町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

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>JoeCoolさん…
町田 04/06 11:06
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雷 04/05 21:37
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ミペット@倉庫の肥やし保存中 04/05 20:10
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>aki さん、よう…
町田 04/05 11:14
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町田 04/01 11:08
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雷 03/28 21:22
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雷 03/28 21:09
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町田編集長さん こん…
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町田 03/23 01:19
>ムーンライトさん、…
町田 03/23 00:46
人間は電気によって闇…
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ムーンライト 03/22 14:24
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ムーンライト 03/22 12:24
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町田 03/22 03:09
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ブタイチ 03/21 22:54
>鈴木様、ようこそ。…
町田 03/19 23:12
>ムーンライトさん、…
町田 03/19 22:35
今日、店からはじめて…
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この「東電を怒る父さ…
ムーンライト 03/19 11:45
>ゆんたさん、ようこ…
町田 03/19 09:11
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ゆんた 03/19 07:50
>鈴木 様本当に…
町田 03/18 00:00
町田さん、ご心配あり…
デルタリンク宮城 03/17 20:52
>鈴木様コメント…
町田 03/17 16:04
>TOMYさん、よう…
町田 03/17 14:39
町田さんこんにちは。…
デルタリンク宮城 鈴木 03/17 11:32
こんばんは、町田さん…
TOMY 03/16 20:23
世界中に5億人を超え…
フェイスブック 03/15 11:30
>s-_-s さん、…
町田 03/14 00:28
町田さんご無事で何よ…
s-_-s 03/13 22:55
>ムーンライトさん、…
町田 03/12 17:43
町田さん。ご無事でし…
ムーンライト 03/12 16:25
>YAMAさん、よう…
町田 03/12 13:33
シンプルな風景画、い…
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>渡部竜生さん、よう…
町田 03/10 02:33
>キャンピングカーと…
渡部竜生 03/09 14:02
>スパンキーさん、よ…
町田 03/08 19:22
いいですね、北斗。久…
スパンキー 03/07 13:52
>マッキー旅人さん、…
町田 03/03 22:45
町田さん、今日は。…
マッキー旅人 03/03 16:23
>ムーンライトさん、…
町田 02/28 22:42
町田さん。アマゾ…
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>渡部竜生さん、よう…
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町田 02/19 05:31
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町田 02/19 05:03
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町田 02/19 04:14
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TOMY 02/09 21:45
>ムーンライトさん、…
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>Joe Cool …
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久々の更新です

 昨晩、 『キャンピングカー スーパーガイド 2011』 の最後のデータを印刷所に収めた。
 長らくブログの更新を怠っていたのも、入稿のことで頭がいっぱいになり、 「とてもブログどころではない……」 という気持ちが強かったからだ。

 毎度のことだけど、この時期は、てんやわんや。

 先に出した校正刷りはどんどん上がってくる。
 それを横目でにらみながら、一方では、入稿前の新規原稿も書く。
 集めた画像ファイルの中から写真を選ぶ。
 ないものは取り寄せる。

 家には帰らない。
 風呂には入らない。
 夜中の3時か4時には、会社の床にマットを敷き、下着を着替えることもなく、寝袋に潜り込む。
 温かい季節になると、冬の間は影を潜めていたムシも床を這いずり回るようになる。

 こちらがじっとしていると、彼らが頭の周りをかすめるように通り過ぎていく姿が想像できるのだが、でも気にならない。
 こちらも汚れ具合では、ムシと大同小異であるからだ。

 ブログの最後の更新日が4月の12日。
 「ちょいとサボる」 ……ぐらいの気持ちだったのに、いつの間にやら2週間経ってしまった。
 最後のブログタイトルが、 「3・11以降」 。

 思えば、3・11というのは、ちょうど 『キャンピングカー スーパーガイド2011』 の原稿を書き始めたぐらいのタイミングに当たる。

 やはり、原稿を書くときの気分が、例年とは大きく違った。
 自分の感情のおもむくままに書き散らすブログの原稿と、キャンピングカーの使い勝手や構造に触れる仕事の原稿とでは、扱う世界が大きく異なる。

 キャンピングカーのレイアウトや装備類の解説を書く作業は、被災地の深刻な報道の流れとは切り離して進めることもできる。

 それでも、気分のどこかで、その両者を大きく切り離すことができなかった。

 特に、書きながら自分で引っかかったのは 「快適」 という言葉だった。

 キャンピングカーは、利用者のあらゆる 「快適さ」 を追求する形でここまで成熟してきた。

 「快適な寝心地を約束するフルフラットベッド」
 「快適な温度を保つFFヒーター」
 「快適な冷気をもたらしてくれるルーフエアコン」
 「快適な人の動線を確保するレイアウト」   

 キャンピングカーの特性を表現するときのキータームとして、 「快適」 という言葉は外すことができない。
 しかし今回ほど、その言葉が “しっくり” しなかったことはなかった。

 「この車に約束された快適な空調は……」 などと書きながら、一方では、被災地の避難所で、寒さに震えながら耐えている人たちの映像が記憶から離れなかった。
 そして、一方では、原発事故で大きく浮上してきた 「人類に残されたエネルギー資源」 という問題が頭にこびり付いてしまい、キーボードを打つ手が止まった。
 
 「われわれが今の世の中で “快適さ” を求めるということは、未来の他者から “快適さ” を奪うことではないのか?」

 そんな意識も浮かんだりして、迷いながらの原稿書きだった。

 しかし、途中からハタと気がついた。

 キャンピングカーで実現される 「快適」 さというのは、すべてビルダーや利用者たちによって、その車の中だけで個別に作り上げられる創造的な 「快適」 なのだ。
 決して、東電の原発からおこぼれを預かって、垂れ流しているという自覚もなく消費される 「快適」 さとは違うのだ。

 あるクルマでは、ルーフをソーラーパネルで埋めて、そこから備蓄される自然エネルギーで冷蔵庫やIH調理器を回そうという試みを震災以前から導入し、キャンピングカーの新しい流れを作ろうとしていた。

キャンピングカールーフ上のソーラーパネル

 また別のクルマでは、高性能バッテリーを2個用意して、電気回路を2系統に分け、一方では照明や水ポンプ、ベンチレーターを作動させることに回し、もう一つは1.5kWのインバーターを介して、セパレートエアコンや電子レンジを駆動させるという試みを実現していた。

 それらは、もちろん創造者たちの知恵を絞った工夫と、度重なる実験によって実用化に至ったものばかりである。

 つまり、 「快適さ」 を手に入れるためには、いかに智恵をふり絞り、工夫を凝らさなければならないのかという意識の上に成り立った “快適” なのだ。

 ただ、その快適さは、はかない。
 でも、それがいい。

 高機能サブバッテリーと高性能インバーターを組み合わせて使えるエアコンの駆動時間は、走行充電しないかぎりは5時間程度に過ぎない。

 だから、その5時間が 「貴重な5時間」 となる。
 今まで、電源を差し込むだけで無尽蔵に電気が供給されると思い込んでいたわれわれの怠惰な脳を刺激してくれる5時間となるのだ。 

 キャンピングカーは、われわれに 「未来を考えさせてくれるクルマ」 となる。
 原稿を書いているうちに、それは確信となった。

 昔から、様々なキャンピングカーで進められてきた断熱対策も、これからは違った文脈で捉えられるようになるだろう。
 断熱を徹底化させることでエアコンやヒーターの効きも大きく変わる。
 それが、有限の資源を少しでも未来の人類に残すことに貢献するようになるかもしれない。
 
 そんなことをあれこれ考えながら制作した 『キャンピングカー スーパーガイド2011』 。

 配本日は5月20日の予定。
 地方の書店に出回るのは、遅くとも5月24日~25日ぐらいになると思う。
 発売が、自分でも楽しみなのだ。 

 PS

 ところで、このブログもホビダスさんの新ブログに移行します。
 新しいアドレスは、
 http://campingcar.shumilog.com/
 今後ともよろしく。


campingcar | 投稿者 町田編集長 19:06 | コメント(3)| トラックバック(0)

災害時のキャンカー

 各メディアは、その大半がいまだ大地震報道で占められている。
 被災地の生活基盤が完全に復旧するようになるには、そうとう長い期間を必要とするだろう。

 もし、ライフラインがすべて止まったら、わが家はどうするか。
 カミさんと話してみた。

駐車場のキャンピングカー0003

 とりあえず、うちの場合は駐車場に止めたキャンピングカーの中に避難するだろう、ということになった。
 小さなキャンピングカーなので、中に立てこもっても、せいぜい4~5日で “落城”の運命かもしれない。

 でも、4~5日ぐらいなら、なんとか “籠城” できそうだ。
 生活用水は、満タン約100リッターぐらいは積める。 
 普段は、満タンまで積むことはないが、約100リッターを確保していれば、飲み水は別として、いろいろな用途に使える。
 タンクを清浄していないので、さすがに飲料に使うには不安がある。
 それだって、いざとなったら、それを飲むしかないかもしれないが、できれば避けたい。

 ガスは、LPGボンベがあるので、お湯を沸かしたりするぐらいなら、満タンになっていれば、かなり持つ。
 カセットコンロも積んでいるし、カートリッジの予備も何本か備蓄しているので、カップ麺などで食いつなぐことはできる。
 少しでも温かい食事が作れれば、それを近所の人たちに配ってあげることもできる。

コマンダーのギャレー

 冷蔵庫は、昔ながらの3ウェイ方式。LPガス、DV12V、AC100Vの三つが使えるというもの。
 AC電源の供給が途絶えても、LPガスを使って作動させることができる。

 電子レンジもあるので、冷凍品を温めるぐらいなら、それを活用すれば大丈夫。
 ただ、キャンピングカーに一般的に搭載される電子レンジはAC電源に頼るものが多いから、ACの供給が途絶えたときは、サブバッテリーとインバーターに頼ることになるが、やはり長時間の使用には耐えられない。発電機を持っていれば別だが、たいていの場合、まず電気の供給がネックになりそうだ。

コマンダー電子レンジ0008

 幸いなことに、うちのキャンピングカーは、電子レンジに関しては12V対応なので、AC電源を引く必要がない。
 作動させるときにエンジンを回しておけば、まず心配ない。
 冷凍品を保管していた人々がそれを持ち寄って来れば、温めてあげることぐらいなら、いくらでも対応できる。

 大事なのはトイレだ。
 大都市のトイレは、ほとんど水洗トイレになっているので日頃の衛生は保たれるかもしれないが、水道が止まったときは、それが逆作用をもたらす。
 汚物が溜まっても、流せない。
 そうなると、田舎のボットントイレの方が、まだ融通がきく。

 わが家のキャンピングカーはトイレ付き。
 しかも、トイレ室は個室になっているので、女性も安心して使える。
 だから、近所の人で、トイレ処理に困っている人がいれば、(数日ぐらいなら) それも使ってもらうことができる。

 トイレは、 「カセット式」 と呼ばれるもので、便器下のタンクに汚物を溜める構造になったもの。
 しかも水洗。
 小さなタンクに洗浄用の水を溜めるだけなので、無尽蔵に使えるわけではないが、いちおう使用後に便器を洗い流せるので、衛生的には安心だ。

 また、便器とタンクの間にはフタが付いているので、タンクの臭気が上に登ってくることもない。
 汚物を溜め込み過ぎると、夏場などには臭気が漏れることがあるが、そういうときのためにキャンピングカー専用消臭剤も売られている。

 最近は、箱型のキャンピングカー (キャブコン) でもトイレ機能をオプション設定にしているクルマが増えた。
 確かに、道の駅や高速のSA・PAにはトイレが完備しているし、キャンプ場に泊まれば、まずトイレの心配はない。

 そのため、キャンピングカーのトイレ機能は昔ほど重要視されなくなったが、自然災害などによって、都市の水道機能がマヒしたときなどは、キャンピングカーのトイレが大いに役に立つだろう。

 ただタンク容量には限度がある。大型のカセット式のもので5~6日は持ったことがあったが、基本的には廃棄する場所があってのトイレであり、それを越すと衛生上の問題も心配。

 それでも、あるとないでは大違い。
 地震が発生した金曜日には、渋滞の中を11時間かけて家に戻ったが、途中尿意を催したとき、ちょっと路肩に止めて車内のトイレを使った。
 ありがたいものだと思った。

 もっとも、普段は、カミさんと一緒に旅行するときの私の “喫煙スペース” になっているだけだけど。

 暖房は、FFヒーターでまかなえる。
 これは自動車燃料がそのまま使える暖房形式なので、燃料 (軽油) を満タンにしておけば、かなり持つ。
 もっとも、FRPボディの壁材の中に断熱素材が封入されているので、車内の温度そのものがそれほど外気温の影響を受けない。
 家にいるよりも、暖房の熱源は省略できるかもしれない。
 近所の小さな子どもやご老人が暖を取りたいというときなど、どんどん集まってくれればいい。

コマンダー室内(ダイネット)

 寝る場所にも困らない。
 バンクベッドとフロアベッドをフルに活用すれば、大人3~4人までならゆったりと寝られる。
 シュラフは積みっぱなし。
 後は、家から毛布だの布団を運び込めば、寝るときの心配はない。

 このように、フル装備に近いキャンピングカーが1台あるだけで、蓄えさえあれば、数日の籠城は可能だ。
 しかし、それでも、すべてのエネルギー源が切れれば、ただの “箱” 。
 やはり、最後は、助け合う人同士の連帯が大事。

 今回の地震報道を見ていると、人と人のつながり以上に、災害を乗り切る力はないということを痛感する。





campingcar | 投稿者 町田編集長 16:18 | コメント(0)| トラックバック(0)

OMCの北斗

 その昔、テレビCMで脚光を浴びた、
 「亭主元気で留守がいい」
 というキャッチコピーは、いまだ健在のようだ。
 
 たまの休日の土日、家でカミさんと一緒の過ごす時間が長引くと、ふとため息のように、カミさんの口からついて出る言葉が、
 「亭主元気で留守がいい」。

 ▼ 「タンスにゴン、亭主元気で留守がいい」 という防虫剤のCM(1986年)

亭主元気CM

 カミさんは言う。
 「1日顔を合わせただけで、こんなに鬱陶しいのに、あなたが定年退職を迎えて、毎日顔を合わせるとなると、この先どうなってしまうのかしら」

 私のように、奴隷のようにかいがいしく尽くす旦那を持ったうちのカミさんですら、こうなのだ。

 「熟年離婚」 という言葉が盛んにマスコミで取り上げられるようになったのは、今から5~6年ぐらい前だったか。
 離婚訴訟の主たる原因は、それまで 「夫の浮気」 などという生臭い原因が多かったが、熟年離婚は、ちょいと違う。

 それまで、朝早くから会社に出かけて、帰りは遅かった夫が、定年退職を機会に、朝から晩まで家にはりついて動かない。
 起きてくればリビングのテレビは独占し、見るのはスポーツ中継かニュースだけ。
 そして、どうでもいい事件に、やたら腹を立てる。
 くわえて、朝、昼、晩 「めし」 といって、口を空けて待っているだけ。

 まず、この生活リズムの激変に、たいていの奥さんは耐え切れない。

 旦那さんからすれば、とても離婚の原因にならないような、そんなことが、奥さんにとっては、立派な離婚の動機になったりすることがある。

 つまり、奥さんから見れば、会社でどのような業績を残した夫であろうとも、家の中に入れば、 “ただの人” 。
 そういう夫が、社会から切り離されて家に居座り、しかも女房に無理解で、男としての魅力も失ってしまえば、赤ん坊よりも始末が悪い。

 一方、奥さんの方はどうかというと、旦那さんたちが外に出ている間に、近所の主婦たちとコミュニティのようなものを結成して、豊かな社会関係を構築している。
 女性同士で、お茶したり、食事したり、時には一緒に旅行に行くなど、ガールズトークを楽しんでいる。

 そういう奥さんに対して、
 「おい、お前、そんなにお洒落してどこに行くんだ?」
 と、口うるさく質問を浴びせる旦那さんは、うんざりする存在なのだ。

 せめて、何かの趣味をつくって、自分一人でも旅行に出かけたりする時間を持ってほしい。
 旦那さんに対して、そう期待する奥さんは多いようだ。

 実は、最近 「男の一人旅」 を開発テーマに掲げたキャンピングカーが密かに注目されているのも、そんな背景が絡んでいるのかもしれない。

 現在、 「キャンピングカーによる夫婦の二人旅」 はますます盛んになっているが、それと並行して、一方では、 「最近旅に誘っても、カミさんがついて来なくなってねぇ」 という旦那のつぶやきもチラホラ聞こえるようになった。

 あと、何年後になるのか。
 日本では、「一人でも充実した時間をつくれる文化」 というものが急速に求められる時代が来るような気がする。

 それは、朝日新聞が取り上げた 「孤族」 というような、寂しい一人生活ではなく、むしろ一人の時間をどうマネージメントするかということを学び、そこから再び他者とつながる回路を模索するような、プラス志向の動きになると思う。
 
 20年後の2030年には、50~60代の男性の4人に1人が一人暮らしになり、50歳男性のうち、3人に1人は未婚のまま終わるという推論も立てられているそうだ。

 マスコミは、こういう傾向を “孤独な社会の到来” という論調で染め上げるのが好きだが、孤独に対する耐性を身につけるということは、他者とのつながりを再構築するためのヒントになるはずだ。

 孤独なシニアは、もっともっとその孤独を突き詰めたらいい。
 そうすれば、人と人がつながるときに大切なものというのも分かってくるのではないか。
 妻からうとんじられる旦那さんというのは、まだ本当に 「孤独」 というものと直面していないのだ。

 だから、キャンピングカーによる旦那さんの 「一人旅」 には大いに賛成だ。

 車内のダイネットに一人で座り、外の景色など見ながら、冷蔵庫から取り出したビールを一杯あおる。
 目の前にいるはずの奥さんが、今日はいない。
 ……寂しい。
 でも、それは自由な時間を享受することにもなるはずだ。

 車内のテレビで漫然とニュースを見るよりも、そんなときはテレビのスイッチを消して、目の前にいない奥さんに対し、 “心の対話” を試みたらどうか。
 意外と、若い頃に感じて、その後忘れていた奥さんの魅力を再発見するかもしれない。
 それが、キャンピングカーによる 「二人旅」 の再出発になるはずだ。
 
 そんなことを見越して開発されたのではないかと思われるキャンピングカーが、オーエムシー (OMC) のニュー 「北斗」 である。

OMC北斗外装001

 全長4.84mのハイエースのワゴンロングをベースとしたバンコンで、その取り回しの良さから、もともと、釣り、写真、天体観測などのベース基地として使う男性の一人旅用キャンピングカーとして人気のあったクルマだ。

 もちろん、もとは夫婦の 「二人旅」 車両として開発されたクルマだから、初期のモデルは、ベッド展開のできるロングソファーの上に、さらに上段ベッドを設定できるようになっていた。

 しかし、このクルマに関しては、意外とシングルで使っているケースが多いことに、開発陣は気づいた。
 
 確かに、 「二人用」 のクルマではあるが、レイアウトや家具の質感などに、どことなく “男の隠れ家” 的な風情がある。
 そのため、この車両に関しては、けっこう自由きままな一人旅を満喫する男性たちが多かったのだ。

北斗内装4682

 今年開発されたニュー 「北斗」 (↑) は、一人旅の満足感をよりストレートに追求したものになっている。
 そのため、2段ベッドの採用も控え、家具色もダークなものにして、男好みのテイストを意識したコーディネートがなされた。
 ソファーもステッチ縫いや飾り縫いを施した質感の高いもの。さらに、本革シート(op.) も用意されるなど、充実した “男の個室” を満喫できる仕様が実現されている。

北斗内装4686

北斗内装4696

 キャッチは、ずばり 「シングルユース」 。
 「シングルオンリー」 と謳っていないところがミソ。
 一人で使ったときの充実感を大切にしながら、二人旅のキャパシティも完璧に満たした車両であるとのこと。

 もちろん、ソファーをベッドメイクしたときのサイズは1,900×1,250㎜だから、実質的には二人分の就寝スペースが確保されている。

北斗内装052

 オーエムシーの大間社長は、
 「ホテルに例えれば、ダブルベッドやツインベッドの部屋を、一人で贅沢に使うとことを想定してもらえればいい」
 と語る。

OMC大間社長

 「シングルユース」 を広告展開にも堂々と謳ったキャンピングカーは、この北斗がはじめてだが、実際には、キャンピングカーを一人で使いたいというニーズはそうとう前から高まっており、キャンピングカー販売店のスタッフたちも、最近はそのような事例を目にする機会が増えたとよく口にする。

 さらに、そのような一人旅ユーザーが、道の駅やキャンプ場などで、同じような旅を楽しむユーザーと出会い、そこで一杯酌み交わしながらキャンピングカー談義にふけるなどという話も耳にするようになった。

 見ず知らずの男同士でも、キャンピングカー仲間なら会話も弾む。
 そのような気のおけない会話の中で、自分たちの人生を振り返ったり、お互いの趣味を確認し合ったりする人たちが最近は多いらしい。

 男たちは、キャンピングカーを通じて、ようやく仕事を離れた場所での社会性を身につけるようになってきたのだ。

 定年退職後の旦那さんと奥さんの気持ちのスレ違いは、この 「仕事を離れた場所」 での “社会性” のあるなしから生じることが多い。

 あと数年もしたら、シングル族たちの、このようなキャンピングカーを媒介にした新しいコミュニケーション空間のことがきっと話題になってくるだろう。

 そのようにして、職場とは異なる人間関係の結び方を学んだ男たちが家に戻ってきたとき、キャンピングカーによる 「夫婦二人のくるま旅」 は、また新しい局面を迎えると思う。



campingcar | 投稿者 町田編集長 00:18 | コメント(2)| トラックバック(0)

AtoZのバンビ

 真後ろにエントランスドアを持ってきたキャブコンは、意外と少ない。
 トラックキャンパー (ピックアップキャビン) は例外なくこのスタイルだが、それはトラックの荷台にキャビンを積載するという性格上、必然的にその形を取らざるを得ないわけで、これは分かる。

 しかし、キャブコンになると、ほとんど見かけない。
 なんでだろう?
 …と思う。

 自分の乗っているキャンピングカーが、まさにこのバックエントランスモデル。
 それだけに、その使い勝手の良さは“折り紙付き”だと思うのだけれど、ごく少数のキャブコンを除くと、あまり “同士” がいない。

 だから、同じバックエントランスの仲間を見ると、それだけで、抱擁を交わして頬ずりしたくなる。

 このバックエントランスの利点は、レイアウトの自由度を生かしたスペース効率の良さにある。
 なにしろ、フロント側にせよ、リヤ側にせよ、サイドパネルにドアをつけると、ステップの面積も含め、それだけでデッドスペースが生まれる。

 それを解消するのがバックエントランス・スタイル。
 ドアをダイネットから遠ざけることによって、リビングに広がりを持たせることができるし、かなり長めのサイドソファーを置くことも可能だ。

 ボディ長のあるクルマなら、扉をどこに設けようが、室内のゆとりは確保できるだろうけれど、5m程度のキャブコンの場合、バックエントランスを実現することによって得られるダイネットの解放感は筆舌に尽くしがたい。

 もちろん、リヤ2段ベッドなどは組めないので、夫婦・親子がダイネットを崩さずに就寝するなどという芸当はできない。
 また、入口がオーニングの下に来ない…とか、リヤにサイクルキャリアが積めない…などというデメリットも生まれる。

 しかし、使っている自分から見ると、たいした問題じゃない。
 そのようなことよりも、ボディが小さくても広々したリビングが取れるということのメリットの方がよほど大きい。
 また、横側の扉がすべて開かないような狭い駐車スペースに押し込んだ時に、真後ろから出入りできるというのは、意外と便利なのだ。

 そんなわけで、バックエントランスの自分のクルマに無類の愛着を感じている私は、同じような設計思想のクルマに出会うと、やっぱりうれしい。
 「身内」 、ないしは 「仲間」 という意識が生まれる。

 その仲間の一人が、AtoZ (エートゥゼット) さんのバンビ。

バンビ5282

 同社は、すでにアミティRRで、このバックエントランスモデルを成功させている。

 ただ、さすがにボンゴのボディ長では、前向きシートを入れることはかなわず、サイドパネルを背にテーブルを挟むという変形ダイネットの形に収めた。
 もちろん、これはヨーロッパ高級車にもあるスタイルだから、広さは取れるし、ゆったり感も生まれる。

 しかし、基本的には横座りシートなので、 「夫婦2人用」 。家族が数人いた場合は、走行中には横座りで移動しなければならない人が出てくる。
 そこで、ボディ長にゆとりのある日産アトラスを使い、走行中は前向きになるセカンドシートを確保したのが、このアトラスベースのバンビなのだ。

バンビ5285
 
 よくできたクルマである。
 ダイネット周りの解放感を実現するために、縦方向に伸びる家具類を全部リヤ側の通路に振り分けて集中させた。

バンビ3748

 バックエントランスから入ると、右がカセットトイレの装着も可能なマルチルーム。
 左はクローゼット。
 クローゼットの隣には、引き出しに小分けされた室内収納が並ぶ。
 収納の上は、40リットル冷蔵庫。
 その上が電子レンジ。

 生活機能を全部リヤ側に回したので、ダイネットには、応接間的な 「ゆとり」 と 「贅沢さ」 が加わった。そのため 「リビング」 、あるいは 「サロン」 という言葉がふさわしい雰囲気が生まれている。

バンビ3763

 実は、このクルマには新しい試みがある。
 キッチン手前まで土足で上がっていけるように、床にFRP製のトレーが敷かれているのだ。

 これは、どうしても入口周りに広いステップと下駄箱を確保しづらいバックエントランスの弱点を補うもの。
 このFRP製トレーが、ちょうど家屋の“玄関”の役目を果たしており、そこが靴置き場となる。

 実は、私の場合はもっと徹底しており、通路は全部マットで埋めて、 「オール土足OK」 にした。自動車用ゴム製フロアマットを通路幅に合わせて切り、それをつなげたのだ。
 だから、バックドアから土足で入り、そのまま運転席に座って走り出すことができる。
 汚れたら洗えるので、少々泥のついた靴で上がっても犬がオシッコを漏らしても大丈夫。おかけで、マット下のカーペットは新品同様である。

 バンビの場合は、FRPトレーが冷蔵庫の先で途切れるが、野外から冷たい飲み物などを冷蔵庫に取りに入ったときなど、そこまでは土足で上がれる。
 同社はアミティRRにも、同様のトレーを開発したという。

 バンテックのコルド・ランディというキャブコンも、開発スタッフが “土間” と名づけるくらいの広々としたFRP製トレーをドア内側に設けている。

 このような 「土足OKスペース」 は、こらからじわじわっと日本のキャブコンにも広がっていくかもしれない。
 子供と犬がいれば、そういうスペースの 「ありがたみ」 も分かってくるからね。


campingcar | 投稿者 町田編集長 20:36 | コメント(0)| トラックバック(0)

かるキャン

 軽自動車をベースにした 「軽キャンピングカー」 というのは、まさに日本独自の文化である。
 これこそ 「茶室」 や 「盆栽」 といったような、 “広大な宇宙を極小の世界に封じ込める” という日本的な精神風土を抜きにしては考えられない世界かもしれない。

 特に、最近の軽キャンピングカーの内装を見ると、日本人のひらめきとワザを注入し、それこそ 「巧緻を極める」 という言葉がピッタリの作り込みを行っているものが多い。
 搭載家具や装備品に凝る、という意味ではなく、使い勝手を追求するためのアイデアの生かし方が、巧緻を極めているのだ。

 そのような例の筆頭が、コイズミの 「かるキャン」 である。

かるキャン外装001

 デビューは2009年春の 「大阪アウトドアフェスティバル」 。
 一般の来場者が会場に入る前から、すでに出展業者たちの間では、この 「かるキャン」 の話題で持ちきりだった。

かるキャン外装002

 「軽自動車ベースでありながら、室内が横方向に広がるスライドアウト機構を持っている」
 「のみならず天井が持ち上がり、軽自動車の荷室に、あたかも “三角屋根のバンガロー” のような建物が出現する」

 「へぇー! じゃ俺も見に行こうか」

 会場の出展業者さんたちのほとんどは、接客の合間をぬって 「かるキャン」 のブースに足を運んだはずである。

 なにしろ、走行中の状態は、全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,930mm。
 軽自動車の規格を完璧に満たしている。

 なのに、シェル部分を手巻き式のルーフアップウィンチを使って拡張すると、全長こそ変わらないものの、全幅は2,090mm、全高は2,860mmまで拡張される。室内幅でいえば、695mmの延長となり、室内高は870mmアップされることになる。

かるキャン内装001

 軽規格を満たしながら、なんと広々とした空間が実現されたことか。
 夫婦2人の用のクルマながら、軽キャンピングカーにおいては最も贅沢な室内空間を持つ “2人旅” のクルマが誕生したことになる。

かるキャン内装002

 あれから3年。
 当初は、ディテールの仕上げよりもアイデアのユニークさが先行したクルマだったが、その後、時を重ねるたびに細かいところのリファインが徹底され、現在はきわめて実用性・信頼性の高い仕上がりを示すようになった。

 このクルマの開発を手がけた株式会社コイズミの宮田芳孝部長は語る。

コイズミ宮田部長

 「開発時にいちばん悩んでいたのは、実は、室内を拡張したときの “隙間” だったんです。合わせ目から忍びこんでくる空気をどうしようもできなかったんですね。
 しかし、その後ブラシを付けてみたり、内側からカバーを張ってボタンで止めるような改良を施してみたりと快適性の追求に励みました。今はさらに効果的な方法を思いついています」

 このような “隙間対策” をはじめ、金属部分がむき出しになっていたスライドレールなどにも植毛塗装を施すなど、 「かるキャン」 のクオリティ感・グレード感は日増しに上がった。
 その努力が評価され、2010年には日本産業デザイン振興会が審査する 「グッドデザイン賞」 を受賞している。

かるキャンルーミー室内
▲ かるキャンルーミー

 2011年の幕張ショーから新バージョンの 「ルーミー」 が加わった。
 これは、スタンダードタイプにあったキッチンカウンターをレスし、その分、フロアベッドの広さを追求したもの。夫婦2人なら、ごろごろと寝返りを打って寝られるという広いベッドが売りだ。
 キッチンカウンターのほか、上段ベッドもレスされているので、価格的にも買いやすくなっている。
 ちなみに、スタンダード仕様の 「かるキャン」 は、税込み259.6万円。

 今、宮田部長が力を入れているのは、このクルマをさらに面白く使いこなすためのソフトづくりだ。

 彼は、
 「購入することが、必ずしもベストだとは思っていない」
 という。

 「それよりも、まず最初はレンタカーとして使ってみては?」
 というのだ。

 現に、コイズミでは、岡山と香川に8店舗の営業所を構える 「平成レンタカー」 という会社と提携を結び、そこにレンタカーとしての 「かるキャン」 を提供している。
 1日単位の基本料金は、平日8,000円、金・土・日・祝日は9,000円 (いずれも税込み) 。

 宮田さんはそのレンタカーを、岡山から遠く離れた、東京や神奈川の旅行者にも使ってもらいたいと思っている。

 「軽キャンピングカーの良さは、なんといっても小回りの良さと駐車場を選ばないことですから、古い温泉街や観光地を回るにはピッタリなんです。
 その代わり、高速道路を延々と走るような長距離走行には、あまり向かない。
 だから、岡山や香川までは列車やバスを使い、現地で軽キャンピングカーのレンタカーを借りるというのが、一番合理的なんです」
 と宮田氏はいう。

 四国といえば、ここのところ 「八十八ヵ所の霊場めぐり」 が人気を呼び、徒歩で訪れる人のみならず、団体バス、自転車、オートバイで回る人も増えている。
 自動車でチャレンジする人も多く、自動車ルートをたどるときの専門書まであるくらいだ。

 ところが、本来は徒歩で巡礼する場所であるから、おしなべて道は狭い。
 5×2mまでのキャブコンならば行けないこともないが、そうとう冷や汗をかく場所も出てくる。

 しかし、走行時は普通の乗用車よりも小さい 「かるキャン」 なら、まったく問題がない。
 かつ、霊場付近の駐車場で車中泊を行う場合は、キャブコンのリビングほどのゆったりした居住スペースを享受できる。

かるキャン内装003

 「そのような旅が面白いと思った方に、このかるキャンを買っていただきたい。
 とにかく、まず使ったことのない方に、 “かるキャン旅行” を経験してもらうのが一番だと思っています」

 それには、 「最初はレンタカーから…」 というのが、宮田さんのスタンスなのだ。

 だから逆に、西日本から東日本に遊びに来た人たちのために、コイズミ本社 (東京・板橋区) では、 「わ」 ナンバーの 「かるキャン」 を2台用意している。料金は、 「平成レンタカー」 と同じだそうだ。

 キャンピングカー人口のすそ野を広げるという意味で、このようなレンタルキャンピングカーシステムというのは、なかなかいいかもしれない。

 実際、乗用車の経験しか持っていない人がキャンピングカーの使い勝手を想像するのは難しい。
 レンタルキャンピングカーは、そういう人たちに試乗のチャンスを与え、結果的にファンを増やしていくことになるかもしれない。


campingcar | 投稿者 町田編集長 18:39 | コメント(2)| トラックバック(0)

パークウェイ

 キャンピングカー購買層が世代変わりして、日常使いもキャンピングも同じウエイトでこなす “全方位型” のキャンパーが主流になりつつある。
 もちろん主役はバンコンだ。

 とはいっても、現在このバンコンの世界は、地球上の生命が爆発的にふくれあがったカンブリア紀の海底さながらに、豊穣な生命力を帯びた “新種” たちの激しい競争の場と化している。

 おそらくバンコンは、いま日本のキャンピングカー史が始まって以来のメガコンペティションの時代を迎えているのではないか。

ジャパンキャンピングカーショー2011

 カンブリア紀の海では、最終的に食物連鎖の頂点に立ったのは、アノマロカリスという強力な捕食肢を持つ巨大生物だったが、バンコンの世界では、まだそのような頂点に君臨する車種は登場していない。
 それだけに、どのようなスタイルが次の時代に生き残るかを賭けて、それぞれのバンコンが、秘術を尽くしながら独自の 「進化の系」 をたどろうとしているように思える。

 たぶん生き残りを決めるのは、案外オーソドックなスタイルのものではないか。
 そんな気がする。

 というのは、生物の世界では、あまりにも特殊な能力を極めたものが生き残れた試しがないからだ。
 飛び抜けた能力を身につけて、ある時代に頂点に登り詰めた “絶対的君主” は、その特殊な能力が、逆にアダとなり、最後は、何でもそこそこにこなすオールラウンドプレイヤーたちの後塵を拝することになる。

 たぶん、バンコンの世界でも同じようなことが起こる。

 ワゴン機能をしっかりと保持し、寝るときのベッド機能も完璧に備え、そしてそこそこの荷室スペースを確保したクルマ。
 さらにストレスのない走りと、快適な乗り心地。
 もちろん、居住性と取り回しのバランスも大事。
 そのようにして、できるかぎり “死角” をつぶしていったクルマ。

 それが、バンコン界の 「ほ乳類」 となる。

 地球上に生まれたあらゆる生物の中で、最後にほ乳類が天下を取れたのは、傑出した武器こそ持たなかったが、それをトータルバランスでしのぐ総合力を持っていたからだ。

 意味のない前振りがあまりにも長かったけれど、レクビィが昨年の秋にリリースしたパークウェイ (Parkway) というバンコンが、そのひとつの例になるということを書きたかった。

パークウェイ外装001

 パークウェイは、それを開発した同社の増田浩一社長によると、 「パッと見の訴求力に乏しいクルマ」 だという。
 確かに、見たとおりの第一印象は、やたら大きなセカンドシートが目立つだけの 「ワゴンライクに使えるバンコンバージョン」 。

パークウェイ内装003

 しかし、このシートがただものではない。
 座りごこち、耐久性、操作性の良さなどが高度にバランスされたワークボックスのREVO (レボ) シートに、レクビィ独自のアイデアが練り込まれた特製シートが採用されているのだ。
 だから、高さも、成型方法も、ハイバックの構造もメーカーメイドのキャンピングカーであるかのように、ピタリと決まる。

 パークウェイのベース車は、ハイエースのミドルルーフのロングワゴン。
 だから、乗用車からそのまま乗り継いだユーザーにとっても、走りの違和感がない。

 ワゴンベースとなれば、シートの構造基準がものすごくシビアになる。
 ところがこのシートは、技術基準適合試験実施済みの信頼性に富んだもの。
 そこのところが、ただの 「ワゴンライクなキャンパー」 にとどまらない、工業製品としての安心感をこのクルマに与えている。

パークウェイ内装002

 全長4,840mm、全幅1,880mm、全高2,100mm。
 都会を走り抜けるには、まったくストレスのないサイズなので、奥さまの買い物の足として十分に使える。
 高さ制限のある駐車場も、ほとんどクリアできるので、日常使いにはまったく支障がない。

 リヤ側に設置されたキッチンの前は、床下収納になっており、そこで1600mmの天井高が取れているから、もちろん8ナンバー登録の純然たるキャンピングカー。
 昔のように税金面、保健面でのメリットは少なくなったが、やはりリセールバリューは大きい。

パークウェイリヤ床下収納

 乗車定員は8名、就寝定員は大人3名。
 セカンドシートは140mm幅のゆったりした3人掛け。両側には3点式シートベルトが標準装備される。
 サードシートは、セカンドシートよりも狭いが、120mm幅なので3人乗車も可能。
 リヤ側のキッチンカウンターと冷蔵庫カウンターの間にベッドボードを渡せば、子供用のエキストラベッド(op.)が生まれる。

 サードシートを前側にスライドさせると、リヤには広々としたカーゴスペース。
 まさに、 「乗って、寝て、積んで」 の総合バランスに長けた実用的バンコンの優等生だ。

 こういうバンコンは、いったいどのようなユーザー層を意識しているのだろうか。

 増田浩一社長がいうには、ずばり 「40歳代の子育てファミリー」 。
 車両価格の436万8千円 (税込み) という価格も、資力の多くを子育てに費やさなければならない人たちの負担にならないように、ぎりぎりに抑えているとか。

パークウェイ内装001

 ただ、そういう世代には “追い風” があるように思う。
 それは、彼らには、まだ比較的裕福な親世代が、しかも健康に暮らしているケースが多いからだ。
 だから、 「親孝行」 をテーマに掲げていけば、親との共同購入という手がないわけではない。
 
 そこで生きてくるのが、ワゴンとしての快適な前向き乗車を可能にする8人の乗車定員。
 祖父、祖母、息子、嫁に、孫が4人までOK。
 休日に、3世代で行楽に出かけるにはまたとない設定なのだ。

 折しも、高齢な親を持つ世代が増加するなか、親孝行をテーマにした書籍やドラマがブームを起こしている。
 親孝行実行委員会がつくった 『親がしぬまでにしたい55のこと』 は、10万部を超えるベストセラーになった。
 みうらじゅん氏の書いた 『親孝行プレイ』 もドラマ化されて話題を呼んだ。

 核家族化が蔓延し、家族の孤立化が進んだ高度成長期からバブルの時代を経て、いま 「親孝行」 は、再び人間の生き方に希望を与える新しい指標となっている。

 だからこそ、
 「3世代が仲良く使えるバンコン」
 はキャンピングカーの “ほ乳類” として生き延びることになる。

 そしてそれが、熾烈なメガコンペティションを生き抜くバンコンのなかで、ひときわ強いメッセージ性を放つように思う。


campingcar | 投稿者 町田編集長 18:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

CG880

 この2月11日から千葉県の幕張メッセで開かれた 「ジャパン・キャンピングカーショー」 で、来場者の注目を一身に集めたひとつのクルマがあった。
 秋田県のビルダーであるファーストカスタムが製作した 「CG880.Value Ground Runner (バリューグランナー) 」 というキャブコンだ。

CG880外装左側面001

 ベース車は、日野レンジャー4tキャブオーバー。
 排気量は6,400cc、最高出力210ps。
 全長8,845mm、全幅2,430mm、全高3,065mm。
 体躯だけみると、堂々たる欧米モーターホーム並みのボディが実現されている。

 価格は、2,800万円。
 同ショーで展示されたマックレーの 「ファビュラス」 と、ほぼ金額的にも設計構想の雄大さにおいても並ぶ “日本車離れ” したキャンピングカーであった。

 ショーの搬入日、雪の積もった秋田工場を出て、吹雪の高速道路をひたすら走り、夕暮れ時にようやく会場に到着したCG880の雄姿を、私は忘れることができない。
 それはまるで、突然地球にその姿を現したUFOの “来迎” であった。

CG880外装右スライドアウト002

 うれしいことに、運転していた佐藤社長は、私の姿を認め、真っ先にその室内に招き入れてくれた。

 スライドアウト機構を採用した同車は、そのリビングの広さだけでも度肝を抜いた。
 スライド幅は500mmだというから、それほど大げさな室内拡張ではない。
 しかし、横幅をめいっぱい広げると、室内幅は2.5mほどになる。
 それだけで、 「部屋」 なのだ。
 「ダイネット」 ではなく、 「リビング」 なのである。

CG880室内002

 しかも、その家具の風合い、搭載装備のデザイン含め、そこに 「日本のキャンピングカー」 があった。
 アメ車のテイストでもなく、ヨーロッパデザインの踏襲でもなく、日本人の創った日本のモダンデザインが貫かれていた。

CG880室内003

 しかし、ひとつひとつの装備には、現在世界で最も信頼のおける機構が採用されているという。
 目玉となるスライドアウト機構も、それを生産しているアメリカのメーカーと直にコンタクトを取り、サイズに合わせて特注している。
 揺れ止めの油圧電動式のレベリングジャッキもアメリカ製。
 
 主要な部品の多くは、欧米のトップクラスの物によって占められているが、それもダイレクトに仕入れるルートを開拓しているため、コストそのものは圧縮されている。
 逆にいえば、圧縮したコストにより、より高品質・高機能なパーツが採用されているという言い方もできる。

CG880室内ベッド004

 リヤのパーマネントベッド (↑) は、世界最大級を誇るヨーロッパのベッドメーカーシモンズ製。
 オーニングは、クロスターの電動オーニングで、サンシェードが内蔵されている高機能タイプ。

 空調システムも巧緻を極める。
 フローリングの下は一般住宅にも使われる高機能床暖房。さらに、燃焼式FFヒーターも装備。
 それに加え、ビルトインタイプの車両用ルームエアコン。もちろん走行中のクーラー&ヒーターも標準装備されている。

CG880室内液晶パネル

 いちばんの自慢は、クルマの置かれている状況が一目でチェックできる液晶タッチ式スイッチパネル (↑) 。
 FFヒーターのサーモコントロールもタイマーコントロールも、エントランスドアの上側にセッティングされた集中パネルですべて一括制御できる。
 これが、すべてビジュアル表示で、しかも日本語対応。
 高級輸入車などにはその汎用品が使われているが、これはそれをベースに、ファーストカスタムが独自にプログラムを組んだオリジナル。機構そのものを一から組み上げていけば40~50万はかかるだろうというものだ。

 リビングにも、ベッドルームにも、ブルーレイ対応のテレビモニターが付く。
 最新装備と、 「和」 のテイストをも意識したモダンインテリア。
 日本のキャンピングカーもここまで来たか…という感慨が浮かぶ。

CG880室内005

 「市場を意識したものではなく、あくまでも自分の趣味を極めたものを造ってみたかった」
 と、佐藤社長はいう。
 「自分にはコスト意識よりも、表現衝動のようなものが勝っているようだ」
 と、アーチストのような告白をする佐藤氏の表情には、ひとつの達成感のようなものが漂っていた。

CG880ファーストカスタム佐藤社長

 「装備ひとつを選ぶ場合も、プライオリティを考えると、普通の経営者ならまず “コスト” を最初に意識するかもしれません。
 しかし、自分の場合はまず、機能、そして質感。使われる方の満足度。そんなものが頭に浮かぶんです。
 だから、採用を決めた部品の値段をみて、“えっ、これ普通のものの5倍もするの?” などと驚くことがある」
 と、佐藤氏は笑う。

 そうじゃないと、こういうクルマは誕生しないかもしれない。

 このクルマが、日本のキャンピングカーづくりにどのような影響を与えるのか、今はまだ分からない。
 しかし、確実にいえることは、これが日本のキャンピングカー産業のすそ野を広げることは間違いないということだ。

 「すそ野を広げる」 ということは、誰にも買いやすい価格帯のキャンピングカーを量産するだけでは実現しない。
 富士山の姿を見れば分かるように、広大なすそ野は、頂点が高くつり上がっていくことによって達成される。

CG880室内006

 佐藤社長が招き入れてくれたCG880の室内で、私は 「こびない精神」 という言葉を頭の中で浮かべていた。
 
 いろいろな高機能・最新装備を説明してくれる佐藤氏。
 しかし、その説明には、 「これだけいろいろな装備が付いていて、お買い得ですよ~」 というようなコビは、ひとつもない。
 自分の理想を追求することに熱心な、ある意味、少年のような無邪気さがあった。

 フィールドライフの福島社長も言っていた 「誠の職人は、真っ直ぐに夢を追い続けるだけで満足」 という言葉が浮かんだ。
 「職人の矜持 (きょうじ) 」 といってもいいのだろう。

 売るためにこびない。
 しかし、その 「こびない精神」 が、これからの日本のキャンピングカー産業の根幹を支える。

CG880見学者の行列
▲ CG880の前には連日室内を見学しようという人たちの行列ができた

campingcar | 投稿者 町田編集長 13:11 | コメント(0)| トラックバック(0)

ファビュラス日本

 いよいよこの週末の金曜日 (11日・建国記念日) から、日曜日 (13日) までの3日間、日本最大級のキャンピングカーショーである 『ジャパン・キャンピングカーショー (Japan Camping Car Show 2011) 』 が幕張メッセで開催される。

 現在、その資料や画像などがどんどん手元に集まってきているが、マックレーさんから 『ファビュラス』 の最新カタログのテキストと内装画像が送られてきたので、さっそく紹介したい。

ファビュラス外装001

 ファビュラスは前年の幕張ショーにおいて、そのエクステリアだけが展示され、内装は未完成だった。
 なにしろ、 「国産キャンピングカーの最高峰を目指す」 という意気込みで造られたクルマだけに、内装の完成度を高めるための時間もじっくりとかけたいというマックレーさんの意向があったのだろう。

ファビュラスダイネット002

 送られてきたカタログのテキスト (2稿目だそうである) を読んで、マックレー渡辺社長の並々ならぬ情熱のほとぼしりに打たれた。
 内装の詰めに1年を費やしたというのも、それだけこのクルマが壮大なプロジェクトであったということを意味している。
 なにしろ、テーマは 「日本」 なのだ!

ファビュラス上部コンソール003

 以下、 『ファビュラス』 のカタログをそのまま引用する。

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日本人が設計して、技術の粋を結集した 「FABULOUS」

ファビュラスで実現できた新しいキャンピングカー技術は世界的レベルに挑戦できるものです

JAPAN STYLE FABULOUS JAPAN
「日本型フルコン」


 現在、フルコンバージョンというジャンルは、名前だけ定義されていますが、日本のキャンピングカーにはありません。
 フルコンの定義からして、ベアシャシーの上に、フロントマスクからすべてビルダーが架装するという意味では、現在 車両メーカーからベアシャシーの供給が途絶えているわけですから、実質的には造れない状態です。
 従って、現在 「フルコン」 を名乗れる資格を持つ車両は製作されておりません。

 もちろん、ファビュラスの場合も、工法として正確に位置づけるならば、キャブコンの亜種という扱いになるかもしれません。
 「日本RV協会の定義」 からは外れるかもしれませんが、マックレーの “主張” としては、 「 “日本型フルコン” と名づけたい」 という意気込みでこのファビュラスを製作いたしました。

ファビュラス内装004

 独自の進化を遂げて 「ガラパゴス化」 していると言われている技術立国 「日本」 ではありますが、 だからこそ日本のビルダーが世界に対して発信する 「日本型のフルコン!」 という主張に命をかけました。

 アメリカのクラスAや、ヨーロッパのインテグレートモデルとは違う、日本のオリジナル工法におけるフルコン。厳密にクラスAの工法を踏襲していなくても、 「日本はこれでいいんだ!」  と思います。

ファビュラス内装005

 ファビュラスの、ルーフエアコンが2台駆動できるというキャパシティも、温暖化で “亜熱帯” に移行しつつある日本だからこそ、非常に大きな意味を持つのです。
 ヨーロッパのキャンピングカーは、伝統的に 「脱ジェネレーター、脱エアコン」 を志向しています。それは、比較的夏も涼しいヨーロッパ大陸を前提としているからで、日本は夏になれば地域的にはもう “亜熱帯” の国です。
 そういう日本の気候的特殊性に対応するキャンピングカーという意味でも、 「ジャパン・スタイル」 と呼べるのではないでしょうか。

ファビュラス内装006


campingcar | 投稿者 町田編集長 19:32 | コメント(2)| トラックバック(0)

焚き火で育つ感性

 一般社団法人 「日本RV協会」 (JRVA) のHPに掲載されているプレスリリースを読むと、
 「親子でキャンピングカー旅行することで、子供の情操を高めたり、しつけを学ばせることができる」
 と思う親たちが増えているという。

 これは、同協会が運営しているHPを閲覧するキャンピングカーユーザーを対象に行ったアンケート調査から判明したもの。
 それによると、全体の75.3%の人が、 「キャンピングカーは子供の情操教育やしつけに有益」 と考えている様子が浮かび上がってきたと伝えている。

 その理由としては、
 「1台のクルマの中で話す機会が作れたので、家族の団らんが得られたから」 。
 あるいは、
 「旅先で自然に接し、自然に対する理解が深まったから」 という回答が寄せられている。

大野路キャンプ場

 キャンピングカーは、必ずしも自然を求める旅ばかりを得意とするわけではないが、それでも、普通の乗用車旅行に比べると、自然とのマッチングはいい。
 実際に、子供を自然の中で遊ばせるためにキャンプ場を利用しているファミリーは多い。

 そういう親たちに話を聞いてみると、たいてい 「自然と接することの楽しさ、面白さを学ばせたい」 という答が返ってくる。

 その理由というのが、まさにRV協会の調査で分かったととおり、
 「子供の情操が高まるから」
 というものだった。

 こういう話を聞くたびに、私はある映像ジャーナリストの人が話してくれた 「焚き火の話」 を思い出す。
 まさに、キャンプを楽しむ親子でなければ得られないような体験だと思うからだ。

 話してくれたのは、坂田和人さん。
 以前、このブログでも紹介した 『キャンプに連れていく親は、子供を伸ばす!』 という本を書かれた方である。

坂田和人氏
▲ 坂田さん近影

 坂田さんは、キャンプライフを繰り返すたびに、焚き火というものの “不思議な力” にますます心を奪われてきたという。

 焚き火には、人間の心を開かせる力がある。
 家族同士でも。
 友達同士でも。
 あるいは、見知らぬ人同士でも。
 炎を見つめる瞳を通じて、心と心が共振していく。

焚き火043

 実際に、直火を禁止するキャンプ場でも、 「焚き火台」 を使う焚き火はたいてい許可されており、近年のキャンプ場では、その焚き火が静かなブームとなっている。

 焚き火のいったい何が、人の心を捉えるのか。

 坂田さんは、大勢の子供たちを連れてキャンプを楽しんでいたとき、焚き火の中を双眼鏡で覗き込んでいた子供が、 「あっ!」 と叫んだときの声を聞き逃さなかった

 「私、火の中に入っちゃったぁ!」
 と、その子はいった。

 それをきっかけに、子供たちが割れ先にと、次々と双眼鏡を回して、焚き火の中を覗き込んだ。
 「すっげぇ、火の国の探検だぁ!」
 どの子も、感嘆の声をあげた。

焚き火068

 その光景に接した坂田さんは、それを思い出しながら語る。

 「焚き火の中で発見した世界は、きっとテレビゲームのバーチャル世界をも凌駕する光景だったんでしょうね。
 僕も覗いてみて、テレビを見るより面白かったですから。
 つまり、自然の中には、どんな映像文明よりも人間を感動させるヴィジュアルが潜んでいるはずなんですが、われわれがそれを見つめる目を曇らせているだけなのかもしれません」

 そう語った後で、坂田さんは、
 「キャンプをすると親子の対話が生まれるということは、焚き火をするとよく分かるんです」
 とも。

焚き火と子供(塩原GV)

 実際に、キャンプ場で焚き火を囲んでいるうちに、いつのまにか、家庭で話さないような会話を交わしていた、と述懐するファミリーは多い。
 子供は、焚き火を囲むことによって、親に対するわだかまりが消えていくことを感じ、親は親で、子供を支配して説得しようという気持ちを忘れる。

 「やっぱり、焚き火は人類が最初に手に入れた “文明” なんでしょうね」
 と坂田さんはいう。

 「人類は、火を確保し、それをコントロールすることによって、はじめて野生動物の恐怖などから逃れることができたわけですね。
 そのとき人間は “温かさ” や “明るさ” と同時に、はじめて “安全” 、 “安心” などという概念を手に入れたのかもしれません。
 だから、焚き火には、人間同士の緊張を解いて、お互いにホッとさせる力があるんです」

 だから、
 「話さなくてもいい」
 という。

 つまり、焚き火をしていると、普段は 「気まずいもの」 でしかない沈黙が、黙っていることの心地よさも教えてくれる 「豊かな沈黙」 に変わっていく。

 「炎を見つめながら、同じ空間を共有しているだけで、言葉では表現できない気持ちを伝え合っていけるのが、焚き火なんです。
 そういうことは、むしろ大人よりも、子供の方が敏感に感じるでしょうね」

 坂田さんは自信を持って、こう言い切る。

 RV協会のアンケート調査の結果も、このようなことを反映しているのかもしれない。


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campingcar | 投稿者 町田編集長 19:55 | コメント(4)| トラックバック(0)

キャンカー1人旅

 「まもなく定年を迎える夫が、 『長いこと苦労をかけたから定年後はキャンピングカーで全国を回ろう。楽しい旅行をしような』 と言うんです。どうやって断ったらいいんでしょう?」

 いきなりそんな主婦の会話から始まる記事があったので、ギョッとした。
 『週刊朝日』 の1月28日号に掲載されたもので、シニアルネサンス財団事務局長の河合和さんという方に取材した記者が、それをまとめたものだった。

 河合さんは、定年後のライフスタイルをコンサルティングする仕事に携わる方で、各地でいろいろな講演する機会があるらしい。
 ある講演が終わった後、一人の主婦が河合さんに質問した内容が、上記のものであったという。

 先を少し読んでみると、どうやらその主婦の方は、 「キャンピングカー旅行」 そのものを拒否しているのではないらしい。
 旅行に付随する料理や洗濯。
 そのような家事を、旅行先でも自分が負担しなければならないことを危惧しての発言だったようである。

 だから、それに対する河合さんの反応も、
 「家庭において、一切の家事を妻に任せていた夫の方に問題がある」
 という常識的なコメントで結論をまとめていた。

 しかし、家族に協力しながらキャンピングカー旅行を楽しんできた夫族においても、 “妻の離反” は進んでいるようだ。
 それが、昨日のカッチさんのコメント。

 家族が次第にキャンピングカー旅行に付いてこなくなり、一人旅をしては、夜は独りで酒を飲むことが多くなっているという。
 「さびしい~」 といいながら、でも、カッチさんの文面からは、それはそれで味わいがある…というニュアンスが伝わってきた。

 たぶん、そういうことはこれからは増えていくだろう。
 家族単位で旅を楽しむことが理想であるかもしれないが、家族の構成員にもそれぞれの考え方があり、それぞれの価値観があり、それぞれの生活がある。

 さらに、ある程度の年齢になると、伴侶の死別や離婚という問題を抱えることもあろう。
 だから、 「おひとりさまライフ」 は、今後キャンピングカー乗りの間でも大きなテーマになりそうな気がする。

 大事なことは、 「それでもキャンピングカーに乗り続ける」 ということなのだ。

 一人旅がさびしいというのであれば、そのさびしさの中にも新しい楽しみを見つけてくれるのがキャンピングカー旅行だと思うし、また、同じ境遇にいるキャンピングカー乗り同士がどこかで出会い、他者と交わることから新しいライフスタイルを見つけ出すこともあるだろう。

 むしろ、 「一人でいることにも耐えられる文化」 をキャンピングカーがつくり出していくという、そのポテンシャリティに注目すべきだと思う。
 そして、そういう 「一人」 同士が集まって、今までとはまったく異なるコミュニティを形成する可能性だってある。

ハイマーキャンプ風景……

 キャンピングカーの家族旅行というと、いつもハイマージャパンの安達二葉子社長が話していたことを思い出す。
 安達さんは、家族というものが必ずしも 「妻と夫と子供二人」 という標準世帯の形態をとる必要がないことを、ヨーロッパ旅行の体験から悟ったという。

ハイマーJ安達社長

 ドイツのハイマー社のキャンピングカーを25年間輸入してきた安達さんは、若い頃、今は亡くなられたご主人と一緒に、ハイマー社のモーターホームを使ってヨーロッパのキャンプ場を回った。

 そのとき驚いたのは、屈託のない表情で、子供たちをキャンプ場に連れてきて楽しませているシングルマザーたちの多さだった。

 「向こうでは、親がシングルでも “家族は家族” なんです。
 親が一人欠けていても、キャンプ旅行そのものが楽しければ、子供は幸せなんです。
 そのことをヨーロッパの人たちはよく理解しているから、そういう家族に対しても、周りの人の目が温かいんです」
 安達さんは、そういう。

 たった一人でキャンピングカー旅行をしている男の人たちは、さらに多いという。

 「日本では、一人でキャンピングカー旅行をしている男の人に対して、 “奥様にフラれたのかな?” 、 “ずっと淋しい独身生活をしているのかな?” などと要らぬ目で見る人たちが多いのですが、ヨーロッパ人はそうは考えない。
 向こうでキャンピングカー旅行を楽しむ人たちは主にシニア層ですが、そうなると奥様に先立たれる旦那さんも増えてくる。
 そういう人たちが、一人になってもキャンピングカーを捨てなくてすむ風土が形成されているということは、私は素晴らしいことだと思う」

 そう語る安達さんの心には、すでにご主人を亡くされたという切ない気持ちが去来しているのかもしれない。

ハイマーキャンプ風景2

 もちろん安達さんも、キャンピングカーが家族同士で楽しめる格好のアイテムであり、それによって家族間の絆が深まることを前提として話している。
 
 しかし、家族の形態は、ずっと不変であるとは限らない。
 父親と母親が二人ともしっかりそろい、そこに子供たちが配されるという 「標準世帯」 の構造が絶対的に正しいものであるのかどうか。

 それが 「家族」 のスタンダードだとしたら、たとえば両親のどちらかを亡くしたり、あるいはやむを得ない事情によって離婚してしまった家庭は 「家族」 ではないのか?

 どうやら、ヨーロッパ人たちは、昔からそのような固定的な家族観から脱出していたようなのだ。

 安達さんはいう。
 「日本には “片親” などという差別的な言葉が残っており、夫婦のどちらかが亡くなったり、離婚したりした親は、まるで自分が “家族の幸せ” から取り残されてしまったような思いを抱く人たちがけっこういると思います。でもヨーロッパのキャンプ場では、シングルたちへの眼差しがとても温かい」

 もし、シングルマザーが、自分の子供たちを連れて楽しくキャンピングカー旅行ができるような世の中が来れば、 「日本も確実に変わる」 と彼女はいう。

 これから高齢化社会を迎える日本において、シングルのキャンピングカー旅行を快適にするための精神風土をつくっていくことは、避けて通れない課題であるとも。

 一人で旅行していても、その思い出の中に 「家族」 が生きていれば、それは立派なファミリー旅行である。

 誰もがそう思えるキャンピングカー文化が形成されたとき、はじめて 「成熟」 という言葉が使えるのかもしれない。

関連記事「ひとりのくるま旅」/a>


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:37 | コメント(6)| トラックバック(0)

お台場パラダイス

 この土日は、東京お台場で開かれたキャンピングカーショー 「お台場くるま旅パラダイス」 をずっと見て回った。

お台場2010_145

 2日とも好天に恵まれ、屋外イベントとしては素晴らしいショーになった。
 風もなく、穏やかな天候だったせいか、お客さんもどことなくピクニック気分。
 ペットを連れて、散策気分で場内を歩くご夫婦。
 デート感覚で、手をつないでクルマを見て回る若いカップル。
 そして、遊具コーナーで遊園地気分ではしゃぐ子供たち。

 かつてのショーは “クルマの即売会” という雰囲気が濃厚だったが、最近のショーは、どのかなアミューズメント施設のような空気が漂ってきているように思う。

 そのような時代の流れを汲むように、出展業者さんの方も、ショーそのものを楽しむという傾向が出てきたように思う。

 ▼ エアストリームジャパンのブースでは、田中社長 (右) がサイドメンのサポートを受けながら、ジャズギターを披露
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 ▼ トランキルグローブのブースでは、松原社長を中心に、ユーザーたちがゆったりとテーブルに座ってコーヒーブレイク
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▼ ワンちゃんもリラックス
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 ▼ キャンピングカーセミナーで 「初心者のためのクルマ選び」 を語る評論家の渡部竜生氏
お台場2010_セミナー

 ▼ キャンプコーナーでは、土曜から泊まりでショーを楽しむ人たちがつめかけ、個々のサイトでパーティ
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 ▼ ちょっと記念撮影を
お台場2010_170

 今回のショー会場では、日頃会えなかった友人・知人と会う機会に恵まれた。

 また、新しい業務を始めようとしている人々に出会えたり、いろいろなキャンピングカーライフを体験しているユーザーさんたちを紹介されたり、さらに、マスコミの取材に立ち会ったりと、刺激の多い時間を過ごすことができた。
 いろいろ貴重な情報やら新しい考え方などに触れることが多く、収穫の多いショーだった。


campingcar | 投稿者 町田編集長 20:34 | コメント(0)| トラックバック(0)

ハイマーカー322

 時代の流れに呼応するように、いまヨーロッパではキャンピングカーとユーザーの二極化が進行しているという。

 ハイソサエティを対象とした高級車は、車両サイズ、装備ともに高級化に拍車をかけるとともに、先端的な技術力による 「省エネ」 「排ガス浄化」 を目指し、マスマーケットを狙うキャンピングカーは、車両サイズの小型化、装備の合理化を追求することによって、実質的・効率的な 「省エネ」 「排ガス浄化」 を狙うようになった。
 いずれのメーカーも、高級車をますます洗練させていきながらも、その数を絞り、軸足は、買いやすい価格帯の小型車に移し始めているようだ。

 ヨーロッパではトップブランドとして君臨するハイマーにおいても、今年から来年にかけての主力車種として力を入れているのは小型車である。

 ▼ ハイマーカー322外装
ハイマーカー322外装

 その中軸となっているのが、装いを新たにした 「ハイマーカー」 だ。
 種類は2タイプ。
 全長5990mmの 「322」 と、全長4990mmの 「302」 である。 (全幅はともに2080mm) 。

 シャシーはフィアット・デュカドで、ミッションは6速AT。排気量2984ccのコモンレール式直噴ディーゼルターボエンジン (157馬力) を搭載する。

 ハイマー社といえば、インティグレードかアルコーブンといった “モーターホーム” ビルダーのイメージが強いが、この2車はバンコンバージョン。取り回しの良さと経済性を主眼においた設定だ。

 特に、ここで紹介する 「322」 は、バンコンでありながら、 (日本の) キャブコン並みの機能を備えているところに特徴がある。
 充実したシャワー・トイレ機能を持ち (写真▼) 、大人3名+子供1名のベッドスペースを備え、97㍑の冷蔵庫を標準装備。給・排水ともに100㍑の水タンクが完備している。

ハイマーカー322シャワー&トイレ室

 写真でご覧のように、フォルムは全体的にスクエアで、四隅が効率的に使えるためスペース効率がいい。リヤベッド上に設定されているオーバーヘッドコンソールも、その恩恵に浴し、奥行き・容量ともたっぷり確保されている (写真▼) 。

ハイマーカー322オーバーヘッドコンソール

 リヤベッドは195mm×150mmで、2人就寝が可能 (写真▼) 。

ハイマーカー322リヤベッド

 しかもウッドスプリングが採用されているために (写真▼) 、通風性が確保され、寝心地も良い。

ハイマーカー322ウッドスプリング

 ベッドマットを収納すると、ボディ中央には長尺物も収容できるラゲージスペースが生まれる (写真▼) 。ベッドマット下には、プロパン、電装、清水タンクなどが収納される。

ハイマーカー322ベッド折りたたみ

 ボディの右サイドは大型収納 (写真▼) 。

ハイマーカー322右大型収納

 荷物が転がらないように、ダイネット部とリヤスペースの間にカーゴネットを張ることもできる (写真▼) 。

ハイマーカー322カーゴネット

 冷蔵庫の上はクローゼットも完備している (写真▼) 。

ハイマーカー322クローゼット

 ダイネットは助手席と運転席を回転させ、セカンドシートと向かい合わせて構成するスタイル (写真▼) 。典型的なヨーロッパ型キャンパーのレイアウトだ。

ハイマーカー322ダイネット1

 このダイネットはベッドメイクすると、165mm×89mmのチャイルドベッドにも早変わりする (写真▼) 。

ハイマーカー322ダイネットベッド   

 キッチンは2口コンロと深型シンクのコンビネーションタイプ (写真▼) 。

ハイマーカー322キッチン

 引き出し式の延長テーブルも設定できるので、調理スペースはモーターホーム並みに広い (写真▼) 。

ハイマーカー322キッチン延長テーブル

 ハイマー社のマスマーケット路線を代表する車種だけに、細かい部分の作り込みも入念を極める。ある意味で、日本車的なきめ細かさを発揮している部分もある。
 その一つが、セカンドシート前に設定されている “床下収納” (写真▼) 。下駄箱としても使える。

ハイマーカー322床下収納

 リヤベッドに上がるときに便利なボックス型昇降ステップも用意されるようになった (写真▼) 。ベッド下にはそのステップを格納できるスペースも作られており、移動中も邪魔にならない。

ハイマーカー322昇降ステップ

 本国ではオプション扱いの電動ステップも日本仕様では標準装備 (写真▼) 。

ハイマーカー322電動ステップ

 走りはどうか。

 すでに数々のイベント会場まで走らせている鈴木利弥部長に言わせると、
 「バンクがないため、空力特性がものすごく良い。ホイールベースも4mあるため、直進安定性も抜群」 とか。
 「走りは、確実に他のキャンピングカーを凌駕するので、気づかないうちに速度オーバーになってしまうことが多い。そこが唯一の注意点。
 常に後方確認しておかないとまずいクルマです。パトカーにはしっかりにらまれそうですから (笑) 」
 とのこと。

 オプション類も豊富で、ポップアップルーフのほか、リヤラダー、自転車キャリア、ルーフエアコンなども用意されている。

《寸評》

 バンコンといえども、さすがはハイマー。装備類の機能とインテリア造形には、上級車種のテイストがたっぷり。デザイン的な完成度においては、やはり一目置かざるを得ない。
 国産高級キャブコン勢にとってもあなどれない存在だろうし、本国では、ウエストファリアなども脅威を感じているに違いない。
 車両のお値段は、税込み943万円。


campingcar | 投稿者 町田編集長 12:31 | コメント(2)| トラックバック(0)

DJ二郎さんの話

 エアストリームのクラスBモーターホームを愛し、日々の仕事からプライベート旅行に至るまで、まるで “サンダル” のように日常使いしているタレントさんがいる。
 高杉 ‘Jay’ 二郎さん。
 レギュラー番組を受け持つテレビやナレーションでは、この 「高杉 ‘Jay’ 二郎」 という名で。ラジオでは 「DJ JIRO」 として親しまれている人だ。

 記録的な猛暑が続いたこの夏の終わりに、ひょんなことで、二郎さんと知り合うことになった。

DJ二郎氏0066

 ラジオ、TV、スポーツ放送の実況現場など、仕事場がめまぐるしく変わっていくのがDJ稼業。
 二郎さんのメインのお仕事はこのDJなのだが、現在その “仕事場” ともいえるエアストリーム170にたどりつくまでには、はたしてどんなドラマがあったのだろうか。
 以下は、その高杉 ‘Jay’ 二郎さんが語ってくれた 「芸能的キャンピングカー人生秘話」 だ。


■ はじめて見たキャンピングカー

 現在は、FMラジオ局で2本のレギュラー番組を抱え、TVではスポーツ番組の実況やスポーツDJとして活躍する二郎さん。
 実は、上方落語の重鎮、桂三枝さんの弟子でもある。

 高座に登る落語家というよりも、役者として三枝師匠の元に入門したというのが、二郎さんのその後の方向性を決めることとなった。テレビのレギュラー番組や、映画で主役を務めるような仕事が舞い込んでくるようになったからだ。

 やがて、本格的に映画を勉強したいという夢が膨らみ始め、ハリウッドのあるロサンゼルスに単身渡る決意をする。
 20代半ばの頃だったという。

 しかし、LAに着いても、現地にツテもない日本の一青年にとっては、勉強を支えるための生活を維持することが難しく、最初は日本料理店でアルバイトをこなすことになった。

 二郎さんの働きっぷりを見て気に入った日本人のシェフが、ある日、遊びに来いよと自宅に誘った。
 何も考えずに行って、驚いた。
 「自宅」 というのは、モーターホームだったのだ。

 「あのときの驚きは忘れませんね。クルマそのものが家になっているという乗り物は、その日まで見たことがありませんでしたから」
 と、二郎さん。
 そのシェフに聞くと、
 「俺たちは、いつ店との契約が切れるか分からない。だから家など持てないんだよ。そういうときに、こういうクルマが1台あると、とても便利なんだ」
 という。
 家を持たずにクルマで暮らすという発想も、生まれて初めて耳にする話だった。
 二郎さんのキャンピングカーとの出合いは、カルチャーショックの中で始まった。

DJ二郎氏0028

■ きっかけはハリソン・フォード

 キャンピングカーに対する興味が不動のものとなったのは、ハリウッドスターとして有名なハリソン・フォードのトレーラーハウスを見てからだ。
 といっても、ハリソン・フォードが所有する車両というわけではない。

 ハリウッド映画の撮影現場では、主役級のスターを招いたときは、必ずエージェントがトレーラーハウスやモーターホームを用意し、そこをスターたちの更衣室や仮眠する休憩室に当てる。
 そのハリソン・フォードが休憩しているトレーラーハウスに 二郎さんはおもむくことになった。
 日本語を教えるティーチャーとして。

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 ▲ 『ブレードランナー』 に出演していた頃のハリソン・フォード 

 当時、二郎さんは、幼い頃から格闘技をやっていた経験を生かし、殺陣師としてアクションの振り付け指導をしたり、自らも出演するなど、映画の裏方として活動していた。
 ちなみに、日系のFM局で、ラジオのDJとして認められるようになったのもこの頃。

 そのように、何でもこなす日本人スタッフとしてハリウッド映画の周辺で活躍していた二郎さん。その多才ぶりが評価され、ハリソン・フォードの日本語教師を務めることにつながったのだが、その 「教室」 となった豪壮なトレーラーハウスには、二郎さんも 「度肝を抜かれた」 という。

 「奥はプライベートゾーンなので見せてもらえなかったんですが、チラっと見ると、特大級のクィーンサイズのベッドがあり、10人前ぐらいの食材を10日間も蓄えられそうな巨大な冷蔵庫があり……。家具や調度も高級ホテルみたいでした。
 まさに、ハリウッドの大スターに相応しい “夢の御殿” という印象でしたね」


■ “仕事” がキャンピングカーを求めるようになった

 この 「驚き」 に満ちたキャンピングカー体験が、その後の二郎さんの人生の方向を決める。

 「で、日本に帰ってから、さっそく自分に合いそうなキャンピングカーを探し始めたのです」

 日本における二郎さんの仕事は、テレビ、ラジオなどのスポーツ実況の中継やアスリートたちを盛り上げるためのDJを中心に、多彩な広がりを見せていた。スノーボードやモーグル競技では、日本を代表する選手たちも認めるくらいの人気DJとして知られるようになった。

 仕事が広がったのはいいが、地方への出張も増えた。

 「東京で、スタジオの仕事を金曜の夜に終え、そのまま土曜日の朝から始まるスポーツの実況のために地方に向かう…なんていうことがしょっちゅう起こるようになったんです。
 そうなると、もうホテルのチェックインなど意味がないですね。夜中の3時や4時に現地のホテルに入っても寝る時間すらない。
 では、競技に参加する人たちはどうしているか? …というと、みんなゲレンデ横の駐車場で、 “車中泊” なんですね」

 そのとき、二郎さんは、今まで以上に強烈にキャンピングカーを欲しいと思った。もちろん “旅行の道具” としても憧れていたが、それ以上に、生活拠点として必要に迫られることになった。
 買う前にはいろいろなキャンピングカーショーを見学し、ディーラーにも顔をのぞかせた。
 しかし、どうも “自分に合った1台” がなかなか見つからない。
 
 そんなとき、現在のエアストリーム170にひょっこり出合った。

DJ二郎氏0050

 「エアストリームは、アメリカにいたときから憧れていましたからね。
 しかしさすがに、日本ではあの大きなトレーラーを引くまでの勇気はなかったんです。
 しかし、この自走式に出合って、もう見た瞬間に 『これだ!』 と思いましたね」


■ 持っているクルマはこれ1台だけ

 手に入れたのは、2004年。
 それを機に、それまで使っていたボルボのステーションワゴンを手放した。

 だから、二郎さんには現在セカンドカーがない。
 つまり、このエアスト170がファーストカーであり、同時にセカンドカーなのだ。

 「とにかく、自分専用のクルマとして持っているのはこの1台だけ。これを手に入れたときに住んでいた町は、東京の世田谷だったんですよ。
 道が狭い街でね。
 最初の頃はあちこちにボディを擦りましたけれど、そのうち車両感覚が身について、どこに行くのも平気になりました。
 もしかしたら、僕は、東京都内をいちばんキャンピングカーで動いている人間ではないかしら。
 都内の山手線内で、あのクルマが止まれる高さと幅をクリアしている駐車場の情報に関しては、けっこう詳しいですよ。
 だから、そういうパーキングがない場所で待ち合わせする場合は、隣の駅に止めて、そこから一駅だけ電車に乗るとかね」

