2008年06月24日
旅の最後の晩餐
《 モーターホームでアメリカを走る 13 》
モーターホームでRVパークに泊まる最後の晩を迎えた。
「Zion River Resort (ザイオン・リバー・リゾート)」
ここに到着したのは、現地時間の10時を過ぎた頃だった。
しんと静まり返った場内にモーターホームを乗り入れるのは、ちょっと勇気がいる。
サイトにたどり着くまでのエンジン音。ドアの開閉の音。
それだけでも 「うるさい」 と感じる人は、世の中のどこにでもいる。
アメリカのRVリゾートで感じたことは、夜が更けると、クルマの外に出ている人がほとんどいないということだ。
車内がそのまま 「家屋」 のように使えるアメリカンモーターホームの場合、野外で調理したり食事したりする必要がない。
この 「ザイオン・リバー・リゾート」 も、場内を歩く人影がまったく見えなかった。
どのサイトもほぼ満杯だったが、お客たちは室内でテレビなど見ているのか、明かりは漏れてきても、人のうごめく気配が感じられない。

▲ アメリカのRVパークというより、どこかヨーロッパ的な落ち着きを感じさせる 「ザイオン・リバー・リゾート」 。
標識から分かるとおり、ここにはテントキャンプも受け付ける 「キャンプグランド」 も併設されている。
レイトチェックインとなったが、管理人がオフィスに残っていたため、サイトを指定してもらうことができた。
だが、そのサイトがなかなか見つからない。
…あとで気づいたことだが、サイト番号が縁石上に小さくペイントされているだけなので、見逃してしまったのだ。
クルマのエンジンを止めて、歩いて探す。
人気のない場内に、サイトを探し回っているわれわれの靴音が響く。
とたんに、周囲のモーターホームから、体格の良い男たちがバラバラと飛び出してきた。
「何をしているんだ?」
大男の1人が、鋭く叫んだ。
「いや、その…サイトを探しているんです」
「何番だ?」
「24番」
「OK、こっちだ。カモン」
怒られるのかと思いきや、彼らは人助けのために出てきたのだ。
「ヘイ、カモン!」
その叫び声のデカいこと。
「ターンライト、ヒヤ」
モーターホームに慣れていない東洋人だと思ったのか、ハンドルの切り角まで指導してくれる。
観光バスの車掌さんよろしく、身振り手振りもハデだ。
彼らは、もしかしたら、静かな夜に退屈していたのかもしれない。
モーターホームをサイトに収めると、今度は別の男が近づいてきて、
「フックアップするのか?」
と尋ねてきた。
「あ、やります、やります」
と答えると、
「ここがグレータンクとブラックの排水溝。ここがシティーウォーターの接続口…」
エルモンテRVで、使い方を指導されたときとそっくり同じことが繰り返された。
彼らにしてみれば、慣れないレンタルモーターホームで旅している東洋人たちを助けてやろうという心境だったのだろう。
こういう親切心というのは、アメリカ人特有のものかもしれない。
おせっかいだが、憎めない。
一応その指導に従って、初めて教わったように、おおげさに喜んでみたりする。
…これも国際親善だ。

▲ フックアップされた状態
サイトにクルマが入り、電気、水道などが接続できたことを確認すると、彼らはあっという間に姿を消した。
登場の仕方も “いきなり” だったが、撤退のタイミングも鮮やかだった。
再び静けさの戻った場内を、小林さんと2人でゆっくり眺める。
どのサイトもきれいに整備され、そのサイトを照らす場内灯が優しい光を地面に投げかけている。
オフィスやサニタリールームのたたずまいも清潔感に溢れている。
夜目にも、場内の隅々にまで清掃が行き届いていることが分かった。
良いキャンプ場だ。
アメリカのRVパークというより、カナダあたりのRVパークを連想させた (…行ったことはないけれど)。

