2008年07月16日
日本型RVの文化
先だって紹介した藤正巌さんの 『キャンピングカーで悠々セカンドライフ』 という本には、鴨長明の書いた 『方丈記』 の話が出てくる。

1208年、鴨長明は世の中の日常生活に疲れて、京都郊外の庵 (いおり) を建てて隠遁生活を始める。
その庵に閉じこもって、日々浮かびゆく想念を書き綴ったのが、『方丈記』 だ。
書斎となった庵の寸法は1丈4尺 (約3m四方) 。
まぁ、タタミ2畳分。
なんと平均的な国産キャンピングカーの居住面積とほぼ同じ。
藤正さんの書くところによると、この庵は、住んでいる場所に飽きたときは畳んで車に積んで運ぶこともできたのだという。
「キャンピングカーの走りだ」
と、藤正さんは書く。
日本人は、もともと狭い空間に小宇宙を形づくることがうまい。
茶室などという発想もそのひとつ。
信長、秀吉の時代に、千利休が完成させた茶室形式は、主人と客人だけで構成される小宇宙だった。
そこに入ると、身分的な上下関係も、富の多寡も 「無」 に帰る。
主人と客は、それぞれ人間の原点に帰って、一服の茶だけを楽しむ。
そのときに振る舞われる茶碗一杯の茶は、絢爛豪華に食卓を彩るどんなご馳走よりも格が上だった。
こういう洗練された空間というのは、どうも海外では発展して来なかったらしい。
日本人のキャンピングカーづくりというのは、こういう庵や茶室の文化を反映したものだ、と言った人がいた。
たとえば、軽自動車キャンピングカーなどというのは、まさにその庵・茶室文化の極地。
軽キャンカーでは、あんなに小さい空間の中に、人間の心を解放する途方もない “広さ” が生み出されている。
それは日本人でなければ演出できないマジックショーでもある。
日本庭園にも、庵・茶室文化に通じる文化が反映されている。
そこには、小さいながらも川があり、山があり、滝があり、森や林がある。
つまり大自然の凝縮版なのだ。

いわば、日本人が感じた 「大宇宙」 が、日本庭園という狭い空間のなかに息づいている。
これを、たとえば、ベルサイユ宮殿の庭園などと比較してみれば文化の差が理解できる。
ベルサイユ宮殿では、建物も、植栽も見事にシンメトリー (左右対称) に配置された幾何学的な庭園が広がっている。
地平線のかなたまで続くように見える並木は、見事なまでに、高さも枝振りも均一に刈り込まれている。

それは、自然をねじ伏せて人間にひざまづかせることを覚えたヨーロッパ人たちの 「勝利宣言」 を謳いあげた庭だ。
しかし、人類の英知や偉大さをその庭園から読みとることはできても、自然の鼓動を聞くことはできない。
それに対して、日本人は手つかずの 「大自然」 を庭園に再現する。
そして、その限られたささやかな空間を使って、逆に 「大宇宙の広がり」 を暗示させる。
ここに、欧米人が日本文化をミステリアスに感じるという、その秘密が隠されている。
盆栽という日本の植栽芸術がある。
日本人の多くは、あれを 「お爺さんの趣味」 と軽くあしらう傾向があるが、あの盆栽も、どうやら欧米人が見るとミステリアスに感じられるらしい。
枝振りも見事に成長した大木が、手で持ち上げられるぐらいの小さなお盆の上で呼吸している。
遠近感が狂うらしい。

樹木は、いろいろな民族の神話のなかで、よく 「世界」 を象徴するものとして登場する。
「世界樹」 という言葉があるが、一本の木が世界そのものを意味するものとして、多くの民族の記憶の古層に沈殿している。
盆栽はその 「世界樹」 なのだ。