 愛車のサイズは、幅2.3m。長さ5.2m。

 「普通の駐車スペースだとやはりちょっと前ツラが出るんですが、なんとか収まることが多いんです」


■ 奥さんも絶句したデカさ

 最初はみな笑った、という。
 「そんな馬鹿デカいクルマに乗ってきて、都会じゃ不便でしょ?」

 奥さんとなった女性と、最初にデートしたときも、
 「なに !? このクルマ…」
 と一歩引いて絶句したとか。

 確かに、都心の狭い駐車場に入れるときは苦労することもある。
 しかし、仕事が終わると、そのまま遊びに行けるというのも、こういうクルマならではのメリットだ。

 「僕の場合、遊びと仕事の境目がないんです。いま山梨県に住んでいるんですが、たとえば、北関東で仕事をしていて、その翌々日には東京の仕事が入っているとしますね。
 その間に “空白の1日” ができてしまいます。
 もうそんなときは、1日の大半を費やして山梨に帰るよりも日光などに見物に行っちゃうんです」

DJ二郎氏0090

 そうやってクルマの中で寝泊まりするのは、年間50泊以上。

 時には、仕事で一緒になったスタッフやゲストと一緒に泊まることもある。

 「DJという仕事柄、ミュージシャンの友達が多いんですよ。彼らのような音楽系アーチストは、けっこうレコーディングなどで行き詰まったりしてストレスを抱えていることが多いんです。
 そうすると、たいていこのクルマに目を付けて、 『ジローさん、これでどこか行こうよ』 と声かけてくるんです」


■ ストレス解消にはもってこい

 クルマの中にはキッチンがある。
 凝った料理を作るわけではないが、海岸に面した駐車場などにクルマを止め、アーチスト仲間といっしょに食事を採り、ソファでくつろぐ。

 「すると、みんな “こういう生活っていいなぁ!” というんですよ。ストレスが解消されて頭の中がクリエイティブになるんでしょうね。
 “ちょっといいフレーズを思いついたからギターを弾くよ”
 そんな感じで、車内がとつぜんスタジオになったりね (笑) 」

 気密性の高いボディだから、外に音が漏れることもあまりない。
 思いっきり “演奏できる場” になるそうだ。
 だからミュージシャンの中には、二郎さんの車内で曲を作った人たちもいるという。


■ 常に同行する “仲間”

 二郎さんには、奥さんが同行しない時でも、必ず連れ添う “仲間” がいる。
 4歳の 「オーサ」 ちゃん。イタリアングレーハンドの女の子だ。

DJ二郎氏0028

 キャンピングカーは断熱加工されているので、室内温度の適正化が図りやすい。
 今年の夏のような猛暑が続いた日でも、犬を車内に残して買い物やお風呂に行くのも安心だ。

 「犬連れでキャンピングカー旅行すると、いろいろなつながりができるんですよ。サービスエリアなどで休んでいても、犬連れのユーザー同士は話がしやすいんです。
 犬がきっかけとなって、おつき合いが始まった人たちもたくさんいます。友達の輪を広げるのなら、 “犬 + キャンピングカー” が一番です」


■ 2台目を買うとしてもキャンピングカー

 「もうこのクルマを手放す気はないですね。だって生活の一部だから」
 という二郎さん。
 電源があるので、パソコンが使えるということも大きなメリットだという。

 「僕は番組用の原稿も書くんですが、旅行しながらその原稿をどこにでも送れるというのもありがたいですね。
 今までなら、自宅にいないときはネットカフェに行かなければなりませんでしたが、もうその必要がなくなりました」

 二郎さんの “ひらめき” が、そのままクルマを通して、オフィスにまで直結する。
 もしかしたら、二郎さんにとって、このキャンピングカーは 「生活の一部」 を通り越して、 「身体の一部」 なのではないだろうか。

DJ二郎氏0094

 「ほかのクルマが欲しくなったとしても、多分これは残したまま、もう一台キャンピングカーを買うでしょうね」

 これほどキャンピングカーを愛している人がいるだろうか。
 キャンピングカーファンには、なんともまぶしく見えるタレントさんである。



 高杉 ‘Jay’ 二郎 (DJ JIRO) 氏プロフィール
 168㎝/62kg
 特技 = 格闘技全般、調理師免許、英会話、ダイビング、スキーボード、焚き火、温泉ソムリエ、やまなし大使
 趣味 = サバイバル旅行、海外放浪、温泉めぐり

 上方落語の桂三枝に入門。テレビのレギュラー、映画の主演などを務める。
 3年に渡る渡米生活中は、LAにてハリウッド映画の出演。アクションコーディネーターとしても活躍。日系FM局でDJなどを務める。

 現在は、日本で唯一のアメリカ仕込みのX系スポーツDJを中心に、FMラジオDJとして活躍。ナレーター、俳優、声優もこなす。
 伊丹市映画祭5周年記念映画 『下駄とジャズ』 主演 (平成3年) 。
 NHKの土曜ドラマ 『米田家の行方』 主演 (平成6年) 。日本放送愛好者協会賞受賞。
 テレビ東京のアニメ 「遊戯王デュエルモンスターズ」 のペガサス・J・クロフォードの声優。

 テレビでは、J・sportsで、ボクシング中継、ドラッグレース、女子プロレスなどの実況。
 ラジオでは、FM FUJI 「PUMU UP RADIO」 で毎週木曜日の夕方4時から8時までのDJ。
 FM PORT 「げんこつRADIO SHOW」 で毎週土曜日 昼1時から5時半までDJ。

 二郎さんのブログはこちらで → http://jay.laff.jp

campingcar | 投稿者 町田編集長 11:48 | コメント(0)| トラックバック(0)

コルド・ランディ

 キャンピングカービルダーの最大手であるバンテックから、今までのキャブコンの概念をちょっと変えるような斬新な提案を秘めた新型車がリリースされた。
 それが 「コルド・ランディ」 。

コルド・ランディ外装

 とにかく画期的なクルマだ。
 まず、このエントランスステップから上がったフロア (↓) を見ていただきたい。

コルド・ランディ土間003

 FRP製のトレイがめいっぱい広がっていて、土足で上がっても、簡単に泥を拭いたり、洗い流したりできるようになっている。
 バンテックのスタッフは、これを “土間” と呼ぶ。
 確かに、土間ならば 「土足OK」 だ。靴を履いたまま車内の真ん中までドカドカ上がれるキャンピングカーというのは、画期的だ。

 この “土間” は、その奥のトイレ&シャワー室と、親子ドアで仕切られながらもフロアは直結しており、フロアに溜まった水は、周りに掘られた溝を伝わってシャワー室のドレンから排水されるようになっている。
 シャワー室と土間を合わせたトレイの広さは1875mm×1010mm。室内にこれだけ広い “水を流せる” スペースを確保したクルマというのは、まずない。

 ▼ シャワー室にはボディ右サイドへのアクセスドアもつく。
コルド・ランディシャワー室004

 この “土間” の狙いは何なのか?
 もちろん、広い意味でのアウトドアユースに適していることはすぐ理解できるだろう。
 たとえば、海水浴キャンプなどのとき、塩水を浴びたまま戻ってきた子供にシャワーを使わせて着替えさせることもできるし、雪のついたスキーウェアのままとりあえず車内に入り、ここでスキーブーツやウエアを脱ぐことも可能。

 もちろん豪雨のときも、外からそのまま車内に飛び込んで、この“土間”で、雨の滴る傘をたたむ…などということもできる。

 だが、最大の狙いは 「大型犬との快適な旅行を楽しめるための工夫」 であるといえば、犬を飼っている人にはすぐに理解できるかもしれない。
 散歩から帰ってきた犬の足やお腹をここで洗い、さっぱりさせた状態で車内に入れてあげる。
 コルド・ランディは、大型犬との旅を意識したキャブコンでもあるのだ。

 生活用水タンクの容量は73リットル (排水69リットル) 。
 犬の身体を洗うには十分の容量が確保されるようになっている。

 ▼ キャンピングカーショー会場でもペット連れ見学者は増える一方
大型犬3匹

 さて、コルド・ランディでは、 “土間” 以外のどんなところに、ペット同伴旅行を意識した工夫が凝らされているのか。
 まだまだ、たくさんある。
 たとえば、FFヒーターの吸気口 (↓) 。

コルド・ランディ吸気口フィルター052

 犬の毛を吸い込んでも除去できるように、フィルターが取り付けられている。
 
 家庭用のセパレート型ルームエアコンも標準装備。
 トリプルサブバッテリー&1500wのインバーターという強力な電装システムが完備しているため、ちょっとの間ならエンジンを切った状態でもエアコンが支障なく使える。これなら、炎天下にペットを車内に残したまま買い物などに行くことも可能だ。

コルド・ランディエアコン(室内) コルド・ランディエアコン室外機

 サブバッテリーやインバーターという電装システムが、すべて運転席・助手席の後ろに設定されているボックス内にきれいに整頓されているのも特徴のひとつ。
 重量物をできるだけ前側に集中させ、前軸と後軸にかかる重量バランスを適正に保つだけでなく、3個のバッテリーを中央寄りに配置して、左右のバランスも適正化が図られている (↓) 。

コルド・ランディ電装系

 電装ボックスの隣は、クローゼット (↓) 。
 掃除機がしっかり入るスペースが採られているのも、このクローゼットの特徴だ。

コルド・ランディクローゼット 

 電装ボックスが設けられたボディ左側の窓位置に注目 (↓) 。
 窓の位置がけっこう低めだ。
 これは、運転席からの左側後方視界の確保を狙ったもの。
 斜め横に乗用車などがぴったり張り付いてしまった場合、キャブコンには一瞬の死角が生じることがある。この窓は左サイドに生じやすい死角を除去するのに効果的だ。

コルド・ランディ左サイド窓

 ペットの居場所もしっかり用意されている。
 フロントセンターシートをたたんだところ (センターコンソール) がペットの指定席として用意され、そこには、やや固めのビニールレザー製ペット専用マット (オプション) が敷けるようになっている。

 バンクベッド (↓) もユニークだ。
 幅もあり、天井高も確保されているので、3名ぐらいの就寝スペースは楽に採れるだろうに、バンクベッドの就寝は2人だけ。基本的に 「夫婦2人&愛犬1~3頭」 というのが、このクルマのコンセプトだからだ。
 そのため、バンクベッドもベッドスペースを左右に振り分けて 「2人就寝」 にとどめ、代わりに、中央部に隙間を作ることで、ウォークスルーが楽になることを狙っている。

コルド・ランディバンクベッド

 ベッドとベッドの隙間を広く取ったのは、ウォークスルーの確保と同時に、バンクの奥に詰め込んだ寝具の取り扱いを楽にするという狙いがある。立ったままバンクの奥まで踏み込めるので、バンクの先端にしまったシュラフ、枕、毛布などを取り寄せるのも楽だ。

 ちなみに、バンクベッドのサイズは、右側2050mm×760mm。左側は2020mm×640mm。どちらのベッドも就寝スペースとしての容量はたっぷりあるが、強いていえば、サイズ的に右側が男性用、左側が女性用ということになろうか。

 サロン (↓) もいい雰囲気でまとまった。
 新型コルド・バンクス以来、バンテックの内装カラーも新境地を見せるようになった。
 クラシカルなヨーロッパ型木工家具のテイストは残しつつ、シート表皮やそのカラーリングには、モダンデザインのエッセンスを採り入れるようになった。
 このランディも同社デザインの新しい流れを汲む1台。白いシート地と黒のシートマットのコントラストが鮮やか。

コルド・ランディサロン

 レイアウトとしては、L型シートを配し、テーブルを挟んで、キッチンユニットと向かい合うというスタイルだが、一本足テーブルの天板を回転させることによって、テーブルの奥に座った人の移動を自由にしている。

 このL型シートをベッドメイクすると、長さ1860mm×幅1400mmのフロアベッド (左) ができあがる。
 背もたれのひとつを使って、コの字ラウンジ (右) も。

コルド・ランディサロンベッド コルド・ランディ_コの字ラウンジ

 リヤサロンの床は、ペットの爪痕などで傷がつかないように重歩行用のリノリューム仕上げ。 
 床下にはベバストヒーターのダクトが通っているのだが、そのダクトには穴が開けられており、床暖房効果も得られるように工夫されているという。床に腹をつけて休息するペットたちには、なんともありがたいシステムだ。

 冷蔵庫と電子レンジはオプションとなるが、冷蔵庫を設定するスペースの下には、しっかりしたフタ付き電子レンジスペースも設けられている (↓) 。

コルド・ランディ冷蔵庫&電子レンジスペース

 外部収納 (↓) もなかなかの容量を誇る。
 フロア下に回されたダクト類の配管などは、いっさい収納庫スペースと隔絶されているので、搭載した荷物が熱の影響を受けるということもない。

コルド・ランディ外部収納庫

 そのほかの外部収納として、ペットの排泄物や生ゴミなどを入れる専用の「外部ゴミ収納庫」も装備されている。


 これまで発表されてきた 「キャンピングカー白書」 によれば、キャンピングカーユーザーのペット飼育率はいつも4割を超え、5割近い数値を示している。これは日本の一般的な世帯のペット飼育率の2倍に近い状況だ。
 また、キャンピングカーの購入動機に 「ペットと一緒に旅行するため」 と答える人たちの率もかなり高い。
 コルド・ランディは、そのようなユーザー志向にしっかり対応した初の本格的なペット仕様車ともいえるだろう。

 このクルマを開発したバンテックは、キャブコンのラインナップ数では国産ビルダーの頂点に立ち、固定ファンに支えられた人気定番モデルも数多く擁している会社。コルド・ランディはそのような安定した同社の品揃えがあったればこそ生まれた提案型モデルともいえるが、案外、今後は同社のキャブコンラインナップの中軸を担う車種のひとつになっていくかもしれない。
 なぜなら、市場はそのように動いているからだ。

【コルド・ランディ主要諸元】

 ベース車 : トヨタ・カムロード
 全長 : 4995mm
 全幅 : 1980mm
 全高 : 2960mm
 乗車 : 6名
 就寝 : 大人4名

【標準装備】

 セパレート型ルームエアコン/トリプルバッテリー (91.6Ah×3) /強化走行充電システム/サイン波インバーター1500w/サブバッテリーモニター/AC充電器 (12V25Ah) /バッテリープロテクター/埋め込みDCコンセント/ACコンセント×3/LPG警報機/ステンレス製2口ガスコンロ/ステンレス製シンク/シャワー設備/FRP製大型シャワーパン (土間仕様) /生活用水タンク (73リットル) /清水タンク (19リットル) /FFヒーター (ベバスト) /大型クローゼット/カセットガス供給機/床材:リノリューム/シート生地:ビニールレザー/アクリル2重窓 (コンビロール内蔵) /大型ファン付きルーフベンチレーター/大型エントランスドア

【オプション】

 サロンカーテン/カセットトイレ/オーニング/ACボイラー/DC冷蔵庫(60リットル)/電子レンジ/集中ドアロック/犬用シートマット (センターコンソール上)


お問い合わせは下記に

株式会社バンテック
電話 048-479-6236
HP http://www.vantech.jp/ 

campingcar | 投稿者 町田編集長 15:19 | コメント(4)| トラックバック(0)

RV購入日記 04

(前回 からの続き)

 ○月○日

 ギャラクシーの納車が7月の19日に決まった。
 自動車保険の契約を結ぶために、日頃つき合いのある保険会社の担当者と連絡を取る。

 納車当日に、すぐに運転したいんだけど…と話すと、
 「それでは、私がショップに同行して、その場で登録が終わったばかりの車検証を見ながら保険契約をしましょう」
 ということになった。

 ○月○日

 いよいよギャラクシー納車の日。

 10時に保険会社の人が自宅に来訪。
 納車日にさっそくギャラクシーを撮影するため、撮影用の椅子テーブル、パラソル、ツーバーナー、ランタン、外部電源のための延長コードなどを彼の乗用車に積んで、国立グローバルに向かう。

 納車したてのギャラクシーをさっそく田代氏の知っている秋川の川原に持ち込んで、説明を受けながら撮影しようというわけだ。

 約束の11時にグローバル国立営業所に着くと、田代さんはちょうど立川の陸事に登録に行っていて、留守だった。

グローバル国立展示場
▲ 旧国立営業所

 田代氏を待ちながら、保険会社の人と雑談していると、やがて、ドロドロドロというディーゼルエンジンの音を立てながら、田代氏の運転するまっ白のギャラクシーⅢが登場。
 ご対面である。
 ナンバーが付いた私のギャラクシー。

 ナンバーがいい。
 多摩88の177。
 ラッキーセブンが二つ。

 「いいナンバーでしょ」
 登録を終えてきた田代さんもホッとした表情。
 4とか9が続く縁起の悪いナンバーで、お客さんが機嫌を損ねたりすることも多いのかもしれない。

 保険会社の担当者も興味をもって近づいてきて、二人で来たばかりのギャラクシーをじっくり眺める。
 キャンパーの中では抜群にフィニッシュがきれいだと思った車種だったが、なんとなくドアや窓の立て付けが荒く、フィニッシュが雑な印象を受ける。
 やはり乗用車とは違った乗り物だということが分かる。

 トレーラーハウスの中で、しばらく3人で歓談する。今日は私の納車だけだが、明日は三つも集中しているという。
 明日は大安なのだそうだ。

 「縁起を担ぐ人はけっこういるんですか?」 と聞くと、
 「かなり多いですよ」 という話。
 日を選ぶだけでなく、時間や方位まで指定してくる客もいるとか。

 「午前中に納車しろと言われて、あせって12時10分前に大汗で飛び込んだこともありました」 という。
 けっこう苦労しているみたいだ。私などは楽な客だっただろう。

 ちなみに 「今日は何の日ですか?」 と聞くと、
 「今日はいい日です。あまり気にしない方がいいです」
 と、田代さんがいう。

 縁起の悪い日ですと言っているようなものだ。
 後で調べると仏滅だった。
 どうりで田代氏が、 「今日は忙しくないので、ゆっくり撮影につき合えますよ」 と言ったわけだ。

 保険の担当者が帰って、ギャラクシーの使い方の説明を田代氏から受ける。
 鍵だけでスペアと合わせると19個! 
 常時使うキーだけでも七つだ。

 イグニッションキー、エントランスドアのキー、LPボンベの蓋のキー、カセットトイレの取り出し口のキー、外部シャワーキー、ジェネレーターのキー、ルーフボックスのキー、シティウォーター、ボイラー……
 わぁ、もう気が狂いそうだ。

 「後は川原に行って、使い方を説明しましょう」 ということになり、ギャラクシーに乗り込む。
 メリメリメリというディーゼルのエンジン音より、心臓の鼓動の方が激しくなる。

 なんでも初体験というのは緊張するものだが、近年これほど緊張した一瞬もなかった。

 ボディはデカい。
 後ろは見えない。
 横は張り出している。
 屋根は高い。

 今まで乗ったことのない乗り物である。
 スペースシャトルを操縦しろと言われた方がまだましだった。 「冗談だろ」 の一言ですむからだ。

 とにかく自分のクルマを持ってうれしいという実感よりも、怖いという実感の方が強く、早くも逃げ出したかった。

 「その緊張感が新鮮でいいんですよ」
 隣で田代氏がニヤニヤ。

 えいままよ! …で、甲州街道に乗り出す。
 グラっとカーブを曲がり、ユラユラっと走り出す感じ。
 シューンと走り出す乗用車と違って、自分の操作で動いているという実感がない。

 が、不思議なものだ。
 100mぐらい走っただけで慣れてしまった。

 意外だったのは、最大の懸念だった横幅の恐怖。
 これが乗用車に乗っているときより希薄なことであった。

 ベース車のハイラックスのボンネットが、意外にも狭いということもあるかもしれない。
 あるいは、車高が高いので視界がいいということもあるのかも。
 前に進む分には、2m10という横幅がほとんどプレッシャーにならない。

 結局、道を狭く感じるかどうかというのは、クルマの横幅の問題ではなく、前方視界の問題なのだ。
 前に伸びるボンネットがはっきり視野に収まっている限り、左右の見極めは楽なのである。

 「サイドミラーがぶつからないかぎり、ボディがぶつかることはありません。サイドミラーを猫のヒゲと思ってください」
 と、田代さん。
 大型トラックのように前後二段に別れた大型サイドミラーが実に頼もしい。(今はこんなミラーないけどね)

ギャラクシー2段ミラー

 このサイドミラーは、上が凸面鏡で、下が平面鏡になっている。
 慣れないとどう使っていいか分からないが、後方から来るクルマの確認は上のミラー。下のミラーは幅寄せのときに使う…と割り切れば、実に便利だ。

 「やはり、重いとか走らないとかいう実感はあります?」
 田代さんが尋ねる。
 「いえ、よく走りますよ」
 本当である。

 乾燥重量2700キログラム。ジェネレーターを積んで水タンクなどを満タンにすれば3トンになるという代物だ。
 それを引っ張るエンジンはわずか、91馬力。
 にもかかわらず、乗用車と同じ速度で甲州街道を走っていく乗り物を 「遅い」 というわけにはいかない。

 トラックのギヤ比なので、とにかくロー、セカンドのトルクが太い。一速で引っ張っても、メリメリメリと気持ち良く伸びていく。

 問題の後方視界。
 やっぱりバックアイモニターというのは大したものだ。
 本来はリバースに入れると作動する性質のものらしいが、切り換えスイッチで 「手動」 を選んでおけば常時後方が見える。ルームミラーの代用になる。

 正確な距離感はつかめないが、とにかく、後ろにクルマがいるかいないかが見えることで安心感が違う。

 総じて、予想していたほどには運転が難しいということはなかった。

 ただ、最後までどう処理していいのか分からなかったのが、リヤのオーバーハングの扱い。
 田代氏によると、左にぎりぎりに寄せた状態から急にハンドルを右に切って発進すると、必ず左のリヤを擦るという。

 「僕なんか、自転車を10台ぐらいバラバラとなぎ倒したことがありましたよ」
 田代氏が “自慢話” のように語る。
 人間を10人なぎ倒したらどうする気だろう。

 …とか話しているうちに秋川の川原についた。
 メインストリートからチョコっと脇に入っただけなのに、不思議、渓谷のムードがある。なかなか雰囲気がいい。
 ウィークデイだというのに、テントを張ったりしているグループもいる。

 二筋の川がある。
 「手前の川を渡って、その先の中州にいきましょう」
と、田代氏。
 ギャラクシーの4駆の醍醐味を味わってください…という趣向らしい。

ギャラクシー001

 車外にいったん降り、前輪のフリーホイールハブをロックにして、再び運転席に乗り込んで4駆にシフトする。

 ドドドドドっと川渡り。
 「この川は浅いことが分かっているから大丈夫ですが、川を渡る場合は一応事前に深さを確かめてください」
 と、田代氏がアドバイスをくれる。

 中州に行き着くと、さすがに普通の乗用車はいない。止まっているのはみな4駆。
 この時代、世間では大4WDブームだったのだ。
 そういうクルマが、都心を少し離れた川原などにたくさん集まっていた。

 いま思うと、そんな時代があったのか…とすら思う。
 このようなクルマが入れる川原というものが、現在の東京郊外にはもうない。
 この川原も、私がギャラクシーを手に入れて2年か3年後には立ち入り禁止となる。
 しかし、このときは、川原に乗り入れた4WD車を堂々と撮影することができたのだ。

 撮影の背景を考えながら、ギャラクシーをセットする。
 まず全景。
 次に真横、真後ろと角度を変えて、外装写真をおさえる。
 これがちゃっかり、当時出していた 『RVニュース』 の記事になるわけだ。

 それからオーニングを出して、テーブル、ランタンなどをセットしてイメージフォトも撮る。
 そして、いよいよ田代さんの説明を聞きながら、各機能の具体的な扱い方の撮影に入る。

 この日の田代氏は、黒のTシャツに白いパンツ。洒落たキャップ。モデルを意識したスタイルだ。

オーニングを持ち上げる田代氏
 ▲ 当時の田代氏

 LPガスタンクの脱着と使い方。
 ボイラーの点火方法。
 ガスコンロの着火法。
 3ウェイ冷蔵庫の扱い方。
 ヒーターの使い方。
 トイレの処理方法。
 ジェネレーター…エアコン…排水…オーニングの収納…

 やれやれ。とてもじゃないが覚えきれない。

 駄目だ…と、ため息をつきたくなったときに、私の会社から応援部隊 (野次馬) が到着した。
 当時 『キャンパーニュース』 の編集部に在籍していた堺君だった。今日が納車と聞いて、見物かたがた撮影の手伝いに来てくれたわけだ。

 中央高速を飛ばして遠路はるばる東京を横断してきたというのだから、よっぽど会社を脱出したかったのかもしれない。

田代氏&堺氏
▲ 田代氏 (左) と堺氏 (右)

 堺氏が来たときにちょうど雨。
 降り止むまで、給油ついでにお茶を飲みに出る。
 ファミレス 「スカイラーク」 の駐車場になんとかクルマを収めて、3人でお茶を飲みながら雑談。

 窓の向こうに城のようなギャラクシーがそそり立っている。
 自分ながら、よく駐車場に入れたと思う。

 「ギャラクシーにオプション設定されているエアバックってのは、どんな機能なんですかね」
 「バンコンとコーチビルド (キャブコン) は、どちらが人気なんでしょう?」
 「これぐらいのクルマをポンとキャッシュで買っちゃうお客さんもいるんですかね」

 そんなことを、堺君と2人して田代さんに尋ねていると、いつまでたっても自分のクルマという実感がわかない。
 グローバルのデモカーを取材で試乗しているという気分だ。

 雨が止んだので、川原に戻って撮影の続きをする。
 撮影が一段落したとき、淡い夕陽が顔を出して川原の向こうに沈もうとしているのが見えた。
 周囲がかすかにガスって、ギャラクシーを柔らかな光に包む。
 ようやく、自分のクルマを眺めている気分に浸る。

川原のギャラクシー&オーニング

 撮影を終え、会社の上司に電話を入れると、
 「おーい、会社まで乗ってこんか? みんなが見たいと待っとるぞ」 という。

 電話なのだから 「おーい」 などと呼ばなくても十分聞こえるのだが、上司にとっては立川・国立はとんでもない僻地なのか、おーいと声かけたくなるような気分だったのかもしれない。

 「分かりました。会社まで戻ります」
 そのまま家に帰ろうと思ったが、結局家を通りこして、わざわざ会社まで行くことになってしまった。

 国立インターから首都高に乗る。
 もちろん初めての高速道路だ。路面は雨。
 夜になってバックアイも効かない。

 80kmになると、もう怖い。
 しかも、ワダチが深くエグられているような所に乗ると、ハンドルがフラフラと左右に取られる。

 「わぁ、キャンピングカーって怖いもんだ!」
 と実感する。
 田代さんが 「前後のタイヤでトレッドが違うので、ワダチにハマると左右に振られます」 と言っていたのを思い出す。

 首都高の “新宿タイトコーナー” が迫る。
 ワワワ…怖い!

 思わずコーナーの真ん中でブレーキを踏む。
 20年前、免許取ったばかりのとき、やはりこのコーナーで青ざめたことを思い出す。
 制限速度が60km。そこを40㎞ぐらいでやっとこさクリア。

 このクルマに比べると、いま乗っているキャンピングカーは別の乗物のように楽。

 まあ、 “慣れ” というものも大きいだろうと思う。
 なにしろ、この時は、生まれてはじめてのキャンピングカー。
 横幅2mを超える乗物で、あの狭い首都高を走ったのもはじめて。
 あお息吐息で会社までたどり着く。

 雨も止んで、社長をはじめ、キャンパーニュースの編集部の面々がぞろぞろ見物に出てくる。

 「すごいなぁ」
 「でっかいなぁ」
 口々に言うことは同じ。

 しばらくして、トヨタ自動車のPR誌を編集しているグループまで降りてきて見物。

 「すごいなぁ」
 「でっかいなぁ」

 もともと “モノ” を自慢するという性格ではないので、あまり 「すごいなぁ」 を連発されると、かえって気が引けてしまう。

 お披露目を終えて、帰途につく。
 帰りは、環六から20号、井の頭通りというコース。
 少しずつ運転の恐怖感は衰え、なんとか車体の大きさにも慣れてくる。

 が、家が近づくにつれ、突然言いようのない恐怖感がつきあげてきた。
 あの狭い “大黒寿司クランク” を曲がれるだろうか?
 駐車場の角に禍々しく張り出しているブロック塀に当てることなく、バックでスロープを登りきれるだろうか? 

 そう思うと、本当に、脂汗が額からにじみ出してきた。

 速度を落として、まず慎重に大黒寿司クランクを曲がる。
 オタオタしているところを、あまり近所の人に見られたくないという心理があるから、よけい気ばかり焦るのだが、そういうときに限って、ディーゼルエンジンはメリメリと元気よく吼えまくる。

 大黒クランクは曲がった。
 駐車場はすぐそこだ。
 静かに静かに…。自分にそう言い聞かす。

 メリメリメリ。
 しかし、エンジンの唸りが実際の10倍ぐらいに感じられる。

 さぁ、ここで止まって、ギヤをリバースに入れ、いよいよバックで急坂を登らなければならない…。
 メリメリメリ。

 あぁ、やっぱり後ろがまったく見えない。
 降りる。
 後ろを自分の目で確かめる。

 クルマがとんでもない角度になっている。運転席に戻って修正する。
 メリメリメリ。

 ぎゃ! まったく違う方向に尻が向いてしまった。
 また降りる。
 どういう角度がいいのか分からない。

 メリメリメリ。
 これじゃ駄目だ。また修正…。
 いや、今度はノーズが桜井さんの家の壁に当たる。どうしよう…。額には文字どおりの冷や汗。

 メリメリメリ。
 泣きたくなってしまう。

 「町田さん、ダメダメダメ。もっと左の壁に寄せて!」
 突然、聞き慣れたダミ声。
 見ると、隣りに住んでいる森田の旦那さんがタンクトップ…じゃなくランニングという表現が適切なシャツ一枚に、ステテコ姿で家から飛び出して来た。

 「もっと思い切って左に寄せて、そこで切る。
 はいオーライ。
 おっと右のフロントが危ないぞ。ハンドル小さく。ほらそこだ。
 おっとこっちだ、ほら向こう…」

 お祭のようなにぎやかさだ。
 森田さんの誘導で、やっと事なきを得る。

 「ありがとうございます」
 冷や汗をぬぐう。
 本当にこの誘導がなければ、あと1~2時間は 「メリメリメリ…」 が近所に轟いていただろう。

 「いやぁ、ついに来ましたな」
 森田さんの目が輝いている。
 その隣には、いつの間にか森田さんの奥さん。

 奥さんが言う。
 「うちの主人ったら、まだキャンピングカーは来ないのか? まだキャンピングカーは来ないのか?…と毎晩そればっかり言っているのよ。自分のクルマでもないくせして」

 「ちょっと中を見せてください」
 さっそく旦那がリヤドアから上がり込んでくる。

 「おぉ、これはすごい!」
 森田旦那の目がぐるぐると車内のあちこちを飛び回る。 

 その間に、森田さんの奥さんがウチのカミさんを呼びにいって、さっそく2家族合同の試乗会となった。

 といっても、近所をグルっと回っただけ。
 「キッチン、冷蔵庫、トイレ、シャワー、それにベッドもついて500万円ですか? こりゃ安いわ」
 と、商売に明るい森田夫妻はすばやく計算する。

 「よし、これで今度いっしょにキャンプに行きましょう」
 と、お互いに誘い合って、その夜は解散。

 その後、嫌がるカミさんを無理やり近所の寿司屋まで誘い出し、3時まで飲む。
 酒でも飲まなければ寝られないくらい、運転に疲れた夜だった。

(続く)

 (第一回)
campingcar | 投稿者 町田編集長 02:54 | コメント(2)| トラックバック(0)

RV購入日記 03

前回からの続き)

 ○月○日

 自分にとっては初めてのキャンピングカー 「ギャラクシー」 を購入するための情報を集めつつ、まず駐車場選びから始めた。

ギャラクシー001

 やっぱり家から少しで近いところに借りたい。
 家から100mのところに、わりと大きな駐車場があったのを思い出した。

 その駐車場を管理している精肉店に行って、 「駐車場は空いていませんか?」 と尋ねた。

 「ありますよ。いま空いてます」
 と気楽な返事が返ってきた。

 「……ただし、トラックみたいなクルマなんですけど…」
 「え? トラック」
 精肉店のご主人の顔が曇る。

 「幅が2m10、長さが5m60…」
 「ちょっと無理だねぇ。何のトラックなの?」

 「あの…キャンピングカーなんです」
 「ああ、ダッジとか何とかいう…。あれは無理だなぁ」

 「2台分借りても無理でしょうか?」
 「2台といっても、隣合ったところが空かないからな。悪いねぇ…」

 その後、自分の乗用車を停めている月極駐車場の管理者とも相談したけど、同じような返事だった。

 これは相当遠くの駐車場になるな…と覚悟した。
 が、 “燈台もと暗し” とはこのことだ。

 実は、家からわずか50mのところに駐車場があることはあるのだ。
 ところが、そこは、クルマを入れるのが実に難しそうな場所なのだ。

 なにしろアプローチが狭い上に、登り口が急激な斜面になっている。
 しかも、その前が一方通行の道なので、バックで入れておかないと、出るときに出られない。

 一度乗用車を入れてみようと思い、バックで乗り上げたところ、クルマが斜めに傾いて、まるで倒れそうな感じだったので、途中で諦めたことがあった。

 それに、スロープを上がるときに、タイヤが空転して斜面を登りきらない。キャンピングカーじゃなおさら無理だと思った。

 が、そんな所だから、借り手がなく、逆にいつまでたっても空いている。
 案外狙い目かもしれない。

 さっそく、当時ギャラクシーを販売していたグローバル国立展示場の田代さん (現TACOS社長) に連絡して、
 「一度、そのクルマを持ってきて、家の前の道路を曲がれるか、駐車場の斜面をよじ登れるか、試して頂くわけにはいきませんか」
 とお願いした。

田代さん001
▲ 出会った頃の田代氏

 「ああ、いいですよ」
 田代さんの運転するギャラクシーが来ることになった。


 ○月○日

 「今、家の近くまで来たんだけれど…」
 田代さんから、携帯電話で連絡が入る。
 さっそく歩いて迎えに行く。
 田代さんは、家から200mぐらい離れた酒屋の前にクルマを止めて、私が駐車場に案内するのを待っていた。

 その隣に、かのギャラクシー。
 デッケェ! 

 展示会の会場で見るのと違い、近所の狭い道で見るギャラクシーは海水浴場に紛れ込んできたクジラのように大きかった。
 これじゃ “大黒寿司クランク” を曲がれない!

 ところが田代さんが運転するギャラクシーは一回の切り返しで、私には至難のワザに思えた大黒寿司クランクをクリアしてしまった。

 次に、第2の難所の駐車場のスロープ。
 これも前から一回、バックから一回。
 扱い慣れた田代さんはスルスルと出し入れする。

 「そんなにきつい駐車場でもないですよ。普通のキャンパーじゃ腹をこすってしまうかもしれませんが、ギャラクシーは車高が高いから問題ないです。それに滑ったら4駆にすれば大丈夫です」 とのこと。

 田代さんはもっと難しい駐車場のオーナーのところにたくさん納車しているという。

 なるほど。
 それじゃ……ということで、田代さんが帰った後、さっそく駐車場の管理人のところに電話した。

 空いているという。
 しかも、当分借り手は現れないでしょうという話。

 そりゃそうだろう…、あんな普通のクルマが苦労する駐車場…とは思いつつ、納車がいつか確かめて、あらためて契約しますということで電話を切った。

 さて、納車はいつか。
 田代さんに連絡すると 「今の契約 (5月頃) だと、納車は9月になるだろう」 とのこと。

 しかし 「町田さんのはもう枠を取ってあります。6月の終わりぐらいなら大丈夫」 とのこと。
 「じゃ一台買いましょう」と、話がまとまった。


 ○月○日

 7月にはクルマが来る。駐車場問題にケリをつけなければいけない。
 会社の休みの日、駐車場を管理している不動産屋までクルマを走らせた。

 幅の規定が1台分を超えてしまうので、どうしても2台分のスペースを借りる必要がある。

 不動産屋の説明によると、確かに5台止められるスペースのうち、2台分が空いているという。

 ただし、その2台分が隣り合っていない。
 真ん中に1台よけいな (失礼!) なクルマがある。

 「なんとかならないですかねぇ」 と不動産屋さんにお願いすると、
 その社長さんが、駐車場の借り手と電話で交渉してくれることになった。

 「1台分だけ、北側に寄ってくれませんかね?」
 と、電話で借主に尋ねている。

 「いいよ」 …という返事らしい。
 「2台分が空きましたよ」 と社長さんもニッコリ。

 料金は、1台分1万7,000円。
 「でも、2台分で2万円ということにしておきましょう」
 不動産屋の社長は、そういってくれた。
 「結構です。では借りることにいたします」

 すぐサイン。
 2台分借りても、乗用車を止めている駐車場の1台分より、さらに1万円も安かった。

 駐車場が決まったので、グローバル国立営業所に行って、見積りを立ててもらうことにした。

 業界の記者なので、“良い記事を書いてくれることを期待して (?) ” …オーニングとラダーなどの装備品額に相当する約30万円をサービスするという。

 オプションの検討に入った。

 バックアイモニター。……これは絶対いるだろう。
 オーニング…いる。
 ルーフボックスがあると便利だという話もきいた。汚れた椅子・テーブルなどをそのまま放り込めるから撤収が楽だという。
 じゃ付けたよう…。そうなるとラダーもいる。
 オーディオは絶対いる。

 さて、ルーフエアコン、電子レンジ、テレビ&ビデオなどという贅沢装備はどうする?

 ルーフエアコン、電子レンジなどが入ってくると、当然電力確保の意味からジェネレーターも必要となってくる。
 そのときまでに挙げた装備類を、一度まとめてもらった。

 フロントエアコン   17万1,000円
 リヤモニターカメラ 13万5,000円
 電子レンジ       2万5,000円
 ジェネレーター   42万0,000円
 ルーフエアコン   10万8,000円
 サイドオーニング  14万8,000円
 リヤラダー       3万0,000円
 オーディオ       8万2,000円
 ルーフボックス    9万8,000円

 これを全部足すと…121万7,400円という値段になった。

 ええい、いけ! 

 ……で、付けることにした。

 あくまでも勉強のためのクルマなのである。
 これらの装備がどれだけ必要なのか、あるいは不必要なのか。
 使ってみなければ分からない…というので、思い切ってフル装備にした。

 結論をいうと、このときの経験は、2台目のキャンピングカーを買うときに、大いに参考になった。

 ルーフエアコンとジェネレーターというのは、ベースシャシーの対荷重との相談になると思うようになった。

 この二つは価格も張るが、重量も伴う。
 それなりに対荷重の高いシャシーが約束されていなければ、クルマそのものの運動性能を損ねるし、タイヤや車軸に対する負担も増大する。

 今から思うと、オーナン2.8 kWを床下に積み、ルーフにはコールマンのエアコンを載せ、キャンプ道具から何から一切ぶち込んだルーフボックスをその横に並べ、 (時には100㎏の水タンクを満タンにし) さらに5㎏のLPボンベ一本と、そのリザーブタンクも用意して乗せていたのだから、相当な重量を負わされたクルマになってしまった。

 言ってしまえば、200馬力以上あるアメ車並みの装備を、わずか91馬力のシャシーが担うことになった。
 可哀想なギャラクシーである。
 走らないわけだ。

ギャラクシー001

 だから、2台目のキャンピングカーでは、エアコンもジェネレーターも注文しなかった。
 途中から、 「夏の暑さ」 を我慢できないカミさんのため、キャンプ場のAC電源でも回るような小型・軽量のエアコンを後付けしたが、結果的に、あまり使っていない。

 夏の旅行は、なるたけ涼しいキャンプ場を選び、窓を全開して風を入れるようにしている。
 それでも暑いときは、ルーフベントを回して屋根から風を入れるか、小さな扇風機を回す。
 それだけで、なんとかなるものだ。

 また、ルーフの上にトップボックスを載せるのもやめた。
 ギャラクシーのときは、椅子・テーブルから始まって、一切合切のキャンプ道具を屋根に載せていたが、当然、重心高が高くなり、安定性にも支障が出てしまう。

 だから、荷物をたくさん持っていく旅行を見直して、ボディ脇の収納庫に入るだけの荷物に絞ることにした。

 これは、子供がキャンプ旅行を卒業して、夫婦2人かもしくは単独旅行の機会が増えたから可能になったことでもあるが、 「荷物の少ない旅行」 を心がけるようになって、クルマの運動性能も向上し、かつ心も軽くなったように思う。

 しかし、まだ1台目のキャンピングカーを買うときには、そんなことまで分からない。
 そのため、フル装備になって、価格も一気にアップした。

 車両本体価格は478万円だったが、プラスのオプション類が121万円。
 その中から特別値引き…つまり代理店へのバックマージンを引いた額 (28万円) がサービスとなり、私の場合は570万円ぐらいとなった。
 それに税金、登録諸経費など加えると、乗り出しで620万円になってしまった。

 「ちょっとオプションが増えすぎて、高くなっちゃいましたねぇ」
 と、田代さんの方が多少困惑気味。
 決まり悪そうな顔である。

 申し訳ない…という気分と、 “そんなに付けても使うことないだろうに…” という哀れみの気分が混じったような表情だ。

 まぁ、いいわい。

 とにかくローンを組んじまえということで、支払いの方法を田代さんと相談した。
 頭金370万9,142円。
 後は、月々8万9,900円の20回均等払い。 (初回だけ9万0,100円)

 話はどんどん進行して、登録の話までいった。
 登録するために車庫証明を取ってくれという。
 今まで乗用車を4台乗り継いできたが、そんなことはしたことがない。

 ……なるほどキャンピングカーというのは乗用車と違うもんだと思った。
 ドゥイットユアセルフ。

 車庫証明の取得が、Do It Your Self かどうか分からないけれど、痒いところに手が届くように何でもしてくれる乗用車ディーラーとは、やはり違うみたいである。

 「車庫証明に必要な書類」 というインフォメーションがグローバル本社から送られてきた。

 ① 自動車保管場所証明書
 ② 自動車保管場所使用承諾証明書
 ③ 自動車保管場所の見取り図並びに配置図
 ④ 土地 (駐車場) の評価証明書
 …がいるという。
 何のことかさっぱり分からない。

 ④ の土地の評価証明書というのは市役所で発行してくれるというので、とにかく市役所に行ってみた。

 受け付けで聞くと固定資産税の係りのところにいけばいいという。
 そこで駐車場の地番 (これが住所の何丁目何番地と違う) を聞いて書類に書き込み、とにかく発行してもらった。

 それを持って警察署に行った。
 警察署には 「車庫証明発行受け付け」 みたいなコーナーがあって、そこに行って 「自動車保管場所証明申請書」 なる用紙をもらった。

 「車名」 「型式」 「車体番号」 「自動車の大きさ」 を書き込むようになっている。

 郵送されたインフォメーションによると、
 「車名=トヨタ」
 「型式=S-LN106改」
 「車体番号=LN106-0100669」
 「自動車の大きさ = 長さ565センチメートル/幅211センチメートル/高さ315センチメートル」
 …ということだったので、それを書き込んで渡した。

 これで ① の 「自動車保管場所証明書」 はクリアした。

 ② の自動車保管場所使用承諾証明書というのは、土地の評価証明書でいいみたいだった。
 ③ の自動車保管場所見取り図並びに配置図というのは、地図を画く用紙に駐車場の位置と自宅の位置をかき込めばよかった。

 配置図は、駐車場の契約書にクルマを収める位置が図表化されていたので、それのコピーを渡してことなきを得た。
 手数料として2,000円払えば、1週間後に車庫証明が交付されるとのことだった。

 1週間経って 「自動車保管場所証明書」 なるものが発行された。
 「94※※※※※30」 という番号だった。
 なんのことか分からないが、それが 「保管場所標章」 とのことだった。

 イヒヒ…である。
 オーナーになる日が近づいてきたのだ。

 (続く)

 (第一回)

campingcar | 投稿者 町田編集長 02:22 | コメント(4)| トラックバック(0)

RV購入日記 02

前回からの続き)

 ○月○日

 欲しいキャンピングカーとして、とりあえずギャラクシーに狙いを定め、販売しているグローバルまでクルマを見に行くことにした。
 
 グローバル本社は、当時愛知県の豊橋にあったが、幸いなことに、東京の国立に東京ショールームがあった。
 クルマに乗っても30分ぐらいの場所だったので、ある日曜日、カミさんと子供を連れてドライブがてらに訪れることにした。

グローバル国立展示場
 ▲ 昔東京・国立にあった 「グローバル東京展示場」

 出たばかりのコンポⅡとギャラクシーの間に、グローバル国立展示場の田代さん (現・タコス社長) が立っていた。

 田代さん001
 ▲ 現 「TACOS」 社長の田代さん
 (若い頃)


 私は “ただのお客” …それもちょっとだけ知っている客を装って、田代さんの前で、
 「なるほど、これが新しいコンポⅡね。
 あ、窓が小さくなったんだ。
 バンク部は今度はベッドになったのか…」
 …なんて、 (実は記事を書いているからよく知っているのに) “素人の客” をよそおって楽しんでいた。

 そうしたら、田代さんに、
 「ひょっとしたら、 『キャンパーニュース』 の町田さん?」
 と見破られてしまった。

 あっけなく “素人の客遊び” は終わった。

 「実はギャラクシーが欲しいと思って見にきたんです」
 田代さんにそう言うと、 「あ、ぜひ!」 と、田代さんの顔が輝いた。

 「値段についてはいろいろ考えさせてもらいます。だからぜひ! できれば試乗記なんか 『キャンパーニュース』 に連載してもらえれば…」
 田代さんがそう言う。

 試乗記なんか書くのはやぶさかではない。
 こっちだって書きたい。
 だけど、まだ自分のキャンピングカーに乗ったこともなければ、使ったこともない。
 何をどう書けばいいの? …と、こちらが聞きたくなってしまうのをグッとこらえて、 「ええ、まぁ…」 と口を濁す。

 「ギャラクシーを買いたい気持ちはもちろんあるのですが、いろいろ解決しなければならない問題があって、もう少し時間をください」

 とりあえず、その日そういって立ち去った。

 資金の問題、駐車場の問題。
 いざとなると、やはりハードルは高い。

 ま、金はなんとかなる。
 それまでアパート暮らしを続けていたが、その頃からアパートを引き払い、実家に潜り込んで、使い手のいなかった2階を改造して暮らすようになっていたから、アパートの家賃が浮くようになったのだ。

 それまでは、月10万の家賃を右から左へと払っていたわけだから、それを思えば、月々10万までのローンなら支払う自信はある。

 問題は駐車場だった。
 これがない。
 5m×2mの枠を超える駐車場が近くにない。

 やっぱり無理かな…。
 そのときは、それほど熱心に駐車場を探す気にはならなかった。

 車両価格470万なり…という買い物は、やはり、いざとなるとけっこう冒険だ。
 1日にうちに、 「買おう!」 という気持ちの高揚と、 「無理だよ」 という諦めの境地が交互に訪れる。

 諦めの境地になりかけたとき、 「駐車場がない」 ということが “冒険” を避ける口実になりそうで、秘かにホッとしたりもした。

 つまり、 「仕事として必要だ!」 と、大見得を切ってみたものの、ある程度まとまった金が出ていくということは、やはり人を不安に気持ちに落とし込むものだ。

 しばらく様子見……。
 別に自分がオーナーにならなくたって、キャンピングカーの記事は書ける。
 そういう気分になることもあったし、事実その通りだった。


 ○月○日

 それからしばらく経った。
 2月の晴海のキャンピングカーショーで、また田代さんに会った。
 (当時ビックサイトでも幕張でもキャンピングカーショーはなかった)

 展示してあるギャラクシーの中で、田代さんと雑談した。

 「買う気になりました?」
 …なんていう話は全然出ない。
 売る気があんのかなぁ…とこっちが心配になってしまう。

 雑談が終わって、田代さんと別れ、遠くからギャラクシーを振り返った。

 そのとき、ふと、 「あ、キャンピングカーって美しい乗り物だな」 とはじめて思った。
 それまでは、どうしても生活の匂いを引きずる所帯じみたクルマという印象を吹っ切れなかった。

 外形デザインも、この時代は 「機能優先」 が露骨に伝わる無骨なものが多く、シルエットそのものをうっとり眺めるようなものは、まだ誕生していなかった。

 しかし、その日はキャンピングカーが違って感じられた。
 特に、初春の夕暮れの光を浴びてたたずんでいたギャラクシーはとてもカッコよく見えた。
 壁面の圧倒的ボリュームが、なんだかやたら新鮮に見えるのだ。
 乗用車とも違い、ただのオフローダーとも違う不思議な造形美がそこに生まれているように感じた。
 すべて格好から入る私には、もうそれだけで十分だった。

ギャラクシーⅢ003

 やっぱりギャラクシーを買うベェ! 

 その日から、秘かに本腰を入れて購入を検討し始めた。

 まず、サイズの調査。
 全幅が2mを超えると (ギャラクシーは2m10だ) 、これは一般道を運転したときどんな感じなのか。
 全長が5mを超えると (ギャラクシーは5m60だ) 、右左折のときに、どれだけリヤのオーバーハングが問題になるのか。
 
 そういうチェックポイントを、紙に書き出してみた。

 内装においても、しかり。
 ギャラクシーにはトイレ・シャワーが付いているが、それがどれだけ便利なものか (あるいはどれだけ不用のものか) 、使うときはどんなふうに使うのか、その研究も必須項目。

 バックアイモニターだって、昼、夜間、それも照明の多いところ、少ないところで、見え方が違ってくる。
 明かりがまったく見えない田舎の山道でのバックは、はたしてどうなんだ?
 そんなことに思いめぐらしてみると、チェック項目は、どんどん増えていく。


 ○月○日

 3月。ギャラクシーの情報をもっと集めたくて国立のグローバルに遊びに行った。
 偶然ギャラクシーの1号車のオーナーという人が来ていた。
 車検に出していたギャラクシーを引き取りに来たのだという。

 田代さんの説明によると、その人は、レコードジャケットの写真を専門に撮るカメラマンだという。

 年齢不詳。
 家族構成不詳。
 長髪のストレートヘアに、アゴヒゲ・クチヒゲ。
 どこか新興宗教の教祖っぽい雰囲気を漂わせた人だと思いながら、その人の話を聞いた。

 ギャラクシーの扱いでは、どこを気をつければいいか。

 彼曰く。
 やはり、リヤのオーバーハングが “災いの元” になるという。
 なにしろハンドルを切っていくと、はじめは車輪どおりにリヤも動いていくのだが、途中から突然キュっとケツを振るらしい。
 そのため、右左折のとき、隣の車線から飛び出そうとするクルマにケツを当ててしまうというのである。

 やっぱりこれだけの車体になると、そうとう気合いを入れて挑まないと移動はシンドイとか。
 またバックのときは、いちいち降りて後方を確認しなければならないという。

 バックアイモニターの話も出たが、その人は付けない方がいいという主義。
 なぜなら、付けると、いちいち降りて後方確認をするなどという作業が面倒くさくなり、かえって事故のもとになるという。

 たいへんなのは洗車とワックスがけ。
 やはり一日仕事になるそうだ。
 ワックスなど一回で一缶なくなる。洗車は風呂掃除用のモップを使うとか。

 悩みのタネはやはり駐車場問題で、あれだけの大きさを置かせてもらえる駐車場はなかなかないという。
 幸い、その人の場合は、100台置ける広大な駐車場を持つおおらかな地主の駐車場が探せたとか。
 料金は月4万円。

 それでも、そこを探すまで、いろいろな駐車場を転々とした。
 なにしろ現物を見ると、たいていの管理人は、 「これは駄目だ!」 と嫌な顔をする。

 そこでクルマを見せる前に 「ハイラックスです」 と嘘をついて借りてしまい、管理人が見て、眉をしかめたら、
 「ちょっと改造しちゃったから、少し後ろが変な形で…」
 などといって、ボリボリ頭を掻きながらニコニコする作戦で通してきたという。

 ギャラクシーの利点はやっぱり4駆だという。
 多少のぬかるみでもスタックしてしまうキャンピングカーが多い中で、4WDのギャラクシーはまず安心。
 乗用車が上がれないようなぬかるんだ坂でも、このクルマはじわじわと登り詰めてしまうらしい。

 もうひとつのメリットは、後輪のダブルタイヤ。
 後輪四つのうち1本がパンクしても、とりあえずタイヤショップまでは、だましだまし走っていける、とカメラマン氏はいう。
 また、架装物や積載物の荷重を分散することになるので、タイヤ1本にかかる負担が少ない。

 このときは、無邪気に 「ああ…なるほど」 と思って聞いた。

 前回の記事でも書いたが、実はこのクルマの場合、そのダブルタイヤが問題だったのだ。
 
 架装重量の増大分を受けるために、グローバル独自で組んだダブルタイヤだったが、その改造のために、逆にアクスルシャフトに過度な負荷がかかり、シャフトが折れるという危険性を内包したクルマだったのだ。

 それによる事故もやがて起こるようになるのだが、このとき、まだわれわれはそのことを知らない。

 基本的には、ベースシャシーの対荷重を無視して重量物をたくさん積載するような架装の問題に帰結するのだが、当時、まだそれによる事故も起こっておらず、国産ビルダーの 「重量」 に関する意識も低かった。

 だから、このときは、足回りを “増しリーフ” や強化ショックで補強するというような話題になって、そっちの方で盛り上がった。

 いま思うと、まだまだキャンピングカーの普及率も低かったのだ。
 ギャラクシーというクルマも、まだそれほど多く造られていなかった。
 当時は、展示車さえ十分に整えることができず、グローバルが東京で展示会を開くときは、かならずそのカメラマン氏の車両が展示会に借りだされたという。

 当日、その後の話はキャンピングカーにテレビをつけるかつけないかという議論になった。

 「テレビは邪道かもしれないですけど、子供のいる家庭ではテレビは必需品。子供たちに好きな番組を見させておけば、その時間帯だけでも親がのんびりできますし…」
 という田代さんに対し、カメラマン氏は反論。

 「それは、親父のプロデュース能力がないということを告白しちゃったようなもの。
 だって、せっかく旅行して知らない景色を楽しめるのに、なぜテレビなんですか? 
 俺なんかカメラが仕事でも、プライベートな旅行にカメラなんて持っていったことがないですよ」
 という。
 なるほど…と思えるような話が続いた。

 目当てのキャンピングカーを詳しく知るには、 「ショップに何度も顔を出して、そのクルマのオーナーから使い勝手を聞いてみろ」 というアドバイスがよくなされるが、確かに、ショップに入り浸っているお客さんの話を聞くことは、買いたいクルマのチェックポイントを見極める意味でも大事なことかもしれない、と思った。

 (続く)

campingcar | 投稿者 町田編集長 00:53 | コメント(2)| トラックバック(0)

RV購入日記 01

 はじめてのキャンピングカーを買ったのは、自動車の運転免許を取って20年目のことだった。
 1990年代の中頃のことである。
 「ギャラクシーⅢ」 というハイラックスベースのキャブコンを購入した。

ギャラクシー001

 (実はこのクルマ。かなりいわくつきのクルマで、キャンピングカーに詳しい人ならすぐピンッ! と反応するところだろうけれど、その件に関しては、後で述べる)

 キャンピングカーを買うきっかけとなったのは、仕事でキャンピングカーのガイドブックをつくったからだ。
 『キャンピングカー&RVガイド』 という本である。

キャンピングカー&RVガイド94

 当時、私は、会社の仕事として単発の単行本の企画を進めると同時に、 『キャンパーニュース』 という日本オート・キャンプ協会さんが発行するキャンプ専門紙の編集に関わっていた。

 それは、主にテントキャンプのユーザーを対象とした新聞だったが、キャンピングカーのネタも徐々に増える傾向にあった。
 90年代に入ってから爆発的なオートキャンプブームが押し寄せ、それと比例する形で、キャンピングカーの需要も右肩上がりで急増していたのである。
 キャンピングカーのガイドブックを作るには好機といえた。

 そこで、自動車メーカーのPR誌を編集していた私に、その仕事が回ってきた。
 日本に流通しているキャンピングカーを1台1台採り上げ、その特徴や価格、フロアプラン、装備類などを1ページごとにまとめるという本だった。
  
 1993年の暮れにつくり、94年の春に発行した。
 書店売りはせずに、キャンピングカーショー会場にブースを設けて売った。

 東京と名古屋のショーにブースを出しただけで、3,000冊つくった本が、2,200冊売れた。
 実売率73.3パーセント。
 濃い読者層に恵まれた場所で売ったとはいえ、予想外の売れ行きだった。

 うちの会社は、この売れ行きを見て 「市場がある」 と認識し、さっそく翌年から部数も増やし、書店コードを取って定期刊行物にすることにした。

 こうして私はキャンピングカー媒体の 「編集者」 から 「編集長」 になったのだけれど、定期刊行物として継続するとなると、それまでキャンピングカーに縁のない生活を送ってきたため、正直、かなり戸惑った。

 しかし、仕事を始めるとけっこう面白かった。
 ビルダーに取材に行って、開発者たちからいろいろキャンピングカーの話を聞くうちに、この世界がいかに特殊なマーケットであるかということが分かるようになった。

 「特殊」 というのは、マニアックな “タコツボ世界” という意味ではない。
 多くの人が興味を持つ楽しいアイテムなのに、そのことを外の世界に訴えようという意識がほとんどない世界だという気がしたのだ。

 まず、キャンピングカーの広告というものが、日常生活の中のどこを見回してもない。
 テレビで報道されることもなく、新聞にも出てこない。

 後で分かったことだが、この時代、まだキャンピングカーを造る業者さんたちには、大々的に広告を打てるような資金力がなかったのだ。

 広告展開は、すべてキャンピングカー専門誌だけで行なわれていた。
 しかし、そのような雑誌は、なんらかの形で 「キャンピングカーの存在」 を知った人々を対象にした雑誌で、使われている用語からして、はじめて読んだ読者には意味不明の専門語が並んでいるだけのように思えた。

 しかし、この世界を 「キャンピングカーを知らない人々に発信できる」 仕掛けを考案したら、爆発的にマーケットが広がりそうだ…という感触は、取材を続けているうちにつかめてきた。

 それには、まずキャンピングカーを広報するメディアが 「はじめての人が読んでも分かる」 言葉を使うこと。
 そして、そういう言葉を使って、 「はじめての人が読んでも理解できる」 記事を書くことが必要に思えた。

 幸い、自分が担当した 『キャンピングカー&RVガイド』 の記事は、各ビルダーからは好評だった。
 「文章が分かりやすい」 と言ってくれた人が多かった。
 その言葉が、自分の自信を支える力となった。

 「分かりやすい文章」 を書くためには、まず書く対象が、自分の頭の中で整理されていなければならない。
 特に、工学的な記述の場合は、書くもののメカニズムや構造や作動原理が分かっていないと書けない。

 ところが皮肉なことに、…どのジャンルにおいてもそうだが、専門知識を豊富に持っている専門家たちは、今度は、門外漢の人に分かってもらえるような文章が書けない。

 いちばん良いのは、もともと “分かりやすい文章” を書けるライターが、書く対象をしっかり勉強をして書くこと。
 それなら、なんとかできそうな気がした。

 そういう勉強を、いちばん効率よく進めるにはどうしたらいいか?

 「自分でキャンピングカーを買うしかない」 と思った。

 もちろん各ビルダーを回って取材しているうちに、いろいろ教えもらうことはできるだろう。そのうち、およその基礎知識が身につくだろうから、そつないレポートをまとめるのにも、そんなに時間はかからないだろう。

 しかし、「使う側」 からキャンピングカーを眺めたときの “眼差し” のようなものは、自分で乗って、走ってみて、装備品を使ってみないと分からない。

 自分で銭を払う。
 これが、けっこう大事なことのように思えた。

 今まで他人ごとのように、 「トップグレードは450万円で…」 などと無造作に書いていた価格表示も、自分で買うという現実感が強まったときに、今とは違った反応が生まれてくるかもしれない。

 そして、各装備類の機能や使い勝手も、自分で使ってみて、はじめて良し悪しの基準が生まれるかもしれない。
 で、キャンピングカーを1台買うことにした。

 それまでの多少の蓄えと、子供が産まれるまでカミさんが勤めていた勤務先から支給された給料のわずかな備蓄が頭金になりそうだった。

 まず、カミさんの説得からすべてが始まるわけだが、自分にとっては、これが最初の難関だった。
 でも、切り出す言葉は用意していた。

 「これは自分にとって必要なモノなんだ。今後の自分の仕事を確立するために不可欠なものなんだ」

 と、正攻法でカミさんに挑む覚悟を固めていたが、
 意外にも、
 「私や子供もキャンプに連れていってくれるんでしょ?」
 との一言で、案外あっさり事が運んだ。

 では、どんなクルマを買うか。
 まず “苦労する” クルマを買おうと思った。

 普通のワゴンと変わらないようなバンコンでは、金銭的にも、取り回しの面でも、駐車場探しでも、そんなに苦労が要らないように思えた。

 それに比べ、トラックシャシーを使ったキャブコン (当時そういう言葉はまだなかった) は苦労しそうだった。
 その手の車種は、基本的にサイズも大きく、装備類も多く、使いこなすまでには時間がかかりそうだった。
 つまり、覚えてしまえば快適だが、覚えるまでは、 “苦労する” クルマに思えた。

 しかし、その “苦労” が、私にとっては “勉強” なのである。
 いっぱい苦労しなければならない。

 ただ、アメリカンモーターホームは苦労が多すぎる気がした。
 ボディが6mを超えてしまうと、苦労どころか、家までたどり着けないように思えたのだ。

 わが家のある狭い一方通行の道に入って来るには、 「大黒寿司」 という看板を掲げた寿司屋のある小さな十字路を曲がって来なければならない。
 6m超えのボディだと、この “大黒寿司クランク” を曲がれないことだけは、容易に想像がついた。

 それでいて、運転席の前に (余分な) ボンネットを突き出したクルマを欲しいと思ったのだから、まぁ、矛盾しているといえばいえるのだが…。

 ボンネットの理由?
 カッコだけ。

 エンジンが外にあることで、前突のときに安全性が確保されるとか、運転席周りが乗用車ライクだとか、お尻が熱くないとか、いろんな理由が挙げられるけれど、最大の理由は 「カッコいい」 という、ただそれだけの理由にすぎなかった。

 欲しかったのは、ヨコハマモーターセールスが造っていた 「ロデオRV」 だった。
 なにしろ、『キャンパーニュース』 というキャンプ関連の取材を始めるようになって、いちばん最初にユーザー訪問をしたのは、このクルマだったのである。

ロデオRV001

 ピックアップトラックの荷台が “部屋” になっているという驚き。
 アーリーアメリカンスタイルの木目家具に彩られた、けっこう洒落たインテリア。

 「シャワー室があり、トイレまである!」

 キャンピングカーショーにはじめて訪れた人のように、そんな単純なことに素直に感心してしまったのである。

 その時から、キャンピングカーとは 「ボンネットトラックに架装を施すものだ」 という強烈な印象が心に刷り込まれることになった。

 が、このとき、ロデオはすでに買えないクルマになっていた。

 ベース車のエンジンが当時の排ガス対策をクリアできず、首都圏では登録できなくなっていたのだ。
 また、その問題がクリアされたとしても、ボディ長が6mを超えるため、うちの前にたどり着く前の最初の難所 “大黒寿司クランク” を曲がりきれないことも分かった。

 そこでロデオは、泣く泣く選択肢から外した。
 そうなると、ボンネット型キャンピングカーとして、他に何があるか。

 太陽自動車のアビ、ボディショップアジロのワンタイR-5、グローバルのギャラクシーなどというクルマが選択肢の中に浮かんできた。

 選択は消去法で行なわれた。

 太陽自動車の 「アビ」 は、運転席がダブルキャブというところに特色があった。しかも4WDのAT。
 それがなかなか魅力だった。

太陽自動車アビ

 しかし、ダブルキャブを使ったことによって、リビング部が狭く感じられたし、内装のフィニッシュにまだ熟成度が足りないと思えた。

 ハイラックスベースでは、アジロさんのワンタイR-5もあった。
 これもいいな…と思った。
 トイレ・シャワー室を省いて、その分ベッドスペースを取り、居住空間のゆとりを実現した “通” のクルマだ。

ワンタイR-5001

 全幅が1800。長さが5mちょうど。取り回しにはまったく問題がなく、 “大黒寿司クランク” も難なくクリアしそうに思えた。

 しかし、基本的にトイレスペースがないということが、カミさんにとっては致命的であった。

 こうして消去法で、ギャラクシーが残った。

 結果的に、このギャラクシーを買うことになるのだが、冒頭でちょこっと示唆したとおり、このクルマは足回りに構造的な欠陥を抱え込んでおり、トラブルを続発させたことでむしろ名が知られるクルマになった。

 どういうことか。

 かいつまんで説明すると、同車の後車軸が堅牢性を欠いているため、架装重量に耐えきれず、車軸が折れて、タイヤが脱落するという危険性を抱えたクルマだったのだ。

 ギャラクシーは、トヨタのハイラックスをベースにしたキャンピングカーだが、架装メーカーであるグローバルの改造によって、後輪をダブルタイヤに変更されていた。

 この “ダブルタイヤ” が問題だった。

 自動車メーカーが強度計算をして出荷したダブルタイヤならまったく問題ないのだが、グローバルは、ハイラックスのオリジナルの後輪にスペーサーをかませて、その外側に同径のタイヤを後付けしただけのものだったのである。

 結果的に、これが 「トレッドが長くなった」 ことと同じことになり、車軸にかかる負担が増大し、車軸内のアクスルシャフト (ドライブシャフトを包んで保護するもの) が折れる危険性をはらんだことになる。

 リヤのシングルタイヤにかかる架装重量の負担を、ダブルにして分散させるという方法そのものは正しいとはいえ、車軸にかかる強度不足を計算に入れなかったため、それが逆効果を招いたといえなくもない。

 事実、シャフトが折れて車輪が脱落する事故が3件起こり、国交省は1999年と2007年に、グローバル社にリコール勧告を出している。

 その後、同社がこのリコールに従わず、経営状態の悪化を理由に廃業してしまったため、後味の悪い結果を残した。キャンピングカー業界のイメージを損ねた事件でもあった。

 しかし、その当時、私はそんなことをまったく予想もしなかった。
 キャンピングカーの世界に首を突っ込んだばかりのことで、ベース車の許容荷重と架装重量のバランスの関係などは、 「言葉だけの問題」 で、実感として意識できなかったと告白せざるを得ない。

 私の場合は、相当な重量の装備類を積んだまま10年間、7~8万km乗り続けたが、幸いなことにノントラブルのまま乗り終えることができた。

 ただ、後付けダブルタイヤによって、前輪と後輪のトレッドが異なってしまっため、道のワダチを拾うと車体が不安定に揺れた。
 でも、 「キャンピングカーってそんなもんだろう」 と割りきっていたので、そのことがそれほど苦痛でもなく、けっこう満足していた。

ギャラクシーリヤビュー001

 走行安全性に対する懸念材料を抱えたクルマだったが、それ以外の機能はよく追求されており、私にとっては数々の楽しい思い出を残してくれた印象的なクルマである。
 
(続く)

campingcar | 投稿者 町田編集長 12:49 | コメント(0)| トラックバック(0)

定年後の人生

 日本オート・キャンプ協会 (JAC) が発行している広報紙 『オートキャンプ』 には、毎回RVランドの阿部和麿さんが執筆される連載エッセイ  「キャンピングカー・クリティーク」 が掲載されている。

オートキャンプ2_15号

 今月のテーマもかなり面白いものだったので、JACさんの許可をいただき、このブログでも、その一部を紹介してみたい。

  定年後の自由時間は現役生活より長い

 今回のエッセイは、 「日本人の平均寿命は、男性で79・29歳。女性で86・05歳」 というレポートから始まる。
 ついでにいうと、女性の86歳というのは世界1位。男性の79歳は世界4位…なんだそうだ。

 さらに、65歳まで無事に生きた人の場合は、その余命が平均寿命よりもさらに長くなり、男性84歳、女性89歳までは軽く生きられるという。

 これがどれほど長い時間になるのか?

 阿部さんは、そのエッセイの中で、経済評論家の大前研一さんの説を披露する。

 「大前さんが試算したところによると、定年退職後に与えられる自由時間は8万7,600時間だという。
 もちろん睡眠時間や食事時間などは、この自由時間には入らない。個人が純粋に好きに使える時間だけを取り出したものだ。
 実はこの8万時間。普通のサラリーマンの場合は、現役時代の会社で働いた時間より長いのだ」

 つまり、会社で1日8時間労働したとして、その労働総時間数は、8時間×250日×38年間 = 7万6,000時間。
 定年後の8万7,600時間というのは、それよりも、約1万時間も長いという計算になる。

 この膨大な時間を、意義のあるものとして迎えるには、 「趣味を20個ほど持たなければならない」 と大前さんは主張しているらしいのだ。

 いったい、どんな趣味を持てばいいのか?

