町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

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先行き不透明感

 「先行き不透明感」
 今の時代の空気を表現するなら、まさにそういう言い方がぴったりだ。

 わずか1年ほど前には、好景気で沸き立っていたアメリカ経済が、サブプライム・ローン問題のつまづきによって、一気に減速。
 それを受けて、今年は 「世界同時株安」 で幕を開けた。

 経済の世界では何が起こるかわからない。
 相変わらず、偽装食品問題も後を絶たない。
 食材に対する不安は日々増すばかり。
 動機のわかりづらい奇妙な殺人事件も増えている。

トンネル画像

 確かなもの、信じられるものが、この世から急速に姿を消していくような気配がある。

 このような気分が、いったいいつ頃から、人々の心を浸すようになったのだろう。

 たぶん、バブルが破裂して、日本の各企業が崩壊の危機に瀕し、どの会社もそれまで日本的なセーフティネットとされていた 「年功序列制度」 や 「終身雇用制」 などをかなぐり捨てて、アメリカ風の市場原理主義に基づく 「成果主義」 を導入するようになった頃からではないかという気がする。

 当時、多くの人は見て見ぬふりをしていたが、あの頃から日本人は、なんともいえない不安感がひたひたと足元に押し寄せるのを感じていたはずだ。

 しかし、日本の企業理念を根本的に変革しようという意見は、マスコミからは大いに歓迎された。
 日本経済の悪癖を叩き直すには、グローバルスタンダードに基づいた企業改革が必要なのだと、経営論を得意とするエコノミストたちが口を揃えたからだ。

 しかし、そのあたりから、日本人は何を信じていいのかわからなくなった。

 「成果主義って何だ?」
 もちろん業績を上げるためだ。

 「それで喜ぶのは誰なんだ?」
 会社だ。しかし、それが個人の幸せにも通じる。
 なぜなら、個人の本当の力が試され、その努力に応じて正しい報酬が得られるようになるからだ。

 「俺、金を儲けても、ちっとも幸せじゃないぜ」
 バカを言うな。力のない者がどんどん淘汰される時代だ。稼ぐ力のあるヤツだけが生き残れる時代に、働く場を持てるなんて、それを 「幸せ」 といわずに何が幸せなのかね?

 たぶん、こんな風に尻を叩かれて、不承不承 「新しい時代」 に適合しながら、日本人は働くようになったのだ。

 しかし、このような企業理念が浸透するにしたがって、自殺者が増え、ホームレスが増え、高齢者による犯罪も増えた。

 後の世では、これを弱肉強食の社会が生んだ 「格差社会」 の負の部分の噴出というけれど、その前に、成果主義という考え方が、実は 「個人の実力」 を高めるものでも何でもなく、「労働から喜びを奪う思想」 だったからではないかと考えている。

談合坂SA2

 成果主義の世界では、労働の評価を下す座標軸が 「賃金」 でしかない。
 いや、至極当たり前のことなんだけれど、これを当たり前のことと考える感性が、実はやっぱりおかしい。

 労働には、賃金の多寡に還元できない価値が含まれている。
 たとえば、
 「この木工のアールはコンピューターを使っても実現できない、俺だけが会得したワザだ」
 なんていう職人としての誇り。

 「この秘伝のタレを作るには、ニンニクとリンゴを擦り下ろすんだけど、そいつもウチの実家で採れたやつじゃないダメなんだ」
 ってな、料理人のこだわり。

 そういうこだわりは、商品としての価値を生むには、かなり遠回りで効率の悪いことかもしれないけれど、それがあってこそ、労働というのは、ルーティンワークのように見えても、それに従事する人間を支えてきた。

 誰でも、オリジナリティというものに生き甲斐を感じている。
 作家や映画監督のように、創りだした作品そのものが、作者のオリジナリティを訴えるものとして評価される仕事もあるが、そんな大それたものでなくても、「俺しかできない仕事だ」 と思える部分があってこそ、単純な労働でも、人は耐えることができた。

