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R&B本の名著

 『レコード・コレクターズ』 3月号の特集は、「SOUL/FUNK BEST100」 だった。
 60~70年代にリリースされたソウル、ファンクの名盤100を、評論家たちの投票によって決めるという企画。
 買わずにいりゃりょうか!

レコード・クレクターズ08-3

 『オートキャンパー』 の3月号も一緒に買ったのだが、こういう特集を組んでいる雑誌を手に入れたときは、やはり 『レコ・コレ』 のソウル特集の方から先に開いてしまう。

 昼休み、いつものカフェでホットドッグを頬張りながら、『レコード・コレクターズ』 のページをぱらぱらとめくると、評論家先生たちの選んだ1位は、マービン・ゲイの 「ホワッツ・ゴーイン・オン」 。

マーヴィン・ゲイ

 当然といえば、当然。
 異論はない。

 こういう人気アルバムが上位に来ると、うるさ型の論客あたりがしかめっ面をする様子が目に浮かぶが、ごく自然な成り行きだと思う。
 私は、黒人音楽評論家でも何でもないので、自分がインパクトを受けた曲を中心にするしか物事を考えられない。
 そうなると、私が選んでも、これが1位なのだ。

 夜の冷気が漂う自分の部屋で、突然FENから流れた来た 「ホワッツ・ゴーイン・オン」 を聞いたときは、脳天がしびれて、鳥肌が立った。
 それは自分の “音楽体験” のみならず、“人生体験” においても、決定的なターニングポイントになった。

 これからは、こういうモノを 「美しい!」 とする基準を自分のなかに確立していこう、と自分に言い聞かせた。

 後になって、このアルバムの芸術性の高さ、思想性の深さがあちこちの評論で採り上げられたが、そういうものに接する以前に、直感的に 「こいつは凄い!」 ということが、何の予備知識もなく理解できた。

 3位がオーティス・レディングの 「オーティス・ブルー」
 4位がスティービー・ワンダーの 「インナーヴィジョンズ」
 8位がダニー・ハサウェイの 「ライブ」

 ……アルバム持ってる、持ってる!

 14位、スライ&ザ・ファミリースタンドの 「暴動」
 17位、カーティス・メイフィールドの 「スーパーフライ」
 18位、オージェイズの「裏切り者のテーマ」。
 20位、アイズレー・ブラザーズの 「ヒート・イズ・オン」

superfly

 ……持ってる、持ってる!

 で、赤ペンを手にしてチェックしたら、ベスト100のなかで、自分が持っているアルバムは29枚だった。
 ちょっと意外。

 なんだか60枚ぐらいは持っていそうに思えたのだが、評論家先生たちの嗜好とは少しズレた感じ。
 挙げられたアーチストのものはたくさん持っていても、選ばれたアルバムが違ったりする。
 シングル盤やベスト盤、オムニバス盤で買ったものも多いので、それは当然アルバムチャートには入らない。

 数人の論者が同じことを書いていたが、60~70年代初期までのR&B・ソウルミュージックは、オリジナルアルバムより、曲単位で動いていたために、アルバムとして選ぶのは難しい、という。
 そうだと思う。

 同じ時期のロックには、アーチストたちがアルバム単位で自分たちの音楽性を打ち出すコンセプトアルバムの思想が芽生えていた。
 ベトナム戦争などの影響もあって、ロックの方が、時代に向かい合うための思想や戦略を意識する必要に迫られていたからだろう。

 それに対して、R&Bは、ナンパとパーティの音楽だった。
 少なくも、私にとっては、ディスコの重い扉の向こうで鳴り響く “不良の巣窟” で流れる音楽だった。
 だから、私はR&Bを、「アーチストの芸術性」 とかいう理屈抜きで、この曲の場合はここでターンを決めて、次に2ステップで前に出る…という肉体の音楽として聞いていた。
 当然、そういう音楽は、1曲単位で完結してしまう。

 フォートップスの 「リーチアウト・アイル・ビー・ゼア」
 サム&デイブの 「ホールド・オン・アイム・カミング」
 アーチ-・ベルズ&ドレルズの 「タイトンアップ」

