2008年06月25日
再びラスベガス
《 モーターホームでアメリカを走る 14 》
喧噪と倦怠の街、ラスベガスに戻る。
自由の女神、エッフェル塔、ピラミッドとスフィンクス。
街を埋めるあらゆるものが、観光と歓楽のためのオブジェとして捧げられたこの街は、グランドキャニオンやモニュメントバレーのような自然とは対極にある。

しかし、不思議だ。
どこか似ている。
この街に帰ってきて、そう思う。
大自然の造山運動や、大地の侵食過程の結果に生まれてきたグランドキャニオンやモニュメントバレーと、人間の歓楽への欲求を具現化したラスベガスの街が似ているなんて。
自分でも妙に思う。
でも、両者の周囲を吹き抜ける風には、どこか共通した匂いがある。
どちらも 「無意味」 の極北に位置するからだろう。
もちろん、モニュメントバレーのような自然が創り出したオブジェは、それがどんなに人間の造形するアートを連想させようが、その 「形」 自体には意味がない。
でも、ラスベガスの中心街を飾る自由の女神やエッフェル塔のイミテーションだって、結局は同じようなものなのだ。
それらは、観光客の目を引く “看板” としてスタートしながらも、その巧緻を尽くす造り込みを進めるうちに、本来の意味を失っていく。
夜ともなれば、この街では、それらのイミテーションが強烈なライトに煽られて、人々を幻想空間に引きづり込む。

そこにあるのは、ただの不思議な運動をする光りの渦。
スフィンクスも、ピラミッドも、自由の女神も、エッフェル塔も、そのオリジナルの意味から限りなく逸脱した 「無意味なモニュメント」 として、華麗なライトショーを構成する 「一要素」 でしかなくなる。
エッフェル塔のように見ようと思えば、見える塔。
自由の女神のように見えなくもない立像。
それって、モニュメントバレーの奇岩と同じじゃない?
モニュメントバレーの岩山には、人の手によって彫り込まれた無数の 「レリーフ」 があるように思えたし、グランドキャニオンには、「寺院」 が建立されているように見える峰があった。

どこが違うというのか。
ともに、
「そう思えば、そういうふうに見えるなぁ…」
という幻想としてしか存在しない。
自然が、限りなく人工物に近づいたモニュメントバレーの光景と、人工のオブジェが、その意味を失って自然に戻っていくラスベガス。
その二つを同時に見られたことが、このグランドサークルの旅を味わい深いものにしてくれた。
本来対極にあるものが、ともに強力な磁力を帯びて、超高速で接近しあう魔法の地。
このダイナミズムこそ、アメリカ西南部の旅の醍醐味かもしれない。
(終)
喧噪と倦怠の街、ラスベガスに戻る。
自由の女神、エッフェル塔、ピラミッドとスフィンクス。
街を埋めるあらゆるものが、観光と歓楽のためのオブジェとして捧げられたこの街は、グランドキャニオンやモニュメントバレーのような自然とは対極にある。
しかし、不思議だ。
どこか似ている。
この街に帰ってきて、そう思う。
大自然の造山運動や、大地の侵食過程の結果に生まれてきたグランドキャニオンやモニュメントバレーと、人間の歓楽への欲求を具現化したラスベガスの街が似ているなんて。
自分でも妙に思う。
でも、両者の周囲を吹き抜ける風には、どこか共通した匂いがある。
どちらも 「無意味」 の極北に位置するからだろう。
もちろん、モニュメントバレーのような自然が創り出したオブジェは、それがどんなに人間の造形するアートを連想させようが、その 「形」 自体には意味がない。
でも、ラスベガスの中心街を飾る自由の女神やエッフェル塔のイミテーションだって、結局は同じようなものなのだ。
それらは、観光客の目を引く “看板” としてスタートしながらも、その巧緻を尽くす造り込みを進めるうちに、本来の意味を失っていく。
夜ともなれば、この街では、それらのイミテーションが強烈なライトに煽られて、人々を幻想空間に引きづり込む。
そこにあるのは、ただの不思議な運動をする光りの渦。
スフィンクスも、ピラミッドも、自由の女神も、エッフェル塔も、そのオリジナルの意味から限りなく逸脱した 「無意味なモニュメント」 として、華麗なライトショーを構成する 「一要素」 でしかなくなる。
エッフェル塔のように見ようと思えば、見える塔。
自由の女神のように見えなくもない立像。
それって、モニュメントバレーの奇岩と同じじゃない?
モニュメントバレーの岩山には、人の手によって彫り込まれた無数の 「レリーフ」 があるように思えたし、グランドキャニオンには、「寺院」 が建立されているように見える峰があった。
どこが違うというのか。
ともに、
「そう思えば、そういうふうに見えるなぁ…」
という幻想としてしか存在しない。
自然が、限りなく人工物に近づいたモニュメントバレーの光景と、人工のオブジェが、その意味を失って自然に戻っていくラスベガス。
その二つを同時に見られたことが、このグランドサークルの旅を味わい深いものにしてくれた。
本来対極にあるものが、ともに強力な磁力を帯びて、超高速で接近しあう魔法の地。
このダイナミズムこそ、アメリカ西南部の旅の醍醐味かもしれない。
(終)

もう、(終)なのですか。
貴重な体験ですし、第一、とっても面白かったですよ。
本にされたら如何でしょう。
私、買わせていただきますが。
いつもお読みいただいてありがとうございます。
一応、日記風に綴った本編はこれで終えようと思います…少々長く引っ張りすぎたので…(笑)。
あとは、不定期に 「番外編」 を載せていくつもりです。
旅先で生じた断片的な出来事や考えたことなど、日記風に綴れなかったヨタ話を思い出しながら書くつもりです。
本の話は、今のところまったく考えておりません。
ただ、そう言ってくださるだけで、とてもありがたく思います。