町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

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勝間和代さん分析

 勝間和代さんの大ブレークである。
 本屋に行って驚いた。
 入口の1角がすべて 「勝間和代コーナー」 になっていて、平積み、棚差しともに、こぼれんばかりの勢いで勝間本が並んでいた。

 それにしても種類が多いな…と思って、よく見たら、
 「勝間和代さん推薦の1冊」
 と帯に銘打った、勝間さん以外の著者によるビニネス書や自己啓発本もやたらと並んでいるのだ。

 なるほど。
 カリスマのカリスマたるゆえんだな。
 今や 「勝間和代」 という名前さえ付いていれば、ほとんどの “知的商品” は売れて行くらしい。 

 で、この人いったい 「何者」 なのか。
 ちょっと興味が湧いて、1冊買ってしまった。
 単行本ではなく、ムックだけど、 「AERA Mook」 の 『まねる力』 というやつ。

AERAまねる力表紙

 一度テレビの討論番組に出ていたお姿を拝見することがあって、私は長いこと、勝間さんのことを硬派の経済ジャーナリストだと思っていた。
 しかし、書店に並んでいる彼女の本のタイトルを見ていると、自己啓発系の雰囲気があって、結局は 「こうすれば元気が出る!」 ってなことを知的に解説する人なんだな…と思って、その後は気にもとめなかった。

 しかし、これだけ書店さんもプッシュしているということは、お金を出しても、しっかり満足できるなにがしかの情報を読者に与えてくれる人に違いない……と、まずは思うではないか。
 で、ついに 『まねる力』 を手にとって、レジに向かう気になった。

 買った足で、 『ガスト』 に入り、ハンバーグ&目玉焼きプレートとライスを注文して、読み始めた。

 このムック、基本構成は対談集なのだが、冒頭に、
 「 『まねる力』 が人生を変え、日々を豊かにし、私たちを幸せにする」
 というタイトルの書き下ろしのエッセイがあった。
 この人の主張の骨子を知るにはちょうどよい。

 エッセイ自体は短いものだったので、ハンバーグのプレートが運ばれる前に読み終えてしまったのだけれど、この人がなぜウケるのかという秘密は、そこですでに全開だった。


 「憧れのあの人に、少しでも近づきたい」
 「あの人の、こんな素敵なところを身につけたい」
 …… (中略) ……こう思うことが、成長の原動力であり、学習の動機となり、新しいことを身につける力となる。

 というのが導入部である。

 なるほど。
 とは思ったけれど、別に目新しいことを言っているわけではない。
 ただ、
 「まねる力とは学習能力であり、別の言い方をすると “コピー&ペースト能力” すなわちコピペ能力である」
 とかいう現代的な表現でまとめているところが、きょうびの読み手にはフレンドリーなのだろうと思った。

 さらに、
 「まねる力はコンピューターのソフトウェアに例えると、OSであり、人によってWindows95並みだったり、Vista並みだったりする違いが生じる」
 というような表現を駆使して、I T に親和性の高い若者層の気持ちをぐっと引きつけるのも巧み。 

 その後はアプリケーションの話をつらつらと続け、I T にうとい私なんかの世代を 「なんだかよく分かんねぇよ…」 と思わせる場所にポンと置き去りにして、手のひらを返すように、
 「インプットする部分を 『習得する力』 、プロセスの部分を 『考える力』 、アウトプットする部分を 『表現・行動する力』 と考えてみればいい」
 と、突然分かりやすい言葉でたたみかけてくる。

 それだけで、私などは、 (雰囲気として) 話全体がI T 文化の先端の知見に裏打ちされているように思えてしまう。
 このような、時の流れをつかんだ緩急自在の筆運びに、この人の人気の秘密があると見た。


 ノウハウ本とか、自己啓発書というのは、チャート化のうまさがモノをいうのだが、このエッセイでも、ほどよいタイミングで、それまでの流れを総括するようなチャート的表現が随所に出てくる。