▲ 朝の光に彩られた 「ザイオン・リバー・リゾート」 のサイトは実にすがすがしい。場外には清流の流れる川もある。確かに “リバー・リゾート” だった。

▲ 木陰で憩うエアストリーム。相変わらずフィフスホイールトレーラーが目立つ。
概してアメリカのRVパークは、どこかディズニーランドテイストだ。
高級リゾートといわれる 「オアシスRVパーク」 でも、豪華さの演出が、ディズニーランドのパレス (宮殿) のように、分かりやすい形で誇張される。
その分かりやすさを、アメリカ文化の 「楽しさ」 と取るか、「浅さ」 と取るか。
それは人によって様々だと思うが、世の中には、「浅いからこそ楽しい」 ということだってある。私は好きだ。
しかし、この 「ザイオン・リバー・リゾート」 は、そういうアメリカ的な華やかさよりも、ヨーロッパ的格調を重んじるRVパークだった。
にぎわいよりは、静けさを。
楽しさよりは、落ち着きを。
少し疲れて迎える旅の最後の夜は、それも悪くない。
車内で、ヤキソバを作ってビールで乾杯。
旅の最後の晩餐は、東洋料理で決める。
うまい!
ヤキソバソースとソイソース (醤油) で味付けした屋台風ヤキソバは、最後の晩餐を飾る何よりの豪華ディナーとなった。
あっという間に過ぎたグランドサークルの旅だったが、なんだかとても年月を経たような気もした。
それだけ、アメリカをたっぷり走ったな…という思いが強い。
明日は、再びラスベガス。
レンタルモーターホームを返却する時間に間に合わせるために、そうとう飛ばして帰らなければならないかもしれない。
モーターホームでRVパークに泊まる最後の晩を迎えた。
「Zion River Resort (ザイオン・リバー・リゾート)」
ここに到着したのは、現地時間の10時を過ぎた頃だった。
しんと静まり返った場内にモーターホームを乗り入れるのは、ちょっと勇気がいる。
サイトにたどり着くまでのエンジン音。ドアの開閉の音。
それだけでも 「うるさい」 と感じる人は、世の中のどこにでもいる。
アメリカのRVリゾートで感じたことは、夜が更けると、クルマの外に出ている人がほとんどいないということだ。
車内がそのまま 「家屋」 のように使えるアメリカンモーターホームの場合、野外で調理したり食事したりする必要がない。
この 「ザイオン・リバー・リゾート」 も、場内を歩く人影がまったく見えなかった。
どのサイトもほぼ満杯だったが、お客たちは室内でテレビなど見ているのか、明かりは漏れてきても、人のうごめく気配が感じられない。
▲ アメリカのRVパークというより、どこかヨーロッパ的な落ち着きを感じさせる 「ザイオン・リバー・リゾート」 。
標識から分かるとおり、ここにはテントキャンプも受け付ける 「キャンプグランド」 も併設されている。
レイトチェックインとなったが、管理人がオフィスに残っていたため、サイトを指定してもらうことができた。
だが、そのサイトがなかなか見つからない。
…あとで気づいたことだが、サイト番号が縁石上に小さくペイントされているだけなので、見逃してしまったのだ。
クルマのエンジンを止めて、歩いて探す。
人気のない場内に、サイトを探し回っているわれわれの靴音が響く。
とたんに、周囲のモーターホームから、体格の良い男たちがバラバラと飛び出してきた。
「何をしているんだ?」
大男の1人が、鋭く叫んだ。
「いや、その…サイトを探しているんです」
「何番だ?」
「24番」
「OK、こっちだ。カモン」
怒られるのかと思いきや、彼らは人助けのために出てきたのだ。
「ヘイ、カモン!」
その叫び声のデカいこと。
「ターンライト、ヒヤ」
モーターホームに慣れていない東洋人だと思ったのか、ハンドルの切り角まで指導してくれる。
観光バスの車掌さんよろしく、身振り手振りもハデだ。
彼らは、もしかしたら、静かな夜に退屈していたのかもしれない。
モーターホームをサイトに収めると、今度は別の男が近づいてきて、
