2008年07月14日
初心者向け新刊書
キャンピングカーをテーマにした初心者向けの新刊書が相次いで刊行されるようになった。
大手出版社も、「この分野にマーケットあり」 と読むようになったのかもしれない。
このたび出された本は文藝春秋社から。
タイトルは 『キャンピングカーで悠々セカンドライフ』 。

著者は、『ウェルカム・人口減少社会』 や 『人口減少社会の設計』 (共著) などの執筆者として知られる藤正巌 (ふじまさ・いわお) さん。
人工心臓、生体の赤外線計測など医用先進技術の研究を続けてこられた方で、通産省、厚生省などの国家的プロジェクトにも参画された科学者だ。
1937年生まれ。現在71歳。
キャンピングカーを買われたのは5年ほど前だという。
藤正さんは、ある日奥さんから 「犬を乗せて寝泊まりするクルマを買いましょう」 と提案されたことをきっかけにキャンピングカーに興味を持つようになる。
この本は、その藤正さんが、キャンピングカーを買って、使って、感心して、自分流の使い方を編み出していくまでの “体験記” を綴ったものだ。
目線は徹底的に 「ユーザー目線」。
著者が購入されたのは5m×2mの標準的国産キャブコン (写真で見るとバンテックのレオ) だが、それでも乗用車しか知らなかった藤正さんから見れば “異色の乗り物” 。
果たして安全に運転できるのだろうか。
野外で寝泊まりするのは怖くないだろうか。
装備類をうまく使いこなせるだろうか。
そういう購入前の不安や疑問を正直に告白し、実際に使ってみたときの感想を述べるというスタイルは、まさに今キャンピングカーの購入を検討している人が一番欲しがっている情報かもしれない。
タイトルから分かるように、この著作は、シニアである著者が自分と同じ世代に向けて、キャンピングカーの面白さと効用を伝えようとした本である。
そういった意味では、06年に山本馬骨さんが出された 『くるま旅くらし心得帖』 と似ているかもしれない。
どちらも、シニア夫婦が 「くるま旅」 を始める時の入門書として最適であるが、山本馬骨さんの 『くるま旅くらし心得帳』 が1ヶ月から2ヶ月という長期旅行のノウハウを詳しく述べているのに対し、この藤正さんの本は、どちらかという 「日帰り派」 。
長旅の記録もあるが、基本的には、日帰りあるいは1~2泊程度の短いサイクルにおけるキャンピングカーの使い方が中心となる。
また、馬骨さんが常に新しい情報と刺激を求めて、未知の観光地にも積極的に繰り出そうとするのに比べ、藤正さんの方は、同じ場所にとどまりながら、四季の変化を楽しもうとする傾向が強い。
両者の違いは、「旅」 というものの捉え方の違いから来る。
山本馬骨さん流に言うと、
「キャンピングカーで旅する目的は出会いにあり、新しい風景や地元の人たちと接して感動を得ること」
となる。
一方、藤正さんには、
「キャンピングカーは日常であり、異次元の空間に行くものではない」
という思いがある。
だから、藤正さんは、
「通る道は何本かの決まった道、行く先はいつもの日帰り温泉」
というように、「日頃一回りする自宅周辺の散策路といった雰囲気で」 キャンピングカーを使っている。
なぜなら、藤正さんにとってキャンピングカーは 「自宅の延長」 であり、最も大切なことは、自分と奥さんと犬がいつも快適に過ごせること。
そうなれば、苦労が待ち受けているかもしれない見知らぬ場所に出向くよりも、気に入った場所で、何の不安もなく快適な時間を過ごすことの方が大事ということになる。
というわけで、この本の後半には、藤正さんのお気に入りのキャンプ場、お気に入りの温泉、お気に入りのレストラン、お気に入りのドライブコースなどが紹介されている。
それを読むと、未知の旅先にチャレンジすることも面白いが、気に入った場所を見つけ、そこで快適な時間と空間をしっかり確保することもキャンピングカーの賢い使い方のように思えてくる。
執筆活動を生活の根幹に置いている藤正さんにとって、キャンピングカーは、そこにパソコンや資料を持ち込んで仕事をする 「書斎」 でもある。
「キャンピングカーが日常的な空間」 だという意識は、そんなところからも生まれているかもしれない。
しかし、そういうスタイルを確立するまでには、当然いろいろな試行錯誤があった。
面白いのは、キャンピングカーが納車されてから、まずは自分の駐車場で車中泊を試みるくだり。
「ベッドで寝て体が痛くならないのか」 、 「外の物音はどの程度聞こえるのか」 、 「夜間、外からはどう見えるのか」
わざわざ着替えを持ち込み、奥さんと2人で試されている。
