように思えてきた。
 いやぁ、まぁ、…実際に書いているんだろうな。
 気をつけねば。

 参考記事 「女房の攻め方」
 参考記事 「愛人のいる男」
 参考記事 「オカマバーの一夜」

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 01:57 | コメント(4)| トラックバック(0)

新型ジル

【お勧めキャンカー14 「ジル」 】

 ジルの開発陣って、大変な苦労を背負っているだろうな…と思う。
 このクルマには、追いかける目標がないからだ。

 …というか、常に追いかけられる宿命を背負ったクルマなので、ジルが追いかけるのは、強いていえば、ジル自身でしかない。

 もともとバンテック車は、「ヨーロッパ志向」 といわれるが、内装デザインや装備類は外国のものを真似できても、どだいベース車が違う。
 つまり、コンセプトメイクのお手本が外国にもない。

 そういった中で、国産キャブコンのトップランナーとして走り続けるのは並大抵のことではなかったろう。
 なにしろ、人気に甘えて変化を嫌ってはファンに飽きられる。かといって進み過ぎては、今までの支持層を失ってしまう。
 高級志向を目指すにしても、価格は抑えなければならない。

 いっそ、新しいコンセプトのクルマを最初から造りあげた方が、ナンボ楽か…。
 開発陣はいつもそんな気持ちでいるのではなかろうか。

ニュージル外形 ジル外形2

 で、「お台場くるま旅パラダイス」 で登場したニュージル。
 いやぁ、うまいチェンジだなぁ…と唸らざるを得ない。

 ある意味で 「キープコンセプト」 。
 基本レイアウトは変わらない。
 ジル520や、ジル480があったればこそ追求できたスタイルだ。

 しかし、細部はガラッと大胆に変っていて、機能は 「新型車」 。
 まぁ、お見事ですね。

 ▼ ベース車は、新長期排気ガス規制をクリアしたニューカムロード。
 前モデルと比べて一目で分かる外観上の変更点は、まずボディ左サイドの大型外部収納庫。スライド式に引き出せるようになっただけでなく、その容量がビッグ! 5mクラスのキャブコンでは、もう 「大胆!」 といえるほどの容量を確保している。
 プロトタイプのこの現車の場合は、いちおう耐荷重は100㎏とのこと。レールの補強が行われるらしいので、耐荷重はさらにUPすることだろう。
 水抜き穴もあるので、濡れ物の収納も安心。

新ジル外部収納 新ジルゴミ用ラック

 ▲ リヤにもスライドレールが装着されて、こちらはゴミ箱専用ボックス (ゴミトン) が付く予定。
 キャンピングカーの 「ゴミ持ち帰り」 キャンペーンが浸透していくにしたがって、こういうハード側の対応を進めるビルダーが増えた。

 ▼ 室内のグレード感が上がった。
 前モデルより、テーブルが若干小ぶりになった分、通路が広く取られるようになった。
 オーバーヘッドコンソールボックスのラウンドした扉の形状など、その完成度は、もうジルならでは。
 家具色は濃い目になっている。
 これは最近のヨーロッパ上級モデルの傾向を反映したもの。ジル520Eで初めて採用されたLEDダウンライトが標準になっている。
 
 シート地もシック。
 全体的に成熟してきたという感じで、「大人の落ち着き」 が漂う。

ニュージル内装 新型ジル内装2

 ▼ 見違えるように進化したのはトイレ・シャワールーム。
 扉上方にあるロックを解除すれば、開口部が広がるようになっている。身体の弱ったお年寄りなども、これで楽にトイレ・シャワールームを使うことができる。

新型ジルトイレ・シャワー 新型ジルトイレシャワー2

 トイレ・シャワールームは清潔感に溢れていて、かつ機能的。
 そしてハイセンス。
 かつてのベガや、ジル520Eで採用された陶器製シンクが、ハイネックの蛇口とマッチングしてヨーロッパ車のムードだ。
 カセットトイレは、電動水洗式の首振りタイプ。いちいちポンプを押さなくてすむので楽。

新型ジルギャレー

 ▲ ジルの伝統となったリヤギャレー。
 キッチンカウンターのエレガントなラウンドシェイプが高級感を演出するとともに、エントランスから入る人の動線を確保する。

 ▼ ギャレー下のエントランスステップ。
 ステップボードを埋め込むことで、床面積を広げることができる。

新型ジル入口ステップ

 ジルが、国産キャブコンのひとつの 「目標」 になっているという現実は、この新型車においても揺るぎないものと見た。 
 このクルマがあったればこそ、多くの国産キャブコンは、ジルと違った方向でそれぞれの個性を磨いていくことができる。
 
 お台場デビューでは、まだ資料の用意がなった。
 おそらくバンテックさんのこと、近々充実したパンフレットができることと思う。

 参考記事 「ZILのデザイン」 
 参考記事 「ジル520E」
 参考記事 「車のつぶやき」
campingcar | 投稿者 町田編集長 03:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

人気車ベスト10?

 このサイトを管理されているホビダスさんが、アクセス解析の負荷低減を行ってくれたおかげで、解析がかなり楽になった。
 今まで5分以上も待機させられていたところを、2分ぐらいで開けるようになったので、だいぶ助かる。

 そこで、久しぶりに 「検索ワード」 を覗いてみると、う~ん! なかなか面白い。

 このブログにお越しいただく方が、どんな情報を求めてここにたどりつかれたか。
 多い用語順に並べてみると、

 1位は 「軽キャン」 という言葉。
 今年の5月からこの11月13日までの統計を取ってみると、この 「軽キャン」 という言葉でここに来られた方が933人いらっしゃる。
 次が 「軽キャンカー」 (826人)
 
 要は、軽自動車のキャンピングカー情報を求めてこのブログを開かれた方がそれだけ多いことになるが、
 ちなみに、
 「軽自動車キャンパー」 
 「キャンピングカー軽」
 「軽キャンカー車中泊」
 「軽キャンピングカー登録」
 などという、軽自動車キャンピングカーに関わる言葉をすべてあわせてみると、その総数は2,591件。
 さらに、具体的な車種名を加えると、ざっと3,500を超えそうである。
 
 その他の用語で多いのは、
 「エアサス」 (320)
 「小型キャンピングカー」 (296)
 「ピックアップキャビン」 (184)
 といったキャンピングカー系の用語。

 キャンピングカーとは異なるジャンルの言葉では、
 「混浴温泉撮影」 (169)
 「炎の門」 (小説 121)
 「塔の岩オートキャンプ場」 (192)
 「午後の最後の芝生」 (小説 82)
 といった用語が目立つ。

 そこで、ちょっといたずら心を起こして、キャンピングカーの人気車 (?) を調べてみることにした。
 もちろん、単なる 「検索ワード」 で引っかかった車名に過ぎないので、一般的な人気投票とは異なる。さらに、あくまでもこのブログに登場した車名なので、ここで触れていない車種名は、当然入らない。
 しかし、現在多くの人が 「情報」 として求めている車種の傾向ぐらいは分かるかもしれない。

 で、その順位というと、

アミティLX外形

① アミティ (560件) LX、RR等すべて含む
② グルーヴィ (272件) 日産キャンピングカー グルービー 
③ トライキャンパー (215件)
④ テントむし (189件)
⑤ マンボウジュニア (159件)
⑥ エルア・ルミ (101件)
⑦ コング (78件)
⑧ コルド・ディナモ (63件)
⑨ ハイマーモービル (57件)
⑩ エアストリーム (51件)

 小型キャブコンブームを反映して、アミティのダントツぶりがよく分かる。
 それ以外は、やはり軽キャンカーが強い。
 そんななかで健闘しているのが、日産ピーズフィールドクラフトさんのグルーヴィ。ハイエースのエルア・ルミを引き離して、2位を獲得。
 キャブコン勢では、コルド・ディナモの関心が高いのも面白い。
 
 ちなみに、20位までを発表すると下記のとおり。

⑪ ラクーン
⑫ コング
⑬ グランドバッハ
⑭ プレタポルテ
⑮ クライムジャンパー
⑯ セレンゲティ
⑰ フレックスランドナー
⑱ ジャストK3
⑲ ネオカプリス
⑳ K-ai