 多くの人が挙げる趣味には、 「ゴルフ」 「釣り」 「山登り」 「四国八十八箇所めぐりのお遍路」 「そば打ち」 などがある。

 しかし、それだけでは、とても8万時間を消化しきれないと、大前さんは踏んでいるらしい。
 だから彼自身は、 「クラリネット演奏」 「船遊びや釣り」 「スキューバダイビング」 「オフロードバイク」 「水上バイク」 「スキー」 「スノーモービル」 など、老後に備えて、少し若い世代の遊ぶ趣味も取り込んでいるのだそうだ。

 大前氏は、趣味を持つときの配分として、次のような提案をしたという。

 ・ 趣味のうち3分の1は、一人でも室内でできること。
 ・ 次の3分の1は、一人でも屋外でできること。
 ・ 残りの3分の1は、夫婦 (仲間) とできること。

 そのところを読んで、阿部さんは、 「これはまさにキャンピングカーライフだ!」 とひらめいたという。

 阿部さんは書く。

 「キャンピングカーは、旅行やキャンプのツールとして屋外で使うものだが、同時に 『室内』 を背負っている。
 しかも、そのパートナーとして、奥さんまたは仲間を受け入れるキャパシティを持っている。
 まさに、大前さんのいう 『室内、屋外、パートナー』 というファクターをすべて1台の中に盛り込んだクルマが、キャンピングカーだ」

 つまりキャンピングカーは、大前さんのいう、
 ① 3分の1は屋外
 ② 3分の1は室内
 ③ 3分の1は奥様や仲間と一緒
 …という “趣味の3配分” を取りこぼしなく押さえた理想のツールであったのだ。

 阿部さんのエッセイの結びの言葉は、次のようなものだった。

 「キャンピングカーは、あらゆる趣味へと通路を開く 『魔法の扉』 だ。
 『釣り』 『山登り』 『スキー』 などの前線基地となり、同時に 『温泉めぐり』 『地方のグルメ堪能』 という楽しみを簡単に実現させる。
 もちろん、キャンピングカーという存在そのものを趣味にして、その改造やメンテを楽しむ人たちも後を絶たない。
 キャンピングカーが1台あれば、定年後の8万時間を虚しく費やしてしまうということはまずあり得ない」

阿部和麿氏

 さすが、ユーザーと接してきた経験も豊富で、業界を長く見てきた阿部和麿さん。
 キャンピングカーの秘める可能性を、初心者にも分かりやすく解説していると思った。



campingcar | 投稿者 町田編集長 00:52 | コメント(2)| トラックバック(0)

日刊自でも紹介

 2月の幕張キャンピング&RVショーで “デビュー” を果たした 『日本のキャンピングカーの歴史』 が、幸いなことに、あちらこちらの媒体から紹介されるようになった。

 “世界最大級” を謳う自動車専門の日刊紙である 『日刊自動車新聞』 の 2月27日 (土) 号では、7面の中段に 「新刊紹介」 という形で、3段抜きの書評が掲載された。

日刊自のキャンカー歴史新刊紹介001

 記事では、まず 「RV」 という言葉の意味に触れ、欧米においては広い意味でキャンピングカーを意味する 「RV」 という言葉が、日本ではミニバン、ステーションワゴン、SUVなどを指す言葉になったことを指摘。
 
 そして、その商業的なRVブームと連動しながらも、それとは違う路線で、自然や家族との関わりを深めるキャンピングカーが、日本独自の市場形成をなしとげたことに記者は注目する。

 このあたりの分析は、 RVブームを構造的に解明することのできる自動車専門紙としての力量が感じられて、感心せざるを得ない。

 紹介記事では、本書のことを次のように位置づけている。

 「日本のキャンピングカーの黎明期から成長期にかけてオートキャンプやキャンピングカービジネスに情熱を持って取り組んだ人たちへの取材も含めて、『日本のキャンピングカーの歴史』を読み物風にまとめたもので興味深い。
 日本のモータリゼーションとクルマ社会の歴史と連動した貴重な資料でもある」

 書店売りもされない小冊子にもかかわらず、わざわざ採り上げて、このような評言をいただけたことは、著者としては望外の喜びであった。
 記者の方には、この場を借りてお礼を言いたい。


 また、社団法人日本オート・キャンプ協会 (JAC) が発行する月刊紙 『オートキャンプ』 においても、その8面の 「新製品ナビ」 というコーナーで採り上げられた。

オートキャンプ2_15号

 ここでは、 「歴史を作った人と車」 というタイトルに続き、 「日本のキャンピングカーの歴史をまとめたこれまでになかった1冊」 という評言で、本書のポイントが指摘されている。
 読者プレゼントもあるので、興味をもたれた方はJACさんに問い合わせを。

 書店で売られることのないこのような地味な本が、有力媒体の書評欄で採り上げられるなど夢にも思わなかった。
 うれしい限りである。

 なお、本書は日本RV協会 (JRVA) が主催するキャンピングカーショーの会場で売られている。
 今週末は、インテックス大阪で行なわれる 「キャンピングカーショー大阪」 (3月6日~7日) の協会ブースで発売されるので、本書に関心を持たれた関西地区にお住まいの方は、ぜひ足を運んでいただきたい。

 関連記事 「キャンカーの歴史」



campingcar | 投稿者 町田編集長 13:45 | コメント(0)| トラックバック(0)

ソーラーフィルム

ソーラーパネル001

 キャンピングカーのソーラーパネルの装着率が年々上がっている。
 日本RV協会が発行している 『キャンピングカー白書』 のデータを追ってみると、微増ではあるが、年を追うごとにソーラーパネルの装着度が上がっているのが分かる。

 ちなみに、下記は、この10年間におけるバンテック社の新車納車時のソーラー装着率だが、これを見ても (年による変動はあるものの) 、トータル的に装着率が高まっていることが見てとれる。

 1999年  0 %
 2000年  0 %
 2001年 3.3 %
 2002年 4.3 %
 2003年 6.3 %
 2004年 12.8 %
 2005年 8.5 %
 2006年 20.0 %
 2007年 15.3 %
 2008年 15.4 %
 2009年 35.4 %

 もちろん、ソーラーシステムは、どのキャンピングカーにおいてもオプション設定になっているものがほとんど。
 その装着率が高まっているということは、それだけユーザーの関心度が高まっていることを意味している。

 理論的には、太陽が出ている限り、無尽蔵にそのエネルギーを取り込むことできるソーラーシステムは、環境への配慮が社会的要請になってきた時代のエコロジカルな電力供給システムとして、いまきわめて象徴的な役割を負っているといえよう。

 ただ、ソーラーの発電能力は決して高くない。キャンピングカーのルーフに設置されることの多い定格出力70Wクラス (1200×500mm) の小型パネルの場合は、1日あたりの発電量が晴天の日でもせいぜい15~20AH (アンペアアワー) ほどだから、小型照明器だと10時間程度。テレビだと5時間程度の電気量でしかない。

 したがって、ソーラー単体の力で、キャンピングカーが搭載している電装製品をすべて駆動することなどできないし、バッテリーが弱ったときの緊急充電を行うこともできない。

 それでも、サブバッテリーの電力消費を補うには十分に有効であるし、キャンピングカーを長い間乗らずに放置するような場合、その間のバッテリーチャージシステムと考えれば、これは実に便利な装置だ。

 週末か連休のときだけしか稼動させないキャンピングカーでも、その間の充電をソーラーに任せておけば、出発するときにはほぼ満充電の状態でスタートすることができる。

 そのようなユーザー意識の高まりを反映して、いまキャンピングカーのソーラーシステムはどんどん進化している。
 ビルダー側から続々と新しい提案がなされているといっていい。

 そのひとつが、バンテックが実用化を進めている 「ソーラーフィルム」 である。

 2月中旬に開かれた幕張キャンピング&RVショーの会場で、バンテックはきわめて、ユニークなルーフを持ったジル520を出展した。 

ジル520ソーラーフィルム001

 バンク部からルーフ中央にかけて、屋根の半面を覆う薄い銀色の幕。
 これが、実はバンテックが試みた新しいソーラーフィルムなのだ。
 これは、 「富士電機システムズ」 という会社が開発したもので、それをキャンピングカーに採用したのはバンテックがはじめて。

富士電機システムズソーラーフィルム

 フィルムの厚さは1~2mm以内。
 このフィルムが、今までの四角い箱形のソーラーパネルに代わって、太陽光をエネルギー源として電気を蓄電するというわけだ。

 この手の湾曲するソーラーシートを、過去バンテックで発売した時期があった。
 それは、ヨット用のものをキャンピングカーに流用しようとしたものだったが、出力も20Wぐらいまでのものしかなく、製品的な安定性にも欠けていた。

 ところが、今回のものはルーフに貼った現行の状態で180W。
 出力としては申し分ない。

ジル520ソーラーフィルム002

 このソーラーフィルムのメリットは、それを貼る個体の形状に合わせて、ある程度自由な形を取れるところにある。
 複雑な曲面が連なる2次曲面でも、その形に這わせてスマートな装着が可能となるわけだ。
 さすがに、複雑な3次曲面に対応させることは難しい場合もあるが、ジルのバンク部のラインぐらいなら、十分に対応できるという。

 従来のパネル型のものに比べると、重量が軽いし、風の抵抗も受けない。

 「キャンピングカーのルーフは、陽が当たっても、今まではそれが単に熱に変わるだけでした。
 しかし、そのルーフ部にこのフィルムを貼れば、熱に変わってしまうエネルギーを電気に変えることができるわけですから、それ自体がエコの精神につながるし、実用面においても、ルーフの断熱効果が高まるはず」
 …と、バンテックのスタッフは語る。

ジル520ソーラーフィルム003

 さらに、このようなソーラー技術が進んでいけば、ボディ全体をソーラーフィルム化したキャンピングカーを開発することも、理論的には難しいことでもないという。

 「ただ…」 と、同スタッフがいうには、
 「一般の四角いパネルと比べると、面積効率では劣る」
 という。
 同じ量の発電をするのに、だいたい2倍の面積が必要になってくるというのだ。
 また価格も、現在の試算ではちょっと高めに設定せざるを得ないとか。

 逆に、面積効率は落ちる代わりに、夏場の熱ダレが少ないとも。
 だから夏場の炎天下に限っていえば、同じ発電量のパネルであれば、10パーセントぐらいはフィルムの方の発電効率が高くなるという。

 市販化されるまでには、まだ少し時間がかかるようだが、専用のコントローラーを開発して、夏場までには正式にリリースしたいという意向のようだ。


 このソーラーフィルムと同時にバンテックがショー会場で展示していたのが、消音型の発電機収納ボックス。
 名前は 「9アイボックス (9i box) 」 。

9アイボックス

 同社はすでに、カムロードに対応したホンダのEU16 i 専用収納ボックスを開発して、市販しているが、これはその消音化をさらに徹底させたもの。
 同社のスタッフが語るところによると、
 「ベバストのFFヒーター並みのレベルにまでは落とせた」
 という。

 発電機は、確かにエネルギー源としては効率のいい機器であることは誰もが認めるところだが、問題はその 「音」 。
 基本的にエンジンを回して電気を発生させる装置なので、どんなに静粛性の高い容器の中に収めようとも、作動音をゼロにすることはできない。

 しかし、この 「9アイボックス」 では、様々な防音材、吸音材、防振材などを組み合わせて、可能な限り作動音ゼロに近づく努力を行ったという。

 ただ、このボックスに収まるのが、名前から分かるとおり、ホンダのEU9 i まで。
 16 i には対応していない。
 だから、従来型のルーフエアコンを回すことは無理。
 しかし、小振りな電子レンジ (温め能力450W程度までのもの) 、炊飯器、湯沸かしポットには十分に対応する。

 キャンピングカーは、いま新しいエネルギー供給システムの実感場のような感じになっている。

 「家」 と 「クルマ」 という、人間の生活に密着した要素が二つも重なっているキャンピングカー。
 それだけに、エネルギーシステムの効率化にチャレンジできるフィールドが広い。
 だから刺激的な提案が続々と生まれてきている。

 バンテックは、そんな前衛的な精神に満ちあふれたビルダーのひとつだ。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:34 | コメント(2)| トラックバック(0)

名古屋RVショー

名古屋キャンピングカーフェア001

 名古屋は活気があるなぁ!
 ポートメッセ名古屋で開かれた 「名古屋キャンピングカーフェア2010」 を取材していて、最初に感じたのは、まずそのこと。

 会場のゲートが開かれた瞬間、まるで水門の栓を開けて水流がほとばしるように、 “人の波” が押し寄せてくる。
 …そんな感じ。

 「日本全体が不景気といわれつつも、その中でいちばん最初に立ち直っていくのは、名古屋ではないか?」

 入口近くでキャンプ場のパンフレットを配っていたあるキャンプ場オーナーは、そうつぶいた。
 パンフレットをもらう人の、 “手の引き” が強いのだそうだ。

 ▼ 入口にずらりと並んだキャンプ場コーナー
 人の表情が明るい。
名古屋キャンピングカーフェア入り口

 出展者の中には、思い切ったブースづくりで、来場者をびっくりさせたメーカーもあった。
 今までは、展示車の “即売会” という印象も強かったキャンピングカーショーだが、幕張ショーあたりからは、 “華のある” ブースづくりで、 「来場者に楽しんでもらおう」 という企画を組むショップが増えた。

 幕張では、ファーストカスタムがその先陣を切ったが、この名古屋ショーではトイファクトリーがそれを受け継いだ。

 ▼ トイファクトリーのブースでは、地場の木材を組んで、手の込んだブースづくりが行なわれた。
名古屋キャンピングカーフェアトイブース001

▼ フローリングを組んで、気持ちの良い商談コーナーも設けられている。
名古屋キャンピングカーフェアトイブース002

 ▼ 階段を組み込んだ足場も作られ、そこに上がると、トイファクトリーがグッドデザイン賞を獲得したソーラーシステムを上から見下ろすこともできる。
名古屋キャンピングカーフェアトイブース003 名古屋キャンピングカーフェアトイブース004

 ▼ 同社が満を持して発表した画期的な新型バスコン 「セブンシーズ」 。
名古屋キャンピングカーフェアセブンシーズ外装

 ▼ ヨーロッパデザインの香りを湛えたセブンシーズのメインサロン。
名古屋キャンピングカーフェアセブンシーズ内装

 ▼ 子ども向けのイベントも盛りだくさん。クラフトコーナーを主催するのはアウトドアの達人 “クマヒゲ” 尾藤さん。
名古屋キャンピングカーフェアクマヒゲ尾藤さん

 ▼ それにしてもペット連れが多いイベントだった。
名古屋キャンピングカーフェアペット連れ001

 ▼ RVビックフットブースでは、牧瀬社長がペットオーナーとRV談義。
名古屋キャンピングカーフェアビックフットブース

 ▼ 商談スペースを広くとったナッツRVのブースは、いつ行っても来場者でにぎわっていた。
 アルミパネルを積極的に投入した同社のキャブコン開発の思想が多くの人に支持されているようだ。
名古屋キャンピングカーフェアナッツRVブース

 ▼ 親しみやすさと分かりやすさを打ち出したレクビィブース。
 バンコンに絶対的な自信を持つメーカーだけに、どのバンコンも、一目見ただけで使い勝手がすんなりと頭に入ってくるコンセプトのものをずらりと揃えた。
名古屋キャンピングカーフェアレクビィブース

 ▼ こちらはキャブコンメーカーの老舗としての知名度を誇るエートゥゼット (AtoZ) ブース。
 小型キャブコンではトップを走るメーカーらしく、幕張ショーあたりから、ディスプレイにもお洒落なセンスに彩られた華やかさを打ち出すようになった。
名古屋キャンピングカーフェアAtoZブース

 ▼ トランキルグローブでは、相変わらず松原社長が “パーティ会場” を思わせるブース展開で、コアなファンにサービス。
名古屋キャンピングカーフェアトランキルグローブブース

 ▼ 広報誌 『くるま旅』 やマナーリーフレットを配布するJRVAブース。
 ここでは小冊子 『日本のキャンピングカーの歴史』 も販売。 
名古屋キャンピングカーフェアJRVAブース

日本のキャンピングカーの歴史

 搬入日から数えて3日間ショーを回ってみたけれど、どのブースも、自分たちの商品のキャラクターに合わせ、オリジナリティを打ち出す方向が見えてきたように思う。
 今後RVショーは、新しい展開を見せていくのかもしれない。


campingcar | 投稿者 町田編集長 21:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

家族を育てるRV

キャンピングカーライフ
は女性が創る時代  vol.2
前回の続き)

くるま旅6号表紙

 【 対談 ・ 家族を育てるRV 】

 国産キャンピングカービルダー・社長 山口寿子さん
 輸入キャンピングカー販売店・社長  安達二葉子さん

《 女は常に家族の “調和” を大事にする 》

【山口】 旦那さんと奥さんで、キャンピングカーの判断基準が異なるのは、どうも、男性と女性の “文化” の違いが反映しているように思えるのです。
 やはり、小さい頃から 「機械」 に興味を感じる男の子と、 「おままごと」 を楽しめる女の子のそれぞれの “文化” がそのまま継続されているように感じます。

 そのため、男性の場合は圧倒的に機能的なものに関する関心が高く、 「サブバッテリーの増設は必要か」 とか、 「インバーターでどのくらい持つか」 とか、「ソーラーを付けたらどうなる?」 といった方向に話題が集中するんです。

 だけど、女性は、そういうことは分からない部分なんです (笑) 。
 女性は、それよりも、そういう 「電気」 が確保されたときに、部屋の中にどういう照明が実現されるのか? そのことにより、家族と過ごすダイネットがどういう雰囲気になるのか? そちらの方が大切なテーマなんですね。

【司会】 そのような違いは、どうして生じるんでしょうね?

【山口】 やっぱり、男性は昔から狩猟して、外でエモノをとってきて、妻子を養うという生活が “文化のDNA” みたいな形で残っているんじゃないでしょうか。
 だから、エモノをしとめる武器の構造とか、狩を効率よく行うシステムなどに関心が向く。

 それに対して、女性は、男がとってきたエモノをどう家族に分配するか。どう調理して、みんなでおいしく食べるか。男の労働をどうねぎらってやるか…というような、常に 「家族全体」 のことを考えながら生きてきたと思うんです。
 だから、女にとっては、 「家族の関係」 こそが大事なんですね。

 キャンピングカーも同じであって、そういう男性と女性の組み合わせのバランスがうまく取れたときに、 「よし買おう」 という家族の決断が生まれると思います。

【安達】 ヨーロッパの場合は、なおのことキャンピングカーを使う男女の分業体制がしっかり確立されています。
 クルマを安全に運転するのは男の役目。

安達二葉子さん001
▲ 安達二葉子さん

 それを補佐して、男が眠くなったり、疲れたりしないように、話題にも気を配り、地図をチェックするなどしてケアするのは奥様の役目。
 だから、ヨーロッパのキャンピングカーの場合は、助手席を 「マダムシート」 などといったりすることもあります。

【山口】 また、ファミリーのある家族には、 「キャンピングカーがあれば子供の心が豊かになる」 ということをぜひ理解してもらいたいと思うんです。
 たとえば、食事を介して、子供たちに健康な食生活を伝えることを 「食育」 などといったりすることがあるでしょ。

山口寿子さん001
▲ 山口寿子さん

 また、住宅などにおいても、住み方を工夫することで、子供に暮らし方を学ばせることを 「住育」 などともいいますよね。 
 それと同じように、 「車育」 という概念があってもいいように思うんです。
 つまり、家族のコミュニケーションが密に取れるようなクルマがあれば、子供たちだって豊かな家族関係を学んでいけるようになると思うんです。

キャンピングカーとファミリー003

《 これからは 「車育」 の時代 》

【安達】 「車育」 というのは、本当にいい言葉ですね。確かに、キャンピングカーには、子供たちとコミュニケーションをとる材料がたくさん揃っていますね。

【山口】 今の子供たちを見ていると、学校から帰ってきたらすぐ塾へ行って、10時頃家に戻ってきて、チラッとゲームして…。
 それでは、いつ家族と向かい合って、いつ団らんするの? と心配になってきます。

 昔の家では、4畳半と6畳ぐらいの間取りに、親子5人くらいで生活したりしてきたわけですから、否が応でも家族同士で話し合う時間と空間を共有できたわけですね。
 だけど、今の子供たちは贅沢に個室を持っていて、それぞれ自分のテレビを持っていて、しかも家族が一緒に食事をとることもない。
 それでは、親は子供が何を考えているのか知る機会もなくなるし、子供も、親が何を考えているか分からない。

キャンピングカーとファミリー002

【司会】 それを 「キャンピングカー旅行」 で解消しようと…?

【山口】 そうです。ファミリーでキャンピングカー旅行をすれば、どうしても狭いダイネットを中心に、家族がみんな集うしかないわけですから、自然に会話も復活すると思うのね。

 そのときに、ようやく子供は、自分の学校の交友関係の楽しさや悩みを話題にするかもしれない。
 親も、キャンピングカー旅行を通じて、 「ゴミを捨てる場所はどこか」 とか、 「公共駐車場で休むときのマナーはどうだ」 とかいうことを、実践を通じて子供に伝えることができるわけですね。それが 「車育」 だと思うんです。

キャンピングカーとファミリー001

【安達】 キャンピングカー自体が、 「旅」 そのものも豊かにするということも子供たちに伝えたいですね。
 塩野七生さんのエッセイに書かれていたことなんですけれど、 「海外旅行に行くと、日本人は景色を見る前に写真を撮る」 って。
 で、景色は見ないで、日本に帰ってきてから写真を焼き増ししたときに景色を確認すると… (笑) 。

 しかし、そういう旅は豊かさにつながらないように思うんです。
 日本人は、よく 「写真に残す」 とか、 「お土産を買う」 というように 「形に残るもの」 に気をつかいがちですけど、時には 「形に残さない」 旅も必要なのではないでしょうか。
 記録に残すよりも、 「今ここで味わっておかないと二度と見られない景色だ」 と思いながら風景を楽しんだ方が、後になって思い出すときに鮮明な記憶として残っていることが多いんです。

 結局、どんなに宝石とかお金を手に入れても、死ぬ間際にはすべて手放さなければならない。そこには 「思い出」 しか持っていけないわけでしょ。
 そういうことが理解できれば、キャンピングカーの中で家族と一緒に過ごす時間がどれほど貴重かということを、みんなで共有できると思うんです。
 車内で家族と楽しい交流ができれば、過ぎていく時間がダイヤモンドの輝き以上のものになりますよ。

ヨーロッパのキャンピングカー002

【山口】 そういう意味で、キャンピングカーというのは、日頃それぞれ別の生活圏で暮らす家族が、お正月などに集まって家族の絆を確かめあう 「ふるさと」 ですね。
 そういう場があってこそ、親子が共通した 「趣味」 を持てるようになると思うんです。

 「趣味」 というものは、親が本当に楽しんでいないと、子供に伝わらないんです。
 たとえば、お父さんもお母さんも音楽にあまり興味がないのにもかかわらず、子供を 「ピアノ教室」 に通わせたって、子供だって面白いはずがないんです。
 親が本当に 「楽しい」 と思わないと、子供は何も学ばない。
 絵画教室だって、親がスケッチひとつ楽しむこともしないで、子供だけ通わせたって、子供は何のためにそんなことをやるのか分からない。

 だけど、キャンピングカー旅行って、両親のどちらかが、あるいはその両方が、 「本当に楽しい!」 と思って始めたわけでしょ。これは絶対子供の心を動かしますよ。

【安達】 それが 「車育」 ですね。私は 「車育」 の中には、 「食育」 も 「住育」 もすべて含まれるように思うんです。
 だって、旅行に行けば、その産地の美味しいものをダイレクトに食べる機会が増えるわけですよね。
 いま食べているものの産地を知り、素材を知る。それがキャンピングカーの中ですべてできるんです。そして、ものを食べるときのありがたさとか、食べるマナーなどを学ぶわけですよね。

安達二葉子さん002

 また、キャンピングカーは動く 「住宅」 ですから、その中には 「住育」 も含まれます。
 そういうものが、子供たちの脳の中に蓄積していけば、キャンピングカーで育った子は、ものすごく豊かな感性を持つ人間に成長する可能性があるわけですよね。

【山口】 そうそう。だから、子供が思春期のむずかしい年頃になっても、キャンピングカーを通じて親子のコミュニケーションをとっている人々は、気持ちが通じ合うんですよ。

山口寿子さん002

 反抗期になって、子供が急に口を利かなくなると、たいていの親はあわてて、 「どうした? 何を考えているんだ? 話せ!」 ときつく迫るけれど、子供の気持ちを分かっている親は、無理にそんなことをしないんです。
 ただ、ギュッと抱きしめるような気持ちで、 「いいのよ、しゃべらなくても。私はあなたを信じているから」 というメッセージを、言葉にしなくても伝えることができると思うんです。
 それができるかどうかは、子供の小さい頃から親が一緒になって、キャンピングカー旅行を楽しんだかどうかという、その一点にかかっているんではないでしょうか。

《 親がキャンピングカーを好きなら子も習う 》

【安達】 日本ではすぐ 「中学生ぐらいになると子供が付いてこなくなる」 と言いますけれど、ヨーロッパでも、子供はある程度の年になると、付いてこなくなるんですね。

 ただ、向こうでは、中学生や高校生ぐらいになると、自分たちでキャンプを始めるんです。
 もちろん、若いからお金もないのでテントキャンプが多いんですけれど、大学生ぐらいになると、もうお爺さんが使っていた古いトレーラーなどを引いて、自分でキャンピングカー旅行を始めるんです。

【山口】 最近日本のキャンプ場でも、大学生ぐらい子供たちがコテージやバンガローなどを利用して泊まっているのを見るようになりましたね。まだキャンプ道具を揃えられないからそうしているのでしょうけれど、たぶん、その子たちは親がキャンプに連れていっていたのではないかしら?

家族キャンプの風景003

【安達】 日本でも、ようやくそういう流れが生まれてきたのでしょうね。
 だから 「キャンピングカーの旅に子供が付いてこなくなった」 といってがっかりするのは早いんです。
 そのお父さんとお母さんは、もうすごい役割を果たしているんですよ。すぐに芽が出なくても、種まきをしたわけですから。

 キャンピングカーの旅を楽しいと思った子供たちは、絶対に自分たちでも始めるようになると思います。

【司会】 キャンピングカーの可能性が大きく広がるような結論が出ましたね。ありがとうございました。

(終わり)

前回 「奥様から見たRV」

※ 『くるま旅』 は、日本RV協会主催のキャンピングカーショー会場で無料で配布されています。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 01:24 | コメント(13)| トラックバック(1)

奥様から見たRV

 日本RV協会 (JRVA) が発行する広報誌 『くるま旅』 6号の特集テーマは、 「女性が求めるキャンピングカーライフ」 。

くるま旅6号表紙

 雑誌では、キャンピングカーを持つ家庭の奥様方や女性ユーザーからのアンケート調査が公表されていたり、ユーザーのナマの声を収録したインタビュー記事が掲載されるなど、内容は盛りだくさん。

 なかでも、読みごたえがあるのは、キャンピングカー販売を行っている女性経営者のお二方による対談ページ。
 女性経営者だからこそ分かる女性の心の “奥の奥” 。
 キャンピングカーに対する女性の “本音と希望” が縦横に語り尽くされていて興味深い。

 今回のブログでは、RV協会さんの許可をいただいて、その対談ページを紹介してみたい。
 (※ 対談は、いちおう私が構成したものなので…)


 キャンピングカーライフは
 女性が創る時代
  vol.1

 【 対談 ・ 奥様から見たRV 】

 国産キャンピングカービルダー・社長 山口寿子さん
 輸入キャンピングカー販売店・社長  安達二葉子さん


【司会 (町田) 】 キャンピングカーを購入するとき、奥様方に購入決定権があるという話をよく聞きます。
 つまり、旦那さんが選んだキャンピングカーでも、奥様が 「NO」 といえば、そのクルマは購入対象から外れてしまうといわれています。

 一方、奥様が気に入られたクルマは、購入される率が高まるそうです。
 そこで、旦那さんのキャンピングカー選びと、奥様のキャンピングカー選びはどこが違うのか?
 それにまつわる微妙な話を、 「女性の願い」 や 「女性のホンネ」 を交えながら、キャンピングカー販売に関わる女性経営者のお二方に語っていただきたいと思います。

《 キャンピングカーは男のロマンか? 》

【司会】 まず、キャンピングカーに関心を持つのは、男が先か、女が先か、これに関してはどうですか?

山口寿子さん001
▲ 山口寿子さん

【山口】 キャンピングカーというのは、昔から 「男のロマン」 だったと思うんです。展示会やお店の方に来られる方々を見ても、まず旦那さんが興味を持っていろいろと知識を身につけてから、奥さんを同伴して来られるというケースが多いんですね。

 ただ、いつも感じるのは、やはりお二人の間に微妙なズレがあることなんです。奥様は、旦那様が気に入ったクルマに対して、必ずしも満足していない。あるいはその逆もあります。
 ひとつ言えることは、多くの奥様方から見て、 「今のキャンピングカーは女性から見ると、まだ完璧なものになっていない」 ということなんですね。
 そこで、うちでは女性の意見をなるべく採り上げた商品開発をしたいと思い、女性の方々からアンケート調査や聞き込み調査を行ったりもしています。

安達二葉子さん001
▲ 安達二葉子さん

【安達】 日本人の場合、確かに旦那様の 「男のロマン」 から始まりますよね。
 私の場合は、主人と一緒にヨーロッパを旅しているとき、主人が突然 「キャンピングカーを買おう」 と言い出したのがキャンピングカーライフの始まりでした。
 当時は、 「旅」 といえばホテルを泊まり歩くものだとばかり思っていましたから、 「キャンピングカーの旅」 といわれても、それが快適なのかどうか、そんなことすらイメージに浮かびませんでした。

 でも、実際にキャンピングカーの旅を始めると、 「自由」 と 「快適性」 と 「気楽さ」 がすべて簡単に手に入ってしまい、世界観が変わりました。そういった意味で、主人の 「ロマン」 に感謝です。

ヨーロッパのキャンピングカー002

《 奥様を “女王” にするのが秘訣 》

【司会】 奥様たちが、旦那さんの選んだキャンピングカーに、満足するか、しないかという “分かれ目” には何があるんでしょう?

【山口】 奥さんが元々キャンプが好きだったり、アウトドアに馴染みがあるようなカップルの場合は、好みが分かれることはほとんどないんです。
 特にそういう夫婦に子供がいれば、親たちはキャンプを通じて、子供に 「自然を学ばせたい」 という意識を持つようになるでしょうから、キャンプ道具もしっかり積めるような、アウトドア志向の強いキャンピングカーを求められるケースが多いようです。

 しかし、キャンプの経験のないような奥様の場合は、キャンプとかアウトドアというのは、ものすごく面倒くさく感じられるものなんですよ。
 キャンプ場などで、火を熾して、ご飯を作って…というキャンプは、家の中の家事よりも負担感が強くなるんですね。
 そうなると、キャンピングカーを買うよりも、やはりホテルに泊まる方が楽に思えるのでしょうね。

【司会】 では、奥様方にキャンピングカーの旅に関心を持ってもらうには、どうしたらいいのでしょう?

【山口】 ひとつは、まず旦那さんが、奥様にはぜったい負担をかけさせないような 「旅のビジョン」 を明確に打ち出すことでしょうね。
 奥様方というのは、家庭にいるときは、さんざん家事に手こずらされているわけですから、旅行に来てまで家事をしたくない…というのがホンネでしょう。

 だから、キャンプ場でバーナーを出して、お米を研いで、皿を洗って…というようなことまで奥様にやらせるようだと、キャンプの嫌いな奥様はまず乗ってこないでしょう。

家族キャンプの風景003

【安達】 ヨーロッパでキャンプ場に泊まっている人たちの間では、調理や洗い物は、みな旦那さんの役目なんです。
 向こうのキャンプ場で、私が洗い場で皿を洗っていたときのことなんですが、周りの旦那さんたちが私の主人に対して怒るんですよ。
 「君は、お手伝いさんを雇っているつもりなのか?」 って… (笑) 。

 でも、彼らだって、料理や片づけを率先して行うのは、別に奥さんの尻に敷かれているからではないんです。キャンプに来たときの 「レジャーのひとつ」 なんですって。普段やれないことを楽しんでいるんですね。

安達二葉子さん002

《 旦那さんが先行する日本。夫婦が肩を並べるヨーロッパ 》

【安達】 日本では、男性が先にキャンピングカーに興味を示し、奥様がそれに追従するという手順を踏みますけれど、ヨーロッパでは、夫婦が同時に興味を持つんですね。
 それは、結婚生活というものの中に、最初から 「何年ぐらい先にはキャンピングカーの購入を検討しよう」 などというプログラムが組み込まれているからなんです。
 だからキャンピングカー販売店に最初に訪れるときから、ヨーロッパでは夫婦同伴です。そして、2人でほぼ同時に決めてしまう。
 「家に帰ってから女房と相談してみる」 とか、 「話したら奥様が許してくれなかった」 などと旦那さんが語るケースは、向こうにはありません。

【司会】 奥様方は、キャンピングカーのどんな “ところ” に注目するのでしょうか?

【安達】 私は自分が買うときに、最初に注目したのはクルマの外形的なスタイルでした。
 最初はキャンピングカーのことを何も知りませんでしたから、まず形の美しいものを写真の中から選び、その後でそのクルマがわれわれ夫婦にとって妥当なものかどうか、主人に判断を委ねました。

【山口】 やっぱり女性はどうしても視覚的なものから入っていきますよね。それも、まず自分の好みに合うかどうかを一瞬のうちに決めてしまいます。外装のグラフィックから家具の質感や色合いまで、ほとんど直感的に判断します。

 ただ、女性というのは、そういう雰囲気で判断するだけでなく、 「このクルマを買っても、元が取れるだろうか? 使いこなせるだろうか?」 という現実的な視線でもクルマを見ているものなんですね。

山口寿子さん002

 特に、いろいろな事情でセカンドカーを持てないような場合は、その1台で買い物や送迎もこなさなければなりませんから、たいていの女性はサイズに敏感になります。 「私でも運転できるかしら?」 というようなことは絶対見逃しませんね。
 仮に、奥様が運転免許を持っていなくても、家の前の道路の幅とか、車庫との関係とか、そういうことを直感的に思い浮かべ、稼働率がどのくらいになるかなどを結構シビアに計算したりしています。

【安達】 私のところが扱うようなキャンピングカーは、サイズも多少大きい輸入車が主流ですから、稼働率は高くないでしょう。

 代わりにお客様がチェックされているのは 「耐久性」 ですね。
 「長く満足して使えるかどうか」
 それに関して、おもに男性はベース車の機構やメンテナンス体制に関心を持ち、女性は家具や装備類の造り込みに興味を示すというように、それぞれの見方でチェックされています。

《 男性は機能を求め、女性は調和を生きる 》

【司会】 家具や装備類の使い勝手などに関して、女性は何を基準にして自分の見方を定めているのでしょうか?

【安達】 私は、その女性が育ってきた家庭環境とか、現在住んでいる住宅の環境などが意外と反映されているように思うんです。
 だからシックなインテリアの中で育ってきた人は、クルマにもそれなりのテイストを求めるし、華やかな色柄のインテリアになじんできた人は、同じ傾向のクルマを好みます。

 若いカップルなどの場合は、現在住んでいるマンションや住宅の流行りのインテリアが、そのままクルマの内装を選ぶときにも反映しているように思います。

「家族を育てるRV」 に続く)

 ※ 『くるま旅』 は、日本RV協会主催のキャンピングカーショー会場で無料で配布されています。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 00:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

芸能人のRV

 キャンピングカーに乗っている芸能人、スポーツ選手というのは、実はけっこう多い。
 先だって亡くなられた藤田まことさんは、体調を崩されていた頃、 「必殺仕事人」 を収録した京都撮影所の現場にキャンピングカーを用意し、出番が終わると、その中に入って休んでいたらしい。

 キャンピングカーの中には酸素吸入器が積んであり、車内で休憩するときは、それを使って体力の回復を待っていたという。 (週刊朝日 3月5日号) 。

藤田まこと必殺仕事人

 実際に、芸能人やスポーツ選手のなかにはキャンピングカーユーザーがけっこういるはずなのだが、なぜかあまり話題としては出てこない。
 それを売ったお店の人も、あまり大っぴらには語りたがらない。

 人々に顔の知られている芸能人たちにとって、キャンピングカーというのは、世間の目から隠れて、自分の家族だけで、くつろぎながら旅を楽しめる貴重な 「プライベート空間」 。
 それだけに、彼らも 「キャンピングカーに乗っている」 ということを、メディアには語りたがらない。
 売った方のお店も、そういう彼らの気持ちを尊重して、あまり公表しない。

 私なんかは、 「スターの愛車」 としてどんどん宣伝すれば、キャンピングカーに対する世間の注目度ももっと上がるだろうに…などと単純に考えてしまう方だが、事務所を通じて高額なギャランティを払ったとしても、芸能人たちは、大切なプライベート空間であるキャンピングカーを、あまりメディアにはさらしたくないようだ。

 だから、どの芸能人がどんなキャンピングカーに乗っているかは、 “事件” があったとき、はじめてマスコミの取材を通じて伝わることがある。

 昔、芸能人同士の夫婦が、離婚する前に別居生活に入ったことがあったが、旦那さんの 「住まい」 というのが、庭先に止めたキャンピングカーであったことが、離婚騒動のときにニュースネタとして、テレビで公開されたことがあった。

 キャンピングカーの名前は語られなかったが、その映像をテレビで見たとき、
 「あのクルマなら家にいるより快適かもしれない…」
 と思ったりもした。

 もっともタレントさんの中には、清水国明氏のように、キャンピングカーを持っていることを堂々と公表する人もいる。
 しかし、そういう人は、 「アウトドア」 を志向する自分のライフスタイルを仕事に結びつけている人たちで、いわばキャンピングカーにこだわるのが仕事の一環。
 その場合は、キャンピングカーライフを語ることが広報活動でもあるのだ。

 ミュージシャンのタケカワユキヒデ氏も、アウトドアライフへの傾斜を強めるようになってから、家族でキャンピングカーで使って楽しんでいることを公開するようになった。

 エコライフを提案しているシンガー・ソングライターの白井貴子さんも、仕事やプライベートの移動でキャンピングカーを積極的に活用していることをよく語っている。

 こういう有名人の “カミングアウト” がもっと出てくるようになると、マスコミにおけるキャンピングカーの話題も華やかになるのになぁ…などと単純に考えてしまう私だが、芸能人にキャンピングカーを売ったことのある販売店経営者は語る。

 「有名人に買っていただくのは、自分のクルマが認められたことになるから、そりゃうれしいですけれど、やはりちょっと…いろいろ意味で気をつかいますよ」

 「気をつかう」 ことの内容までは詳しく聞かなかったが、なんとなく、その言わんとしていることは推測がついた。

 たとえば、万が一その芸能人が、キャンピングカーで事故など起こした場合、どこの会社の造った何というクルマか? ということは、キャンピングカーユーザーや業者間ではけっこう大きなニュースになる。
 その話題の採り上げられ方によっては、そのメーカーなり、販社は致命的なダメージを受けるかもしれない。

 また、有名な芸能人がスキャンダラスな話題に巻き込まれてしまったときは、どうでもいいようなネタさえ、歪められて誇張されて、喧伝される。
 そこにキャンピングカーの話題が絡まないという保証はない。

 「気をつかう」 …という意味が、なんとなくしのばれる。

 しかし、今後、芸能人・スポーツ選手に限らず、有名人のキャンピングカーオーナーはどんどん増えていくだろう。
 売っている方も、事故とかスキャンダラスなどをいちいち心配していては、身が持たないようになる。

 また、 「安全の提供」 や 「事故の防止」 といった重要な課題を追求するときは、芸能人も、一般ユーザーもない。
 それらを、分けて考えることはできない。 
 誰が乗っても安心できるキャンピングカーというのが、当たり前なのだから。

 キャンピングカーを楽しんでいる芸能人やタレントさんが、気楽に自分のキャンピングカーライフを語れる日がもっと早く来るといいのになぁ…と思っている。 単純な、個人的好奇心からも、そういうのを取材してみたい。


campingcar | 投稿者 町田編集長 17:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

若者の旅行離れ

 「キャンピング&RVショー2010」 の会場で行なわれたフォーラムにおいて、かなり興味を感じた話題があったので、それを少しフォローしてみたい。

幕張ショーフォーラム001

 それは、 「若者の旅行離れ」 についての考察である。

 近年、若者が旅に対する興味を失っているという話はよく聞く。
 旅行に出るよりは、家でテレビを見たり、パソコンで遊ぶ若者が増え、旅行業者の悩みのタネになっているとか。

 この問題は、同時に 「若者のクルマ離れ」 、 「アウトドア離れ」 、 「スポーツ離れ」 という現象とも深く関わりあっている。

 フォーラムにおいても、当然そのことがテーマになった。
 「旅」 と 「クルマ」 が合体したようなキャンピングカーの世界は、その両方から離れようとしている若者からすれば、最も縁遠い世界であるかもしれないからだ。

 しかし、そのような 「若者の ○○○ 離れ」 を、一概に 「若者たちの生活欲の減退」 や 「積極性の喪失」 などという視点で語ってしまうのは間違いだ、と松本大学の佐藤博康教授などは語る。

 佐藤教授が指導している学生たちを見ると、彼らが従来型の観光旅行に興味を失っていることは確からしい。

 つまり、彼らは観光地として “完成された” 景色を眺め、その近辺で、 「地元の名物料理」 と言われながらも、実はどこにでもあふれている食事をとることなどには、もう飽き飽きとしている。
 そういうものは、すべて 「情報」 に過ぎず、それならば、テレビやネットでざんざん流されている。

 しかし、 「旅行先で友だちをつくろう」 などという企画になると、今の若者は積極的には乗ってくるというのだ。

 教授は、 「どうやら今の若者は、デジタル社会に対するアンチメッセージを求めているのではないか?」 と推察する。

 旅先で、何に出会うか分からないというワクワク感。
 人と人が、リアルに接することで生まれるしっかりした絆への期待。

 若者がそういうものを求めていることを見逃すと、さまざまなマーケットが縮小していくことを 「若者のせいだ」 と結論づける暴論に走ってしまう。

 テレビ、ネットなどでは体験できないリアルな感触に対する若者の “飢え” が、逆に、本当の意味でのリアルさを失った “リアル世界” に対する拒否反応として出ているのではないか。

 そのような説を、佐藤教授はフォーラムの基調講演で展開していたと思う。

 今の若者たちは、この20年ほど全世界を席巻した 「グローバリゼーション」 という名の画一化された文化の中で生まれ、育った。
 だから、彼らは逆に、 「ローカリゼーション」 の中に、リアルさを感じ始めている。
 フォーラムでは、そのような説も披露された。

 ローカリゼーションとは、日本の場合、各地域に残る和風テイストの伝統文化のことをいう。

 山岡拓氏は 『欲しがらない若者たち』 (日経プレミアシリーズ) という本の中で、今の20代くらいの若者たちが 「次世代に残したいもの」 として、 「日本の伝統文化や季節感」 をトップに挙げていることを指摘している。

 これは、2008年に行われた 「若者意識調査」 のデータを引用したもので、それによると、今の若者たちは、和風デザインの調度に関心を示すだけでなく、寺社仏閣に興味を抱いたり、京風の雅 (みやび) の精神に共感を感じたりする傾向を強めているというのだ。

 そして、彼らにとって、それは 「日本文化」 への “回帰” ではなく、 “発見” であるのだとか。
 つまり、西欧風モダニズムの洗礼を受けて発展してきた戦後文化が、ブルドーザーで押し出すように排斥してきた日本の伝統文化が、彼らにとっては、今すごく新鮮に映っているというのである。
 
 「和の文化」 というのは、基本的に 「自然との調和」 に美の規範を求める文化である。
 天然素材を活かした畳や障子という調度。
 屋外との一体感を演出する、縁側や、渡り廊下という家屋構造。
 さらに、季節感や自然感を尊重する、俳句や和歌という文学。

 日本の文化は、常に自然と寄り添うかたちで、その独特の風情や美意識を醸成してきた。
 そこには、ガラスと鉄で造られた近代の都市社会が見過ごしてきた、風の香り、土の匂い、森の息吹を尊重する文化がある。

 若者は、 「アウトドア」 に興味がないように見えて、実は、モダニズムの装いで満たされた商業的なアウトドア文化に対して興味を失っているだけであって、彼らの心は、むしろ昔の日本人が持っていた日本的自然観への親和性を高めているようにも思える。

 そのようなことを考えると、若者が興味を抱くキャンピングカー旅行というもののイメージも見えてくる。
 
 「買って、食べて、飲んで」 という即物的な観光から、日本の自然や森の文化に深く接する旅行、さらに伝統芸能や伝統文化と触れ合える旅行。

 そのようなキャンピングカー旅行をコーディネートすることも、「旅行離れ」 「クルマ離れ」 を進めている若者たちの心を取り戻すためには有効なのではないか。

 温泉とグルメと道の駅だけでキャンピングカー旅行を特徴づけようとする発想は、熟年層とファミリー層には通用しても、若者には通用しない。

 それ以外のキャンピングカー旅行のスタイルをどう創造していくのか。
 業界の力と同時に、キャンピングカーメディアの力も試されている。


campingcar | 投稿者 町田編集長 04:05 | コメント(8)| トラックバック(0)

幕張のフォーラム

 キャンピングカーシーンが、未来に向かって力強い前進を開始している。
 そんな感触を得ることができた今回の 「幕張キャンピング&RVショー」 。

幕張キャンピングカーショー2010全景

 それは展示された新車群からも感じられたのだが、それ以上に、“場の空気” として、日本にもしっかりとした “キャンピングカー文化” のようなものが根づきそうだという予感が、このショーには漂っていた。

 どういうことかというと、ようやくこの国で、アカデミズム、行政、ジャーナリズムが一体となって、 「キャンピングカーを日本を支える産業として育成しようではないか」 という動きが始まったように思えたからだ。

 その具体例が、初日に開かれた 「開催記念フォーラム」 である。
 討議内容は、 「観光立国の実現にキャンピングカーは貢献できるか」 。

幕張ショーフォーラム001

 遠大なテーマである。

 過去、このようなテーマを追求するフォーラムが、キャンピングカーショーの会場で行われたことはなかった。

 それが、今、なぜキャンピングカーショーの会場で開かれるようになったのか。

 そこには、国交省・観光庁の目指す 「観光立国」 というプロジェクトの推進に、キャンピングカーの果たす役割というものが、少しずつ認知されてきたという背景がある。

 少子高齢化に伴う人口減少は、日本の地域経済に深刻なダメージを与え始め、人口の集中している大都市圏と各地方の 「地域格差」 がはっきりと際立つような時代がすぐそこまで迫ってきた。

 それを解消するため、政府は、平成19年1月に 「観光立国推進基本法」 を施行することに踏み切り、日本を 「観光立国」 として立て直す方向に大きく舵を切った。

 つまり、各地方の 「定住人口」 の減少を、観光による 「交流人口」 の増加でおぎない、観光客の誘致とその長期滞在を促進することによって、地域経済の活性化をうながそうという方針が確立されたわけである。

 そのためには、 「日帰り中心」 の観光客を、いかに 「1泊」 させるか。
 「1泊」 の観光客を、いかに 「連泊」 させるか。
 そのような、観光客の長期滞在化が観光産業の育成を図るカギとなってくる。

キャンピングカー旅行(BCヴァーノン)

 そこで、行政やジャーナリズムが注目し始めたのが、キャンピングカーユーザーの旅行形態だった。

 2008年度の調査に基づく 『キャンピングカー白書』 によると、 「ユーザーが将来してみたいこと」 の筆頭に、 「日本全国をゆっくり一周したい」 (80.7%) という声が掲げられ、2番目は 「気に入った場所を見つけて2~3週間滞在したい」 (55.4% ※いずれも複数回答) という回答が寄せられている。

 また、つい最近、日本RV協会が行なった 「北海道旅行に対するアンケート調査」 においても、年々観光客の旅行日程が短縮化されるなかで、キャンピングカー旅行客だけは長期滞在の傾向を示し、62.2%のユーザーが、北海道では  「1週間以上」 の長期旅行を楽しんでいるという。

 このような長期旅行が成立する背景には、日本RV協会などが繰り広げてきた 「団塊世代マーケット」 の掘り起こしによる、リタイヤ層の拡大が原動力となっているが、もともとキャンピングカーユーザーは、ファミリーユースにおいても長期旅行を楽しむ傾向が強いという特徴がある。

 それは、旅館やホテルなどの予約を取らなくても旅行できるという気楽さと、宿泊費・滞在費を圧縮できるという、キャンピングカー旅行ならではのメリットが作用しているからだ。

喜連川キャンプ場サイト

 今回、幕張のキャンピング&RVショーで行なわれたフォーラムは、そのようなキャンピングカー旅行の特徴をいかに地域の観光産業の活性化と結びつけるかという、行政、アカデミズム、ジャーナリズムの知者たちの問題意識から生まれたものだといえよう。

 参加した講演者・パネリストたちの顔ぶれは、下記の通り。

● 国土交通省観光庁・国際交流推進課の河田敦哉課長補佐。
● 松本大学・観光ホスピタリティ学科の佐藤博康教授。
● フリーランスライターのシェルパ斉藤氏。
● 財団法人ボーイスカウト連盟事務局の小林孝之助事務局次長。
● 日刊自動車新聞社・取締役主幹の佃義夫氏。
● 日本RV協会の福島雅邦会長。
● 日本アウトドアジャーナリスト協会代表の中村達氏。

 いわば、行政の代表、アカデミズムの代表、アウトドアや自動車を専門に語るジャーナリストの代表、RV業界の代表といったそれぞれのスペシャリストたちが、キャンピングカーと観光産業を語るために集まったといえよう。

幕張ショーフォーラム002

 討議されたテーマは多岐にわたった。
 議論は、日本人観光客を増やすだけでなく、外国人観光客を誘致するためのレンタルキャンピングカーの整備という課題にまで及んだ。

 観光庁がめざす 「観光立国」 という理念には、日本人観光客を日本全体に循環させようという意図もあるが、もうひとつ、外国人観光客をもっと日本に誘致させようという狙いも含まれている。

 政府が外国人観光客の誘致に自信を持っている理由は、
 「日本の観光資源は、世界でもトップレベルの豊かさに恵まれている」
 ということにある。

 日本には四季があり、南北に長い。
 同じく国の中で、スキーもできれば、スクーバ・ダイビング、史跡めぐりなど何でも楽しめる。かつ、どこの土地もみな風光明媚だ。
 街に出れば、アニメや日本食など、外国人が求める文化やサービスが簡単に手に入る。

 そのためのインフラを整備するとき、高コストのハコモノを次々と開発するよりも、低コストで、しかも環境負荷の少ない都市型キャンプ場などを設けていった方が、よほど環境保全にも貢献するし、時代の求めるスロートラベルの趣旨にもかなう。

 なぜなら、そのような場所にキャンピングカーを止めておけば、そこから先はウォーキングなり、自転車などによる移動手段と有機的に連携できるからだ。

 議論は、そのような展開を見せながら、少しずつ観光とキャンピングカーの将来的展望を築き上げるのに成功した。

幕張ショーフォーラム003

 このような外国人観光客の旅のツールとしてキャンピングカーを選択肢に入れるという企画には、実は、もうひとつのもくろみが潜んでいる。

 そこには、キャンピングカーマーケットの中国大陸への拡大というモチーフが隠されているのだ。
 年々増加の傾向を見せる中国人観光客に、キャンピングカーによる日本観光をプレゼンしてみせることによって、キャンピングカーの快適さと利便性を感じとった中国人による大陸マーケットが生まれるとしたら、いったいこの業界は、どれほどの産業規模に広がるか。
 
 もちろん、今はまだ遠い夢だ。
 それを実現するための現実的課題は山積している。

 しかし、そのような巨視的な展望がないかぎり、マーケットの成長どころか、車両開発の進歩も停まってしまう。

幕張ショーフォーラム004

 もちろん、簡単に結論が出る問題ではない。
 討議したところで、すぐにユーザーの利便性を図るインフラ整備が実現するわけでもなく、即効的にマーケットが広がるようなものでもない。

 現に、テーマが膨大に広がりすぎて、2時間という枠内では消化しきれない課題が数多く残ってしまった。
 また、聴講者との質疑応答の時間を採る余裕もなかった。

 しかし、キャンピングカーが、 「行政」 や 「社会」 に認知される産業に成長するためには、避けては通れない道程であったように思う。
 少なくとも、キャンピングカーを造る人たち、使う人たちが、 「自分たちはどこに向かえばいいのか」 という指針は示されたように感じる。

 このフォーラムが実現されたおかげで、今回の幕張ショーは、この業界にとっては記念すべき年になったような気がする。

 ※ 「若者の旅行離れ」 に続く


 なお、今回フォーラムに参加された方々のプロフィールは下記のとおり。

 佐藤博康 (さとう・ひろやす)
 1949年生まれ。松本大学・観光ホスピタリティ学科教授。
 専門は国際観光、エコツーリズムなど。NHK 「Cool Japan」 に出演中。
 著書に 『インバウンド観光の現状と課題』 、 『外国からのお客様をお迎えするために』

 シェルパ斉藤 (しぇるぱ・さいとう) 氏。
 1961年生まれ。フリーランスライター。 『BE-PAL』 、 『東京生活』 などの雑誌に連載中。
 著書に 『シェルパ斉藤の東海自然歩道全踏破』 、 『犬連れバックパッカー』 、 『スローな旅で行こう』 など多数。

 小林孝之助 (こばやし・こうのすけ) 氏。
 財団法人ボーイスカウト連盟事務局次長。平成23年8月に、静岡県富士宮市で約2万人を集める日本大会開催を予定。

 佃義夫 (つくだ・よしお) 氏。
 1970年、日刊自動車新聞社に入社。86年より編集局部長を歴任。2002年に取締役に就任。
 著書に 『トヨタの野望、日産の決断』 、 『この激動下、トヨタだけがなぜ大増益なのか』 など。

 福島雅邦 (ふくしま・まさくに) 氏。
 1991年に株式会社フィールドライフを設立。世界初の量産型軽自動車キャンピングカーを開発・販売。
 2000年に国産初のフルコンバージョン (クラスАタイプキャンピングカー) の発売を開始する。
 2009年より日本RV協会会長を務める。

 中村達 (なかむら・とおる)
 1949年、京都生まれ。日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事。NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構副代表理事。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど、アウトドア事業に深く関わる要職を務める。
 著書に 『アウトドアマーケティングの歩き方』 、 『アウトドアビジネスへの提言』 、 『アウトドアズがライフスタイルになる日』 など。


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   〃   「日本のアウトドアの考察 2」



campingcar | 投稿者 町田編集長 02:34 | コメント(0)| トラックバック(0)

スロープ ボブ

2010幕張ショー会場全景

 先週幕張で開かれた 「キャンピング&RVショー」 は、わが国では最大級のキャンピングカーショーという位置づけになる。
 それだけに、各ビルダーが自分たちが自慢の “一押し” の新車を投入してくる未来志向の強いショーになる傾向がある。
 いってしまえば 「モーターショー」 におけるコンセプトカーに近い提案型の車両が披露されるわけだ。 

 ただモーターショーとは違って、イベント会場がそのままキャンピングカーの “即売会” という性格を持っているため、展示車両に 「価格表示」 や装備品の 「性能説明」 を表す貼り紙などがたくさん貼られる傾向も強く、来場者に車両説明を行うスタッフたちも購買意欲をそそるようなトークになりがち。
 そこにちょっと各社の “商売っけ” が漂ってしまう。

 やむを得ないことだろうけれど、ショーとしての楽しさや華やかさがちょっと削がれるのも事実だ。

 その傾向に対し、 「今回は “売らない” ショーに徹しようと思った」 と、きっぱり言ってのけたのがファーストカスタムの佐藤和秋社長だった。

 では、ファーストカスタムのブースではどんな世界が生まれたのか。

 いやぁ、もうびっくりでしたね!
 「東京モーターショー」 レベルの観客を楽しませる華やかなイベント会場が誕生していた。

ファーストブースコンパニオン001
 
 ずらりと並んだコンパニオンたちが、車両概要を説明するだけでなく、アウトドアのスターである田中ケンさん (快適生活研究家) をゲストに招き、トークショーを展開。

ファーストブース田中ケントーク001

 ケンさんはケンさんで、映像を流しながら、自分が得意とするアウトドアスポーツの極意を語り、自慢の野外料理を語り、フィールドを楽しむ人間の視点から、キャンピングカーを語る。

田中ケン氏002

 だから、ケンさんのアウトドア人生をかいま見ようと、自然に人が集まる。
 そのおかげで、ファーストカスタムのブースは、いつも見学者があふれていたように思う。

ファーストブース田中ケントーク002

 提案型という意味では、画期的な新車も紹介された。
 同社の誇るCGシリーズに、 「スロープボブ」 という車椅子対応のユニバーサルデザインの車両を登場させたのだ。

ファーストブースCGユニバーサルデザイン001

 この車両では、スロープと連携したエントランスドアに、新開発されたスライドドアが採用されていことも印象的だった。
 これならば、開口部が広い上に、ドアを開いた状態で風に煽られることもない。
 一見、ハイエースの純正スライドドアを流用したように見えるが、新規に起こしたオリジナルだという。

 スロープも市販品を流用したように見えるが、これも同社のオリジナル。
 2段目までは床下に収納できるので、スペース効率もいい。

ファーストCGユニバーサルデザイン002

 中に入ると、フロアが広くとられていて、ちょっとガランとした印象に見える。
 しかし、私なんかには、その意図がすぐに分かった。
 車椅子の回転スペースを考えて設計されているのだ。

 自分にも、車椅子生活を余儀なくされている義母がいるので、車椅子を回転することのできないスペースの不便さはよく知っている。

 トイレ周りには手すりもあって、これなら重度の身障者でなければ、健常者の介護を必要とせずに、自分でトイレを使用できるだろう。
 そのへんもよく考えられていると感じた。

ファーストCGユニバーサルデザイン003

 このような社会的な提案を盛り込んだ車両を展示しながら、あくまでも “モーターショー” 的な 「ショーとしての楽しさ」 を貫いたファーストカスタムブース。
 幕張ショーのようなビッグイベントにふさわしい試みだったと思う。

ファースト田中ケン&佐藤社長

 田中ケンさんとのトークには、途中からファースト代表の佐藤和秋氏も登場。
 現在、ケンさんとのコラボによる新車の企画が進行中だと語った。
 “フィールドの達人” というケンさんの視点を導入したアウトドア精神をたっぷり盛り込んだクルマを目指すのだとか。
 きっと面白いキャンピングカーが誕生すると思う。



campingcar | 投稿者 町田編集長 02:04 | コメント(2)| トラックバック(0)

RVフォーラム

 今年 (2010年) の2月12日 (金) ~14日 (日) の3日間、千葉県の幕張メッセで 「キャンピング&RVショー2010」 が開催される。

2009年幕張ショー会場風景
▲ 2009年幕張ショー会場風景

 このショーは、日本最大級のキャンピングカーイベントであり、各ビルダーがこのショーに合わせて開発した新型車が集中するショーとしても知られている。

 今回のイベントに参加する企業・団体の出展社数は、2009年の90を上回る100ともいわれ、展示されるキャンピングカーだけでも約150台が見込まれている。

 そういった意味で、各メディアの関心が集まりそうなイベントであるが、私が注目しているのは、初日の12日 (金) に開かれる 「キャンピング&RVショー2010開催記念フォーラム」
 ここでは、キャンピングカーの現在の市場規模が公開され、それを参照しながらキャンピングカーの普及を図るための課題が検証され、討議されるという。

 どちらかというと、一般ユーザー向けというより、業者や専門家を対象としたフォーラムのように思えるが、パネリストたちの顔ぶれが画期的だ。

 観光ホスピタリティを専門に研究を進める大学教授、国交省観光庁に務める担当官、バックパッカーライター、自動車専門紙の編集記者たちが、 「これからの観光とキャンピングカーレジャーの可能性を考える」 ための討議を行うという。

 このようなアカデミズム、行政、旅行ジャーナリズム、自動車専門紙などを代表する 「知性」 がキャンピングカーを論じるために集まるのははじめてのことであり、日本のRV業界が、社会的責務を熟慮する一大産業として成長してきた様子がしのばれる。

 プログラムは二部に分かれ、第一部は、松本大学の総合経営学部・観光ホスピタリティ学科学科長である佐藤博康教授の 『RV&キャンピングカーと観光の可能性』 と題する基調講演が行なわれ、続いて、国土交通省観光庁・国際交流推進課の河田敦哉課長補佐による 『観光立国の実現に向けたインバウンドの振興について』 というレポートが発表される。

 第二部は、パネルディスカッションとなり、
 ・ 日刊自動車新聞社 専務取締役 主幹の佃義夫氏。
 ・ 松本大学教授の佐藤博康氏。
 ・ 日本ボーイスカウト連盟 教育部門長の小林孝之助氏。
 ・ バックパッカーライターのシェルパ斉藤氏。
 ・ 日本RV協会会長の福島雅邦氏らが参加して、観光振興という観点から捉えたキャンピングカーの可能性を討議する。

 これらの議事進行を務めるのは、アウトドアジャーナリスト・プロデューサーの中村達氏。

中村達氏001
 ▲ 中村 達氏

 乗用車の販売不振、スポーツ人口の減少などというマイナス要因が目立つ日本の現状をどう捉えるか。
 また、そこからどのような蘇生の道が開かれるのか。
 それらをテーマに、 「観光」 と 「キャンピングカー」 を軸とした熱い議論が繰り広げられそうな気がする。

 期日 :2月12日 (金曜日)
 会場 :幕張メッセ特別会議室。
 時間 :15時00分~17時00分。
 参加費:無料
 定員 :50名


 参加者はジャーナリストや業界関係者が中心となるものと思われるが、一般の見学者も歓迎とのこと。

 なお、各講師のプロフィールは次のとおり。

 佐藤博康 (さとう・ひろやす)
 1949年生まれ。松本大学・観光ホスピタリティ学科教授。
 専門は国際観光、エコツーリズムなど。NHK 「Cool Japan」 に出演中。
 著書に 『インバウンド観光の現状と課題』 、 『外国からのお客様をお迎えするために』

 シェルパ斉藤 (しぇるぱ・さいとう) 氏。
 1961年生まれ。フリーランスライター。 『BE-PAL』 、 『東京生活』 などの雑誌に連載中。
 著書に 『シェルパ斉藤の東海自然歩道全踏破』 、 『犬連れバックパッカー』 、 『スローな旅で行こう』 など多数。

 小林孝之助 (こばやし・こうのすけ) 氏。
 財団法人ボーイスカウト連盟事務局次長。平成23年8月に、静岡県富士宮市で約2万人を集める日本大会開催を予定。

 佃義夫 (つくだ・よしお) 氏。
 1970年、日刊自動車新聞社に入社。86年より編集局部長を歴任。2002年に取締役に就任。
 著書に 『トヨタの野望、日産の決断』 、 『この激動下、トヨタだけがなぜ大増益なのか』 など。

 福島雅邦 (ふくしま・まさくに) 氏。
 1991年に株式会社フィールドライフを設立。世界初の量産型軽自動車キャンピングカーを開発・販売。
 2000年に国産初のフルコンバージョン (クラスАタイプキャンピングカー) の発売を開始する。
 2009年より日本RV協会会長を務める。

 中村達 (なかむら・とおる)
 1949年、京都生まれ。日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事。NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構副代表理事。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど、アウトドア事業に深く関わる要職を務める。
 著書に 『アウトドアマーケティングの歩き方』 、 『アウトドアビジネスへの提言』 、 『アウトドアズがライフスタイルになる日』 など。


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JキャビンFC

 軽トラックにキャンパーシェルを載せるという、MYSミスティックの 「Jキャビンミニ」 が登場したとき、多くの人は、デフレ時代の低価格路線を狙った商品設定だと思ったかもしれない。

JキャビンミニFC外形001
▲ JキャビンミニFC

 地方の軽トラ普及率は高い。
 その軽トラをベース車として、遊びに行くときだけキャビンを積載しようというニーズは確かにあるだろう。
 そうすれば、キャンピングカーとして架装されたクルマを新たに購入する必要がない。
 買うのはキャンパーシェルの部分だけ。
 コストパフォーマンスは無類によい。
 …ならば、ひとつ買ってみようか。

 Jキャビンミニとは、そう計算した人々を狙った商品なのだろう…と分析した人は、
 「いい狙いどころだな」
 と感心したかもしれない。

JキャビンミニFCシェル003

 しかし、Jキャビンミニを構想したMYSの佐藤正社長の思惑は、もう少し別のところにあった。

MYS佐藤さん001

 彼は、まず最近の軽トラックの上級グレードの驚くほどの走行性能の改善に注目した。
 
 「食わず嫌いでした。乗ってみてはじめて分かった。
 こんなに走りに余裕があり、かつ刺激的な走行フィールを持った乗り物だとは思わなかったんです。
  軽トラというのは、もしかしたら、今までの自動車のカテゴリーを大きく揺るがすものなのかもしれない」

 佐藤さんは、そう感じたという。

JキャビンミニFCリヤ002

 低コストで乗れる。
 小回りが利く。
 駐車スペースを取らない。

 そのようなエコロジカルな特性には収まりきらない、とてつもない魅力が軽トラにはある…と、佐藤さんは読んだのだ。

 その魅力を一言でいうと、 「走りのビート感」 。

 「たとえばスバルなんかの軽トラに、このJキャビンミニを積載しますよね。
 すると、カツン、カツン、カツンと乾いたビートを刻んで、感性を刺激する走りが生まれるんですよ。まさにフォービートかエイトビートという感じ…」

 それは、ハーレーの、タンタンタンという3拍子のリズムにも拮抗するような、胸を騒がす 「生命の鼓動」 なのだとか。

 だから、この軽トラをベースにしたJキャビンミニシリーズは、走る楽しみにおいても、従来のキャンピングカーとは一線を画する 「次世代RV」 なのだと佐藤さんは位置づける。 
 
 ならば、その肝心のシェルの部分にも、 「次世代RV」 を語るにふさわしい “意匠” を考案しなければならない。  
 単なる 「コストパフォーマンスに優れたキャンピングカー」 と見なされるのではなく、持つこと自体を誇れるような、究極のデザインを試みなければならない。

 そういう思いが 「形」 となって結実したのが、この 「JキャビンミニFC」 である。

JキャビンミニFC外形001

 「FC」 とは、ファクトリーカスタムのこと。
 佐藤さんの念頭にあったのは、ハーレーのカスタムだった。

 ノーマルでさえ強烈な存在感を持つハーレーが、一つひとつクロームメッキパーツを身に付けて輝いていくときに生まれる “際だつ個性” 。
 その燦然と輝く 「個性」 を、ファクトリーとして鍛え上げられた自分たちの職人芸で、最高の仕上がりにまで持っていく。

 それが 「JキャビンミニFC」 の思想である。

 このシェルの扉を開け、中に入っただけで、その 「思想」 に感染しない人はいないはずだ。
 ここまで手の込んだ作りを誇るピックアップキャビンというものは、かつて存在したことがなかったのではないか。

JキャビンミニFC室内003

 まず、丹念に仕上げられた木工家具のグレード感に、人はびっくりするはず。
 深い渋みを湛えた美しい塗装。
 それが室内に差し込む光の角度によって、微妙な陰影を室内に投げかける。

JキャビンミニFC002

 それとバランスを取るように、対照的な明るさを際だたせるシートの柔和感。
 「書斎」 の重厚感と、 「リビング」 の軽快感の絶妙なマッチングが、ここでは試みられている。

 ちなみに、シートは、中にチップを入れた3層構造。
 座り心地も万全ならば、ベッドメイクしたときの感触も秀逸だ。

 壁紙にも、繊細なデザインセンスが発揮されている。
 竹を組んだように見えるアジアンテイスト・デザイン。
 ヨーロッパのリゾートとはひと味違う、アジア風高級リゾートの涼しげな感触が、この壁紙素材から伝わってくる。

JキャビンミニFC006

 インバーターで回すエアコン (オプション) には、省電力タイプのものが採用されているので、少ない電力でも相当な涼風が約束されるという。

 そこから流れ出る風が、アジアデザインの壁紙をかすめるとき、中でくつろぐ人は、窓の外に、ヤシの木陰の向こうに広がるインド洋か東シナ海を夢想するかもしれない。

 照明は、あえて流行のLEDを使わず、蛍光灯も避けて、昔ながらの電球を使った。
 そこにも “こだわり” があり、ランプのような光がもたらす自然な温かみを狙ったのだという。

JキャビンミニFC005

 小物入れも豊富。
 趣味にこだわる人は、自分にとって大切な “秘密のアイテム” をそっと貯め込んでおきたくなるもの。
 大人の風格を備えながらも、男が 「少年に還る」 ときの楽しさを、このクルマは失っていない。

JキャビンFC004

 「コストを度外視しても、凝りに凝ったものをつくってみたかった」 という佐藤さん。

 そこに実現されたものは何だったのだろう。

 私は、 「男が自分の “精神” に出会う場」 だと思った。

 自分がどこから来たのか
 自分はどこへ行こうとしているのか
 自分とは何か

 忙しい日常生活の中で、忘れてしまった 「自分を問う心」 。
 そのような 「問い」 は、日常性を超える異次元空間でなければ生まれない。
 自分が、キャンピングカーの中にいることすら忘れるような、至上の愉楽を約束する空間があってこそ、生まれる 「問い」 なのだ。

JキャビンミニFC001

 もちろん、そのような 「問い」 に、本当の答などない。
 それでも、答を求めながら、この贅沢な空間で、ゆっくり自分の好きな酒を飲み、好きな音楽を聞く。
(佐藤さんなら、そこでフジコ・ヘミングのピアノ曲を聞くことだろう)

 そして、答を求め続け、けっきょく分からないままに、快適なベッドの上に、酔った身体を横たえる。
 ほのかなランプの光が、火照った頬を優しく撫でていくのを感じながら、いつしか眠りの底に落ちていく。

 「幸せ」 ってのは、そういうものだ。

 JキャビンミニFCは、その 「幸せ」 を約束してくれるクルマだ。


campingcar | 投稿者 町田編集長 11:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

ホワイトカントリ-

 『答は風の中』 というWEBエッセイを連載されている九州の 「カスタムプロホワイト」 の池田さんから、最新キャンピングカー情報が送られてきた。

 長年、ハイエースやキャラバンをベースに 「フィールドキング」 シリーズを作成してきた池田さん。
 今回は思い切って、軽キャンピングカーに挑戦したという。
 その名は 「ホワイトカントリー」 。
 30年ほど前、はじめてキャンピングカーを造り始めた頃に考えていた名前なのだそうだ。

ホワイトカントリー外形(松林)

 ベース車両はホンダ・アクティ。
 鮮やかにペイントされたツートンのボディが、なんとも可愛く、なんとも斬新。
 リヤパネルが、ボディ同色のプラスチックパネルで窓埋めされており、なかなか凝った仕上がりぶりだ。

ホワイトカントリープラスチックパネル

 エクステリアにも力が入っているが、内装を見ると、さらにびっくり。
 ハイセンスに仕上げられた木工家具が架装され、4ナンバー登録の軽キャンパーとは思えない充実ぶりだ。

ホワイトカントリー内装002

 リヤゲートを開けると、右側には、フィールドキングゆずりのムク材を使ったミニキッチン。軽には少し贅沢と思える中型のホーローシンクに、本格的なフォーセット。
 シンク下には、13リットルの給水タンクが標準装備。
 シンクの左側には、小型のカセットコンロがこぢんまりと収まっている。 
 排水タンクの設置も可。

ホワイトカントリー内装003

 ボディ左側は、収納棚とフライングテーブル。
 (本棚には、しっかりと 『キャンピングカースーパーガイド』 を収めてくれてますねぇ。ありがとうございます!)

ホワイトカントリー内装003の2

 ルーフ内側にはキルト素材のフルトリム (厚さ10mm) が施され、断熱・防寒対策と、美観の演出を引き受けている。
 よく見ると、リヤ扉の内側にも、しっかりウッドが張られている。
 こりゃもう 「部屋」 ですな。

ホワイトカントリー内装004

 運転席の頭上には、たっぷりとした容量が確保されているルーフ収納が設定されている。
 その容量、約180リットル。
 これは、フロント部の傾斜が比較的ゆるく、かつルーフ高がたっぷり取られたホンダ・アクティの特徴を生かしたところから生まれた。

 ここには、コンロ、寝袋 (2~3人分) 、やかん、フライパン、ナベなどがすんなりと収納できるという。

ホワイトカントリー内装005

 ベッドマットはなし。
 じゃ、どこで寝るの? …となるのだが、代わりにモンベルの登山用エアマット (1800×500mm) が二つ用意されている。

 寝るときに膨らませることになるが、たたんでしまえば、1人分が牛乳瓶くらいなので、無類に空間効率が高まる。
 ベッドマットがないため、このクルマがトランスポーターとしての役目を負わされるときは、荷物の積み込みも楽になり、かつ積載容量も確保される。
 ちなみに、室内高は最大1200mm。くつろぐには何の不満もないゆったりスペースが実現されている。

 オシャレなのは、車両ドアパネルの加工。
 トリム生地と同系統の色調に仕上げられ、ちょっと 「軽」 とは思えない質感が生まれている。
 インパネもすごい!
 ここもドアパネルと同色に塗装され、室内のカラーコーディネイトは万全だ。

ホワイトカントリー内装006

 気になるお値段は、なんと80万円 !?
 ただし、これは架装費だけの価格。
 ベース車両は別で、持ち込み架装も可。
 でも、リアルウッドの手の込んだ家具を多用したハイグレードな室内架装が80万円というのは、なんともリーズナブルな設定ではなかろうか。

 4ナンバーの 「アクティ」 と、5ナンバーの 「バモス」 の価格差が約70万円ほどであることを考えると、その価格差を架装費で吸収しようという 「ホワイトカントリー」 の戦略は、うまいところを突いているようにも思う。

 この80万円の架装費に、シートカバー、ツートン塗装、プラスチックパネル、4スピーカー、カーテンなどをプラスして、だいたい115万円程度だとか。


 この写真を送ってくださった池田さんに電話取材を試みた。

カスタムプロホワイト池田氏

 池田さんは、お客様に選んでもらうときに、 「軽しか買えない」 という選択ではなく、 「この軽が欲しい!」 というものを目指したのだという。
 
 また、 「大きなクルマに乗って見栄を張ることに少し飽きて、軽自動車の利便性と、軽自動車の経済性を合理的に判断できるクレバーな人たちに見てもらいたい」 とも。

 年間5~6台しか生産しない同社の営業方針は、大量生産・大量販売の正反対をゆくものだ。
 だからこそ、少量生産の意味をしっかり訴えていきたいという。

 それは、内装クロス張りから木工家具製作、さらにボディ改造から塗装まで、1人でコツコツ仕上げるところから生まれる 「職人の味」 を “売る” こと。

 「たぶん、全国のビルダーの中で、現場に関わる時間でいえば、私は一、二を争う働き者だと思いますよ」
 と池田さん。

 毎日8時間。
 それを1年300日、休むことなく自分の手を使い、働き続けた。
 その歴史が30年あるということは、これまでの累積労働時間数が7万2,000時間。

 「それだけの経験を積めば、職人としての腕を売り物にしたって、少しは許されるでしょう」
 と池田さんは笑う。

 彼はその “職人の腕” に、さらにカヌー、ダイビング、キャンプ、焚き火 (?) などのアウトドア体験をプラスして、自分のクルマを練り上げてきた。

 もともと、バックパックに荷物を詰め込んで、山登りやヒッチハイクの旅を楽しんできた人である。
 今回の 「ホワイトカントリー」 も、そんな自分の生き方の原点に戻った “作品” なのだそうだ。
 モンベルのエアマットを使うというのも、荷物をコンパクトにたたんで収納するバックパッカーの習慣をそのまま反映したもの…だとか。

 今度の 「ホワイトカントリー」 は、そのようなライフスタイルを貫いてきた池田さんの原点でもあり、同時にその集大成だという。
 「サイズ」 は軽でも、 「志」 は巨大モーターホーム。
 そんなクルマだと言いたげに、電話の向こうの声が、明るく笑った。



campingcar | 投稿者 町田編集長 21:20 | コメント(0)| トラックバック(0)

日本のRVの歴史

 ようやくである。
 『日本のキャンピングカーの歴史』 という書籍の発行に漕ぎつけた。
 昨日、その表紙の校正が上がった。

日本のキャンピングカーの歴史

 見本が上がるのが、2月5日。
 約90ページの書籍になった。

 もちろん、これが日本のキャンピングカーの歴史を完璧に網羅したものだと言い張るつもりはない。
 むしろ、取材しきれなかった部分の方が多い。

 しかし、人から人へ、つてをたどって、古い時代のキャンピングカーをご存知の方々には、かなりお会いできたように思う。
 かなり高齢な方もいらっしゃったが、お元気なうちに取材できたのはうれしいことだった。

 日本のキャンピングカー1号車は、今のところ、画家の桐野江節雄さんが東京マツダに造らせたオート3輪の 「エスカルゴ号」 ということになっている。

 しかし、本資料を作成しているうちに、どうやら演歌歌手の田端義夫さんがいすゞ自動車に造らせたバスを改良したキャンピングカーの方が年代的に古いということが分かった。
 田端さんの “バスコン” は、昭和30年 (1955年) に造られたということになっている。

 今回、その確証を得るために、当時いすゞ自動車にいらっしゃった方にお会いすることができたが、漠然と昭和30年代の初期…というところまでしか分からなかった。
 その方が、当時のいすゞのバスを担当されていたスタッフと連絡を取ろうと努力を重ねてくださったが、すでに連絡が取れない人が多かったという。

 エスカルゴ号の方は、昭和33年 (1958年) に製作されたことがはっきりしている。
 それを確実に裏付ける資料もあるし、その製作に立ち会った人からも話を聞いている。
 したがって本書では、暫定的に、このエスカルゴ号をもって 「日本のキャンピングカーの草分け的存在」 という位置づけにした。

 その後、現在のようなキャンピングカーのスタイルが生まれるまでには、10年ほど変化の乏しい歳月が流れる。
 しかし、その間、ワーゲンベースの輸入キャンパーなども導入されるようになり、それを参考にして、徐々に今のスタイルの車両が姿を見せるようになる。
 その大半は、ユーザーが自作したハンドメイドキャンピングカーだった。

 70年代に入ると、国産キャンピングカーは、ハンドメイドキャンピングカーの百花繚乱期を迎える。
 ワンボックスカーの室内を架装したものから始まり、今のピックアップキャビンの原型ともいえるトラックの荷台にシェルを積載したものまで、様々なスタイルが追及されていった。

 それと並行して、アメリカのバニングに影響を受けたカスタムカーのブームがスタートする。
 日本のキャンピングカーは、このハンドメイドとバニングの二つの流れにけん引される形で、次第に現在のスタイルを生み出すようになっていく。

 そこには、いろいろな人々のドラマがあった。
 本書は、 「キャンピングカーの歴史」 と称しながら、人物列伝のおもむきを呈しているようにも思える。

 すでに現役を引退された方々から取材するときは、古い写真や資料を見ていただきながら、時間をかけて、少しずつ思い出してもらうような形を取ることも多かった。

 しかし、その方の記憶がゆっくりと形を整え、ご本人も忘れていたような過去が蘇えってきたとき、そこには思いがけない感動的な青春ドラマが再現され、しばしば陶然と聞きほれたことも一度や二度ではなかった。

 惜しむらくは、この資料を制作中に、 「日本のオートキャンプの父」 ともいわれる日本オート・キャンプ協会の岡本昌光初代専務理事が亡くなられたことだ。

 岡本氏は、日本にキャンプ文化を根づかせた最大の功労者だが、また数々のイベントを通じて日本にキャンピングカーを紹介した功績においても、並ぶ者のいない偉業を成し遂げた人である。
 
 岡本氏は、この小冊子の完成を待たずにして亡くなられたが、原稿チェックの段階ではさんざん目を通してもらい、電話を通じて、ほぼ毎日こと細かなアドバイスをいただいた。

 氏は、本当にこの資料ができあがるのを楽しみにされていた。
 旧友と連絡をとるときも、ことあるごとに、この小冊子が現在制作進行中であることを話題にし、その感想を述べ、できばえを誉めたたえてくれたというから、完成本を直にお渡しできなかったことが本当に残念でならない。
 逝去されたのは、昨年の10月11日。享年78歳であった。

 また、現在キャンピングカービルダーとして名声を誇る会社の創業者たちの中においても、アム・クラフトの水鳥元社長、セキソーボディの中山元社長らのように、若くして永眠された方々がいる。
 本資料は、その方々にも見ていただきたかった本である。
 
 ともあれ、不完全な形かもしれないが、日本のキャンピングカーの流れをたどる原資料のようなものはできあがった。
 今後は、取材に漏れた方々の証言もさらに取り入れ、また、これを読まれた未知の読者からの正確な情報もつけ加え、より精度の高い資料集として再構築していくことも念頭に置いている。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 04:20 | コメント(12)| トラックバック(0)

リコルソSS

 2月の幕張ショーに出展予定の新車、アネックスさんの 「リコルソSS」 をご紹介。

リコルソSS 

 「リコルソSS」 は、今注目の日産NV200をベースにしたライトキャンパー。
 本格的なキャンピング装備を組み込んだものというよりも、日帰りドライブだけでも十分に楽しめる “手軽な旅行車” という位置づけの車両である。
 だから、 「キャンピングカー」 という仰々しい呼び方をせずに、アネックスでは 「ミニマムRV」 と呼ぶ。

 今回、送っていただいた資料は、なんと社内で討議された 「コンセプトメイク」 のメモ。

 本来なら、それを翻訳する形でこちらが記事化するのだけれど、今回は、ビルダー内部でどのように新車開発の議論が進められるのか、その様子が伝わってくるものなので、原案に近い状態のものを掲載させてもらうことにした。

リコルソSSテント

《 トレンド分析 》

【現状】
・ 大型車から小型車への流れが世界的に見られる。
・ ハイブリット車の販売が好調。
・ PLAZA 大阪において、小型車の引き合いが多くなっている。
・ 二酸化炭素削減のニュースが頻繁に流れる。

【今後の読み】
小型のキャンピングカー。しかも低燃費。

《 キーワード設定 》

【スマート】
大きなエンジン、大きな車体、いかにも燃費の悪そうな車は賢い選択といえないのではないかと疑問を感じ、低燃費車がこれからのスマートな車だとお考えの方にアピール。

【スモール】
バブルなんてとっくの昔に過去のもの。 “いつかは○ラ○ン” というフレーズも過去のもの。背伸びするのではなく身の丈 (たけ) にあった暮らしを楽しみたい。

【ちゃんと】
チープな作りは好まない。
センス良く、しっかりした品質のもの。

リコルソSS室内1

【エコ】
地球に対してローインパクトな車。

《 コンセプトのABC 》

【A、顧客】
・ 50代以上のご夫婦。
・ 旅行は好きだけれど、キャンピングカーを買うほど入れ込んではいない。
・ 自宅の駐車スペースはごく普通の乗用車でちょうどの大きさ。
・ ミニバンと同程度の予算。
・ 軽四では満足しきれない。

【B、提供する便益】
お二人で使うにはちょうど良い大きさ。普段の足にも十分抵抗感なく使える。

【C、確たる理由】
・ 全長4400mm×全高1800mm程度。
・ 車両本体価格 270万円未満 (税込み)
・ エンジンは1600cc、コンパクトカーと同じレベル。
・ 乗車姿勢も自然。 (ハイエースは座席位置が高すぎる)

リコルソSS室内2

《 ストーリー 》

【起】 異常気象などが頻発し、二酸化炭素による地球温暖化の影響が心配されています。   
【承】 そして、二酸化炭素の排出量の中でも大きな比率を占めるのが自動車です。
【転】 私たちキャンピングカーに関わるものとして、何かできることはあるのでしょうか?
【結】 ANNEXが、21世紀の地球を考えて提案するミニマムRV……RICORSO-SS。

リコルソSSテント

 ……なるほど。スタッフ会議などでは、新車のイメージをこういうふうに練り上げていくのだな…と分かる。
 基本的には、雑誌などを制作する編集会議と変わらない。

 まず、時代の流れを分析。
 次に近未来社会 (のマーケット) を予想。
 そして、キーワードを固め、ターゲットユーザー (雑誌なら読者層) を定める。

 商品開発というのは、みなそのように進んでいくのだけど、この 「リコルソSS」 の場合は、比較的、開発陣の “思想的練り上げ” の部分に比重がかけられていると感じた。
 つまり、商品にまつわる “物語” をつくろうとしていることが伝わってくる。

 それが、たとえば、 「キーワード設定」 に表れた次のようなフレーズ。

 「バブルなんてとっくの昔に過去のもの。 “いつかは○ラ○ン” というフレーズも過去のもの。背伸びするのではなく身の丈 (たけ) にあった暮らしを楽しみたい」

 ここで行われようとしているのは、ハイグレードなライフスタイルを盲目的に極めようとする上昇志向からの 《決別》 である。

 高度成長からバブルの時代にかけて、 「豊かな生活」 とは、常に 「まだ実現されていないもの」 だった。
 だからこそ、それが人々の勤労意欲をドライブするエネルギーとなり、日本の経済発展の駆動力となった。

 しかし、 「今はそのような時代なのか?」 という問いかけが、この 「キーワード設定」 には含まれている。

 すでに、先進国では、モノがあり余っていたのではないか?
 にもかかわらず、先進国の大企業は、消費者に一種の “精神的飢餓” のようなものを与え、 「足りていても満たされない」 という擬似的な欲望のループに消費者をハマらせていたのではないか?