 「俺しかできない仕事」 は、その仕事の成果に満足してくれる消費者の心と直結している。
 生産者の名前が表に出ないような小さな仕事であっても、それを誰かが喜んでくれるという実感があれば、労働者は自分の仕事にプライドを持てる。

 会社のなかで、組織の歯車として働かざるを得ないような人であっても、自分の仕事が他の部署の活動を円滑にしているとか、自分の存在自体が、職場の雰囲気をなごやかにしている…などという自覚を持つことによって自分の存在に誇りを持てる。

 それが、その人間の 「オリジナリティ」 だと思うのだ。
 オリジナリティというのは、何も独創的な発明や創作物だけに反映されるものとは限らない。
 人と人が接触する現場においても、その人ならではのキャラクターが発揮されることによって、大いに生産効率を上げたりすることがある。

 しかし、そういう 「オリジナリティ」 に価値をおかない時代がやってきた。

夕焼け空1

 2005年にある雑誌で行われた田原総一郎とホリエモンの対談は、いまだに忘れることができない。
 そこで、ホリエモンはこう言い切る。

 【堀江】 仕事になぜオリジナリティが必要なのか? 仕事は儲かればいいのではないか。みんな 「オリジナリティ」 というものを、すごく大事に思っているようだが、アホだと思う。
 オリジナリティに訴えなくても、差別化する手段などはいっぱいある。資本力とか技術力で、きちっと差別化していけばいい。
 オリジナリティなんか何一つ必要ではない。良いものをそのままパクればいいだけだ。

 誰かが 「すごいアイデアを思いついた!」 というとき、世の中では少なくとも3人が同じことを同時に思いついていると昔から言われている。
 今の情報社会は、アイデアのもとになる原料みたいなものがインターネットで一瞬にして手に入る。
 だから、いいアイデアは同時に100万人が思いついているかもしれない。違いは実行に移すか、移さないかだけ。オリジナリティそれ自体には価値がない。


 この堀江貴文氏の発言を最初に読んだとき、その合理性に舌を巻いた。
 続いて、そういう時代が来たということが、そら恐ろしく感じられた。
 この 「殺伐とした小気味よさ」 の正体がつかめずに、それ以降、ずっと居心地の悪い気分が続いた。

 さらに、彼はこうも発言する。

 【堀江】 会社は儲けるための組織なのだから、社員の能力はすべて 「数字」 で判定している。忠誠心などといったって、ゴマすっていれば誰だって良く見えるではないか。
 しかし、数字はウソをつかないので、経営者は数字だけを管理していれば、それ以外のものに気をつかわなくてもすむ。


 基本的に、これが 「成果主義」 を導入する経営者の代表的な意見となるが、理論的には正しいことをいいつつも、この発言のなかに漂う殺伐とした空気は、いったいどこから生まれてきたのだろう。

 たぶん、資本主義経済の流れが、モノづくりを中心とした製造業主体の経済から、金融をベースにした投資家たちの経済に変貌してきたからではないかと思う。

 すでに堀江貴文氏が主宰していたライブドアが、金融ビジネスそのものだった。
 マスコミは、IT産業のヒーローとして彼を扱ったが、ライブドアは先駆的なテクノロジーで脚光を浴びたわけでもなく、新しいビジネスモデルによって注目を集めたわけでもなく、買収によって傘下におさめた金融部門にその収益の大半を頼っていた会社だった。

 ライブドアは、有望な企業を次々と買収することによって急成長したが、コアとなるビジネスがあいまいなため、株価だけが生命線だった。
 自社の株価を吊り上げ、その株高を背景にして、優良企業や巨大企業を買収する計画を進める会社だったから、株価の下落は命取りになる。

 そのため、何が行われたか。
 あの話題になった 「粉飾決算」 だった。

ビルの影4

 金融ビジネスというのは、実体がない。
 金融取り引きを行うためには、金融工学や専門的な法律知識が必要で、そのためには、高度な数学の修得や法学知識が必要とされる。
 だから、金融ビジネスを支える思想には、合理的な因果関係のロジックが反映されているように見えるが、実体はそうではない。むしろ、合理的な数学理論で把握できない世界といっていい。