 この集計は、今年の5月からのものなので、それ以前に結構アクセス件数を誇っていた車種もあったが、ここでは含まない。
 昨年だったら、「デイブレイク」 とか、「ジル」 などという常連があったが、ホビダスさんのアクセス解析が 「半年まで」 と限定されてしまったために、それ以前のデータはアップできなかった。

 また、面倒くさいので、アクセス件数1ケタ台のものは省いてしまった。
 「グローバルの新型クラスA」
 「千葉のショップ スライドアウトクラスC」
 「鹿児島の軽キャンカー」
 「レクビィのシャワー室バンコン」
 …などという用語もたくさんあって、それを丹念に拾っていくと、また別の結果になりそうな気もするのだが、そのような1ケタ用語を300語も400語も拾っていく気力と体力はなかった。

 名前の浸透度の高いクルマは、ズバっと車名だけでアクセスされてくるけれど、そうでないクルマの場合は、語尾に 「?」 が付いていたり、車名の前に 「キャンピングカー」 という言葉が付いていたり、さらにビルダー名が付いていたりする。
 そうなると、それは検索ワードとしては1ケタ台に下がってしまう。
 それらをていねいに集めると、ベスト10に上がりそうなクルマもあるのだが、今回はちょっとご勘弁を。

 この “人気投票” 、もちろんブログに登場したキャンピングカーだけを対象としたもので、けっして普遍性のある 「人気ランキング」 ではありません。
 念のため。

 
campingcar | 投稿者 町田編集長 15:00 | コメント(4)| トラックバック(0)

お台場ショー報告

 お台場くるま旅パラダイス2007が終了しました。
 土曜日は雨。日曜日も雲の多い一日でしたが、かなりの来場者があり、なかなか充実したショーとなりました。

お台場会場ゲート お台場会場全景

 ▼可愛いペットも
可愛いペット

 前回に続いて、ニューカーのご紹介。
 
 ▼バンテックさんの 「新型ジル」 も発表に
ニュージル外形 ニュージル内装

 ▼セキソーさんの 「アペックス」 。プルダウンベッド付き
アペックス1 アペックスプルダウン

 ▼カスタムモーターサービスさんの 「ドルフィン」 。
ドルフィン1 ドルフィン2

 詳しいニューカー情報は、また日を改めて行います。
 夕べは日産ピーズさん、TASさん、ミスティックさん、エアストリームの田中社長さんらのパーティに厚かましく顔を出して、夜1時まで。
 皆様、ありがとうございました。

 今日は疲れちゃった。

campingcar | 投稿者 町田編集長 22:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

お台場RVショー

 今年最後のキャンピングカーのビッグイベント 「東京お台場くるま旅パラダイス2007」 が11月10日 (土)~11日 (日) にわたって開かれます。
 ここに展示されるホットな新車をレポートします。

 ▼ まずは、日産ピーズフィールドクラフトさんの初のオリジナルキャブコン 「アトランティス」 から。

アトランティス1 アトランティス2

 新型日産アトラスをベースにした凛々しいデザインのキャブコン。
 全長4.96m。全幅1.96m。
 取り回しの良さが自慢です。

アトランティス3 アトランティス4
 
 レイアウトはオーソドックスな対面ダイネットとリヤ2段ベッドという構成ですが、デザインが凝っています。
 チェーン柄を使った大胆なシート地。それが天然木工家具のシックな色調と絶妙のバランスを保っています。

 ▼ アールブィビックフットさんがリリースした新型フルコンの 「オアシス5.9」 。
 グローバルさんの 「グランドバッハ」 の兄弟車ですが、レイアウトや家具のつくりにビックフットさんらしい華麗さが漂います。ベースは日産シビリアン。

オアシス59-1 オアシス59-2

 ▼ ボディショップ アジロさんの 新型 「ワンタイR-5」 がついに完成しました。
 軽量化を狙ったアルミボディが特徴です。これはプロトタイプ。量産モデルは家具も中抜き構造にして、バンパーをファイバーに交換するなど、さらに軽量化を図るとか。

ワンタイ1 ワンタイ2

 ▼ スタイリッシュな路線を追求するアルフレックスさんの新型バンコン 「クライマックス」 。車高をグンと落としたローダウン仕様がサマになっています。
 ベースはGLパッケージ。電動格納ミラーにメッキグリル。
 お洒落です!
 セカンドシートのレカロがまぶしい!

クライマックス1 クライマックス2

 ▼ MYSミスティックさんからの新しい提案 「ファー」 に注目。
 サクシードをベースに、キャンピングカーにこだわらず、「乗用車の気楽さ」 を狙ったコンセプトです。
 それでも大人2人がゆったり寝られるベッドマットに、ベバストヒーター、サブバッテリー、冷蔵庫を搭載しています。
 …といっても、これらの装備はパーツ売り。だから、ベッドマットだけ欲しいという人にもOK。

ファー1 ファー2

 ▼ 今回はじめてオートワンさんが出品された新しい軽キャンカーの 「ピッコロキャンパー プラス」 。
 軽ベースながら、なかなか木工の質感が高いことが特徴です。オーバーヘッドキャビネットも、小ぶりながら本格的なものが付いています。
 登録は4ナンバー。しかし、2m長のベッドマットを敷けば、大人2人が楽々就寝。

ピッコロキャンパー1 ピッコロキャンパー2

 ▼ 会場のドギモを抜いたのが、このトレーラー。
 プレイモア社製 「MPT」 (マルチパーパストレーラー)をベースに、エアストリームジャパンさんが数々の改良点を加えたワンオフモデル。
 田中社長が、会場でキャンプするために持ち込まれたプライベートトレーラーなのですが、やぁ凄いのなんの。
 全長10m。リビング部はスライドアウト機構付き。

MPT1 MPT2

 リヤはガレージになっていて、サイドカー付きのオートバイが格納されていました。軽自動車も楽に入るとか。
 このガレージの上がベッドルームになっていて、フロントベッド、ダイネットベッドなどを合わせると、この状態で7人寝られるそうです。
  まさにガレージ付きの 「動く家」 ですね。

MPT3 MPT4
 
 まだまだ新車も人気車も目白押し。11日の日曜日まで開催です。 

campingcar | 投稿者 町田編集長 22:32 | コメント(3)| トラックバック(0)

書名がモノをいう

 本屋に行くと、絶望的な気分になる。
 棚にあふれんばかりに並べられた本の背表紙を眺め、
 「ん? 何が書かれているんだろ?」
 「あ! 面白そう!」
 「お! 読んでみてぇ!」
 
 …などと、興味ある本が次々と出てくるのはいいのだけれど、読書に割ける時間と資力を考えれば、1冊買うのが関の山という状況に気づき、一気に虚しくなるからだ。

 出版不景気などと言われつつも、書籍の出版点数は加速度的に増えていく。
 どんどん新しい本が増えるから、売れない本はどんどん消えていく。
 自分にとって、とても有意義だったかもしれない本があっても、それと出会えるかどうかは、砂浜に落としたコンタクトレンズを探すよりも難しい。

 しかし、本は情報源として貴重だ。
 新聞やテレビやネットで得る情報よりも重い。

 なぜなら、本というものは、一人の著者が、まがりなりにも全力を投入にして、膨大な情報を体系だてて整理し、書き方に工夫を凝らし、それこそ何週間、何ヶ月間、あるいは何年間にわたる苦闘を経てまとめてきたものだ。
 瞬時に構成されて瞬時に消えていく新聞、テレビ、ネットの情報より重量感が加わるのは当たり前だ。
 新聞、テレビ、ネットの情報からは、「考えるヒント」 をもらえるに過ぎないが、本からは 「考え」 そのものをもらうことができる。

 残り少なくなってきた自分の人生を計算して、あとどれだけ良い本にめぐり会えるか。本屋を訪れるときに最近感じるプレッシャーは、結局のそこのところに尽きる。

 本を選ぶとき、新聞や雑誌やネットなどの書評も、確かに参考になる。
 しかし、書評する人間の関心領域や教養レベルの違いによって、同じ本でも評価が大きく異なる場合もあり、参考にはなっても、アテにはならない。
 自分にとって面白い本かどうかを見極めるのは、最終的には自分の嗅覚でしかない。
 