 たとえば、
 「 『まねる力』 を分解すると、以下のプロセスになる。
 ① 何をまねたいかで、 「自分のしたいこと」 を決める。
 ② 「自分のしたいこと」 の師匠を持つことで、ロールモデルを探す。
 ③ …………」

 うんうん。
 ワイドショーのキャスターが、文字ボードの隠しシールをばりばり剥がすのを見ているかのごとく、彼女の言わんとしていることがすんなり頭に入ってくる。


 勝間人気を支えているのは、知的好奇心が高くておシャレな女性たちである。
 この書では、その支持層へのサービスも抜かりない。

 こんなくだりがある。
 「私は文章を書くのが仕事の一つですが、文章がすらすら出てくる時は、お気に入りのハーブティを飲みながら、お気に入りのパソコンで、お気に入りの音楽をかけて、お気に入りの指輪をして、その感触を楽しみながら、頭と私が打っているキーボードが一体化して、それがすべてひとつにつながった時です」

 美しくて知的な女性の 「カッコいい生活習慣」 が全開ではないか。

 だけどぉ……なんですが、文章表現においてそのようなプロフェッショナルなスキルを持っていることは感じるけれど、言っていること自体は、決して目新しいものではないのだ。
 ゴメンね…なんだけど、ちょっと退屈だった。

 「まねること」 に焦点を合わせたというのは、 「まねること = 模倣 = 二番煎じ = 創造性の欠如」 という一連の負のイメージをくつがえすところに新味を見出そうという狙いがあってのことだろうけれど、そのこと自体が、ありふれた企画でしかない。
 「模倣は創造に通じる」 というのは、もう100年も言われ続けている文学・芸術の原則論であって、テーマ設定に新しさを感じた読者もいただろうけれど、私は 「またか…」 という気分だった。

 対談に入ってからも、ゲストと波長が合っていないように思える箇所がいくつかあった。
 たとえば、分子生物学者の福岡伸一氏と、 「効率」 について語っている部分。

 福岡氏がこういう。
 「勝間さんの本が売れるのは、効率を求める人が多いからですよね。でも、効率とはいったい何かを少し考えなければいけないんじゃないか。 (中略)
 勝間本を読めば、この1週間の効率は上がるでしょう。でも、やっぱり人間はレイジーな動物なので、 (効率が) 下がることもある。長い時間軸で見れば、効果はトントンかなと」

 この発言は、世間的には 「勝ち組のための啓蒙家」 と目されている勝間さんへの若干の皮肉をこめたものであるが、これに対して勝間さんはどう反論しているか。

 「私のいう 『効率』 って誤解されていると思うんです。なぜ効率化かというと、まさしくサボるため。より短い時間で、同じだけのお金や製品を手に入れて、残りの時間をもっと家族や自分の趣味に使おうというのが基本的な発想なんです」

 このやりとりを読んだだけでも、勝間さんという人がどんな人なのか、だいたいの感じはつかめる。 
 彼女がライターを務める自己啓発書やビジネス書が売れるわけである。
 「人は何のために効率を求めるのか」
 という問に対して、とりあえずの万人受けする模範解答がここに提示されているからだ。

 しかし、では、効率化によって生まれた時間を使って 「家族」 や 「趣味」 とどう向き合うのか? …というと、そこまでは掘り下げられてはいない。

 サザエさん的な近代家族のモデルケースが破綻している今の時代。新しい家族像が確立されていない状況では、 「面と向き合う時間」 が生まれると困ってしまう家族だって、いるんではないか?

 …ってな問題にまで掘り下げてしまうと 「ビジネス書」 ではなくなってしまうので、優秀なビジネス書からは、みなその問題は省かれている。

 実は、さきほどの 「効率化」 をめぐる議論は、 「17年間土の中で暮らし、最後の1週間だけ地上に出て繁殖して死んでいくセミは、幸せなのか、不幸せなのか」 という、非常に興味深い議論をめぐっての応酬だったのだ。

 福岡氏は、そういうセミの “非効率な” 生き方を肯定的にとらえ、そこに人の生き方のモデルケースをさぐろうという姿勢を見せる。
 ところが、勝間さんはその議論の面白さにあまり気づかれていない様子で、微妙に話が先につながらない。