 そして、そのような近代社会の資本主義的な前進運動が、逆に人と自然を疲弊させ、「本当の豊かさ」 を見失わせていたのではないか? 

 そういう眼差しが、このアネックスさんの新車開発メモからは感じられる。

リコルソSSリヤ収納

 「身の丈にあった暮らしを楽しみたい」 というこのキャンピングカーの思想は、ことなかれ主義とか、縮み志向などといった発想とはまったく無縁である。
 逆に、 「今の生活の中から、新しい豊かさを探そうよ」 という、発想の転換を示唆するインパクトが秘められている。

 キャンピングカーが新しいライフスタイルを創るという信念がなければ、こういう発想は生まれない。

 幕張ショーでは、まずアネックスさんに座布団一枚!


campingcar | 投稿者 町田編集長 21:27 | コメント(0)| トラックバック(0)

不況に強いRV

 (社) 日本オート・キャンプ協会さんが発行される月刊紙 『オートキャンプ』 には、RVランドの阿部和麿さんが執筆される 「Campingcar Critique」 という連載エッセイが掲載されている。

JACオートキャンプ0910

 今日それが送られてきたので読んでみたら、なかなか面白いことが書かれていた。
 その一部を要約してちょっとご紹介してみたい。


 『キャンピングカー・クリティーク第38回』
 「キャンピングカーは不況に強いか?」 by 阿部和麿

阿部和麿氏

 「100年に1度」 といわれるほどの構造的不況が続く中、米国ビックスリーが凋落したり、トヨタ自動車が赤字経営を計上するなど、キャンピングカーと関連が深い自動車産業が、みな荒波にもまれたごとく苦しい航海を続けている様子が伝わってきた。

 「自動車が売れない」 という嘆きを耳にしない日がないほど乗用車の営業不振の続く時代に、キャンピングカーとて例外ではないと思われる方は多いはずだ。
 もちろんこの業界も苦しいことには変わりない。

 ただあくまでも “感触” に過ぎないのだが、どうも乗用車を求めるお客様と、キャンピングカーを求めるお客様では 「客層」 が違うのではないかと思うときがある。

 ご来店いただくお客様からは、不思議なことに、 「不況」 や 「デフレ」 に絡むような会話というのがほとんど出ない。
 それよりも、 「この閉塞的で、うるおいのない時代に、せめてキャンピングカーで元気を取り戻そう」 という期待のようなものを、お客様のお話から感じることが多い。

 考えてみれば、バブルが崩壊してすでに20年。
 この間、いっとき景気が回復したように見えた時期もあったが、総じて、もう高度成長時代のような右肩上がりの上昇カーブを描いて経済が繁栄することのない時代を日本人はずっと生きてきた。

 きっと、この間に人々の考え方が変わったのだ。
 長引く不況を立て直そうと、政治面や経済面での試行錯誤がドタバタと繰り返されているうちに、誰もが気づいたのだ。
 「立て直す前の暮らし方というのが、ひょっとしたら無理な暮らし方だったのではないか?」 と。

 バブルの時代には、本来、商品の品質を表現するはずだった 「ブランド」 が、いつの間にか、所有者の見栄や虚栄を満足させるための 「記号」 として機能し、持っている人が、持っていない人に見せびらかすだけで、 「金持ち」 と 「ビンボー人」 の差がつくような風潮が生まれた。

 そして、その風潮は不況の時代に入ってからも 「勝ち組」 「負け組」 と形を変えて、ますます猖獗を極めた。

 そのことに、誰もが嫌気を感じてきたのがいまの時代なのだ。
 いま人々が求めている生活は、人に見せびらかすために背伸びする生活ではなく、自分や自分の家族の満足が得られる生活である。
 不況の20年を経験して、人々は、ようやく背伸びをしないことの心地よさに気づいたのだ。

 そのことは、近年 「売れなくなったモノ」 を見てみれば分かりやすい。
 たとえば、乗用車でいえば、かつては若者の憧れのマトであったスポーツカーのようなクルマに人気が集まらないという。

 それは、そのクルマのスポーツカーの部分の人気が衰えたからではない。 「カッコいいだろ!」 と所有者に背伸びさせた部分の人気が落ちているのである。

 キャンピングカーは、 「贅沢なお金持ちのクルマ」 のように思われることが多いが、実際に購入される方々で、そんな意識を持っている人たちはほとんどいない。
 むしろ安い経費で、家族と満足を共有できる道具。人に見せびらかすクルマの対極の位置にあるものという認識を持っている。

 だから、ステータスとして成功してきたような乗用車がそっぽを向かれるような時代になっても、ステータスで勝負してきたわけではないキャンピングカーは、比較的、人々の目線に 「好意の情」 がこもるように見えるときがある。

JAC(日本オート・キャンプ協会)発行 『Auto Camp』 第167号より
「キャンピングカー・クリティーク 第38回」


campingcar | 投稿者 町田編集長 22:36 | コメント(2)| トラックバック(0)

マックレー新型車

 東京の幕張で開かれる 「キャンピング&RVショー」 が近づくにつれ、キャンピングカーメーカーの新車情報がいろいろともたらされてきた。
 すでに、いくつかの最新情報を入手しているので、逐次公開していきたい。

 今回は、マックレーさんが展示する新型フルコン (クラスА) のイラストをご紹介。

 Wow カッコいい!

 全長は約7m。
 ベース車は公表されていないが、エンジン出力、走行安定性、架装性のどれをとっても、間違いなく一級品とのこと。
 漏れ聞くところによると、エンジンは3リッター、150馬力のディーゼルターボとの情報も。

 ただ、幕張ショーに間に合うのは、外形のみなのだそうだ。
 もちろん塗装、カラーリングは完了する予定なので、 「国産最強フルコン」 といわれるこの新型車の偉容をたっぷり眺めることはできる。

マックレー新フルコンサイド

 まずサイドビュー。
 風の流れを考えたルーフ曲面のラインが素晴らしい。
 図にはデュアルルーフエアコンが設定されているが、実際に要望があれば、デュアルエアコンの装着も可能らしい。
 これは、室内が相当広くなるので、夏場は、エアコン1台では冷房効果が十分には得られないだろうという判断から来るものだろう。

 ちなみに、このデュアルエアコン駆動を想定したサイン波5.5kWの専用発電機も開発中だという。

 バンクの張り出しを持たないクラスАとはいえ、運転席の頭上にはたっぷりと容積が取られているのが特徴。
 当初はプルダウンベッドの設定が考えられていたらしいが、運転席上にある程度のヘッドクリアランスが取れているため、バンクベッドの設定も考慮されているという。

マックレー新フルコンフロント

 「クラスАは顔が命!」
 フロント部分も大迫力。
 いかにも、クラスАらしい風格がにじみ出ている。
 この図から、ベース車を推測できた人はいるかな?

 リヤ部。
 テールランプ回りの意匠が斬新。
 リヤパネルの処理がどんな形になっていくのか楽しみだ。

マックレー新フルコンリヤ

 室内がどのようなレイアウトになるのか分からないのだが、開発者に教えていただいたのは、
 「軽くて重厚な雰囲気が醸し出せる、付板仕様の最上級家具を使用する」
 というところまで。

 どうやら、サンプルとしてのレイアウトは組むけれど、基本的にはレイアウトフリーという形で、顧客の希望を取り入れたスタイルを実現していく意向のようだ。

 特筆すべきことは、4輪ともスマイルファクトリーがこのクルマ専用に開発したハイスペックバージョンの 「キャンサス」 を装着するというもの。
 4輪独立制御となり、減衰力は8段階調整。ストローク調整も可能というマニアックなものだという。

 とっても期待できる1台。
 もう少し詳しい情報が入り次第、逐一ご紹介します。


campingcar | 投稿者 町田編集長 18:29 | コメント(6)| トラックバック(0)

RVの広報とは

 昨日、あるキャンピングカーメーカーの広告デザインと広報を担当をされている方と、昼食をともにする機会があった。
 話題が、キャンピングカー業界の広報のあり方というテーマになった。

 仕事でヨーロッパを訪れる機会の多い方なので、向こうでは、キャンピングカーがいかに人々の生活と密着しているかという話を教えていただくことができた。

 休暇制度の問題、都市開発の問題、教育の問題。
 切り口は多様な方向に広がったが、話の中で見えてきたのは、日本にはまだキャンピングカーを 「文化」 として捉える視点が確立されていないということだった。

 キャンピングカーが 「文化」 として根づくということは、キャンピングカーが人間の暮らし方に与える影響とか、社会の中で果たす役割などといったものが、ことさら宣伝したり、啓蒙したりしなくても、自然に浸透している状態を指す。

 つまり、メーカーやメディアが、 「キャンピングカーっていいよぉ!」 と強調しなくても、 「そんなこと分かってらぁ」 と、みんなが思っている社会が自然にできあがっていることを意味する。

 歴史の違い、といってしまえば、それまでかもしれない。
 欧米では、キャンピングカーの歴史が乗用車の歴史とほぼ同時にスタートしたのに比べ、日本のキャンピングカーの歴史は、その半分程度でしかない。

 人々の生活を潤す道具というのは、時間が経過すればするほど社会の中にも浸透し、その意義やら効能が、 「文化」 として人々の暮らしの中に定着する。

 そういう社会では、ことさら “キャンピングカーの意義” などを強調しなくても、各部品の機能部分の優劣だけを論じるようなクールなジャーナリズムが成立する余地がある。

 しかし、日本のキャンピングカーは、まだ 「文化」 として成熟していないから、今は 「みんなみんな! こっち見てぇ!」 というホットな 「広報」 が必要なんだ…という方向に話が進んだ。

 ただ、キャンピングカー業界やメディアが、キャンピングカーの意義や効能を宣伝していれば、それだけで普及していくのか? というと、それだけでは足りない…というふうに、話の方向が新しい角度に向けて舵を切った。

 やはり、それはインフラ整備や都市計画などとも無関係ではない。
 キャンピングカーに乗っている人たちが、 「これはいい道具だよ」 と納得しても、その “いい道具” を活用し切れるほど、今の日本のインフラ整備が進んでいるかというと、とてもじゃないが、満足できるレベルに達していない。

 「ヨーロッパはそこが違う」 と、その人は言う。

 ひとつは、都市型キャンプ場の整備という発想が日本にはない。
 パリ郊外には、地方からキャンピングカーでロングバケーションを楽しむために集まってくるキャンプ場などがしっかり整備されていて、キャンプ場の前にある駅から地下鉄に乗れば、2駅か3駅ほどでオペラ座に着く。

 ドイツなどでは、古城めぐりを楽しむ地方からのキャンピングカーユーザーを想定して、無料で、長時間クルマを止めておける広い駐車場が確保されている。

 もちろん、キャンピングカーユーザーの便宜を図るインフラが整備されるかどうかは、キャンピングカーの普及度がモノをいう。絶対数が少なければ、一部の利用者がどのように声を張り上げても、それは 「ニーズ」 として認められない。

 しかし、欧米では、行政が率先してキャンピングカーユーザーの便宜を先取りするような形で、インフラ整備を進めてきたことも事実なのだ。
 それは、 「観光産業の育成」 という、しっかりした国家的目標が確立されていたからだ。

 だから、日本のキャンピングカー業界の広報のあり方として、これからは、ユーザー層にターゲットを当てるだけではなく、行政にも認めてもらえるような、一段進化したものでなければならない、という話になった。

 つまり、今後は、新しい都市開発の基本計画に、キャンピングカーユーザーのニーズを取り込んでもらえるような資料やらデータを揃えて、行政にしっかり提出できるかどうか。
 そして、そのようなインフラを実現することが、地域の観光産業や地場産業を活性化させることにつながることを、どう実証できるか。

 そのようなことを行政に理解してもらえるだけの実態調査と理論構築が必要。
 キャンピングカー業界も、そろそろそういう研究やデータ取りを始めなければならない時期に差し掛かっている。
 昼食の後のコーヒータイムでは、そんな話になった。

 雑談になったとき、ヨーロッパの町造りの話になり、やはり、ここでも塩野七生さんの著書に話が飛んだ。
 ちょっと驚いた。

 実は、昨年の暮れ、やはりあるキャンピングカー販売店の社長さんと話していて、塩野七生さんの話になったことがあったからだ。
 つまり、ヨーロッパの都市開発や交通社会のモデルプランというのは、 「古代ローマからの贈り物」 だと年末にお会いした社長さんは語られたのである。

ローマ人の物語0015

 もちろん、それは塩野七生さんの 『ローマ人の物語』 (全15冊) を読まれた感想からきたものであった。

 古代ローマが、地中海をぐるりと囲む大帝国を建設したときに、まず一番最初に手をつけたのはインフラ整備だった。
 それが道路であり、公共の建築物だった。

 彼らが征服地の異民族に教えたものは、 「都市計画」 だったのだ。

 古代ローマ帝国が各民族に伝えた理念は、宗教でもなく、政治哲学でもなく、町と道路の造り方であったということは、要するに、彼らの統合理念には、物質的な裏付けがあったということである。

 ヨーロッパ人たちが、自分たちの文化に自信を持っているのは、キリスト教の絶対性とか、近代合理主義の普遍性に対する信仰があるからだけではない。

 「自分たちの暮らし方こそ、万人の幸せにつながる」
 という現実的な手応えを、都市計画の成功から信じられたからである。
 それこそ、ローマ帝国の遺産である。

 ……というような話を、昨年の暮れ、あるキャンピングカー販売店の社長さんと交わしたことがあった。

 昨日、昼食をともにした方も、似たような視点で、ヨーロッパの都市計画と交通事情を語られた。
 聞くと、その方も塩野七生の大ファンであると言う。

 キャンピングカー業界で 「塩野七生を好きだ」 という方に、この短い期間の中で、2人もお会いしたことになる。 


campingcar | 投稿者 町田編集長 14:44 | コメント(2)| トラックバック(0)

バニングとは何か

 「キャンピングカーの歴史」 を詳しく述べる資料というものがわが国には少ないのだが、もっと少ないのは 「バニングの歴史」 を語る資料だ。

 キャンピングカーは、今や日本でも一大産業として成長を遂げつつあるが、バニングの方は専門業者の数も少なくなり、どちらかというと、 “過去の遺物” のように見られがちである。

 しかし、日本のキャンピングカーがここまで成長してこれたのは、バニングのおかげといえなくもないのだ。
 なぜなら、国産キャンピングカーは、途中までバニングと同じ進化の系をたどってきたのであり、現在の国産ビルダーの中には、バニングメーカーとしてスタートを切った業者も少なくない。

 初期のバニングを愛した人たちとは、いったいどのような人たちだったのか。
 また、キャンピングカーに比べ、バニングはなぜ途中で成長を止めてしまったのか。

 そのようなバニングの生きた歴史を語れる貴重な人間の一人に、井上章英 (いのうえ・あきひで) さんがいる。

井上章英氏画像
▲ 井上章英さん

 知る人ぞ知る 『キャンプカーマガジン』 の編集長さんである。

キャンプカーマガジン
▲ 「キャンプカーマガジン」 最新号

 井上さんは、実は現在のお仕事に就かれる前に、あの有名なバニング雑誌である 『カスタムCAR』 の編集長を勤めていた時期がある。
 この夏のことであったが、バニングに関して、井上さんから当時の貴重な思い出話を聞く機会があった。

 ここで、その一部をご紹介する。

「カスタムCAR」 の創刊と発展

【町田】 井上さんが 『カスタムCAR』 を手掛けられていた時期は、いつ頃だったのですか?

【井上】 『カスタムCAR』 の編集部に入ったのは1988年でしたね。36歳でした。それから2000年の3月まで。12年間その仕事を続けました。
 雑誌自体は、1978年 (昭和53) に創刊されていました。最初は 『ピットイン』 の増刊という形で出したのですが、けっこう評判がよくて、すぐに定期刊行になりましたね。

カスタムカー表紙
▲ 「カスタムカー」 最新号

【町田】 カスタムカーの編集部に入られたときは、どんなお気持ちだったのですか?

【井上】 当時僕は、 『ピットイン』 のような普通の乗用車雑誌の編集を担当していたんですよ。
 だから、 『カスタムCAR』 に入ったときは、ちょっとカルチャーショックでしたね。

【町田】 どういう意味で?

【井上】 普通の自動車雑誌というのは、自動車メーカーなどが発信する情報を、僕らがまとめて、それを読者に提供するわけですから、編集部と読者との距離が離れているわけです。極端な話、情報はこちらからの一方通行で、読者の顔が見えにくい状況なんですね。

 ところが、 『カスタムCAR』 という雑誌が伝える情報は、ある意味、読者が発信する情報なんです。
 ということは読者 = 取材対象者ということで、編集部と読者の間には双方向の情報の流れが出来ていたんですね。

 つまり、バニングは原則的にワンオフ製作ですから、 “造り手 (メーカー) ” は “お客さん” そのものであり、同時にそれが雑誌の読者でもあるわけです。

【町田】 となると、誌面構成にも読者の意向がかなり反映されてくるわけですね?

【井上】 そうです。 『カスタムCAR』 というのは、いわゆる 「読者が作る雑誌」 の典型だったんですよね。読者と編集部の連絡がものすごく密な雑誌だったんですよ。
 「あの企画が面白かった」 、 「次はこれを取り上げたら?」 というような読者からの感想やら提案がダイレクトに編集部に伝えられてくるんですね。

 土日になると、必ずどこかでバニングクラブのイベントやツーリングがありましたから、その取材のために、前日から会場に入り、酒など飲みながら交流を持つわけです。
 そこで次の号の企画が決まるとかね。

 そんなふうにユーザーが熱心に支持してくれたおかげで、編集部とユーザーのつながりの強い雑誌に成長していったわけです。
 その代わり、編集にタッチした12年間は、ほとんど休みがなしでしたけどね。

【町田】 でも、そういう体験は貴重ですね。読者の注目度の高い雑誌をつくれるなんて幸せですね。

【井上】 ええ。みんな雑誌の隅から隅まで、しっかり目を通してくれるわけですよ。
 たとえば、イベントなどの記事で、写真で紹介しているクルマとはまったく関係ない、その背景に小さく写った別のクルマのアルミホイールのメーカーがどこなのか? そんな問い合わせまでよくもらいました。

バニングカー外装001

バニングユーザーの実像

【町田】 バニングに情熱を傾けていた人たちというのは、どういう人たちだったんですか?

【井上】 基本的には求人雑誌の 『ガテン』 で求人しているような職業の人たちがメインでしたね。よく “ガテン系” なんていっていましたけれど、バブルの建設ラッシュで、金回りのよくなった若い職人さんが多かったですね。年齢的には20代の前半ぐらいでしょうか。

【町田】 ベース車でいうと、どういう車種に乗っている人が多かったんですか?

【井上】 僕がやっていた頃は、6割方ぐらいがハイエース、キャラバンといったワンボックスカーでした。

【町田】 ベース車は、持ち込み架装だったんですか?

【井上】 持ち込み架装もあったけれど、基本は中古車のバンがベース。
 80年代の後半まではハイエース・スーパーロングの72系か、60系のロング。キャラバンのE23、E24もけっこう流行っていました。
 しかし、その後100系のハイエースが出て、流れがガラッと100系ハイエース中心になりましたね。

 僕が辞めてからは、そういうワンボックス系のバニングが4割ぐらいに減って、アメリカのトラッキンやホットロッド、ローライダーのような車種を掲載する比率が増えたように思います。

 面白いもんでね、同じ 『カスタムCAR』 の読者といっても、バニングに乗っている読者はアメリカン・カスタムとかホットロッド、トラッキンなどの記事を読むけれど、アメリカン・カスタムやホットロッドに興味のある人たちは、バニングの記事をあまり読まないんですね。

 アメリカン・カスタムが好きな人たちは、バニングが持つ独特な、日本的なテイストが嫌いだったんでしょうね。逆に言いえば、バニングのユーザーたちは、クルマをカスタムするということに、とても貪欲だったのではないでしょうか。

バニングカー内装001

バニングカーの特徴

【町田】 国産ワンボックス系のバニングの場合、どういう架装例が多かったんですか?

【井上】 まず最初は、基本的なエアロパーツを組み込んで、ホイールを替え、車高を下げる。
 次に、座席を取り外して、シャギー絨毯やチンチラの壁紙で内部を貼りめぐらし、シャンデリアとかソファベッドを組み込むわけですね。

 外装では、車体にエアブラシ・ペイントを施すのが流行りました。
 ペイントのテーマは、ディズニーやドラゴンボールなどのアニメ・キャラか、あとはラッセンの描くイルカが飛び跳ねているようなイラストですね。
 人物だと矢沢永吉、工藤静香、中森明菜……。

【町田】 どのようなビルダーのクルマに人気がありましたか?

【井上】 関西では、やっぱり 「オートボディショップたなか」 さん。…今のアネックスさんですね。
 田中さんのところは、エアブラシも含めていろいろなアイデアが豊富だったんです。FRP製のハート型の窓をリヤゲートのところに付けたりね。

【町田】 エアブラシの絵は、それぞれの架装メーカーさんが描くわけでしょ? それだけ業界には絵心のある人が多かったわけですか?

【井上】 まぁ、絵心のある人を集めたのでしょうけれど、でもやっぱりその中でもうまい人は限られてくるわけで、田中さんのところは上手でしたね。

 ラッセンの、夜の海にイルカが飛び跳ねているような絵柄がアメリカで流行っていた時期に、それを一番最初に日本に持ってきたのは 「ブルーオート」 の青木さんですね。

 「ビークル」 さんとか 「АtoZ」 さんなども、今ではキャンピングカーの大御所ですけれど、昔はきれいなバニングをいっぱい造っていましたね。
 そのほか、秋田の 「ファーストカスタム」 さんとか、川崎の 「荒木自動車」 さん、埼玉の 「プロット」 さんも有名でした。
 後半になってからは、 「ナッツ」 さんのバニングも人気を集めていましたね。

【町田】 井上さんが12年間バニングを見てこられて、最初の方と後半とでは、内装の変化があったのですか?

【井上】 内装素材でいえば、モケットは一貫して人気がありましたけれど、80年代の後半になると、チンチラとか金華山は影を潜めて、代わりに平織りのような、今のキャンピングカーでも使われている素材が出てくるようになりました。
 チンチラとか金華山はデコトラの方にいったようです。

 レイアウトでいうと、ニの字とかコの字ソファが圧倒的に多かったのですが、後半になると、キャンピングカーのような対面対座も出てくるようになりましたね。
 床もシャギージュウタンではなくて、市松模様のクッションフロアとか…。今のキャンピングカーと変わらないようなデザインのものも見るようになりました。

その後のバニング

【町田】 バニングがいちばん盛んだったのは、いつ頃なんですか?

【井上】 1990年代初めから急激に伸び出して、93、94年ごろがピークかな。90年代終盤からだんだん下火になっていったわけです。

【町田】 下火になった理由は何ですか?

【井上】 いくつかあるんでしょうけれど、架装に高額なお金をかける人たちが出てくるようになったんですね。

 最後の方になると、架装費だけで1千万とか1千5百万円などというクルマも出てくるようになったんです。
 そうなると、それについてこれなくなった若者が、次第に距離を置くようになったんです。

 それと、ほんの一部ですけど、暴走族系の連中がときどき幅を利かせるようになったんですね。
 数からいえばほんの一握りなんですけど、やはりそういう連中は目立つわけですよ。
 そのために、ただクルマが好きで、仲間とキャンプしたり、海に行くことだけを楽しんでいた若者たちが引いちゃったんですね。

 だから可哀想でしたよ。
 取材しているとよく分かるんですが、本来のバニング愛好者って、一見やんちゃ風に見えるけれど、みんな良い人間なんですよ。礼儀正しいし、話すと面白い。
 だから、世間の一部で誤解されてしまうことは残念でしたね。

【町田】 バニングユーザー同士のクラブキャンプというのは、どういうものだったんですか?

【井上】 基本的には、みんなで集まって、 「お前のいいね」 「俺のはこういうんだよ」 というようなミニ品評会とか情報交換の場でした。
 仲のよいメンバーが集まると、みんなで和気あいあいと海に行ったり、キャンプをしたりね。

 そのうち結婚して、子供ができたりすると、今のキャンピングカーユーザーの例会と変わらないミーティングになったんじゃないかな。

 ただ、室内で調理をするというようなことはなかったですね。それにトイレを付けているクルマも少なかったと思います。

【町田】 それにしても、バニングの初期の頃からその最盛期まで、その流れをメディアの目を通して眺めて来られた証言は貴重なものだと思います。
 そういうお仕事、楽しかったでしょ?

【井上】 もちろん。編集者としても、自分でいちばん脂が乗っていた時期でしたから、 『カスタムCAR』 という雑誌は、想い出もやりがいも一番あったし、取材などで深くかかわったバニングという世界には思い入れが強いですね。

 関連記事 「バニングの歴史」



campingcar | 投稿者 町田編集長 21:29 | コメント(0)| トラックバック(0)

奥様はまず反対

 ときどき顔を出している地元の飲み屋さんの忘年会があった。
 常連客とその家族も交えたような、気さくで、気楽な会だった。

 奥座敷には、1歳ぐらいの赤ちゃんを伴った若夫婦がいた。
 常連客である私と同じ年の男性の “娘夫婦” だという。

 「こちらね、キャンピングカーの本つくっている人なの」
 …と、その彼が、私のことを娘夫婦に紹介した。

 「え? キャンピングカー!」

 赤ちゃんを抱いていた婿さんの顔が輝いた。

 「僕、すごく興味あるんです。欲しいんですよ」
 と、婿さんはいう。

 「だめだめ、そんな高いもの。それに、私が運転できなくなっちゃう」
 と、すかさず奥さんが反対する。

 奥さんの口元にはにこやかな笑みが漂っていたが、目には “断固許さない” という気迫がみなぎっている。
 きっと、婿さんとの間には、何度も議論があったのだろう。

 「いや、高くないって。ハイエースぐらいなら、安いキャンピングカーがナンボだってあるって」
 と、婿さんは説得するのだけれど、その 「ハイエース」 という言葉自体が、どうも奥さんにはピンと来ないらしく、
 「…んな無理やわ」
 と、主張を変えない。

 「キャンピングカーが高いって、いくらぐらいだと思っていらっしゃいます?」
 と、私はその奥さんに尋ねてみた。

 「1,000万円以上でしょ? うちには無理やわ。それに、そんな大きなクルマが入る車庫なんてないし…」

 う~む。……なるほど。

 この奥さんの反応は、一般的なファミリーが、キャンピングカーというものを考えるときのひとつの典型的なパターンであるかのように思えた。

 キャンピングカーにさほど関心を持たない人たちの、 「キャンピングカー」 という言葉から連想されるものは、 「1,000万円を超えたバカでかいクルマ」 というイメージなのである。

 だから、 「普通の小型ワンボックスカーのようなキャンピングカーもあるし、軽自動車のものもあるし、200万円代から買えるものだってあります」
 とか説明すると、たいていの人は、 「えっ?」 っと不思議そうな顔をする。

 どうやら、巷で普及している 「キャンピングカー」 という言葉と、業界の人たちが使う 「キャンピングカー」 という言葉の間には、けっこうな開きがあるようだ。


 私はキャンピングカーに乗っているユーザーさんたちにも、よく取材をする。

 彼らは、キャンピングカー販売店の人たち以上に商品知識を持っていたりして、話を聞いていると、私などもたじたじとなってしまうことがあるのだけれど、そういうユーザーさんたちとばかりと話をしていると、一般の人々にも相当キャンピングカーというものは認知されているのだろう…と、ついつい錯覚してしまう。

 しかし、実際には、 「キャンピングカーにはどんな種類のものがあるのか」 、それすらも知らない人たちの方が圧倒的に多い。

 この夏、キャンピングカーショーの会場で、キャンピングカーをまだ購入していない人たちを対象に、何を目的にそのショーに来たのかを調査をしたことがある。

 あるファミリーの奥さんはこういう。
 「今日はキャンピングカーを見に来たんじゃないんですよ。ハイエースを見に来たの」

 ハイエース……?

 彼女が指差す “ハイエース” を見てみると、それはハイエースをベースに架装されたバンコンのことだった。
 もちろん、それは立派な 「キャンピングカー」 なのだが、彼女の意識では、それは 「キャンピングカー」 ではなく、 「ハイエース」 なのだ。

ハイエースベースのバンコン 
 ▲ ハイエースベースのバンコン

 で、彼女が 「キャンピングカー」 というものに対して、どういうイメージを抱いているかというと、

 「ほら、ああいうの…」
 
 彼女の指差す方向を見てみると、そこにはバンクを張り出したキャブコンがあった。

キャブコン01
 ▲ キャブコン

 バンコンとかキャブコンなどという、われわれが、ごく日常的に使っているジャンル分けの 「言葉」 自体が、キャンピングカーショーにはじめて来たような人には十分に浸透していないことを痛切に感じた。

 われわれの仕事は、すでに、キャンピングカーに関心を持って、多少なりとも研究している人たちを相手にして、機構解説やら、装備の使い方などを論じているに過ぎない。
 そこに至るまでの人々に対しては、少しも親切な解説をしてこなかったのかもしれない。

 キャンピングカージャーナリズムは、まだまだやるべきことがいっぱい残っているんだなぁ…と改めて思った。

 で、飲み屋の忘年会。
 私のキャンピングカーの話を聞いているうちに、奥さんの目が輝きだした。
 
 「……ああ、そういうことだったら、1台あってもいいのかもしれない」
 と、奥さんの気持ちがかなり軟化してきた。

 喜んだのは、婿さん。
 「今度、どんなキャンピングカーがお薦めなのか、ぜひ教えてください」
 婿さんとは、そういう会話をして、別れた。



campingcar | 投稿者 町田編集長 22:47 | コメント(2)| トラックバック(0)

RVは生き残る

 先週のことだ。
 あるキャンピングカー販売店の社長さんに取材して、一通りの話が終わってから、雑談になった。
 この雑談がとても面白かったので、その中で社長さんがおっしゃったことを、ランダムに記す。

 まず、この世界的な景気後退をどう見るか、という話。

 「モノが売れない」 時代が長く続き、マスコミは既にデフレに突入していることを宣言しているが、そういう時代では、やはりキャンピングカーの販売も難しい状態に陥っている。

 ところが、 「そういう時代だからこそ、キャンピングカーは生き残る」 と、その社長さんは力強く宣言する。

 バブルの頃は、確かにキャンピングカーも売れた。
 しかし、キャンピングカーに限らず、何でも売れた。
 何でも売れる時代というのは、逆にいえば、品物の価値は問われない時代だということでもある。
 
 モノが売れない時代になれば、消費者は買うべきものと、買うべきでないものをシビアにより分けるようになる。
 そして、その商品が、自分のライフスタイルに合うほどの価値を持っているかどうかを、誰もが厳しい視線で見定めるようになる…というわけだ。

 「キャンピングカーは、比較的その価値をアピールしやすい商品だ」
 というのが、その社長さんの意見なのだ。

湖のコマンダー002

 サブプライムローンの破綻、リーマンショック、ドバイバブルの崩壊など、ここのところ立て続けに起こった金融危機によって、人類はようやく、金銭的な豊かさが必ずしも人間の幸せを実現できるものではないということに気づき始めた。
 そして、 「幸せとは何だろう」 という問いかけを内面的に掘り下げる習慣が見についてきた。

 …と、社長さんはいう。

 そのとき、キャンピングカーが内在的に持っている 「家族の交流」、 「夫婦の絆の確認」 、 「自然との調和」 などという文化的メンタリティーが、じわじわと多くの人の意識を捉えていくだろう…と、その人は見る。

 もちろん、ただ漫然とそれを待っているだけでは、物事は進展しない。
 キャンピングカーには、そのような 「価値」 があるということを、地道に広報活動していく結果において、それが達成されるだろうという。

 そのとおりだと思った。

 キャンピングカー旅行というのは、あまたあるレジャーの中でも珍しいくらい同乗者同士が濃密な関係を結び合うレジャーといえる。

 なにしろ、一種の個室状態の “生活空間” が、住人を乗せたまま移動していくわけだから、否が応でも、 “住人同士” の会話を生み、団らんを育み、他者への気づかいを促進する。

 もし、それが固定された家ならば、やがては 「息がつまる」 という事態を招きかねない。
 しかし、旅先で接する新しい景色、食生活の変化、観光による刺激が、常に家族間に新鮮な空気をもたらすため、濃密な家族関係が生まれても、それが煮つまらない。

 その 「集中と発散」 のダイナミズムは、他の旅行形態にないものだ。
 そして、 「それが新しい家族関係の構築につながる」 と、そのキャンピングカー販売店の社長さんは語る。

 人間は 「ときめき」 がないと、相手に心を開かない。
 たとえ家族であろうと、いや家族であるがゆえに、 「ときめき」 を失ってしまえば、他人以上に冷淡な関係に陥ってしまうことがある。

 「キャンピングカー旅行は、その “ときめき” を家族にもたらす旅行形態である」
 …というのが、私とその社長さんの結論となった。

 その人は、また 「旅行の豊かさ」 についても、独自の見解を披露した。
 
 「日本人は旅行に行くと、まず写真を撮る。そして景色を見ない。
 では景色はいつ見るのかというと、旅先から帰ってきて、写真を焼き増ししたときか、もしくはパソコンに画像を取り込んだときに、はじめて確認する」
 
 それでは本当の旅の豊かさは手に入らないだろうと、その人はいう。

 むしろ、カメラを取り出す前に、 「もしかしたら、二度とこの景色を見るチャンスはないかもしれない」 と念じ、心行くまでその景色を “記憶の印画紙” に焼き付けることが大事。

 結果的に、その方が風景を鮮明に思い出すものだ、という。
 そのようなことが、塩野七生氏のエッセイに書かれていたらしい。

 これも、その通りだと思った。

山の景色001

 われわれは、旅に出ると、すぐに写真に撮ったり、土産物を買い込んだりする。

 そのような 「物として残す習慣」 が、もしかしたら、旅の記憶をかえって不鮮明なものにしているのかもしれない。

 旅のだいご味は、もしかしたら 「一回性」 にあるのではなかろうか。 
 二度とこの地を訪れることがないかもしれない…という “切ない” 感慨が、その旅をかけがえのないものにするようにも思う。


 その社長さんは、また、キャンピングカーを使ったヨーロッパ旅行も経験している。 
 そのとき感じたのは、ヨーロッパの都市と道路の見事な整備状況。

 標識が瞬時に読めない日本人でも、定められた規則どおりに走っていけば、まず迷うことはないし、町に入れば、見事に多種間交通の住み分けがきちんとなされていて、安全性が脅かされることがない。

 それを 「交通社会」 という言葉で表現するなら、 「日本には交通社会がない」 と感じたという。

 そこに、社長さんは、古代ローマ帝国の遺産を見るという。

古代ローマの遺跡

 古代ローマは、地中海をぐるりと囲む大帝国を建設したときに、まず一番最初にインフラ整備に手をつけた。
 それが道路であり、公共の建築物だった。

 彼らが征服地の異民族に教えたものは、 「都市計画」 だったのだ。

 古代ローマ帝国が各民族に伝えた理念は、宗教でもなく、政治哲学でもなく、町と道路の造り方であったということは、要するに、彼らの統治理念には、物質的な裏づけがあったということなのだ。

 ヨーロッパ人たちが、自分たちの文化に自信を持っているのは、キリスト教の絶対性とか、近代合理主義の普遍性に対する信仰があるからだけではない。

 「自分たちの暮し方こそ、万人の幸せにつながる」
 という現実的な手応えを、都市計画の成功から信じられたからである。
 それこそ、ローマ帝国の遺産である。

 …とかいう話に興じて、その日は、ついつい取材時間を大幅にオーバーしてしまった。

 キャンピングカーを販売している人々も、さまざまな視点からキャンピングカーを論じるようになったものだ。

 そういう手応えをしっかり胸に秘めて、その会社を後にした。


campingcar | 投稿者 町田編集長 04:25 | コメント(0)| トラックバック(0)

女性ユーザーの声

 日本RV協会 (JRVA) から、ちょっと面白いデータが公表された。
 「女性から見たキャンピングカー」 というもの。

 このアンケート調査は、 「くるま旅クラブ」 に所属するキャンピングカーユーザーのうちから主婦層および女性オーナーを対象として実施されたもので、女性とキャンピングカーのつながりを調べるための24項目が設定され、1,388件の回答が寄せられたという。

 このようなキャンピングカーをテーマにした本格的な女性アンケートは初めての試みであり、業界にとっても貴重なデータだと紹介されている。

 それによると、キャンピングカーに興味を持ったきっかけは、 「ご主人が話題にするようになったから」 という回答が圧倒的に多く、全体の58.4パーセントを占めたのだそうだ。

 昨今、キャンピングカーの購入には奥様の意見がけっこう反映されるらしく、旦那さんが興味を持ったキャンピングカーに対しても、奥さんが 「NO」 というと契約が成立しないという話をよく聞くのだが、奥様の意向が強まったように見えても、購入のきっかけとなる材料は、旦那さんが提供しているという図は変わらないようだ。

サイトのシニアカップル

 面白かったのは、自由回答の中で、
 「私が知らない間に、主人が勝手に購入していた」
 「主人がこっそり準備し、いつの間にか (旅に) 連れ出された」
 という “巻き込まれ型” の購入であったことを告白した女性がいたらしいこと。

 たいていの旦那さん方が、奥さんの承諾を得るために四苦八苦しているらしい昨今、うらやましい殿方たちもいたもんだと思う。

 キャンピングカーを持ってから家族 (夫婦) の話題に変化が生じるようになったか? ということを尋ねたところ、
 「ご主人や家族との間に 『旅』 や 『趣味』 の話題が増えた」
 と答えた女性は57.9パーセントに達し、続いて、
 「キャンプや旅行で知り合った人々との交流が話題になった」
 と答えた人が、21.3パーセントもいたという。

 買ってしまうと、今度は女性の方が楽しくなってしまうという話はよく聞く。
 また、夫婦の間の話題が広がるようになったということは、 『キャンピングカー白書』 のデータをも裏づける形となった。

 この調査では、
 「キャンピングカー旅行中に、自分たち夫婦は相性が悪いと思ったことがあるか?」
 などという質問もなされている。

 それに対する答は、
 「まったくない」 という回答が55.3パーセント。
 「ときどきある」 という回答が39.5パーセント。
 「よくある」 という回答が4.1パーセントだったそうだ。

 どのような場合に、夫婦の相性が悪いと感じたかを尋ねると、
 「旅行中に、見物したり買い物したりする興味の対象が合わない」 (40.0パーセント) 、
 「時間のテンポが合わず、立ち寄り湯の待ち時間などをめぐってイライラする」 (24.3パーセント)
 …だとか。

 夫婦といえども、そこは生きた人間同士。 「男女間のデリケートな課題も内包していることに気付かされる」 と、調査をまとめた感想もコメントされている。

 ほかにも、女性がキャンピングカーを選ぶ基準や、キャンピングカーに欲しい機能や設備などが浮き彫りになったという。

 さらに女性のひとり旅や、女性同士のキャンピングカー旅行に憧れている潜在ユーザーの存在も明らかになったそうだ。

 この調査結果の報告は、次のリリースでも続きが紹介されるようだ。
 どんなデータが出てくるのか楽しみ。

 詳しくは、JRVAのホームページ (↓) を。

 http://www.jrva.com/jrvanews/release/20091214.html

campingcar | 投稿者 町田編集長 01:18 | コメント(6)| トラックバック(0)

車中泊の魅力とは

車中泊画像001

 最近なにかとよく話題になる 「車中泊」 。

 ヤフーでこの言葉を検索すると、331万件。
 グーグルだと53万9千件。

 しかも、 「車中泊」 と3文字入力するだけで、
 「車中泊 グッズ」
 「車中泊 改造」
 「車中泊 ポイント」
 「車中泊 ガイド」
 …などという関連用語がズラリと表示される。
 
 「車中泊」 に付随する言葉がこれだけ細分化されているということからも、それが、ひとつのライフスタイルとして深く浸透している様子が伝わってくる。

 実際、東京モーターショー取材の帰り、東京駅の八重洲ブックセンターに行って驚いた。

 アウトドア関連書籍のコーナーに行くと、キャンプやウォーキング関連の書籍の中に 「車中泊」 と銘打った書籍・ムック類がところ狭しと並べられているではないか!
 本来は 「旅」 か 「自動車」 関連の棚に置かれてしかるべき 「車中泊本」 が、いつの間に堂々と “アウトドア・レジャー” になっていたとは…。

 要するに、 “緊急時の仮眠” とかいう認識を離れて、 《車内で寝ること》 自体が、ひとつのレジャーになったんだな…と、遅まきながら理解した。

 この手の書籍は、知人に借りて読んだり、書店でパラパラと立ち読みしたことはあったが、詳細まで検討したことはなかった。
 1冊取り上げて、拾い読みしてみたら、なかなか面白い。

 ノウハウ本の場合でも、やはりライターのセンスがものをいう。
 たまたま取り上げた本は、その著者ならではの 「車中泊哲学」 のようなものがあって、そこに惹かれて、つい1冊買ってしまった。

 その本の著者は、車中泊旅行を基本的に 「放浪の旅」 と位置づける。
 つまり、予定を決めず、目的も決めず、心の中をかすめていく 「風の言葉」 だけを頼りに、とりあえずエンジンキーを捻る。

 当然、無計画な旅につきもののハプニングが生じる。

 それが 「名物の海鮮どんぶりの売り切れ」 であったり、 「祭りで道路の通行止め」 であったり、 「予約が必要だった渡し船」 であったりするのだが、そのときの 「ヤラレた!」 感こそが、旅のだいご味であり、平板な旅程にピリっとしたスパイスをきかせてくれる…というのだ。

 私なんかが書くと、 「日常から非日常へ」 などという味気ない抽象語を使ってしまうところを、著者は 「海鮮どんぶりの売り切れ」 という具体例で語りかける。
 たぶん著者の頭の中にひらめいた架空例だと思うけれど、イメージが鮮明で分かりやすい。

 ローカル線のわびしい風景写真に添えられたそんなキャプションには、次のような一文が添えられていた。

 「ひなびた風景を気の済むまで眺め続ける。これは最高のぜいたく」

 何気ない一言だけど、都市の景観に慣れてしまった旅人の気持ちを巧みに表現していると思う。

 「 “何もしない旅” がテーマとして成立するのが車中泊」
 …というようなレトリックも、一連の文の流れの中で拾ってみると、説得力がある。

 著者はさらに、こう語りかける。
 「ローカルフードがブームだが、ガイドブックに載っているような店に行っても、観光客が多くて、味も量も都会向けになっている。
 その土地のホンモノの味は、地元の人しか行けないような場所にある」
 
 そんな場所を探す旅も、いざとなったら車中泊できるマイカーでいけば安心…というわけだ。
 …だけど、読んでいてハッと思った。

 なんのことはない。
 このような旅の楽しみ方は、昔からキャンピングカー販売店やメディアがいい続けてきた 「キャンピングカーの旅」 そのものではないか。

 ところが、私がその本を買ったアウトドアコーナーには、車中泊本は10冊以上あったというのに、キャンピングカーの旅を紹介するノウハウ本というのは、ひとつもなかったのだ。

 これでは、 「キャンピングカーの旅」 と 「車中泊しながらの乗用車の旅」 というものの連続性・共通性を意識しない読者がどんどん増えていくのかな…という気もした。

 もちろん、両者はまったく同じようには語れない。

 キャンピングカーショップの中には、マナーやモラルの観点から、 「道の駅」 や 「サービスエリア」 のような公共の駐車スペースを宿泊場所として使うことを全面的に推奨していない店もある。

 というよりも、キャンピングカーというのは、 「道の駅」 や 「サービスエリア」 だけで使うのはもったいないクルマなのだ。

 キャンピングカーは、もちろんミニバンやセダンとは比べモノにならないくらい、しっかりと寝られる本格的ベッドを完備したクルマだが、 “寝るため” だけに造られたクルマではない。
 緑に恵まれたキャンプ場などで、野外に椅子やテーブルを引っぱり出し、大自然の息吹をしっかり呼吸できるようにも造られている。

 さらに、車内で調理もできる車種もあるし、個室トイレを備えた車種もある。
 中には温水シャワー機能を備えたものもある。
 旅先で豪雨の中に閉じこめられても、1日中、車外に出ることなく楽しめるクルマがキャンピングカーだ。

 そういう部分があるために、われわれキャンピングカーの周辺で生きている人間は、ついつい 「車中泊族」 を、 「キャンピングカー予備軍」 のように考えてしまうクセが抜けないのだが、今回 「車中泊本」 を読んでいて、ちょっと考えを改めた。

 「これはこれで、新しい楽しみ方なんだな…」 と思ったのだ。
 …というのは、車中泊ではことごとくスキルアップを要求されるということに気がついたからだ。

 たとえば、 「クルマの中で寝ることを甘く考えてはいけない」 と書かれている。

 乗用車のシートは、凹凸があるために、リクライニングさせてもフルフラットにはならない。
 そのため、その凹凸部分に余分な衣類やクッションを詰め込んで水平出しをしなければならないが、さらにフルフラットなベッドを作りたかったらホームセンターで売っているエアベッドを買って…うんぬん…と書いてある。

 「ああ、コツとワザがいる世界なんだ」 と改めて思った。

 趣味の世界というのは、コツとワザ…つまりスキルが要求されて、それがアップしていくときの達成感があってこそ成り立つ世界である。

 乗用車による 「車中泊」 では、ベッドメイクひとつがもう趣味の領域に入り込んでいるとも考えられる。
 これはこれで、凄いことなんではなかろうか。
 ふと、そう思った。

 キャンピングカーは、ベッド展開をすればたいていフルフラットベッドになるので、 “シートの凹凸に衣類を詰め込む” という発想を必要としない。
 つまり、そういう部分の 「スキルアップ」 は要求されない。

 だから、完璧なベッドを最初から持つキャンピングカーは、 「ベッドができあがった!」 という喜びとは無縁の乗り物であったかもしれないのだ。

 さらに 「車中泊本」 には、 「荷物の積み込みにもテクニックが要る」 と書かれている。
 どのような荷物を、どういう順番でパッキングするか。
 その手順をしっかり把握しておかないと、狭くて暗い車内で、いざ寝ようと思ったときにとっちらかる。
 だから、智恵と工夫を凝らし、事前にしっかりとイメージトレーニングしろという。

 逆にいうと、そこには、上手なパッキングのワザを会得するときの喜びというものがある。

 小型のバンコンや軽ベースのキャンピングカーなら荷物の収納に小ワザを要求されることもあるが、居住性が豊かなキャンピングカーの場合は収納スペースがあらかじめ豊富に用意されているので、荷物の積み込みにさほど神経を使う必要がない。
 その分、荷物をうまく積めたときの達成感というのは、車中泊の人たちよりも薄いかもしれない。

 乗用車の中で寝る場合、当然、夏の暑さや冬の寒さも問題となる。
 ボディに断熱材が入り、ある程度、暑さや寒さをやわらげることのできるキャンピングカーボディに比べ、普通のミニバンやセダンは、車内と車外を仕切るのは、熱伝導率の高い鉄板とガラスだけ。

 その中で寝るというのは、キャンピングカーの快適さを知っている人たちからすれば、 「ご苦労様…」 と、つい一言出てしまうぐらい大変に思えるのだが、 「車中泊本」 には、しっかりと暑さ・寒さ対策も書かれている。
 
 それは、たかだか暑さしのぎの 「熱冷ましシート」 だったり、寒さしのぎの 「保温マット」 や 「シュラフ」 であったりするのだが、状況において使い分けるコツなどもしっかり指導されているので、組み合わせを試しながら、少しずつ自分なりのノウハウを身に付けられるようになっている。

 この点も、特に、断熱効果の高いキャブコンなどのユーザーにとっては、あまり縁のない世界だ。
 ましてやFFヒーターなどを付けた車種ならば、一般的なキャンプ場で冬季キャンプをしていても、まず寒くて寝られないような夜を知らないだろう。

 私はもうキャンピングカーの快適さに身体も心も慣らされてしまったので、真夏や真冬に、乗用車の中で寝ようとは思わない。

 しかし、乗用車で 「車中泊」 する人たちにとっては、ホームセンターやカーショップで売っている身近なグッズを組み合わせて暑さ・寒さをこらえるノウハウを身につけることも、ひとつの喜びになるのかもしれない。

 同時にそれは、モノを選んで買うという楽しみにもつながる。
 それも、ホームセンターや100円ショップで間に合うものが大半を占める。
 キャンピングカーに付加するオプションパーツは、高機能だが高価なものが多い。旅の途中にホームセンターに寄って、簡単に買えるようなものでもない。

 ところが、乗用車の 「車中泊」 の場合は、さまざまな “便利グッズ” を素人の目で選んで、手軽に買えて、失敗しても買い直せるという気楽さがある。

 そう考えると、それはそれで完結した “遊び” なのだ。

 キャンピングカー業者の人たちは、ともすれば、車中泊派がキャンピングカーへ移行していくときの “ハードル” のひとつとして、車両本体の価格差を挙げる。

 もちろん、その部分はそうとう大きいだろう。
 しかし、それだけではなく、一見 “不便な” な乗用車を使い、工夫を凝らして寝る場所を作るということ自体が、もう立派な 「遊び」 になっているとしたら、キャンピングカーの 「快適さ」 ばかり強調しても、それを魅力的に思ってもらえるかどうか…。

 だとしたら、 「車中泊」 の安価で手軽な 「遊び」 に対し、キャンピングカー業者さんたちが、どれだけキャンピングカーならではの 「遊び方」 をプレゼンできるかどうかが、販売を伸ばすカギになるだろう。

 こいつは、ひょっとして大変な仕事かもしれない。
 しかし、それはきっと、やりがいのある仕事に違いない。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:55 | コメント(8)| トラックバック(0)

RVの将来的展望

 秋の 「名古屋キャンピングカーフェア」 を取材してきた。
 この時期のショーというのは、来年2月の幕張ショーの前哨戦という感じだ。
 目を見張るような新機軸を打ち出した 「新車」 というものはない代わりに、次の時代のマーケットをリサーチする意味を込めた “前衛” 的な役割を持ったクルマが多い。

 構想はまだ開発陣の頭の中にとどめているものの、その “匂い” のようなものを漂わせて、来場者の反応を確認する。
 そこから良い感触が得られれば、構想段階にある新車開発にも励みがつく。
 逆に、反応が鈍ければ、そこから練り直しの機会を得る。
 そういう実験的な提案を潜ませているような車両開発の段階なので、メディア受けするネタとしてはインパクトに欠けるかも知れないけれど、ある意味、そこからは、そのビルダーの思想の原型のようなものを感じ取ることができる。

 そのうちのいくつかは、このブログで紹介していきたいと思うのだけれど、「まだオフレコで…」 と念を押されたものもかなりある。
 ネタはいっぱい仕入れたけれど、そのうちの核心に部分は、もう少し時間をズラして公開してみたい。

 で、今日はまだ名古屋ショーの画像を整理していないので、キャンピングカーの実車の話とは関係ない話ね。
 ゴメンネ。

 しかし、キャンピングカーの未来像というものに関して、実はしっかりした手応えを感じたことは事実だ。

 今、自動車産業全体が大きな構造的転換を遂げようとしていることは、さまざまな情報源からひしひしと伝わってくるが、キャンピングカービルダーたちの中にも、そのような流れを敏感に感じてアクションを起こしている人たちもいる。

 「まだ構想段階なので…」
 ということなので、具体的なことは書けないが、あるビルダーの開発者は、ガソリンエンジン車からEV (電気自動車) などに転換を遂げようとしている自動車産業の将来を見据え、すでにパワーユニットが転換した後のキャンピングカー構想に着手しているということを語った。

NHKスペシャル自動車革命

 折りしも、今日のNHKスペシャルを観ていたら、 『自動車革命』 というタイトルで、 「スモール・ハンドレッド 新たな挑戦たち」 というシリーズの2回目を放映していた。
 それによると、今アメリカや中国、インドなどで電気自動車を開発・生産している小メーカー (スモール・ハンドレッド) がものすごい勢いで伸びているという。
 
 中国進出を狙っている日産自動車の幹部が、そのような中国の町工場で造られた電気自動車に試乗してみたところ、 「自動車としての完成度はけっして高いものではないが、EVならではのトルクとか加速感においては目を見張るものがあり、あなどれない存在だ」 と驚いたとか。

 何よりも、航続距離が300㎞という数値がすごいという。
 もちろんそのためには大量のバッテリーを搭載することが前提となり、そうなれば車重は2トンを超える。
 そのようなEVが、そのまま実用化される見通しが立つのかどうか分からないが、なにしろ中国はEV開発には欠かせないリチウム電池の元になるリチウムの資源が豊富。

 資源大国という地理的条件を背景に、中国のEVが世界マーケットに進出してくる可能性はきわめて高い。
 このようなEVは、パーツ点数もガソリンエンジン車の10分の1ですむから、今までの車両開発のノウハウをさほど必要としない。

 番組では、それを 「既存の大手メーカーが自動車開発に携わる時代の終焉」 と捉えていた。
 
 内燃機関からバッテリーへという自動車のパワーユニットの転換は、私たちが考えている以上に、ひょっとして早いのかもしれない。
 なぜなら、アメリカの投資家筋が、すでにそこに新たなビジネスチャンスを見出して、早くもEV開発に関わる利権の網の目を張り巡らせようとしているようなのだ。

 問題は、自動車のパワーユニットが転換するというだけにすまないことだ。
 グーグルでは、電気自動車が各家庭の動力源となる時代を見据えているという。

 これは 「スマートグリッド (賢い電力網) 」 という考え方で、たとえば太陽光発電などでつくられた電力が余ったときはEVにため込み、逆に電力が必要なときはEVから住宅に送り込むというもの。
 EVが住宅の蓄電池となって、電力の自給自足に大きな役割を果たすというものらしい。

 要するに、自動車が単なる移動手段以上の役割を負わされる時代が構想されているのだ。
 NHKスペシャルのナレーションは、それを 「産業革命以上の人類史における大革命」 と表現する。

 そのような時代に、キャンピングカー業界も、否が応でも巻き込まれる時代が来ているのかもしれない。

 あるビルダーの開発者の一人は、 「EVならば、何もメーカーの供給するベース車に頼ることなく、自分たちでも造れないことはない」 と言い切った。

 中国で、わずか創業6年の歴史しかない町工場の電気自動車が、日産自動車の開発する電気自動車と張り合う時代だ。
 けっして無謀な構想ではないのかもしれない。

 実際に、EVが収益の柱に育つのは2020年頃だといわれている。
 あと10年はかかりそうだが、自動車ジャーナリストの多くは、この流れは確定的だといっている。

 自動車が大きく変ろうとしている時代。
 その動きに、キャンピングカー業界もけっして遅れをとっていない。

 関連記事 「EVの現在と未来」



campingcar | 投稿者 町田編集長 22:53 | コメント(4)| トラックバック(0)

トイファクトリーがグッドデザイン賞を獲得

《 同社のソーラーシステムに社会が注目 》

 民主党政権が誕生してから鳩山首相が唱えた 「温室効果ガス排出量の25%削減」 が話題を呼んでいる。
 今のところ、産業界からの反発も一部あるようだが、海外の政治指導者やメディアはこれを高く評価しているようだ。
 いよいよ世界的な規模で、地球の温暖化を防止する声が高まる時代が来たといえよう。

 すでに乗用車メーカーは、ハイブリッドカーや電気自動車などの量産化を進めており、大きなストライプで環境保全へのステップを踏み出している。

 キャンピングカー業界でもその方向性をいち早く先取りし、開発車両に二酸化炭素 (CO) の排出量低減を目指したエコシステムを積極的に採り入れてきたメーカーがある。
 日本のトイファクトリーは、世界的な規模でみても、その問題に最も真摯に取り組んできたメーカーの一つに違いない。

 同社は、これまでも自動車のエンジンから排出されるCOの低減を意図して、ヒーター/エアコンの使用を抑えるための 「断熱対策」 を心がけてきたが、今年になってからは、独自のソーラーシステムを開発することで、クリーンエネルギーの確保を追求してきた。
 それにより、アイドリングストップ、燃費向上、COの排出量低減が実現され、同社のキャンピングカーは、業界でもひときわ先進的な試みが追求されたクルマであるという認知を受けてきた。

トイファクトリーソーラーシステム01

 その同社が開発したソーラーシステムが、このたび財団法人日本産業デザイン振興会による 「グッドデザイン賞」 を獲得。同社が進めてきた環境対策技術に、より一層社会的な注目が集まることになった。

グッドデザイン賞マーク09

《 フォルムと一体となった新デザイン 》

トイファクトリーソーラー車02

 キャンピングカーには電気が不可欠だ。
 各種照明、電子レンジ、テレビ、冷蔵庫、冷暖房などの恩恵に授かりたいときは、いずれも電気の力を借りることになる。
 ところが、その電気は、バッテリーに蓄電されたものしか使用できない。
 再度蓄電して使用するとなると、エンジンを作動させてベース車のオルタネーターから発せられた電力をサブバッテリーに蓄電するか、もしくは発電機などに頼るという方法しかなかった。

 ところが、それらは、基本的には車両のアイドリングに頼るか、発電機のエンジンを駆動することによって電力を得る方法なので、騒音と環境汚染がつきまとってしまう。
 キャンプ場でAC電源を引くといっても、それも基本的には重油を焚いて得られる電力なので、大きな目でみれば、化石燃料を燃やすことによって得られる電気であることには変わりがない。

 トイファクトリーが開発した 「ハイエース用ソーラーパネルアタッチメント&システム」 というのは、太陽エネルギーを採り入れることによって、化石燃料を燃やすことなく、クリーンでかつ継続的な燃料供給を実現した発電システムのことをいう。

トイファクトリーソーラー車02

 キャンピングカーにソーラーパネルを取り付ける発電システムは、これまでも採用例があるが、従来のものは四角いソーラーパネルをそのままルーフに載せただけのもので、空力特性も悪く、無骨感の漂うものでしかなかった。

トイファクトリーデザイナー01
 ▲ トイファクトリーのデザイナーたち

 同社のソーラーシステムは、このソーラーパネルの搭載を前提としたエアロフォルムを企画段階からデザインしたところが違っている。

 これにより、ソーラーパネルを積んでいるのかいないのか分からないほど自然なフォルムが実現されたばかりでなく、キャンピング車としての構造要件や機能を効率よく満たすためのトータルデザインが完成している。同社のハイエースが 「グッドデザイン賞」 の対象となったのも、そこのところが評価されたからにほかならない。

トイファクトリーデザイナーたち

 このソーラーシステムは、ベース車両のオルタネーターとソーラーパネルの両方から充電ができる 「ハイブリット充電システム」 になっているところに特徴があり、エンジン停止中も、ソーラー発電によってキャンプ装備用のサブバッテリーと、車両のメインバッテリーの両方に充電できるようになっている。

 日中太陽が出ていればどこでも発電し、絶えずバッテリーに充電しているので、夜間に電気を使用しても、それが枯渇する不安から解放される。

トイファクトリーソーラーシステム03

 トイファクトリーでは、このソーラー発電システム一式を自社で活用するにとどまらず、他社のキャンピングカーにも標準装備できるようにして、キャンピングカー全体の 「無公害電力供給」 を目指している。

《 キャンピングカーも地球との調和が必要 》

 同社の藤井昭文社長は、こう述べる。

 「地球温暖化による異常気象が頻発する中で、社会は今、豊かさを保ちながら地球と調和する新しいライフスタイルを考える時期に来ています。
 キャンピングカー製作も例外ではありません。
 地球環境保全のために行動が求められる今、トイファクトリーは、暮らしの豊かさを満たしながら自然環境にも配慮することをテーマとしてソーラーシステムを開発してきました。
 そして、開発のスタート時点から私たちスタッフにあったのは、製品に結実させたデザイン性と機能性を、業界の枠を超えたステージで発表し、アピールしてみたいという思いでした。
 その絶好の機会として選択したのが今回のグッドデザイン賞へのチャレンジです。
 幸いにも、われわれのルーフソーラーシステムは1次審査、最終審査をクリアし、グッドデザインエキスポでの一般公開を経て、グッドデザイン賞授賞の栄誉をつかむことができました。
 ここに至るまでに、私たちは、明日の開発につながる多くのことを学ぶことができました。
 チャレンジすることで、スタッフの士気も大いに上がりました。
 そしてそれこそが、今回のグッドデザインチャレンジで得た最高の成果だったと考えています」

 このエコシステムの開発により、車両のアイドリングストップやCOの排出量低減が実現されたばかりでなく、ユーザーにとっては燃費向上、消費電力の節約など、数々の経済効果を得ることになる。

 京都議定書に掲げられた目標年の2012年に向けて、全ての企業に温室効果ガス削減努力が求められる時代になった。
 キャンピングカー業界でも、それに向けた車両が開発され、さらに、それがグッドデザイン賞を獲得した意義はきわめて大きい。


campingcar | 投稿者 町田編集長 15:17 | コメント(2)| トラックバック(0)

転換期に立つRV

関西キャンピングカーショー

 「関西キャンピングカーショー2009」 に行ってきました。
 そこで気づいたことは、ミニチュアダックスフンドの多いこと。

 隣りの館でペットショーが開催されていため、そちらから流れてきたお客さんも多いせいか、会場には犬連れ来場者の姿がいっぱい。
 よく見ると、犬種としてダックスフンドが多いのです。
 「大阪はダックスの町だな」
 …と、妙に感心してしまったのです。

 帰って来て、カミさんにそう言ったら、
 「あなた、去年も同じことを言っていたわよ」
 と指摘されちゃいました。

 ま、うちで飼っている犬がミニダックスなので、ついつい同じ犬種に目がいってしまうのでしょうね。

クッキー幼少期01

 同じ犬種でも、犬はよく見るとみな違った風貌をしています。
 それぞれの飼い主にはみな見分けがつくのですが、あれだけ同じ種類がいっぱいいると、中には似た顔同士のワンコも出てくるんですね。 

 そんなとき、飼い主たちが、リードをベンチの脚かなんかにつないで買い物したりしたときに、ふと、隣りの犬を間違って連れて行ったりしないかしら。

 会場にあれだけ人間が多いと、犬だって、飼い主の顔とか匂いをはっきり区別するとは限りません。

 犬は犬で、 「あれ、うちのご主人…こんな顔だったっけ? こんな匂いだっけ?」
 と、半信半疑に別の飼い主の家まで帰り、
 「なんか家の様子が違うな…。引越しでもしたのかな…」
 などと思いながら、まぁ、それでもお互いに平和に、つつがなく新しい生活を始める……。

 そんなことって、あり得ないでしょうかね。

 ……さて、少し文体を変えて、ちょっとショー会場で感じたことをレポート。

大転換期を迎えたRV業界

 キャンピングカー (RV) 業界は、今、奇妙な戸惑いの中にいる。
 とてつもない 「鉱脈」 にぶち当たったのに、それを、どう掘り進めればいいのか。
 その手前で、焦燥とも、興奮ともつかぬ胸騒ぎの中で、途方に暮れているような気がする。
 今回のキャンピングカーショーで、いろいろなビルダー・販社の方々と話しているうちに、そう思った。

 日本RV協会 (JRVA) が発表した08年度の販売状況を見ると、あの原油価格の高騰、世界的金融危機という逆風の中で、国産キャンピングカーに限っていえば、昨年度の販売台数は、その前年よりも上回ったのだ。
 乗用車販売が4年連続の前年比割れを起こしていたことを考えると、これは驚異であるかもしれない。

 しかし、その内実を見ると、不思議な現象が起きている。

 「8ナンバー以外のクルマが売れている」

 つまり、法的に 「キャンピングカー」 として登録しなくてもよいクルマが、昨年は飛躍的な台数を伸ばし、それがキャンピングカー登録のできる従来の “8ナンバー車” の販売的な落ち込みをカバーしたのだ。

 具体的にいうと、シンク (流し) の存在やベッド寸法などの規定において、キャンピングカーの “定義 = 構造用件” にとらわれないクルマが、昨年から今年にかけて、大きな売れ筋として浮上してきたのである。
 それも、その主力は小型車。

 これは、4ナンバー登録の軽自動車キャンパーが増えたことで顕著になった傾向でもあるが、それ以外のベース車でも、ダウンサイジング傾向は見られる。 
 ハイエースでいえばスーパーロングではなく、ロングワイドやナローボディのクルマだ。

 今、比較的コンスタントに売れているこれらのクルマは、ワゴンライクなシートレイアウトを持ち、簡単な操作で荷室スペースも広くなり、トイレ、冷蔵庫、流し、コンロなどにこだわらない小型のキャンピングカーなのである。

乗用車ベースキャンパー室内01
▲ 乗用車ベース (バン) の簡易キャンパーの室内

 この “説明” は、ある意味で、簡単である。

 つまり、通勤、買い物、ドライブ、キャンプなどマルチにこなすファースカー・コンセプトのクルマが求められる時代になった…というもの。
 裏を返せば、キャンプ専用のキャンピングカーと、日常的に使う乗用車という 「2台保有」 を前提としていた所有形態が、この経済不安が長く続く時代において難しくなってきたということを意味する。

 さらに、もうひとつ考えられることは、ここに来て、裾野が一気に拡大したことだ。
 従来ならば、 “高額商品” というイメージが先行していたために、その購入をハナから考えてもいなかった人々が、軽自動車キャンピングカーや低価格キャンピングカーの存在に気づき、にわかに興味を持ち始めたという事情もある。

軽自動車キャンピングカー
▲ 軽自動車キャンピングカー

 その底辺の広がりが、売価の高い高規格キャンピングカーを求めない人たちの層も厚くした。
 多くの人々の分析は、そこに集約される。

 しかし、そのような説明ではすべてを解明できない、何か新しい変化が起きているように思えるのだ。

 まさに地殻変動のような大きなうねりが起こり始めているのかもしれない。
 そうも思うのだ。

 あるビルダーの社長は、こう言った。

 「今年のゴールデンウィークにテレビを見ていたら、レポーターが高速道路のサービスエリアで、行楽のために車内で寝泊りしていた人々を取材していた。
 そのとき驚いたのは、レポーターが 『車中泊』 という言葉を、何のためらいもなく使っていたことだ。
 『車中泊』 という言葉は、日常用語の中に浸透してきたとはいえ、まだまだそれを “趣味” としていた人々の間に定着した言葉だと思っていた。
 しかし、すでにマスコミは、 『車中泊』 という “ライフスタイル” が存在することに気づいたのだ」

 この社長の驚きはよく理解できた。
 確かに、ワンボックスワゴン、ミニバン、ステーションワゴンあるいは普通のセダンを利用して、高速道路のSAや 「道の駅」 で寝泊りする人たちが激増していることは、相当前からキャンピングカー業界では話題になっていた。

 事実、書店に行くと、 「車中泊」 のノウハウを解説した雑誌、ムック、単行本はすでに新しいコーナーを形成しているし、ネットで 「車中泊」 関連のワードを検索すると、ヤフーで約300万件。
 すでに、 「クルマの中で寝泊りしながら旅をする」 という旅行スタイルが、日本ではしっかり定着してきたことが分かる。

 彼らは “キャンピングカー予備軍” なのか。
 それとも、キャンピングカーユーザーとは永遠に交わらない人々なのか。

 ビルダーの首脳陣が集まる会議などでは、そんな議論もなされてきた。

 たいていの場合、キャンピングカーを購入できるお金が貯まれば、その人たちはキャンピングカーのマーケットに参入してくるという意見が大半を占めるのだが、一方では、 「いや、あれはキャンピングカー的な使い方とはまったく別のライフスタイルを目指す人々だ」 と語る業者さんもいる。

 今のところ、キャンピングカーの構造用件を満たす必要のない小型バンコンの出足が目立つところを見ると、前者の意見の方がマトを射ているように思える。
 一概にはいえないが、それらのクルマは装備品目もレイアウトもシンプルで、その分コストを下げて、売価を抑えている。
 つまりは、現在 「車中泊」 を楽しんでいる人たちのニーズにかなった仕様が実現されたもので、キャブコン、バンコンともに、そういう車種をリリースするビルダーが増えている。

キャブコン01
▲ キャブコン

バンコン01
▲ バンコン

 しかし、あるビルダーの開発者はいう。

 「それで本当にいいのだろうか…。市場が求めるものを造っていくのはビルダーの責務で、そうしなければ食べていけないのも事実だが、これまで積み上げてきたキャンピングカービルダーとしてのスキル、技術的成果といったものが、ほとんど試されない時代になってしまったようにも思う」

 日本のキャンピングカー業界は、ここ10年ぐらいのうちに、欧米先進国とは違ったスタイルの高度な 「RV文化」 を創造してきた。
 そこで造られてきたクルマは、みないかにも日本的な細かい配慮に裏打ちされた、洗練された 「日本様式」 のようなものを確立しつつある。

 だから、ビルダーたちの本音は、 「車内で寝るため」 に特化した “骨組みだけ” のクルマではなく、自分たちの秘術を十分に発揮した “肉付けのある” クルマを正当に評価してほしい、というところにある。

バルミィメイン01
▲ 高規格型バンコン

 ところが、 「車中泊」 というライフスタイルが大きくせり出してきたことによって、従来のキャンピングカー・コンセプトも、大きな修正を迫られそうな空気も生まれた。

 その傾向が、今後のトレンドとしてそのまま定着していくのか。
 それとも、さらに、そこからもっと進化したキャンピングカースタイルというものが発展していくのか。

 多くのビルダーは、確実に売れていく簡易キャンピングカーと、自分たちの技術成果をはっきり謳える高規格キャンピングカーとの狭間 (はざま) に立って、奇妙な戸惑いを感じている。

 私は、こう思う。
 どちらも、アリなのだ。

 戸惑っているのは、実は、ビルダーだけでなく、一般乗用車で 「車中泊」 を楽しんでいる人たちも、また同様に戸惑っているのだ。
 つまり、業界もまたユーザーも、新しく生まれてきた 「車中泊」 という旅行スタイルをどう確立していくのかということに対し、その明確な答を持っていないことにはおいては変りがない。

 そのようなライフスタイルが、この先どういう 「旅行像」 を形成するのか。
 それによって、日本のレジャー産業がどう変るのか。
 また、公共の駐車スペースを利用した場合のマナーとかゴミ問題はどう処理されるのか。

 すべては未知数である。

 だから、このまま手をこまねいていれば、それは既成の観光産業を破壊することにもなりかねないし、旅行のモラルやマナーを低下させることも起こりうる。
 しかし、逆にいえば、新しい観光産業の育成に多大な貢献を果たし、新しい旅行ルールを確立することにもつながる。

 そのような大きなテーマが、やがてマスコミでも採りあげられる時代が来るだろうが、そこでキャンピングカー業界が果たす役割は大きい。

 つまり、 「車中泊」 を “文化” として高めることができるかどうかは、キャンピングカー業界が、今後どのようなクルマを造っていくかにかかっている。
 
 確実にいえることは、 「旅とは何だ?」 というテーマにしっかり答を出したキャンピングカーだけが生き残る。

 構造用件を満たしていない簡易キャンパーだろうが、高い技術水準に満たされた高規格キャンピングカーだろうが、 「旅とは何だ?」 、 「旅することによって何が実現できるのだ?」 という問をいったん深く沈ませ、そこから力強く浮上する哲学を持ったクルマだけが生き残る。

 「何か新しい変化が起きている」
 といった意味は、そのような哲学が必要となる時代が訪れたという意味だ。

 では、その 「哲学」 とは何か。

 ある簡易キャンパーを開発したスタッフは、こう言った。

 「このクルマは、2人しか寝られない。 “2名就寝” といえば、今までは夫婦という単位で考えられることが圧倒的に多かった。
 しかし、このクルマは、男親と息子で乗ってほしい。
 男親が、息子に何かを伝えるという精神風土が日本から消えている。
 古い道徳律を持ち出してベタな説教をしても、もう子供たちはそれを聞く耳を持たない。
 だから、父親が無言で運転してもいい。
 そして、たとえば、釣りのポイント近くで車中泊をして、朝には、黙って息子にも釣竿を渡し、自分が釣り糸を垂れる姿を見せるだけでいい。
 その無言のやりとりこそが、実はしっかりした 『会話』 であることを伝えるのが、このクルマだ。
 だから、ある意味で、お母さんも入れた三角形構造の “家族” を拒否するクルマでもあるのだ」

 挑発的で、大胆な発想である。
 しかし、これもまた、ひとつの 「旅の哲学」 に違いない。
 そして、そのような説明を聞けば、確かに目指すべきコンセプトがそのクルマからにじみ出ていることが分かる。

 また、別のビルダーの開発者は、こう言った。
 こちらは、かなり造り込んだクルマである。

 「運転席とリビングは、ウォークスルーできないように仕切ってある。
 リヤゲートを開けても、そこから車内には簡単に入れないように、わざと後ろ側にも壁を作っている。
 つまり、 “便利さ” を追求することとはまったく逆行したクルマである。
 これが常識に反していることは、自分でも自覚している。
 しかし、そのことによって、自動車の “匂い” から完全に解放された一種の 『リゾート空間』 が生まれた。
 旅が日常性からの解放であるならば、キャンピングカーもまた、自動車から解放されなければならない」

 これも 「哲学」 である。
 
 このビルダーは、そのようなコンセプトが常識とかけ離れていることも自覚して、前後の壁を取り払った普通のレイアウトもレスオプションで用意した。
 しかし、それは杞憂(きゆう) に終わった。
 購入したほとんどのユーザーは、ビルダーの 「哲学」 を支持したのである。

リコルソ2

 「車中泊派」 が、キャンピングカーユーザーの予備軍になるのか、ならないのか。
 そんなことを審議していても何も始まらない。

 「このクルマに乗ったら、何が実現できるのか」
 それを明確にコンセプトメイクできたクルマが、結果的に、 「車中泊」 という新しい旅行スタイルを求める人たちの大鉱脈を掘り始めることができる。
 

campingcar | 投稿者 町田編集長 23:55 | コメント(10)| トラックバック(0)

日本のRVの歴史

 日本に、いつ 「キャンピングカー (RV) 」 なる乗り物が登場し、それがどのように発展していったか。
 それをまとめる仕事を始めて、2年が経過してしまった。

 決してのんびり構えていたわけではないのだが、いろいろな人に取材をして、それを原稿にまとめ、その内容が正しいかどうか再度チェックしてもらうという手順を踏まえていると、ついつい時間がかかってしまう。

 この間、取材させていただいた人々は20人以上に及ぶ。
 今も現役のビルダーの社長さんとして活躍されている人もいれば、すでにリタイヤされて、のんびりと余生を楽しんでおられる方もいる。
 ハンドメイドのキャンピングカーを造り続け、業界とは関係ないところでキャンピングカーの発展に寄与された方もいる。

 「当時のことはおぼろげながら覚えているものの、詳しいことは忘れてしまった」
 という人も多い。
 そういう場合は、年表や資料にも目を通してもらい、じっくりと時間をかけて思い出してもらう。

 なにしろ、国産初のキャンピングカーというものが生まれたのは、1950年代 (昭和30年代) のことだから、今から60年も前のことになる。
 その国産初のキャンピングカーに乗られた方は、すでに亡くなられており、その周辺で活躍され、そのデータを保存されている方々ももう60代~70代という歳になる。

エスカルゴ号001
▲ 国産初のキャンピングカーといわれる 「エスカルゴ号」

 「町田さんがこの資料をまとめておかなければ、貴重な証言が保存されないまま終わるところでしたね」
 取材させていただいた人の中には、そう励ましてくれる人もいた。

 乗用車の歴史をまとめるなら、各メーカーに資料が残っており、データを保存する公的機関もある。
 しかし、個人が手作りでキャンピングカーを造ってきた歴史の長い日本では、それを統括してまとめようとした機関もなく、当然、資料も少ない。
 実作に携わった人たちの証言だけが、唯一の貴重なデータとなる。
 最初は雲をつかむような状態だった。

 それでも、いろいろな証言が蓄積して、縦糸に横糸が絡まるように、徐々に立体化されてくると、おぼろげながらも 「日本のキャンピングカー史」 が浮かび上がるようになった。

 面白い発見がいくつもあった。
 日本のキャンピングカーは、60年代の後半から70年代のはじめに、ひとつの大きな盛り上がりを見せたにもかかわらず、石油ショックのせいで一気にしぼんでしまい、再び興隆するには10年のラグがあったことも分かった。

 その “空白の10年” を支えたものは、ひとつは、個人が自分の乗りたいものを好きなように造ったハンドメイドキャンピングカー。
 そしてもうひとつは、内装・外装をにぎやかにドレスアップしたバニングだった。

 日本のキャンピングカーは、この両者が絡み合い、刺激しあいながら発展してきたのである。
 そして、それらのクルマに、ひとつの理想像を与え、完成度を高めさせたのが輸入キャンピングカーだった。
 
 本書では、それらに携わるヒーローたちが登場する。
 たぶんその人たちが、日本のキャンピングカーを発展させた伝説の人物として記録されることになるのだろうし、そうあってほしいと思いつつ原稿を進めた。

 だから、堅苦しい表現はできるだけ避けて、そういう人たちの熱い思いがそのまま伝わるように、会話形式を重視した。

 「あれは、はっきりとは思い出せないんだけど、たぶん…」
 というような話し方になったときは、その言葉をそのまま使って臨場感を出すように工夫した。
 スタジオ録音ではなく、ライブの感覚。
 そのナマっぽい空気を読みとって、
 「面白かったから一気に読んでしまった」 と言ってくれた人もいた。
 
 すでに9割方のテキストを書き終え、今はその手直しと写真や資料の整理に取りかかったところだ。
 これが発表されるのは秋になると思うが、いまだに上手いタイトルが浮かばない。

 読んでくださった方の中には、 「物語」 という言葉を入れた方がいいという人もいれば、 「キャンピングカーというより、広い意味でのRVの歴史」 と謳った方がいいという人もいる。
 誰もが、 「自分の歩いてきた道のりが、ひとつの資料として後世に残ることを楽しみにしている」 という気持ちを抱いていることだけは伝わってきた。

 しかし、自分はこれを “プロトタイプ” だと思っている。
 この資料が刊行されることによって、ここに登場しない方々からも、さらなる証言や新事実が寄せられることになるだろう。
 そのような声をもう一度収録し、より完成度の高い資料としてまとめあげたときに、ようやく、どこに出しても恥ずかしくない “量産型” の資料が生まれるように思う。

 資料が完成して公開されたあとは、このブログにおいても、少しずつ連載するような形を取りたい。



campingcar | 投稿者 町田編集長 21:36 | コメント(2)| トラックバック(0)

金持ちの贅沢品?