 だから、本屋で 「書籍」 と向き合うときは真剣勝負となる。
 背表紙のタイトル、著者名、装丁などに素早く目配りを入れながら、その内容について、意識を集中して勘を働かせていく。

 この勘を働かせるときに、特にタイトルは重要だ。
 最近は、どの書籍もタイトルのつけ方が上手になり、パッと見だけで読者の気持ちを惹きつけるものが増えた。
 かつてテレビCMのキャッチが時代の空気をリードしたこともあったが、今や新刊書のタイトルが時代をつくっている感も、なきにしもあらずだ。

 だから、並んでいる書籍の背表紙を読み解くだけで、
 時代のニーズ
 人々の関心事
 企業の野心
 …などが読めてくる。
 本屋の背表紙を眺める行為は、時として、ビジネス誌などを熟読する以上に、時代のトレンドを読むことにつながる。
 そしてまた、どういうタイトルの本に自分の目が止まったかということで、今の自分が無意識に抱えている関心領域に気づくことにもなる。

 昼休み、“トレンド調査” の気分で本屋を回った。
 新刊書のタイトルを次々と眺め、気になった本を手にとって、ページに目を落とし…ということを続けていたら、ふと雑誌コーナーに 「狩野永徳」 の特集を組んでいる雑誌が目に入った。

芸術新潮10月

 「芸術新潮」 1,400円なり。
 高かったが、今日はそれを買ってしまった。
 
 狩野永徳。
 戦国時代の絵師だ。
 時代のニーズや、企業の野心などというテーマとは関係のない世界。

狩野永徳絵画

 でも、凄いよね! この人の絵は。
 豪華絢爛で薄っぺら。
 …というか、どうしたらこれほど 「奥行きのない世界」 が構築できるのか。
 科学的な遠近法などという西洋絵画の文化とはまったく違う、魔術的な異次元の 「空間」 がここには展開されている。

 浮世絵などの日本絵画の…特に狩野派の、こういうスーパーフラットな空間造形に接すると、世界の果てを覗き見るような戦慄が身体中を走る。
 シュールレアリズム絵画などよりも、よほどこちらの方が、 “神秘的” だ。

 書き出したときのテーマとずれてしまったけれど、たまにはこういう 「不思議の世界」 に遊ぶのもいい。

 関連記事 「秀吉の成金趣味」


音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 17:09 | コメント(2)| トラックバック(0)

キャンプ場に好機

 各地で高速道路の整備化が進んでいる。
 「夜はクルマよりタヌキしか通らない地域に、高速道路を建設してどうするんだ?」
 という道路建設見直し論が出たこともあったが、おおむね、高速道路が伸びてくることは、各地域の住民からは歓迎されているようだ。
 特に、観光施設を抱えている地方の業者さんたちの期待は大きい。

ブリッジ1

 しかし、それがその地域の観光事業にプラスになったのか? というと、必ずしもそうとはいえない面がある。

 そのひとつは 「日帰りの客が多くなった」 というもの。
 ハイウェイの整備によってドライバーの移動時間が短縮され、今までは1泊行程のところが、日帰りされるようになってしまった。そのため宿泊業がダメッジを受けることになったというわけだ。

 観光地の業者さんたちにとって、日帰り客は、実は歓迎されざる客のようだ。
 彼らは、
 宿に泊まらない
 酒を飲まない
 ゴミだけ残して帰る

 やはりホテル・旅館などに宿泊して、夜は大いにお酒などを楽しんでもらうことが、観光地の事業者たちにはありがたいことなのだろう。そこで潤えば、多少ゴミを残して帰ってくれても大目に見よう、ということらしい。

 この “日帰り旅行問題” に関しては、この11月初旬に行われた 「自動車旅行推進機構 (カーたび機構) 」 のシンポジウムにおいても、そこから脱皮しようという方向が模索された。

カーたびシンポ

 日帰り旅行では、いずれ全国の観光事業が行き詰まると予想され、その打開策として 「利用者の滞在」 を促進することが、観光振興には欠かせないということが訴えられたのだ。

 そうなると、各地の観光事業者は、「ハイウェイの普及がマイナスになった」 などと嘆いてはいられない。むしろ、それによってもたらされた利用者の 「移動時間の短縮」 を、「滞在時間の長さ」 に変えるプログラムが模索されなければならなくなったといえよう。

 私は、キャンプ場に好機が訪れたように思う。

 おりしも、日本の観光政策は 「ファーストトラベル」 から 「スロートラベル」 への移行を目指しつつある。
 つまり旅行者が、地方にゆったり滞在することが、地方経済の建て直しにつながるという見方が主導的になり、国を挙げて、旅行者に長期滞在をうながすような気運を盛り上げていこうという流れが定まってきた。

 しかも、そのようなスロートラベルの根幹を成すものとして、里山や農村との交流を図る 「グリーンツーリズム」 や、不必要な走行を自粛する 「エコツーリズム」 など、自然環境となじむ旅行というものが、提唱されてきている。

田舎風景1

 こういう気運を、キャンプ場は逃すべきではないように思う。
 
 このような新しい観光モデルを模索するとき、幹線道路にハコモノを増やすことが得策ではないということを、すでにバブルの反省から、多くの人々が学んでいる。

 しかし、そうせざるを得ない観光事業者さんたちはいっぱいいるだろう。
 すでに既存の観光地に根を張った業者さんたちは、今さら土地を更地に戻して 「豊かな自然」 を訴えるわけにもいかず、結局は、今までの施設やシステムを充実させることで切り抜けるしか方法がない。

 だが、キャンプ場には 「可能性」 がある。
 むしろ、今までツーリング志向のキャンピングカーユーザーたちから評判の悪かった、幹線道路から奥に入るという 「アクセスの悪さ」 が武器となる。

 アクセスが悪いということは、言い方を変えれば 「手つかずの自然が残っている」 ということでもある。

 幹線道路を走る自動車旅行では、どこの地域を走っても同じ看板を掲げるコンビニチェーンで飲み物を調達し、似通った造りの温泉センターで入浴するという、ステレオタイプ化された楽しみ方しかできない。
 増え続ける道の駅でも、地域ごとの特色を生かすといいながら、建物の構造や利用者のサービスのスタイルなどは、どこでもほとんど変わらない。

 それは利用者にとって、日本中どこに行っても同じ 「風景」 のなかを旅するということに他ならない。

 今はまだ、旅の便利さが優先される時代だから、風景や環境の変化を楽しむという精神的な満足を得ることよりも、ロードサイドのインフラが整備されていくことの方が、旅行者にとってはうれしい。
 しかし、やがて、その結果として立ち現れてくる風景の画一化こそが、「退屈の元凶」 だと気づく人が増えるだろう。

 このときに、人工の香りが少ない 「あるがままの自然」 を売り物にした施設には新しい価値が付与される。
 そして、観光地のにぎわいをさんざん経験した旅行者たちは、「静けさ」 が、お金を払うほど贅沢なものであることを、やがて理解するようになる。

喜連川サイト2

 スロートラベルという意味はいろいろな解釈が可能だが、心理的に 「時間が止まったような旅」 を楽しむものだとしたら、その核となるものは 「自然」 と 「静けさ」 だ。
 キャンプ場には、その二つが備わっている。

 ところが、自動車旅行を楽しむ人々のなかには、キャンプ場を知らないという人がけっこう多い。
 現に、キャンピングカーユーザーですら、最近はテントキャンプを経験することなく、いきなりキャンピングカーを購入する人の比率が増えているのだ。

 現状では、キャンプ場はテントを張って、マキを集めて、飯ごう炊さんをする場所だという固定観念でキャンプ場を捉えている人の方が多数派だ。
 そういう人たちは、そこが 「自動車旅行の拠点」 であるという意識はまったく持たないし、またキャンプ場運営者にも、一般乗用車の宿泊施設としての可能性も考えてみようという意識を持った人はいない。

 しかし、これからは、キャンプ場にそっぽを向いている旅行者の視線を、いかに集めるかが、キャンプ場運営の大きな鍵となるだろう。

 もちろん現状では、どのキャンプ場も、テントも持たない乗用車の利用客を誘致する余裕はない。
 だが、キャンピングカーユーザーに訴える手法はたくさん残されていると思う。