 つまり、福岡さんの方は、 「効率」 を産業社会の枠組みからいったん外して考えてみようというスタンスなのだが、勝間さんは経済ジャーナリストらしく、産業社会の枠組みの中における 「効率」 にこだわる。
 そのため、
 「効率化した方が、 (生物としての人間が) 生き残りやすい、お金が儲かりやすいということだったと思うんですけど…」
 という感じで、議論がスベってしまい、福岡氏と噛み合わない。


 勝間さんは公認会計士を出発点に、経営コンサルタント、証券アナリストなどで成功を収めた後、経済ジャーナリストになられた方だという。
 そのせいか、市場分析とか、企業の技術革新、雇用問題などについてはものすごく知識も深いし、研究欲も伝わってくる。

 しかし、得てしてこういう人は、
 「貨幣経済の浸透は、人間の感性をどう変えたか?」
 ってな人文系の問題設定…つまり文学とか人類学とか哲学の専門領域の話になると、ついついナイーブさを露呈してしまう。

 姜尚中さんとの対談中の一言。

 【勝間】 私、 「お金は感謝の表れ」 と呼んでるんですけれども、相手から感謝してもらわない限り絶対もらえない。それなりの社会貢献がないと継続的にお金は集まらない。

 企業経営者たちを集めた講演会などでこういう考え方を披露すると、かなり賛同を得られそうな発言だけど、私個人は、こういう “社会常識” を気の利いた修辞でくるんで、スピーチに使えそうな 「決め文句」 に仕立てる人に、ちょっと距離感を抱いてしまう。
 あまり得々と披露するような話ではないのではないか。当たり前のことすぎて。

 これは、 「プロフェッショナルたるものの自覚」 というようなことを、少し言葉を変えて言っているに過ぎず、原稿料で稼いでいる人たちだったら、そっと胸にしまっておけばいいだけの話だと思う。

 それよりも、物書きならば、 「お金は社会貢献への対価だ」 という心理がどのようにして生まれてきたのか。
 また、どうしてそれが 「常識」 のように定着してしまったのか。
 それを問うべきではなかろうか。
 一般に 「エコノミスト」 といわれる人たちは、そのへんの突っ込みが不足しているように感じる。

 …と、まぁ、ちょっとそんな印象を持ったわけだけど、この対談集を最後まで読み終えたわけでもなく、勝間さんの他の著作を読んだわけでもないので、理解が浅かったり、誤解があるかもしれない。

 勝間さんの著作や言動にもう少し接近し、「やっぱり彼女素晴らしいな」 と思えたら、そのときはまた正直にそう書くつもり。

 とりあえず、いろいろなことを考えさせてくれたこの企画には感謝。


音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 15:13 | コメント(6)| トラックバック(0)
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コメント
書店では勝間和代本、かなり目立つところに積んでありますね。

ヒットしている理由は

1.名前が分かりやすい ※犬山イヌコっぽい
2.顔がハッキリしている ※町ですれ違ったら気が付く
3.書籍のキャッチフレーズが良い ※コレで半分騙される

人生も後半戦の人には分かりきってる事なんでしょうけれど、社会に出たばかりのヒヨッコには有難い情報なんでしょうね。
投稿者 うしちゃん 2009/07/17 08:59
>うしちゃん様、ようこそ。

面白い分析、勉強になりました。
確かに、名前がいいですねぇ、彼女の場合。
一番最初に「勝」 が来る。「勝ち組で行くぞぉー!」という気合を感じさせます。

しかも、犬山イヌコっぽく、もう一度 「カズ」 が来る。
これはアタマに強拍を置く4分の2拍子で、まさにマーチ(行進曲)のリズムなんです。
イケイケドンドンのノリがあって、やる気を出そうというときに、ぴったりの著者名かもしれません。

顔がハッキリしている。これもその通りですね。勝間さんは、万人が見て美人というわけでもないのでしょうけれど、個性的な美人ではあるし、それが知性を打ち出すときには、武器となっています。