その初々しさに、ベテランユーザーは思わず微苦笑を浮かべるかもしれないが、未経験の人にとっては、確かに 「気になって仕方がない」 ところだ。
また、日帰り旅行を繰り返していた理由も、
「キャンプ場になかなか行かなかったのは、見知らぬ土地で、誰も管理者がいないような場所で夜を明かすことに漠然とした不安を感じていたからだ」
と正直に述べられている。
こういう “ウブな目線” が本書の大きな魅力だ。
この本は、いわばベテランが忘れてしまった事例をたくさん挙げることで、逆に 「キャンピングカーを手に入れた最初の感動」 が何であるかも伝えている。
初心者向きの入門書としては、今年の2月に出された渡部竜生さんの 『キャンピングカーって、本当にいいもんだよ!』 がある。
もし合わせて読む機会があれば、キャンピングカーの基礎知識は完璧に得られることになるだろう。
渡部竜生さんの本は、この道のプロが書かれただけあって、整理も行き届いていて読みやすい。
初心者が知りたがることをしっかり体系立ててから作られた本なので、キャンピングカーの本質がチャートのように簡潔明瞭に浮かび上がってくる。プロのライターの手際よさが光る本だ。
それに比べると、この藤正さんの本は、体系性に欠けるかもしれない。
しかし、そこが 「味」 となっている。
つまり、エッセイのような味わいが漂う。
藤正さんは、少子高齢化社会の到来をむしろ 「チャンス!」 と捉える主張の持ち主。
「少子高齢化が、医療体制や年金制度を危うくするというのは、大量生産・大量消費を前提とした既得権者たちのロジックで、本質を見ていない。
だから、少子高齢化をネガティブに捉えるのではなく、むしろ居住空間や余暇などの質的充実を図る良いチャンスだと考えないといけない」
そういう著者の思想は、この本の中でもところどころに顔を出す。
「日本は世界で最初に超高齢化国家になることは間違いない。しかも世界一の長寿国でもある。
定年を65歳で迎えたとしても、あと20年の余命が残る。大半の人はその半分の75歳までは元気で、ほとんど病気すらしない。
だから私は、本当の自由とは、中高年になってから手に入ると考えるようになった。キャンピングカーを使うのは、その一つの手段である」
この本の終わりは、そういう言葉で締められている。
2008年7月10日初版発行 文藝春秋社 刊 1,500円
関連記事 オススメ本!
(山本馬骨 著 『くるま旅くらし心得帳』 )
関連記事 キャンカー入門書
(渡部竜生 著 『キャンピングカーって、本当にいいもんだよ!』 )
大手出版社も、「この分野にマーケットあり」 と読むようになったのかもしれない。
このたび出された本は文藝春秋社から。
タイトルは 『キャンピングカーで悠々セカンドライフ』 。
著者は、『ウェルカム・人口減少社会』 や 『人口減少社会の設計』 (共著) などの執筆者として知られる藤正巌 (ふじまさ・いわお) さん。
人工心臓、生体の赤外線計測など医用先進技術の研究を続けてこられた方で、通産省、厚生省などの国家的プロジェクトにも参画された科学者だ。
1937年生まれ。現在71歳。
キャンピングカーを買われたのは5年ほど前だという。
藤正さんは、ある日奥さんから 「犬を乗せて寝泊まりするクルマを買いましょう」 と提案されたことをきっかけにキャンピングカーに興味を持つようになる。
この本は、その藤正さんが、キャンピングカーを買って、使って、感心して、自分流の使い方を編み出していくまでの “体験記” を綴ったものだ。
目線は徹底的に 「ユーザー目線」。
著者が購入されたのは5m×2mの標準的国産キャブコン (写真で見るとバンテックのレオ) だが、それでも乗用車しか知らなかった藤正さんから見れば “異色の乗り物” 。
果たして安全に運転できるのだろうか。
野外で寝泊まりするのは怖くないだろうか。
装備類をうまく使いこなせるだろうか。
そういう購入前の不安や疑問を正直に告白し、実際に使ってみたときの感想を述べるというスタイルは、まさに今キャンピングカーの購入を検討している人が一番欲しがっている情報かもしれない。
タイトルから分かるように、この著作は、シニアである著者が自分と同じ世代に向けて、キャンピングカーの面白さと効用を伝えようとした本である。
そういった意味では、06年に山本馬骨さんが出された 『くるま旅くらし心得帖』 と似ているかもしれない。
どちらも、シニア夫婦が 「くるま旅」 を始める時の入門書として最適であるが、山本馬骨さんの 『くるま旅くらし心得帳』 が1ヶ月から2ヶ月という長期旅行のノウハウを詳しく述べているのに対し、この藤正さんの本は、どちらかという 「日帰り派」 。