ディスコ

 こういう曲は、ディスコのミラーボールの下で聞くものであったから、最初のうちはアルバムジャケットすら見たことがなかった。

 高校生のとき、隣りのクラスの女の子を誘ってディスコに行った。
 びっくりした。
 セーラー服姿しか見せたことがない彼女が、唇を赤く塗って、揺れるミニスカートから見事な脚をさらし、黒人顔負けのステップを踏んでいた。
 あまりもの華麗な足さばきに、おじけづいた。

 「町田君、踊らないの?」
 と、言われたって、とても彼女のステップに足を合わせる勇気が出ない。
 リーゼントで決めた横浜・横須賀系の男たちが、フロアで踊る彼女に話しかけるのを、情けなく見守るしかなかった。

 「俺も、踊りがうまくならなければ…」

 私にとって、R&B・ソウルミュージックというのは、そういう生々しい欲望やら恍惚感やら焦燥感と一体となった、「欲情の音楽」 としてスタートした。

 そうやって聞いているうちに、少しずつ “理屈” の方も追いついてきた。
 素晴らしい本にもたくさんめぐり会った。

 ひとつは、紺野慧 (こんの・とし) さんが書かれた 『ソウルミュージック・イン・ジャパン』 (73年刊)。
 まだ、ソウルミュージックが市民権を得るかなり前。
 彼は、福生ベースの近くのブラックバーに入り浸り、そこに集まる黒人たちと一緒になって、最先端のブラックミュージックを堪能する喜びを手に入れる。

紺野慧ソウルジャパン
 
 おそらくこの本が、日本でソウルミュージックという音楽を独立したジャンルとして捉えた最初の本ではなかったかと思う。

 彼はソウルミュージックを、部屋の中のオーディオを通して聞く音楽ではなく、黒人兵と一緒にソウルフードを食べて、彼らが戦争がもたらす軋轢の中で悩んだり、国に残した恋人への思慕でセンチになったりするときの音楽として捉えた。

紺野慧ソウルジャパン中

 彼は言う。
 「僕にはひとつの偏見がある。それは黒人音楽、とりわけソウル・ミュージックは、黒人たちが力強く息づいている世界で聴くことこそが最も楽しく、すばらしいものであるということだ。
 それはジェームズ・ブラウンやアル・グリーンを聞いて、そのオフ・ビートにのって腰が動き出さない人にはぜったいに分からないということである」

 この本は、すぐさま私のバイブルになった。
 ミーハーな私は、その本を読んでから3日後ぐらいに、自分も福生ベースまで遊びに行ったように記憶している。

 本場物のソウルミュージックの素晴らしさを描いた本としては、白石かずこさんの 『ブラックの朝』 (74年刊) を挙げてもいい。

ブラックの朝
 
 彼女は、ジョン・コルトレーンとジェームズ・ブラウンを等価に捉える。
 片や前衛ジャズを求道的に追求したジャズの聖人。
 片や野卑で挑発的なステージで、大衆の熱狂を誘い出す煽情的なエンターティナー。
 しかし、どちらも 「暴風雨のように、心を打ち叩き、雷のように咆哮し、瞬時、息もできぬほどにエキサイトさせる魂 (ソウル) の叫び」 だという。

 彼女は、知識も教養もある詩人だが、後頭部でモノをいう人間 (つまりモノを書いたり、考えたりする人間) の対極にあるものとして、ブラックミュージックを捉えた。
 私は、彼女の本から、ソウルミュージックのエモーションを表現するときの言葉を数多く教わった。

 決定的だったのは、松本隆さんの 『微熱少年』 (75年刊) だった。
 この本は、彼の音楽遍歴を綴った本だが、途中からソウルミュージックの賛歌に変る。
 それまで、松本さんというのは、「はっぴいえんど」 のドラマー兼作詞家というぐらいの認識しかなかったのだが、この本を読んで、彼に対する印象が変わった。

微熱少年

 彼は、生粋のソウルフリークだったのだ。
 「はっぴいえんど」 の創り出す世界に対して、私は、知的で醒めた白人的センスを感じていたが、松本さんは黒人音楽に触れることで、常に 「微熱状態」 の中にいたらしい。