書籍のキャッチフレーズもいいですね。タイトルなどみな秀逸。
『断る力』 にもドキっとしたけれど、『起きていることはすべて正しい』 なんて、超インパクトのあるタイトルで、思わず手に取ってしまいますよね。

このあたりは、編集サイドにもいい人材がいるのでしょう。

確かに、>「人生も半世紀過ぎた人たちには分かりきっているようなこと」を啓蒙している人かもしれません。
しかし、そのへんも確信犯的に、中高年読者を切って、若い人だけをターゲットにした販売戦略なのかもしれませんね。

『まねる力』 というムックのコンセプトも、若い人には新鮮かもしれません。
ある程度年取った人には、「創造は模倣から生まれる」っていうテーゼはもう“ミミダコ”なんですけれど、これはひょっとして、若い人にはすごいエクスキューズになっているのかも。

今の若い人たちは 「やれ個性的に」、「やれ独創性を持って」なんて上に言われ続けているけれど、実際に個性が突出してしまうと、浮いてしまって周りに叩かれることも知っている。

そういうときに「まねればいい」 という示唆があると、ホッとする人たちも多いのではないでしょうか。

考えてみると、なかなか戦略的です。
売れるのは、しっかりした理由があってのことなんでしょうね。
 
投稿者 町田 2009/07/17 10:53
ふう~ん。そういう本なのか。町田さん、よく見かけるようになった勝間さん本への分析、非常に興味深く読ませていただきました。
人生ハウツー物の現代版か?how to 物だから、「なんでそんなことするの」自体は問わないのかなあ?
ただ、「人文系の問題設定」は正面切ってはますます問いにくくなっていますが。。

「勝ち組の快適な死に方」とかの本も彼女はいずれ出しちゃうのかな(笑)
投稿者 Yama 2009/07/18 10:05
おもしろいですね~町田さんの分析!
町田さんの洞察力が素晴らしいので…
この本を読んでみたくなりました(笑)。
でも、
彼女の本は、おじさんには…それほどでもない!ということですから…
読まない方が効率的?ってことなのでしょうか(笑)!

投稿者 ブタイチ 2009/07/18 23:59
>Yamaさん、ようこそ。
おっしゃるように、「人文系の問題設定」 というのは、ますます面と向かって問いにくくなった時代が来ているような気もします。
しかし、これは言葉を変えていえば、そういう問題を 「面と向かわないで」 取り扱う時代になったということかもしれません。

そう考えると 『勝ち組みの快適な死に方』 という本は、(ギャグではなく) マジに、今の時代に人文系の問題設定に答える本として、アリ! という気もします。
Yamaさんの提案は、ひょっとして本当に実現しちゃうかもしれませんね。
私が勝間さんの担当編集者だったら、彼女にそれを書いてもらうために、いろいろ切り口を考えるかもしれません。

どんなにお金を蓄えても、どんな名誉に包まれようとも、それを棺おけの中に一緒に持っていくことはできません。そうなった場合、現世の「勝ち組み」とは何であるのか。それが本当に問われることになるでしょうね。

なんか面白いものができそうな気もします。
 
投稿者 町田 2009/07/20 02:13
>ブタイチさん、ようこそ。
>「読まない方が効率的…」
いつもながらのブタイチさんらしい冴えたギャグに、思わず笑ってしまいました。
現在の勝間さんの書かれているものは、ちょっと真面目すぎて、こういうユーモアのセンスを持った方には合わないかもしれませんね。

ただ、この『まねる力』という本は、勝間さんと素敵なゲストたちとの対談集なので、勝間さんとは違った考え方をする人たちの意見もいろいろ出てくるので、そこが面白いと思います。

勝間さんという方は、インタビュアーとしてはなかなかの力を持っている方です。どの対談においても、自分の意見を展開する前に、まず相手の思想、相手のキャラクターをしっかり引き出すような気配りをされています。
やはり、ジャーナリストとしてはしっかりとしたお仕事をされる方のようです。
 
投稿者 町田 2009/07/20 02:25
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