長旅の記録もあるが、基本的には、日帰りあるいは1~2泊程度の短いサイクルにおけるキャンピングカーの使い方が中心となる。
また、馬骨さんが常に新しい情報と刺激を求めて、未知の観光地にも積極的に繰り出そうとするのに比べ、藤正さんの方は、同じ場所にとどまりながら、四季の変化を楽しもうとする傾向が強い。
両者の違いは、「旅」 というものの捉え方の違いから来る。
山本馬骨さん流に言うと、
「キャンピングカーで旅する目的は出会いにあり、新しい風景や地元の人たちと接して感動を得ること」
となる。
一方、藤正さんには、
「キャンピングカーは日常であり、異次元の空間に行くものではない」
という思いがある。
だから、藤正さんは、
「通る道は何本かの決まった道、行く先はいつもの日帰り温泉」
というように、「日頃一回りする自宅周辺の散策路といった雰囲気で」 キャンピングカーを使っている。
なぜなら、藤正さんにとってキャンピングカーは 「自宅の延長」 であり、最も大切なことは、自分と奥さんと犬がいつも快適に過ごせること。
そうなれば、苦労が待ち受けているかもしれない見知らぬ場所に出向くよりも、気に入った場所で、何の不安もなく快適な時間を過ごすことの方が大事ということになる。
というわけで、この本の後半には、藤正さんのお気に入りのキャンプ場、お気に入りの温泉、お気に入りのレストラン、お気に入りのドライブコースなどが紹介されている。
それを読むと、未知の旅先にチャレンジすることも面白いが、気に入った場所を見つけ、そこで快適な時間と空間をしっかり確保することもキャンピングカーの賢い使い方のように思えてくる。
執筆活動を生活の根幹に置いている藤正さんにとって、キャンピングカーは、そこにパソコンや資料を持ち込んで仕事をする 「書斎」 でもある。
「キャンピングカーが日常的な空間」 だという意識は、そんなところからも生まれているかもしれない。
しかし、そういうスタイルを確立するまでには、当然いろいろな試行錯誤があった。
面白いのは、キャンピングカーが納車されてから、まずは自分の駐車場で車中泊を試みるくだり。
「ベッドで寝て体が痛くならないのか」 、 「外の物音はどの程度聞こえるのか」 、 「夜間、外からはどう見えるのか」
わざわざ着替えを持ち込み、奥さんと2人で試されている。
その初々しさに、ベテランユーザーは思わず微苦笑を浮かべるかもしれないが、未経験の人にとっては、確かに 「気になって仕方がない」 ところだ。
また、日帰り旅行を繰り返していた理由も、
「キャンプ場になかなか行かなかったのは、見知らぬ土地で、誰も管理者がいないような場所で夜を明かすことに漠然とした不安を感じていたからだ」
と正直に述べられている。
こういう “ウブな目線” が本書の大きな魅力だ。
この本は、いわばベテランが忘れてしまった事例をたくさん挙げることで、逆に 「キャンピングカーを手に入れた最初の感動」 が何であるかも伝えている。
初心者向きの入門書としては、今年の2月に出された渡部竜生さんの 『キャンピングカーって、本当にいいもんだよ!』 がある。
もし合わせて読む機会があれば、キャンピングカーの基礎知識は完璧に得られることになるだろう。
渡部竜生さんの本は、この道のプロが書かれただけあって、整理も行き届いていて読みやすい。
初心者が知りたがることをしっかり体系立ててから作られた本なので、キャンピングカーの本質がチャートのように簡潔明瞭に浮かび上がってくる。プロのライターの手際よさが光る本だ。
それに比べると、この藤正さんの本は、体系性に欠けるかもしれない。
しかし、そこが 「味」 となっている。
つまり、エッセイのような味わいが漂う。
藤正さんは、少子高齢化社会の到来をむしろ 「チャンス!」 と捉える主張の持ち主。
「少子高齢化が、医療体制や年金制度を危うくするというのは、大量生産・大量消費を前提とした既得権者たちのロジックで、本質を見ていない。
だから、少子高齢化をネガティブに捉えるのではなく、むしろ居住空間や余暇などの質的充実を図る良いチャンスだと考えないといけない」
そういう著者の思想は、この本の中でもところどころに顔を出す。
「日本は世界で最初に超高齢化国家になることは間違いない。しかも世界一の長寿国でもある。
定年を65歳で迎えたとしても、あと20年の余命が残る。大半の人はその半分の75歳までは元気で、ほとんど病気すらしない。
だから私は、本当の自由とは、中高年になってから手に入ると考えるようになった。キャンピングカーを使うのは、その一つの手段である」
この本の終わりは、そういう言葉で締められている。
2008年7月10日初版発行 文藝春秋社 刊 1,500円
関連記事 オススメ本!