 彼は徹底して、ソウルミュージックを 「都市の音楽」 として捉えた。
 私のソウルミュージック観が形成されたのは、この松本さんの影響によるところが大きい。

 松本さんは、『微熱少年』 のなかで、
 「ウエストコースト系の白人によるロックが自分にとって終わったと感じた頃、マービン・ゲイのホワッツ・ゴーイン・オンが、眼前に新鮮な驚きを与えながら未知の光条を放っていた」
 と書いている。

 日本を代表する作詞家の松本さんと自分を比べるわけにはいかないが、その一点に関する限り、同じ時代に、同じ地平に立っていたんだ…と思う。

 名著といえば、チャールズ・カイルが書いた 『都市の黒人ブルース』 (相倉久人訳 68年刊) を忘れるわけにはいかない。
 この本では、アメリカ黒人音楽がどのように発生し、どのように発展し、どういう思想展開を遂げていったかということがアカデミックに追求されている。
 黒人音楽独特の音階であるブルーノートなどに関しても詳しく解説されている。
 
 さっき、この本を久しぶりに手にとってみたら、やたら赤線が引いてあって、書き込みがあった。
 ほとんど忘れていた本だったが、当時は自分なりに必死に勉強していたようだ。

 60年代後半から70年代初期にかけて、ソウルミュージックが日本でも新しい音楽潮流を切り開こうとしたとき、それと同時に、素晴らしい評論集がたくさん生まれた。
 それが相互に、黒人音楽文化を支えあった。
 自分は幸せな時代を生きたと思う。

紺野慧ソウルジャパンイラスト

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音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 20:14 | コメント(2) | トラックバック(0)

バンテック新商品

 バンテックといえば、今の日本のキャンピングカーシーンをリードしている会社というイメージがある。
 実際に、業界のなかでもそう認知され、ユーザーのなかにも、そう感じている人は多いだろう。

 そういうイメージが流布している背景には、いったい何があるのだろうか。

 もちろん、販売台数の多さ、車両開発の巧みさという目に見える部分で、この会社が目立っていることはよく分かる。

 しかし、それ以外に、やっぱりスタッフがめちゃめちゃ勉強している。
 海外の動向、時代の流れ、消費者ニーズの変化などに対する目配りを、スタッフたちが片時もおろそかにしていないという雰囲気が伝わってくる。

 そして、キャンピングカービルダーという、まだ国内産業の中では小さな業界のなかにあって、グローバルなテーマを追求するという姿勢を忘れない。

 幕張の 「キャンピング&RVショー」 の会場で、バンテックの車両開発を担当している中島宇一郎さんと話す機会があった。

 新型ジル520の開発コンセプトに話が及び、オルタネーターをインバーターに直結して、家庭用エアコンを駆動させるという話が出た。

 要するに、エンジンのかかっているうちに、室内温度を設定温度まで下げてしまえば、宿泊場所に着いてからエアコンを回すことに比べて、消費電力が大幅に節約されるというのだ。
 設定温度まで室内温を下げれば、後は低負荷でも最近のエアコンは駆動するので、トリプルバッテリーの力だけで冷房効果を維持できるという。

 中島さんの意識には、「発電機に頼らないエアコン駆動は可能か」 というテーマがあったようだ。
 この新システムを開発するに至った動機を、彼はこう語る。

 「最近、家庭用のセパレートエアコンを標準装備するようなキャンピングカーが非常に増えてきています。
 確かに、地球温暖化が進み、日本の夏も、年を追うごとに寝苦しい夜が続くようになりました。断熱対策が進んでいるとされるキャンピングカーにおいても、だんだんエアコンなしで車中泊することが難しくなってきていることは事実です。

 しかし、道の駅で休息するようなとき、家庭用のセパレートエアコンを利用するためには、発電機の搭載が前提条件となります。
 ところが、他の利用客も集中するような場所で発電機を回せば、騒音や排気ガスによって、周囲に迷惑を及ぼすこともありうるわけですね。

 お客様に快適なキャンピングカーライフを提供することがビルダーの義務とはいえ、周囲の人々や自然環境に敵対するようなものであってはいけない。
 私たちビルダーも、これからは社会や自然と共存共栄できるテクノロジーを開発していかなければならない。
 そう考えて開発したのが、今回のオルタネーターの給電システムなんです」

