町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

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小室哲哉の時代

 朝のテレビ報道を見ていたら、どの局も 「小室哲哉が詐欺容疑で逮捕」 という話題ばかりだった。
 私は、この音楽家の熱烈なファンというわけでもないので、そういうニュースに接しても淡泊な気分でいられる。
 詐欺容疑そのものにも関心がない。

小室哲哉氏

 しかし、ひとつの時代が終わったなぁ…という感慨だけはものすごくこみ上げてきた。
 ある時代が去って、次の時代がやってくるという雰囲気を、おぼろげながらも感じる今日この頃だったけれど、このニュース報道に接したときに、明確に 「ある時代が終わった」 という気がした。

 どういう時代が終わったのか?

 「空気を読む時代」 が終わったのだ。

 誰もが、同じノリで、同じものに感動し、同じ空気を共有するという奇妙な時代。
 それが 「終わった」 ように思う。

 ここ10年ほどの間に、ものすごい勢いで 「空気を読む」 ことが日本人のマナーかモラルでもあるかのように広まった。
 だから、その場の空気に乗り切れない人間は、みんなから排除されることを恐れるあまり、必死になって同じノリを共有しようとした。
 あるいは、そういうノリに感動するように自分を訓練した。

 小室哲哉氏の音楽というのは、まさに80年代から90年代を支配したそういう 「空気」 を、音楽の場で再現したようなものだ。

 つまり、小室音楽を受け入れるか受け入れないかという空気をつくり、その空気になじめない人間に 「時代遅れ」 のレッテルを貼ることによって島流しの刑を執行したのだ。

 その象徴的な例が、カラオケボックスと、カラオケスナックの分離である。

 小室哲哉氏の音楽は日本人のカラオケ空間から “オヤジとオヤジ文化” を駆逐して、オヤジたちを、カラオケボックスには入れないカラオケスナックという離れ小島に島流しした。

 言葉を変えていえば、歌詞の情緒がメロディより大切にされた 「演歌」 を追い出し、さらに歌詞のメッセージが楽曲構成よりも優先される 「70年代フォーク的世界」 を絶滅させ、最後は、歌い手の個性が歌に意味を与えた、それまでのJポップ路線をも変えた。

 小室ミュージックにおける歌い手は、無機的なシンセサイザーの音の中で、「ヴォーカル担当マシン」 という位置づけになり、今までの歌手には真似できないほどの人工的なビート感、リズム感、高音域歌唱力などを求められた。

 そのようにしてつくり上げられたサウンドは、ある意味、洋楽とも従来のJポップ (ニューミュージック) とも異なる新しい音のバイブレーションを創造したのかもしれない。

 でも、そういう音楽からは 「歌手と歌詞」 が消えた。

 安室も聖子も篠原涼子も華原朋美も素晴らしい歌い手だけど、実は、小室哲哉氏の曲は、彼らじゃなくてもノリを会得すれば歌える。
 つまり、小室流のメロディライン、転調感、ビート感をパーツごとに把握すれば、誰が歌っても同じような効果が生まれる。

 そこに、多少難易度が高くても、小室ソングがカラオケハウスで重宝がられる秘密がある。
 楽曲を構成するパーツが一律に “個性的” だから、そのツボさえ押さえれば、誰もが安室にも、華原にも、TRFにも、globeにもなれるのだ。


 このように、彼の作る曲は、歌い手の 「個性」 を必要としないところに特徴があったが、また歌詞の 「意味」 も必要としなかった。

 キーボードを叩きながら、リズムとメロディ主体に曲を作っていく小室音楽では、歌詞はノリの良い言葉の集合体に過ぎず、言葉によるイメージ喚起力や情緒性などは置き去りにされた。

 このように、「歌手と歌詞」 を追い出したところに小室音楽の特徴があるとすれば、そういう音楽がもてはやされた時代の素顔も見えてくる。

 「歌い手の個性」 、「歌詞としての意味」 が必要とされない歌とは何だろう?

 それはもはや 「歌」 とはいわず、「空気」 と呼ぶべきものでしかないのではないか。
 小室ミュージックは 「空気の時代」 の到来を、音で表現したのだ。

 小室的な音楽の世界では、個性の異なる人間同士のぶつかり合いとか、歌詞の意味を詮索したりする行為は必要とされない。
 それよりも、人と人が 「言葉」 を介さずにつながり合える空気の波動 (バイブレーション) の方が大事とされる。

 かくして、ノリの共有だけが、人間と人間をつなぐ大事なカギになっていく。

 小室音楽は、そういう時代のニーズにぴたりとハマった。
 …というか、時代の方がそういう小室音楽に範を求めた。 

 でも、そうやって空気と化していった音楽というものは、時代の空気が変わればたちまち霧散する。

 「空気を読む」 ことがサバイバルにつながったのは、総中流意識の幻想が生き延びていた時代のことだ。
 それは、誰もが均質な空間の中で生きているという 「安心感」 と 「閉塞観」 が共存していた時代の感性に過ぎない。