「フックアップするのか?」
と尋ねてきた。
「あ、やります、やります」
と答えると、
「ここがグレータンクとブラックの排水溝。ここがシティーウォーターの接続口…」
エルモンテRVで、使い方を指導されたときとそっくり同じことが繰り返された。
彼らにしてみれば、慣れないレンタルモーターホームで旅している東洋人たちを助けてやろうという心境だったのだろう。
こういう親切心というのは、アメリカ人特有のものかもしれない。
おせっかいだが、憎めない。
一応その指導に従って、初めて教わったように、おおげさに喜んでみたりする。
…これも国際親善だ。
▲ フックアップされた状態
サイトにクルマが入り、電気、水道などが接続できたことを確認すると、彼らはあっという間に姿を消した。
登場の仕方も “いきなり” だったが、撤退のタイミングも鮮やかだった。
再び静けさの戻った場内を、小林さんと2人でゆっくり眺める。
どのサイトもきれいに整備され、そのサイトを照らす場内灯が優しい光を地面に投げかけている。
オフィスやサニタリールームのたたずまいも清潔感に溢れている。
夜目にも、場内の隅々にまで清掃が行き届いていることが分かった。
良いキャンプ場だ。
アメリカのRVパークというより、カナダあたりのRVパークを連想させた (…行ったことはないけれど)。
▲ 朝の光に彩られた 「ザイオン・リバー・リゾート」 のサイトは実にすがすがしい。場外には清流の流れる川もある。確かに “リバー・リゾート” だった。
▲ 木陰で憩うエアストリーム。相変わらずフィフスホイールトレーラーが目立つ。
概してアメリカのRVパークは、どこかディズニーランドテイストだ。
高級リゾートといわれる 「オアシスRVパーク」 でも、豪華さの演出が、ディズニーランドのパレス (宮殿) のように、分かりやすい形で誇張される。
その分かりやすさを、アメリカ文化の 「楽しさ」 と取るか、「浅さ」 と取るか。
それは人によって様々だと思うが、世の中には、「浅いからこそ楽しい」 ということだってある。私は好きだ。
しかし、この 「ザイオン・リバー・リゾート」 は、そういうアメリカ的な華やかさよりも、ヨーロッパ的格調を重んじるRVパークだった。
にぎわいよりは、静けさを。
楽しさよりは、落ち着きを。
少し疲れて迎える旅の最後の夜は、それも悪くない。
車内で、ヤキソバを作ってビールで乾杯。
旅の最後の晩餐は、東洋料理で決める。
うまい!
ヤキソバソースとソイソース (醤油) で味付けした屋台風ヤキソバは、最後の晩餐を飾る何よりの豪華ディナーとなった。
あっという間に過ぎたグランドサークルの旅だったが、なんだかとても年月を経たような気もした。
それだけ、アメリカをたっぷり走ったな…という思いが強い。
明日は、再びラスベガス。
レンタルモーターホームを返却する時間に間に合わせるために、そうとう飛ばして帰らなければならないかもしれない。

いや、まだ続きがあるでしょうね?
行ったことがない所をリアルに感じさせてくれる、町田さんの筆の力に脱帽!
有料版でもいけそうですね?
欲を言えば、相方のパーソナリティーにもスポットをあてて頂きたいと思いました。
いつもお読みいただいて、ありがとうございます。
この連載はそろそろ終わりです。
あと、「番外編」をいくつか書く予定です。
そのときに、相方のパーソナリティなど、いろいろご報告いたしましょう。
私も、日頃使っているのが国産キャンピングカーなので、寝床を作ってから、安心して野外に出るという感じでくつろいでいます。
アメリカのユーザーが、車外に出てこないというのは、クルマそのものが広いということもあるでしょうけれど、基本的に、枯れた心境になっている老夫婦なんですね。ちょっと外の様子に関心がないのかなぁ…などと思ってしまいます。
「彼らは、どんなモノを食べて、どんな夜の過ごし方をしているのだろう」と関心を寄せていた私にとっては、観察する機会がなくて、ちょっと残念でした。