 それは料金体系の見直しなのか、入退場システムの改変なのか、宿泊スペースの再考なのか、具体的には各キャンプ場さんが、独自に解決への道を模索されることになるだろうが、基本的には、キャンピングカーユーザーが行ってみたいと思わせるような広報力の強化に尽きるような気がする。

 広報力の強化は、各キャンプ場がそれぞれ独自にがんばったところで限界がある。
 キャンピングカー誌なども含めたメディアの応援も必要だろうし、またキャンプ場運営者同士の連絡を図る公的機関の活躍も欠かせない。

 幹線道路の 「便利さ」 と拮抗する形で、キャンプ場の 「ゆとり」 を広報していくことは並大抵のことではない。広報するスタッフの、現実に対する洞察力と未来への想像力が試されることになるだろう。
 でも、もうそういう作業が、キャンプ場運営者のみならず、多くの自動車旅行者にとっても必要な時代になったのだ。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 15:24 | コメント(4)| トラックバック(0)

親と子のつながり

 「オヤジナビ」 というサイトがある。
 VGホールディングスさんという会社が主宰している。

 中高年世代が必要としている情報を 「趣味」、「買い物」、「健康」、「投資」、「資格取得」 などという項目に細分化して紹介しているポータルサイトなのだが、その主眼が、
 「思春期の子供を持つ親を全面的に支援する」
 というところに置かれているところがユニークだ。

 つまり、思春期前後の、親にとってコミュニケーションが取りづらくなった子供を持つオヤジに向けて、
 「子供は何を考えているのか」
 「彼らは親に何を望んでいるのか」
 …というような、子供たちのホンネを積極的に採り上げ、オヤジとその子供たちの “仲立ち” を務めようとしているところに、このサイトの狙いがあるようだ。

 だからメインメニューには、父親たちと女子高校生たちを交えた座談会や、若い女性が相談員となる 「親子の悩み事相談教室」 などが並ぶ一方、「娘や息子とオヤジ」 の関係を綴ったブログ集が自動的にUPされるコーナーが設けられている。

オヤジナビ対談
▲父親と女子高生の対談風景

 この 「オヤジと子供たち」 というテーマは、キャンピングカーの世界とも無縁ではない。
 現在、キャンピングカーユーザーは、熟年夫婦の 「二人旅派」 と、子育て真っ最中の 「ファミリーグループ」 の二つに分かれている。
 このうち、ファミリーグループは、いずれ子供たちがキャンピングカー旅行に着いてこなくなる時期が来ることを覚悟しているから、親子のコミュニケーションの維持は切実なテーマであるはずだ。

 そういう人たちにとって、この 「オヤジナビ」 というサイトは貴重な情報をもたらすものになるかもしれない。
 …と思うと同時に、キャンピングカーユーザーというのは、このサイトに提供できるコンテンツを豊富に持っている人種のようにも思えた。

 なにしろ、キャンピングカーは 「狭い」 。
 …といっては、車内の 「広さ」 を謳っている各ビルダーさんには申し訳ないが、「家」 よりは、狭い。

スナフ内装1

 狭いクセに、家と同じようなテーブル、椅子、台所などがあって家族がくつろげるようになっている。
 つまり、広すぎて家族が拡散する方向に進んでいる 「家」 とは逆に、キャンピングカーは狭いがゆえに、家族の求心力を高めることができるのだ。
 家族の求心力が高まった空間を、仮に 「団らん」 という言葉で表現してみると、キャンピングカーには 「団らん」 がある。

 いま日本の家庭から 「団らん」 が失われたという声は、あちらこちらで聞かれる。
 その理由は、いくつか考えられる。

 まず、80年代以降、各家庭に子供用の個室が定着し、食事以外の時間帯には、子供たちが親の前から姿を消すようになった。
 さらにテレビの価格がどんどん安くなり、各個室に1個という形で普及した。そのことも 「親子で同じ番組を楽しむ」 という日常的な光景を、家庭から奪った。

 さらに、かつては子供同士の連絡に欠かせなかった家庭用固定電話が、携帯電話の普及によって役目を終え、固定電話を使って子供同士が連絡を取り合う姿を、親がチェックする機会もなくなった。

 では、食事の時間だけは、親子の絆が保たれているのか。
 …というと、これも父親の残業、母親のパート、子供の塾通いなどで、各家庭から家族が一緒に食事をする時間が消えた。

 つまり、1970年代ぐらいまではかろうじて保たれている家族の団らんが、今はほとんど消滅状態になっているのだ。

 キャピングカーの狭い (?) ダイネットは、実は、この日本人から失われた 「団らん」 を回復する場として、家庭のダイネットに取って代わろうとしている。
 なにしろ、親子はお互いに “逃げ出そう” としても、夜ともなれば、クルマの外に逃げ場がない。
 
 必然的に、会話を交わすようになる。
 会話があれば情報交換が生まれて、親子が、互いにいま何を求めているかを知り合うようになる。
 そして、心の交流が生まれる。

 キャンピングカーが家族の団らんを生み出している光景は、クラブイベントなどに参加すると、当たり前のように見ることができる。

 夜が浅いうちは、車外で友だち同士で遊んでいた子供たちも、夜が更けるとみな車内に引き上げる。
 家族連れのキャンピングカーでは、どのクルマにも明かりがともり、子供と親が仲良く笑いあう声が漏れてくる。
 
 クルマの中で、トランプでもしているのだろうか。
 それとも一緒にテレビでも見ているのだろうか。
 いずれにせよ、カーテンから透けて見える家族の幸せそうなシルエットが、「団らん」 の存在をはっきりと教えてくれる。

 高校生ぐらいになると、さすがに子供がキャンプに着いてくることはないだろうと、たいていの大人は思う
 しかし、そんなこともない。

 わが家の場合は、長男が高校生になってから、久しぶりにクラブイベントに参加したことがあった。
 さすがに、自分一人で親に着いてくるのが恥かしかったのか、友だちを3人連れてきた。

 当時、茶髪の全盛期。
 ピアスも罪悪視する大人が多い時代だったので、健全なはずのクラブイベントに突如参加した茶髪・ピアス・くわえ煙草・腰パンツの4人の若者たちの姿は異様に見えた。

 しかも、彼らは昼間はテントの中で眠りこけ、夕方の持ち寄りパーティの時間にはやおら飛び起きてきて、周囲に挨拶もしないまま、ガァーッとイナゴの大群のように食事を食いまくる。
 食事が終わると、さっさと懐中電灯だけを持って、山の奥に遊びに行ってしまう。
 彼らを招いてしまった私は、とても恥かしくなったことを覚えている。

 しかし、それがきっかけとなった。
 
 「オジさん、またキャンプ連れて行ってよ」
 そのときキャンプに参加した高校生たちが、私の顔を見るたびに、そう言うようになった。

 だから、長男とその友人たちをキャンピングカーに乗せて、私は、その後も何度かキャンプ場に連れていった。

 昼間、遊んでいるヤツらの姿は実にたわいない。
 サイトでフリスビーを飛ばし合ったり、アリの巣を見つけて、水を注ぎこんだりしてはしゃいでいる。
 やることは4~5歳の幼児そのまま。
 集団で授業を抜け出し、午前中から校外のカフェで煙草を吸いながら “お茶” して、先生に怒られているヤツらだとはとても思えない。

大野路1

 そのうち、彼らの母親たちとも一緒にキャンプするようになった。
 子供たちは、勝手に懐中電灯を持って、山奥の探索に向かってしまう。
 「クマが出るから気をつけろ」
 と言ったって、聞くような連中ではない。
 残された親たちは、オーニングの下で、青春時代の思い出話。

 キャンピングカーは、親と子が共通して遊べるアイテムであるばかりでなく、それをきっかけに、キャンプに縁のなかった親たちをも楽しい時間の中に巻き込む。

 ことさら 「親子のコミュニケーションの回復」 などと力まなくても、高校生ぐらいになっても、キャンピングカー旅行の楽しさを子供が忘れないようでいるならば、それで十分だという気がする。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 02:06 | コメント(2)| トラックバック(0)

性愛と闇の文学

 性愛が最も高揚した瞬間に、人は 「死」 に隣接していることを、われわれは日常的に知ることがない。
 おそらく性愛の瞬間においても、それを実感する機会は少ないであろう。
 ただ、優れた文学、絵画、映画などだけが、その事実を教えてくれる。
 岩井志麻子の 『楽園 ラックヴィエン』 (2003年 角川ホラー文庫) という小説は、まさにそのような例だ。

