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ハプスブルク家

 “ハプスブルク家” がブームとなっている。
 大きな展覧会も相次いで催されているし、テレビなどでも、それにちなんだ特番をいろいろと組んでいたから、このヨーロッパ名門貴族の名前を耳にした人も多いのではなかろうか。

ハプスブルク展 オーストリア大宮殿展

 私も、気づいてみたら、昔からハプスブルク家に関する本をけっこう買っていた。
 何気なく書棚を振り向いたら、
 『ハプスブルク家の女たち』 江村洋 著
 『戦うハプスブルク家』 菊池良生 著
 『ハプスブルク家』 江村洋 著 (いずれも講談社の現代新書)
 …という3冊の本が行儀よく並んでいるのが見えた。

 “ハプスブルク” をタイトルに謳った書籍がわが家だけでも3冊あったわけだが、本屋さんにいけば、さらにたくさんのハプスブルク関連の書籍が見つかる。

 『怖い絵』 で人気作家になった中野京子さんは、 『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』 (光文社新書) を書いているし、すでに名著として評価の定まっている本としては 『エリザベート ハプスブルク家最後の皇女』 (塚本哲也 著) がある。

 この一族が、日本でも話題になるというのは、はたして、どういうことなのだろうか。
 私には、とても不思議で面白い現象であるように思える。

 なぜなら、ハプスブルク家というのは、日本人にはなかなか解りにくい存在だからだ。
 この家系は、一見 「王朝」 のようでもあるし、「大帝国の統治者」 のようにも見えるし、 「ただの貴族の一家」 のままでいるようにも見える。

 その統治する領土も、ドイツ、オーストリア、ハンガリーを中心に、ときにスペインにも及び、イタリアを領することもあり、南米まで支配権が及んでいたりと、あっちこっちに “飛び地” を持つ。

 それまでの征服国家が、少しずつ周辺の国を併合して “雪だるま式” に版図を広げていくのに対し、ハプスブルク家の版図というのは、隣りの他国を通り越して、その向こう側につながっていたりする。

 最も不思議なことは、ハプスブルク家が統治する国家の名前が決まっていないということだ。

 ハプスブルク家出身の統治者が、ときに 「オーストリア大公国」 とか 「ボヘミヤ王国」 、 「ハンガリー王国」 などの国王を兼ねることはあっても、ハプスブルク王朝は、それらの諸国家を統合する名称を持たない。

 統治者が 「神聖ローマ帝国」 の皇帝を名乗るときもあるが、神聖ローマ帝国の “皇帝” は選挙によって選出されるため、ハプスブルク家の者が選出されないかぎり、 「神聖ローマ帝国」 とも呼ばれない。

ハプスブルク家紋章
 ▲ ハプスブルク家の紋章は 「双頭の鷲」 。古代ローマ帝国の紋章でもあり、神聖ローマ帝国もこれを使った

 さらに紛らわしいのは、王様たちの名前がみんな似ていること。
 どんな時代になっても、必ずフリードリヒとか、フェルディナントとか、レオポルド、フランツ、ヨーゼフとかいう名前が登場するし、オーストリアでカール5世を名乗った王様は、スペインに渡るとカール (カルロス) 1世になったりする。

 このハプスブルク家の複雑さが、私たち日本人が見た 「西欧史」 の分かりにくさにつながっているように思う。

 そのような非常に分かりづらい “統治形態” を保ったまま、ハプスブルク家は、600年以上も、イギリス、フランス以外のヨーロッパ全域を統合する大君主国であり続け、中世以降のヨーロッパ文化の形成に大きな影響を及ぼした。

シェーンブルン宮殿

 この家の領土の広げ方には、独特の方法がある。
 それは、戦いによらない領土拡大であった。

 普通、国家が 「領土を拡大する」 という場合は戦争による奪取を意味した。
 これは、ヨーロッパにおいても、日本においても、基本的には変わらない。

 ところが、ハプスブルク家というのは、代々 「婚姻」 によって、領土を拡大していった家系なのである。

 たとえば、ハプスブルク家の王子を他国の女王と結婚させる。
 孫が生まれる。
 するとその孫が、ハプスブルク家の血筋を引く王子として、育った国を統治することになる。

 こうして、スイスの山奥に発したハプスブルク家は、ウィーンに進出し、ブルゴーニュ地方を手に入れ、ボヘミア、ハンガリーを治めるようになり、スペインにまで広がった。

 特に成功したのは、スペイン王家との婚姻だった。
 イタリアにおけるスペインの権益を守るために、スペイン王家はハプスブルク家との縁組みを申し出る。
 それは、スペイン王家に正当な後継者がいることを前提とした婚姻関係だったが、スペイン王家の縁者たちが、次から次へとバタバタと他界してしまったため、あっけないくらい簡単にハプスブルク家のものになってしまった。

