町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

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世界中に5億人を超え…
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町田さんご無事で何よ…
s-_-s 03/13 22:55
>ムーンライトさん、…
町田 03/12 17:43
町田さん。ご無事でし…
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町田さん、今日は。…
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太陽は独りぼっち

《 昔の映画の現代的鑑賞法 9 》
「太陽はひとりぼっち」

太陽はひとりぼっちDVD

 ミケランジェロ・アントニオーニの 『太陽はひとりぼっち』 は、何度観たか分からない。
 それほど気になる映画なのだ。

 何が気になるのかというと、これほど 「異界」 の存在を暗示した映画はほかにないからだ。
 これはホラーでもSFでもない。
 にもかかわらず、この映画には主人公の女性 (モニカ・ヴィッティ) が、この世ならぬ 「異界」 と接している瞬間を捉えた映像がふんだんに出てくる。

太陽はひとりぼっち50023

 何気なく描かれる郊外の風景。
 どこにありそうな建物。
 風にそよぐ木。

太陽はひとりぼっち50032

 カメラはそれらを即物的にとらえているだけなのに、なぜあれほど不気味で美しい映像になるのか。
 美しさそのものが、この世の美しさではないのだ。

太陽はひとりぼっち50009

 映画は、男女が
 重苦しく語り合うシーンから始まる。
 カーテンに閉ざされた暗い部屋だ。
 女は、婚約者である男から別れようとしている。
 しかし、男には、なぜ女が自分から離れたがっているのか、その理由が分からない。

太陽はひとりぼっち4

 別れる理由を執拗に問い詰める男に、女は 「分からない」 とつぶやいて、その視線から逃れようとする。

 実際に、別れる理由が女にも分からないのだ。
 倦怠、軽蔑、嫌悪、幻滅。
 女が男に愛想を尽かす理由を一つずつ掲げてみても、そのどれにも当てはまらない。
 2人の会話は堂々めぐりを繰り返し、それに飽きた女がカーテンを開ける。

 朝が来ていた。

 どんよりとした光りの中に、異界が姿を現す。
 まるで、発射準備を終えた宇宙船のような形をした不思議な塔が、窓の外にこの世ならぬ風景を浮かび上がらせている。

 塔の頂上は展望台のように広がっていて、あたかもカサを広げたキノコのように見える。
 建物の周囲には人の気配がなく、まるで地球の最終戦争が終わった後のような荒涼感が漂っている。

 現在でありながら、すでに 「過去となった未来」 がそこに横たわっている。

 この未来と過去が入れ替わるような不条理感こそ、アントニオーニ映像の核を構成するものといっていいだろう。

 キノコ型の建物を見た瞬間から、女の心にスイッチが入る。
 でも、そのスイッチはONを意味するのか、OFFを意味するのか、それは彼女にも分からない。

太陽はひとりぼっち5

 女は、朝の光に満たされた歩道を歩き、一人家路につく。
 たった今まで、あれほどの重苦しい時間を過ごしてきたというのに、すでにその記憶すら希薄なものになっている。
 女の気持ちは、どこに向かっているのだろう。

太陽はひとりぼっち50011

 結婚、愛情、家庭。
 そういう言葉に象徴される濃密な人間関係が解体していく世界に向かって、彼女は歩き始めている。
 彼女が求めているのは、解放感でもない。
 「解放」 を感じるような自我が、すでに彼女にはない。

 人間への関心が希薄になっていくことと同時に、彼女の見つめる風景は濃密さを増していく。
 風景が、人に代わってコンタクトを求めるようになってくる。


 女友達の逃げた犬を追いかけて、彼女が夜の公園を歩くシーンは、この映画でも白眉といえるシーンだ。

太陽はひとりぼっち50019

 犬の姿が視界から消え、彼女はがらんとした広場にたった独りで取り残されたことに気づく。

 突然、暗い空に向かって伸び上がっていた無数のポールが、一斉にカランカランと乾いた音をたて始める。
 ポールに絡まるロープが、夜風に揺れているだけなのに、彼女にはそれが何者かの発するメッセージのようにも思える。