楽園表紙

 『楽園』 は日本人の独身女性が、ふとベトナム旅行を思い立ち、旅先で知りあった現地の青年と交情を繰り返すだけの話だ。

 お互いに相手の名前も素性も明かさず、食べること以外はひたすらベッドの上で痴態を繰り広げる二人。
 狂おしい欲望にまみれながら相手を求める時には、生の高揚があり、自分のエネルギーの燃焼を見届ける行為は、生きていることの最高の証 (あかし) になるはずだ。

 なのに、ここで描かれる性愛には、常に死の静けさが漂い、破滅の予感が支配している。

 社会生活を構築することで種の保存方法を確立した人間にとって、あまりにもディープな快楽は、その社会を維持する機能を破滅させてしまうことにつながる。

 いつの間にか人類は、そのことを学びとったのだ。
 社会を逸脱するほどの性愛を楽しむ人間に向かって、そっと忍び寄る 「死の気配」 とは、人類のDNAにインプットされた 「危険信号」 なのかもしれない。

 『楽園』 は、その危険信号ですら甘美なものに変えてしまおうという邪悪な小説である。
 もともと邪悪なものを甘美に見せるためには、それなりの仕掛けが必要だが、作者が用意したのはベトナムのホーチミン市という、日本人にとっては不思議な距離感を感じさせる異国の街だった。

夜のヤシの木

 岩井志麻子がとらえたホーチミン市は次のような街だ。

 ……(その街は) ゴミなのか宝物なのか分からない物にあふれ返り、悪臭なのか芳香なのか、定かでない匂いに包まれた石造りの集合住宅は、国旗に負けない派手で、明るい色彩の洗濯物をはためかせている。
 そこには常に、彩り (いろどり) 豊かな貧しさと、汚れたたくましさに満ちており、なつかしい不幸の匂いがする……

 引用からも分かるように、この小説の特徴は、
 「ゴミ」 と 「宝物」
 「豊かな貧しさ」 と 「汚れたたくましさ」
 「なつかしい不幸」 といった、本来なら相容れない概念が、何の説明もなく共存しているところにある。

 作者はベトナムという国を、
  ……不幸すら、きらめく思い出にしてしまい、いまわしささえ、美麗な看板にしてしまう、貪婪 (どんらん) さと純情さに満ちた国……
 ととらえる。

 そして、その国を支配している 「夏」 を、
  ……何もかもが、なつかしい倦怠 (けんたい) と甘美な疲労に沈む無常の季節……
 と表現する。

 たとえば、この国の田園地帯を描写するとき、
  ……息苦しいほどの緑の湿地の田園。途方もなく越えた土壌は、年に何度も米を収穫させる。
 だが、吹き渡る風はなぜ、こんなにも虚しく淋しい音を立てるのか……
 と描く。

 天国の一歩先には地獄が。
 幸せの裏には不幸が。
 豊かさの裂け目からは、常に貧しさが見え隠れしている世界。
 両極端にあるはずの価値が、一瞬にして等価になってしまう文化。

 邪悪であることが甘美であることを伝えるのにはまたとない風土を、作者は舞台として選んだといえよう。
 生がもっとも高揚した瞬間に死が忍び寄るというジョルジョ・バタイユの 「性の定義」 を立証するには、パリでも東京でもなく、天国と地獄が隣接し、闇が極彩色の光を放つベトナムの街でなければならなかったのだ。

夕焼け空1

 岩井志麻子はホラー作家としてデビューした。
 明治期の岡山にあった娼家を舞台にした 『ぼっけぇきょうてぇ』 で人気作家の仲間入りを果たした人である。
 彼女の描く世界は、常におどろおどろしい不気味さと、土俗的な暗さと、濃厚なエロティシズムに満たされており、寝汗をかくような悪夢の味がする。
 
 『楽園』 も角川文庫の 「ホラー小説」 のジャンルに入っている。
 だが、この小説に限っていえば、ホラーを期待して読むと肩透かしを食らうかもしれない。

 確かに、最後はホラー的な味付けで終わる。しかし、それはエンターティメントとしてのフレームを残しただけであった、本質は引用部分からも分かるように、凝りに凝ったフレーズを多用した、ポエムに近い文学である。
 いまどき例をみないような、古典的な美文調を保ちながら、最新のCMのキャッチに使えそうな、洗練された語句が散りばめられた洒落た小説だ。

 たとえば、
  ……きれいな南の地獄と天国は、赤々と欲望に燃え、白々と絶望に沈んでいた。
 そこにはバラ色の嘆きと、スミレ色の黄昏 (たそがれ) があった。
 七色の果物と、単色の鳥がいた。

  ……その鳥がいつも唄う歌が、ベトナム語なのかは知らない。
 そのとき鳥は私のことを見なかったし、さえずってもくれなかった。
 なのにひっそりと、死の歌を唄っていた……

 どれも、大正期や昭和初期の日本の詩人たちのフレーズを思わせる美文だ。
 かと思うと、
  ……昼間を飛んでいる飛行機なのに、機内は夜の気配に満ちている。
 すでに高度何万フィートの位置だ。本来は、生身の人間は来られない場所だ。天国とはいえなくても、近い場所とはいえるだろう……
 といったように、現代の作家であることを証明する (飛行機などの) 道具の使い方もうまい。

夜の木2

 性愛の相手に対しても、
  ……(私は) 彼をどこかで哀れみ観察し、愛玩している。私の神様であり、飼い犬でもある……
 と、突っ放して見る視点も正直だ。

  ……相手を人間扱いしないのが恋愛。なぜなら恋の対象とは、自分の思い入れ、思い込み、投影の相手なのだから……
 と、醒めた見方をしているところも鋭い。

 岩井氏は、今はホラー作家というよりも、シモネタ上手の 「エロおばさん」 という認知のされ方をしている。
 もしかしたら、そっちの方が、彼女の本領なのかもしれない。
 
 しかし、この初期の小説を読む限り、彼女は、ジョルジョ・バタイユの愛弟子であり、マルグリット・デュラスの姉妹のような作家に思える。

音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 01:37 | コメント(2)| トラックバック(0)

オカマバーの一夜

 俺、サラリーマンになりたての頃さぁ、オカマバーが面白くてハマッたことがあるんだよね。

 なにしろ、ずっとアルバイト生活してたじゃない?
 まぁ、時間給が特別に安い仕事だったんだけどさ、それに比べると正社員の給料って、とんでもなく高い感じがしたんだわ。
 使い道に困ったんだよね。
 なにしろ、独身でさ、遊びたい盛りじゃない?
 給料を貯めようなんて考えは、これっぽっちもなかったからさ。

 で、女の子のいる飲み屋より、オカマバーの方が数段面白いっていう先輩もいたからさ、チョイと覗いてやろうかって気になったのね。

 オカマバーってのは、確かに面白いのよ。
 やつら、女装しても男だからさ、男がどんな誉め方をされたら気分よくなるかってのを、分かっているんだね。

 「あなたって、女に優しく振る舞うことは上手だけど、本当は冷たい男でしょ」
 なんて少し緊張させられてから、
 「でも、そういうあなたの冷たさが、ダイヤの光みたいに女たちを呼び寄せるのよね」
 なんて占い師みたいに言われちゃうとさ、
 ついつい、
 「よし、じゃ~あと1時間延長!」
 って、なるじゃない? 相手から見ればいいカモなんだろうけどさ。

 で、延長に入ると、ホストクラブなら、そこで 「ピンドン1本、入りま~す!」 パチパチ! って盛り上がるところなんだろうけれど、場末のオカマバーだからさぁ、まぁせいぜいスタッフ全員に水割り一杯ずつ…って感じよ。

酒瓶

 パチンコもそうなんだけど、2万円ぐらいのボーダーを超えちゃうと、もう金銭感覚がなくなってくるのよね。
 「よ~し! これが最後の延長だぞぉ! 歌は全員2曲ずつね」
 「わ~い!」 パチパチ…でさ。