 格差社会が声高に叫ばれるような今の時代になると、もう 「空気を読む」 ことだけではサバイバルできない。
 歌でも、メッセージのないものは生き残れない。
 それを誰よりもよく感じていたのは、当の小室哲哉氏だったろう。

 海外につくったスタジオ付き別荘も、フェラーリコレクションも、次々と替わった奥さんも、小室氏にとっては、風向き次第で変わってしまう空気のようなものでしかなかったと思う。
 そう思うと、彼の空虚なさびしさや飢餓感も伝わってくる。

 やがて、小室哲哉の名前は、「空気読み」 の時代を思い出すものとして、はかなさとほのかに甘い感傷を漂わしつつ、ゆっくりとフェイドアウトしていくのだろう。

 ひとつの時代に殉じた音楽家という意味では、それなりにカッコよかった人なのかもしれない。


コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 16:08 | コメント(0) | トラックバック(0)

タイガードラゴン

 こんばんは。町田がお相手を務める 「Jポップクリティーク」 です。
 今日はですねぇ、「不良の哀しみ」 …というやつをテーマに採り上げてみようかと思っています。

 不良…。

 ね、…この言葉はですねぇ、不良に成りきれなかった中途半端な青春を送ってしまった中高年にとっては 「永遠の輝き」 を秘めた言葉ですな。

 親や学校から敵視されつつ、しかし、どこか危ない魅力を秘めていて、けっこう異性から、「カッコいい」 なんて崇拝されちゃったりする…っていう、まぁ、不良になれなかったお坊っちゃんお嬢さんは 「不良」 に対して、そんなイメージを持ちがちですね。

 しかし、実際の不良の心境は、なかなか複雑です。
 けっこう不安にさいなまされていて、神経もピリピリ研ぎ澄まされ、哀しみにも彩られるという、…そう簡単に、お坊っちゃんお嬢さんには務まらない苛酷さを秘めています。

t

 そういう心境を歌にした名曲、それが、クレイジーケンバンドの歌った 『タイガー&ドラゴン』 なんですなぁ。

 なんていったって、あの、「俺の話を聞けぇ!」 という悲痛な叫び。

 ね! あれは一度脳裏に刻印されると、肌に焼きゴテを押しつけられたように、しばらく消えることがありません。
 それでいて、どこかおかしい。
 笑える。
 この繊細なニュアンスこそ、実は本物の不良が抱える 「哀しみ」 なんですね。

 それではクレージーケンバンド…横山剣さんの歌う 『タイガー&ドラゴン』 を聞いてみてください。


 ▼ 「タイガー&ドラゴン」 from You tube


 凄いですねぇ、この曲!
 アーチストに対する予備知識を持たず、いきなり曲だけ聞かされたとしたら、たいていの人は、演歌系の歌手が歌う歌謡ポップスだと思うでしょうね。
 それほどアクが強い。

 また、ある人は、お笑い系タレントによるコミカルソングだと思うかもしれませんね。
 それほどおかしい。

 歌の内容はですねぇ、横須賀で遊び回っていた男が、昔の女を呼び出す話なんですが、この男は、
 「俺の話を聞けぇ!」
 と強引に迫ったかと思えば、その次に 「5分だけでもいい」 と気弱になり、さらに2回目のサビでは、「2分だけでもいい」
 …とどんどん譲歩していく。

 哀しいけど、おかしい。
 不思議な歌ですね。

 この歌の不思議な雰囲気はですねぇ、ギャグなのかシリアスなのか分からないという、主人公の微妙な立ち位置から生まれています。

 音の作りは、グループサウンズ風の味付けがなされた70年代歌謡ポップス風です。
 それだけで分かる人には、これが 「パロディ」 だと分かるんですが、横山剣さんがですねぇ、大真面目にリキんで歌っているために、パロディの軽さが吹っ飛んでいるんですね。

クレイジーケンsoulpunch

 主人公は、元暴走族といった雰囲気の男です。
 今も、虎と龍…つまりタイガー&ドラゴンの刺繍を背中にあしらったスカジャンで決めています。

 言葉づかいから察するに、この男は不良グループでもそのリーダー格の雰囲気を漂わせています。
 ケンカなどにも自信を持っていそうな感じの男ですね。

 その彼が、電話を使って自分の女を呼び出しているところから始まります。

 「三笠公園でお前待ってるから、今すぐ来いよ」

 …と、男は命令するわけですが、その声やしゃべり方はけっして楽しそうではありません。
 きっと女がグズっているからなんでしょうね。

 どうやら、2人の間にはブランクがあるらしいことが分かってきます。

 「あの頃みたいに、ダサいスカジャン着ているから」
というところですね。

 いちいち目印となる自分の衣装を説明しなければならないほど、2人はしばらく会っていないということが分かります。

 この表現から、もうひとつ、この男の心境が伝わってきます。

 もしもですよ、今もバリバリの不良でしたら、彼は自分の衣装を 「ダサい」 とは決して言わないはずですよね。
 自分の衣装を醒めた目で見ているところに、この男がいま転機に立っている様子がしのばれます。

 さて、「俺の話を聞けぇ!」 と男は叫ぶわけですが、では女がやってきたら、いったい何を話すつもりだったのでしょう?