太陽はひとりぼっち50016

 人の姿が途絶えた夜の公園に、「異界」 が舞い降りてくる。

 ポールを見上げた彼女の視線は、次に広場の真ん中にたたずむブロンズ像をとらえる。
 膨れた腹を突き出す、かわいい天使の像だ。

太陽はひとりぼっち50021

 天使は、何も言わない。
 言わないが、気配で何かを伝えてくる。

 天使が、直接脳に訴えてくるメッセージを汲み取ろうとして、彼女は、穴が穿 (うが) たれただけの天使の瞳を見つめる。
 彼女が天使からメッセージを受け取ったかどうかは、観客には解らない。

 女が証券取引所に出向いて、自分の母親を探すシーンがある。

 証券マンたちが、もみあい、重なり合い、手を振り上げ、怒号をまき散らしながら、せわしなく動き回っている。
 人とすれ違うたびに、彼らは株価の情報を素早く交換し合い、遠隔地の相場を知るためにおびただしく電話をかける。

太陽はひとりぼっち6

 証券マンたちの行動は、極めてリアルな経済法則に従っているにもかかわらず、脳の制御を失った人たちが、意味不明の妄言を囁き合っているようにも見える。
 そこは、「不思議の国のアリス」 や 「ガリバー旅行記」 に出てくるような、異界の法則に貫かれたおとぎの国だ。

太陽はひとりぼっち証券取引所 

 女は、証券取引所で若い証券マン (アラン・ドロン) と出会う。
 どちらともなく惹かれ合って、恋愛がスタートしたかのように見える。
 しかし、進展しない。

太陽はひとりぼっちアラン・ドロン

 女は男の気を引くようなコケティッシュな笑顔を見せるが、それも長続きしない。
 男と一緒に笑い転げたかと思うと、次の瞬間には、その表情を凝固させる。
 病んだような物憂さだけが、2人の間を流れていく。

太陽はひとりぼっち2

 男は 「君が分からない」 という。
 しかし、女にも自分が分からない。自分の意識をコントロールできる時間がだんだん少なくなっているからだ。

 彼女の意識が、この世と異界の境界を行きつ戻りつしていることを暗示するかのように、風景のショットが増えていく。

 建設途上のビル。
 雨水を溜めたドラム缶。
 風にそよぐ木。
 幼児を乗せた乳母車。

太陽はひとりぼっち乳母車

 それらの風景の奥の方には、とてつもない緊張感が張りつめている。

 風景が視線を持っている。
 視線を持って、人間を観察している。
 その視線に、徐々に力がみなぎっていく。

 女が、男のアパートを出るシーンがある。
 午後の光が溢れるローマ郊外の街を、彼女はけだるい足どりで歩き始める。
 その歩き方は、満ち足りた情事の思い出を引きずっているようにも見えるし、方向性を見失って途方に暮れているようにも見える。

 この後の展開は異様だ。
 そこからラストシーンまで、まだ10分ほどあるというのに、もう主人公の女も、相手の男も画面に登場しない。

 延々と映し出されるのは風景だけ。
 大通りを、1頭立ての馬車が白日夢のように通り過ぎていく。
 ヒヅメの音が遠ざかると、岩のような沈黙が被さってくる。

太陽はひとりぼっち馬車

 遠くのグランドでは子供たちがスポーツに興じているのだが、その歓声は届いてこない。
 空虚な静けさが、街をゆっくりと包んでいく。

 街に夕暮れが迫る。
 人気のない道路を1台の路線バスが走っていく。
 家路に急ぐ人たちがバスを降りるが、彼らの背中は、影絵のように実体感を失っている。

太陽はひとりぼっち50041

 通りすがりの人間がアップで映し出されるときもあるが、その無表情な顔からは精神の動きが感じられない。
 人の匂い、人の気配が急速に画面から遠のいていく。

 この映画の最後は、不安感を助長させる音楽の高まりとともに、ギラギラと輝く街灯をアップでとらえた映像で終わる。

太陽はひとりぼっち街灯

 その街灯は、もはやこの世の街灯ではない。 
 女の意識の裂け目から噴出した 「異界」 の街灯なのだ。
 彼女が完全に異界へ旅立ったことが、そこで暗示される。

 怖くて、美しい映画である。
 私は、この映画の意味が、いまだに理解できない。

太陽はひとりぼっちFIN


音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 04:21 | コメント(2) | トラックバック(0)
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