 そんな感じで朝まで飲んで、一晩で給料の半分を使っちゃったこともあったな。
 今なら、もったいない! …とか、
 なんてバカなことを…と思うんだけど、当時はそれほど 「痛い」 っていう感覚もなくてね。
 給料が半分になっても、後は、夜は水飲んで寝ちゃえばいいや…っていう気持ちでいたから、まったく懲りなかったの。

 で、実際、それくらいのカネ払っても面白かったのね。
 その店のスタッフが、特別にそうだったのかもしれないけれど、みんな役者なのよ。
 すぐ “ごっこ” の世界が始まるんだわ。
 「芸能人ごっこ」 とか、 「セレブおばさんごっこ」 とかさ。

 たとえば、ママさんが、突然アイドル志望の女の子になりきって、俺に “売り込み” をかけるのね。
 俺なんかさぁ、何の取り決めもないうちに、いきなり芸能プロの社長の役をやらされてしまうんだよ。

 で、ママさんが、うぶなネェちゃんみたいな表情つくって、俺に言うのよ。
 「ね、ね、お願いです。せめて歌だけでも聞いてください。歌がダメなら、わたし脱いでもすごいんです」

 それに対して、俺はさぁ、
 「いやぁ、まぁ脱ぐのは後でいいから、まず、得意な歌があったら何か唄ってごらん」
 なんて、アドリブで答えるのね。
 で、すかさず、ママさんのカラオケが入るわけ。

 唄い終わると、別のスタッフが、ヤクザの舎弟みたいな表情つくってカウンターから身を乗り出してきてさ、
 「だめっすね、この女は。アイドル無理っしょ。フーゾクに売るしかないすね」
 なんてさ…

 そのオカマバーは、傷だらけのカウンターの前に、ひび割れの入ったストゥール8客を置いただけの、なんともみじめな店だったけど…
 不思議なもんでさ!
 「ごっこ」 の世界に入っていくと、その狭くて汚い店がさぁ、まるでスポットライトを浴びて輝く宝塚歌劇のステージに思えたり、セレブの集まる豪華クルーザーに見えてきたりするのよ。

 俺、いまだに飲み屋で、お客相手に 「ごっこ」 遊びするのが得意なんだけど、そういうのって、その店で鍛えられたんだろうね。


 で、一度のそのオカマバーでさぁ、みんなで 「殴りこみ」 をかけようって話が出たの。
 ママさんが、昔世話してやった仲のいい女性がさぁ、自分の店を新しく出したんだって。普通のクラブらしいのね。
 
 だけど、その女性が店を出しても、ママさんのところにはオープンの招待状も寄こさないし、挨拶にも来ない。
 だから、これからその店に行って、さんざん嫌がらせをしましょうよ、ってことになってさ。
 …いかにもオカマの執念を感じさせる話だろ?

 で、「あなたも一緒に来なさいよ」 って、彼らが誘うのよ。
 なんだか、面白そうに思えてさ。そのオカマバーの従業員一同4人に混ざってよ、俺も一緒にタクシーに乗り込んだの。
 
 クルマの中ではさぁ、
 「店の客をぜんぶ追い出しちゃいましょうね!」
 なんて、みんな息巻いていたんだけど、いざ着いたらさぁ、ゴージャスな店で、オカマグループも息を飲んじゃったのね。

 オールダイヤで飾られたようなシャンデリアが天井を埋め尽くすぐらいたくさんぶら下がっていてさ。
 豪華な革張りのソファには、上品で恰幅のいい紳士たちがずらりと並んでいるのよ。
 ひび割れたストゥール8脚に、反りの出たカウンターで商売しているオカマバーとは、だんちの世界なんだわ。

 ま、それでもオカマご一行は気を取り直してさ、
 「あらまぁ、お高そうなシャンデリアがいっぱいねぇ」
 「牛の臭いが残っているような、新鮮な革シート」
 なんて、精いっぱいの皮肉をいいながら席につくんだけど、にこやかに対応するホステスたちにまったく通じないのよ。

 そのうち、そのくだんの女性ってのが、席に挨拶にきてさ。
 「本日は皆様でお越しいただいて、本当に恐縮です!」
 なんて、おだやかな顔で、美しい挨拶をするの。
 もう 「勝負あった!」 という感じよ。

 で、オカマご一行は、
 「ちょっと、おしぼりが遅いわよ」
 「ずいぶん安い酒出すのね」
 などというイヤミを用意していたらしいんだけど、さっさと温かいおしぼりに、最高のボトルが出てきてさ。
 せいぜい、クーラーの効いている店内で、
 「ちょっと暑いんだけど、ウチワはないの?」
 なんていう嫌がらせをするのが、精いっぱい。

 そのうち、店の従業員やお客たちを困らせるようなイヤミも枯れちゃってさ。みんな、口数少なく暗い顔になっていくのね。

 華やかでにぎやかなその店でさぁ、そのオカマご一行のボックスだけが、煤けたようにみすぼらしいのよ。
 オカマバーではあれほど輝いて見えたママさんがさぁ、もうくたびれた中年男そのものになっちゃってさ。

 まさに、深夜0時を過ぎたシンデレラ。
 馬車はカボチャになり、馬はネズミになり…。

 結局、オカマバーってのが面白いと思えたのは、あの傷だらけのカウンターとひび割れたストゥールを、「宝塚のステージ」 に変えたり、「セレブのクルーザー」 に変えたりする 「ごっこ」 の力だったんだね。

 その 「ごっこ」 の神通力が通じない世界に行っちゃうと、彼らは 「深夜0時を過ぎたシンデレラ」 になっちゃうわけ。

 まぁ、その頃を境にして、俺もそういう遊びに、少し飽きてきてさ。
 「そろそろ、女の友達でも探すか…」
 ってな気分に、ようやく、なってきたんだけどね。

 
 飲み屋ネタ 「ニセ台本作家」
     〃    「ママさんの会話術」 

ヨタ話 | 投稿者 町田編集長 01:09 | コメント(2)| トラックバック(0)

自動車旅行の未来

 「自動車旅行」 というのが、今の時代の大きなテーマになっている。

 「カーたび機構」 (自動車旅行推進機構) さんが、この11月2日に幕張メッセ国際会議場で開いたシンポジウム 「カーたびの明日を拓く」 のテーマが、ずばりそれだった。

カーたびシンポ 

 このシンポジウムでは、今後の日本の生きる道を 「観光立国」 と定め、観光による地域の活性化やレジャー産業の振興によって、新しいビジネスモデルを構築していこうという筋道が示された。

 その大きな理由は次のようなものだ。

 まず構造改革の影の側面として、各地方自治体の財政的破綻が目立つようになり、都市部と地方の地域格差がますます明瞭になってきたという事情が挙げられる。

 コーディネーターを務められた石森秀三教授 (北海道大学・観光学) の指摘によると、今後は、少子化による人口減少や補助金カットによる財政的困窮がさらに進み、2030年にはごく一部の地方を除き、ほとんどの地域経済が縮小してしまうという予測が立っているという。
 その流れを食い止める戦略こそ、各地域の観光政策の振興による交流人口の拡大だというわけだ。

 このような 「観光立国」 という戦略を進めるにあたって大いに期待できるのが、自動車旅行である。
 日本観光協会と交通公社の調査では、ともに2006年度のマイカーとレンタカーを合わせた自動車旅行の普及率は50パーセントを超える数値を示し、現在では6割に達している。

 自動車旅行は、飛行機や列車のように 「点から点」 へと移動するものとは異なり、常に 「線」 を描いて遂行される。
 それによって、自動車が走る地域のレストラン、ガソリンスタンド、みやげ物屋、ホテル・旅館などが切れ目なく経済効果の恩恵に浴することができる。

 「カーたび機構」 が発足したのも、そのような自動車旅行のもたらす経済効果の大きさに着目したからに他ならない。

 また、ダウンロード機能付きカーナビ、通信カーナビ、ETCと携帯電話の連動配信など、クルマメディアの急速な普及が見込まれることによって、旅行中の自動車に、観光情報をリアルタイムで配信できる見通しが立ったことも大きい。
 それによって、自動車と各地域の観光拠点が、情報を通じてダイレクトにつながる環境が整い、ますます自動車旅行の豊かな広がりをアピールすることが可能になった。