 歌詞では、「お前だけに本当のことを話すから」 としか表現されていません。

 では、本当のこととは何か?

 「お前が好きだ」 という告白かもしれませんね。
 あるいは、「不良から足を洗うつもりだ」
 …とでも言うのかもしれない。

 もしかしたら、「俺は日本人じゃないんだ」 などというヘビーなカミングアウトかもしれませんね。
 場合によっては、覚醒剤の密輸情報なんかに関するシビアな話かもしれません。

 しかしですねぇ、いずれにせよ、男が重みを感じているほどには、女が男の話に興味をもっていない気配が、この歌から伝わってきます。

 そのため、男はますます強く 「俺の話を聞けぇ!」 と叫ばざるを得なくなります。
 2回目のサビでは、なんと 「俺の、俺の、俺の…」 と、「俺」 が3連呼されるんですね。
 つまり、3連呼しなければならないほど、男が自信を保ち得なくなっていく状況がそこに描かれています。

ケンバンドジャケ1

 この自信の喪失は、どこからやってきたのでしょう。

 彼は、はじめて 「相手に通じないかもしれない言葉」 というものを持ってしまったんですね。

 人間が、誰かに何かを告げようとしたとき、たいていの言葉はすでに用意されています。
 テレビドラマのセリフや、バラエティ番組の会話の中には、相手に伝えたい言葉のサンプルが山と積まれています。
 ちょっと高尚な言葉を取り出したいときには、新聞や本を読めばよろしい。

 しかし、彼はですねぇ、この時初めて、そういう様々なメディアで使われている言葉では表現できない何かを、自分の心の中に見出しちゃったわけですね。

 そういう、自分の 「固有の言葉」 が通じないかもしれない…そんな不安といらだちに、彼はいま直面しているわけですね。
 
 こいつは辛いことですねぇ。
 
 だけど、この歌には、「辛い」 、「淋しい」 、「哀しい」 などという言葉は一言も出てきません。
 それなのに、やるせない感情がいっぱい漂っています。
 
 そういう気分を表現している歌詞が至るところに散りばめられているが、この歌の特徴です。

 たとえば、「貸した金のことなど、どうでもいいから…」 。

 エグい表現ですが、「カネがすべての世の中でも、俺とお前の関係はカネの価値などでは測れないんだ」
 という、かなり切実な響きが伝わってきて、そこが泣かせます。

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 この曲を聞いていて、うまいな…と思わせるところは、リスナーの様々な思い入れを取り込める “すき間” を、わざといっぱい設けているところなんですね。
 人によって、様々な解釈ができるようになっています。

 たとえば、歌詞をよく聞いてみるとですねぇ、実、は恋愛の歌なのかどうかもはっきりしないんですよね。
 「お前」 と呼ばれる相手が、はたして 「女性」 なのかどうなのか。それも定かではありません。
 男女の歌ではなく、男同士の歌として捉える人もいるかもしれませんね。

 あるいは、不良の親が、同じ道をたどりそうな息子を説教する歌だと説明されれば、そんな風にも聞こえてきます。
 「奥行き」 が深い歌詞ですね。

 しかし、いかなる状況をリスナーが想像しようが、この歌から伝わってくるヒリヒリするような別れの予感や、焼けるような痛みの感覚が薄れることはありません。

 主人公は、
 「お前が愛した横須賀の海に優しく抱かれて、泣けばいいだろう」
 と、海を一緒に眺めることで、相手と心が通い合うことに一縷 (いちる) の望みを託すわけですが、しかし、その海は、人を優しく抱くような海ではありません。

 「電気クラゲが浮かぶ、どす黒く澱んだ海」 なんですね。
 それを覗き込んだ人間は、心を開くどころか、ますます閉ざしていくだろうということが目に浮かぶような情景です。

 そういう海を冷静に観察している主人公というのはですね、自分の希望が断ち切られるという、その結末まで読み切っているわけですね。

 絶望的な状況を暗示しておきながら、主人公を破局の寸前で凍らせたまま 「エンド・タイトル」 を流すという、まぁ、昔のフランス映画のような終わり方ですね!

 これは紛れもない 「文学」 です。
 これだけの仕掛けを盛り込むことができる横山剣さんという人は、相当に才人だという気がいたします。

 …という感じで 『タイガー&ドラゴン』 を聞いてみましたけれど、いかがでしたでしょうか。
 それでは皆様また来週。
 お相手は町田でした。


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音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 02:03 | コメント(0) | トラックバック(0)
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