 このように、「運」 も同家に味方することが多かったが、ハプスブルク家の方も、しっかりと準備を怠らなかった。
 つまり、同家の人々は、まるで “家訓” のように、政略結婚用の子供たちを多数もうけるようになっていたのである。

 フェルディナント1世と、皇后アンナの子ども (15人)
 マクシミリアン2世と、皇后マリアの子ども (16人)
 レオポルド1世と、皇后エレノア・マグダレーナの子ども (10人)
 フランツ・シュテファンと、皇后マリア・テレジアの子ども (16人)
 レオポルド2世と、皇后マリア・ルドヴィカの子ども (16人)
 フランツ2世と、皇后マリア・テレジアの子どもは (12人)
 (Wikipediaより) 

 同家における世界制覇の 「武器」 は、子どもだったのだ。
 
 カール5世の頃、ハプスブルク家の版図は最大になった。
 彼は、 「余の帝国では、太陽が没することがない」 と豪語したという。

カール5世

 それは、何も虚勢を張った暴言ではない。
 当時のスペインは、アメリカ大陸の中南米にまでその統治権を広げていたため、ヨーロッパの支配域で太陽が没しようが、地球の反対側の中南米では陽が昇っていたからだ。

 彼は、隣国のポルトガルの女王とも婚姻関係を結んだため、イベリア半島におけるハプスブルク家の勢力はなおさら磐石なものとなった。婚姻の力おそるべしといったところか。

 このような婚姻による王朝同士の結びつきは、ヨーロッパ社会に何をもたらせるようになったか。

 たぶん、この頃からヨーロッパの 「貴族文化」 というものが、ひとつの統一された様式を持ち、はっきりしたスタイルを持つものとして確立されてきたように思える。

 つまり、貴族階級というものが、一国だけで完結した階級社会を構成するのではなく、国を超えて、貴族同士が共通のメンタリティを共有するという世界ができあがってきたのである。
 そのことによって、自国の 「民」 よりも、他国の 「貴族」 の方に親近感を感じるような精神風土さえ形成されてきた。
 それが 「ヨーロッパ貴族文化の普遍性」 といわれるものである。

マリア・テレジア
 ▲ ハプスブルク家最大の女傑マリア・テレジア

 彼らは、何よりも 「血統」 を重視した。
 「血筋」 の正統性を確保するために、彼らは近親結婚や同族結婚もいとわなかった。
 スペイン系ハプスブルク家が18世紀早々に潰 (つい) えたのも、近親婚によって病弱な王たちが続いたからだともいわれている。

 当時のヨーロッパ貴族たちの病的ともいわれる 「血統」 への信仰は、われわれ日本人にはなかなか理解できない。
 
 「血を吸われる」 ことが恐怖につながる吸血鬼ドラキュラ (原作1897年) のリアリティというのは、そのようなヨーロッパ貴族階級の 「血統に対する信仰」 を理解しないと、その恐怖の根源が理解できないという説すらある。

 他家に嫁いだハプスブルク家の姫君で、一番有名なのは、フランスのルイ16世の正妃となったマリー・アントワネットかもしれない。
 彼女は、ハプスブルク家きっての女傑といわれたマリア・テレジアの11女であったが、ヨーロッパ貴族文化の最盛期に誕生し、同時に、その終焉の形をも体現した女性ともなった。

マリー・アントワネット

 彼女がフランス王家に嫁いだ時代、ヨーロッパ貴族階級の没落を物語る市民階級の台頭が始まっていた。
 オーストリア帝国が、フランス革命に介入しようとしたのは、ハプスブルク家の姫君であるマリー・アントワネットを救出せんがためであったが、同時に、貴族の存在を脅かす 「市民」 が誕生したことへの恐怖からでもあった。

 時代の激しい変遷を経験しながら、それでもハプスブルク家は20世紀まで存続する。

 フランスやロシアの王権には、革命によって王族の一族が処刑されるという末路が待っていたが、ハプスブルク家にはそのような悲劇は訪れなかった。

 最後の皇帝フランツ・ヨーゼフは、後継者として育てた王子が自殺するという悲哀を味わい、さらにその次の後継者として目した甥が暗殺されるという悲劇に見舞われながら、彼自身は 「名君」 と仰がれたまま86歳まで生きて、病没した。

フランツ・ヨーゼフ

 フランスのブルボン王朝やロシアのロマノフ王朝が、 「事故死」 のような終焉を迎えたのに比べ、ハプスブルク家の終焉は 「老衰」 のようなものであったかもしれない。

 最後の君主フランツ・ヨーゼフは、ロシアのニコライ2世家族が処刑される2年前に逝去し、600年以上ヨーロッパに君臨した華やかな一族の幕を下ろした。


コラム&エッセイ | 投稿者 町田編集長 21:57 | コメント(0)| トラックバック(0)
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