 しかし、そのような自動車旅行を推進させるためには、いくつかのハードルが立ちはだかっていることも事実だ。

 ひとつは、若者の自動車離れ。
 アミューズメントの多様化により、クルマ以外の趣味を満喫する若者たちが増え、自動車旅行そのものに魅力を感じない世代が増えているらしい。

 もうひとつは、日本人の休暇に対する意識の遅れ。
 ビジネスマンの有給休暇の消化率は、あいかわらず50パーセント台を低迷し、旅行形態も 「日帰り」 が前提となっている。
 日帰り旅行が中心となるかぎり、移動日が休日内に集中するために、交通渋滞が緩和される見通しも立たないし、観光地の滞在施設の稼働率も伸びない。

 また、燃料代の高騰も、自動車旅行を推進させる上での大きなネックとなる可能性も高まってきた。

 しかし、それらの課題を乗り越えたあかつきには、自動車旅行が、各地域の経済振興に恩恵を与える額は莫大なものに及ぶ。
 現に、館山自動車道の全線開通を背景に 「観光立市」 を訴求して、観光資源の整備に精力的に取り組んだ千葉県・館山市の例では、それによって150億円の経済波及効果がもたらされたという。

 そのような、経済波及効果を生み出すための鍵を握るのが、旅行者の滞在期間の延長。
 国道交通省の石川雄一観光地域活動支援室長は、「自動車旅行による地域の活性化を握る鍵は、旅行者の滞在期間を延ばすことに尽きる」 と結論づけている。
 
 現在の日本人の平均宿泊日数は2.77日。
 これを4日にまで延ばすことで、国内観光消費額を30兆円にまで引き上げることができるのだそうだ。

 そのためには、まず各地域がドライバーに滞在したと思わせるような楽しいプログラムをつくることが大事であり、昼の観光のみならず、夜の過ごし方も含めて魅力的な提案ができるようにしなければならないと、国交省の石川氏は結んだ。

 このシンポジウムで討議された内容は、日本RV協会 (JRVA) さんが推進している 「くるま旅 = キャンピングカー旅行」 の理念と非常に色濃くリンクしている部分があった。
 RV協会さんも、キャンプ場との連携や湯YOUパークの整備など、くるま旅を充実させるためのコンテンツの開発に力を入れている。

 もし 「カーたび機構」 さんと日本RV協会さんが、なんらかの形で協力しあうことができれば、多くのキャンピングカーユーザーは、充実した 「くるま旅」 を満喫することができるだろう。

 現在、「カーたび機構」 さんの取り組み方には、まだ 「キャンプ場の活用」 という視点が盛り込まれていない。このあたりは、 (社) 日本オート・キャンプ協会さんらとも連携をとって、ぜひ加えてほしい部分だ。

 また、「カーたび機構」 さんは、日本RV協会さんのシンポジウムで討議されたような 「公共の駐車場におけるゴミ問題・マナー問題」 などには、どう取り組まれるのだろうか。
 今回の 「カーたび機構」 さんのシンポジウムでは、そのあたりへの言及はなかったが、自動車旅行の振興が軌道に乗った次の段階では、当然、そのような問題も課題として上がってくるだろう。

 そういう問題に取り組むときには、行政とも関わるグローバルな視点が要求されるだけに、国土交通省のサポートも得られやすい位置にいる 「カーたび機構」 さんには大いに期待したいところだ。

 関連記事 「カーたび機構」


コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 03:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

米国キャンピング

 フォトジャーナリストの吉田隆志さんとお会いする機会があった。
 このホビダスのサイトでもブログを綴られているmotor-homeさんのご紹介によるものである。

 といっても、私は単なるヤジウマ。
 motor-homeさんと吉田さんの打ち合わせの席に、ただ 「面白そうだから」 という理由で、同席させていただいたに過ぎない。

 吉田隆志さんは、30年にわたって、アメリカ人の生活や自然を写真に撮り続けてこられた方である。

吉田隆志氏画像

 撮影のために、1ヶ月に及ぶキャンピングカー旅行を年に幾度となく経験され、乗りつぶしたキャンピングカーや乗用車も6台に及ぶという。

 その吉田さんが、ご自分の名刺を見せるようにカバンから取り出されたのが、下の本。

アメリカンキャンピング

 それを見て、思わず声が出た。
 「あっ! これ持ってます!」

 『アメリカン・キャンピング』 (1989年 辰巳出版発行)

 キャンピングカーの仕事を始めた頃の私の愛読書であった。

 エアストリームの大会を中心に、アメリカ人のキャンプライフやモーターホーム事情を美しいグラビアで紹介した、当時としては貴重なキャンピングカー書籍で、私はそこに掲載された写真を、ため息をつきながら眺め、そして、そこに書かれた記事を参考に、自分の記事を構成したりしていた。

アメキャン中1

 よもや目のまえにいる方が、その著者だったとは!
 失礼ながら、うかつにもそのことに気づかなかった。

 事前に気づいていれば、自分が所有しているその本を持参して、サインをもらっていたものを…。
 悔やまれてならない。

 この 『アメリカン・キャンピング』 という本は、海外のキャンピングカーを紹介したものとしては古典的な名著に入る。
 当時も、そして今も、いまだにこれを超えるアメリカのキャンピングカーを紹介した本を、私は知らない。

 その本で紹介されている当時の話題の人気車種は、ウィネベーゴの 「レシャロ」 。クラスCのカットウェイシャシーは、どれもフロントグリルが真四角の3代前のエコノライン。輸出用ハイラックスをベースにしたマイクロミニが全盛を誇っていたことを物語る写真もある。

 写真に撮られた自走式モーターホームは、今となっては古色蒼然としたものばかりだが、面白いことに、エアストリームのたたずまいだけは、今も基本的に変らない。

アメキャン中身2

 そのエアストリームを米国で所有するただ一人の日本人メンバーとして、吉田さんは 「ワーリー・バイアム・キャラバン・クラブ・インターナショナル (WBCCI) 」 の大会に参加した経験を持っている。
 ちなみに、彼の会員ナンバーは27160.
 栄えある日本人メンバーとして誇れるナンバーだ。

 「人との交流なくして旅行なし」
 と、吉田さんは語る。

 旅の楽しさは、なによりも現地の人たちとの触れ合いがもたらすもの、という信念を吉田さんは持っている。

 「それにはキャンプしかない」 という。

 ホテルでは、隣人と話したくても、いきなり相手の部屋をノックするわけにもいかない。せいぜい出会い頭に、微笑みを交わすのが関の山だ。
 しかし、アメリカのキャンプでは、見ず知らずの人同士が声をかけ合うことが礼儀。
 お互いのモーターホームに誘い合って、ディナーをともにし、酒を酌み交わし、情報交換を行う。
 
 吉田さんは、それを繰り返すことで、アメリカ人とアメリカ文化を、どの日本人よりも深く知ることになった。

 「キャンプを楽しむアメリカ人を知るたびに、彼らのたくましい行動力とスケールの大きい生き方に半ば圧倒され、感動し、勉強させられた」
 という。

 吉田さんは、現在キャンピングカーを使った海外旅行クラブ組織を運営する計画を練っている。
 「もっと多くの日本人にアメリカを見てほしい。それにはキャンピングカーの旅が一番!」
 吉田さんの信念は一貫して変らないようだ。

 この日、私たちが落ち合った東京・帝国ホテルのラウンジには、もう一人の憧れの人が来ていた。

 塩野七生さん

 私が、吉田さんの話を夢中になって聞いていた席から、わずか5mほど先に、塩野さんも私に背を向けて、出版社の取材を受けていた。

 15~16年ぐらい前か。
 やはりこのホテルのロビーで、私は塩野さんと落ち合い、ある雑誌の対談の打ち合わせをしたことがある。
 そのときは、一番好きだった 『愛の年代記』 という短編集を持参して、表紙の裏にサインをもらった。

 「サインなんて、意味がないのに…」
 と、塩野さんは苦笑いを浮かべながらも、快くペンを走らせてくれた。

 そんなことが懐かしく思い出された。

 憧れの人に、同時に2人も会えるなんて。
 なんとも贅沢な1日だった。

 エアストリームネタ 「エアストリーム話」

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 00:40 | コメント(4)| トラックバック(0)