海外の人たちは、日本の盆栽を見て、自分たちの記憶の古層に眠っていた 「世界樹」 を思い出す。
「大宇宙」 を極小の世界に封じ込める日本人。
そういう日本人の感性は、彼らからすれば、なんとミステリアスで、ファンタジックなことか。
日本のキャンピングカーには、そういう日本文化の真髄が宿っている。
この秋、世界のキャンピングカー業者が集まるという 「RV世界会議」 がドイツで開かれる。
日本のキャンピングカーに息づいている日本の文化を、海外の人に知ってもらうよいチャンスだと思う。
1208年、鴨長明は世の中の日常生活に疲れて、京都郊外の庵 (いおり) を建てて隠遁生活を始める。
その庵に閉じこもって、日々浮かびゆく想念を書き綴ったのが、『方丈記』 だ。
書斎となった庵の寸法は1丈4尺 (約3m四方) 。
まぁ、タタミ2畳分。
なんと平均的な国産キャンピングカーの居住面積とほぼ同じ。
藤正さんの書くところによると、この庵は、住んでいる場所に飽きたときは畳んで車に積んで運ぶこともできたのだという。
「キャンピングカーの走りだ」
と、藤正さんは書く。
日本人は、もともと狭い空間に小宇宙を形づくることがうまい。
茶室などという発想もそのひとつ。
信長、秀吉の時代に、千利休が完成させた茶室形式は、主人と客人だけで構成される小宇宙だった。
そこに入ると、身分的な上下関係も、富の多寡も 「無」 に帰る。
主人と客は、それぞれ人間の原点に帰って、一服の茶だけを楽しむ。
そのときに振る舞われる茶碗一杯の茶は、絢爛豪華に食卓を彩るどんなご馳走よりも格が上だった。
こういう洗練された空間というのは、どうも海外では発展して来なかったらしい。
日本人のキャンピングカーづくりというのは、こういう庵や茶室の文化を反映したものだ、と言った人がいた。
たとえば、軽自動車キャンピングカーなどというのは、まさにその庵・茶室文化の極地。
軽キャンカーでは、あんなに小さい空間の中に、人間の心を解放する途方もない “広さ” が生み出されている。
それは日本人でなければ演出できないマジックショーでもある。
日本庭園にも、庵・茶室文化に通じる文化が反映されている。
そこには、小さいながらも川があり、山があり、滝があり、森や林がある。
つまり大自然の凝縮版なのだ。
いわば、日本人が感じた 「大宇宙」 が、日本庭園という狭い空間のなかに息づいている。
これを、たとえば、ベルサイユ宮殿の庭園などと比較してみれば文化の差が理解できる。
ベルサイユ宮殿では、建物も、植栽も見事にシンメトリー (左右対称) に配置された幾何学的な庭園が広がっている。
地平線のかなたまで続くように見える並木は、見事なまでに、高さも枝振りも均一に刈り込まれている。
それは、自然をねじ伏せて人間にひざまづかせることを覚えたヨーロッパ人たちの 「勝利宣言」 を謳いあげた庭だ。
しかし、人類の英知や偉大さをその庭園から読みとることはできても、自然の鼓動を聞くことはできない。
それに対して、日本人は手つかずの 「大自然」 を庭園に再現する。
そして、その限られたささやかな空間を使って、逆に 「大宇宙の広がり」 を暗示させる。
ここに、欧米人が日本文化をミステリアスに感じるという、その秘密が隠されている。
盆栽という日本の植栽芸術がある。
日本人の多くは、あれを 「お爺さんの趣味」 と軽くあしらう傾向があるが、あの盆栽も、どうやら欧米人が見るとミステリアスに感じられるらしい。
枝振りも見事に成長した大木が、手で持ち上げられるぐらいの小さなお盆の上で呼吸している。
遠近感が狂うらしい。
樹木は、いろいろな民族の神話のなかで、よく 「世界」 を象徴するものとして登場する。
「世界樹」 という言葉があるが、一本の木が世界そのものを意味するものとして、多くの民族の記憶の古層に沈殿している。
盆栽はその 「世界樹」 なのだ。
海外の人たちは、日本の盆栽を見て、自分たちの記憶の古層に眠っていた 「世界樹」 を思い出す。
「大宇宙」 を極小の世界に封じ込める日本人。
そういう日本人の感性は、彼らからすれば、なんとミステリアスで、ファンタジックなことか。
日本のキャンピングカーには、そういう日本文化の真髄が宿っている。
この秋、世界のキャンピングカー業者が集まるという 「RV世界会議」 がドイツで開かれる。
日本のキャンピングカーに息づいている日本の文化を、海外の人に知ってもらうよいチャンスだと思う。

邪魔されない広さが必要だと思っています。
寝返りをうったときにぶつからないとか
足を十分に伸ばせるとか・・・
後は夢の世界。安眠の宇宙空間入りです。
180からあると国産車で探すのは大変ですが
今のフレンデイは120×195cmはあるので
キャンピングカーより広いくらいです(笑)
使う側も、盆栽をいじり庭いじりするがごとく、キャンピングカーを自分の内的な表現の場として日々手間をかけている、となってますし。
日本人なりのキャンピングカー文化を醸成するためにいいヒントになりそうです。
その通りですね。寝たときの快適性。それ抜きにキャンピングカーは語れませんね。
180だと、確かにちょっとベッドが狭いと思える国産キャンピングカーはたくさんありますね。
私なんかは170未満ですから、今のクルマだとダイネットを壊さずとも、足だけサイドソファに伸ばせばそのまま寝られてしまいます。
「足が短い」…という表現も可能なんですけど。
日本のキャンピングカーって、確かに盆栽いじり、庭いじりの感覚でちょくちょく手を加えるのが楽しいところがありますよね。
なるほど。そういう使う側の視点からみた「日本文化」っていう捉え方もあったか…。
いや、勉強になります。
夏休みの九州旅行、楽しみですね。
私も二度ほど出かけています。ただ、ノンストップはちょっと忙しいかも。途中 “半泊” ぐらいの仮眠を挟むと元気に行けるかもしれませんね。
九州、確かにノンストップは厳しいですね、ブログのぞいていただいた上にアドバイスまでいただき感謝感激でございます!
雷さんのブログは、いつも拝見しています。
キャンピングカー業界の情報を取り込むのも早いですよね。ウィネベーゴ社のことも雷さんのブログではじめて知りました。勉強になりますよ。
九州は面白いです。南の方に行けば行くほどのんびりします。食べ物の味つけは(醤油、味噌など)はちょっと甘めですが、おいしい料理も多いです。