 ライドドアのニッポン放送買収劇がマスコミをにぎわせていた頃、ライブドアの株価を吊り上げていたのは、
 「この会社は何か面白そうなことをやりそうだ」
 という、素人株主たちの根拠のない期待であり、「そこに一口乗れば、おこぼれに与れそうだ」 というヤジウマたちの群集心理だった。

 1990年代はじめに、ヘッジファンドの象徴的人物と目されたジョージ・ソロスはこういう。

 「マーケットというのは、論理的でも自然に均衡するものでもなく、極端な乱高下を繰り返す “混沌” だ。そして、その混沌の中心にあるのは理論ではなく、群衆心理だ」

 今の世を覆う 「先行き不透明感」 というのも、ひとつは、このような根拠のないものが実体的な経済活動を超えて、世の中に流通し始めているという不安定さに由来していることは明白だ。

 それは、蒸気機関車が陸を走るのを見たり、ジャンボジェットが空を飛んだりするのを見るというように、文明の進み具合を、常にモノを通して認知してきたわれわれの 「リアリティ」 の根拠を揺るがしつつある。

砂漠の風紋

 金融ビジネスは、モノをつくらない。
 既にできている 「良いモノ」 を安く買い、それを高く売ることしか考えない。
 それによって、効率的に巨額の利益を得るのが目的だ。

 その典型的な例が、企業買収・合併 (M&A) だ。
 たとえば、事業規模を広げて、逆に経営危機に陥ったような企業があったとする。
 金融投資家たちは見逃すことなく、そこに接触して、「再建」 を旗印にその企業を安く買い叩く。
 そして、事業の中核となる部分だけを残し、あとは高く売却する。
 あるいは、中核となる事業も、経営改善がなされた段階で、これも高く売りさばく。マスコミでよく話題になる 「ハゲタカファンド」 だ。

 こういうビジネススタイルは、技術開発や新しいビジネス手法を開拓するイノベーションとはまったく無縁のものである。
 ましてや、「人を育てる」 などという関心からは、最も遠いところにある考え方だろう。

芝生の影

 日本的な経営方針というのは、「人を育てる」 ことに主眼を置いたものだった。将来的に経営を担う人材を養うためには、まず現場の仕事を覚えさせてから…というような風潮があった。

 モノづくりに関わる製造業は、この現場で養ってきた目が経営を左右する。日本人が、自動車や家電などの製造業で世界の頂点に立てたのも、モノをつくる視線を現場と経営が共有できたからにほかならない。

 しかし、企業買収・合併が常態となったアメリカでは、現場と経営陣は完全に切り離されている。
 エリートたる経営陣は、会社の現場と交流を図るなどという余裕もなく、巨額の報酬を求めて、次から次へと企業を渡り歩いていく。
 だから、経営陣と現場の交流が希薄なアメリカ流経営では、社員を 「成果主義」 で測るしかすべがないのだ。

 そのようなアメリカ型経営学が、グローバルスタンダードとして世界を席巻し、日本にも上陸し、社員の能力を成果主義で測る考え方を普及させて、労働というものに備わっていた個人の誇りや、こだわりや、思い入れを払拭した。
 そして、根気よく職人を育てたり、新しい技術を開発するための時間は  「無駄な時間」 という発想を広めた。

 投資家たちが信じる金融の論理では、
 「素晴らしい技術を見つけたら、買えばいい」
 「有能な人材がいれば、ヘッドハンティングすればいい」
 …ということになるからだ。

 モノをつくることの喜びを忘れた社会。
 それは人間というものの存在を、あいまいで頼りないものにしていく。
 自分の労働が、誰かのためになると信じることができなくなると、人間は自分自身を納得させる根拠も失っていく。

 今の世の中を覆う 「先行き不透明感」 というのは、人間そのものが不透明になってきたことを表すものなのかもしれない。

コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 03:00 | コメント(8) | トラックバック(0)
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