ハイウェイ音楽

 「スピードに酔う」 ってのは、ある意味、人間の本能的欲求だ。
 どんなに健全な市民を自認する人だって、時には、制限スピードを振り切ってハイウェイを飛ばしてみたいという誘惑に駆られることがあるだろう。

 しかし、むやみなぶっ飛ばしは、安全性を損なうのみならず、石油燃料を大切にしなければならないという今の時代の精神に逆行することも確か。

 そんなとき、スピードを上げなくても疾走感を楽しめる 「媚薬」 がある。
 音楽だ。

 世の中には、時速200㎞で走らなくたって、「200㎞の気分」 を味わう音楽というものがある。

 たとえば、中高年のドライバーならば、若い頃ディープ・パープルの 「ハイウェイスター」 などを聞きながら、高速道路を飛ばしたなんて経験を持っている人は多いのではなかろうか。

ディープパープル1

 あの風を切るようなスピード感は、時速100㎞巡航でも、200㎞気分を味わえる媚薬として機能していたように思う。

 で、私は今でも走るときは、必ず音楽付き。
 演歌から民謡、カントリー、ロック、ジャズ、R&B、Jポップなど、そのときの気分に応じて、いろいろなドライブミュージックを用意しているけれど、少し疲れて、眠いのを我慢しながら運転しなければならないような時は、やっぱり昔聞いたロックをかける。

 ま、合法的な 「覚醒剤」 というわけね。

 ただ、同じロックでも、乗用車をドライブしているときにはピッタリ合っても、キャンピングカーには合わないものもある。
 逆もある。

 ここから先は、ジジイとなった私の 「定番ドライブミュージック」 を紹介するコーナーなので、若い人には理解不能なサンプリングになっていると思うが、お許し願いたい。

 で、キャンピングカーのスピード感に合う音楽となると、先ほどいったディープ・パープルの 「ハイウェイスター」 のような曲は、はっきりいって合わない。
 その理由は、キャンピングカーの運動性能が、おおむね乗用車よりもトロいことによるが、それ以上に着座位置が影響している。

コマンダー道ばた

 大半のキャンピングカーの着座位置は、トラックのように高い。
 この路面とドライバーとの 「距離」 がスピード感を鈍らせる要因になっている。
 だから、「ハイウェイスター」 のようなアップテンポの曲の場合、曲のスピードに、クルマの方が置き去りにされる。
 あの曲はバイクか、あるいはスーパーセブンのような、道路が身体に迫ってくるような乗り物に焦点を合わせた音楽なのだ。
 着座位置の高いクルマでこれを聞くと、かえって曲の方が間抜けに聞こえる。

 概してアップテンポのロックは、キャンピングカーのスピード感とは合わない (と自分は思っている) 。

 それよりも、ミディアムテンポ。
 それも、ベースとギターがユニゾンで、重厚なギターリフを響かせる音がいい。
 この重々しい “ゆったり感” が、特に、トラックベースのキャンピングカーのギヤ比と合う。

 ディープパープルを例に取るならば、「ハイウェイスター」 がピーキーなエンジン特性を発揮するスポーツカーに似合う音だとすれば、トルクフルなトラックの走行感をサポートするのは、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」 の方である。

 私の好みでいうと、トラック系キャンピングカーミュージックの一押しは、クリアデンス・クリアウォーター・リバイバルの 「ボーン・オン・ザ・バイヨー」 。

CCR1

 ギターの緊張感あふれるイントロが流れると、絶妙のタイミングで、リズム隊がそれを追う瞬間など、もうアドレナリンが大噴出!
 そして、ジョン・フォガティのエネルギッシュなヴォーカルがかぶさってくると、時速80㎞の私のコマンダーでも、気分は200㎞圏内に突入。

 ZZトップもサイコ-!

zz1

 ZZトップでは、特に1979年のアルバム 「皆殺しの挽歌」 に収録された 「アイ・サンキュー」 が絶品。元歌を歌っていたサム&デイブの音よりもドライブ向きだ。
 腹の底にネジリ込むようなドライブの利いたギターリフが、腹の臓腑を突き破って、脳天まで駆け上がってくる感じ。

 ちょっと軽くなるが、オールマン・ブラザーズ・バンドのインスト曲は、みなドライブ向き。

オールマン

 たとえば、「ジェシカ」 。
 チャック・リーヴェルのピアノソロからバトンを受けて、ディッキー・ベッツのギターソロに移るあの瞬間!
 あそこで、何かが弾ける。
 そのタイミングで加速なんかしようものなら、もう射精してしまいそうだ。

 「レ・ブレル・イン・Aマイナー」 の途中からリズムが変る部分もいい。
 あれは、カムロードをもポルシェに変える。
 しかし、そのつもりでコーナリングに挑んではまずい。

 ブリティッシュロックの雄フリーは、だいたいどの曲もキャンピングカーのスピード感に合う。
 特に、ライブアルバムが素敵。
 あの70年代的な暗さが、なんともたまらない。

フリーライブ

 「オール・ライト・ナウ」
 「ファイアー・アンド・ウォーター」
 といったミディアムテンポとスローの中間ぐらいのリズムが、意外と高速走行と調和する。
 子供たちがリヤ席で眠りこけ、奥さんも助手席で高いびきという状況の、孤独なお父さんの深夜ドライブにぴったり。

 フリーで個人的に好きな曲は、「ビー・マイ・フレンド」 。
 スローテンポのバラードだが、ポール・ロジャースのヴォーカルに合わせて、アンディ・フレイザーのベースがずしんとはらわたに落し込まれると、フロントガラスにゾンビの顔が貼り付いたような戦慄が、身体中を駆け巡る (ほめ言葉ね!) 。
 
 フリーの “引きずる” ような粘りを持ったサウンドは、トレーラーをけん引しているときにも似合うかもしれない。

 フリーを敬愛しているアメリカののレーナード・スキナードも、キャンピングカー向けのミディアムテンポの名曲を数多く残している。

レーナード1 

 レーナード・スキナードは、「サザンロック」 というカテゴリーで語られるグループだが、オールマンやZZとは異質。
 イギリス風の暗さとアメリカ南部のアンニュイが混じりあった、独特のダルい雰囲気をかもし出している。
 お勧めは、「ザット・スメル」 。そして 「サーチング」 。

 ビートルズで1曲選ぶとすると、初期の名曲 「ユー・キャント・ドゥ・ザット」 。
 ジョン・レノンの不良っぽいシャウトが、カウベルの小気味よいリズムに煽られて、グイグイ乗っていくところが絶妙。 「ドライブ・マイカー」と並んで、ビートルズの曲中もっともドライブの利いたサウンドになっているのではなかろうか。
 おとなしいキャンピングカーを運転していても、やんちゃな気分になれるから不思議だ。

 Tレックスのマーク・ボランが歌う 「ゲット・イット・オン」 のブギリズムも、なかなかトラック系キャブコンと合う。

 少し時代が下った頃の音では、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの 「リラックス」 。
 あるいは、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの 「パワー・オブ・ラブ」 。
 そして、ブロンディの 「ラプチャア」 。
 さらに、シャーデーの 「スムース・オペレーター」 。

ダイヤモンドライフ-sade
 
 80年代の音としては、このあたりのリズムもトラックシャシーのキャブコンと相性がいい。ただしディーゼルではなく、ガソリンエンジンの感覚だ。

 ブラックが奏でるR&Bは、スピードを追うドライブミュージックとは合わない。
 好きなジャンルだけど、あれはダンスビートが根底にあるので、リズムに上下動感覚が残り、ハイウェイ走行の水平移動とはシンクロしない。
 R&B系は、「飛ばす」 という心境とは違う心の状態のときに、楽しんでいる。

 勝手なことを書いた。
 すべて個人的な趣味の話。
 古い曲ばかりで、若い人には知らない曲が多かったと思う。
 1曲ぐらい、知っている曲がありましたか?

 ロック関連記事 「吉祥寺ビーバップ」
 ロック関連記事 「歌姫シャーデー」
 ロック関連記事 「60年代ロック」
 ロック関連記事 「旅の始まり」
 ロック関連記事 「音楽は泥臭く」

音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 01:39 | コメント(6)| トラックバック(0)
<<  2007年 11月  >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
ホビダス[趣味の総合サイト]