アルファ室内01

 前回のブログで、 「キャンピングカー」 という言葉に代わる言葉として、 「RV」 というのはどうよ?
 …という話を書いた。

 それについて、これまたキャンピングカー業者さんの話なんだけど、 「賛成!」 という人に会った。

 この業者さんは、 「女性の感性に訴えるキャンピングカー」 という路線を戦略的に追求されている業者さんだったが、やはり 「キャンピングカー」 という言葉を使うと、 「誤解される場合が多い」 というのだ。

 どういう誤解かというと、 「キャンピングカー」 という言葉自体に 「高額商品」 というイメージがつきまとってしまい、なかなかその先入観が払拭されないという。

 だから、たとえば主婦たちの集まりで、ある奥さんが 「うちはキャンピングカーを買ったの」 などといえば、
 「ええ!? リッチねぇ」
 「贅沢ねぇ!」
 …という、賛辞とも嫉妬とも取れる過剰な反応を呼び起こし、そのあと、影でこそこそっと 「あそこのうちは、お金持ちよねぇ」 とか言われてしまうことが目に見えているので、うっかり 「キャンピングカー」 という言葉は使えない…という主婦がけっこういるんだそうだ。

 まぁ、人気のプリウスが190万円、200万円などと話題になっている昨今、キャンピングカーはその2倍ぐらいの価格帯のところに集中しているクルマが多いので、確かに “高額” という印象を伴うのは事実。

 しかし、車種によっては200万円台、300万円台のものもあるし、就寝機能、荷物の収納機能、炊事機能、断熱性など、トータルに 「快適な旅」 を実現するためのクルマとみれば、決してベラボーに高額なクルマではないのだ。

 ところが、一般的に 「キャンピングカー」 というと、それだけで1千万円越えの高級車として受け取られることが多く、平均的な価格帯はそれよりはるかに安いのに、なかなかその事実が浸透しない。

 この不況下においては、 「贅沢者はねたまれる」 という風潮が横行しているため、誰もが 「お金持ちである」 という誤解を受けたくないという心理を募らせている。
 たとえお金を持っていても、 「人に見られる生活レベルはひたすら質素に」 というのが今の庶民感覚だと、その人は語る。

 つまりは、主婦たちの集まりで、うかつに 「キャンピングカー」 という言葉を出せないところに、今のキャンピングカーが口コミとして広がっていかない理由のひとつがある、という話になった。

 「キャンピングカー」 という言葉自体が 「お金持ちの贅沢品」 と取られるのは、キャンピングカーの利便性やそれによって得られるライフスタイルの変化を考えると、はっきり言って誤解である。

 その誤解を解くためには、いろいろなキャンペーンを展開して、キャンピングカーの金額というのは本当はリーズナブルなものであると広報していくやり方もひとつあるだろう。
 しかし、 「キャンピングカー」 というイメージが、一般的に 「お金持ちの贅沢品」 と思われる風潮が根強いならば、言葉そのものを見直す必要も出てくるかもしれない。

 「RV」 と言い換えることは、個人的には無難かな…と思っているけれど、皆さんはどうですか?


campingcar | 投稿者 町田編集長 22:32 | コメント(4)| トラックバック(0)

RVってどうよ?

アメリカのRVリゾート01

 最近、キャンピングカーを販売している業者さんたちと話すときに、ときどき出てくるテーマのひとつに、
 「キャンピングカーって言葉に代わるものはないか?」
 というのがある。

 つまり 「キャンピングカー」 というと、 「ああ、キャンプするためのクルマね」 と短絡的に受け取られてしまい、キャンプそのものに興味のない人にそっぽを向かれるというのだ。

 ある販売店の人が、キャンピングカーとは関係ないイベント会場で、無差別に 「キャンピングカーに興味ありますか?」 と来場者に尋ねたところ、5人に2人が、 「俺、キャンプファイアーやバーベキューなんかしないもん」 と答えたという。

 要するに、 「キャンピングカー」 という響きから、キャンプファイアーやバーベキューしか連想しない人はいまだに多く、そういう人に限って、 「キャンプ」 というと、山に入ってタキギを集めたり、テントの周りに穴を掘るものだと思い込んでいるという。 

 確かに、キャンピングカーには、キャンプをするために適した装備を持つものが多い。
 しかし、今キャンピングカー業者さんたちが扱っているキャンピングカーというのは、キャンプだけでなく、普通のドライブも十分こなせるし、広い意味で  「旅をするクルマ」 になっている。

 そこのところをキャンプに関心のないお客さんにどう理解してもらえるか。
 それが、一部の業者さんたちの悩みのタネになっているらしい。
 彼らの話を聞いていると、 「キャンピングカー」 という言葉に、自分たちの扱うクルマのカテゴリーを十分に表現していないという “もどかしさ” を感じているという思いが伝わってくる。

 考えてみると、 「キャンピングカー」 という言葉を使うのは、世界の中でも日本だけである。英語文化圏でも 「キャンピングカー」 という言葉が通じるという人もいるが、用語としては、普及も定着もしていない。
 北米文化圏で、日本のキャンピングカーに相当するものを表現するときは 「レクリエーショナル・ビークル (RV) 」 を使うし、ヨーロッパではトレーラーを 「キャラバン」 、自走式を 「モーターキャラバン」 と呼び、いずれも 「キャンプ」 という概念に縛られてはいない。

 クルマに生活設備を積んで、野山で遊ぶことを先に覚えた欧米人に比べ、日本ではオートキャンプ場が整備されてからキャンピングカーが市販されるようになった。
 日本のキャンプ文化の礎が築かれようとしていた時代は、オートキャンプの発展に貢献した人たちと、キャンピングカーに関心を持つ人たちが重なっていたので、キャンプをより便利に楽しく経験するためのツールとして、キャンピングカーという存在はごく自然に認知されていった。

 しかし、欧米においては、キャンピングカーは必ずしも 「キャンプ」 だけを目的としたクルマではない。それは広い意味で、 「旅行のためのクルマ」 である。
 彼らも旅の宿泊場所としてはキャンプ場を使うのだが、キャンプ場そのものが、日本のキャンプ場とはひと味違っていて、キャンプそのものを目的とした場所というよりも、 「自動車旅行のための宿泊施設のひとつ」 という位置づけがなされており、建設される場所も、場内整備も、自動車旅行を前提とした造りになっている。

 私は、最近の日本のキャンプ場というのは、欧米並みの 「宿泊施設」 という条件を立派に満たすものが増えてきたと感じる。場内にお風呂や食堂を備えたところも多くなり、ひと昔前のキャンプ場が持っていた 「汗くさい」 「泥だらけになる」 というイメージとはかけ離れたスマートなキャンプ場が増えたと思う。
 しかし、ある人に言わせると、
 「それは町田さんがキャンプ場を知っているからですよ」
 ということになる。

 「キャンプ場を知らない人からすると、キャンプというのは虫やヘビが寄ってきても気にしない、タフな精神を持つ野人趣味の遊びに過ぎず、難行苦行をいとわない人たちのレジャーと思われてしまうんですよ」
 と、その人は語った。
 そして、結論として 「キャンピングカーという言葉は、野人趣味を持つタフな人たちの “暑苦しいクルマ” と思われがちだ」 という話になった。
 
 だからといって、キャンピングカーを別の言葉に置き換えようとしたとき、果たして何がいちばん適切なのか。
 その有効な答はない。

 「レジャーカー」
 「ピクニックカー」
 「プレジャーカー」
 などという言葉を唱える人もいるが、これほどまでに定着した 「キャンピングカー」 という言葉に、今すぐ取って代わるようにも思えない。

 そのことに気が付いた日本RV協会さんは、もう10年くらい前から 「旅ぐるま」 という言葉を考案して、それを普及させようとした。
 しかし、10年経った今も、キャンピングカーを 「旅ぐるま」 と言い換えている人は少ない。

 だったら、いっそのこと、北米風に 「RV」 といってしまうのはどうか。
 「RV」 という言葉は、レクリエーショナル・ビークル (recretional vehicle) の略で、 「休暇・楽しみのための自動車」 という意味を含み、バンコン、キャブコン、トレーラー、モーターホームすべてを包含する。
 まさにキャンピングカー業者さんの求める概念にぴたりとハマり、この言葉なら、欧米のみならず、世界に通用する。

 実は、キャンピングカーを欧米流に 「RV」 という言葉で表現しようという考え方は前からあった。
 しかし、それが定着しなかったのは、日本では、 「RV」 という言葉がランクル、パジェロなどのSUVやステーションワゴン、ミニバンを表現する言葉として定着し、本来の 「RV」 という概念からズレてしまっていたからだ。

 しかし、1990年代に流行ったような “RVブーム” も一段落し、 「RV」 という言葉から、クロカンタイプのSUVを連想する人たちも、だいぶ高齢化した。今やファミリーレジャーに使う乗用車としては、 「ミニバン」 という言葉の方が主流になり、今ちょうど 「RV」 という言葉が宙に浮き始めている。

 「RV」 という言葉の本来の意味を取り戻すのは、今がチャンスのような気がする。
 そう思いませんか?
 日本 “RV” 協会さん。

 関連記事 「RVって何のこと?」

campingcar | 投稿者 町田編集長 11:09 | コメント(6)| トラックバック(0)

RV千差万別時代

東京CCショー01

 東京・江東区のビッグサイトで開かれている 「東京キャンピングカーショー」 を取材してきた。
 といっても、今回は、あまりクルマを取材していない。
 1日中ぐるぐると会場を回ったが、ほとんど来場者にインタビューしただけだった。

 「何を目的にこのショー来たのか?」
 「キャンピングカーを買うなら、何を優先順位のトップに掲げるか?」
 「今乗っているキャンピングカーを選んだ理由は何か?」
……等々、来場者が “キャンピングカー” というものに何を求め、何を期待して、何を実現できたのか。それを尋ねて回った。

 実に面白かった。
 いやいや、答は千差万別。
 それぞれ、微妙に 「キャンピングカーに求めるもの」 が違う。

 これでは、キャンピングカーのトレンド調査というものが、うまく成り立たないわけである。

 キャンピングカーでいちばん大事な要素として、ある人は 「サイズ」 だという。車庫事情や取り回しを考えると、コンパクトで小回りの利くクルマでないと、購買の対象にならないという。

 別の人がいうのは、 「車内の居住性」 。
 いかに広く、いかに快適に過ごせるか。それが大事。

 旦那さんが、 (カムロード系の) トラックベースの四角い感じがカッコいいといえば、隣りにいた奥さんは 「トラック顔はいや」 という。

 キャンピングカーを買ってから、キャンプ場に行かなくなったという人もいあれば、逆にキャンピングカーを買ってキャンプに興味を持ち、少しずつキャンプ用品を買い揃えるようになった、という人も。

 トレーラーに乗っている人は、 「トレーラーが最高!」 というし、バンコンユーザーは、それを選んだメリットを得々と話す。
 しかし、輸入モーターホームを買っている人は、それでなければ楽しめない遊び方をいろいろと話してくれる。

 話を聞いていると、それぞれみな理屈がしっかり通っており、どんな意見もいちいちうなずける。

 なのに、統計的な答を出そうとすると、ばーんらばら。
 
 これはどう考えればいいのか?
 キャンピングカー文化が熟成期に入ったのだな…と思う。
 
 「こういうクルマを買ったら、こう遊べ」 という押しつけが、もう通用しない時代が始まっているのだ。
 キャンピングカーを持っている人もまだ持っていない人も、それぞれ自分なりの 「使い方のイメージ」 というものをしっかり確保していると感じた。

 ある意味で、今までのトレンド分析などが意味をなさない、新しい文化が生まれてきているように思う。 

campingcar | 投稿者 町田編集長 23:47 | コメント(0)| トラックバック(0)

キューブ2発表会

キューブ2ルームHPより

 先だって、このブログでも紹介した 「キューブ2ルーム」 。
 その記者発表会が日産プリンス東京販売 (東京都・品川区) で開かれたので、行ってきた。
 キャンピングカー専門誌の記者たちも含め、一般誌の報道陣もつめかけた充実した発表会だった。

 このクルマのコンセプトはこのブログでも紹介したし、日産プリンス東京販売のHPにも掲載されているので、ここでは省くけれど、招待されたメディアの反応は上々。
 「ひょっとしたらボンゴフレンディのオートフリートップが出たときのような反響を呼ぶのではないか」 と予測する人もいた。

 今の時代、コテコテのキャンピングカーとはまた違った、このようなライト感覚の “寝られるクルマ” を求める層がすごく増えている。
 その層が、どれだけこの 「キューブ2ルーム」 に反応するのか。
 また、日産プリンス販売とピーズフィールドクラフトが、そういう層にどのような広報活動を行っていくのか。
 非常に興味のあるところである。

 訴求力の高い商品というのは、やはり開発・設計に携わったスタッフの熱い思いがどれだけ投入されるかにかかっている。
 言葉でいうと当たり前のように聞こえるけれど、少し突っ込んでいうと、開発者が、
 「このクルマを造ることによって、どういう世界が生まれるのか」
 というイマジネーションの広がりをどれだけ持てたかどうかで、その商品の “夢” の部分が決定される。

 キューブ2ルームのポップアップ部を製作している 「キャンカーサービス」 の星野社長に、話を聞くことができた。

 星野さんは、日産ピーズフィールドクラフトからの依頼を受けて、ルーフやテント部を実作しているときに、
 「これに乗ったとき、携帯電話の電波の届かないところに行く気になるかどうかがカギだと感じた」
 という。

 面白いことをいう人だと思った。

 現在のわれわれの日常生活では、携帯電話という文明の利器が欠かせない存在になっている。
 それが手元にないと、不安に駆られる人の方が多いだろう。
 しかし、それは逆にいうと、携帯電話が、現代人の生活のリズムをがちがちに縛ってしまったということを意味している。

 しかし、人間には、仕事や規則的な日常生活からちょっとだけ離れ、流れる雲や波のうねりを、ただひたすら虚心に見つめていたいと思うことがある。

 「そういうときに、このクルマで出かけ、ポップアップしたルーフ部に上がって自由な時間を満喫してもらえれば、造った方もうれしい」
 と、星野さんはいう。

 携帯電話から離れたいときは、電源をオフにすればいいのだけの話だけど、それでも電波が届く範囲にいれば、やはり落ち着かない。

 やはり、すべての事柄から完全に 「魂」 をオフさせるには、電波の届かない場所を探すということ自体に意味があるのだとか。

 「このポップアップが開いた空間というのは、本来 (のオリジナルキューブに) はなかった空間なんですね。
 しかし、今度そこにまったく新しい空間が生まれたわけです。
 そこを、どう活用するか。
 たぶん、うまく活用できた人がいれば、そこに新しい自分が生まれていることも実感できるのでは…」
 と星野さんはいう。

 確かに、ポップアップしたルーフに登れば、目線が変わる。
 目線が変わるということは、意識も変わるということだ。

 文筆家の堺屋太一さんは、かつてモンゴル高原を旅したとき、馬に乗って大平原を移動した。
 そして、徒歩や自動車で移動するときの低い目線から離れ、乗馬という高い目線を獲得することで、世界が驚くほど変わって見えることを実感する。
 そのとき、モンゴル人が 「世界征服」 をイメージできた秘密もまた理解できたとか。

 星野さんが、 「新しい世界が生まれる」 と語った意味は、たぶんそれに近いことなのだろう。

 キューブ2ルームのテントは3方向に広い開口部を持っている。
 そこから見た海や山の景色は、きっと体験した人に新しいイマジネーションを与えてくれることだろう。

campingcar | 投稿者 町田編集長 20:16 | コメント(0)| トラックバック(0)

タコスの4B登場

 2009年度も、いつのまにか後半戦。
 夏のキャンピングカーを使った行楽シーズンを控え、各社の新車開発も活発になってきた。
 7月中旬に開かれた 『アウトドアフェスティバル in 信州』 では、タコスさんのブースから初のオリジナルバンコン 「4B」 がデビューした。

4B外装01

 キャッチは 「ウッディ&ブラック」 。

 落ち着いた茶系の木工家具と、一部に本革を用いたブラックシートが、このクルマのインテリアを彩るメインコンセプトだ。

4Bセカンドシート02 4Bコンソール03

 開発者の田代社長によると、追求したかったイメージは、
 「太くて、黒くて、柔らかい」 。
 まさに鉛筆の4Bのイメージ。それがそのまま 「4B」 という車名になっている。
 さらに、「B」 という名称には、ボーイズ、ブラック、ビューティフル、ビーチなど、日に焼けた男の子が元気にアウトドアを楽しむ情景が重ねられている。

4Bリヤビュー04

 そのコンセプトを見事に裏付けるように、リヤゲートを開けると、自転車、小型バイクなどを積めるラゲージスペースが登場。
 遊びのギアを搭載した状態でも寝られるように、2段ベッドもしっかり装備されている。

4B2段ベッド05

 室内は簡単な操作でコの字ラウンジを組むこともできるので、大人数でテーブルを囲んだパーティも可能。ベッド展開すると、長さ3450mm、幅1750mmのフルフラットベッドが誕生する。

 ターゲットユーザーは、ずばり熟年になってもハーレー・ダビッドソンを愛するような 「フォーエーバーヤング」 な人々。

 遊びのギアを積んで、アウトドアを楽しむのもよし。
 小粋に街乗りに使ってもよし。
 気の合う仲間とパーティを開くのもよし。
 マルチに使える万能キャンパー。

 大人になった今も、BOY'Sだった頃の夢を持ち続ける人たちへのメッセージが込められたクルマだ。

4Bダイネット06

 ベース車はハイエース・スーパーロング。
 お値段は、ガソリン特装車 (2WD・4АT) で、3,937,500円 (税込み) から。


campingcar | 投稿者 町田編集長 20:47 | コメント(0)| トラックバック(0)

キューブ2ルーム

 日産キューブって、面白いクルマである。
 カタログでは 「やんちゃで、愛らしい」 と謳っているけれど、トヨタbBのような “悪にいちゃん” の感じはしないし、若者志向のデザインを強調するわりには、不思議とレトロな味があって、近未来っぽい造形とクラシカルなテイストが同居している。

 そんな複雑系デザインのキューブの味わいをさらに先鋭化させた新型バージョンが追加された。
 オリジナルキューブにポップアップルーフを設けた 「キューブ2ルーム」 である。

キューブ2ルームpop外装01 

 …といっても、これをリリースしたのは 「日産ピーズフィールドクラフト」 。
 日産車をベースに数々のキャンピングカーを開発してきた架装メーカーだが、今回の 「キューブ2ルーム」 のコンセプトメイクの徹底ぶりと仕上げの緻密さをみると、日産自動車のラインから流れてきたメーカーメイドの追加バージョンといってもおかしくはない。

 なんといっても、こだわりが凄いのだ。
 オリジナルキューブには、「自然のなかで憩う」 というイメージを追求するために、室内の天井トリムに波紋状の模様が採り入れられている。
 このキューブのアイデンティティともいうべき “波紋デザイン” が、なんと架装したポップアップルーフの天井にも再現されているのだ。

キューブ2ルームpop天井

 「何もそこまで…」 と思ってしまうのだが、「キューブ2ルーム」 の開発スタッフに言わせると、
 「とにかくノーマルキューブのコンセプトをまったく損なうことなく、その機能部分を高めるというのが、このクルマのテーマ。キューブを気に入っているお客さんが、ちょっとでも違和感を感じたら、もう失敗だと思っていた」
 …という。
 そのために、ルーフ高もオリジナルより8㎝だけ高いサイズ内に収め、ルーフ形状においても、ノーマルキューブのルーフをそのままダウンサイジングしたような自然な感じを大切にしたという。

キューブ2ルーム外装02

 このポップアップルーフを持ったキューブの狙いは何なのか?
 開発を担当した日産ピーズフィールドクラフトの畑中一夫常務に聞いてみた。

ピーズ畑中氏01

 「これは、日本で初の “寝られるコンパクトカー” なんです」
 と畑中さんは言う。

 「ポップアップルーフを持つ軽自動車ベースのキャンピングカーは、確かに、しっかり市民権を得て活躍しています。
 しかし、軽自動車より少し大きなものとなると、とたんにワンボックスカーになってしまうんですね。今までは、その中間を埋めるものがなかったんです。
 しかし、このキューブ2ルームは、ワンボックスカーよりは取り回しの良いコンパクトカーのジャンルに収まり、かつ軽自動車よりは1ランク上の走行性能を発揮する “寝られるクルマ” なんです」

 エンジンは、直列4気筒DOHC1,498cc。
 最高出力80kW (109ps) /6000rpm。
 最大トルク148N・m (15.1kg-m) /4400rpm。

 軽自動車に比べると、その動力性能の差は歴然とする。

 「だから、乗っていてストレスがない。足回りも、前のキューブに比べるとより熟成してきて、路面の食いつき感が増した。
 走っていて楽しいというのが、このクルマの大きな特徴のひとつですね」
 と、畑中さんはいう。

 肝心のポップアップルーフの構造はどうなっているのか。

 「開き方は、前ヒンジの後ろ開き。ベッドスペースは縦2m。横1m15㎝。大人2人が余裕で寝られる寸法です。
 テント素材はネオプレイン。この素材だと加工が難しいのですが、3方に大きな開口部を設け、風通しの良さと視界の確保に全力を注ぎました」

キューブ2ルームpopリヤ外装01 キューブ2ルーム上段ベッド01

 テント柄は水色基調の迷彩デザイン。
 この柄も、今までのポップアップルーフでは見なかったもの。キューブの斬新なフォルムに合った柄を選んでいるうちに浮かんできたデザインだという。

 どういう人たちが、この 「キューブ2ルーム」 を必要とするのだろうか。 
 それについて、畑中さんはこういう。

 「寝られるのはあくまでも2人。だから、カップルを対象としたクルマなのですが、普通のキャンピングカーのように、必ずしも“夫婦ふたり”を意識したものではないんです。
 僕のイメージとしては、親父と息子なんてのもアリですね。
 親父が、小学生くらいの子供を連れて、趣味の釣りを教えるクルマとかね。
 最小回転半径は4.6mで、無類に取り回しがいい。
 だから、どんな狭い道も苦にしない。
 リヤにアイスボックスや釣り道具なんか積んで、前の晩から仮眠し、早朝から親父と息子で釣りを楽しむなんて最高じゃないですか。
 もちろん、シニア夫婦の2人旅というコンセプトは十分満たしているし、逆に若い恋人同士でもいい。
 要は、キャンピングカーは大きすぎて、取り回しに負担を感じる。
 …かといって、軽自動車ではエンジン性能にちょっと不満がある。
 そう思っている人たちにはピッタリのクルマではないかと…」

キューブ2ルームFF&サブB キューブ2ルーム運転席

 基本設定は、あくまでも “ノーマルキューブ + ポップアップルーフ” だが、オプションとして、サブバッテリー、FFヒーターなども用意されている。
 セカンドシートを倒せば、かなり広いラゲッジスペースが生まれるので、遊びのための荷物を車内にしっかり収納したまま (上で) 寝られるというのが、このクルマの最大の魅力となっている。

キューブ2ルームリヤゲート

 お値段は、ベースグレードの15Sで、198万円 (税別) 。

 ゆったりくつろげるイメージを追求して、そのデザインコンセプトを 「ジャグジー」 に求めたというノーマルキューブ。
 それのポップアップ版は、ジャグジーの上に 「展望デッキとベッドスペース」 を追加したという感じか。 

キューブ2ルームpop内側 

 関連記事 「キューブ2発表会」   


campingcar | 投稿者 町田編集長 12:08 | コメント(3)| トラックバック(0)

09ガイドの評判

 新しく出た 『キャンピングカースーパーガイド2009 』 。
 なかなか評判がいいようだ。

09CSguide表紙

 …といっても、「贈呈」 という形で送った関係者からの感想なので、悪く言うはずはないのだが、その人たちから送られたメール、電話、ファックスなどでは、
 「いい本になったね」
 と、すべての方から一応の評価をいただいた。

 お世辞だな…と分かっていても、やっぱりうれしい。

09CSガイド見開き01
 
 なお、全国の書店で、10冊規模で置いて下さる書店さんは、下記の通りです。
 もちろん、これ以外の書店さんでも、1冊から3~4冊という規模で扱ってくれています。

【東京】
中央区/八重洲ブックセンター
千代田区/有隣堂秋葉原
千代田区/三省堂有楽町店
お茶の水/丸善お茶の水
豊島区/リブロ池仕入
渋谷区/紀伊國屋南店
渋谷区/紀伊國屋渋谷店
渋谷区/有隣堂恵比寿
玉川/紀伊國屋玉川店
新宿区/紀伊國屋本店
江東区/紀伊國屋豊洲店
品川区/未来屋品川店
品川区/有隣堂目黒店
町田市/有隣堂町田
立川市/オリオンルミネ
立川市/オリオンノルテ

【北海道】
札幌市/CF美しが丘店
札幌市/CFミュンヘン
札幌市/CF新川通り店
札幌市/Rなにわ


【東北】
仙台市青葉区/丸善アエル店

【関東】
千葉市/三省堂SOGO
千葉市/未来屋マリンピ
高崎市/未来屋高崎店
前橋市/紀伊國屋前橋店
越谷市/未来屋レイク店
流山市/紀伊國屋流山店
越谷市/未来屋レイク店
さいたま市/紀伊國屋埼玉店
横浜市/有隣戸塚モデ
横浜市/東口有隣堂
横浜市/有隣堂本店
横浜市上大岡/八重洲ブックセンター京急
横浜市/西口有隣堂
藤沢市/藤沢有隣堂

【中部】
浜松市/未来イオン市野
名古屋市西区/フタバTワンダ
西春日井郡/紀伊名古空港店
岡崎市/未来イオン岡崎

【関西】
木津川市/未来屋高の原
摂津市/西日本DC
大阪市/旭屋なんばCI
都島区/紀伊國屋京橋店
北区/旭屋本店ビル

【中国・四国】
福山市/啓文社PP店

【九州】
福岡市/紀ゆめ博多店
福山市/フタバA福山本
佐賀市/紀伊國屋佐賀店
熊本市/蔦屋書店三年坂
鹿児島市/ミスミオプシア
那覇市/宮脇沖縄本店

 アマゾンでも紹介されています(↓)。
 下記をどうぞ。

 『 キャンピングカースーパーガイド2009 』

 足を運んだ書店さんで見つからなかった場合は、アマゾンからもご購入になれます。

 よろしくお願い申しあげます。

campingcar | 投稿者 町田編集長 12:33 | コメント(2)| トラックバック(0)

09ガイドの発送

09CSguide表紙

 朝、会社に 「キャンピングカー スーパーガイド2009」 の発送用分がトラックで納品されました。
 広告を出稿いただいたり、原稿の校正もお手伝いしていただいたりと、いろいろお世話になったキャンピングカー業者さんに、掲載見本として発送する分です。

 約140冊。
 昼過ぎから、それを封筒に詰め、宅配便のシールを貼って、梱包作業にとりかかり、今ようやく宅配便業者さんに引き取ってもらったところ。

 インスタントコーヒーのカップを下げて、デスクに戻り、
 「ふぅ…」
 と一息入れて、ようやくブログを開いています。

 毎年、この作業が終わると、
 「ようやく手を離れた…」
 という心境になります。

 それにしても、最後の校正を終えて、印刷・製本にかかる日数が3週間。
 今年はゴールデンウィークが中に入ったとはいえ、だいぶ時間がかかってしまいました。
 でも、電話やメールで、
 「新しいガイドが発売されるのはいつですか?」
 と、読者の方々から聞かれるたびに、
 「ああ、待って下さる方がいらっしゃるのだな」
 と、うれしくなります。

 重い本の束をあちこち運びながらの作業で、腰に疲労が溜まってしまい、今はちょっと虚脱状態なんですが、明日から、また新しいスタートです。


campingcar | 投稿者 町田編集長 20:10 | コメント(5)| トラックバック(0)

欧州車の深い快楽

 キャンピングカーの世界では、国産ビルダーの間で、日本市場を意識した日本的なデザインを追求しようという傾向が強くなってきた。
 ようやく、日本においても、欧米的なキャンピングカー文化とは異なる日本独自のキャンピングカー文化というものが育ちつつある…という感慨を持つ。

 しかし、その一方で、輸入車の 「ディープな快楽」 というものを理解する日本人が少しずつ減っていくような寂しさも感じる。

 乗用車もそうだが、キャンピングカーも、それを造った民族の美意識、哲学、価値観などが反映されている。
 それは、ボディや家具を構成する素材や形状を分析しただけでは、見えてこないものだ。
 特にヨーロッパ車のように、長い歴史を通じて形成されてきたものは、文字どおり 「歴史」 を知らないと、本当のことが見えない。

 たとえば、本場ヨーロッパの高級キャンピングカーが持つ、あの恐ろしいような 「快楽」 というものを、まだ日本人は知らない。

 …というか、目の前に提示されても、それを理解することができない。 

 私たちのような、キャンピングカージャーナリズムで生きている人間も、ヨーロッパの高級車を見ると、いとも簡単に 「豪華」 とか 「優美」 とか 「贅沢」 などと形容してしまうが、ふと 「本当の豪華ってものを分かってんの?」 と、自分自身で問うことがある。

ホビー内装01

 たぶん、自分も十分に理解していないかもしれないが、ヨーロッパ車のゴージャス感というものは、商人資本主義以来の500年の蓄積によってもたらされたものだということぐらいは分かる。
 その場合の 「資本主義」 とは、アフリカの希望峰を超えて東洋の富をあさりに行ったり、大西洋を超えて新大陸から金銀を持ち出すという、ヨーロッパ人たちの 「略奪」 を合法化した重商主義経済のことをいう。

 ヨーロッパ先進国というのは、そのような植民地支配を通して、世界の富を強奪するようにかき集め、それによって壮麗な文化を切り開いた。
 それは、けっして誉められたものではないだろう。
 むしろ、被征服者たちの犠牲の上に花開いた “悪の文化” ともいえる。

 しかし、そのような文化には、 「血を吸った文化」 の猛々しさと眩さ (まばゆさ) があり、触れた者をトロリと誘惑する、熟れた果実のような芳香がある。
 そして、自分を大人と思える……すなわち 「偽善者」 であることを自覚した人間だけが味わえる、背徳的な悦びが隠されている。

ヴェルサイユ宮殿01

 このような華麗な資本主義文化を成立させる原動力となったものは、いったい何だったのだろう。

 マックス・ウェーバーの主張した、プロテスタント的な倫理が資本主義の精神を形成したという洞察に異を唱えた学者として、ヴェルナー・ゾンバルトがいるが、彼は、資本主義を発展させた推進力は、 「恋愛」 だと唱えた。

 つまり、18世紀になって花開いたフランス宮廷文化における華麗な 「恋愛ごっこ」 が、資本主義の勃興をうながしたというのである。

 この時代、パリのヴェルサイユ宮殿を中心に繰り広げられた貴族たちの宴では、貴婦人たちや女官たちの歓心を買うために、男たちはあらんかぎりの豪華な文物を手に入れて、女たちにプレゼントした。

 プレンゼントの品々には、全欧州の金銀細工や宝石のたぐいは言うに及ばず、東洋や新大陸の珍奇で貴重な工芸品など、ありとあらゆる世界の富がかき集められた。

 それらの金銀細工や宝石を加工する産業が各地に勃興し、ヨーロッパの製造業は著しく成長した。
 中国や日本の陶器が上流階級の家庭でコレクションされるようになると、それをヒントに、マイセンをはじめ、ヨーロッパ中に磁器工場がつくられるようになった。

マイセンの食器02

 また、貴族のファッションを構成する素材として、レース製品が欠かせないものとなり、フランドル地方のレース編みは、その緻密さと美しさを評価されて、上流階級の間で飛ぶように売れた。

 そのような文物が溢れかえった時代の 「恋愛」 とは、どんなものであったか。

 ヴェルサイユ宮殿で、歴代の王族や貴族の “恋人” として名を馳せた貴婦人たちの呼称を見れば、彼らの恋愛模様というものがよく見えてくる。

 「シャトルー公爵夫人」
 「ポンパドゥール侯爵夫人」
 「デュバリー伯爵夫人」

 みな、それぞれ夫を持つ立派な主婦たちである。

ポンパドゥール夫人肖像01
 ▲ ポンパドゥール夫人 肖像

 彼女たちは、夫を持つ身でありながら、時の権力者たちに取り入るための魅力を存分に発揮して愛人に収まり、夜毎のパーティやサロンを切り盛りして、華麗なる宮廷文化の華を咲かせた。

 貴族たちが群集うの宮廷では、 「結婚」 というものは何も意味しなかった。
 夫人たちは、それぞれ夫とは別の王侯貴族の愛人となることを当たり前のように求め、男たちは、妻とは別の貴婦人たちを当たり前のように恋人とした。
 「不倫」 という言葉すら、何の意味も持たなかった。

 人々が求めたのは、一瞬のきらめきに、すべてを託す忘我の快楽。
 あでやかな官能。
 ゲームとしての恋。

ヴーシェ絵画01

 平民の娘でも、美貌と才覚に恵まれれば、時の最高権力者の愛妾にもなれる。
 そういう筋道を、ポンパドゥール夫人がつけてからは、男女の関係は一気にアナーキーになった。

 性愛、富、権力。
 人間が快楽と感じるもののすべてが、この時代に合体した。
 フランスを中心とするヨーロッパの恋愛文化には、基本的にこのような精神が息づいている。

 かつて作家の五木寛之は、ヨーロッパ社会の中で 「F1」 というスポーツがどのようなものであるかを、こう書いた。

 「F1は、お子様連れで家族ぐるみで楽しみにゆく場ではない。あのエンジン音は、柔らかい幼児の鼓膜には良い影響を与えないはずだ。
 そこは、不倫だの、危険な情事だのと世間から雑音が入ることをものともしない人々が、愛人を連れてゆくような場所なのである」

 アンモラルな表現だが、まちがいなく五木寛之は、ヨーロッパ社会の伝統的な恋愛文化を念頭において、これを書いている。

 ヨーロッパのキャンピングカーというのも、こうした流れの中で造り上げられたものだという。

 元日本オート・キャンプ協会の専務理事を務められた岡本昌光氏は、著書 『キャンプ夜話』 の中で、イギリス国立自動車博物館に保管されているキャンピングトレーラーの第1号といわれる車両を目にして、こう語る。

 「その最古のトレーラーの室内には、貴族の応接間のような格調高い家具が置かれ、窓飾りや、カーテン、壁紙、ジュータンまでもが 『オリエント急行』 のレストランのような豪華な雰囲気を漂わせていた。
 貴族たちは、動く別荘としてキャンピングカーを使い、自分の領地の景色の良い所に置いた。
 彼らはたくさんの召使いや、給仕、料理人を使い、大テーブルには山海の珍味を並べ、美女たちを招待し、最高の酒を味わった」

 この記述を読むと、最古のトレーラーといわれるものが、フランスで華開いたロココの精神の延長線上にあることは明らかだ。
 
 その流れは今も続く。
 たとえば、ホビーのエクセルシオールの天井カーブを見ていると、まるでヴェルサイユ宮殿の天井をそのまま縮小したのではないかとすら思えてくる。

ヴェルサイユ宮殿01 ホビー内装01
 ▲ ヴェルサイユ宮殿 /ホビー・エクセルシオール

 欧州車デザインのキータームは、 「エレガンス」 である。
 これも、貴族文化の流れをくむ言葉だ。
 「優美」 「気品」 「優雅」 …などと訳されるけれど、本来は差別意識の強い言葉だ。

 恋をゲームのように遊んだロココの貴族たちは、何よりも野暮ったさを嫌った。

 「まじめな恋や、一途 (いちず) な恋というのは野暮ったい」

 だから、“まじめにならない浮気” こそがエレガントなゲームとなる。
 彼らが使う 「エレガンス」 という言葉には、そういう響きがある。

 そのような恋を楽しむ場所として、彼らは、自分たちの暮らすスペースを精いっぱいエレガントな意匠で飾った。

 その 「快楽空間」 というものが、どのようなものであったか。

 映画を例に取れば、ルキノ・ヴィスコンティの描く数々の映画に登場する人物像、その背景となる舞台、扱われる文物などに余すところなく描かれている。
 『イノセント』 や 『ルードヴィヒ』 、『山猫』 などという映画には、ヨーロッパ貴族たちが呼吸していた濃密な生活空間の空気が、見事に映像化されている。

ヴィスコンティ「イノセント」
 ▲ ヴィスコンティの 『イノセント』

ヴィスコンティ「ルードヴィヒ」
 ▲ ヴィスコンティの 『ルードヴィヒ』

 現在のヨーロッパ高級キャンピングカーを見ると、さすがにヴィスコンティの映画に出てきそうなバロック、ロココ的なケバケバしさというものは影を潜めている。

ハイマーSクラス02

 内装デザインはモダンになり、中にはSF映画の舞台ともなりそうな未来志向の室内空間を形成しているものもある。
 そして、時代のテーマを忠実に反映したエコロジーコンシャスの装備類や素材などをふんだんに投入し、爽やかで健康に満ちあふれたクルマ造りを志向しているように見える。

ハイマーSクラス04

 想定されるユーザー層は、あくまでも健全な家族であり、幸せな老夫婦。
 そこには、遊戯的な愛を交わし合ったロココの愛人たちの姿は見えない。

ハイマー03

 しかしドッコイである。
 彼らは、そう簡単に 「恋愛空間」 としてのキャンピングカーを手放してはいない。

 ときめき。
 誘惑の蜜の味。
 吐息の熱さ。

 そいつを、目立たないように、こっそりと、しかし確実に、キャンピングカーに忍び込ませている。

ハイマー06

 それは、時には、女体のくびれを連想させるコンソールボックスのアールかもしれないし、セクシーなデザインを与えられたハイネックのフォーセットかもしれない。

ハイネックフォーセット

 それらの形が、見た者をムズムズ…とさせるのは、それを考えたデザイナーにも、営業マンにも、使うユーザーにも、恋愛文化の伝統がもたらす “ムズムズ感” が分かっているからである。
 欧州高級車の 「色気」 というものは、すべてそこから放たれてくるものといえる。


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:58 | コメント(6)| トラックバック(0)

クエスト雅

 昨年開かれた 「RV世界会議」 で、日本を代表するバンコンとして写真で紹介され、世界のRV関係者の注目を集めたクエスト。
 障子と畳という伝統的な日本文化のエッセンスを採り入れた室内造形に、欧米風のRVがスタンダードだと信じていた人たちは大いに好奇心を刺激されたという。

 そのクエストのベース車をスーパーロングからコンパクトな標準ボディに替えたのが、この 「クエスト雅 (みやび) 」  (バンテック新潟)

クエスト雅外装01

 全長・全幅が短くなった分、狭い市街地や温泉街を走り抜けるときもストレスが溜まらなくなった。
 にもかかわらず、和室空間の雰囲気はスーパーロングモデルとまったく変わらず。優雅な温泉旅館に泊まってのんびりする時の、あの落ち着き感が踏襲されている。

クエスト雅内装01大

 そのような、日本旅館でくつろぐ時の快適性を実現するために、FFヒーターから電子レンジ、インバーター、クローゼット、大型換気扇、傘立てに至るまで、すべてが標準装備されている。装備面でも手抜かりのないクルマだ。

クエスト雅内装04

 スーパーロングモデルと違うところは、セカンドシートが廃されて、代わりに機能的なキッチンスペースが設けられたこと。それによって、和室との一体感も強まり、コンセプトもより明瞭になった。
 和室部分からもアクセスできるミラー付きクローゼットがあるため、室内で着替えることも可能。掘りごたつが使える床下収納空間も広々している。

クエスト雅02

 畳と障子で構成される和室風キャンピングカーというのは、過去にも何度か試されたことがあったが、そのほとんどは実験の域を出なかった。
 しかしクエストシリーズは、まれにみる完成度を高め、見事に商品としての自立性を発揮している。
 その理由は、緻密な縦横比の計算に基づいたバランス感覚の良さと、作り込みの緻密さがものをいっているからだ。
 世界に誇れる日本のキャンピングカーが誕生したと思う。

クエスト雅照明

 お値段は。4,935,000円から

※ 『 キャンピングカー スーパーガイド 2009 』 より一部を抜粋。

 
campingcar | 投稿者 町田編集長 10:48 | コメント(2)| トラックバック(0)

手作り用キット

 ハンドメイドキャンピングカーに取り組む人が、また増えているという。
 今のように、キャンピングカービルダーがこれほど多くなかった時代。すなわち1970年代頃は、日本のキャンピングカーは、ほとんどが手作りキャンピングカーだった。

 その後、80年代から90年代にかけて、日本のビルダー数が増えていくに従って、質の高い量産キャンピングカーが安く出回るようになり、ハンドメイドキャンピングカーは一時の勢いを失っていく。

 しかし、ここのところ長引く不況の影響を受けてか、キャンピングカーを安く手に入れるために、再び自分でキャンピングカーを作ろうという人が増える傾向にあるのだそうだ。

 そんなタイミングを見計らってか、大手キャンピングカービルダーのバンテックから、200系ハイエース・スーパーロング用の手作りキャンピングカーキット 「D-BOX」  が発売された。

バンテックキット001

 なにしろ、国産ビルダーとしては、生産規模においても商品クオリティにおいても日本でトップと謳われるバンテック。
 そこが開発したキットには、どういう特徴があるのだろう。
 また、その狙いは何なのか?
 バンテックの開発部に所属する中島宇一郎さんに、話を聞いてみた。

バンテック中島氏01
 ▲ 中島宇一郎さん

【町田】  キットを手掛けるようになったのは、どういう理由からですか?
【中島】  ひとつには、キャンピングカーの普及を目指して…ということが大きいですね。
 いろいろなお客様の話を聞いていると、
 「キャンピングカーが欲しいけれど、まだお金の余裕がないから買えない」
 とか、
 「もう少しお金が貯まってから…」
 と話される方が実に多いんですね。
 そういう方々の要望に応えて、少しでも買いやすい価格帯のクルマを提供したいという気持ちは当然あるのですが、価格を抑えるにも限度があるんですね。
 特に、工賃の部分はこれが目一杯。
 …だったら、お客様に工賃をご負担いただいて、こちらは材料だけを提供するような形をとれば、お安く提供できるのかなと…」

バンテックキット002

【町田】  バンテックさんは、こういうキットの販売は初めて?
【中島】  いえいえ、日本にキャンピングカーが普及し始めた頃、うちでは2000キット以上のキットを販売しているんですよ。
 今回も、そのときの経験を生かして商品開発していますね。

【町田】  実際に、完成車を買うのと、このキットを買って自分で組み立てるのでは、どのくらいの差が出るのですか?

【中島】  たとえば、最近私たちが出した新車で 「フレア」 というバンコンがありますが、その車両本体価格が378万円。
 それを実際に取得するとなると、登録費が別にかかるので、約400万円ぐらいになります。
 ところが、このキットを買っていただいて、ご自分でキャンピングカーを組み立てられる場合は、ざっというと、80万円くらい安く仕上げることができます。
 内訳で言いますと、まずベース車 (ハイエースバン) の料金が値引きを入れて、だいたい200~210万円。
 そして、キットの料金が59万8,000円。
 それに梱包料、送料が多少それに加わります。
 それでも、完成車に比べて、大雑把に80万円程度の差はつきますね。
 少し贅沢したいということで、バッテリー、ヒーターといった充実装備を加味していっても、お客様が負担する額は300万円ぐらい…といったところでしょうか。
 もしベース車を新車で買った場合は、それに取得税や重量税がかかりますから、登録費用が20万円ぐらい加算されますけれど、それでもおよそ320万円。
 登録費用も入れて目一杯高くなった状態でも、300万円台の前半で堂々たるキャンピングカーを所有できます。

バンテックキット003

【町田】 しかし、価格が安いのはいいけれど、作るのが面倒くさいというお客さんもいるでしょうね。
【中島】 そういう方には、弊社で組み立て済みの完成車を販売することもできます。
 しかし、補償に関しては、あくまでもキットとしての補償しかできませんけれど…。
 でも、せっかくですから、“作る喜び” というのも味わってみることをお勧めします。
 というのは、このキットはもうプラモデルの感覚で組み立てられるんですよ。
 工具も、基本的にはマイナスのドライバーが一本あれば十分。
 家具がすべて 「組み立て済み」 になっているんですね。
 天井の吊り棚から、ベッド兼用のシート、テーブル、サイドカウンター、ベッド用マットなど、すべて完成されたユニットになっているんです。

バンテックキット005

【町田】  吊り棚なんかは、どうやって付けるのですか?
【中島】  吊り棚などにもブラケットが付いているので、窓枠のところとルーフのフランジのところに引っかけるだけなんです。
 だから、ハンドメイドとはいいつつも、お客様はただ 「設置するだけ」 でいいんですね。
 しかも、全工程が写真付きの組み立て説明書によって、つぶさに分かるようになっていますし、8ナンバー登録するための改造申請書も付いています。
【町田】  至れり尽くせりですね。

【中島】  床には、すべて家具を固定するためのマーキングがなされていて、それに応じて穴も空いていますから、家具位置を決めるも簡単です。
 その穴に専用のナットを埋めてもらって、それに対して家具側のピンを差し込む。
 そして、家具を固定してピンを差し込んだら、マイナスドライバーでキュッと締めてあげれば、めでたく完了。
 それだけで、すべての家具がしっかり固定ができるようになっています。

バンテックキット004

【町田】  実に簡単ですね。
【中島】  ええ。ただシートベルトの取り付けだけは、やはり保安基準と安全上の問題から床に止めるというわけにはいかないものですから、ボディを貫通する穴を空けていただく必要がありますね。
 その作業だけには、電動ドリルが必要となりますが、それ以外はマイナスドライバーが一本あれば問題ありません。

【町田】  そんなに簡単に組み立てられるのに、家具にはバンテックさん自慢の家具がそっくり使えるというのが魅力ですね。
【中島】  ええ。組み立てるのはお客様であっても、できあがったクルマのクオリティはバンテックの工場から出てくる完成品と変わらないということを訴えていきたいですね。

バンテックキット006

【町田】  バンテックさんには充実した品数を誇るパーツセンターさんもあるわけですから、ユーザーは手作りを楽しみながら、自分のクルマに合ったパーツ探しも楽しめるということになりますね。
 団塊の世代には手先の器用な人が多いから、彼らがリタイヤした後の趣味として、「キャンピングカー作り」 っていうのが流行るかもしれないですね。
【中島】  そうですね。自分好みのクルマに仕上げていくというのは、ハンドメイドでしか味わえませんものね。



campingcar | 投稿者 町田編集長 00:22 | コメント(0)| トラックバック(0)

バルミィ

 大森自動車のバルミィというバンコンは、日本のバンコンデザインのひとつの到達点を示すようなクルマだと思う。

バルミィ外形01

 そのインテリア造形は、一見キャンピングカーには見えない。
 どこかクルーザーか、高級ホテルの室内のような雰囲気が漂っている。

バルミィ内装01大

 特に、09年の春に発表された新型モデルは、基本レイアウトは前モデルのものをほぼ踏襲していたが、シート素材にざっくりした感触を生かした平織りを採用し、未来的なデザインの室内に、少しレトロな味わいを導入していた。
 それがちょうど、このモデルから投入されたLED照明の間接照明的な光の中で、50年代から60年代頃に作られた映画に出てくる“超モダン住宅”のインテリアのように見えた。

バルミィメイン1

 その時代の人々が考えていた近未来というのは、今の人々が心の中に描くような終末論的な彩りに染められた未来像とは異なり、明るく希望に満ちたものだった。

 当時の人々が、思い描いていた奇抜でカッコいい 「未来」 。
 それが、時間の波のくぐり抜けて、眼前に現れているのを見ると、私などの世代は若い頃に見た光景を思い出し、鼻孔いっぱいに甘酸っぱい香りが広がっていくのを感じる。

 この 「レトロ感覚」 と 「未来感覚」 が不思議に融合した不思議な味わい。
 そこに、このバルミィの独自性があると思う。

大森太朗氏01
 ▲ 大森自動車 大森太朗さん

 設計・開発を担当した宮永さんは、特にそういうことを意識したわけではないと語っていたが、 「他のバンコンにはない意匠を創案して、ブランド化を図りたい」 という思いはあったという。
 その意図はうまく実現され、バルミィというクルマをひときわ個性的な輝きで彩ることになった。

宮永氏01
 ▲ 大森自動車 宮永京介さん

 デザインの遊びが先行したバンコンのような書き方になったが、実は、かなり使い勝手を考慮した、実用性の高いクルマであることにも触れなければならない。

 このクルマの特長は、リヤシートの展開が自在なこと。
 通常は横向き3人掛けシートになっているが、上下2段の大型ベッドにもなり、すべて跳ね上げると、キッチンスペースや荷室が広がるという妙味を見せる。

バルミィ08

 マルチルームの扉などにも二つ折り扉が採用されており、開閉する時も場所を取らない。
 また、扉を二つ折りの状態で使うと、 「リビング部」 と 「寝室&キッチン」 を分ける間仕切りとしても機能するために、プライバシーの部分をさらすことなく、ゲストをリビングに招き入れることができる。

バルミィ05

 もうひとつのポイントは、運転席・助手席のシートバックを利用したリクライニングソファ。
 そのままの状態でも対面ダイネットを構成するが、マットを埋め込むだけで変形コの字ラウンジにもなり、フロアベッドにもなるという自在な組合せが可能で、リビングスペースの使い勝手を無類に向上させている。

バルミィ3

 キッチンも楕円型シンクを組み込んだ素敵なデザインでまとめられ、蓋をするとカウンターとして使える。

 このクルマにおいては、デザインの斬新さは、すべて使い勝手の合理性を追求した結果から生まれている。
 そういうバンコンが出てきたことを思うと、日本のキャンピングカーもようやく成熟期に入ってきたのかもしれないという気がする。

バルミィメイン01


 お値段は4,442,000円から。
 
campingcar | 投稿者 町田編集長 05:38 | コメント(0)| トラックバック(0)

ダブスターの物語

 キャンピングカーの商品開発や広告展開の 「ブランド化」 、つまり 「物語性」 の付与が始まっていると前回書いたが、そのひとつの例として、デルタリンクさんの手掛けた 「ダブスター」 というキャンピングカーがある。

dabster外形001

 ハイエースのロングバン・ワイドボディを使い、お洒落なシートやアーバンデザインの家具を投入した “遊び心” に満ちたバンコンである。
 
 ちょっと車高を落としたローダウン仕様。
 デイトナのアルミホイール。
 その風情には、どこかストリート系のファッションにも通じるカスタムカーのテイストがにじみ出る。

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 運転席周りにも、凝ったデザインが施されている。
 シートは、スポーティな印象をかもし出すレザーとパンチングレザーを組み合わせたダブルステッチ&ハードシングルステッチ仕上げ。

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 さらには、 「DVDヘッド」 という見た目のデザイン性と実用性を追求したオリジナルヘッドレストが装着され、ノーマル車との違いを歴然と主張する。

 DVDとは、 「DELTA VAN DESIGN = デルタバンデザイン」 の意味。
 デルタリンクのオリジナル性を主張する新しい 「バンデザイン」 を謳ったものだ。

DVDロゴ01

 このバンコンが、なぜ 「物語性」 を秘めた 「ブランド」 として機能するのか。

 そこには、このクルマの企画を練った山田秀明社長の、ブランド構築に対する並々ならぬ決意と情熱が注ぎ込まれているからだ。

デルタリンク山田氏02

 山田さんは、商品がブランドとして立ち上がるためには、もちろんイメージ戦略が重要であることもしっかり認識している。
 しかし、それだけでなく、ブランドとして機能するためには、商品そのものがしっかりした目的を持ち、その目的に応じた実用性、堅牢性、信頼性を確保することが先決であることも知っている。

 ダブスターが秘めた実用性、堅牢性、信頼性とは何なのか。

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 一見、このクルマはカスタムの流れを汲んだ、ストリートユースを目的としたシティカーのように見える。 
 そういうクルマが、今の若者の嗜好を満たし、キャンピングカーとは違った分野で支持を集めているということも、山田さんはマーケティング調査によって把握している。

 しかし、キャンピングカービルダー&ディーラーとして、商品開発に取り組んできた山田さんにとって、外せないものがあった。

 それは、 「遊ぶ」 「泊まる」 「積む」 というキャンピングカーとしての基本的な機能。
 それがなければ、どんなに若者が憧れるカッコいいバンをリリースしても、自分にとっては意味がないという決意がある。

 つまり、ダブスターというクルマは、山田社長自身がそのクルマを使うことで獲得される、大きな 「夢」 を盛り込んだバンコンなのだ。

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 夢とは何か。

 「僕が学生時代からヨットが好きで、それが縁となってこのキャンピングカーの世界に入ってことは、知っている人も多いかもしれません。
 でもね、本当にやりたかったのはサーフィンなの。
 若い頃、湘南の海に通って、ずっと波乗りをやっていたんですよ。
 しかし、当時はサーフィンブームで人口も多かったし、良い波が来たら、パドルのうまい人がみな先に行って、その波を取ってしまう。
 僕のような駆け出しの若者は、なかなか波が取れないわけ。
 そんな悔しい思いが、ヨットの方に向かわせたけれど、今でもやりたいのはサーフィン」
 と語る山田さん。

千葉の海サーフィン

 ずばり、ダブスターというクルマは、彼がやりたかったサーフィンを実現するときのイメージをベースに造られたバンコンなのだ。

 「このクルマができる前には、それをサーフィンの基地とするために、新しいサーフボードも作っていたんですよ。
 千葉に新しいデルタとしての拠点を作ったのも、あそこならサーフィンのメッカである九十九里に近いという計算もあった」

 山田さんの趣味は、サーフィンだけとは限らない。
 スノーボード。
 そして、バイク。
 そういう遊びのギアを搭載して、 「アウトドアライフを自由に楽しむ」 というイメージが、開発の最初の段階から存在した。

 だから、一見シティ派風に見えるダブスターのインテリアには、実はハードな使用に耐えられるさまざまな工夫が凝らされている。

 フロアには、サーフボード、ジェットスキー、バイクなどを搭載することを前提に、耐候性・耐磨耗性を備えた重歩行用のクッションフロアが使用され、カーペットには、防水効果が高く保温性、断熱性にも優れたアルセポリを裏地に使ったものが採用されている。

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 家具は、傷に強いメラミンを全面的に採用し、モールは、衝撃に強いエボキシ樹脂の削り出し。
 しかし、その出来映えは、新たに塗装したかように自然な仕上がりを見せて、得もいわれぬ高級感を漂わせている。

 目に見えないところに、そっと隠された実用性と堅牢性。

 この都会派的な装いに満ちたお洒落なバンは、ハードなアウトドアユースに耐えられる実力を内側に秘めているのである。

デルタリンク山田氏01

 「スポーツギアを搭載することを前提としたトランポは、みな機能をむき出しにした “素朴さ” を売りにしているようなところがありますよね。
 でも、僕はそれがいやだったんですよ。
 街を走るときは、やはりそれなりにソフィストケイトされた華やかさを発揮したいし、彼女とデートするときの “恋愛空間” としての夢は維持しておきたい」

 そういうデザインコンセプトを持ったバンコンが、すなわち 「デルタバンデザイン」 。 

dabster_in_01

 40歳代の後半を迎えようとしている山田さん。
 しかし、若者たちに混じってサーフィンやスノボーを楽しむことに、彼はまったくためらいを持たない。
 そのためにキャンピングカーの世界に接しているという自負もある。

 開発者の夢を存分に託された商品というのは、放っておいても艶 (つや) がこぼれ出る。
 そこにオーラが生まれ、見る人や使う人に感動を与えることも、山田さんは見抜いている。
 そして、それが、ブランド化には不可欠の 「物語」 によって生まれることを、誰よりも、山田さん自身がよく知っている。

 「ダブスター」 とは、華やかな街の夜景を堪能し、そして海や山のナチュラルな素顔にも接したいという、山田秀明さんの欲張った “生きざま” を投影したひとつの 「物語」 なのだ。

ダブスター看板01

campingcar | 投稿者 町田編集長 01:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

レガード伝説

 もしかしたら、ロデオ以来の “伝説の名車” になるのではないか。
 そんな予感さえ抱かせるすごいクルマの登場である。

 カムロードをベースにしたキャブコンは、レイアウトも装備内容もあらかたのアイデアが出尽くした感があったが、ヨコハマモーターセールスの開発したレガードを見ると、工夫によっては、このシャシーにもまだ豊かな可能性が残されていたのだな…という気がする。

レガード外装01大
 ▲ レガード

 レガードは、居住空間の充実、収納能力の向上、走行安定性の確保などという、それぞれ対処方法の異なる課題を、すべて根底から解決してしまうという途方もないもくろみを持ったキャブコンである。

 まず、そういう発想を持つということ自体が並みのビルダーにはできない。
 ロデオなどの開発で国産キャンピングカー製作の先陣を切り、さらに官公庁や各種企業からさまざまな特装車を受注してきたヨコハマモーターセールスだからこそ、その領域に敢然と足を踏み込んでいくことができたのかもしれない。

 経験は力なり。
 老舗の底力というものを、そこから感じることができる。

レガードリビング01 
 ▲ レガードのリビング

レガードプルダウンベッド01
 ▲ プルダウンベッド

レガード・リヤ2段ベッド01
 ▲ リヤ2段ベッド

 では、居住空間の充実と、荷物などの収納容積の拡大といった相反するベクトルを、このレガードではどう調和させようとしたのか。

 室内面積を単純に追求するだけだったら、リヤオーバーハングを伸ばせばいいということになる。
 しかし、それでは後軸に荷重が集中し過ぎて、走行安定性の確保もままならず、安全性も保てない。

 そこで、ヨコハマモーターセールスの開発陣が考えたのは、ホイールベースそのもののストレッチ (延長) だった。
 そうすれば、後軸に集中する荷重を前軸に分散させることが可能となり、理想に近い重量配分が実現する。もちろん、直進安定性も格段に向上していく。

レガードシャシー02
 ▲ 治具を用いたホイールベースの延長

 ところが、問題も出てくる。
 当然、フレームやドライブシャフトなども延長されることになるので、重量増という問題を抱えることになる。

レガードシャシー01

 そこで、彼らは次の手を考えた。

 もともと、ヨコハマモーターセールスには、地面から上がってくる湿気や水はねを遮断するために、木製床面をFRP製フロアユニットでサンドイッチするという技術がある。
 このフロアユニット機構をさらに緻密化させ、あらかじめ床下収納、タイヤハウス、ステップ、シャワーパン、シートの台座まで一体成形で型取ってしまえば、起伏が多くなった分…つまりリブ構造を採った分、フロア剛性も上がり、サブフレームのコンパクト化が図れるのではないか。
 つまりは、その分、軽量化を詰めていくことが可能となるはずだ。

 …ということで、レガードでは、このフロアユニットを有効活用することによって、スチールフレームなどを削減し、軽量化を押し進めるという手法が採られることになった。

レガードフロアユニット模型01 
 ▲ FRP製フロアユニット

 しかし、レガードの凄みが光るのは、ここから先だ。
 それが、低重心設計。

 キャブコンの走行性を不安定にさせる要因のひとつに、重心高が上がりすぎるというのがある。
 居住空間を水平方向に広げるには、どうしても限度があるために、キャブコンの場合は、バンクベッド、縦長収納庫、さらにはルーフにトランクを積むなど、装備や荷物が垂直方向に積み重なっていく傾向がある。
 当然、重心高が高くなり過ぎた場合は安定性を欠き、走行中のふらつきやコーナリング時の横転なども考えられるようになる。

 ここで、PRP製フロアユニットがレガードに投入されたもうひとつの意味が浮かび上がる。
 このユニットは、低重心設計を追求するためのものでもあったのだ。
 なにしろ、これを設定することによって、室内の一般床面が、フレームの上面から63mmも低位置に設計されたというから、そのもくろみの徹底性をうかがい知ることができる。

レガード外部収納01
 ▲ 低重心設計された各収納庫

 特に収納庫は、のきなみ低重心設計の “洗礼” を受けた。
 2重底となったリヤ大型収納庫の底面などは、ダウンフレーム化することによって一般床面よりも400mm下げられ、リヤ側荷室部分の床面は250mm。ボディ左右の外部収納庫は、一般床面から375mm下げられたという。
 これらの収納スペースの低重心化は、同時に荷物の収納容積の拡大を果たすことになった。

 低重心対策は、それだけではない。
 燃料タンクやスペアタイヤの位置も下方に移設された。
 燃料タンクは標準の高さから50mm。
 スペアタイヤの搭載位置は60mm下げられたというから、ベース車そのものの改良もハンパじゃない。

 バンクを削ぎ落としたのも、軽量化と低重心化を考慮したものであるが、それ以上に、これには風の抵抗をやわらげるという狙いがある。
 ルーフの各コーナーには、R100以上の形状を持たせて、空力特性の向上を図ったというから、何から何まで徹底している。

レガード外装01
 ▲ 空力特性を追求したエアロフォルム

 このような画期的な試みが、何のために行われたのか。
 ヨコハマモーターセールス営業部の平野一幸さんは、それについて、こう語ってくれた。

ヨコハマモーターセールス平野氏01
 ▲ 平野一幸さん

 「レガードは、人間が快適に旅をするには何が必要かという原点に立ち返って開発したクルマなんです。
 たぶん、このクルマが誕生したことによって、キャンピングカーの快適さと安全に対する基準が変わると信じています。
 大きなことをいうと、これから先の社会は、 “モノ” から “ココロ” の時代へと移っていくでしょう。
 そうなると、旅というものが、今以上に人間の心を解放し、人間に豊かな人生を約束するものだという認識が高まっていくでしょう。
 その旅を、いかに快適に、安全に楽しむか。
 レガードはそれへの提言なのです」

レガード外装01

 観光庁も 「ニューツーリズム」 という、地域資源を活用して観光産業を活性化させようという新しい旅のスタイルを国民に呼びかける時代になった。
 レガードというクルマは、そういう社会が実り多きものになることを願った、ヨコハマモーターセールスとしての提案なのだという。

 平野さんは、続けて言う。

 「20世紀までは、道具を進化させれば、人間の幸せも着いてくると信じられた時代でした。
 つまり、道具そのものを複雑にして、その数を増やしていけば、それで人間も安心していられたんですね。
 しかし、その結果、人間は環境に負荷をかけ、有限な資源を無駄に使うことも覚えてしまった。
 もう、そういうプラスにプラスを重ねる思考方法そのものの限界も見えてきたように思うんですよ。
 これからの社会に大切なのは、 “引き算” の思想。
 このレガードは、ベース車のキャパシティを理解した上で、本当に大切な要素を抽出するためには“何を取り除くのか”ということを、引き算で組み立てたクルマなんです。
 …こういう装備を増やせば、さらに便利になるだろうという発想を捨てたんです。
 レガードに投入された技術は、すべてが、大切な要素を抽出するための引き算から導き出された技術です。
 重量を減らす。
 風の抵抗を減らす。
 消費エネルギーを減らす。
 不安定材料を減らす。
 事故を減らす。
 引き算によって、逆に得られる幸せというものがあるはずです。
 それを形に現したものが、このレガードです」

 キャンピングカーは人間の幸せにどう関わっていくのか。
 そういうことについての哲学を持とうとするビルダーが、少しずつだが現れてきたように思う。


campingcar | 投稿者 町田編集長 16:05 | コメント(5)| トラックバック(0)

タコスのWith

 キャンピングカー業界で、女性の店長がいる店となると、まずは増 (ます) ひろ子さんがいる 「TACOS (タコス) 」 が有名。

タコス展示場1 タコス展示場2
▲ タコス展示場

 昨年、新しい展示場を東京・武蔵村山市に構え、社長の田代民雄さんが近くの工場で車両のメンテナンスなどにいそしんでいる間、接客やマスコミへの応対、経理事務などに励んでいる。

 実は、この私もまたタコスクラブのメンバーである関係上、彼女とのつき合いは長い。
 しかし、店長となってからの取材ははじめて。
 同社の新しいオリジナル車 「With (ウィズ) 」 の取材も兼ねて、武蔵村山の展示場を訪ねてみた。

tacos増ひろ子さん01
 ▲ 増ひろ子さん

【町田】  「店長&営業部長」 という重責ですね。大変でしょうけれど、まずはおめでとうございます。
【 増 】  重責だなんて… (笑) 。やっている仕事は昔から同じですよ。
 でも、もう12年もこの仕事を続けているので、キャンピングカーの面白さ、素晴らしさをお客様に伝えること力はつきましたね。

【町田】  ご自分でキャンピングカーを使って旅に行かれることは?
【 増 】  今は残念ながら、本格的なキャンピングカーというものを持っていないんです。
 ステップワゴンに、オーニングとテーブルを取り付けて、旦那さんと一緒にクラブキャンプに行くぐらいで。
 でも、昔は 「チャンプ」 に乗っていましたから、キャンピングカーの旅の面白さというのはよく分かっているんです。
 その頃は、ゴールデンウィークを利用して、10日ほど岐阜、富山、兵庫、広島、小倉あたりまで旅して…。
 本当に楽しかったんですよ。

【町田】  そのクルマをどうして手放しちゃったんですか。
【 増 】  ほら、排ガス規制に引っかかって。
【町田】  それは残念。
【 増 】  だから、下取りのクルマが入ってくると、いつも自分が買う視線で眺めてしまうんですね。
 「あ、このクルマ、絶対自分が乗る!」 …とか (笑) 。
 でも、お客様が欲しがると、やっぱり商品ですから、潔く売らざるを得ない。
 いつもそのジレンマですね。

【町田】  どんなキャンピングカーが好みですか?
【 増 】  私、特にうるさい注文ってないんです。基本的に5mサイズのキャブコンで、個室のトイレがあればいい…という感じなんです。
 そのほかのことは、レイアウトの方に自分の身体を合わせてしまうようなところがあります。
 それよりも、クルマを気に入るということが大事で、気に入ったクルマならば、そんなに使いづらいレイアウトでない限り、私なんかは楽しく使ってしまいますね。

tacosウィズ外形01
 ▲ With (ウィズ)

【町田】  ところで、 「With (ウィズ) 」 という久々のオリジナル車が誕生しましたね。リヤに大きな開口部を持つ大型トランク付き。
 昔から有名だった 「タコス仕様」 の復活ですね。

ウィズバゲッジドア開口部

【 増 】  これはお薦めです! このサイズのキャブコンで、これだけ使い勝手のいい “マルチスペース” を持ったクルマは、そうないと思うんですよね。
 なにしろ、奥行きが1900mm、幅1100mm、高さが1900mm。
 125ccクラスのバイクなら問題なく入りますし、自転車も大丈夫。
 キャンプ道具だって、これぐらいの容量があれば、まず積めないものはない!
【町田】  だいぶトークがお上手になりましたね。

【 増 】  いえいえ… (笑) 。ただ、自分でも欲しいと思うクルマなんですよ。
 自分は個室トイレが欲しい人間なんですけど、これ、リヤのカーゴスペースが引き戸で閉まるので、ポータブルなど置けば、立派なトイレルームになるんですね。
 もちろんベッドにすれば、幅1100mm、長さ1900mmの2段ベッド。
 大柄な私でも、ゆったりと寝られますし、遊びのギアを搭載しなければ、リヤ2段ベッドのクルマともなり、トイレルーム仕様のクルマにもなる…という、まぁ、魔法のクルマ (笑) 。

ウィズリヤ収納スペース01

【町田】  「マルチに使える」 というところが、昔から評判だった 「タコス仕様」 の特徴ですものね。
【 増 】  やっぱり社長の田代の発想がすごいんですよ。特に重量物を載せるときのことを考えて、ウィンチを付けるという発想。
 そのへんは、やっぱり私などには考えつかないことですね。
【町田】  ウィンチはいくらで付くんですか?
【 増 】  オプションで、4万5,000円くらいですね。
 でも、これがあると、いろいろなスポーツギヤを載せたい人とか、ちょっと体力に自信がない女性などは、本当に助かるのではないかしら。

ウィズ外部収納電動車椅子

【町田】  価格的にも魅力的なプライスですよね。
【 増 】  やはり、500万円の前半でナンバーが付いてしまうというのは、お客様にはお買い得感があるのではないかと思うんです。
いっぱい売れるといいな (笑) 。

ウィズ・ダイネット01
 ▲ ウィズ ダイネット

【町田】  ところで、従業員から見た田代社長って、どうですか?
 いつも夜になると飲んだくれている…という印象があるんだけど。

タコス田代社長01
▲ タコス 田代民雄 社長

【 増 】  すごいタフな人ですね。実は、私もよく一緒に飲みにいくんですよ。時には旦那も交えて3人で。
 田代社長は、やっぱり若い頃からバイクやアウトドアでさんざん鍛えてきた人ですから、クルマ造りなども、いつもそれが原点になっているんですね。
 遊んできた人間は、こういうクルマの開発には強みを発揮するということが、そばで見ているとよく分かるんですよ。

【町田】  ああ…。また一緒にキャンプに行きたくなったな。
【 増 】  ええ、ぜひ!