 中島さんは、このような試みを 「エコロジーを推進するための取っ掛かりにしたい」 という。
 キャンピングカービルダーといえども、“地球環境”  という大きな視野に立って開発を進めなければならない時代が来た、と彼は語る。

 「環境保護」 と企業が言い出すとき、それは自社のイメージを向上させるためのマーケティング戦略である場合が多い。
 だけど、バンテックが本気だということは、この展示会のブースの他の面においても見られた。

 同社のブースに、「燃料電池」 と銘打たれた展示物があった。
 AC電源やジェネレーターによる電力供給を補佐するものとして、ドイツ・ベバスト社から発売されているものだそうだ。
 商品名を 「EFOYフュエルセル」 という。

燃料電池

 この燃料電池は、24時間で1200Wという電気を生み出す力を持っている。
 1200Wというのは、電流値に直すと100アンペア。
 通常のサブバッテリーの発電力が約90アンペアであることからして、1日でサブバッテリー1個分の電気を生み出すことになる。これは、ソーラーパネル2枚分の効力に匹敵する。

 中島さんに代わって、佐藤さんがソーラーの話を続けてくれた。

 「今までは、走行充電できないときの電気チャージはソーラーシステムに頼っていたわけですね。
 しかし、ソーラーは曇り日になると、充電力が晴天の30パーセントほどに落ちてしまう。電圧設定の高いものであっても、50パーセント。
 夏・冬・晴・曇りを考慮して1日平均の日照時間を割り出すと、だいたい5時間程度なんですよ。そうなると、ソーラーが充電する電気は600W…」

 しかし、このベバストで売られている 「燃料電池」 は、ソーラーシステムの2倍である1200Wの電気チャージを可能にするという。

 まさに、キャンピングカーユーザーにとっては夢のような電力チャージアイテムなのだが、いくつかの問題点がある。

 ひとつは価格。
 今のところ、発売価格を割り出すとなると、だいたい40万円ぐらいになりそうだという。
 ソーラーパネルを1枚ルーフに取り付けるとなると、だいたい工賃込みで10万円ぐらいだから、確かに高い。

 しかし、ランニングコストでいうと1日に200円~300円という計算になるわけだから、初期投資と割りきれば、購入した後のメリットは大きい。

 もうひとつの問題は、このアイテムを駆動するための燃料が 「メタノール」 であること。
 メタノールは不用意に扱うと引火することもあるため、扱う場合には多少なりとも、知識が要求される。

 メタノール自体は、誰でも薬局で購入できる。
 しかし、日本では 「危険物第4類アルコール」 とされ、消防法の規定により、400リットルを超える量を扱う場合は、危険物取扱者の資格が必要となる。
 …とはいっても、通常のキャンピングカーユーザーが、一回の旅行で400リットルものメタノールを必要とすることは、まずない。

 中島さんにいわせると、
 「燃料電池に必要なメタノールの量は、1週間の旅行でも10リットル足らず。発電機に使用するガソリンを持ち歩くことを考えれば、危険度はガソリンの半分ぐらい」
 という。

 バンテックとしては、ユーザーがこのメタノールを安全に注入できる方法を検討中だ。それが実現されれば、国内で市販化される道筋もつけられるようになり、ユーザーにもたらされる便宜は計り知れない。


 さらに面白い情報をひとつ。
 それは 「ディーゼルクッカー」 だ。

 これは、ベース車がディーゼル車の場合、フューエルタンクの軽油を利用して、そのままコンロの熱源にしてしまうというもの。
 「見た目は、ちょうど電磁調理器のIHクッキングスタイルですよ」
 と、中島氏はいう。
 燃料消費も微量で、1時間燃焼させて、消費する軽油の量は、約0.09リットル = 90cc。

 電源の供給が安定していないと使えない電磁調理器に比べ、こちらの方が格段に安定感がありそうだ。
 また、最近、充填拒否の問題が起きているLPGに頼るコンロに比べても、これなら安心できる。

 海外から、次々と新しい製品や情報を獲得してくるバンテックのスタッフたち。
 彼らのアンテナ感度の良さが、「バンテック」 というブランドを維持する力のひとつになっていると思った。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 01:30 | コメント(2) | トラックバック(0)
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