(山本馬骨 著 『くるま旅くらし心得帳』 )
関連記事 キャンカー入門書
(渡部竜生 著 『キャンピングカーって、本当にいいもんだよ!』 )

シニアには犬連れが、多いのですよね。
うちは、年代的にはもう少し下で、50代を過ぎたばかりですが・・。
でも、もう子供は小さい頃のように、親について来ません。・・というか、もうあまり、ついて来て欲しくないのも、本音です(苦笑)
たまには、いいんですけどね・・(笑)
私達夫婦は、もともと、キャンパーだったので、キャンプ場を利用するほうが、一番、やすらぎを感じます。
道の駅やどこかの駐車場泊は、無断借用しているような罪悪感がどこかにあり、落ち着かない感じがします。
いろんな感性の人が居るし、どれが正しいとも言い切れませんが、キャンカーを持つまでの経緯が大きく、関係しているようですね。
私達は、キャンカーが来て、まだ、半年あまりなので、先輩の方々の経験談をたくさん知りたいので、その本をぜひ、読んでみたいと思います。
オートキャンプやキャンピングカー関係の資料を読み込むと、確かにシニアの犬連れは、数字的にも増えているようです。我が家もまさにそのパターンです。
で、「子供にはあまりついて来てほしくない」。
これも似たような気分です。というのは、うちのキャンピングカーが狭すぎて、図体のでかい息子が一人加わっただけで、車体が半分以下に縮まったように感じられるからです。
息子と一緒に旅するときはカミさん抜きですね。
>「キャンプ場を利用するほうが、一番やすらぎを感じる…」
これも同感です。やっぱ陽差しが強い日は、オーニングの下でくつろぎたい。そういうことを可能にするのも、キャンプ場ならではです。
>「いろんな感性の人がいるから、どれが正しいとも言い切れない…」。
これもまさにその通りですね。とにかく多趣味の人たちをみな満足させるというところに、キャンピングカーの魅力と面白さがあるんでしょうね。
ウチは犬もいなければ、オットはインドア派なのですが、
町田さんのブログを拝見するようになってから、
私はキャンピングカーに引き込まれていっているような・・・
どうしたものか?
キャンピングカーというのは、根っからのアウトドアマンよりも、逆にインドアに首の根っこまで浸かっていたような人の方が、実際に手に入れたときの感激が大きいのではないでしょうか。
大丈夫です!
犬がいなくても、ご主人様がインドア派でも、それこそキャンピングカーユーザーの資格大有りです。
私なんかも、部屋の中でパソコンゲーム、音楽、読書、ビデオ鑑賞なんかに明け暮れていた完璧インドア派でした。
でも、オーニングの下で、芝生サイトの上で戯れる木漏れ日なんかを見つめているうちに、読書や音楽鑑賞といったインドア世界も同時に広がっていくのが分かりました。
早い話、聴く音楽でも、自然の中で聴く場合は、アコースティックなナチュラルな音が心地よいという感覚もつかめるようになりました。
「世界」が広がりますよぉ!
ぜひお試しあれ。