タコス増ひろ子さんVサイン
campingcar | 投稿者 町田編集長 13:20 | コメント(0)| トラックバック(0)

フィールドライフ

 群馬県を拠点とするキャンピングカービルダーの 「フィールドライフ」 さんが、昨年の暮れに新しい工場を設立し、展示場をリニューアルした。
 同社の福島雅邦社長に、その新工場と、装いを新たにした展示場を案内してもらうことができた。

 どの企業も、生産調整を行い、設備投資も控えようとするご時世。
 フィールドライフさんの事業展開は、大胆すぎると思われるところもなきにしもあらず。

 しかし、福島社長は、 「うちが発展することを狙うというよりも、お客様に信頼できる商品とサービスを提供するための当たり前の責務」 と、こともなげに言う。
 そこに、この不況の時代ともいわれる今の情勢下で、それを乗り切ろうとする日本のキャンピングカー業界の力強くも確実な足取りを見ることができた。

 新しい事業展開に着手した福島社長に、その狙いどころと、決意のほどをうかがってみた。

フィールド福島社長01
 ▲ 福島雅邦社長

ルーツ室内=大
 ▲ フィールドライフの看板車種ルーツ・トリップ (室内)

《 充実した工場機能 》

【町田】  新しく工場を建てられた意図はどういうところにあったのでしょう。
【福島】  ひとつは、工場ともなると、やはりFRPなどを削ったりするときの粉塵をお客様に吸わせてしまったりするということも出てくるわけですね。
 社員は、集塵機の前でマスクをするなど防備をするわけですけれど、お客さんはそうでもない。
 だから、あくまでもお客様に迷惑をかけたくなかったということが一つ。
 それと、社内的にいえば、計画生産をする意味においては、工場と展示場を別にすると、工場と販売との収支をしっかり比べたりできるようになるので、目標設定などをやりやすくなるというメリットが生まれますね。

フィールドライフ工場全景01

【町田】  これだけの規模の工場ともなると、日本でも有数なものになると思うのですが、その機能と特徴などを、ちょっとご説明いただけますか?
【福島】  敷地は600坪ぐらいですが、木工家具づくりのブースから、パネルをつくるブース、さらに塗装ブース、組み立てブースなど、基本的にキャンピングカー造りの全行程をまかなえるようになっています。

フィールドライフ工場組み立てブース
 ▲ 組み立てブース。軽キャンパー用で3台収納可能
 
フィールドライフ工場木工ブース
 ▲ 木工ブース。コンピューターでデータ入力して、部材を切り取るNC旋盤が活躍

【町田】  ここで車両のメンテナンスなどもやるのですか?
【福島】  軽整備は展示場の方で行いますが、重整備の場合はこちらに持ち込むことが多いですね。
【町田】  フィールドさんの場合は、単に内装のリフォームや搭載機器のメンテだけでなく、エンジンの積み下ろしまで含む駆動部分の整備もなさいますよね。
 自社工場内でそれだけの整備を行えるキャンピングカーファクトリーというのは、まだ少ないだけに、ユーザーにとっては頼もしいショップだと思えるのですが。

【福島】  レッカー車もあるので、旅の途中に故障してしまった車両に対しても、引き取って面倒を見ることができます。
 さらに、パーツの取り付け、車検、リフォーム…。
 展示場のメンテスペースと、工場の整備機能をフル稼動させれば、まぁ、キャンピングカーに関わるお客様のご要望には、すべて対応できるはずです。

【町田】  工場の新設と同時に、展示場の方もリニューアルされましたね。
【福島】  ええ。これを機に、会社を二つに分けました。
 工場の方は、 「フィールドライフ本社工場」 。展示場は 「キャンピングカーパーク」 という名前で、会社名を 「フィールドライフ販売」 にしました。

フィールドライフ展示場01

《 ユーザーが楽しめる展示場 》

【町田】  展示規模も素晴らしいものですね。ヨーロッパとアメリカの代表的なメーカーのものを揃え、さらに各ビルダーさんの国産車の品揃えも豊富。それにオリジナルが加わって、鉄壁の布陣ですね。

フィールドライフ展示場HPより

【福島】  お客様のご要望も多様化していますからね。ヨーロッパ車としては最高峰のハイマー。アメリカ車では、ニートRVさんが扱うウィネべーゴ。
 世界の一級品を揃えたつもりなんですよ。
 これは、 「常に最高級のモーターホームに触れて刺激を受けてほしい」 という、社員の勉強も兼ねての展示という意味もあります。
 それに、国産車としては、アム・クラフト、インディアナRV、キャンピングカー広島、キャンピングワークス、セキソーボディ、バンテック、ファーストカスタム、レクビィ、ロータスRV販売…。そして当社のオリジナル。
 まぁ、日本でも人気のあるメーカーさんのものは、ほぼ揃えていると思いますね。

フィールドライフ展示場03

【町田】  これだけバラエティに富んだ車種を用意した展示場というのは、最近ではちょっと珍しいくらいですね。
 また、キャンピングカーだけでなく、移動販売車の展示がこれほど多い店というのも、他にはありません。
 それにパーツやアクセサリー関係も充実していますね。
 このような、「キャンピングカーのデパート」 みたいなショップを目指された理由はどんなところにあるのですか?

フィールドライフ展示場02

【福島】  クルマの修理やパーツの取り付けに寄られる方に、とにかく安心したいただきたいということが一つ。
 もう一つは、ここを 「くつろぎの空間」 として楽しんでいただきたいといのがあるんですよ。
 旅の途中にダンプや給水に寄ってもらう。つまり 「旅の中継ステーション」 ですね。
 それだけでなく、ここでキャンプもしてもらう。
 歩いて10分のところに温泉もありますし、食堂やコインランドリーもすぐ近くにあります。
 こういう宿泊システムというものをお客様に提供していくことも、これからはディーラーの責務になっていくのではないかと思っています。

《 団塊世代の参入はこれから 》

【町田】  来店を想定されている 「お客様像」 とはどんなものでしょう。
【福島】  やっぱり目立って増えているのは、団塊の世代あたりに位置する熟年層ですね。
 ただ、彼らが本格的にこの世界に参入してくるのは、もう少し後になるだろうと読んでいるんです。
 というのは、一昨年ぐらいに 「2007年問題」 などといわれて、団塊世代を中心としたマーケットが急激に広がるだろうという観測があったのですが、実際は、それほど力強い動きにはならなかったんですね。
 それには理由があるんです。
 彼らの定年が延長されたり、年金を支給される年齢が65歳なったりして、まだまだ 「現役」 にとどまらざるを得なくなってしまったんですね。
 彼らがこのマーケットに関わるようになるのは、来年、再来年くらいからだろうと思っています。

【町田】  最近のショーでは、新規のファミリー層などの来場も目立ってきていますし、それに団塊世代が加わるようになれば、業界としての展望も開けてきそうですね。
【福島】  逆にいうと、われわれの正念場でしょうね。
 確かに、パイは広がっているように感じますが、今度は、車両を提供しているわれわれの方が、それに合った車両開発をしてきたのか…というと、まだまだ業界としての課題はたくさん残っているように感じます。

《 重量表示はメーカーとしての責務 》

【町田】  どういうことでしょう?
【福島】  ひとつは、 「安全なクルマの提供」 ですね。
 国産車においては、今や各ビルダーさんの安全意識がものすごく高揚してきて、安心して提供できる車両が増えているのですが、まだまだ完全なものとはいえない。
 というのは、 「便利な装備」 「豊かな居住性」 を志向するばっかりに、許容荷重を見たときには、安心できないような車両もぽちぽち散見される傾向もあるからです。
 そういう車両に、もしお客様が許容荷重を超えるような装備をたくさん求められたり、また重量のかさばる荷物をたくさん収納されたりしたら、どうなるか。
 まず、タイヤに負担がかかるでしょうから、バーストなどの問題が出てくる。
 さらに、安定性が損なわれて、転倒などの危険も生じるかもしれない。

【町田】  それは、ビルダーさん方の大きな課題になりますね。
【福島】  ええ。だからうちで開発したクルマには、昨年から 「重量表示」 を明記することにしました。
 「現在このクルマの車両重量はいくらで、あとどのくらいの重量的な余裕があるか」
 そういうことを一目で分かるような表示を心がけました。
 お客様が追加装備を求められたり、たくさんの荷物を収納しようと思った場合、それがあると、自分のクルマの “限界” というものが見えてくるわけですね。
 ビルダーとしては、そういう配慮を示すことがぜひとも必要で、それが事故をなくして、安全なドライブを約束することにつながると思うのです。

【町田】  現状では、まだそれが徹底されていないと?
【福島】  それが業界としての今後の課題ですね。…本来ならば、キャンピングカーのベース車にはそれぞれ許容荷重というものが定められているわけですから、その範囲で架装していれば、足の強化なども特別に必要ないんですね。
 ところが、軸重オーバーを補正するために、強化サスを入れたりしてカバーしようとするところもあります。
 考え方はそれぞれでしょうけれど、走行安定性を増すための強化はいいとして、軸重オーバーを是正するための足回りの補強は、どこか本末転倒ではないか…と、私などは思ってしまうんですけどね。

《 ルーツに見る軽量化の技術 》

【町田】 やはり 「軽量化」 というのは、キャンピングカー開発の大きなテーマですね。フィールドさんのオリジナル車では、どのような対応をなされているんですか?

ルーツ外装01 
 ▲ ルーツ外装

【福島】  ルーツなどの場合は、…あれはマイクロバスのボディをカットして、一応 「セミ・フルコンバージョン」 ともいえる独自のスタイルを追求したクルマですが、バスボディの鉄板を切って、代わりにハイドロバックパネルに架装しただけで、相当の軽量化を達成しているんですね。
 バスとしての総重量は6トンぐらいで、軸の許容は6トンと800kgぐらいあるんですが、ルーツの場合はハイドロバックのおかげで、フル装備で燃料を満タンにしても、4トンぐらいにしかならないんです。
 つまり、約3トンの余裕がある。
 だから目一杯に装備を施しても、走りも快適だし、安定性も高い。

ルーツハイドロバック

【町田】  そのほかの軽量化には、どのような技術を投入されていますか?
【福島】  あとは…当然のことですが、家具なども、中をハニカム構造にして重量を減らしています。
 芯材も、今はアルミに替えて松材を使うようにしました。これも軽量化を狙ってのことですが、もうひとつは水に強いんですよ。
 アルミも確かに軽量化には貢献するのですが、熱伝導率も高いので、芯材として使っていると、グラスファイバーに接しているアルミ部分に結露が生じることがあるんですね。
 そういうことを解消するために、松材を使うようにしたのですが、これは本当に水に強い。
 当社では、もう3ヶ月ぐらい、松材を水に浸けて変化の様子を観察しているのですが、ほとんど水を吸っていないんです。
 そういうように、軽量化と同時に耐久性を維持するための研究も当社は重ねています。
 まぁ、ルーツの軽量化に関しては、すでにハイドロバックパネルを使用することで、相当な軽量化を達成しているわけですから、家具にはそれほど神経質にならなくてもすんでいます。

ルーツ内装01
 ▲ ルーツ内装

【町田】  なるほど。軽量化に関して、フィールドさんが相当の神経を払っていることはよく分かりました。
 タイヤの空気圧チェックなどは、ユーザーの管理する範囲でしょうけれど、許容荷重の問題は、やはりビルダーさんが取り組むべき領域でしょうから、業界としても、より安全なクルマとしての完成度を高める道を歩んでほしいですね。
【福島】  ええ。この度 「日本RV協会」 の会長にも選ばれたことだし、そのへんの課題に対しても、鋭意取り組んでいきたいと思っています。


campingcar | 投稿者 町田編集長 11:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

大阪ショー速報

 インテックス大阪で開かれた 「大阪アウトドアフェスティバル2009」 に行ってきました。
 キャンピングカーショーとしては、幕張、名古屋と続く大都市圏の3番目のビッグイベントになったわけですが、ここでも驚いたのは入場者の多さ。
 業者さんたちは、 「こりゃ本当にキャンピングカーブームが到来したのか?」 と驚いているようです。

 しかし、 「見に来られたお客さんは多くても、買いに来られたわけではない」 と、慎重に構える業者さんもいて、思ったほど商談が進んでいるわけでもないことから、やはり長引く不況を深刻に受けとめている方もいらっしゃいました。

 それでも、会場のにぎわいに応えるように、このショーでも見学者の注目を集めるような新型車が多数デビューしました。

《 スナフキンGJ 》

スナフキンGJ01

 まずは、デルタリンクさんオリジナル車 「スナフキンGJ」 。
 GJは 「グレートジャーニー」 の略。
 基本レイアウトは、スナフキンシリーズのSWをベースとしているのですが、ボディ右側に大きく張り出した “出窓” が特徴となっています。

スナフキンGJ02

 この出窓のおかげで、1m88㎝×1m20㎝の横方向のベッドを確保することができたので、大人用の就寝スペースが増えています。
 しかも、窓側にはしっかりしたアクリル窓が装備され、断熱、結露防止が図られています。
 発売記念セールということで、FFヒーター、インバーター、バックアイカメラ、ナビゲーションが標準で、498万円というプライスが掲げられていました。

スナフキンGJ04 スナフキンGJ03

《 チッタ 》

 ロータスRVさんは、新型バンコン 「チッタ」 の投入です。
 こちらも出窓付き。
 ロータスさんは、この出窓に 「ウィンドボックス」 という名称を与えています。

チッタ03

 基本コンセプトは、 「街乗り気楽にワゴンキャンパー」 …というわけで、8人が前向きに座れるワゴン感覚を重視したレイアウトになっています。
 もちろん、対面対座にすれば、足元の広々感も十分なゆったりしたリビングが生まれます。

チッタ01
 
 フロアにはスライドレールが付いていて、セカンド&サードシートを前側に寄せて畳んでしまえば、リヤには広大なラゲージスペースが誕生。
 もちろん、付属のベッドマットを使えば、リヤ部分がハイマウントベッドに早変わり。
 ウィンドボックスのおかげで、リヤサイドにも大人が横に寝られるスペースが確保されています。

 大きな特徴としては、リヤ部の床下を加工して作られたグラスファイバー製の床下収納。スペアタイヤをその中に入れることができますが、タイヤの上にボードを被せても、まだ収納スペースが残ります。

チッタ02

《 プレシャスβ 》

 キャンピングカー広島さんのブースからは、ポップアップルーフを持ったバンコン 「プレシャス」 のニューモデルが登場しました。
 車名は 「プレシャスβ(ベータ) 」 。

プレシャスベータ01

 前モデルに対してレイアウトが大幅に変更され、リヤにはゆったりしたコの字ラウンジが設けられました。
 ここで夫婦2人がのんびりとくつろぐのもよし。
 大勢でワイワイやるのもよし。
 ベッドにすれば、1m85㎝×1m70㎝の広々ベッドが展開します。

 特徴的なのは、室内照明にはすべてLEDが採用されたこと。
 電子レンジとインバーター (1500W) が標準装備されたため、消費電力を抑えようとする意味があるのですが、間接照明としても、このLEDがいい雰囲気をかもし出しています。

プレシャスベータ03 プレシャスベータ02

《 アスカ 》

 キャンピングカーフジワラさんからは、新型ライトエースをベースにしたオリジナルキャブコンの 「アスカ」 がリリースされました。

アスカ01

 バンクを小さく絞ったすらりとしたスタイルが優美です。
 キャブコンでありながら、ファーストカーとしても使えるというのが、このライトエースをベースとしたキャブコンの特徴で、軽自動車キャンピングカーにはない居住性を確保しながら、ボンゴクラスのキャブコンよりも、さらに取り回しが良いという絶妙のポジショニングを獲得しています。

アスカ02 アスカ03

《 バルミィ 》

 地元の 「キャンピングカーフィールドオオモリ (大森自動車) 」 さんが発表したのは、同社の人気バンコン 「バルミィ」 の最新モデル。
 大胆なほどに美しいレイアウトは、もうおなじみのものですが、LED照明などを多用して、電気消費量の削減を図るとともに、照明効果の豊かさを同時に追求しています。

バルミィ01

 このモデルでは、ざっくりした天然素材の味を持つシートと木目調家具を採用して、今までの近未来的なインテリアに 「レトロ」 の味を加味しています。
 インテリアのテイストは、60年代頃の映画に出てくる “超モダン建築” 。懐かしさを伴う未来感覚が横溢していて、なかなか味があります。
 そういうところが、逆に、若い人たちから見ると、ものすごく新鮮な内装に見えるのではないでしょうか。

バルミィ02 バルミィ03

《 かるキャン 》

 参考出品として登場したのが、コイズミさんの 「かるキャン」 という軽自動車キャンパー。

かるキャン02

 軽トラックの上に、FRP製のユニットを取り付けたものですが、ボディ右サイドにスライドアウト機構を持ち、しかもルーフをはね上げると、三角屋屋根を持ったバンガロー風の居住空間が生まれるという面白い試みです。

かるキャン02 

 窓などは、まだ付いていませんでしたが、今後はよりキャンピングカーらしく仕上げていくとか。
 今後の熟成が楽しみです。

かるキャン01

campingcar | 投稿者 町田編集長 18:24 | コメント(6)| トラックバック(1)

アムクラフト新車

 今ちょうど 『キャンピングカーsuperガイド2009』 の原稿を書いている最中なので思うのだけれど、一連の作業を通じて感じるのは、日本のバンコンビルダーが新車開発に対して並々ならぬ戦略を立てているということ。

 マーケティングの手法も緻密ならば、ブランド力の高め方も計算しつくしている。
 今、固定客をしっかりつかんで確実にシェアを広げているビルダーというのは、みな市場分析、企画力、デザイン力で、数年前とは比べものにならないくらい緻密な作業を進めている。

 そんなビルダーのひとつに、アム・クラフトさんがいる。

アム・クラフト山口社長01
 ▲ アム・クラフト 山口寿子 社長
 
 同社は、幕張、名古屋と続く春のショーで、 「アウラ」 、 「オーロラ」 という新型車を立て続けにリリースした。
 アウラは、レジアスエースのロングバン・標準ボディのハイルーフ。
 オーロラは、ハイエーススーパーGLワイドボディをポップアップルーフ化 (op.) しているが、どちらもボディサイズとしては、全長5m未満のコンパクトボディを使っている。

 ともに、コンセプトは 「街乗りプラス α」 。
 キャンプにも使えるが、通勤、買い物、子供の送迎、ドライブ、ピクニックという日常の足を意識したものだ。

 そうなると、ベース車はスーパーロングであるよりも、それより短いショートボディである方が説得力を増す。

 狙いは、 「ミニバンイーター」 。
 価格、サイズもできるだけ乗用車メーカーの造るミニバンに近づくような設定にして、ミニバンからの買い替えを狙う。

 もちろん、そういうクルマは、昔からバンコンには多かった。
 ただ、その手のクルマは、価格を下げることと、 「何にでも使える」 という便宜性を優先させようとしたばっかりに、華がなかった。

 では、 「華」 とは何か?
 というと、これは 「機能」 に還元できない領域なので、一言では説明がつかない。
 しかし、アム・クラフトさんの新型車は、その 「華」 の領域に踏み込んで、それを理論化し、計量的に分析し、的確にプレゼンしている。
 プロのワザを感じるのだ。

アウラ外装01
 ▲ アウラ

 アウラというクルマは、ずばり 「女性のハート」 を狙ったものだ。
 同社はこのクルマを開発するにあたり、ユーザーや社員の家族関係から約200人の女性の声を拾い集めたという。

 すごいのは、そこで上がってきた声をストレートに車両開発に採り入れるのではなく、デザイナーを中心に企画会議で討議し、その声を、見栄えのある形に 「翻訳」 したことだ。
 つまり、ユーザーから上がってきた声を 「華」 に置き換えるために、デザインの濾過を試みているのだ。

アウラ内装01
 
 このクルマで “見所” となるところは、リヤゲートを上げたときに、冷蔵庫を格納したキッチンユニットの後ろ側に張り付けられたショッピングカート。

アウラ・ショッピングカート01

 つまり、行楽の帰りにスーパーなどに寄ったとき、このカートを引っぱり出して、翌日に使う食材などを買い込めるようにしている。

 これぞ 「女性の視点」!
 なのに、このカートのデザインが実にヨーロッパ風で、車両のデザインセンスと絶妙にマッチングしている。
 市販のものから探してきたというが、こういうものを選び抜くセンスがすでに他社より一歩先んじている。


オーロラ外装
 ▲ オーロラ

 「オーロラ」 というクルマも、綿密な市場調査から生まれてきていることが分かる。
 これは、ある意味で 「トランポ」 だ。
 ただし、もちろんただのトランポを狙っているわけではない。

 トランポというと、一般的にはバイクやジェットスキーを載せるというスポーツギアのイメージが強い。
 造る方も使う方も、その固定観念からなかなか抜けられない。 
 
 しかし、オーロラはそのようなトランポの発想から飛び出したクルマである。
 むしろ、トランポとして使えるほどの空間を、 「癒し」 「やすらぎ」 「広々感」 に翻訳しようとしたクルマなのだ。

オーロラ内装04

 家具なども、少し濃いめの家具を使い、今までのファンシーでフェミニンなアム・クラフト路線とは一線を画したモダンテイストを貫いている。

 この狙いはどこにあったのか?

 ポップアップルーフを開口すると、それがよく分かる。
 ルーフの内側に埋め込まれたLED照明が、微妙に色を変えて、ルーフの内側をまさに 「オーロラ」 の輝きに変える。
 同社はこれを 「オーロラシステム」 (op.) と呼ぶ。
 もちろん、これは単なる遊び。
 
 しかし、この天井に広がる “大宇宙のパノラマ” を堪能しようしたとき、濃いめにしつらえたモダン調家具類が、夜空を支える地球の大地として浮かび上がるのだ。
 よく計算していると思う。

オーロラ内装01 オーロラ内装02

 こういう仕掛けを 「ギミック」 というのは簡単だ。
 だけど、私などは、ルーフ内の色が変わっていく瞬間を写真で捉えながら、小さなプラネタリュームの中にいるような気分になった。 

 このような遊びは、ガチガチなアウトドア派からは、キャンピングカーの機能とは関係ないと嫌われるかもしれない。
 しかし、こういう部分に 「華」 を感じ、キャンピングカーの面白さを感じる新しい顧客層は確実に育っている。

 アム・クラフトというビルダーは、すでにその新しい顧客層のひしめく大海に、堂々と漕ぎ出していこうとしている。


campingcar | 投稿者 町田編集長 22:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

コンクエスト23

 09年に入って、キャンピングカー業界では国産車の勢いが目立つようになってきたが、輸入車の方にもユニークなクルマが登場してきている。
 たとえばボナンザさんが、この春に導入したコンクエスト23。

コンクエスト外装01

 これ、アメ車かな?
 ヨーロッパ車かな?

 ベースシャシーはフィアット。
 シェルの形状は、まさに典型的なヨーロッパ車風アルコーブン。
 だけど、デカールのデザインなどはアメ車っぽいし、それによく見ると、バンク部とボディ側面にアメリカのモーターホームメーカー 「Jayco」 社のマーク。

ジェイコ社マーク

 ついに、ジェイコ社がフィアットを導入?
 仕入れが高いだろうに……。
 だけど、不思議。
 左エントランスに右ハンドル。
 なんだ? これは…。

 と、いろいろ考えてしまったのだが、ボナンザの比留間社長にうかがうと疑問は氷解。
 このモーターホームは、オーストラリア製なのだ。

ボナンザ比留間社長01

 オーストラリアが、近年にわかにRV大国になっているということは、 「RV世界会議」 のレポートなどからも分かっていたが、このような堂々たるモーターホームが造られるようになっていたとは、ちょっと知らなかった。

 その中でも、このコンクエストを造った 「オーストラリア・ジェイコ社」 というのは、全オーストラリアのRV車両の中でも48パーセントのシェアを持つ大メーカーなのだとか。
 アメリカのジェイコ社とは交流はあるものの、独立した資本によって運営されている地元のビッグメーカーであるという。

コンクエスト外装03

 このコンクエストを導入するために、オーストラリアで同車を試乗していた比留間社長は、現地のモーターホームの普及ぶりに目を見張ると同時に、そのベース車にフィアットが浸透していることにも驚いたという。

 で、このコンクエスト23。
 われわれ日本人にとってうれしいのは、まずオーストラリアがイギリス連邦の一国であるために、右ハンドルであるということ。
 しかもオートマ。
 右ハンドルでATというのは、実に商品価値が高い。

コンクエスト右ハンドル01

 シャシーとして使われているフィアットは、リヤワイドトレッドを持つスペシャルバージョン。
 スタンダードのトレッドが1790mmであるのに比べ、このワイドトレッド仕様は1980mm。
 リヤタイヤがボディ枠いっぱいにまで広がっているので、 「踏ん張り」 の良さが、見ただけでも伝わってくる。

コンクエスト外装02

 内装はちょっと不思議なムード。
 レイアウトや家具の作り方は、もろヨーロッパ車なのだが、どことなく微妙にアメリカンな匂いが漂ってくる。
 アメリカのジェイコ社との交流もあるから、アメリカンモーターホームの情報も頻繁に流れてくるからだという。

コンクエスト内装05 コンクエスト内装06

 家具色や内装色はアメ車っぽいし、コンロの辺りの形状もアメリカンだ。
 コンロは4口。
 そのうちの三つはLPGを熱源に使うガスコンロだが、一つだけがIHクッカーになっている。
 時代の波を感じる。

コンクエスト内装08

 ベッドは、ヨーロッパ車風のリヤハイマウントベッド。
 もちろん、その下は大型外部収納。
 ベッドはウッドスプリングが入っているので、通気性もよく、寝心地も十分。

コンクエストリヤベッド コンクエストベッド下収納

 もちろん、オーストラリアだけの創意工夫もある。
 たとえば、エントランスドア。
 表扉の裏側に、格子上の補強が入った網戸が設けられ、さらに、子供が触って開いたりしないように、チャイルドロック機構が備わっている。

コンクエストエントランスドア

 パーツもほとんど自国内で生産されるようになったらしいから、オーストラリア独自のアイデアを盛り込んだパーツもどんどん開発されているらしい。
 
 オーストラリアといえば、おなじみのカンガルーバー。
 だけど、野性のカンガルーが飛び込んで来る心配のない日本で使う限り、現地の大げさなカンガルーバーは必要ないという判断で、小型のものが付けられている。

コンクエストコアラバー

 ボナンザさんでは、これをちょっと可愛く 「コアラバー」 と呼ぶそうだ。
 フロントバンパーの役目をするので、付いていると便利だ。

 オーストラリアのキャンピングカーが正規に日本に導入されたのは、これがはじめて。
 日本のキャンピングカーシーンは、輸入車の方でもバラエティに富んだ品揃えが目立ってきた。

 お値段は、車両本体価格8,980,000円 (税込み9,429,000円) 。


campingcar | 投稿者 町田編集長 20:31 | コメント(4)| トラックバック(0)

断熱と遮熱

 キャンピングカーの冷暖房を考えるとき、ボディを断熱加工することの重要性が、最近とみに認知されるようになってきたが、それと同時に、「遮熱」 という考え方も進めていかなければならない、というビルダーの社長さんがいる。
 RVランドの阿部和麿氏である。

 阿部さんがいうには、人間が体感する 「暑さ、寒さ」 の感覚は、 「遮熱」 によって左右されることが多いのだそうだ。

 「遮熱」 とは、文字通り 「熱を遮る」 ことをいい、正確には 「熱をはね返す」 ことを意味する。
 「断熱」 と違うのは、 「断熱」 が熱を受け止めて、その熱の伝導を遅らせるということを意味するならば、 「遮熱」 は、熱そのものをはね返してしまうことをいう。

 その 「遮熱」 が、なぜキャンピングカーの 「断熱」 と同時に重要になるかというと、それが、熱の移動量の一番多い 「輻射 (ふくしゃ) 」 を遮ることになるからだそうだ。

 理科に強い人ならば、この 「輻射」 という言葉で、すでにピンと来るかもしれない。 
 理系の勉強をサボってきた私には、以下の阿部社長の講義は、はじめて聞くものばかりだった。
 
阿部和麿代表 
 ▲ 阿部和麿氏

【阿部】 人間が 「暑い」 「寒い」 「冷たい」 と感じる温度や熱の伝わり方には、3種類あるんですね。
 その一つは、 「伝導」 です。
 氷などに触れると冷たく感じるのは、氷の温度が指先に伝導されるからです。火にかけたヤカンが熱くなるのも、伝導ですね。

 二つ目は 「対流」 です。
 部屋の中の温まった空気は比重が軽くなって上昇し、冷たい空気は下に回って、部屋全体がかき回されながら温かくなるというのは、この対流の効果が現れるからなんです。

 そして三つ目が、 「輻射」 です。
 これは赤外線などに代表される電磁波による熱のことで、太陽の熱の伝わり方を思い浮かべてもらえれば分りやすいと思うのですが、例えば、天気の良い冬の日など、太陽に当たった身体がポカポカと温かくなりますよね。

 それって、不思議だと思いませんか?
 なぜなら、別に空気そのものが熱くなっているわけではないからです。

 では、なぜ、外気温が人間の体温より低い冬の日でも、人間は太陽に当たると温かく感じるのか。

 それは、太陽の赤外線が、物体と衝突するときに熱を発生するという性質を持っているからなんですね。
 このような熱の伝わり方を 「輻射」 といいます。

 で、この 「伝導」 、 「対流」 、 「輻射」 という熱の伝わり方の中で、私たちが熱量の多寡を一番強く感じるのが、実は最後の 「輻射」 なんですね。
 人間の生活空間の中で、熱の移動量全体を100とすると、 「輻射」 がそのうちの75を占め、 「対流」 が20、 「伝導」 はわずか5だと言われています。

 キャンピングカーの冷暖房を考えるとき、 「遮熱」 という考え方が大事だと言ったのは、 「遮熱」 による対策が、熱の移動量の一番多い 「輻射」 を遮ることになるからです。

 では、具体的に、この 「遮熱」 という考え方は、キャンピングカーにどのように取り入れられているのかというと、……残念ながら、この世界ではまだ大きな成果としては実っていないんですね。

 というのは、この業界では 「遮熱」 に効果のある素材を導入するための研究もまだ途上であるし、またそのような素材があったとしても、コスト高が予想されるからなんです。

 では、その素材とは何か。

 研究によると、 「輻射」 による熱反射率の最も高いものは金属の銀 (シルバー) だといいます。
 その反射率を数値で表すと、99パーセントに及びます。
 2番目は金 (ゴールド) で、その熱反射率は98パーセントになります。

 ですから、金銀で外皮を構成したキャンピングカーがあったなら、さぞや夏は涼しく、冬は暖かいキャンピングカーになることでしょう。

 しかし、これは現実的ではありませんね。
 そのようなキャンピングカーは、一部の大金持ちでも敬遠してしまうでしょう。
 なぜなら、そのような 「走る宝石」 で旅行していれば、盗難や強奪の恐怖にいつも怯えていなければならなくなるからですね。

 幸いなことに、それほど高価でない素材として、私たちは 「アルミ」 という素材を持っています。
 アルミの熱反射率は91パーセントだと言われますから、金銀に及ばないまでも、現実性はぐっと近づいてきます。

 では、キャンピングカーの外装をアルミで被えばいいかというと、そう簡単ではないんですね。
 まず、そのようなボディ技術があまり普及していないため、耐久性への配慮を含めてデータが不足していて、素材そのものも、現状ではコスト高になってしまいます。

 しかし、建築の世界において、遮熱材としてアルミ素材を上手に使う工法が普及しているといいますから、そのように住宅への浸透が進んだ段階で、キャンピングカーに適した使い方の研究も進んでくるでしょう。

 すでに、キャンピングカー以外の自動車においては、観光バスやトラックの一部で、屋根にアルミ的な効果をもたらす銀色の蒸着フィルムを貼ったり、銀色の塗装を施す試みも行われるようになってきました。

 また食品関係においても、このアルミ素材の遮熱性を利用した包装システムが普及してきました。
 コンビニなどで売られているスナック菓子の袋などを見ますと、その大半が、内側にアルミ箔を蒸着した素材を使用して、赤外線などをカットし、品物の劣化を防ぐようになっています。

 このような応用技術がキャンピングカーに採り入れられるようになるには、まだもう少し時間がかかるでしょうけれど、実は、すでにユーザーさんたちは実行しているんですね。

 たとえば、キャンピングカーでは、室内を外気温の変化や結露から守るために、フロントガラスや側面の窓ガラスを “銀マット” などで覆うマルチシェードのようなものが開発されていますが、これを使う方々がどんどん増えています。
 これなど、断熱と遮熱を効果的に行なったものといえるでしょう。

 今後は、各ビルダーさんが 「断熱」 と同時に、 「遮熱」 技術を研究・開拓することになっていくでしょう。
 そうなれば、エアコンやヒーターなどを無制限に使用することを避けることも可能となり、エネルギー資源の確保や、温室効果ガスの削減に寄与するようになるでしょう。

 ……以上、阿部社長の講義、終わり!
 勉強になりました。


campingcar | 投稿者 町田編集長 22:58 | コメント(4)| トラックバック(0)

ヴォーノ

 日本の風土、日本の使用環境に適したキャンピングカーというものを、かなり意識的にデザインしようという流れが、今年ほど顕著に現れてきた年はないように思う。

 そして、そういう新しい流れに乗ったキャンピングカーを見ていると、そこには各ビルダーの、何か吹っ切れたような 「明るさ」 、自信からくる 「華やかさ」 のようなものが、とても強く匂ってくるように思えるのだ。

 この春に開かれた幕張と名古屋のキャンピングカーショーを見ていても、国産メーカーがリリースしてきた新車には、どれもみな 「テーマ」 がはっきりと見えた。

 もちろん、それ以前だって、新車開発というものはテーマをしっかり据えてから進められてきたわけだが、ただ、昔は 「定年退職をするシニア夫婦が増えるから、2人仕様のレイアウトを考えよう」 とか、 「スポーツギアを積む若者が増えてきたからトランポを1台持とう」 といったマーケット動向をにらんだテーマ設定が主流だった。

 しかし、現在リリースされている新車を見ると、単純にマーケットの流れを追っただけの、今までの新車開発とはひと味違う “新味” がどのクルマにも溢れている。
 おそらく、各ビルダーの開発陣の頭の中に、 「キャンピングカー市場の急速な広がり」 というものがイメージされてきたのだと思う。

 だから、そういうクルマには、キャンピングカーを知らない人たちに対しても、 「夢、希望、期待感」 を抱かせるような発想が渦巻いている。

 おそらく、開発者たちが、キャンピングカー製作のプロであるという自意識をいったん捨てて、 「自分がキャンピングカーを知らない人間だとしたら、キャンピングカーに何を期待するのか」 …そういう原点に立ち返って車両開発に臨んだからだと思う。

 その例のひとつを見てみよう。
 ここに、レクビィさんがこの春投入した 「ヴォーノ」 という新車がある。
 まず、下の写真を見ていただきたい。

ヴォーノ室内011

 ちょっとした大型バスコンか、輸入車でしか見られないような、優雅でのびのびとしたL字ソファのラウンジが広がっている。
 景色の良い場所にクルマを止め、このラウンジにゆったりと腰掛けて、煎れ立てのコーヒーなど飲んだりしたら、さぞやリッチな時間を楽しむことができるだろう。
 きっと、誰もがそう思うだろう。

 だけど、こういうリビングを実現しているキャンピングカーというのは、さぞや高価で、車体もどっしりした大きさを誇るようなクルマなんだろうな…。
 次に訪れるのは、そういう感慨かもしれない。

 で、下の写真を見ていただきたい。

ヴォーノ外装01
 
 ハイエースでも一番小さくて取り回しのいい、ナローボディの標準ルーフなのだ。
 このインパクトはすごい。
 狭い住宅街をスルスルと通り抜けることを得意とするようなコンパクトボディの中に、大型輸入車でしか実現できないような、 「ゆとり」 「贅沢感」 「くつろぎ感」 を盛り込んでしまったのだ。

 こういう発想はどこから生まれてきたのか。
 このバンコンを開発したレクビィの増田浩一社長に、その狙ったところを尋ねてみた。

《 キャンピングカーのジャパン・クール 》

【町田】  ハイエースのロングバン・ロールーフを使って、このような “ゆったりラウンジ” を実現しようと思ったヒントは、どんなところから得たのですか?

レクビィ増田浩一社長01
 ▲ レクビィ 増田浩一社長

【増田】  これは、僕たちの考えた 「ジャパン・クール」 なんですわ。
 もちろん本当の意味でのジャパン・クールというのは、マンガやアニメ、ゲームの世界における “日本ブーム” を意味しているのでしょうけれど、ああいう映像文化の中で、日本が発信してきたものが世界に受け入れられたというのは、あれって、あの制作者たちが、別に海外マーケットを意識してそういうものを創りあげたのではなくてね、あくまでも等身大の自分たちのライフスタイルを無邪気に表現したものだったと思うんですよ。

【町田】  確かに、世界のマーケットに媚びた結果ではないですよね。
【増田】  そうでしょ? …そうなるとね、キャンピングカーの開発においても、もっと自分たちのライフスタイルを素直に見つめた上での楽しみ方、遊び方を追求してもいいのかな…と思ったんですね。
 じゃぁ、日本人の日本的なライフスタイルって何? …といったら、それは、小さな空間であったとしても、その空間を限りなく、豊かに、リッチに使いきろうという、様々な工夫によって生まれてきたものだという気がするんですね。

【町田】  国土が狭いわりには人口密度が高い国ですからね。

【増田】  そうそう。…ただ、それだけじゃなくてね、日本人って、むしろそういう限られた空間を好むような形で、美意識を育てたり、文化をはぐくんできたような民族じゃないですか。
 例えば、茶室。
 JRVAの広報誌にも書かれていたけれど、ああいう 「スモールスペースの中に、宇宙の広大さを封じ込める建物」 ってのは、日本人独特の感性から生まれてきたものらしいんですね。
 で、これ、大きさ的にいえば、茶室ぐらいのスペースなんですわ。

【町田】  なるほど。テイストは洋風だけど、精神は 「和の文化」 の茶室であると…。
【増田】  ま、大げさにいうとね (笑) 。で、茶室のような空間が、なんで 「くつろぎ」 とか 「ゆとり」 を感じさせるのかというと、あれねぇ、自然と一体となっているんですね。
 窓を開けると、すぐ日本庭園が見えたり、障子で仕切っても、そこに木の影が揺れて映ったり…。
 で、このクルマでも、エントランスのスライドドアを開けて、外の空気を直に味わえるような場所に、でーんとこのラウンジがあると。

【町田】  まさに、極小の室内空間が、そのまま広大な “宇宙” に直結しているというわけですね。
【増田】  そう “うまい言葉” を思い浮かべながら造ったわけではないんですけれど、まぁ、そういうことなんですわ (笑) 。

ヴォーノ04

《 スモールボディのメリット 》

【町田】  実用面においても、取り回しの良いサイズに収めたということは使い勝手の向上につながりますね。
【増田】  ええ。旅を続けていれば、時には、市内の地下駐車場に入ることもあるだろうし、古い温泉街などに入っていけば、狭い道も多い。
 そういうときに、運転手がストレスを感じない車両サイズを維持しておくというのは、日本型の “旅ぐるま” を開発するときには欠かせない配慮だと思うんですね。

【町田】  こういう感じの旅ぐるまが受け入れられるというマーケット的な読みはあったのですか?

【増田】  はい。やっぱりね、お客さんの志向が10年前くらいとは明らかに違ってきているんですね。
 昔はね、キャンピングカーといえば、 「キャンプ」 そして 「アウトドア」 。
 僕らがマスコミの取材を受けたときも、写真を撮る段になると、カメラマンから出るリクエストは、必ず 「外にテーブルを出して、バーベキューでもやっている演出をしてもらえませんか」 というものばかりだったんですわ。
 ところが、今は違うんですよ。
 「桜前線を追いかけて、日本一周を楽しんでいるようなユーザーさんを紹介してくれませんか?」
 …というように、明らかに 「旅のツール」 という意識で捉えられるようになってきたんですね。

【町田】  キャンピングカーの使い方に広がりが出てきたわけですね。
【増田】  ええ。そうなると、キャンプ道具をいっぱい搭載することができて、何もないところで快適に過ごせるような装備を満載するというクルマだけではなく、旅先でくつろぐことに主眼を置いたレイアウトだって必要になるだろうと判断したんですね。
【町田】  そういうときに、このゆったりしたL型ラウンジは、旅の疲れをいやしてくれる極上の空間を約束してくれますね。

ヴォーノ内装01

【増田】  もちろん、ご夫婦2人で使われる場合は、このラウンジをベッドにしたままの状態で、気楽な旅を楽しんでもいいわけです。
 横座りシートの座面を前にスライドさせて、シートの背もたれを載せるだけで、簡単にベッドが作れますから。

《 造っている人間も楽しめるクルマ 》

【町田】  価格的にも、買いやすい価格帯に収まっていますね。消費税込みで、370万…。 
【増田】  でも、けっこう手の込んだクルマなんですよ。普通の作り方をしていると、ちょっとこの価格では厳しいんですね。
 しかし、手を抜いてはいない。
 僕は、このクルマを現場で造っているスタッフには、 「手を抜くのではなく、造り方に慣れることによって生産性を上げろ」 と言っているんです。

ヴォーノ内装03

【町田】  慣れる…?
【増田】  つまりね、こういうクルマというのは、造っている人間たちも楽しいんでしょうね。
 黙って見ているとね、どんどん凝ったことをやり始めるんですよ。
 昔の僕だったら、
 「そんな凝ったことをやって、コストを上げてはいかん」
 と叱っていたのでしょうけれど、今はね、職人たちが楽しんで造っている方が良いクルマになると思っているんです。
 だから、
 「凝ってもいいから、早くその造り方に慣れろ!」
 …ってハッパをかけているんですけどね (笑) 。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 22:23 | コメント(0)| トラックバック(0)

ANNEXスタイル

 「日本の文化を反映したキャンピングカー」 。
 言葉でそういうのは簡単だが、では、それはどんなキャンピングカーなのか。
 改めてそう問い直してみると、RV業界の人にも、ユーザーにも、キャンピングカーメディアに携わる人たちにも、にわかに答え切ることができない。

 しかし、それを目指して、着々と 「形」 として造り上げていくキャンピングカーメーカーの社長さんがいる。
 アネックスの田中昭市さんだ。

アネックス田中社長01
▲ アネックス 田中社長

 カムロードベースのキャブコン 「ネビュラ」 を発表して以来、アネックスのキャンピングカーはひとつの方向性を確立してきた。
 それは、欧米先進国にもない、日本独自のオリジナリティを備えたデザインを追求したものだった。
 それを、言葉で示すと 「アネックススタイル」 。

 同社は、幕張や名古屋のキャンピングカーショーでも、その展示ブースの中央に、その言葉をくっきりと掲げたディスプレイを展示した。
 ショーの会期中の忙しいさなか、田中昭市社長に 「アネックススタイルに表現されるキャンピングカーとはどんなものか」 を尋ねたみた。

アネックススタイル看板02

《 アネックススタイル 》

【町田】  ずばり 「アネックススタイル」 って何のことですか?
【田中】  「うちのオリジナル」 という意味なんです。まぁ、デザイン的なオリジナル性ということですね。
 そういうオリジナリティを備えたキャンピングカーを製作して、ひとつのライフスタイルを提案してみたい…と思って考えたキャッチなんですけどね。

【町田】  それは、どういうオリジナリティということなんでしょう?
【田中】  つい4~5年くらい前までは、日本のキャンピングカーは、ヨーロッパデザインを目指すか、アメリカンなデザインを目指すか、…そんなことを何の疑問もなく繰り返していたんですよ。
 うちも 「エディ」 というクルマを造っていたときがあるんですけど、その内装テイストはアメリカンだったんですね。
 すると、販売店の方から、
 「最近はヨーロッパ調がブームだから、エディもヨーロッパ調の内装に変えた方がいいよ」
 などと、よく言われたんですよ。
 こちらも、 「そういうもんか…」 って、何の疑問もなく、その提案に耳を傾けていたりね (笑) 。

《 本当の 「和」 の文化って何か? 》

【町田】  確かに、少し前はそういう時代でしたね。V社はライモ家具のヨーロッパ調、Y社の内装はアーリーアメリカン調とか、僕らも何の疑問もなく、そういう言葉を使って紹介記事を書いていましたものね。
【田中】  でも、それってよく考えてみると、何か変でしょ? 建築の世界とかアートの世界って、別に 「アメリカ調」 とか 「ヨーロッパ調」 などという表現を使わなくても、一流の日本人デザイナーやアーチストたちが、世界に通用するオリジナルデザインを創り出しているじゃないですか。
 なんでキャンピングカーはそうならへんのやろ…と思ってね。

【町田】  で、いろいろチャレンジされたわけですね?
【田中】  ええ。日本人なんだから 「和」 の様式を採り入れたキャンピングカーを造ってみようと考えたこともありました。
 それで、畳仕様のキャブコンを製作してみたことがあるんですよ。
 で、仕上げてみると、やっぱり自分でも、ちょっとしっくり来なかったんですね。
 今から思うと、畳とか障子を使う世界というのは、部屋全体の縦横比とか、目線の位置とか、しっかり計算された空間造形を貫かないと、サマにならないんです。
 それを、欧米家具を使うことでまとまっていたキャンピングカーの空間にそのまま投入しても、整合感が出ないのは当たり前なんですね。

【町田】  でも、そういうチャレンジも大切だったわけでしょ?
【田中】  はい。チャレンジしてみてから、そういうことに気づくわけですからね。
 それで、一からやり直そうと思いましてね。 「ネビュラ」 を設計するときには、思い切って、デザインの専門家に相談してみたんですよ。
 「アート&クラフト」 社というところの中谷さんという方ですけれど、その方から教えてもらったものは大きかったですね。

《 都会の夜景も楽しめるRV 》

【町田】  どういうことでしょう?
【田中】  結局ねぇ、その方とコンセプトメイクしていると、もう今までとは違ったアプローチが次々と出てくるので、目からウロコが落ちたというような気分になったのですよ。
 まず、キャンピングカーの内装色をどう決めるかなどという前に、どういうシチュエーションで使うと、そのクルマが輝いて見えるのか…とか、そのクルマを使っていると、周りの風景がどう違って見えてくるか…とか、もうライフスタイルから入っていくんですね。

【町田】  まず人間の生活があって、その次にキャンピングカーがあると…。
【田中】  そういうことなんですけど、ほら、キャンピングカーってどうしてもアウトドアだとか、自然の中で…というイメージがあるじゃないですか。
 しかし、自然の中で使うにせよ日本だったら、そういう場所に至るまでは都会の中を通ることもあるだろうし、場合によっては、都会の夜景を見ながら、ちょっとキャンピングカーの中でくつろぐ…というシチュエーションだって考えられるわけですよね。
 そう考えるとね、 「日本的なるもの」 っていうのは、山から1時間も走ってくれば都会に戻ってしまうという、そういう日本の生活空間を正直に見つめ直すところから生まれてくるのではないだろうか…と考えることができたんですよ。

【町田】  イメージの中の 「日本」 とか、理念の中の 「日本」 ではなくて、現代社会で生きている日本人が、自分の足で歩いて感じる 「日本」 という意味ですね。
【田中】  そう。そういうライブ感覚を持った日本文化というものを考えないと、なんか新しい提案にはならないだろうと思ったんですよ。

【町田】  ネビュラのコンセプトは 「走るモダンリビング」 でしたものね。
【田中】  ええ。今の日本人の住宅構造を見ても、必ずしも畳みと障子を使わなくても、欧米とも違う日本独自の住宅様式というのが生まれているわけじゃないですか。
 その感覚を大事にした方が、本当の意味での 「日本的なるもの」 に近づくとちゃうんかな? …って思ったわけですね。

《 リコルソに秘めた想い 》

【町田】  そのような 「生きている日本文化」 というものを、実際の車両開発では、どのように実現されたのでしょうか。
【田中】  たとえば、私たちの開発した新しいキャンピングカーで、 「リコルソ」 というバンコンがあるのですけれど、これ、見ていただくとお分かりになると思いますが、運転席とリビングを 「家具」 で仕切ってしまっているし、リヤドアを開けても、そこに壁が立ちふさがっている。
 普通に考えたら、めちゃくちゃに使い勝手の悪いバンコンなんですわ。
 でも、室内に入ってみると、もう無類に心地よいし、落ち着くんですよ。
 つまり、運転席のような “自動車的な機能” を視線から隠すことによって、クルマであることを忘れてしまうように造ったつもりなんですね。

リコルソ外形01

【田中】  で、そのことによってですね、たとえば都会の中でもちょっと景色のよいところに止めて、室内から外を眺めれば、もうそれだけで 「リゾート施設から眺めた景色」 に変わる。
 つまりね、日本という国は、欧米のように圧倒的にワイルドな自然というものが少ない。
 その代わり、ちょっと人工の手が入った 「リゾート的な景観」 なら、ものすごく豊富にある。
 そういう日本の特殊事情を楽しめるキャンピングカー空間というものを造形することが、すなわち 「日本的なるもの」 の追求なのかな? …と思うんですよ。

リコルソ内装02 リコルソ内装03

【町田】  でも、それって、ユーザーの想像力が試されるようなところがありますよね。
 たとえば、ちょっとヤシの木が植わったような海岸の駐車場に止めて、 「ここは素晴らしいリゾートだ!」 と思い込むためには、それなりの研ぎ澄まされた感性が要求されるわけでしょ?
 ある意味で、バーチャルな仮想空間で遊ぶことにも似ているわけですから。

【田中】  ええ。だからクルマの方も、そういうユーザーさんのイマジネーションが活発に働くようなデザインというものが要求されるわけですね。
 そこで、例えばリコルソでは、リゾート施設の一室から外を眺めているような 「部屋」 の感覚というものを大事にしましたし、リゾート感を出すために、家具の色合いとかソファーの材質感なども吟味しているわけです。

《 日常が旅になる 》

【町田】  確かに、日本中どこにでも 「ちょっと良い景色」 という場所はあるわけで、それが全部 「自分だけのリゾート」 になるとしたら、それはリッチな体験を得ることになりますね。
 僕はよく、こう考えるですけれど、日本という国は、どこに行ってもコンビニはあるし、立ち寄り温泉を探すのも簡単だし、それだけどんどん便利な国になってきたわけですけれど、その反面、日本中どこへ行っても、同じ景色が展開されるようになってしまった。
 そういう退屈感から逃れるためには、個性のあるキャンピングカーって必要だな…って。
 キャンピングカーという “魔法の空間” が、人間の想像力を刺激することによって、周りの風景も違ったように見えてくるな…って。

リバティLE外形01
 ▲ リバティLE

【田中】  そうなんです。もうひとつキャブコンで 「リバティLE」 というのがあるんですけれど、これは、その “リゾート地めぐり” を、さらに1ヶ月ぐらいの長期にわたって楽しめるように開発したクルマなんですが、やっぱり  「魔法の空間」 という狙いは大事であって、そのための意匠にもこだわりを持っているわけですね。
 たとえば、このエントランスステップのクロームメッキの取っ手。
 これなんか、けっこうコストが高くつくので、普通だったら絶対に使わないような部品なんですけれど、付けてみたら意外とぴったり合ってしまった。

リバティLE内装01
▲ リバティのエントランスドア脇の取っ手

【町田】  もう外せないと (笑) 。
【田中】  ええ。やっぱりこの取っ手を握って中に入るときに、この銀色の輝きが、 「さぁ、これから夢空間に突入するぞ!」 というような興奮を呼び起こすような気がして… (笑) 。

リバティLE内装03
▲ リバティLE室内

【町田】  人のイマジネーションを膨らませる力というのは、そういう細部のこだわりをいかに多く集積させたか…ということから生まれますものね。
 旅というのは、人を非日常へ誘導させることから始まるけれど、その非日常というのは、日常的な 「物」 が、普段とは違った形で現れるときに感じられるといいます。
 だから、本来ならステップの乗り降りを助けるためだけのアシストグリップが、クロームメッキの輝きを放つというだけで、それは、アシストグリップであっても、もうすでに普通のアシストグリップではない。
 そこから先は、非日常の夢空間が広がるというわけですね。

【田中】  ある大手自動車メーカーさんのCMに出てきた言葉で 「いいなぁ」 と思ったキャッチのひとつに、 「日常が旅になる」 というものがあったんですよ。
 例えば、通勤の途中で見ているような見慣れた風景も、ある日、ある陽射しの中で見ると、 「あ、こんなにきれいな場所だったんだ!」 とびっくりするようなことってあるじゃないですか。
 「日常が旅になる」 というのは、そういうことを意味していると思うんですよ。
 キャンピングカーというのは、そういう瞬間にバクっと食らい付いて、それを魅力的な 「旅」 にしてしまう力があると思うんですね。

【町田】  そういう楽しみ方を味わえるように、人間を育ててくれるクルマ…
【田中】  そのクルマがもたらすライフスタイルを、 「アネックススタイル」 。
 …まぁ、そんな気持ちを込めて、むりやりひねり出したキャッチなんですけどね (笑) 。

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campingcar | 投稿者 町田編集長 01:39 | コメント(0)| トラックバック(0)

RVのJポップ化

覆面座談会
【 Jポップ化する国産キャンピングカー 】


【A】  この2月には、幕張の 「キャンピング&RVショー」 、名古屋の 「キャンピングカーフェア」 と、春のビッグイベントが続いたわけだけど、今までのシーズンと何か変わったことってあった?
【B】  …というか、オレたちここに登場するの久しぶりだよね。昔は、よくこのブログに登場させてもらったけれど。
【C】  だけど、あいからずの扱いだよね。氏素性を紹介することもなく、いきなり 「A」 「B」 「C」 だもんな。

幕張キャンピングカーショー2009
 ▲ 幕張 「キャンピング&RVショー2009」

【A】  …ま、いいとして、今日は 「キャンピングカー業界の現在」 という座談会なんだけど。
【B】  業界というより、ユーザー層も含めた全体を語った方がいいよ。業界にも変化が訪れたけれど、客層も変ってきたから。
【C】  どう変わったっていうわけ?

【B】  名古屋のショーで、いろいろな業者さんに聞いたけれど、「キャンピングカーって知らないから見に来ました」 って人たちがものすごく増えているんだって。
【A】  新規の人たちが増えたということ? それは底辺が広がったということなんだから、業界としては歓迎すべきことなんじゃないの?

【B】  でも、いちいち説明するのが大変らしい。 「これって、普通免許で運転できるんですか?」 っていう人たちを相手にするわけだから。
【C】  「あ、トイレが付いているんだぁ!」 って驚いている見学者たちを相手にするんじゃ、営業マンも大変だろうな。
 下手にインバーターの機能なんか説明すると、見学者の頭がこんがらかっちゃうんだって。だから、尋ねられるまでは言い出さない、っていう人もいた。
【C】  いろんなキャンピングカーを眺めても、どれが自分たちの使い方に合っているのか、すぐには判断できない人たちが多くなったってことなんだよ。10年前に戻ったという人もいる。
【B】  つまり、すぐ商談には結びつかないケースが増えているっていうことだよね。

《 不況の影響を受けない業種 》

【A】  でも、いいことだよ。この大不況の時代に、ショーの来場者だけは、幕張も名古屋もすごく多かった。これは潜在的な購買層が増えたと見ていいわけで、すぐには “売り” に結びつかなくても、将来的な見通しは明るいということじゃない?
【C】  まだ分からないよね。庶民の生活が本当に苦しくなるのは今年の9月以降だろうという見方もある。

【A】  でも、みんなお金そのものを持っていないわけじゃないからね。不況の時代だといっても、息抜きがないと人間まいってしまう。そういうときは、安い遊びに向かうという傾向が出てくる。
 だから、オートキャンプって意外といいんだよ。
 現に、ショーに来ていたキャンプ場の経営者たちに聞いてみたら、一応この2月頃から始めたゴールデンウィークの予約は満杯だと答えた人たちが多かった。中にはもうお盆の予約も埋まったというところもあった。
 キャンピングカーだって初期投資は高いけれど、1台持てば安く旅行できる。そういう目で眺めれば、不況だって追い風だ。

【C】  いやぁ、買えないけれど見に来たって人も多いよ。特に若者たちは、「キャンピングカーっていいよなぁ。だけどみんな高いなぁ」 なんて話し合っているんだよね。結局、パンフレット集めて帰るだけ。
【А】  だけどね、休憩室で耳をダンボにして、立ち聞きしていたんだけどさ、明らかに愛知県のトヨタ関係者の夫婦なんだわ。
 ほら、トヨタって赤字すら計上しそうで、“派遣切り” なんかでも問題を多く抱えていてさ、まさに、一時はマスコミから企業の存亡が問われる時なんて採り上げ方されていたじゃない?
 でも、その夫婦は、いともことなげに、セカンドカーとして軽キャンピングカーを買うつもり話しているわけ。
 「ベース車をスズキにするか、スバルか、ダイハツか…」 なんて迷っているんだけどさ、夫婦の関心事は、 「トヨタ系のダイハツじゃないと、会社の駐車場に置きづらいしなぁ…」 なんて、そんなことが最大の悩みなのよ。

名古屋キャンピングカーショー2009春
 ▲ 名古屋 「キャンピングカーフェア2009」

【B】 マスコミで大げさに騒いでいるほど、不況は深刻でないということか…。
【C】 いや、消費者の志向が変わったのね。ちょっと高級で便利な台所用品とか、自炊用の家電とかは売れているというじゃない? 外で派手にお金を使うことを控える代わりに、家の中で、ちょっと安く “贅沢をする” ってのがトレンドになってきていると思う。
 キャンピングカーってのも、そういう “内向き消費” の文脈で考えると分かりやすいよね。

《 市場に理解され始めたRVの意義 》

【B】  オレねぇ、思うんだけど、 「不況だから安い遊びをしよう」 ってんでキャンプやキャンピングカーに目をつけた人たちも、そりゃ多いと思うけれど、それだけじゃなくて、キャンピングカーが提案している何かに、みんなが反応してきたんじゃないかな。
【A】  「何か」 って何よ?

【B】  会場で配られたRV協会の広報誌にも書いてあったけれど、 「家族や自然と調和しながら生きる」 というキャンピングカーの “哲学” みたいなものが、じわじわっと浸透してきているんじゃないの?
【C】  同じ “乗り物” なんだけど、乗用車とは違う何かがある…ってことだろうね。
【B】  そう。…だって、自動車業界の販売不振というのは、なにもアメリカ経済の落ち込みを受ける数年前から、ずぅーっと続いていたわけじゃない? だけどキャンピングカー業界だけは、この4年間、ずっと右肩上がりの出荷台数を維持してきたんだものね。 
 それって、何かといったら、 「新しい旅の形」 ってのを提案できているからなんだよ。

【A】  ホテルに泊まらずに、道の駅で泊まりましょうとか?
【B】  いやいや、そういうことじゃなくて、…結局、日本の風景も “近代化” に伴って、どんどん画一化されてきてさ、高速道路走っても同じ景色。ホテルに泊まっても同じサービス。
 そういう均一化された旅に飽きちゃった人にとってさ、キャンピングカーに備わっている個性が、実は 「旅の個性化」 につながってくるんだよ。
 だから、気に入った内装の、気に入った装備に囲まれて旅していれば、気分も盛り上がって、それが均一化された旅行からの 「脱出」 につながるわけよ。
【C】  ああ、それは分かりやすい例だね。そこが今のニーズに合ったのかな。

【B】  そう。それと、資源を消費して発展を遂げてきた重工業社会的な産業モデルに対して、キャンピングカーって、脱・工業社会的なイメージがあるじゃない?
 なにしろ、 「走るときより、止まっているときに本領を発揮する乗り物」 だっけ? RV協会さんのキャンペーン。
 燃料をやたら消費するのではなく、キャンプ場のような自然の中に滞在して、スロートラベルを味わうクルマ。
 そういうキャンペーンが少しずつ浸透してきた…という気がするんだ。

【C】  確かに、この不況の時代、キャンピングカー業界の人たちも 「さぁ、大変な時代が来た」 って青ざめていたわけだよね。
 しかし、実際に春のショーが始まってみれば、すぐには “売り” に結びつかないにせよ、反応はすごくいいわけじゃない? そうなればみんな 「ここは頑張って乗り切ろう」 と思うよね。
【B】  うん。やっぱりキャンピングカーには、乗用車と違った訴求ポイントがあるってことを、業界の人もみんな気づき始めてきたことは確か。
【C】  だから、ブースの作りなんかにも変化が現れてきたね。
【A】  どういう風に?

《 展示会風景にも変化のきざし 》

【C】  今までだとさぁ、戦国時代のようなノボリをたくさん立ててさ、展示車にも 「お買い得セール。このショーだけの限定価格!」 みたいな張り紙をペタペタ貼って、展示即売会みたいな雰囲気のブースが多かったけれど、それが少しずつ洗練されてきた。
【A】  いやぁ、基本的には変っていないよ。
【C】  だけど、中にはモーターショー並みに、こぎれいにブースをまとめたデザインマインドを感じさせる展示を心掛ける業者さんも出てきたよね。

【B】  そう。クルマの機能を売るというより、そのメーカーなりの思想とか哲学を売ろうという姿勢が少しずつだけど出てきているよね。
 そうなると、 「なんだ即売会か…」 と思って、あまり重視してくれなかった一般メディアの人たちも注目してくると思うよ。
【A】  オレは 「展示即売会」 的なにぎわいも必要だと思うけれどね。だって、夜店とかバザールの雰囲気って、庶民にとっては気楽でいいんだよ。
 それに、このご時世なんだから、 「うちのクルマは安いよ」 って貼り紙貼ったって、それで購買者の意識をキャッチできればいいわけじゃない?
 安く売るってのは企業努力なんだから、それを宣伝することはむしろ大事なことだよ。

【B】  そうだけど、それだけじゃ淋しい。やっぱこういう時代なんだから、「キャンピングカー業者も時代に対してこう考えていますよ」 ってアピールすることだって必要だと思うよ。
 たとえば、キャンピングカーで進められる 「エコ活動」 って何か? 
 そういう着目点って、大手企業が進めている “商売的なエコ” よりも、キャンピングカーそのものが 「エコ的使い方」 を許容する部分を含んでいるから説得力がある。

【C】  それに関しては、しっかりテーマを設定したディスプレイを掲げているところも出てきたよね。
【B】  まず、キャンピングカーそのものが変ってきたものね。
【A】  どういうふうに変ったというわけ?

【B】  開発ポリシーというものを 「形」 として表現したクルマというものが出てきたもの。中には自動車の大手メーカーですら注目するようなアイデアを披露するものまで登場した。
【C】  うん。いいことだよ。キャンピングカーって、自動車メーカーが供給するベース車の機能まで変えるわけにはいかないというハンディがあって、その部分ではやることが限られていたけれど、その自動車メーカーも振り向いてくれるようなアイデアを提供するって大事なことだよね。

《 カッコいいRVが急増した背景 》

【A】  確かに、まぁカッコいいキャンピングカーが増えたよな。中には 「あのベース車からこんなデザインが生まれるの?」 ってびっくりするような作品がバンバン出てくるようになったものな。
【B】  オレさぁ、「国産車のJポップ化」 が進んできたと思うの。
【A】  また、訳の分からないこと言い出す。

【B】  Jポップってさぁ、最初は洋楽のマネっ子から始まったわけじゃない? 今までの演歌・歌謡曲路線とは違う洋楽風のリズムやメロディで曲作りをして、洋楽ファンの間にも浸透することを図ったわけだよね。
 だけど、最初のうちは、やっぱり日本人の体質に沁み込んでいる 「和音階」 のメロディーラインから抜け出せなくてさ、サビの部分なんかになると、モロ歌謡曲になっちゃう曲もいっぱいあったよね。
【C】  歌詞だけ 「Hey Baby!」 でお茶をにごすとかね。
【A】  グループサウンズ的なノリでね。

【B】  それがどんどん洗練されてきちゃってさ、オレ、ミーシャの 「Everything」 なんか聞いたときは、 「あ、もう日本人には洋楽って必要ないのかもしれない」 …ぐらいに思っちゃったわけ。サビの部分も歌謡曲的な匂いがないんだもの。
 だけど 「洋楽か?」 っていったら、やはり違うのよ。世界のどこにもない日本のポップスになっているわけ。

【A】  それがキャンピングカーとどう結びつくのよ。
【B】  だから、国産キャンピングカーも、そうなってきているということなの。
 今までは、欧米の先進国のキャンピングカーが国産車の手本だったわけでしょ?
 造る方も使う方も、そういう頭があったから、キャンピングカーメーカーも装備類から内装デザインに及ぶまで、みな欧米コンセプトで造ってきたわけ。
 だけどさぁ、ベース車そのものも違えば、レギュレーションだって違うわけで、そっくり欧米のものを移植するなんて、どだい無理なわけでさ。
【C】  そこのところは、 「なんとなく気分で分ってよ」 という、作り手と買い手の暗黙の了承があったわけだよね。

《 国産RVのJポップ化が意味するもの 》

【B】  そうそう。だけど中には洋楽のように、向こうの基準がすべて正しいと思う人たちもいてさ。
 そういう人たちは 「あれも足りない、これも足りない」 って、すべて輸入モデルを基準にして、国産車をクサしていたわけだけど、日本の技術ってすごくてさ。いつの間にか、この国の風土や使用環境に適したものをものすごく洗練された形で練り上げてきたんだよね。
 今までは、それをあまり意識的に追求してはこなかったけれど、最近はそれを 「戦略」 として、むしろ商品価値を高める素材として使おうというメーカーもでてきたわけ。
 その成果がぼちぼちと浮上してきたのが、ちょうど今年あたりからだろうと思っているんだけどね。

【A】  でも、なんかそういうのって、閉鎖的じゃない? マーケットを国内に限定しているから、そういう話になるんであってね。
 やっぱ国際商品を目指さなければ 「普遍性」 って獲得できないでしょ。
 海外にも通用するようなベース車なりを得て、向こうのレギュレーションに適合するようなものを実際に販売してから、初めて誇れるものになると思うがなぁ…。
 オレはね、どんな文化でも、…それこそ商品だって、海外との緊張関係を失ったら衰退してしまうと思うの。
 だって、日本の国力がわぁーっと上がっていた時代って、どんな時代だったと思う?
 たとえば、天平の時代とかは、大陸や半島との緊張関係が日本人たちをピリピリさせたから、政治や文化が発展したでしょ。
 鎌倉時代だって、大陸の元との緊張関係があって、はじめて運慶のようなリアリズム芸術が生まれるし、日蓮のような宗教家も登場する。
 いちばん良い例は幕末だよね。
 黒船に脅かされて、日本人は初めて海外に目を向けて、「こりゃ大変だわ」 となったわけじゃない? 
 それが日本人の向上心に火を付けたわけでさ。
 キャンピングカーだって、 「日本のデザインすごいぞ!」 なんてふんぞり返っていたら、すぐ中国や韓国に足元をすくわれるって。

【B】  いや、それはまた別の話でね。日本人が日本国内で使うキャンピングカーに関しては、もう立派な 「日本デザイン」 が成立していると認めていいと思うよ。
 それが、今度は中国や韓国のキャンピングカーづくりに影響を及ぼしていくかもしれないじゃない?
 つまりね、欧米のマネッ子を脱出することに自覚的なメーカーも出てきたということなのよ。
 音楽でいえば、サビの部分で 「和音階」 に流れて、どっちつかずの曲になるのではなく、音としての独立性を高めてきた今のJポップみたいに、デザインの独立性を高めたキャンピングカーが生まれているんだよ。

【A】  そうかなぁ…。でも、やっぱり今の国産ビルダーのカタログ見ても、やたら 「ヨーロッパ調のデザイン」 とかって言葉を使って、自分たちの基準を海外に置いている宣伝の仕方って多いよ。
 でも、それが正しいんだよ。日本のキャンピングカーが欧米先進国から学ぶべきことは、逆にこれからもっと増えると思う。

【B】  でも音楽ではさぁ、最近の若いJポップのアーチストもさ、もう自分たちのお手本そのものが 「Jポップ」 なんだよ。
 昔のミュージシャンは違うよね。サザンの桑田さんなんかは、ルーツとなっているものがモロにビートルズだったり、クラプトンだったり、モータウンサウンズだったりすることが分かるわけじゃない?
 ミスチルなんかもビートルズの影を感じるよね。
 竹内まりやなんて、基本的には60年代アメリカンポップスのオールディズの路線。
 ブルーハーツなんかはパンクだったしさ。
 だけど、今はそういう先輩たちがやってきた日本のポップスを手本にして、自分たちの音を作っちゃう若い層が出てきているのね。
 だから、キャンピングカーも “日本風のカッコよさ” ってものをつくり出す若手のビルダーなんかが出てくるのは時間の問題だよ。

《 普遍的な文化はローカルな場所から生まれる 》

【A】  ただね、音楽だって、やっぱクラシックにせよ、ポップスにせよ、向こうの伝統と文化の背景を背負っているものは、やっぱり深みが違うよ。
 キャンピングカーだって、向こうの連中に愛されているものともなれば、やっぱり考えていることのレベルが違うもの。
 内装のデザイン性みたいなものだけならば、そりゃJポップ的な洗練度を国産車も持つようになったけれど、パッケージングを含めた機能的な総合力でいえば、まだ太刀打ちできないって。

【C】  ちょっと言っていい? 音楽でもさぁ、アートでもいいけれど、いま通用している普遍性ってさぁ。元はものすごくローカルなものじゃない? クラシック音楽なんていったって、ヨーロッパ地域の限定された世界における音楽理論が元になっているに過ぎないわけでさ。
 Jポップだって、ひょっとしたら、新しい時代の 「ワールドスタンダード」 に育っていくかもしんないじゃない?

【A】  音楽とキャンピングカーは一緒にできないって。だって、音楽は法令なんかで拘束されるものは何もない。
 だけど、キャンピング車となれば、各国の法令でさまざまな規定があって、それを乗り越えるのは簡単なことじゃない。
【B】  それはそうだけど、法令なんてものは、 「人間の暮らしを良くする」 ためのものに過ぎないんだから、日本のRVが、世界に発信できる技術なり、デザインを持つようになれば、世界の方が変っていくかもしれないじゃない?
 現に、日本のアニメとかゲームが 「ジャパン・クール」 といわれるように、一つの文化として評価されるようになっていることを考えれば、まずは内装デザインだけでも、世界のトレンドとして通用するものが生まれていくかもしれない。

【A】  でもね、 「機能」 があってのキャンピングカーだよ。芸術作品じゃないんだから。
 まず第一に、ベース車そのものの走りや安定性に関して不満を持っている人があまりにも多いよね。安全性だって、今のままでいいのか。
 そういうところに目をつぶって、「デザインが進んだ」 なんて、まだ手放しで褒められないでしょ。
 日本風のデザインコンセプトっていったって、例えば、キャブコンでいえば、トイレ・シャワーもない小型のキャブコンが主流というような話になっちゃうけれど、使う人の中には、キッチンの上に卓上コンロを置いただけで、ポリタンクの20リットルを積んでいるだけじゃ 「使えない」 っていう人だっていっぱいいるもの。

《 外食産業と似ているRV産業 》

【B】  いやいや、そういう人たちにはそれなりのクルマが用意されているところが日本のいいところでさ。
 キャンピングカーでも、こんなに車種バリエーションが豊富な国って、海外を見てもちょっとないよ。
 そこのところはさぁ、まさに日本の外食産業と似ているのよ。
 日本にいれば、「和」 はもとより、 「フレンチ」 「イタリアン」 「中華」 から 「インド」 「東南アジア」 …すべての料理が食べられる。しかも “おいしく” 。

【A】  でも、本場の本当の超一級にはかなわないぜ。……結論は町田さんに聞いてみよう。
【B】  だめだよ、あの人は自分のキャンピングカーの中で、一人で酒飲んで  「70年代ソウルミュージック」 を聞いて涙を流しているような人だもの。洋楽派なんだよ。
【C】  団塊の世代の限界だな。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:10 | コメント(0)| トラックバック(0)

トイファクトリー

【 トイファクトリー 藤井社長インタビュー 】

 未来社会に対する積極的な提言を、今キャンピングカー業界から一番強く発信しているメーカーとしてトイファクトリーさんの存在感は大きい。
 「断熱」 「ソーラーパネル」 「床暖房」 。
 それらの技術を駆使した同社の車両開発は、2009年のキャンピングカー産業の現在を語る上で欠かせないものだ。
 同社の藤井昭文社長に、数々の新技術を開発した背景やその苦労話をうかがってみた。

《 キャンピングカーは環境に優しくなれるのか 》

【町田】  この春に幕張で行なわれた 「キャンピング&RVショー」 を皮切りに、トイファクトリーさんは、未来に対する積極的な提言を秘めた新製品を次々と投入されているわけですが、そのテーマはみな 「環境対策」 という視点で統一されています。
 このような環境への “まなざし” をキャンピングカー開発に盛り込もうと考えられた動機は、どのようなところにあるのでしょうか。

トイファクトリー幕張展示風景01
▲ トイファクトリー 幕張ショー展示風景

【藤井】  地球の温暖化防止、エネルギー源の枯渇などが、人々の日常生活の中にも話題として採り上げられるような時代になると、僕たちのようなキャンピングカーメーカーといえども、21世紀を生きる企業としては、もう見逃すことのできない大問題だと感じていたんですね。
 そこで、いろいろなユーザーさんたちを中心に、「環境に適したクルマだったら、少しぐらい高くても買いますか?」
 という質問を投げかけてみたのですが、すると、大多数の皆さんが 「買うよ」 というんですよ。
 「なぜ?」 と尋ねると、
 「自然の中で遊ばせてもらっているのだから、それへの対策を施しているクルマに乗るのは、キャンピングカー乗りの責務だ」
 というような答が、実に多く返ってきたんですね。
 やはり、「自分だけが快適であればいい」 という時代は終わったと考えている人が増えてきたのではないでしょうか。
 たとえば、トヨタさんが発売されているハイブリッドカーのプリウスなどが人気を集めているというのも、そういう気分を反映しているように思うんですね。

【町田】 なるほど。キャンピングカーに乗るユーザーさんたちの意識も、変ってきたというわけですか。
【藤井】 ええ。僕もちょっと意外に思えるほど、ユーザーさんたちの意識は進んでいたんですね。
 それと、昨年デュッセルドルフで開かれた 「RV世界会議」 でも、各国のRVメーカーの首脳陣たちに、「一番大事なテーマは何か?」 ということをできるだけ聞いてみたんです。
 すると、当社が輸入販売を行うフェント・キャラバン (FENDT CARAVAN) の社長も含め、みな口々に 「今が世界の転換期なんだよ」 というわけです。
 どういうことかというと、やはりヨーロッパなどでは 「環境負荷を低減する」 ということがRV業界でも重要課題になっていると。
 僕たちが今回の車両造りの参考にしている場所として、世界で最もエコロジー技術が進んでいるといわれる南ドイツのフライブルグという町があるのですが、そこの代表に話を聞いても、やはり燃料電池とか、エタノールなどという化石燃料に代わる代替燃料に関心を深めていることが分かったんです。

バーデン外形02 バーデン内装02 
 ▲ 新しい提案を秘めたトイファクトリーの新型バンコン 「バーデン」

《 断熱対策のもたらす本当の意義 》

【町田】  それを知って、トイファクトリーさんも率先して環境問題にコミットしなければならないと思ったわけですね。
【藤井】  はい。このままでは日本のRV業界は、世界のRV社会から見捨てられるのではないかというほどの危機意識を抱きましたね。
【町田】  そこで、このたびその 「環境対策」 を全面的に打ち出したキャンピングカーを全面的にリリースされたということなのでしょうけれど、具体的には、どういうシステムを構築されたのでしょうか。

【藤井】  「環境対策」 というと大げさかもしれませんが、しっかり環境を意識した車両造りを行いたいと考えたわけです。
 僕たちは、これまでも 「断熱対策」 というものに力を入れて、ずっとそれに取り組んできたつもりなんです。
 ただ、「断熱対策」 が、具体的に地球環境の保全にどれだけつながるのかということを、僕たちも実証的なデータとして持ってはいなかったんですね。
 そこで、それを主観性が混入する恐れのある自社取りデータではなく、しっかりした研究機関を通して研究を進め、それを発表するようにしたのです。
 具体的にいうと、LCA (LIfe Cycle Аssessment = ライフ・サイクル・アセスメント) という仕組みなのですが、そこの研究に準じて専門家の指導のもとにデータ取りの成果を評価してもらい、それを公開するという手順を踏みました。
 まぁ、僕たちの今までの断熱へのこだわりの本当の成果を見ていただくという意味もありました。皆さんに、断熱は本当に効果があることを理解していただくため……という気持ちが一番強かったのかもしれません(笑)。

【町田】  そのLCAというものを少し説明してください。
【藤井】  これは、各企業やサービス部門の環境対策を評価する産業環境管理協会という団体で、ある製品なりサービスなりの 「製造」 「輸送」 「使用」 「廃棄」 「再利用」 まで含め、そのインプット、アウトプットを拾い出し、それがどれくらいの環境負荷を及ぼすものなのかを審議してですね、さらに、それに対する対策を施した製品などが、具体的にどれくらいの環境負荷の低減を実現したか…ということを測定する機関なんですね。
 日本では、1995年に産官学の協力によって、「LCA日本フォーラム」 というものが設立されまして、現在では、環境負荷削減に取り組む企業、組織などを表彰するようなシステムもできあがっています。

トイファクトリー幕張ショーブース
 ▲ 「エコ」 を訴求ポイントに挙げたトイファクトリーの幕張ショーブース

【町田】  なるほど。そうやって得られたデータをどのように活用されたわけですか。
【藤井】  はい。それを数十ページの報告書にまとめてですね、経済産業省の方に提出しています。
 そこで、各企業のそれぞれの環境活動の実績をまとめた報告書のようなものとして、『製品グリーンパフォーマンス高度化推進事業』 というものが編纂されるわけですが、その中に、トイファクトリーから 「断熱キャンピングカーのLCA効果」 というような形で発表されることが決まりました。

【町田】  その成果を、すこし具体的に説明していただけますか?
【藤井】  断熱ボディを造ることで達成されるものの一つとして、エンジンをアイドリングしてヒーター、クーラー効果を得るという方法から脱出することができます。
 そこで、実際にそれがどのくらいの効果を得るのかということを、実際、断熱したバンコンと断熱加工をしていないバンコンの同時走行テストを行なって測定してみたんです。
 すると、断熱加工したバンコンの計測燃費は、リッター当たり0.95kmに相当することがLCA評価基準に基づいて実証されたんですね。

【町田】  何か分かりやすい “例え” でいうと、どういうことなんでしょう。
【藤井】  このリッター当たり0.95kmという数値はですね、年間走行距離を10,000kmと仮定した場合、年間に280kgのCOの排出減に相当するんです。
 一般的に、杉の木が1年間に吸収するCOは約14kgだといわれています。
 すると、僕たちが開発する断熱バンコンというのは、1台で杉の木20本分のCO削減効果が達成できるんです。

【町田】  地球全体にもたらす効果は微々たるものかもしれませんけれど、台数が増えると大きな力になりますね。
【藤井】  はい。その力をさらに増大させるために、このほど開発したのが、「ソーラーバンコン」 です。
 これは、もう最初からルーフにソーラーパネルを搭載することを前提として、ルーフと一体型となったパネルスペースを製作しました。
 最初は 「カッコよくソラーパネルを載せたいなぁ」 と思ったのがきっかけでしたけれど (笑) 。

トイファクトリーソーラーパネル02
 ▲ TOYsBOXに搭載されたソーラーパネル

《 ソーラーパネルでCO削減に協力 》

【町田】  それは全車に装着可能なんですか?
【藤井】  ええ。今はまだオプションですが、全車に搭載できるようにしました。
 ソーラーシステムの特徴は、ご存知のように 「化石燃料に依存しない」 というところにあるわけですね。
 これも計算してみると、僕たちのソーラーバンコンに搭載されるパネルの発電量は年間約166キロワットなんです。
 これを日本の全電力の平均COの発生量と比較すると、年間約52kgの排出量低減に相当することが分かりました。
 先ほどの杉の木の例でいいますと、杉の木が1年間に吸収するCOは、約14kgといわれていますから、トイファクトリーのソーラーバンコンは、1台で杉の木の3.7本分のCOの削減効果があるということなんですね。

【町田】  なるほど。説得力がある (笑) 。
【藤井】  はい (笑) 。2005年の 「京都議定書」 では、日本の温室効果ガス排出量を2012年までに、1990年を基準年として、そこから6パーセント削減することを謳いましたよね。
 そこで 「チーム-6パーセント」 などの活動を通じて、いま国は、それを国民的なプロジェクトとして進めているところですけれど、僕たちの会社もそれに貢献するために、「ソーラーバンコン1000台」 を目指すという運動を展開しています。
 もしそれが実現したら、その効果は3,700本の杉の木、つまり東京ドームの4分の1個分の森に相当するCOの削減に協力することができます。

【町田】  そのような研究は独自で行なわれたわけですか?
【藤井】  いや、自社だけでやる研究には限界がありますので、これは琉球大学の工学部と共同して研究しているところです。
 幸い、私たちの工場が岐阜県のほかに沖縄にもあるものですから、とても連絡がいいんですね。
 沖縄は太陽光が強いので、四六時中データが取れます。
 で、そういう環境を利用して、バッテリーにチャージするのに一番効率のよいシステムというものを、琉球大学の力を借りて開発しているところです。
 おそらく、突入する電力の一番高いところを維持できるような機械的なシステムを構築することができるはずです。

《 画期的な床暖房システム 》

【町田】  そのソーラーシステムの開発と同時に、床暖房に対しても、新しい提案をなさいましたね。
【藤井】  はい。たとえば、僕たちが新しく開発した 「エコロ」 という新型ライト/タウンベースのバンコンがありますが、これなどは、この限られた空間の中にもしっかりした床暖房を実現しています。

エコロ外形01 エコロ内装01
 ▲ ライト/タウンエースベースの 「エコロ」

【町田】  どういう構造の暖房なのでしょう。
【藤井】  新型ライト/タウンベースの場合、一番下に発泡断熱材を敷くんですね。その上にコンパネ材を敷きまして、それからセラミック塗装を施して、その上に0.4mmのPTCという発熱体を敷きます。
 その上に、さらに4mmのベニヤ版が入り、全部で5層~6層になっています。

【町田】  PTCって何です? ごめんなさい、工学的な知識に暗くて…。
【藤井】  PTCというのは、「自己温度制御機能」 を持つ発熱体で、特殊インクをフィルムに塗布して、超薄型の……フレキシブルシートといいますけど、そういうシートで仕上げた発熱体なんですね。
 このPTCという面状発熱体による遠赤外線効果を利用したのが、僕たちの暖房システムなんですけど、そのPTCを収めたフィルムが、わずか0.4mmという薄さを実現しているので、まず厚みを取らない。だから、室内のクリアランスを十分に確保できる。
 それと、従来の熱線方式と違って、火災が生じたりする危険性を免れるという特徴があります。

トイファクトリー床暖房模型01
 ▲ 「エコロ」 に搭載された床暖房の説明模型

【町田】  従来の床暖房というのは、床に熱線を通したり、お湯を配管で回したりするシステムが一般的でしたよね。
【藤井】  はい。それがもう全然違うんですね。
 実は、僕たちもコースターをベースに床暖房を開発したことがあったんですけど、それは、単純にホースを通して、その中にラジエーターの水を回す方式だったり、後は、断熱材の周りにFFヒーターの熱を落とし込んだりするシステムだったのですが、それだと、どうしてもバンコンのようなクルマの場合は、室内高が取りづらくなってしまうんですね。
 また、そういう方式では、エコロジーという観点からも問題が出てくる。
 そこで、このシステムを採用することを決めたんです。

【町田】  いつ頃から、開発を進めていたのですか?
【藤井】  もう、去年の幕張のショーが終わった頃から、断熱を高めていくという方向で、床暖房の研究にも着手していましたね。
【町田】  その成果が実って、省エネと安全性の両方が確保できたと…。
【藤井】  はい、その通りですね。結局今までのものは電気が絶えず入れていないと熱源を確保できなかったんですが、これはON/OFFがフレキシブルにできるわけです。
 ある一定温度までは温度が上がるんですけど、上がった瞬間に、その温度を保ったまま暖房機能が解除される。
 そして、冷えてくるとまた熱を出す。最低温度は20度から最高は300度ぐらいまで設定できます。

【町田】  すごいですねぇ! そのような暖房システムを採り入れたキャンピングカーというのは、海外にはあるのでしょうか。
【藤井】  私が知っている限りないんですよ。ヨーロッパでも、まだ熱線を入れるような前のシステムのままなんですね。
 日本では、すでに住宅などでは相当普及しているシステムなんですが、それをクルマに採り入れているところは、まだないと思います。

《 大手メーカーも注目 》

【町田】  藤井さんの話をうかがっていると、日本のキャンピングカーの技術水準が非常に高まってきたような印象を受けます。
 なんか、キャンピングカー業界の将来は明るいぞ、という希望のようなものが湧いてきますね。
【藤井】  そういってくださると嬉しいですね。
 おかげさまで、こういう僕たちの方向性を大手自動車メーカーさんも評価してくださいまして、全国のトヨペットディーラーに、僕たちのクルマが持っているソーラーパネルの意義とか面白さを採り上げてもらえるようになりました。
 
【町田】  それは、具体的にはどういうことなんですか?
【藤井】  大手自動車メーカーさんが、最近 「クルマをベースにした新しい楽しみ方」 について、全国のディーラーさんにアイデアを募集したんですね。
 それで、全国のディーラーさんから様々なアイデアが寄せられたようなのですが、その中で選ばれたのが、ECO (エコ) を意識した私たちが提案したクルマだったんです。
 断熱とかソーラーを提案した 「環境対策の時代を見据えたクルマ」 ということが評価されたというわけですね。

【町田】  ちなみに、ほかの乗用車ディーラーさんから出ていたアイデアというのは、どのようなものだったんですか?
【藤井】  詳しくは聞いていないのですが、「エアロの装着」 とか 「新しいスポーツタイプデザイン」 などといった外形的な処理を提案したものが多かったと聞いています。
【町田】  やはり、未来型の自動車を提案する場合、「社会性」 「公共性」 というものが必要になってきたということなんでしょうね。

【藤井】  ええ。そこから話が進みまして、今トヨタさんが公開している 「トヨペットスクエア」 というホームページには、ハイエースのコーナーがありまして、大げさかもしれませんが 「ハイエースキャンピングカーの代表」 という形で、うちのトイズ・ボックス (TOYsBOX) が紹介されたりしています。それに乗ったオーナー様がどのように楽しまれているかなどということも紹介されていて、本当にうれしいことです。

【町田】  なるほど。「トヨタ公認のRV車両」 というわけですね。
 トイファクトリーさんの車両開発が、キャンピングカー業界全体の認知度を高めたことは確かなようですね。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

RV世界会議

 千葉県の幕張で開かれた 「キャンピング&RVショー2009」 は盛況のうちに幕を閉じた。
 3日間取材して、日本のRV業界の活力というものを、本当に実感することができた。

 会場では、日本RV協会が発行する広報誌 『くるま旅』 第5号が配布されたが、この広報誌の編集をお手伝いさせてもらった関係上、取材ネタとして残した資料が手元にある。

 今回は、日本RV協会さんの承諾を得て、その資料の中から日本RV協会・海外情報部の猪俣慶喜氏のインタビュー記事をここに公開する。 
 基本的な内容は、『くるま旅』 5号に掲載されたものと同じだが、広報誌においてはスペース的な関係もあって割愛せざるを得なかった部分があった。

 ここに公開するのは、広報誌では割愛した部分を含めたインタビュー記事の全貌である。


《 RV世界会議について 》

 2008年9月4日に、ドイツ・デュッセルドルフのキャンピングカーショー 「キャラバンサロン2008」 にて開催された会議。
 日本、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、中国の各国代表がそれぞれ自国のキャンピングカー産業の現状とその使用環境を報告しあい、将来の展望を語り合った。
 日本からは 「日本RV協会 (JRVA) 」 前会長・増田英樹氏ほか、事務局・矢久保達也氏、海外情報部・猪俣慶喜氏ら3名が出席。他に会議の傍聴者として、RV協会から5社6名が参加した。

RV世界会議01増田前会長
▲ 議長のトレバー・ワトソン氏 (英国) と増田英樹前会長

《 世界のRV業者が集まった初の国際会議 》

【町田】  まず、この 「RV世界会議」 に参加した国々を教えてください。

【猪俣】  国単位という意味では、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、中国なんですが、ヨーロッパの場合はドイツのRV協会がヨーロッパ全域のRV事業者を代表する形でプレゼンテーションを行っていましたね。
 司会は、国際自動車連盟 (FIA) の副代表で、英国キャラバンクラブの代表も務めるイギリス人が務めていました。
 とにかく、今までキャンピングカー産業というのは、欧米中心のように思われていましたが、今やアジア、アフリカ、オセアニアにまで広がってきていることがこの度の会議で分かりました。

【町田】  これが第1回目の会議ということなんですが、このようなRV業界の国際会議が開かれた背景には、どのような事情があったのでしょう?

日本代表プレゼンター猪俣氏
▲ 壇上で基調報告を行うプレゼンターの猪俣氏

【猪俣】  ひとつには、経済問題や環境問題が世界規模で深刻化し、文明的な行き詰まり感も広がってきた中で、RV産業は時代とどう関わるのか。そういう問題意識が生まれてきたということですね。
 また、ビジネス的な側面から見ると、欧米ともに国内マーケットがピークを極める時期が読めてきて、さらなる市場を開拓するためには 「輸出」 が必要だという認識に達したからではないでしょうか。
 だからこの会議では、それぞれの国が、お互いのマーケットや法規制を報告しあって、お互いの輸出の可能性を探るという目的があったと思います。

【町田】  会議のプレゼンテーションの雰囲気はどんなものだったのですか?

【猪俣】  国によって違うのですが、一番面白くて充実していたのは、やはりアメリカのRV協会であるRVIAのプレゼンでしたね。
 とにかく喋りも慣れているし、笑いを取りつつ場を盛り上げるコツを心得ていました。彼らは、こういう場が一種の 「セレモニー」 であり 「フェスティバル」 だという認識を持っているんですね。


《 悩みもあれば希望もある各国代表 》

【町田】  アメリカ代表が発したメッセージそのものは、どんな内容でしたか?

【猪俣】  やはり自分たちの抱えている問題を正確に把握して、それを正直に発表していました。
 たとえば、ここ10年ほどアメリカのRVは車体も大きくなって、豪華になってきたわけですね。その分、当然重量も重くなり、燃費も悪くなりました。
 そういう流れが、原油資源の枯渇や地球の温暖化が問題視されている今の時代に合っているのかどうか。彼らにも心配はあるわけです。
 そういった懸念も正直に告白しつつ、ベース車の問題としてディーゼルが見直される時代になるだろうという予測も交え、アメリカンRVの新しい方向を模索する姿勢には共感できました。

【町田】  ヨーロッパの代表の意見はどのようなものでしたか?

【猪俣】  ヨーロッパもアメリカと同じような問題を抱えています。世界的な景気後退や環境問題を意識して、軽量小型のベース車の開発やオーバースペック (過剰装備) の見直しを図らねばならないことを模索しているように感じられました。
 ただ、ヨーロッパは、もともとベース車そのものに省資源やエコロジーを意識したものが多いですから、その方向にシフトしていくとなれば対応するのは早いかもしれません。

【町田】  それ以外のエリアの代表はどうだったのですか?

【猪俣】  まず、オーストラリアのRV業界が、産業規模からいってもマーケットからいっても、欧米に次ぐ地歩を築いてきていることが分かりました。
 オーストラリアでは、RV産業を社会全体が発展する要 (かなめ) として捉えているようなところがあります。
 この国は豊かな自然に恵まれているおかげもあって、RVだけでなく、アウトドアレジャーを広く振興させるための社会的合意を形成していこうという気運があるように感じられました。

【町田】  カナダはどうですか?

【猪俣】  この国もRV先進国であることは間違いありません。アメリカと地続きでもあるため、アメリカと同じRV文化を共有しています。
 また、アメリカ以上に自然環境が豊かな国ですから、RV産業の育成にもそういう風土と調和するような方向を模索しているという雰囲気がありましたね。

【町田】  南アフリカにRV業界があったというのが、少し意外な感じもするのですが…。

【猪俣】  南アフリカ共和国というのは他のアフリカ新興国とは違い、昔から政府の主要機関や基幹産業はオランダ系の白人によって運営されています。文化的には 「ヨーロッパ」 なんですね。
 南アフリカは、アフリカのサバンナなどを見学する観光にも力を入れています。だからこの国では、自然観光に適した特殊なRVが開発されています。そこがユニークなところですね。

【町田】  中国はどうでしょう?

【猪俣】  市場としても産業としても、まだ立ち上がったばかりの国なので、いずれも発展途上です。
 RVが文化として浸透し、成熟していくにはまだ時間がかかりそうですが、情熱とか意欲に関しては、他のRV先進国に負けない気概というものを感じました。

【町田】  なるほど。キャンピングカー先進国の欧米では、ベース車の見直しを含め、エネルギー問題や地球温暖化対策をにらんだ真摯な取り組み姿勢を示しているというわけですね。
 一方、キャンピングカーの発展途上国では、自然や環境との調和を意識したRV開発を目指していると。
 まさに、世界のさまざまな産業が直面している課題を、この業界も率先して受けとめ、前向きに進んでいるということが伝わってきました。

RV世界会議の様子

《 日本文化に高い注目が集まる 》

【町田】  日本のプレゼンターとして、猪俣さんが報告されたのはどのような内容のものだったのでしょう?

【猪俣】  日本のRV業界の生産台数や売上金額も含め、産業規模やインフラ整備の状況は 「キャンピングカー白書2008」 のデータを元に正確に伝えました。
 ただ、そういう数値的なデータよりも、彼らが関心を持ったのは日本型キャンピングカーの持つ珍しい文化だったんですね。

【町田】  どういうことでしょう?

【猪俣】  たとえば軽自動車のような超スモールキャンピングカー。こういうものは海外のカテゴリーにはないわけです。
 それを、私は日本特有の 「茶室」 や 「盆栽」 などという文化の延長線上にあるものだという形で、日本文化を代表する文物の画像なども例に採りながら紹介したんですね。それはかなり海外の人たちの目を惹きました。

【町田】  確かに今日本のアニメ、ゲームなどを中心にした日本のエンターティメント文化が欧米やアジアの若者たちから評価され、「ジャパン・クール」 というブームが起こっています。
 スシのような日本食も海外で定着しましたし、盆栽や墨絵といった伝統芸能を楽しむ外国人も増えています。
 日本のキャンピングカーが海外の代表から興味を持たれたというのは、そういう文脈の中で解釈すればよろしいのでしょうか。

【猪俣】  そうですね。やはりキャンピングカーにもその国固有の文化が反映しているというアプローチが良かったのだろうと思います。
 軽キャンパーのような日本独自の小型キャンピングカーが生まれてきた理由も、道路事情や税制上のメリットで説明するより、「宇宙の広大さを、極小の世界に閉じこめる日本文化が反映されたものだ」 と説明した方が反応がありましたね。

【町田】  面白いですねぇ! 聞いた話なんですが、フランスあたりでは、インテリの条件として、「日本文化に精通していること」 というのがあるそうなんですね。
 フランスあたりから、日本にやってくる観光客というのは、『源氏物語』 なども読んでくる人がいるとか。
 キャンピングカーにおいても、海外の人に日本のキャンピングカーを理解してもらうためには、今後そういうアプローチも必要になってくるかもしれませんね。

【猪俣】  それは必要でしょうね。だいたいハイエースなどをベースにした日本型クラスBというものが、海外にはありませんから。
 そういう車両の中には 「畳」 や 「障子」 を使った 「茶室」 みたいなキャンピングカーもあるということを画像も交えて紹介すると、彼らは興味を感じるようなんですね。

クエスト室内_2 クエスト室内_1

【町田】  「障子」 という素材そのものが天然素材ですし、そのようなエコロジカルな素材を使って、建物の内側と外に広がる自然との調和を保つという発想は、石の建築文化を築いてきた西洋にはないですものね。

【猪俣】  そうなんですね。日本にはそのようなキャンピングカーも生まれているということは、欧米人の発想を大いに刺激したのではないでしょうか。
 彼らは、アメ車やヨーロッパ車だけがスタンダードだと信じていたのに、まったく別のスタイルを持つRVがこの世に存在するということが面白くてしょうがない…という感じでした。

【町田】  彼らの目には、そういう日本型キャンピングカーが評価できるものとして映ったのでしょうか?

【猪俣】  そういうものが 「主流」 になるとは思わないでしょうけれど、少なくとも自分たちのRV文化を刺激する材料にはなったと思います。
 私のプレゼンが終わった後、アメリカRVIAの代表や南アフリカの代表が声をかけてきて、「非常にいいプレゼンだった。勉強になった」 と誉めてくれたことからも、なんらかの手応えを感じてくれたという気配は伝わってきました。


《 道の駅って何だ? 》

【町田】  そのほかに、外国の代表が関心を持ったことがありましたか?

【猪俣】  「道の駅とは何だ?」 という質問を受けましたね。「私たち日本のユーザーはキャンプ場などで宿泊する以外にも道の駅 = ロードサイドステーションで休憩することもある」 と伝えたんです。
 ところが、こういう正式な宿泊施設ではないのにキャンピングカーが休める “ファジー” な空間というのは、外国にはないわけですね。
 これもオリエンタル・デザインを施したジャパニーズRVと同じように、彼らには 「エキゾチシズムに満ちたスペース」 に感じられたようです。

【町田】  将来、日本製のキャンピングカーが 「国際商品」 になっていく可能性はあるんでしょうか?

【猪俣】  可能性は多いにあります。日本のビルダーの力というのはメキメキ向上しているから、クオリティだけいえば遜色のないものになっています。ただ、解決しなければならない問題も多いですね。
 まずレギュレーションの問題。
 欧米のRVに対する法規制というのはものすごく細かくて、しかも膨大な量に及んでいます。
 それに対して、日本のRV業界はそういう欧米のレギュレーションに対応する基準をまだ用意していません。
 まずそこで、正規に輸出するときに立ちはだかる壁があります。


《 国産キャンピングカーが世界に飛翔する日 》

【町田】  なるほど。これは難しい問題ですね。
【猪俣】  しかし、こうも考えられるわけですね。
 日本のキャンピングカーというのは、欧米のレギュレーションとは異なる構造要件に基づいて造られているにもかかわらず、この成熟した交通社会を実現している日本で、今日までたいした事故も起こさないまま安全に運行されてきたわけですね。
 これはどういうことかというと、日本のスタッフには、レギュレーションを厳密に守りながら造るという職人的な勤勉さが備わっているだけでなく、デザイナー的な直観力にも恵まれていて、…メーカーによって違うかもしれませんけれど、「安全を満たすにはこれだけの基準が必要になるだろう」 という判断基準を自分たちの “体内” に持っているからだろうと思います。
 だから、真剣になって輸出を考え始めたら、各国のレギュレーションに合わせた製造など、日本のRVメーカーは簡単にクリアしてしまうと思いますよ。

【町田】  実際、乗用車がそうでしたものね。輸出が伸びたのは、世界に散らばる細かなレギュレーションに適合するように、すべて仕様を変えて生産してきたからですものね。

【猪俣】  ただ、キャンピングカーともなると、そのコーチ (架装) 部分に関してはそう簡単に適合できない部分というものが残りますね。
 まず電気。
 現在、アメリカでは115V。ヨーロッパは220V。日本は100V。これに対応していくのが大変です。
 このような違いは、各国の住宅事情と密接に絡んでいますから、RVだけ共通化を図るということが非常に難しいんですね。
 また、LPガスの扱いも日本と諸外国では法律的にかなり違うところがあります。さらに排ガス規制の問題。これも国の認証がすべて異なるのでやっかいです。

【町田】  あとベース車の問題で、右ハンドルと左ハンドルの問題が出てきますね。

【猪俣】  そうですね。イギリス文化圏以外はみな左ハンドルですから、現状の国産車をベースに使うわけにはいかないでしょうね。
 だけどフィアットのデュカトなどを日本に入れて、それに架装して出すなどということができれば、また違ってくるのではないですか。

【町田】  でもそれは輸出入のコストがバカ高いものになって現実的でないのでは?

【猪俣】  しかし、いま国連などを中心に、モータリゼーションをもっとグローバル化しようという動きが進んでいます。つまり各国のレギュレーションの違いを解消して、より 「ハーモナイズ (調和) 」 させようという流れができているんですね。
 そのようにクルマのレギュレーションが統一されていけば、試験基準の違いなども解消されますから、相対的に輸出入にかかるコストが低減されます。
 ベース車がそのような方向に傾けば、架装部分を担当するビルダーさんにもそういう流れが波及するでしょう。少し時間のかかる問題かもしれませんが…。

【町田】  会議の流れとして、RV業界が明日の希望を見出すような方向が見えたのでしょうか。

【猪俣】  やはりそれが目的ですから、今後ますます厳しさを増しそうな環境において、RVの価値をどう創出し、どう訴えていくかという意欲はどの国の代表にもみなぎっていましたね。
 具体的な対策は、個々の国々でそれぞれ検討することになるでしょうけれど、おそらく今後のセールスプロモーションなどにおいては、それぞれの国で時代を見据えた建設的な提案がなされていくと思います。


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:16 | コメント(2)| トラックバック(0)

幕張ショー印象記

08年度幕張ショー会場風景01

 幕張メッセ (千葉県) で、開催されている 『CAMPING&RV SHOW 2009』 を2日間取材してきました。
 今日は最終日。
 これからちょっと寝て、朝6時半に起きて、最終日の会場入りを果たす予定です。

 それにしても、びっくり。
 有料入場だというのに、昨日の土曜日は大変な人出。
 入場される人々の表情も、明るく、楽しそう。

 世の中 「不況の大合唱」 だというのに、この会場にいる限り、マスコミの報道は本当なのかと疑ってしまうほど、ちょっと信じられないほどの活気がみなぎっています。

 ビルダー、販社さんらの声を聞いても、みな口々に 「お客さんの反応は悪くない」 と元気な様子。
 う~む…。
 キャンピングカーって、こんなに不況に強い商品だったのかしら。
 ちょっと意外でもあり、うれしくもあり。

 
 今回のショーの特徴は、提案型の商品がぐっと増えたこと。
 それぞれの業者さんが、次の時代をにらんだ商品開発を目指してきた感じがします。
 特に、ハイエースなどのバンコンを中心に、今までになかったような新機軸を打ち出したクルマが目立ちます。

 キャブコンでは、ボンゴベース、新型ライト/タウンエースをベースにした小型キャブコンが充実してきました。
 また、カムロード勢に並んで、日産ピーズフィールドクラフトさん、エートゥゼットさん、マックレーさんなどからアトラスベースのキャブコンがリリースされて、ベースシャシーもにぎわいを見せるようになりました。

 ニートRVさん、東和モータースさん、ボナンザさんを中心に、輸入車も健在。
 もちろん、トレーラーも充実した商品がびっしり勢ぞろい。
 日本のRV業界の底力がくっきりと浮かび上がったようなショーでした。

 金曜日の晩には、RV協会さんが主催された業者さんとメディア関係者の懇親会に出席。
 その後は、例によって、懇意にしている業者さんたちと2次会、3次会。

 ええ、またしこたま飲みましたねぇ。
 でも、もう駅の階段から転げ落ちるような失態は繰り返しませんでした。
 
 夜が開けたら、またいつものネットカフェ。
 「ここはどこ?」 状態で、目が醒めました。


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:22 | コメント(4)| トラックバック(0)

幕張ショー始まる

 今日から幕張メッセ (千葉県) において、国内最大のRVショーである 『CAMPING&RV SHOW 2009』 が開幕します。

08年度幕張ショー会場風景01

 昨日はその出展車両の搬入日。
 朝から会場に待機して、会場入りする最新キャンピングカーをバシャバシャと写真に撮りました。

 今年は、話題性のあるクルマが実に多く、充実したイベントになりそうな気配が濃厚です。

 この業界、とても元気な感じです。
 世の中は大不況。
 「クルマが売れない時代」 だといわれているのに、このイベントにキャンピングカーを持ち込んでくる人たちというのは、何で、みんな生き生きとしていて、元気なんだろう。

 写真を撮っていて、こちらもパワーをたくさんもらうことができました。

 では、さっそく昨日撮った画像の中から、新車を中心にご紹介いたしましょう。


《 ネオ・ユーロ 》

09ネオユーロ01

 かーいんてりあ高橋さんが開発したタウンエースベースの 「ネオ・ユーロ」 。
 全幅1690mm。取り回しの良さが特徴です。


《 ピッコロ・クィーン 》

09ピッコロクィーン01

 ピッコロ・キャンパーシリーズでおなじみのオートワンさんが、ついにキャブコン型の軽キャンパーに挑戦。


《 バーデン 》

09バーデン外形01 09バーデン内装01

 トリファクトリーさんの新型バンコン 「バーデン」 。
 ミラノスタイル張りのハイグレードなインテリアを実現しながら、「温泉めぐり」 を楽しめる使いやすいレイアウトを採用しています。

09トイファクトリーソーラーパネル01
 
 特徴的なのは、ソーラーパネルを組み込んだ一体型の新ルーフ。
 トイファクトリーさんは、このルーフを自社の全車に採用して、エコロジカルな電源供給システムを実現しています。


《 エコロ 》

09エコロ01

 同じくトイさんの新型車 「エコロ」 。
 その名のとおり、このクルマもソーラーパネル組み込み型の新ルーフを採用してエコロジーコンセプトを追求したものです。
 今回のショーでは、かなりバンコンにもタウンエースが登場してきています。

 
《 アルファ 》

09アルファ外形01 09アルファ内装01

 エートゥゼットさんの新型キャブコン 「アルファ」 です。
 バンクの形状に新しい試みが施され、広々バンクの誕生です。

《 アンナ 》

09アンナ外形01 09アンナ内装01

 同じくエートゥゼットさんの新型タウンエースをベースにしたニューバンコン 「アンナ」。
 ハイルーフの機能を生かしきった、美しく造形されたオーバーヘッドコンソールが見事。


《 ウィズ 》

09ウィズ外形01

 タコスさんからは、リヤに開口部の大きいトランクを設けた 「ウィズ」 がリリースされました。
 得意の “タコス仕様” はこのクルマでも見事に開花。


《 トワイライト 》

09トワイライト外形01

 ファーストカスタムさんは、今回バンコンにも力を注ぎ、魅力的な新型車を3台投入してきました。
 そのうちの1台がこの 「トワイライト」 。
 いずれ、他のクルマも含めて詳しく紹介します。

《 クエスト雅 》

09クエスト雅内装01

 畳と障子を採り入れて、モダンな “和風テイスト” を実現したバンテック新潟さんの 「クエスト」 。今回はその新型バージョンとして 「クエスト雅」 が登場しました。


《 シェル 》

09シェル外形01 09シェル内装01

 アールブィビックフットさんからは新型バスコンが2台リリースされました。
 その1台がこの 「シェル」 。
 ブラインドパネルで、断熱・プライバシーの確保を実現しています。

《 シェリト 》

シェリト

 同じくビックフットさんの 「シェリト」 。
 このバスコンもブラインドパネルが特徴です。
 また、リヤ観音扉を設定して、後方部からのアクセスを可能にしています。
 

《 オルベット 》

09オルベット外形01
 バンコンでも、ビックフットさんらしい新車が登場。
 リーズナブルな価格設定で、若い人の気持ちもゲット。


《 ヴォーノ 》

09ヴォーノ内装01

 レクビィさんからは、新しい提案が生まれました。
 ハイエースのロングバン標準ルーフを使ってL型ラウンジを採用した 「ヴィーノ」 。
 意表を突いた設定です。


《 テントむし&コロ 》

09テントむし&コロ外形01

 スモールトレーラー 「コロ」 を引くバンショップミカミさんの 「テントむし」 。

 
 まだまだ紹介したい新型車はたくさんありますが、実は、まだ写真が撮りきれていません。
 残りは、少しずつ紹介していくことにいたしましょう。


 『キャンピング&RVショー2009』

 2009年2月13日(金)・14日(土)・15日(日)

 幕張メッセ 国際展示場9・10ホール
 (千葉県美浜区中瀬2-1)

 13日(金) 10:00~18:00
 14日(土) 10:00~18:00
 15日(日) 10:00~17:00
 一般 1,000円 (中学生以下無料)
 60歳以上 500円
 身体障害者 無料 (介添人1名まで無料)

 詳しくは下記へ。
 http://www.camp-rv.com/


campingcar | 投稿者 町田編集長 03:04 | コメント(4)| トラックバック(0)

ビルダーブログ

 キャンピングカーを造ったり売ったりしている会社には、けっこう面白いブログを書くスタッフがいます。
 もともとが “趣味のクルマ” ですから、やはり好きでこの世界に入ってきた人が多いわけですね。
 そうなると、ちょっと力の入った新車などを開発したときは、やはり、ありきたりの宣伝ではなく、多少なりとも思い入れの部分を強調したくなるでしょうし、苦労話の一つも入れたくなるでしょう。

 だから、キャンピングカービルダーのスタッフたちが作るブログを読むと、カタログや雑誌広告には載らない車両開発に対するホンネの部分、会社の空気、お客さんたちとの交流の雰囲気まで伝わってきます。

 そのようなブログの中で、特に人気が高いのは、やはり書き手の個性が鮮烈に漂ってくるブログです。
 個性的な記事を書ける人というのは、自分の日常生活の1コマを採り上げただけでも、どこか楽しい読み物になっているものです。

 今回は、そういう “面白いブログ” をいくつか拾って、ご紹介しましょう。(一応アイウエオ順にいくつもりです)

【アネックス】

annexプラザ

 まずは、大阪を代表するキャンピングカービルダー 「アネックス」 の田中社長のブログです。
 昨年の12月にスタートしたという若いブログですが、内容がなかなか多彩。
 もちろん、ビルダーの社長さんが担当するブログですから、新車の開発過程や展示場レポートなどもしっかり折り込まれています。

 しかし、それ以上に、趣味のハイキングやキャンプの体験記、読書感想文など、豊富な話題が繰り広げられているところに、このブログの特徴があります。

 ハイキングで山に登り、大地の上に朽ち果てていく落ち葉を見ながら、自然の見事な循環システムに感動する一方、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 というような本にもしっかり目を通し、「利権団体の絡んだエコ推進活動」 には疑問の目を向けるなど、ブログ担当者の関心領域の広さが伝わってきます。

 文章がいいですねぇ。作者の温かさと優しさがストレートに伝わってきます。
 それでいて、けっこうモノを見る目がシビアだな…とちょっぴり緊張させる部分も漂っていて、読みごたえがあります。

 それぞれの記事には、内容に応じた美しい画像もしっかり張られ、全体的に華やかな感じの画面構成になっています。
 記事に応じた写真を撮っていくというのは、実はなかなか大変なものですが、そのへんも手を抜かずに頑張っています。力の入ったブログです。

 blog → http://annex-rv.blogspot.com/


【インディアナRV】
『Indiana Blog 最新ニュース』

インディアナRV

 2006年の11月にスタートし、今年で4年目を迎えるブログです。そのため、同社のユーザーさんたちへの連絡網としても、しっかり定着している感じが伝わってきます。

 記事を担当するのは営業スタッフの方が中心になっているようですが、もちろんその中には社長の降旗さんも加わり、トレーラーに関する深い造詣を生かして健筆を振るわれています。

 基本的には、新車情報、イベント情報を中心とした構成ですが、スタッフたちの立ち位置が “ユーザー目線” になっているのが特徴です。
 たとえば、装備類を使いこなすための “秘技” が紹介されていたり、新商品をテストしたレポートが掲載されていたりと、使っている人たちの気持ちを大事にする方針に徹しているところが頼もしく感じられます。

 blog → http://blog.indiana-rv.net/


【エートゥゼット】
『АtoZ Blog』

AtoZshop01

 「AtoZ」 さんの新車紹介、イベント情報を主体としたブログなのですが、エントリー記事を担当される atozburi (常務) さんの文章タッチが絶妙です。
 ほのかなユーモアを讃えた “脱力系” の文体なのですが、とても味があります。
 記事内容は、けっこうしっかりした自社商品の売り込みなのですが、それを匂わせないところがミソ。
 ちょっと 「引いた」 感じの文章のうまさにつられ、ついつい引きずり込まれるように読んでしまいます。

 このブログを担当されている方は、ご自分のことやご自分が扱う商品のことを、覚めた冷静な目で観察する力を持っていらっしゃるんでしょうね。
 それでいて、やはり自分たちのつくってきたものを愛し、誇りを持っている。
 そのホット&クールの加減の良さが、「文章の味」 として昇華されているようなブログです。

 blog → http://plaza.rakuten.co.jp/atozblog/


【MYSミスティック】
『勝手な独り言』

MYSミスティック

 ピックアップキャビンを製作・輸入・販売すると同時に、ユニークなバンコンや軽キャンパーも開発している 「MYSミスティック」 。
 この 『勝手な独り言』 というブログは、同社の佐藤社長が思いのままを綴る珠玉の作品集です。

 なぜ 「作品集」 などと言ったかというと、この人ほど、自分のこだわりや思い入れを熱っぽく伝える力のある人は、そう滅多にいないからです。

 たとえば、今の 「エコブーム」 に対する感想を述べた 「未来予想図」 というエントリーには、こんなことが書かれています。

 「エコはとても大事なことだと思います! しかし、私はスーパーカーに憧れ、アメリカの大排気量のトラックに憧れ、そういうクルマに乗りたくて、いつか乗ってやると切に思って生きてきました。
 しかし (エコブーム時代を意識したクルマが多くなってくると) 、クルマに対する憧れや納車が待ち遠してワクワクするあの感覚がどんどん薄れ、クルマが夢を失ってただの移動手段になっていく…」

 この感じ、実によく分かります! 
 エコロジーが時代の要請として尊重されなければならないこと分かっているが、熱く胸をときめかせてくれる 「クルマの夢」 まで失ってしまっていいものか?
 実に正直です。勇気もあります。

 こういう人ですから、佐藤さんが書かれる新車開発のレポートも、単に機能的なハード面を綴るだけでなく、そのハードに託した 「夢」 の部分が上手に表現されています。

 「GT-Rは良いクルマですね」
 とポツリと一言書かれる凄み。
 それは、この人ならではの世界から発せられる貴重なメッセージです。

 blog → http://mystic.tea-nifty.com/hitorigoto/


【カスタムプロ ホワイト】
 『答は風の中』

カスタムプロホワイト01

 長崎でバンコンを中心としたキャンピングカーを製作する池田さんが手掛けるエッセイ集です。
 音楽にも一家言を持たれている方で、エッセイ集のタイトルである 『答は風の中 (BLOWIN' IN THE WINND)』 という言葉も、ボブ・ディランの歌から採られています。

 自作のキャンピングカーに対するインフォメーションは、すべてホームページの方から流されるので、このエッセイ集は、基本的にご自分の私生活をベースにした生活雑感が中心になっています。

 しかし、単なる生活レポートではありません。
 どのエッセイも視点がまずユニーク。そして、時に哲学性を帯び、文学の香りも十分。すべての作品に、文明批評的な色彩が色濃く盛り込まれているところに特徴があります。

 池田さんのエッセイは、弊社HP 「CAMPINGCAR SUPER GUIDE ON LINE」 にて連載されていますので、すでにご存知の方も多いでしょうね。

 blog → http://campingcar-guide.com/kaze/039/


【キャンピングカーステーション】

CCS東松山

 RV BIGFOOT社の直営展示場である 「キャンピングカーステーション」 さんのブログです。
 基本的に新車情報、イベント情報などが、各スタッフの持ち回りでレポートされています。
 しかし、テーマはそれだけに限らず、時にスタッフたちの体験した旅行情報、グルメ情報、生活雑感なども入って多種多彩。

 apple氏が展開する 「車名の由来」 シリーズは、同社の車名がどのようにして生まれたかを説き起こす読み物で、時にアカデミック、時にジャーナリスティックな筆致が冴えわたっています。

 注目したいのは、サワディー福島氏の 「きまぐれアジアンロード」 。
 氏が入社前に放浪していた東南アジアの情報が多いのですが、特にタイとカンボジアの国境近くを放浪していた頃の “漂流記” は読んでいて、本当にスリリング。
 山奥の貧しい村々を旅しながら、昆虫を食べ、泥水 (?) を飲んで生活していたという話は、読み終わった後も、思い出すたびにショッキングな気分になりますが、けっこう読後感は爽やか。力のある書き手です。

 サワディー福島さんのことは、このブログでも一度紹介したことがあります。 → 「ウルルン紀行」 

 blog → http://rvccs.blog.shinobi.jp/ 
 

【キャンピングワークス】
『CAMPING WORKS BLOG スタッフみんなのんびりブログ』

 発電機の搭載を前提としたユニークなコンセプトのキャブコンを開発する 「キャンピングワークス」 さんのブログです。

 専門性を帯びた車両開発を行うビルダーさんだけに、他社の車両を紹介する記事も 「目の付け所が違うなぁ…」 と感心することが多々あります。
 それでいて、イベントに参加するときの道中記なども軽妙な筆致が冴え、なかなか味のある記事になっています。

 全体的に写真が多いところに特徴があり、イベントレポートなどは、写真を眺めるだけで行った気分になります。

 主なエントリー記事を書かれるのはスーさん。そして、テキサス井下田さん。
 営業的な視点と、サービス・メンテナンスの視点をほどよくバランスしたお二方の関わり方が、それぞれ中身の濃い記事を展開しています。

 blog → http://camping-works.jugem.jp/?eid=390


 「アイウエオ順」 にご紹介しようと思いましたが、まだ 「カ行」 なんですね。
 ビルダーブログには、まだまだ面白いものがたくさんあります。
 残りは、いずれまた日を改めてご紹介いたしましょう。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:56 | コメント(0)| トラックバック(0)

バニングの歴史

 このひとつ前のブログに 「とりあえず読み残しの本でも読むか」 ってなことを書いて、きっぱりと休日を決め込んだ私でありますが、結局腰が落ち着かず、午後は会社に出て原稿書きをしてしまいました。

 実は、今いくつか平行して行っている作業のひとつに、『日本のキャンピングカーの歴史』 という資料の編纂がありまして、今日はいよいよ 「バニング」 について書く段となりました。

バニング1

 以下、さっきまで書いていた原稿を、ここにてチョコっとご紹介。

《 国産バニングの誕生 》

 キャンピングカーの歴史の中で、一見低迷期に見えるような70年代。
 しかし、その水面下では着々と、国産キャンピングカーを誕生させるための気運が芽生えていた。

 そのような気運には、二つの流れがあった。
 その一つが、キャンピングカー好きな人間が自分で乗るために作った手作りキャンピングカー、つまりハンドメイド・キャンピングカーであることは今見てきたとおりだが、それとはもうひとつ別の流れがあったのだ。

 それが 「バニング = Vanning」 である。
 もともとバニングは、アメリカの若者たちが、サーフィンなどのアウトドアスポーツを楽しむための前線基地として発達してきた。その普及状況をアメリカでつぶさに見学し、日本において、日本の車両を使ってそれを実現しようとした若者たちが登場する。

 バニングが日本で普及してきたのは1970年代の中頃とされるが、その1号車がどのようなものであったかは、現在調査中としかいいようがない。
 しかし、黎明期のバニングの状況を知らせる貴重な文献がある。トヨタ自動車のPR誌として、当時トヨタ車の販売店から配布されていた 『モーターエイジ』 誌には、かなり初期のバニングについて触れている記事がある。

 1976年 (昭和51年) の9月に発行された同誌では、「バニングって知ってる?」 というタイトルのもとに、トヨタライトエースの改造例が紹介されている。

 写真を見ると、ボディカラーは濃いめのグリーン。窓埋めされたボディ側面には、木目調パネルに木の枝のイラストをあしらったペイントが施され、菱形のカスタムウィンドウがはめ込まれている。

バン&トラック社のバニングリヤ
▲ バン&トラック社のバニングリヤビュー (motor age誌より)

 リヤハッチの上側には、大きな目玉のように丸窓が二つ。ルーフには開閉式のサンルーフとトラベル・スコープが装着され、室内には木目の内装材が張られ、ベッド展開できるシートと食器ケースが装着されている。
 その後のバニングの展開を見ると、実に “おとなしげ” な風情だが、外装写真の下には、「道行く人々の10人のうち8人は物珍しそうに振り返っていく」 というキャプションが添えられている。

バン&トラック社のバニング
▲ バン&トラック社のバニング (motor age 誌より)

 これを製作したのは 「バン&トラック」 社を設立した小椋雅夫さん。
 当時27歳。
 同誌には、「小椋さんはデザイン・アートを勉強するためアメリカに渡ったが、そこで栄華を極める “バン文化” に目を見張る思いを持った」 という記事があり、「なにしろアメリカにはバンの内外装の指導書だけでも20冊以上あり、カスタマイズのアイデアを競うショーが全米で年間24回もあるんですからねぇ」 という本人の談話が紹介され、「帰国後、小椋さんはさっそくライトエースを使ったカスタム・バンの試作第1号に取りかかった」 と報告されている。
 これが、もしかしたら日本のバニング第1号を証言する記事になるのかもしれない。


 ……ってな感じで、終電まぎわまで、調子こいてしこしことパソコンに打ち込んでいたわけであります。

 記事中、「黎明期のバニングの状況を知らせる貴重な文献として、トヨタ自動車のPR誌 『モーターエイジ』 がある」 なんて、シレっと他人事のように書いておりますが、それを担当していたのが、この私めでありまして、取材して当の記事を書いた人間こそ、この私であります。

motor age
 ▲ 『MOTOR AGE』 誌
 
 しかし、自分が30年ぐらい前に書いた記事が参考になるとは、今日の今日まで思わなんだ。

 まぁ、現在そんな作業をしているのですが、どなたか 「日本のバニング第1号」 に関する貴重な情報をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
 もし、ご存知の方がおられましたら、こちらにご連絡いただければ助かります。

 関連記事 「バニングとは何か」


campingcar | 投稿者 町田編集長 04:23 | コメント(6)| トラックバック(0)

リンエイの車造り

 バンコンのトップメーカーとして揺るぎない地位を確保している 「リンエイプロダクト」 。
 だけど、「バンコン」 という言葉が、この会社の造るクルマにふさわしいのかどうか、ちょっと戸惑うことがある。

 漠然と 「キャンピングカー」 という言葉を使ったとしても、リンエイというビルダーの開発するクルマそのものを十分に表現しきれていない。

バカンチェス

 正直に書くけれど、私が年に1回発行している 『キャンピングカーsuperガイド』 という本で、いちばん記事を書くのに苦労しているのが、このリンエイさんのページなのだ。

08ガイド表紙

 普通だったら、「ベース車が何で、レイアウトはこうで、内装材がこうだから軽量化が図られて…」 ってな感じで、法則どおり書けば、いちおう1台紹介できてしまう。

 しかし、リンエイさんのページ構成はそうならない。

 「××シリーズのフロアプランの基本形はこうだが、○○というクルマは△△になっていて、□□の場合は◇◇で…」

 ベース車、レイアウト、装備、内装材が複雑に交差する無限のバリエーションが用意されていて、ひとつの車種に絞り込んだ解説ができないのだ。 

 だから、このビルダーさんのページだけは、例外的にフロアプラン図が七つも八つも載ることになり、「全長・全幅・全高」 を明示する欄には 「車種によって異なる」 という言葉が入り、画像スペースには、すべて異なる車種が1コマずつ掲載されることになる。

 いったいリンエイプロダクトとは、どういう開発思想を持ったビルダーさんなのだろう。

 11月初旬に東京のお台場ショー会場で、
 「ちょっと、ちょっと」
 と、私を呼び止めた田辺二郎社長が見せてくれたのは、新型バカンチェスに取り付けられたリヤゲート用 「イージー・ドアクローザー」 (op.) だった。

 リヤゲートのイージー・ドアクローザーというのは、ハイエースの場合GLやスーパーGLにも設定がない。
 田辺社長が自慢したがるのも十分うなづける。

 この機構を開発する前に、同社はすでに、本来なら標準設定のないハイエースDX用として、スライドドアのイージークローザーを開発している。このリヤゲート用のものは、その “進化系” モデルともいえるものだ。

リンエイドア

 で、田辺さんがリヤゲートに手を触れる。
 すると、途中までバシャっと下りていたドアが、閉まる寸前にスローモーション画像のように速度を落とし、一呼吸おいて…カシャリ…と吸い込まれるようなタッチで閉じていく。

 救急車やウェルキャブだけに採用されている機構なのだが、リンエイはその純正部品を使って、自社開発したのだという。

 こういうことを、あっけらかんとやってしまうビルダーなのである。
 この会社の造り出すバンコンを、単なる 「バンコン」 と言い切ることへの戸惑いを、少しは伝えることができただろうか。

リンエイ田辺社長
▲ 田辺社長

 田辺社長はいう。
 「ビルダーなんだから、車内をよく作っていくというのは当たり前。
 でも、うちは、ベース車そのものも豊かにしていくという発想を常に持っているんですよ。
 お客様にとっては、クルマ全体がひとつの道具なのだから、乗り心地の追求や走行安定性の確保から始まり、室内の温度コントロール、乗降性の向上、収納機能の充実……もう、ありとあらゆるものに対して気を配っている」

 そう言いながら、田辺さんが、次に見せてくれたのは、セカンドシート裏に設置されたヒーターコック。
 お尻の下に熱が溜まるのを防ぐため、リヤヒーターの温水量を調節できるコックを設けて、室内温度をコントロールできるようにした装備だ。

リンエイヒーターコック
▲ リヤヒーターコック。向こう側の赤いコック

 このような手の込んだ機構も、リンエイでは、ルーフやサイドパネルと内張りの間に発泡ウレタンを貼り付けた断熱処理加工と同じく標準装備にしている。

 そのほか、センターウォークスルーボード、アシストグリップ、つかまりん棒、ヘッドレストホルダー、リヤヒーターの移設などなど…。
 リンエイのバンコンには、使い勝手を向上させるための緻密なアイデアがすべて具現化されて、そのほとんどが標準装備になっている。

 この標準装備された機器類や装着可能なオプション類の組み合わせを、他社のバンコンの中に探し出すことは難しい。
 リンエイのクルマは、単なるハイエースをベースにしたキャンピングカーという域にとどまってはいないからだ。
 もちろん、メーカーの開発したワゴンともまったく異なっている。

 そのような、あらかじめ設計図が描かれているような世界から、このクルマは生まれていない。
 しいていえば、自分の意志をもって、自分で進化を遂げていく 「生物」 のようなクルマなのだ。

 その進化は、時に、あるオーナーの気まぐれなレイアウト変更の相談から始まる。
 あるいは、車中泊を楽しむ田辺社長の酒に酔ったひらめきから生まれる。

 リンエイで開発される数々の便利グッズというのは、すべて誰かの実践過程の中から、現場の感覚に鍛えられて生まれてくる。

 そのなかには、若いときからキャンピングカーを造り続けてきた田辺氏の年齢の変化を反映したアイデアも次々と加えられていく。
 たとえば、車内への乗降性を向上させるアシストグリップのたぐい。

リンエイアシストグリップ他
▲ アシストグリップ (左) とつかまりん棒

 これなど、車内と車外をジャンプしながら行き来していた若い頃の田辺さんだったら、着目していなかった装備類だろう。

 以下、リンエイ便利グッズの数々を画像でご紹介。

リンエイヘッドレストホルダー
▲ ヘッドレストホルダー。ベッドメイクのときに抜いたヘッドレストも、こうして収納する場所があるととても楽 (標準装備)。

リンエイ電動ステップ
▲ すでに、おなじみのスライドドア用 「電動ステップ」 (op.)。

リンエイゴミ楽
▲ 旅行中に発生したゴミを取りまとめて収納する 「ゴミ楽(ごみらっく)」 (op.)。

リンエイ食器セット リンエイグラスセット
▲ 「リンエイ」 のロゴ入りグラス・食器セット (限定op.) 。こういったアイテムを揃えているのが同社の凝ったところ。「リンエイ」というブランドが、単なるクルマのネーミングを離れて、ライフスタイルを意味するまでに広がっていることが伝わってくる

 このようなアイテム以外にも、走行性能を向上させるオプション類としては、ソフトライドサス、リヤスタビがあり、快適な車内環境を維持するための装備としては、リヤクォーターウィンドウ、電動サイドオーニング……等々。
 いやぁ、もう書ききれない。

 欲しいと思えるモノは、なんでも取り出せるドラエモン的なクルマ。

 それを、同社の梶原朗達部長は、
 「1台3役のクルマ」
 という。

リンエイ梶原朗達氏
 ▲ 梶原朗達さん

 「1台のクルマを買うと、使用目的に応じてワゴン、カーゴ、キャンピングカーに早変わりするのがうちのクルマなんです」
 と梶原さんは言う。

 機能的な分類法に従って言い直せば、「乗れる」 「積める」 「寝られる」 。

 この機能は全車に共通して備わっているものだが、ユーザーの家族構成を軸に分類し直すと、鮮やかなキャラクター分けがなされていることも分かる。

 ファミリーユースに適したキャラクターを持つものは、「ベーシックシリーズ」 。
 子育てが終わったシニア夫婦に適したものは、「ふたりのくるま旅」 。
 さらに、そのシニア夫婦が、お孫さんを伴った旅を楽しむ場合は「エクセレントシリーズ」 。

 複雑多岐に渡るような商品構成も、このような用途別に分類してみると、分かりやすくセグメントされている様子が見えてくる。

 とにかく使う人間が、使う立場に立ったときに初めて合点がいくのが、リンエイという会社のクルマなのだ。
 リンエイ商品をレポートするときは、記者もまた自分が買うことを想定しながら細部を見ていかないと、見逃してしまうところがたくさんある。

 しかし、そういうクルマだからこそ、同社のバンコンは、いろいろなバンコンを研究した顧客が最後にたどり着くクルマという評判を得ているのかもしれない。


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:16 | コメント(0)| トラックバック(0)

タコスのテント

 キャンピングカーを使ったアウトドアライフを実践する男。
 それがTACOS (タコス) の田代民雄さんのひとつのイメージとなっている。

tacos田代氏
 ▲ TACOS田代氏

 いつも日焼けした肌を風にさらし、語る話題も、若い頃から野山を駆けめぐった武勇伝ばかり。

 バイクで林道を走り、秘湯の温泉を探して、夜は草原にあぐらをかいて月見酒。
 川原の向こうに消えゆく流れ星を見つめながら、時にブルースハープを吹く。
 若い頃から、そんな人生を楽しんできた田代さん。
 アメリカン・ロードムービーの主人公が務まりそうな人だ。

 田代さんがかつて開発してきたオリジナルキャブコン 「タコス仕様」  は、そういう彼のライフスタイルを忠実に反映したアイデアがさんざん盛り込まれ、アウトドア派のユーザーから絶大な支持を受けた。

 バイクやら遊びのギアをふんだんに積める広い開口部を持った大きなバゲッジルーム。
 増設された水タンク。
 リザーブ可能なスペースをいっぱい設けたLPガスボンベ収納庫。

キング5.7タコス仕様
 ▲ タコス仕様のキング5.7 リヤトランクを設けたところに注目

 タコスのオリジナルキャブコンというのは、そういうアウトドアユースを想定においた仕様を突き詰めたものだった。

 そのアウトドア文化のアイデアマンである田代さんが開発したオリジナルテントルームが、この 「MiMie ミミーテント」 。

タコステントキャブコン用
 ▲ キャブコン用

 既成の商品も出回っているが、それらの先行商品と比べると、軽い、設営が簡単、安いという特徴がある。

 キャブコン用とバンコン用の2種類が開発されているが、どのような車種にも適合できるように、高さ調整機能がついている。
 つまり、オーニング高に合わせて織りシロが設けられており、オーニングのアームにくるりと巻いて、マジックテープで止められるようになっている。

タコステント室内
 ▲ テント内は広々

 こうやって、オーニング下をテントで囲めば、キャンピングカーの外にまたひとつ “小部屋” が誕生。家族や親しい仲間が集うパーティルームとして最適だ。

タコステントバンコン用
 ▲ バンコン用

 もちろんこのテント、フィアマにもオムニスターにも装着可能。
 脚立さえあれば、一人でも設営ができるし、畳んだときの重さも6.2kgなので、持ち運びも楽。

タコステント側面 タコステント畳んだ状態
 ▲ 窓が開いていて便利    ▲ 折りたたむとコンパクト

 テント地にはUVカットが施されているために、日除け効果も抜群。
 モスキートネットを張った小窓が設けられているために、夏は虫の進入をシャットアウトしながら、テント内を吹き抜ける涼しい風を堪能できる。

 ボディとタイヤの隙間から進入する冷気も防風シートで遮断できるので、冬も威力を発揮。
 テント地は防水加工されているため、雨が降ってきても大丈夫。

 山奥のキャンプ場などでは、夜は野生動物がテーブルの上の食べ残しの食料を狙ってくるが、このようにテントでテーブルを囲んでしまえば、食器を外に残したままクルマの中で寝てしまっても安心。

 お値段は、税込みで60,900円 (送料別) 。
 ただし、テントを支える “つっぱり棒” は別売。

 問い合わせは下記に。

 TACOS展示場 東京都立川市武蔵村山三ツ木2-38-9
 電話 042-560-2265
 TACOSガレージ 東京都立川市西砂町3-29-6
 電話 042-531-0108
 http://www.tacos.co.jp


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:58 | コメント(4)| トラックバック(0)

キャリオン

 キャンピングカーショーに出展してくるビルダーさんで、いつも気になるバンコンをリリースしてくる会社がある。
 京都の 「アルフレックス」 さんだ。

キャリオン外装1

 この会社の造るクルマは、純然たるキャンピングカーとはいえない部分がある。
 写真でみるように、大胆なローダウン。
 目立つアルミホイール。
 凝った意匠のエアロパーツ。

 どちらかというと、カスタムカーの流れを組んでいる。

 しかし、まったくのカスタムカーなのか?
 …というと、これまた微妙で、そこに収まりきらない造りになっている。

 たとえば、ファミリーユースを意識した子ども用2段ベッド。
 収納性を意識したリヤラゲージスペース。
 アウトドアユースを意識した、清掃が楽なクッションフロア構造。
 …等々。
 キャンピングカーとしてのツボも外していないのだ。

 この微妙なスタンスが、妙に心にひっかかる。

 どういうユーザーを想定した、どういうコンセプトのクルマなのだろう。

 11月初旬にデビューした 「CARRION キャリオン」 という新車を見ながら、開発にあたった同社の竹山嘉伸 (たけやま・よしのぶ) 社長に話を聞いてみた。

アルフレックス竹山社長

 「うちの下取りのクルマを見てみると、アルファード、エスティマ、マツダのMPV、オデッセイ、ステップワゴン…そういうミニバン系のクルマが圧倒的に多いんですよ。
 それも少し手の入ったクルマ。
 たとえば、アルファードでも純正のエアロが付いているタイプとか、オデッセイやステップワゴンにしても、小さなエアロが付いているとか…」

 ノーマルなミニバンよりも、ちょっとだけドレスアップしたクルマに乗る人たちが、アルフレックスの開発するバンコンのファンだという。

 しかし、そのドレスアップが
 「ちょっとだけ…」
 というところがミソだ。

 一般的にカスタムカーは、見た目の華麗さ、ゴージャスさを重視する傾向にあるが、そこを “抑える” ところに、同社のポリシーがあるらしい。

 竹山社長はいう。
 「僕らのつくるクルマはスニーカーなんですよ。お洒落な革靴でもなければ、実用本位のスパイクでもない。
 スポーティーではあるけれど、ストリート系のファッションにも合うというところが狙いどころで、ラグジュアリーとは一線を画するものとして考えているんです」

 つまり、見た目を重視するカスタムカーでもなければ、「道具」 として割り切れるキャンピングカーとも違うという。
 その微妙なスタンスを保つことに、同社はもっとも神経を注いでるようなのだ。

 「キャリオン」 が、まさにその代表的なクルマだそうだ。

 「位置づけでいうと、好評をいただいたフレックスランドナーという機種のファミリー版であり、その普及版なんですよ。
 ランドナーは2人用として割りきったクルマでしたけれど、これは小さなお子様が寝られるように、リヤに “チャイルドスリーパー” という折り畳み式の2段ベッドを設定しています」

キャリオン内装7

 …とはいっても、家族旅行で遠出をするようなクルマにはしていない。
 普段の街乗りを優先して、ベース車はハイエースのロングバンナローボディを使って取り回しを重視。
 これ1台で、通勤、買い物、ピクニック、子どもの幼稚園への送迎、1泊程度のキャンプなどをオールラウンドにこなすようにまとめられている。

 だから、内装もシンプル。
 普通のバンコンが装備するようなオーバーヘッドコンソールや、扉で仕切った収納庫などはあっさりと省かれている。

 代わりに、このクルマでは 「バッグユーティリティ」 なるスペースが設けられた。
 飛行機などには、足元にカバンを置けるスペースが確保されているが、それと同じ感覚で、セカンドシートに座ったときに足元の右側にバッグを放り込む場所が設定されているのだ。

キャリオン内装4

 「要は、ただの “空間” なんですけど、夜中でも荷物の中を調べられるように、フットライトを兼ねた照明を2灯埋め込んでみました」

 そういう微細な部分の積み重ねが、このクルマの使い勝手を高める秘密となっているようだ。

 メインベッドを展開するときも、独特の仕掛けがある。

 「いちいちベッドの支えとなるポールを取り出して、それをシートの間に挟み込むというのは面倒ですから、支えはセカンドシート下に埋め込んだ台座をスライドさせればいいという構造を採り入れました。
 その上にサブマットを載せてサードシートと繋げれば、それだけで、全長2mというマスターベッドができあがります」

キャリオン内装5 キャリオン内装8

 話を聞いていると、普通のミニバンやワンボックスカーを使って車中泊を楽しむ人たちには、もってこいのクルマに思えてきた。

 しかし、そういうニーズを持つ 「車中泊派」 は、このクルマでは少数派だという。
 車中泊に欠かせないFFヒーターなどを欲しがる人たちは、全体の2割。
 多くの人は、オプション設定されているサブバッテリーすら装着しない。

 「結局キャンプよりはピクニックというお客様なんでしょうね。
 メインはシティユース。
 ただ “保険” の意味で、いざとなったら寝られるキャパシティも確保しておきたい…。そういう独特のファン層に支えられたクルマだと思います」

キャリオン内装3

 こういうクルマのライバルメーカーは、どこなのだろう。

 意外なビルダーさんの名前が挙がった。

 「よく当たるのはアム・クラフトさんなんですよ」

 「えっ! あっちはしっかりしたキャンピングカーコンセプトのバンコンがメインじゃないか」
 「そうなんですけど、クルマを開発するときの考え方が僕らとよく似ているんですね。
 ひと言でいうと、自社ブランドに対する “こだわり” がすごい。
 アムさんという会社は、オリジナリティを高める意欲をものすごく持っているビルダーさんなんですよ」

 たとえば、シートひとつとっても、そこに自社ロゴをデザインしたタグを入れる。
 フロアマットにしても、家具にしても、必ずオリジナル性を訴えるデザインを施す。
 細かいことだが、シートバックの裏にネットを張って、小物を挟み込めるようにする。
 日常的にはユーザーが目にすることのないテーブルの裏側にもクロスを施す。

 「そのようなトータルコーディネートにこだわるアムさんの姿勢に、うちと共通したものがあるように思えるのです。
 つまり同類の匂いを嗅ぐんです。
 …そんなことを言ったら、アムさんには迷惑なのかもしれないですけれど (笑) 。
 要は、同じ車種を継続しながらも、常に手を加えていって、絶えず進化させていく。
 そういう形でブランドを育てていくというアムさんの姿勢に、僕はものすごく共感します」

 他社のクルマへの言及でありながら、そこで語られる言葉は、まさに竹山さんのクルマ造りの哲学そのものである。

 さらに面白い話も聞いた。
 ユーザーは、自分の選んだクルマに自信を持ちたがっているというのだ。
 そのためには、分かる人には “すぐピンと来る” 差別化ポイントを上手に盛り込むことが大事だという。

 そのひとつの例が、アルミホイール。
 さりげなく履いているホイールが、ベンツ、BMW、ベントレーなどのアフターパーツで人気を得ているWald (バルド) 製。
 それをアルフレックス・オリジナルとして、わざわざハイエース用に開発したもらったものを装着している。

キャリオン外装2

 このホイールといい、ホワイトレザーで統一されたインテリアといい、ストリート系ファッションにも通じる同車のアーバンデザインは、何を参考にして生まれてくるのか。

 「それは秘密…」 と笑いながら、竹山さんはこう語る。 
 「デザインするときの参考として見るのはアパレルなんですわ。服飾とか靴とか…。
 結局、人の生活にいちばん密着したデザインが試されるのはアパレルの世界ですよね。
 そのデザインがカッコいいかカッコ悪いかというのは、使う人間との関わりで生まれるものだから、キャンピングカーのインテリアだって、人が関与した状態で眺める視点がないとダメだと思うんです」

 竹山さんは、普通のキャンピングカーデザイナーが勉強するために通う住宅展示場や家具屋には行かないという。

 「それだったら、むしろホテル。それも室内ではなく、ロビーなどの雰囲気。
 海外のリゾートホテルなどは、キャンピングカーのインテリアを勉強するときの宝庫ですね」

リゾートhotel1

 アルフレックスのバンコンは、そのような繊細な観察によって、周到に造られている…と、竹山氏は言いたいようなのだ。

 だから、一見派手さを強調白いレザーシートも、実はイベント用。

 「シート地も、このキャリオンに関しては、白、黒、ライトグレー、サンドベージュの4色を用意しています。
 白は室内も広く見せますし、うちのイメージカラーのように思われているので、展示車としてはこれ一本で押していきますが、購入されるお客様はいろいろと自分の好みのシート柄を選ばれています」

 ショーではインパクトの強いディスプレイに徹しながら、実際には、きめ細やかな選択肢を用意しているのが同社の特徴。
 “やんちゃ” に見える思い切ったローダウン仕様も、これまたイベント用なのである。
 お客さんに納車するクルマはそこまで下げない。

 そのへんが、このビルダーさんの、ある意味でしたたかなところだ。

 カスタムカーからキャンピングカーへという移行を遂げたビルダーさんが多い中で、この会社は、そのどちらでもない未知の航路に向かって、そぉっと漕ぎ出している感じがする。


campingcar | 投稿者 町田編集長 04:14 | コメント(0)| トラックバック(0)

ファースト横浜店

 秋の気配が濃厚に立ちこめるようになった11月17日。
 横浜市・都筑区にオープンした 「ファーストカスタム横浜ショールーム」 を訪れた。

 田園都市線の江田駅からタクシーを拾うと、高級住宅街の連なる並木道を通り過ぎること7~8分。

 「みずきが丘」 交差点に下りたって、そこから周囲を眺め回してみると、白地に青く 「FIRST CUSTOM」 を抜き出した看板が…。

ファースト横浜店

 「あ、輸入車ディーラーみたい!」
 温かい午後の日差しを浴びて輝く白亜の建物は、およそ今までのキャンピングカー展示場とはかけ離れた高級感を漂わせていた。

 ショールームのガラスの向こうには、同社の看板車種であるCGシリーズが並んでいるのだが、それがフェラーリやベントレーでも置かれているような雰囲気に見える。

ファースト横浜4 ファースト横浜3

 こんな展示場も見たことがない。
 グレード感が違う。

 中に入って、またびっくり。
 美しく磨き込まれたフローリングは、覗き込むと顔を映すぐらいにピカピカ。

ファースト横浜室内1 ファースト横浜室内3

 見学客の心を潤す観葉植物が至るところに並べられ、壁には上品な筆致で描かれた絵画が飾られている。

ファースト横浜室内4

 その間に並べられたCG-550、CG-500、ディレット、リモギンガなどが、美術館に展示されたアートのように輝く。

 ため息が出そうに美しい展示場である。

 入口近くで接客に務めていた佐藤和秋社長が、私の顔を認めて、2Fの接客コーナーに案内してくれた。

 エレベーターで2階に登ると、そこにはまた、今までのキャンピングカー展示場の雰囲気とは別種の、格調高い調度をあしらった接客スペースが広がる。

ファースト横浜室内5

 コンパートメントになった商談ルームが3部屋。
 キャンピングカーのアクセサリーパーツなどを並べた用品コーナーが1ヵ所。
 喫煙者のために設けられた喫煙コーナーが1ヵ所。

 なによりも素敵なのは、白と黒のコントラストも美しいモダンデザインのソファが並んだオーナーズラウンジ。

ファースト横浜室内6

 このコーナーはファーストのクルマを買ったお客さんと、その友人たちだけのために設けられた “憩いの場” だ。
 コーヒーが自由に飲めて、RV系の雑誌も読み放題。
 大画面の薄型モニターには、同社の商品紹介やクラブキャンプの思い出などを綴ったDVDが心地よい音楽とともに流されている。

 そのオーナーズラウンジの一隅に腰掛けて、さっそく佐藤社長に同ショールームオープンまでの経緯を、あれこれうかがうことにした。

ファースト佐藤和秋氏
 ▲ 佐藤和秋 社長

 やはり、関東圏への進出は、同社の念願だったという。
 「クルマそのものは気に入っていただいても、本社が遠い秋田ということで、購入を断念されるお客様が、今まではいっぱいいらっしゃたんです。
 だから、サービス体制も含めて、関東以西のお客様にも安心してご購入いただける店を持つことは昔からの夢でした」
 と佐藤さんは語る。

 それにしても、思い切ったハイグレードの店を展開したものだ。
 その理由は、どんなところにあるのだろう。

グランドロイヤル
 ▲ 伝説の名車 グランドロイヤル

 「キャンピングカーというのは、ある意味、高額商品なわけですよね。ベンツやBMW、レクサスよりも高い商品だって存在します。
 しかし、そのような高級商品を売る店舗であるにもかかわらず、私たちが今まで展開してきたショップも含め、店の方が商品の “格” に追いついていなかったように思うのです」

 そのため、ユーザーに充実した商品を買ったという意識を味わってもらう力が弱かったのではないかと、佐藤さんは考えていたという。
 そういう話から、この横浜ショールームの開設にはキャンピングカーのステータス性を高める意図があったことが伝わってくる。

ファーストCG550EX
 ▲ 現在のファーストカスタムの看板車種のひとつ 「CG550シリーズ (EX) 」 。ベース車は贅沢なハイエースワゴンGL。専門誌 『AUTO CAMPER』 の 「ビルダー&ショップが選んだベストキャンピングカー07」 に輝いたクルマ

 しかし、そこには、ファーストカスタムというビルダーならではの商品造りのポリシーも絡んでいそうだ。 

 佐藤社長いわく。
 「うちのクルマというのは、目に見えないところにコストのかかったクルマなんです。
 走行安定性や安全性、電気系統のトラブル防止策も含め、乗っていただいたオーナーさんでなければ分からないようなコストのかけ方をしているんです」

 つまり、その目に見えない部分のクオリティを顧客に感じてもらうためにも、クオリティ感の高いショールームという、目に見える部分で商品への信頼度を感じてもらうという意図があったわけだ。

ファーストボレロ室内
 ▲ 「CG550ボレロ」の室内

 同社が開発するキャンピングカーに込められた 「目に見えない部分のクオリティ」 とは、果たしてどんなものなのだろう。

 そのひとつが、キャブコンなどに導入されているスペースフレーム工法。

 これは、モノコックボディをカットしたときに、その剛性や強度を確保するために張りめぐらされる鉄骨フレームのことだが、このフレームがボディ全体を支えるために、同社の開発したキャブコンには絶大な信頼性が保証される。

スペースフレーム工法
 ▲ スペースフレーム工法

 「ところが、この鉄骨が溶接作業中に5mm狂っただけで、もう内外装の寸法が破綻して組み付けができなくなるんです。
 だから、ただ単に普通のパネルを張ってボディを造るのに比べ、3倍から5倍の慎重さと工数が必要となってきます。
 そういう “目に見えない部分のコスト” というものが、どうしてもうちのクルマには要求されてしまうんですね」
 と佐藤氏。

 しかし、その部分で手抜きをしないことによって、安全基準においては、ヨーロッパ車の基準値を超えるほどの安全性を確保しているという。

 キャンピングカーは、所詮は 「改造車」 に過ぎない。
 だが、たとえ改造車であっても、同社の造るキャンピングカーにはヨーロッパの高級車にも匹敵するようなクオリティが保証されている。
 そう佐藤社長は言いたいようなのだ。

 もちろんこのようなクオリティを維持するためのコストが、そのまま価格に跳ね返ってしまっては意味がない。

 「だから、コストを下げるための企業努力にはなみなみならぬ神経を注いでいます。
 部品も、ヨーロッパやアメリカのパーツメーカーに直接買い付けに行って資材コストを下げていますし、産業システムを整備して、分業体制を充実させるなど、あらゆる方法でトータルコストを下げています」

 しかし、それでも、今の価格を維持するためには収益が圧迫されるという。
 同社が代理店展開を広めるよりも、今回のような直営店運営に力を注いだのは、圧迫される収益を代理店に飲んでもらうのがしのびなかった、という事情も絡んでいたとか。

 正直、これほどの展示場を維持するのは大変なことだろうと察する。
 だが、この店舗こそ、同社にとっては自社製品のクオリティをアピールするためには必要不可欠なアイテムだったのだ。

ファースト横浜2

 ハイクオリティのクルマを売るには、それを展示するスペースにも 「クオリティ」 を与えてやらなければならない。
 フォーストカスタム横浜ショールームからは、そういう同社の意気込みがそのまま伝わってくるように思えた。


 ファーストカスタム横浜ショールーム
 神奈川県横浜市都筑区荏田南4-10-14
 電話 045-948-4211
 東名自動車道 「横浜青葉インター」 より15分
 東急田園都市線 「江田駅」 または
 市営地下鉄ブルーライン 「センター南」 よりタクシー
 「みずきが丘」 交差点が目印

ファーストパーティ
 ▲ 17日のオープン記念日に、新横浜駅近くのホテルで開かれたパーティ


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:49 | コメント(8)| トラックバック(0)

ドリーム千葉

 ちょっとびっくりしたなぁ!
 この 「ドリームアイランド千葉」 さんの新しい展示場には。

 正面入口を入ったとたん、リゾート施設に紛れ込んだような気分になってしまった。

ドリーム千葉L

 まず、いきなり迎えてくれたのはヤシの木やシュロの木といった、南国ムード満載の植物群。
 緩やかなスロープを上がっていくと、浮かび上がってくるのは、レモンイエローに塗られたお洒落なオフィスと、広々としたウッドデッキ。

ドリーム千葉5

 いかにもレゲェなどがかかっていると似合いそうなデッキのテーブルに腰掛けていると、今にも小麦色の肌を輝かせるウェイトレスが、小粋に掲げたお盆の上にコーラとホットドッグを載せて歩いてきそうに思える。

アメグラジャケ

 星条旗がひるがえるデッキの向こう側には、堂々たる体躯を輝かせたアメリカンクラスAとクラスCが並ぶ。
 目を転じて、入口方向に顔を向ければ、ダッジやフォードのピックアップトラック群。

ドリーム千葉6

 ここはどこだ?
 思わず、そんなつぶやきが口をついて出る。

 ここのマネージャーを務める澤山淳さんに、取材のお相手を務めてもらった。

ドリーム千葉澤山氏

 「まず敷地はどのくらいなんですか?」
 「約2,500坪ですね」

 ふ~む。
 ここより広い展示場を持つショップも日本には存在するが、2,500坪の敷地を誇る展示場というのは、そう滅多やたらにあるものではない。
 日本 “最大級” の展示場であることは間違いない。

 敷地の半分はユーザーのクルマを管理する 「モータープール」 になっていて、そのキャパシティは80台弱。
 今はまだその3分の1の台数が埋まったに過ぎないというが、並んだクルマが20~30フィートクラスのアメリカン・モーターホームであるために、そのボリューム感に圧倒される。

ドリーム千葉3

 ミラダ、シーブリーズ、アレグロ。
 目立つのは、同社が昔から得意としてきたクラスA。

 中古車コーナーにも、BCヴァーノン、ボナンザなどのクラスCの名機が並ぶ。そのほかクラスBやフォールディングトレーラーの姿も。
 
 ピックアップトラックコーナーには、トレーラー用のヘッドを展示する場として設けられたものだが、もちろん単品でも販売する。
 その展示規模は常時25~30台。

 大型モーターホームが4台入る屋根付きのメンテスペースも完備。
 エンジンの積み下ろしも含めた重整備も、完全に敷地内で行う。

ドリーム千葉メンテスペース

 展示車の種類といい、展示場のスケール感といい、まったくここは日本を離れた別天地だ。

 驚いたことは、敷地内の電源付きのキャンプサイトが6サイト用意されていることだった。
 もちろんそこはこのお店でクルマを購入したユーザーさんにだけ解放されたものだが、この展示場が気に入り、週末となるとここでキャンプを繰り広げる “常連客” も何組かいるとか。

ドリーム千葉7 ドリーム千葉8  

 「日が落ちると、オフィスやツリーがイルミネーションでライトアップされるので、本当にリゾート施設の雰囲気になるんですね。そのため、夜になると飲食か宿泊を求めて近づいてくるお客さんが結構いるんです」
 と澤山さんは語る。

 お客さんの中には、結婚式の披露宴をここで開きたいという人もいるという。
 ドリームアイランドグループのカタログ撮影なども、今後はここで行なわれることになるのかもしれない。

 現在、クラブキャンプの会場としても使えるように、芝生スペースの増設とシャワー室と歓談スペースも兼ねるログハウスの建設も企画されている。

 ドリーム千葉2

 デッキのテーブルに腰掛けて話を聞いていると、きれいなお姉さんが、トロピカルドリンクならぬ煎れ立てのエスプレッソコーヒーをカップになみなみと注いで運んできてくれた。

 そのうまいこと!
 エスプレッソ専用コーヒーメーカーで煎れたというコーヒーの味もちょっと日本離れ。
 一瞬、海外旅行を楽しんだ気分になれた。

ドリーム千葉9

 詳しい問い合わせは下記へ。

 ドリームアイランド千葉 (サポートRV事業部)
 http://www.support1997.com
 千葉県四街道市大日町大作岡1101-3
 電話 043-304-7752
 定休日:毎週火曜日
 営業時間 10:00~19:00

 アクセス 東関東自動車道・千葉北インターを下りて国道16号を柏方面へ。四つの目の信号を右折。つきあたり右。ナビ検索では 「タイヤセンター千葉北」 を目標に

campingcar | 投稿者 町田編集長 01:58 | コメント(0)| トラックバック(0)

デルタリンク千葉

デルタリンク千葉

 オープンして1ヶ月半という 「デルタリンク千葉ポイント」 を訪ねた。
 まず、明るく清潔な感じのオフィスにびっくり。

 キャンピングカー販売店というと、昔はトレーラーハウスを事務所代わりに使っていたり、工事現場のプレハブに毛の生えたようなオフィスを使ったりしていたものも多かったが、最近はずいぶんグレードが高くなった。

デルタ千葉5

 それでも、このデルタリンク千葉店のように、ソファの色からカーペットまで美しくコーディネートされた住宅展示場のようなオフィスというのは珍しい。  

 余分なものを置かず、シンプルで機能的なたたずまいを見せる事務スペース。
 そして、訪問客の心をなごませる観葉植物などをあしらった応接スペース。
 その配分の妙に、デルタリンクのオリジナル車が漂わせるデザインセンスと共通した心配りがあるように感じた。

デルタ千葉4

 取材の相手をしてくれた小玉義明さんに、この千葉店の特徴を教えてもらった。

デルタ千葉小玉氏

 「品揃えは、全デルタリンク営業所と変わらず、同社のオリジナル車はすべて取り揃えています。
 キャブコンでいえばエレキング。バンコンでいえばスナフキン、ロシナンテ。 あとはアドリアのトレーラーですね。
 他に、アネックスさんのバンコンを中心に展示しています」

 それ以外に中古車として、輸入車、国産他社メーカーのキャブコン、バスコンなども展示され、車種、台数とも充実している。

 オフィス脇には独立したピットが完備され、倉敷本社から派遣された専属メカニックが整備を担当する。
 軽整備ならすべて敷地内で完了。駆動系を含む重整備も、近くの提携工場との連携が密接であるため何の心配もないという。

デルタ千葉3

 関東に拠点を持つことは、デルタリンクとしても昔からの夢だったというが、実際に接した関東という商圏はどんなふうに見えたのだろうか。
 関東の出身ながら、岡山の「倉敷ベースキャンプ」で3年間の “修行” を続けたこられた小玉さんに尋ねてみた。

 「まずここに来て感じたのは、トレーラーに関心を持たれるお客様が意外と多かったということですね。
 首都圏はトレーラーが売りにくいという話は聞いていたのですが、ここに来て立て続けにお話しをいただいたのは、トレーラーのお客様でした」

 確かに、ビルダーが集中している割には、トレーラー専門店というのが北関東には少ない。
 同社の人気ブランドであるアドリアの現車を見ることを楽しみしていた関東の人々が多いことは推測できる。

 そういう人々に対応する場合、同社の広い敷地は“強い味方”だ。

デルタ千葉2

 「なにしろ、オフィス前の敷地をたっぷりとっていますから、トレーラーの牽引体験が敷地内でできます。
 バックするときの感触など、ここで思う存分体験していただきたく思いますね。パイロンなども自由に使ってくださって結構ですから、車庫入れの練習もできます。
 大型キャブコンの縦列駐車などの練習もできますね」
 と、小玉さん。

 ウィンドサーフィンのメッカである幕張などにも近く、日本を代表するサーフィンポイントとしても名高い九十九里などにも、高速を使えば1時間圏内。
 サーフィンの好きな山田社長の選んだ場所ということで、遊びの前線基地という風格も漂う展示場だ。

千葉の海サーフィン

 「私も海釣りやダイビングが好きなので、海に近いこの営業所に来るのが楽しみだったんですよ」と、小玉さんも喜んでいる様子だ。

 東関東自動車道の千葉北インターから約5分。
 インターを下りて、国道16号線を柏方面へ向かう。
 左角に出光石油のある三つ目の信号を右折。
 そして、その先を左折。

 左折すると、もう白いルーフを輝かせるキャンピングカーが並んでいるのが見える。

 京成線の勝田台駅からバスも出ており、「大日町」 というバス停から歩いて5分。
 アクセスには恵まれた展示場だ。
 ナビで検索する場合は千葉県の 「特別支援学校」 でOK。
 展示場はその真ん前。
 住所を打ち込んでも、ドンピシャ展示場を指示する。

デルタ千葉6

 詳しい問い合わせは下記まで。

 千葉県千葉市花見川区大日町1414-1
 電話 043-306-2047
 定休日:毎週火曜日
 営業時間:10:00~19:00

campingcar | 投稿者 町田編集長 01:38 | コメント(0)| トラックバック(0)

矢野顕子の新作

 今、矢野顕子さんの新しいアルバム 『akiko』 を聴きながら、このブログを書いているところ。
 久しぶりに、しっくりと来る音楽を聞いてるなぁ…と、ちょっと興奮。

矢野顕子akiko

 実は、これまで私は矢野顕子のけっして良いリスナーではなかった。
 
 あのあっけらかんとした、天真爛漫な歌声。
 お茶目なのか本気なのか分からないような、捉えどころのないユーモア。
 それでいて、「原始女性は太陽であった」 風の、地母神的な呪術性。

 そいつが、ちょっと苦手でもあった。

 でも、このアルバムはすごくいい!
 好きだ。

 何がいいのか。
 サウンドが最高!

 プロデューサーにTボーン・バーネット、ギターリストにマーク・リーボゥを迎え、全曲ロサンゼルスで録音されたというこのアルバムは、自分が聞くかぎり、実に良質な正統派アメリカンロックになっている。

 土曜日、取材で千葉県を走り回っているとき、偶然カーラジオから、このアルバムの 「Evacuation Plan」 が流れてきて、一発でまいってしまった。

 すぐにコンビニの駐車場にクルマを乗り入れ、ホットココアを買って、それを口に含みながら、しばらくクルマの中で聞きほれた。

 で、そのラジオで 「The Wall」 が流れてきて、これにもノックダウン。すぐにアルバムを買うことに決めた。

 全体的に、ゆったりしたミディアム・テンポの曲が多く、そのテイストはちょっとアーシーで、ブルージー。
 ギターとピアノは、ほのかにレイドパックの香りをたたえた気持ちよいタルさを漂わせつつ、リズムはヘビーでタイト。

 全体的にとても懐かしいサウンドなのだけど、それでいてまったく昔の音ではない。今の時代の風がたっぷり吹き渡っている。 

 こういうサウンドに乗ると、矢野顕子さんのあっけらかんとした天真爛漫な歌声が、とても高度にチューニングされた最高の楽器パーツのように聞こえてくる。
 サウンドのアメリカ臭さに、矢野さんの東洋的なメロディが絡み、ちょっと無国籍的な、実に摩訶不思議なエキゾチシズムが横溢。

 こういう音、ほんとにいいなぁ…。
 特に、「The Wall」 のイントロのギターとピアノの絡みの美しさといったら。
 酒が進みそう。

 矢野さん自体も、今までの自分の持ち味とは違った部分で勝負してみようと思ったというから、きっと自分にとっても、新鮮な音楽体験だったのだろう。

 そのフレッシュな感動がストレートに聞く者にも伝わってくる。
 今、夜中の2時半。あと2~3回繰り返して聴いてから寝るつもり。
 おっと、明け方になっちゃうかな。

 

campingcar | 投稿者 町田編集長 02:47 | コメント(4)| トラックバック(0)

便利グッズ紹介

 カトーモーターさんというビルダーは、工芸品のような美しい木工家具をあしらった高級キャンピングカーを製作する会社として知られている。

 しかし、このビルダーは、単に内装仕上げに個性を発揮するだけの会社ではない。
 さまざまな便利グッズを開発するメーカーさんでもあるのだ。

 現に、カセットガスを2連装したガス供給機 「CAMP CAR GAS」 などはキャンピングカー用のコンロに使ったり、また野外でバーナーを使うときに使われたりして、かなり普及している。

カセットガス供給機

 このたびカトーモーターさんが開発された新商品は、「マーブルコントローラー」 。
 これは、キャンピングカー内のベンチレーターの回転数をコントロールしたり、LEDランプの消費電力などを総合的に制御する画期的なコントローラーだ。

マーブルコントローラー

 ベンチレーターの場合は、回転数を落として、ゆっくり回すことによって、音も静か。消費電力も削減。
 タイマー付きなので、任意の時間に自動的にON-OFFさせることが可能。

 LEDランプとも連動していて、こちらの方は、白熱灯に比べ消費電力を10分の1ぐらいにまで落とすことが可能。
 だから常夜灯として使っても、サブバッテリーへの負担もかけることなく、実に省エネ。
 コントローラーのお値段は、税込み43,000円。 

 お次はマルチスクリーン。
 キャンピングカーで車中泊する場合、あるいは炎天下に放置する場合など、車内の断熱・防寒を維持するための必需品。
 運転席・助手席・フロントガラスを覆う3面セットから、リヤ窓までカバーする7面セットまで種類は豊富。

マルチスクリーン1

 これもカトーモーターさんのオリジナルなのだが、窓が開いているところがミソ。
 ちょっと外を見るときに、いちいち吸盤を外さなくても外が覗けるようになっている。

 ハイエース用、キャラバン用など、すでに定番になっているものもあるが、カムロードでもボンゴでも、オーダーメイドが自由自在。
 お値段は、3面セットで19,950円から。

 お次は 「ハンドル付き防振パンタジャッキ」 。
 パンタジャッキを操作するときに、いちいちハンドルをジョイントさせるのは面倒。さらにそのハンドルもかさばるので収納も億劫。

ハンドル付きジャッキ

 …というわけで、なんと最初からハンドルがセットになった便利ジャッキ。
 簡単操作で、キャンプ中の車体の揺れが解消。
 2台セット、ボックス付きで10,500円。


 これらの便利グッズを開発したカトーモーターの加藤社長いわく。

カトーモーター加藤社長

 「やっぱり、キャンピングカーって、夢のある “おもちゃ” なんですよね。
 ある程度、男の人のおもちゃという部分を持っているんですよ。
 だから、こういうものを開発して、お客様に見せると、みんな目を細めて喜んでくれるんですね。
 自分も、こういうグッズ類をあれこれ考えるのが楽しいし、お客様にも楽しんでもらえる。
 そう考えると、キャンピングカーって、究極のおもちゃかな…という気もして、奥行きが深いものだと感じますね」

 これらのカトーモーターオリジナルグッズの問い合わせは下記に。
 有限会社カトーモーター
 新潟県燕市小高6425-1
 tel:0256-62-6516
 http://www.katomotor.co.jp


campingcar | 投稿者 町田編集長 17:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

アレン

 う~む。カッコいい!
 10月中旬の関西ショーでデビューした 「ALEN アレン」 のファースト・インプレッションは、まずそれだった。
 遠くから一目見ただけで、外形デザインワークにも力を入れている AtoZ (エートゥゼット) さんの心意気が伝わってきた。

アレン外形1

 特にアトラス 「アーデン」 あたりから始まったスリムなバンク形状が、えもいわれぬ美しいラインをたたき出している。
 引き締まった筋肉質の体躯に恵まれ、軽快にダッシュするスポーツマンの敏捷性を想像させるフォルムだ。

アレン外形リヤ

 ただ、さすがに車内に入ったとき、一瞬言葉に詰まった。
 (当然だが) 「アミティ」 より狭い!

 キャブコンとしての使い勝手を考えれば、全長こそアミティと大差ないものの、車幅、車高はアミティよりも短く、なによりもバンクベッドのあるなしの差が大きい。

 サイズ、レイアウト、価格。
 アミティシリーズは、それらのバランスが絶妙だ。
 ボディをコンパクトに絞りながらも、キャブコンとしての機能をぎりぎりのサイズの中で完璧に押さえている。

アミティLX外形
 ▲ アミティLX

 小型キャブコンというジャンルにおいて、どこを取っても死角のないアミティ軍団に比べ、アレンはキャブコンとしての機能を全うできるのかどうか。

 一瞬だが、そんな気持ちが頭をよぎった。

 だが、すぐに考え直した。
 
 「これはキャブコンとしても使える “ワゴン車” なのだ!」

 そう思うと、このクルマの明快なコンセプトがすっきりと頭に入ってきた。

 キャブコンという言葉から想像される “もったり感” は、このクルマには皆無。
 カッコよくて、取り回しに優れ、日常の足として使える。
 それでいて、キャブコンならではの断熱性、防音性、荷物の収納性を備え、単なるワゴン車にはない優位性を確保している。

 「ああ、新しい時代のキャブコンというのは、こういうものか…」
 と思った。

アレン外形関西

 自動車の小型化というのは、時代の趨勢でもある。
 必要最小限のエンジンパワーを、空力抵抗を抑えた軽量ボディで効率よく引き出す。
 それは、今の時代、どんなクルマにも求められる特性だ。

 ならば、新型ライトエースのコンパクトさを生かし、それをスタイリッシュな軽量シェルでまかなうニューアレンのようなキャブコンこそ、時代の寵児といえる。

 そう思って、もう一度車内をしげしげと眺めてみると、アミティに比べても、このこぢんまりとしたアレンの室内が、なにげに落ち着く心地よい空間に思えてくるから不思議だ。

 インテリアのカラーコーディネートも、実にこのクルマのサイズに合った小粋さを演出している。
 家具のトーンはカジュアルなライト感覚。
 公園脇にちょっとテーブルを並べたオープンカフェの気安さが漂う。

アレン内装3

 特に、グレー基調にタンがあしらわれたツートンのシート柄は、AtoZさんのアイデンティティカラー。
 これが明るい木工家具と絶妙にバランスされて、カジュアルながらもハイセンスな雰囲気をかもし出している。

アレン内装2

 レイアウトは、対面ダイネットにリヤ2段ベッドというキャブコンの王道パターン。
 もちろんセカンドシートは前向きになるので、走行中はワゴンライクな使い方ができる。

 リヤベッドは、さすがに全幅が絞られたため、長さが1800mmに届かず、大人の就寝定員は取れない。
 しかし、幅は逆にアミティより10㎝も広げられたため、小柄な女性や子どもたちには快適なベッドが確保されることになった。

アレンリヤベッド

 下段ベッドを外せば大容量のラゲッジスペースが生まれ、リヤ側に設けられた外部扉を使って外側からもアクセスできる。

 バンク部は、1600×1370mmという広さが確保されているので、子どもなら寝られないことはない。
 しかし、さすがに奥がつまった感じで、多少の窮屈感が漂う。

 もちろんそれも計算のうちで、バンク部を削ぎ落としても、フロント荷重の軽減と空力特性を確保しようという目的で設計されたバンクなのだから、このスタイルこそアレンの評価ポイントなのだ。ここは、「便利なフロント収納スペース」 と割りきった方がいいかもしれない。

 全高は2. 5m。
 アミティよりさらに20㎝低い。
 これも、それまで車庫事情でキャブコンをあきらめていた人々の視線を集めることになった。
 アミティよりさらに小型のサイズを追求したアレンは、逆に今までのキャブコン層とは違った客層を開拓することになったのかもしれない。

AtoZ渡邉常務
 ▲ 渡邉崇紀 常務

 渡邉常務の話によると、このアレンを見て、
 「これなら私でも運転できる」 と喜ぶ女性客がとても多いという。

 何気なく聞き流してしまうような話だが、この常務の発言は重要だ。
 ついに、女性が運転してみたくなるキャブコンが誕生したのだ。

 過去においても、自動車が爆発的に普及した国というのは、みな女性が運転を始めるようになった国だ。

 アレンがもたらせたものは、新しいキャブコンのスタイルであるばかりでなく、新しいモータリゼーションそのものかもしれない。



campingcar | 投稿者 町田編集長 15:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

ポシェット

 2008年も終盤になってきて、キャンピングカー造りにも新しい流れが見えきた。
 その一つとして、バンコン開発が第2ラウンドを迎えたということが挙げられる。

 4年ほど前に新型ハイエースが投入されたことにより、日本のバンコンシーンはこれまでにない活況を呈した。
 ところが、今やレイアウト的にはほとんどのパターンが出尽くし、バンコンの発展は、一見、止まったかのように見えた。

 しかし、どっこい!
 水面下では、以前にも増して新機軸、新意匠のラッシュが続いている。

 レイアウト的に新機軸を打ち出すことが難しくなってきた各メーカーが、今や細かい部分での使い勝手の工夫、デザイン的な掘り下げなど、目を凝らして見なければ見逃してしまうようなディテールにおいて、とんでもなく緻密な造り込みを行うようになってきたからだ。

 西洋芸術の流れに例えると、ルネッサンスからマニエリスモの時代。あるいは、バロックからロココの時代になったといえるかもしれない。
 ある意味ではギミックに走ったという印象も伴うが、傾向としては、繊細さ、優美さ、緻密さの追求が大きなテーマとなり、全体的には大きな成熟期を迎えたといえる。

 しかし、そうなると、やはり老舗メーカーに1日の長があることは確か。
 はっきりいうと、これからバンコン市場への参入を企てている後発メーカーさんにとっては、厳しい時代が来ているのかもしれない。

 …というような話をマクラにして、今回はそんな 「緻密バンコン」 の代表例ともいえる レクビィ さんの 「ポシェット」 を紹介しようと思う。

ポシェット外形

 まぁ、びっくりである。
 現物を見た人ならば、「よくもまぁ、こんな細かい部分にまで凝ったようなぁ…」 とため息をついてしまうクルマだ。

 一言でいうと、これは、ハイエースのロングバン・ナローボディを使った 「ファミリーユース」 のバンコンである。
 しかし、「スーパーロングでは車庫に入らない」 という消去法の選択肢で選ぶには惜しい魅力がこのクルマにはいっぱい備わっている。

ポシェットダイネット1

 室内スペースは、当然、スーパーロングほどの余裕がない。
 にもかかわらず、広さも感じられるし、使い勝手にも余裕があるし、何よりも、乗って、使って楽しい。

 その秘密はどこにあるのだろう。 

 すべて小さな工夫の積み重ねなのだ。
 
 まず、シート。
 セカンドシート、サードシートとも通常のキャンパー用シートより座面が5㎝も低く設定されている。
 これは、ワークヴォックスが扱う 「レボシート」 をレクビィ仕様として特注したもので、座面も低ければ、足元の台座が斜めにカットされるなど、少しでも奥行きが稼げるような設計になっている。

ポシェットシート1

 座面が低いために、座ったときの安定感も向上するし、ヘッドクリアランスに余裕が生まれて、ダイネットそのものに 「広がり」 が生まれる。

 しかし、そうなれば、今まで座面下を収納スペースとして使っていたバンコンに比べると、荷物の収容能力が落ちる。

 それを補うための工夫があちらこちらに試みられている。
 まず、床下収納。
 これは8ナンバーを取るための、キッチン前のクリアランス確保の意味もあるが、FRP底にフタ付きなので、ちょっとした濡れモノなどを収納するときに便利だ。

ポシェット床下収納

 さらに、ユニークなのは、あらゆるところに設けられたポケット。
 そもそも 「ポシェット」 という車名は、フランス語の “小さなポケット” に由来するのだが、このポケットの数、位置、形状が尋常ではない。

 まず、オーバーヘッドコンソールの扉部分は、ポケットの “行列” になっている。

ポシェットOHコンソール1

 個々のポケットの収納力は小さいけれど、それが逆にいろいろな小物を仕分けして収めるにはすごく便利。
 しかも、それがデザイン的にこのクルマのアイデンティティを形成する役目を担っており、カジュアルなライト感覚を演出している。
 冷蔵庫の扉、その隣の収納部分にも、見事にポケットがあしらわれ、一目見たら忘れられない印象を残す。

ポシェット冷蔵庫

 凝った意匠はまだまだある。
 電子レンジを格納するための収納スペース。ジャバラ型のシャッター扉が採用され、しかもその中央部分にアールが設けられて、軽く外側に湾曲している。
 これが電子レンジのツマミなどの膨らんだ部分をうまく吸収し、スペース効率を高めている。
 ポータブルトイレの収納スペースにも、同様の試みがなされている。 

ポシェット電子レンジ等 ポシェット・ポータブルトイレ

 リヤゲートを開くと、左右に収納カウンターが見えるのだが、左側の外部シャワーに注目。
 普通だったら、その上にあるシンクのフォーセットを伸ばせばいいように設計されるところだが、シャワー用フォーセットが低い位置に設けられているため、子供やペットの泥足を洗うときにすごく楽だ。

ポシェット外部シャワー

 外部シャワーのフォーセットを独立させたのは、左右のカウンターにベッドマットを渡して子供用ベッドを作った状態でもシャワーが使えることを狙ったもの。
 芸が細かい。

 室内灯の位置と角度にも注目。
 左右に分かれた室内灯が、首振り動作を可能にして、リビング側とキッチン側の両方を照らせるように設定されている。

ポシェット室内灯

 それがまた、釣り鐘が首を振って涼しげな音を出すような印象をともない、なんともいえない風情をかもし出す。
 ここまで凝ったバンコンは、ちょっと類例がない。

 オプションとなるが、テレビは取り外して持ち出せるようになっている。
 それを運転席・助手席のヘッドレストに掛けてもいいし、地デジ用のクリップアンテナを付ければ、屋外でも見られる。

ポシェットテレビ

 「これほどこだわったバンコンは、レクビィの歴史の中でもかつてなかった」 と、開発を担った増田浩一社長は語る。

レクビィ増田浩一社長

 「フロアプランはすぐにできあがったんですわ。しかし、それからのやり直しにはめちゃめちゃ手間をかけたんです。
 床のクッションフロアを決めるのに張り替えた数は3回。シートは4回。天井の作り直しは3回。
 家具に関しては、もう何度作り直したことか…」

 なぜ、それほどこだわったのか。

 「奥さんに選んでもらうバンコンを造る要領なら、ある程度われわれも飲み込んでいるんです。
 しかし、今回は奥さんだけでなく、お父さんにも、子どもにも、お爺ちゃんにも、お婆ちゃんにも気に入ってもらえる内装を創り出してみたかった」

 …というわけで、社員全員の家族を巻き込んで、インテリアに関する感想、意見、要望、提案を集めた。
 ポケットのデザインひとつ取っても、そのような家族全員の意見を吟味した上で、サイズ、形状、ボタンの位置を変えたさまざまな試作品を作った。

ポシェット冷蔵庫

 そういう一連の開発過程を経たのちに、ようやくこのポシェットのデザインができあがった。

 バンコンのトップメーカーだからこそ、そこまでこだわったのか。
 そこまでこだわるからこそ、トップメーカーでいられるのか。

 いずれにせよ、こういうこだわりに、これからバンコン市場に参入しようとする後発メーカーはついて来れるのか。
 日本のバンコン開発の第2ラウンドは、業者間のきびしい技術開発合戦で幕を開けた感じだ。


campingcar | 投稿者 町田編集長 11:18 | コメント(0)| トラックバック(0)

防寒用蓄熱マット

 この11月初旬に東京で開催されたキャンピングカーショー 「お台場くるま旅パラダイス」 では、ユニークな便利グッズがあちらこちらのブースで展示されました。
 このブログでも、そのいくつかを、折をみてご紹介いたしましょう。

 まずは、蓄熱式温熱マットの 「ひだまりくん」 です。
 これは、一言でいえば “防寒グッズ” 。
 これからの季節に車中泊を試みる方の必需品です。

ひだまりくん1

 どういうものかというと、長さ1,800mm×幅500mm (厚さ45mm) の難燃性チップウレタンを保温剤に使った 「蓄熱マット」 なのですが、シガーライターソケットを使って1時間半ほど蓄熱すれば、その後7~8時間にわたってポカポカ温かい状態が保たれるという魔法のマットです。

ひだまりくん2

 これを展示していたのは、エアサス (camsus) や軽キャンパー 「オフタイム」 の開発で知られる島根県のスマイルファクトリーさん。
 その長藤社長さんが、お台場の展示ブースで置いたご自分の軽キャンパーの中で、実際に試してみたという保証済みの商品です。

 ショー会場でずっと寝泊まりした長藤さんは、こう言います。
 「シャツとパンツ1枚だけの状態で車中泊してみたのですが、この蓄熱マット、本当に温かいんですわ。
 このマットの上にバスタオルを敷いて、お腹に毛布をかけただけで十分寝られました。
 しかも、汗をかかない程度の温かさなので、タオルやシャツが濡れることなく、実に快適。これなら自信をもってお客様にお薦めできると感じました」

 キャンピングカーの車内を温める暖房機として普及しているのはFFヒーターですが、FFヒーターは、時に車内の空気をカラカラに乾燥させてしまうこともあります。
 人によっては、ヒーターを作動させながら加湿器を稼動させている人もいるようです。

 
 「その点、この蓄熱マットは空気を過度に乾燥させることがないので、身体に優しい暖房機です」
 と長藤さん。
 「さらに燃焼式の道具ではないので環境にも優しい」
 …というわけですね。

 「使い方としては、走行中に蓄熱しておけばいいんですね。目的地に着く2時間ぐらい前からシガーライターソケット差し込んでおけば、サブバッテリーへの負担もゼロ。
 蓄熱するとブザーが鳴るようになっていますので、そうしたら抜く。それで7~8時間は十分に温かい」


 なるほど便利!
 しかし、クルマを止めて同じところに連泊した場合はどうなのだろうか。
 バッテリーが弱っていたりしたら、蓄熱による負担は生じないのでしょうか。

 長藤さんいわく。
 「状況によっては多少そういうこともあるかもしれません。
 しかし、蓄熱に消費する電流はわずか5アンペアなんですよ。それも1時間半の通電で済んでしまう。
 だから、一晩ぐらいはエンジンを止めた状態でもまったく大丈夫だと思いますよ」

 …ということで、とても便利な暖房グッズに思えるのですが、蓄熱できるのは1回で1マット。
 もし、夫婦2人旅で、2枚温めたい場合はどうすればいいのでしょう?

 「シガーライターソケットは自動車には一個しか付いていませんけれど、よくホームセンターなどで売っている二つに分岐しているソケットを買ってもらえれば使えると思いますよ。
 乗用車のシガーライターというのは10アンペアなんですよ。で、蓄熱に必要なのは5アンペアなので、二ついっぺんに通電してもヒューズが飛ぶことがないとメーカーの人は言っています」

 実はこの蓄熱マット、トラックドライバーの間ではそうとう普及している商品だそうです。
 トラック協会では、暖房を取るためにアドリングしたまま仮眠を取るドライバーに対して、CO2の削減のためにアイドリングをストップするよう呼びかけています。
 そのためFFヒーターや、このような蓄熱マットを奨励しているとも。

 ということで、この 「ひだまりくん」 が多く普及している世界は、トラック業界なのですが、そこで流通する商品は24V仕様。
 乗用車用の12V仕様は、まだ十分な販売システムが整っていないようです。

 製造元は (株) 金子製作所
 標準小売価格は36,800円 + (消費税)

 キャンピングカーで使う場合の問い合わせは、スマイルファクトリーさんへどうぞ。

campingcar | 投稿者 町田編集長 12:37 | コメント(0)| トラックバック(0)

ザナドゥー

 「バスコンバージョン」 という車種を展示会で見る機会がなくなった。
 一時は、いろいろなメーカーがマイクロバスにチャレンジして、大きなショーともなると、必ず4~5台はバスコンの姿が見えていた時代があった。
 特に、バンコンに自信を持っていたメーカーは、全ブランドの中のフラッグシップモデルという位置づけで、バスに手を染める傾向があった。

 それが、ここ数年はどんどん減少し、この秋の関西と名古屋のキャンピングカーショーでは、RV BIGFOOT (アールブィビックフット) さんが持ち込まれた車種だけになってしまった。

 バスはベース車そのものも高いので、不況の時代には売りにくいとか、あるいは、定番レイアウトのまま買う顧客が少なく、すべて個別オーダーとなるので展示する意味がない…などといった理由があるのかもしれない。

 あるいは、バスボディを大胆にカットして、オリジナルシェルを架装する新しいタイプのキャンピングカーが登場するようになって、バスコンそのもののポジションが中途半端になってしまったということもありえるだろう。

 そんな中で、RVビックフットさんは新型バスコンバージョン 「Xanadu ザナドゥー」 を関西、名古屋ショーと続けて登場させた。
 そこにはバスコンプロショップとして、今日までの地歩を築いてきたビックフットさんの自信のほどが感じられるし、また意地も見えるように思う。

ザナドゥー外形1
 ▲ Xanadu

 先週開かれた名古屋ショーの会場で、ザナドゥーの特徴とその開発の狙いを、牧瀬芳一社長からうかがう機会を得た。

 「元々うちのバックボーンはバスでしたので、原点に戻ろうと思いました」
 と、牧瀬社長は開口一番そう答えた。

牧瀬芳一社長
 ▲ 牧瀬芳一社長

 RVビックフット社が、今日のようなビッグメーカー&ビッグディーラーとしての地歩を築いてこられたのも、もとは同社の開発したバスコン (エポックシリーズ) が世に認められたからだ。

 なにしろ、同社はバスコンにおいては草分け的なショップ。
 日本に、バスベースのキャンピングカーが普及することへの筋道を付けたパイオニアともいえる。
 その経営トップの人が 「原点に戻る」 と言った背景には、どんな思惑があったのだろう。

 「私がバスコンを始めた頃、お客様というのはバスそのものが好きな人たちだったんですね。
 本来なら大型免許がないと運転できなかったものが、普通免許でも運転できる。乗り味も安定感も最高。
 さらに庭に置けば、家がワンルーム増える計算になる。
 そのうちターボやオートマが付いて、シャシーもどんどん充実していく。
 だから、トヨタがいいのか日産がいいのか、昔はみんな無邪気に議論したものでした」
 …という牧瀬さんの話を聞いて、ひとつ分かったことがある。

 この人自身が、もう無類の “バス好き” なのだ。

 好きな人が、原点に戻って好きなものを造る。
 その心意気が伝わってくると、こっちも取材が面白い。

ザナドゥー内装4

 ただ、「時代は変わった」 と牧瀬さん。
 「今のお客様というのは、昔のように、バスが好きだから…という人に限らなくなりました。輸入車やキャブコンから乗り換えられるお客様が増えてきたんです」

 …ということは、
 「バスだからしょうがないんだよ (笑) 」 と、今までのバスコンのデメリットに目をつぶってくれる人たちが、少なくなってきたことを意味する。

 キャブコンや輸入モーターホームの使い勝手を経験してきた人たちというのは、ボディの断熱性や防音性、収納性、プライバシーの確保などに関して厳しい評価軸を確立している。

 特に、こういう人たちは断熱性に対する関心度が高い。
 だから、ガラスと鉄板の表面積ばかり目立つバスコンの構造に対し、断熱性が低いのではなかろうか? …と疑問の目を向ける。

 ユーザーが望むバスコンの断熱性を確保するための有効な対策のひとつに、“窓埋め” がある。
 熱伝導率の高いバスのガラス窓部分をFRPなどの素材を使ったパネルで防ぎ、窓から進入する太陽熱や冷気をシャットアウトしようというもの。

 この窓埋め型バスコン開発においては、茨城県にショップを構えるRVランドさんが先鞭を付けたが、RVビックフットさんも、すかさず自社製品に対応を施した。
 同社はエポック・レボリューションやタンゴなどの開発において、日産純正のブラインドパネルを採用して好評を博した。

 ただ、日産純正品の場合は表面がフラット。
 デザイン的にも単調なラインに終始してしまうので、クオリティ感が出ない。

 しかし、今回のザナドゥーでは、微妙な3次曲面を採用したオリジナル開発の 「アイアン (鉄板) 窓埋めパネル」 が試みられた。
 しかも、ボディ右サイドでは、それが運転席から後方の窓をすべて埋めるほどの徹底ぶりが貫かれている。

ザナドゥー右パネル

 ザナドゥーは、RVビックフットさんが、バスコンプロショップとしての原点に戻るために投入された新世代バスコンだったのだ。

 レイアウト的な特徴は何か。

 牧瀬社長は、リヤベッドの設定位置が低いことを強調する。
 もしベッド位置が高ければ、その下に収納庫を設けた場合、その容量が大きくなるというメリットが生まれるはずだ。
 ところが、このザナドゥーのベッド高は、リヤトランクにジェネレーターを入れるぎりぎりの高さに調整されている。

ザナドゥーリヤベッド
 ▲ 窓埋め効果によって、プライバシー確保と断熱が行き届いたリヤベッド

 それも牧瀬さんに言わせると、計算のうちなのだ。
 「やはりキャブコンからバスに流れてきたお客様というのは、高齢者になって、バンクへの登り下りがきつくなったという人が多いのです。そういう方々は、固定ベッドにおいても、ハイマウントベッドを嫌われる傾向があります」

 …だから、このベッドは登り下りがしやすい高さに設定されているという。
 「しかも、女の人ならこのベッドの上に立つこともできます。そう考えると、低いベッドにすれば、部屋がひとつ増えたことにもなりますね」

 一見、非合理的な設定に見えても、実は周到に計算されたベッド高なのだと、牧瀬さんは説明する。

ザナドゥー内装2
 ▲ 優雅なL字ラウンジ。シートはレザー

 キャンピングカーは、だんだん 「趣味のアイテム」 から 「生活必需品」 に変化している、と牧瀬さんは見ている。

 「キャンピングカーであちらこちらを旅しても、朝はキャンプ場や道の駅の周辺を普段と変わりなく散歩したり、車内でくつろぐときも、家庭と同じようにプライバシーを確保しようとする人たちが増えました。
 日頃の生活と同じようにキャンピングカーを使う人たちの時代になったんですね」

 だから、安眠できるベッドがあり、快適なリビングが用意され、荷物入れもしっかり確保されている。そして走るときは、快適な乗り心地が実現されている。
 …というのは当たり前!

 「生活必需品」 であるならば、そういう条件はとうぜん満たされていて、ユーザーがことさら 「便利だ!」 だと感じることもないほど洗練されていなければならない。

 「そういう空間を実現するには、やはりバスが一番なのです」
 と、牧瀬さん。
 バスコンのプロショップの原点回帰には、骨太の “バス哲学” が貫かれているようだ。

campingcar | 投稿者 町田編集長 02:16 | コメント(0)| トラックバック(0)

Jキャビン・ミニ

 軽トラック専用の小型ピックアップキャビンの開発。
 おそらく、こういうことを考えるのは、欧米にはない軽トラというビークルが普及している日本の中で、さらに、ピックアップキャビンを自社内で生産できるMYSミスティックさんぐらいのものだろう。

Jキャビンミニ外装1

 ここ数年、すさまじい勢いで伸びてきた軽自動車。
 その販売台数は、今年の上半期には一時の勢いを失ったとはいえ、基本的にそのランニングコストの安さが大きな魅力となり、様々な経済不安を抱える今の社会状況においては、庶民の生活感覚にしっかり根を下ろしている。

 そんな状況を反映して、
 「軽トラックの荷台にキャビンが載るようなトラキャンはありませんか?」
 「軽トラ専用ピックアップキャビンを開発してくれませんか?」
 というような要望は、ミスティックの佐藤社長のところにもさんざん舞い込んでいたという。

 しかし、いくら軽トラベースだからといっても、それに積載するキャビンまで軽自動車の価格に見合ったコストにまで落とすことはできない。
 開発費用も製作する手間も、普通のピックアップトラックに積載するキャビンにかかるコストと大きく変わるところはないからだ。

 それに、軽トラックのエンジン出力、足回り、積載重量、許容荷重などを考えると、「ワタビー」 のような簡単な架装で楽しめる軽ベースのバンコンとは違い、キャビンを積載することへの懸念材料がたくさん残る。

 佐藤社長は、軽トラ用シェルを欲しがるお客さんに対しても、しばらくは 「やる気がないので…」 と断り続けていたという。

MYS佐藤社長

 しかし、ある日ふとひらめいた。
 「軽トラ用に開発したキャビンを、軽登録のカーゴトレーラーに積んでみたらどうだろうか?」
 もちろん、普段はそのキャビンをトラックの荷台に積む。
 しかし、用途や使用人数に応じて、トレーラーにも載せられるようにすれば、トラックの荷台の方はバイクやキャンプ用具の積載に使える。

 さらに、そのキャビンを積載したトレーラーを普通乗用車などで引っ張れば、トレーラーそのもののけん引も安定する。

 折しもトヨタ自動車から、新しいライト/タウンエースが出たばかり。軽トラ用の小型シェルを開発すれば、それを少し加工するだけで、そちらに積載できるかもしれない。

 こうしてMYSミスティックの 「J-cabin Mini (Jキャビン・ミニ) 」 計画がスタートすることになった。

 まず、ベース車。
 軽トラには、スズキキャリィ、三菱ミニキャブ、ホンダアクティ、スバルサンバーなど、様々なベース車が考えられる。

 佐藤社長は、できるかぎり様々な軽トラに乗る機会をつくって、研究を開始した。

 驚いた!
 どれに乗っても、昔の軽の規格によってつくられていたものとは雲泥の差がある。
 剛性感も高いし、走りも軽快。

 佐藤さんは、「足回りをしっかり組めば、キャビンを載せてもまったく問題ない」 という感触を得た。

 さて、シェル。
 軽の横幅に合わせるわけだから、車室の幅が狭くなるのは致し方ない。
 でも、これも 「2人仕様」 と割りきれば、対面ニの字シートを向かい合わせればサマにはなる。逆に長さは稼げそう。

Jキャビンミニ内装4

 問題は重量。
 エンジン出力や積載重量との関係を考えれば、目標値は300kg。
 ただ、エアコン、インバーター、キッチン、冷蔵庫、ポータブルトイレなどの快適装備を付加することも考えなければならないから、それを装着したことを想定すれば350kgというところか…。

Jキャビンミニ内装6

 こうして完成したキャビンを積載し、佐藤さんは、まずスズキキャリィとホンダアクティの2車を試走してみた。
 ともに乗り心地は最高だ!
 軽く100kmまで加速していき、その速度域でのクルージングはまったく問題がない。

Jキャビンミニ内装3 Jキャビンミニ内装

 キャビンの開発と同時に、ベース車の足回りにも手を入れていたので、その効果が生きている感じだ。
 スズキキャリィへの荷重受けはエアサス。アクティにはリーフ増しで対応。ダンパーは4本ともカヤバ。フロントにはスタビライザーを追加したので、
 「ひょっとして、これ軽?」
 というくらいのしなやかで、しっかりした走りが実現している。

Jキャビンミニ足回り

 燃費も良好。アクティで 「名古屋キャンピングカーフェア」 の会場まで300kmの道のりを走った値は、10km/リットルだったという。

 ショー会場で、車両撮影を行いながら、佐藤さんに今後のテーマを聞いてみた。

 やはり、さらなる 「軽量化」 にチャレンジするという。
 「できれば、標準装備の状態における目標値を240~250kgぐらいに収めたい。ジャッキを付けたり、エアコンを搭載するなど、オプション類を加えても300kg。そうすれば走りもさらに軽快になり、バランスももっと良くなるはず」
 と佐藤さんは語る。

 その目途はあるのだろうか。

 「今の作りは、Jキャビンとほとんど変わらないんです。フレームの上にコンパネを張って、ルーフの上もしっかり歩けるような構造になっていますけど、別にコンパネがなくてもルーフの上には乗れるわけで、そういう見直しを少しずつ重ねていけば、今よりさらに軽くなる見通しは立ちます」

 このあたり、Jキャビンをオリジナル生産する中で培ってきたMYSの軽量化技術が生きてきそうだ。

Jキャビンミニ外装2

 「私の夢は、このシェルをトレーラーに積んで、トラックの荷台にはバイクを載せ、北海道を思う存分走ること」

 そう語る佐藤さんの表情には、北海道の広大な原野を見つめるバイクライダーの意気込みが浮かんでいた。

 トラキャンの世界のみならず、バンコンにおいても新しい試みにチャレンジし続ける佐藤社長の情熱は、結局、この 「自分が楽しみたい」 というあくことなき夢の追求から生まれてくるようだ。 


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:31 | コメント(6)| トラックバック(0)

ニューバレンシア

 最近、考えていることは、日本のキャンピングカーが国際商品になれるのかどうかということ。

 もちろんベース車の問題、各国のレギュレーションの問題、サイズ的な問題、為替の問題などいろいろ複雑な要素が加わるので、現状の国産車がそのまま輸出できるような環境は何一つ整っていない。

 しかし、コンセプトメイクあるいはデザインセンスなどで、日本製キャンピングカーは世界にも類例のない緻密さと独自性を獲得しつつあるように思う。

 その最たる例が、マックレーさんが開発しているデイブレイクシリーズ。
 限られた車両サイズのなかで、ひとつの家具を様々に使い分けることによって、スペース効率を限りなく追求していこうというその執念と完成度。
 
 こういうコンセプトに、「日本文化」 のスタイルが反映されていると、いつも思っていた。

 もちろん、それは狭い土地空間に住まざるを得ない我々の風土的な制約から生まれてきたものに過ぎない。
 広大な土地空間が約束されているアメリカなどでキャンピングカー開発を行う場合、マックレーさんが追求する巧緻な空間造形を行う苦労など、車体を大きくするだけで、あっけなくパスできる。

 「車内の広さは、すべての難問をいっぺんに解決する」
 キャンピングカー開発では、それが動かざるテーゼとして確立されている。

 しかし、原油の高騰、金融不安による生活設計の見直し、自然に負荷をかけないライフスタイルへの転換など、いま世界は、クルマにおいても 「小さな空間」 を効率よく使うという方向に傾きつつある。  

 そうなると、マックレーさん型の 「可変的な家具を採用することによって限られた車内空間の使い勝手を広げる」 という手法は、世界的に見ても 「クール (カッコいい) 」 に見えてくるのではなかろうか。

 ……という話をマクラに据えて、このアトラスベースのバレンシアの紹介に移る。

アトラス・バレンシア外装3

 バレンシアというキャブコンは、フレキシブルスペース家具に代表されるように、エントランス右側に添えられた家具が、収納棚にも、シートにも、フリースペースにも変わるという、マックレーらしい可変的な家具を採用した巧緻なキャンピングカーである。

valencia5

 その機構だけでもユニークだが、今回のアトラス・バレンシアでは、いかにも日本人のきめ細やかな神経を象徴するような照明システムが採り入れられた。

 調理したり、資料を調べたり、着替えをしたりするときに必要な明るい照明と、ダイネットでお酒などを飲みながらくつろぐ時の照明。
 それがスイッチひとつで切り替えられるようになっているのだ。

 生活空間として、車内全体をしっかり使うときは全照明が点灯する。
 そして、落ち着いたムードを楽しむときは、LEDのダウンライトを中心にした目に優しい照明だけが浮かび上がる。
 それがワンタッチ操作で実現するので、各照明のスイッチをひとつずつ付けたり消したりする必要がない。

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 こういう細かな気配りが浸透しているところにマックレーブランドの真骨頂がある。

 今回の新型バレンシアは、また、そのような照明システムが生きるような見事な内装デザインを手に入れた。

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 基本的な家具色はホワイト。
 キャブコンにおいては、長らく色目の濃い木目家具が主流だったが、そこからの思い切った転換が試みられている。

 しかし、白一辺倒にすると、あざとい贅沢感も滲み出てしまう。
 白は、基本的にゴージャスな色だからだ。

 そこでこのバレンシアにおいては、微妙な配色のアレンジが行われている。
 まずシート地がツートン。
 座面は濃いめのパープル。背もたれは爽やかなマスタード (からし色) 。

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 そして、ダイネットテーブルの天板は寄せ木を使って軽快に仕上げ、ホワイト家具との調和を図っている。
 カーテンもタペストリー感覚で、ざっくりした素材感を追求。
 色と素材の組み合わせが絶妙にバランスされた、新しいインテリアがここに誕生している。

 もちろん同車には、従来どおりのクラシカルな木目家具バージョンも用意されており、
 「そっちはシニア向き」
 と渡辺社長は語る。
 ホワイト家具は、明らかに一世代ほど下の若いファミリー層を意識したものだとか。

 しかし私は、この斬新な新色インテリアは、意外と審美的なセンスを重んじる中高年にも受けると読んだ。

valencia_4

 とにかく、マックレーさんはまたひとつ新しい感覚を手に入れた。

 イベント会場に持ち込まれた展示車両をショーアップするためのディスプレイも、洗練された雰囲気が横溢していた。

 何気なく置かれたコーヒーカップ。
 リヤダイネットを飾る森伊蔵などの焼酎瓶。
 それらが和風のライトスタンドの光りを浴びて、なんともいえぬ爽やかな贅沢感を醸し出す。

valencia_2

 「こんな感覚でくつろげるのか…」
 車内を見た人は、一瞬のうちにこのクルマがもたらす “ゆとり感” をかぎ取ったことだろう。
 いいインテリアが実現している。

 日本のキャンピングカーは、日増しにそのブランド力を上げている。

campingcar | 投稿者 町田編集長 14:23 | コメント(0)| トラックバック(0)

リコルソ

 先週開かれた 「関西キャンピングカーショー2008」 のアネックスさんのブースで、多くの人から注目されていたのが、この新型バンコン 「リコルソ」 です。

リコルソ

 リコルソ。
 イタリア語で 「リゾート」 を意味する言葉だとか。
 英米風のネーミングに慣れてしまった私たちには、このラテンの風に吹かれているような言葉の響きが、まず新鮮です。

 新鮮なのは、ブランド名だけではありません。
 コンセプトの練り込み自体がなかなか新鮮です。

 ベース車は、ちょっと贅沢なハイエースワゴンGL。
 想定した客層は、ほのかにゆとりのある 「50代くらいのご夫婦」 …ということで、2人仕様に特化したアイデアがたくさん散りばめられています。

 …というより、従来のバンコンの形式をあっさり “裏切る” 摩訶不思議なレイアウトが展開しています。

リコルソ室内a

 まず、フロント席とキャビンとの間を、L字型のギャレーカウンターが塞いでいます。
 「ウォークスルーできないじゃない?」
 とご心配の方。
 これにはちゃんと狙いがあるのです。

 同じように、後部にもしっかりしたカウンターが設置されています。
 「これじゃリヤゲートを開けても、荷物が積めないじゃん?」
 とご心配の方。
 これにも、しっかりとした狙いがあるのです。

リコルソ2

 さぁ、その状態でキャビン内に入ってみましょう。
 「あれ、こりゃ “部屋” だな!」
 誰もがそう感じることでしょう。
 
 つまり前と後ろがしっかりしたカウンターで囲まれたために、見事な 「ワンルーム」 が完成しています。
 この “落ち着き感” は、従来のバンコンにはなかったもの。

 今までのバンコンが、いかにくつろぎ感を追求しても、しょせんは 「車内」 にいる気分を払拭しきれなかったことに対し、このリコルソは、それとは異なるくつろぎ感を実現しています。
 つまり、「車内」 にいるのではなく、自宅の 「リビング」 にでもいるような感覚ですね。

 もちろん、前後のカウンターはオーダーによってレスすることもできますが、そうなると、このリコルソの個性は半減されます。
 カウンターレスをお望みの方は、同社のファミリーワゴンのような、それこそ大人数で使えるクルマを選択された方がいいのかもしれません。

 さて、まだまだ、リコルソ独特のアイデアは続きます。
 ニの字シートをベッドメイクしても、単一平面が連なるクィーンベッドにならない!
 つまり、テーブルポールの間分だけ隙間ができます。
 広々した 「ツインベッド」 が二つ並ぶという感覚なんですね。
 これも、ちょっと従来の常識を逸脱しています。

リコルソ5

 でも、この隙間が大事。
 ご夫婦で寝ているときに、片方が起きても、この隙間に足を差し込んで立ち上がれば相手方を起こすことがありません。
 真ん中のテーブルを生かしたままベッドメイクしているので、テーブルの上に食器などを残した状態でも寝ることができます。

リコルソ3

 もちろん、ソファからベッドに展開するときの操作は簡単。ソファの座面をスライドさせて、背もたれマットを窓側の隙間に収めるだけ。

 ショー会場で、アネックスの田中社長に取材しているときに、たまたま車内で見学されていたお客さんが、ベッドメイクに関する質問をされました。
 その雰囲気をちょっとここでリプレイ。

【お客さん】 …で、ベッドを作るときは、こっちの空いた透き間はどないなるの?
【田中社長】 ここのクッション (背もたれ) をポコっとはめ込むだけなんですわ。
【お客さん】 (クッションを手に持って…) これかいな? 現物これかいな? 現物これ? これ? これかいな? ……ははぁ。
【田中社長】 ハメ込まなくても、スライドさせるだけでも十分寝られます。
【お客さん】 はぁ、そやな。この部分出てくるわけやからな。はいはいはいはい。

 お客さんの会話の中に 「これ」 が5回も出てきます。
 「はい」 は4回。
 この見事にリズムに乗った関西弁。
 まるでラップを聴いているような雰囲気でした。

アネックス田中氏
 ▲ 田中社長

 このリコルソのもうひとつの特徴は、新しいレイアウトに似合った斬新な色使いと質感に恵まれた家具類が採用されているところにあります。
 
 シート地は、明るいベージュ系のざっくりした平織り。
 家具類は、ダークな木目調。
 
 天然素材の優しさを感じさせるシート地と、人工美を追求したモダン家具のコントラスト。
 そこがなんとも見事です。
 シートは光りを吸収して 「なごみ感」 を表現し、家具は光りを反射して、シャープな輝きを追求する。
 うまいデザインです。

リコルソ4

 キャブコン 「ネビュラ」 を開発して以来、アネックスさんは、プロのデザイナーとの共同作業を進めることによって、意識的に 「デザインマインド」 を追求していくメーカーになりました。

 だから、最近のアネックス商品には、キャブコンからバンコンに至るまで、統一された 「アネックスブランド」 というものが浮かび上がってきているように思います。

 それは見ようによって、洗練された都会の匂いに満たされたものに思えますが、ある意味、機能的な狂いを微塵も感じさせない工業製品のクールさを追求しているようにも感じられます。

 日本のアニメ文化が 「ジャパンクール」 (日本的カッコよさ) と形容されて世界中に広まったように、国産キャンピングカーシーンにおいては 「アネックスクール」 という言葉が広まりそうな予感がします。

 リコルソのお値段は、2WD・ATで、3,475,500円から。

 ※ ちなみに、アネックスさんのトータルデザインの成果を示すものとして、下記のようなデザイン・ロゴがあります。
 カッコいいですよね。
 
アネックス標語ロゴ

 関西ショーで、私もこのロゴの入ったTシャツを1枚買いました。


campingcar | 投稿者 町田編集長 00:13 | コメント(0)| トラックバック(0)

トニィ B

 先週開かれた 「関西キャンピングカーショー2008」 に登場した新型車のなかで、ちょっと話題になったクルマを、折を見てご紹介していくことにいたしましょう。

 まず、地元関西の有力ビルダーの商品から。

 関西を代表するキャンピングカー販売店 「大森自動車」 さんは、総合展示場 (CCFオオモリ) として全国でもトップクラスの地位を築いていますが、最近は、ビルダーとしての実力もどんどん発揮するようになりました。

▼CCFオオモリ
CCFオオモリ

 大森さんのオリジナル車の特徴は、デザインコンセプトにひとつの筋道をつけたこと。
 それは、「美しいデザインを追求する」 というもの。

 このような同社の基本方針に沿って、実質的に具体的なデザインを練っているのが、開発担当の宮永京介さんです。
 宮永さんは、常日頃からクルーザーのインテリアを研究したり、住宅展示場を見学したりして、内装のトレンドウォッチングを欠かしたことはありません。

 ▼ 宮永京介さん
宮永氏

 しかし、そのようなインテリア全般の勉強を重ねても、キャンピングカーにはキャンピングカー独自の内装的制約があって、住宅や家庭用家具などをそのまま踏襲するわけにはいかない…とか。

 確かに住宅とクルマでは、家具や壁材などのボリュームもまったく違うわけで、同じ素材や色目を借用しても、出来上がったものがまったく違ったイメージになる可能性は大いにあるわけです。

 だから、キャンピングカーの内装デザインは、ある意味、独自の海域に漕ぎ出て行かざるを得ない 「孤独な作業」 となります。
 「大森デザイン」 は、そこのところで頑張っているのですが、最近のモデルとしてその成果が最大限に発揮されたのが 「バルミィ2007」 ではなかったでしょうか。

 ▼ バルミィ2007
バルミィ2007

 今回新しくリリースされた 「トニィB」 (ハイエース・スーパーロング) も、この路線の精神を忘れてはいません。
 ただ、レイアウト的には、バルミィのような前衛性を追求したものではなく、ファミリー向けに開発されているトニィシリーズの新バージョンという位置づけになりますので、構造的にはオーソドックスな造りでまとまっています。

 ▼TonyB
トニィB1

 しかし、シート素材の選定や色彩配合などが洗練されていて、しっかりした 「大森デザイン」 を感じさせるところはさすがです。

 従来のトニィとの違いは、多機能性を秘めた3列目シートをFАSPに替えたところ。シンプルな構造を採用することによって、汎用性の高さを狙っています。

 セカンドシートの足元が広く取られているので、フロント席からのウォークスルーも可能。
 何よりも便利なのは、ベッドメイクするときにもセカンドシートのヘッドレストを抜かずにフラットベッドができあがること。
 FАSPシートでベッドメイクする場合、いちいちヘッドレストを抜くことを面倒に感じていた人には、ちょっとうれしい設計です。

トニィB2 トニィB4

 冷蔵庫スペースはありますが、冷蔵庫はオプションです。
 冷蔵庫を選択しない場合は、収納庫として使えます。

トニィB3

 先ほどもいいましたが、レイアウトそのものは、他のバンコンとそれほど変わったところはありません。
 しかし、細かい部分を見ると、緻密な仕上がりぶりを発揮していることが分かります。
 車体後部のタイヤハウスの出っ張りなど、周囲の壁材とは違ったトリムを張って、お洒落なアクセントを設けるなど、細かいところにまで神経が行き届いた設計であることをしのばせます。

 これからのバンコンは、細部の造り込みとデザインセンス。
 そこの勝負になってくるでしょうし、またそこで大きく差が開いてくることも十分考えられるでしょう。

 なお、このトニィ typeB。
 お値段は、2WD・DX 3,643,500円から。


campingcar | 投稿者 町田編集長 01:22 | コメント(0)| トラックバック(0)

関西ショー速報

 「関西キャンピングカーショー2008」 のイベントを見学し、その最新レポートをお届けします。
 出展車両の傾向を一言でいうと、「小型キャブコンの多様化とバンコンの進化」 。
 これです!

 「小型キャブコンの多様化」 というのは、いうまでなく新型ライト/タウンエースに架装を施したキャブコンの登場によってもたらされました。
 これにより、従来のカムロードベース、そしてボンゴベースという大きな二つの流れの中にライト/タウンベースが加わり、3極構造が成立したようです。

アズマライト/タウン

 このショーでも、新型ライト/タウンエースをベースにしたキャブコンをリリースしたメーカーさんをみると、オートショップアズマさん、AtoZさん、セキソーさんと、いずれも時代のムーブメントを作り上げたビルダーさんばかり。
 それぞれ特徴を備えたユニークなコンパクトキャブコンを仕上げての参上でした。

AtoZライト/タウン


 共通していえることは、いずれも1500cc (97ps) というベース車のエンジン出力を考慮して、架装重量を軽くし、空気抵抗も軽減して走りを維持するという方向性で統一されていました。
 で、このことによって何が実現されたか。

 それらのクルマは、実にみなスタイリッシュで、カッコいい外形フォルムを獲得していました。
 会場を眺めていると、新型ライト/タウンベース車のコーナーには、新しい風が吹いているような雰囲気が漂っていました。

 一方、「バンコンの進化」 とは何を意味するのか。
 すでに、ハイエースをベースとしたバンコンは、あらゆるレイアウトが試されて飽和状態になったかのような感がありましたが、つぶさにみると、それぞれのバンコンにもしっかりした熟成の跡が見られました。

大森バンコン1

 その主な部分はデザインコンセプトの進化。
 レイアウト的には一見従来のパターンを踏襲しているようでいて、そのフィニッシュの緻密さや色使いの洗練度がめきめき上がっているものが目立ちました。
 特に、家具やシート地の色使いと材質感の配合に一工夫施したものがたくさん登場し、リビング空間の洗練度がひときわアップした感じです。

アネックスバンコン

 このほか、軽トラック用のピックアップキャビンが開発されたり、新しいコンセプトのバスコンが登場したり、なかなか見ていて飽きないショーでした。
 具体的な車種に関しては、このブログでも少しずつご紹介するようにいたします。

 一方、ガソリンの高騰や金融不安などと、キャンピングカーをめぐる社会環境も激動期を迎えています。
 それらがキャンピングカーの販売に影を投げかけているのかどうか。

 各ブースのスタッフに尋ねてみると、「正直、クルマが売れない」 と嘆いていられる方もいらっしゃれば、「お客様が何を求めているかを練り直す好機」 と捉える方もおり、その反応はさまざま。
 中には 「うちはかえって好調」 と答えられた方も。

 それぞれ扱う車種や売り方によって、社会環境の変化の受けとめ方も変わるようです。

 来週は名古屋のキャンピングカーショー、来月は東京・お台場。
 キャンピングカーイベントは、実りの秋を迎えました。



campingcar | 投稿者 町田編集長 18:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

i camp 

 けん引免許対応型の大型トレーラーに対するニーズが高まる一方で、小型トレーラーを望む声も多くなってきた。
 小型トレーラーに対する要望の多くは車庫事情と関連しており、大型車両では駐車スペースに収まりきらないというケースが大半だ。

 インディアナRVがこの9月に導入した 「i camp japan」 は、全長4300mm、全幅2000mm、全高2360mm。
 普通の月極駐車場にも入ってしまうサイズなので、駐車スペース探しで苦労していた人には朗報かもしれない。

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 とにかく、外観が可愛い。
 ちょっとスモールエッグ風でもあり、欧州トレンドの粋さも漂ってくる。

 ところが、ヨーロッパ製ではなく、北米市場向けに開発された商品であり、製造元は中国であるというから、さらにビックリ。
 中国で、既にこのような本格的トラベルトレーラーが製造され、それが北米市場にしっかり出荷されるような時代になったのだ。

 ただ、車両重量よりも強度を重んじる米国市場向けに開発されたものだけに、オリジナル仕様では防水加工された鉄板が床下に張られるなど、1トンを優に超える重さがあったという。

 インディアナRVではその鉄板をアルミに変え、さらにパネル内断熱材もヨーロッパ型の軽量素材に変えるなどして、さらなるダイエットを進めた。

 その結果、達成しえた車両重量は740kg!
 北米のマーケットだけを考えて開発された商品をここまで減量した日中双方のスタッフには脱帽。

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 ちなみに、製作会社の名前は 「センティック・スペシャリティ・ビークル」 社、略してCSB社。中国では、警察や軍の特殊車両を開発・製作している大手会社だという。
 いわば国家のお墨付きをもらっているようなメーカーなので、商品的クオリティに関しては保証済み。
 北米市場に投入しているトレーラーの評判も良いと聞く。

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 内装は、なかなかモダンテイスト。
 ホワイトと薄いブルーで統一されたインテリアカラーは、かなりヨーロッパ志向である。

 中に入ってみると、その “広さ” に驚く。
 外側から見ると、フロント側が絞られているために、室内が窮屈に感じられるように思えたが車内に入ると違った。
 ダイネットに座ると、絞られたフロント側を背負うことになるので、圧迫感はまったくない。
 むしろ、そこからエントランス側を見通したときの開放感が心地よい。

 就寝定員は 「2名~3名」 。
 基本は夫婦2人で使うトレーラーだが、子供が小さいファミリーなら3人就寝も可能。

icamp4

 トイレ・シャワー、温水ボイラー、FFヒーターなどかなりの充実装備。
それでいて、発売記念の限定30台だけに限って、1,980,000円。


campingcar | 投稿者 町田編集長 17:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

カノン

 ぐいぐい押してくる、という感じだ。

 「アトランティス」 をリリースしてからの日産ピーズフィールドクラフトのキャンピングカー開発は、ストライクゾーンをめがけて、直球でぐいぐい押してくるような迫力を感じる。

 この 「カノン」 も、ストライクゾーンのど真ん中に構えられたキャッチャーミットに、ズバッと小気味よく吸い込まれたような新型車だ。

カノン外装2

 つまり、新しいマーケットの求める一番 “美味しいところ” をずばり突いた企画である。

カノン外装1

 中高年のキャンピングカー需要が数値として増えていることがはっきりしてきた現在、トイレはもう必需品なのだ。

 定年退職を迎えたシニア夫婦の長旅ともなれば、いつもトイレが近くにある場所に泊まれるとは限らない。
 一般道を時間をかけてのんびり走るような旅になると、そう簡単に道の駅や観光地のトイレが使えない場合だって出てくる。
 ましてや高齢期を迎えると、寝ていてもトイレの回数が増える。

 そうなると、本格的なトイレが車内に欲しくなる。
 しかも、プライバシーを確保できるしっかりした個室トイレが欲しい。

 …となれば、バンコンでは、もうこのカノンのようなスタイルを採るしかなくなる。

カノン内装1

 トイレを欲しがるのは、何も中高年とは限らない。
 小さな子どものいる家族も同様だ。
 夜間、クルマから遠く離れたトイレまで子どもを一人で行かせるのは、たとえ管理の行き届いたキャンプ場であっても、時には心配なもの。
 車内にトイレがあれば、そんな不安も解消される。

 酔っぱらったお父さんだって、もうトイレの前のぬかるみで転ぶのは嫌だろう。

カノン内装5

 みんなが欲しがるキャンピングカーのトイレ。
 なのに、そういうユーザーニーズに応えたバンコンというのは、今までほとんどなかった。

 バンコンは、キャブコンに比べるとスペース的に制限がある。
 トイレルームに限定してしまうようなスペースはもったいない。
 だから、フリールームのような何でも置ける場所にしておいて、トイレの欲しい人はポータブルを置けばいい。

 今まで、多くのバンコンは、そういう発想で造られてきたのだ。
 だけど、カーテンを引いたぐらいで、いい年をした女性がポータブルトイレを使えるか?

 そう。使えない。

 で、使えないポータブルトイレは、やがてクルマから外され、家の片隅で粗大ゴミ化していく。

カノン内装2

 カノンは、そこから一歩先を行ったバンコンだ。
 なにしろ、リビングと完全に独立したリヤスペースが設けられ、プライバシーが完璧に守られるようになっているのだ。
 そこに設定されたのは、キャブコン並みの本格的なカセットトイレ。便座が首振り式なので、使用中に足元を収める場所も自由自在。
 こうなってこそ、はじめて車内のトイレは 「使える状態」 になったといえる。

 このリヤコンパートメントの右サイドは、10リットルの給・排水タンクを備えたキッチンとなる。
 シンク下には40リットル冷蔵庫 (op.) 。
 リビングをベッドメイクするときに不要となるテーブルも、このギャレー横に収納できるようになっている。

 もちろん、通路の真ん中には、キャンプ道具ぐらい積むのには十分なスペースが残されている。
 リヤコンパートメントも決して、無駄な空間になってはいないのだ。

 間仕切りを付けて、2ルーム形式にしたお陰で、フロントスペースには実にすっきりしたリビング空間が生まれた。
 生活臭が付いてまわるギャレー周りをリヤに移したために、フロントスペースにはサロン的なリッチ感すら漂う。

 内装のセンスもなかなか。
 イエロー基調のシート地が、ブルーに彩られたテーブルとの対比で美しく浮かび上がる。

カノン内装4

 美しいだけでなく、セカンドシートとサードシートには、それぞれ2点式シートベルトが付いて、安全性も確保されるようになった。

 お洒落度も実用性も高い、新感覚バンコンの 「カノン」 。
 鮮やかな豪速球で、ユーザーニーズのストライクゾーンをずばり射抜いた投球術には早くもエースピッチャーの風格がみなぎる。

 果たして、バンコンリーグの覇者となれるか。

カノン内装3
campingcar | 投稿者 町田編集長 12:14 | コメント(0)| トラックバック(0)

アーデンショート

 現在のキャブコンシーンにおいて、最も元気のいいメーカーとしてAtoZ (エートゥゼット) の名前を挙げることに異論のある人はほとんどいないだろう。

 なにしろ 「アミティ」 の快進撃は、誰の目から見ても、はっきりくっきり!
 近年、これほど高い認知度を獲得したキャブコンというのは、他にないのではあるまいか。

 そのアミティのコンセプトを日産アトラスで再現したのが、この 「アーデンショート」 。
 AtoZとしては記念すべき新型アトラス1号車であったアーデンを、ずばりアミティサイズでやったのけたのが、このクルマだ。

アーデンショート外形1

 全長4.64m。
 ボンゴベースのアミティより、わずか4㎝長いだけ。
 逆に、幅はアミティより5㎝絞り込まれて、1.9mジャスト。

 これは、アミティで 「キャブ段差が気になる」 という声が上がっていたことに対する対応だ。
 アミティも極力幅を抑えたクルマではあるが、なにしろキャブ部自体がコンパクト。そのため、シェルのキャブ段差が多少目立ってしまう。

 それに対し、キャブ自体がボンゴより大きいアトラスで、さらにシェルをタイトに絞ったことは、このクルマに何をもたらせたか。

 何よりも、運転席からの見切りがよくなった。
 サイドミラーから後方を覗いたときの印象は、サイドパネルがほぼツライチになったため、ミニバン感覚に近づいた。
 最小回転半径4.2mという取り回しの良さと相まって、無類に扱いやすいキャブコンが誕生したわけだ。

 もちろん外形フォルムもすっきり。
 ここに来て、バンク部を美しくシェイプアップしたルーフ形状が生きてくる。
 カッコいいのだ。

 ノーズの出っ張りがないアトラスで、こういうカッコ良さを演出するというのはなかなかの手際。
 AtoZは、キャブオーバー型トラックをベースにした日本のキャブコンで、ついに新しいスタイルというもの