2008年06月21日
ペイジの暑い午後
《 モーターホームでアメリカを走る 11 》
アメリカのモーターホームユーザーは、何でも引っ張る。
カーゴトレーラー。
ボートトレーラー。
乗用車。
自分が運転するモーターホームだけでも、30フィート、40フィートという大きさがあろうというのに、さらにその後ろに、トレーラーやら乗用車などをけん引していくという根性がアッパレというか、怖いもの知らずというか。
が、向こうのだだっぴろい土地と、走りやすい道を目の当たりにすると、大型モーターホームとトレーラーという組み合わせも、けっして無茶でも無謀でもないことが分かってきた。
RVパークに泊まろうが、カフェで休もうが、都市部を除けば駐車スペースは有り余るほどある。バックで出なければならない…ということもない。
ならば、
「みんな運んでしまえ!」
ということになって、結局ボート、物置小屋、自動車など、当座使うものはみなゴロゴロ引いていくという “民族大移動” 型の旅行スタイルが生まれることになる。

▲ 「モーターホームに乗用車が追突しそう!」 という光景に接したときは、たいていモーターホームオーナーが自分の自家用車をけん引していると見てよい。

▲ どんなRVパークでも、必ず1台はボートトレーラーを引くRVを見かける。
モニュメントバレーからレイクパウエルに向かう道を走ると、やたらボートトレーラーをけん引するモーターホームを見るようになった。
なにしろ、レイクパウエルといえば、世界でも2番目の規模を誇るといわれる人造湖。そこでモーターホームに泊まりながら、優雅な舟遊びを楽しもうというオーナーも多いのだろう。
しかし、電装トラブルを抱えたクルマに乗っている私たちは、レイクパウエルの風景を楽しむ余裕もなく、ペイジの町に直行した。
エルモンテRVからの連絡で、その町の 「サンウエスト・オート・マリン」 という店が、モーターホームのトラブルを見てくれるという情報を得たからだ。
きつい日差しが道路を焦がしている中心街を抜けて、町外れにある修理工場を探す。
ようやく、「RV&BOAT」 という看板を発見。
その看板から察すると、モーターホームとレジャーボートの両方の修理を行う店らしい。レイクパウエルを控えた町だけに、むしろボートの比率の方が高いのかもしれない。
工場の周辺には、倉庫なのか、民家なのか、店舗なのか分からない白っちゃけた平屋づくりの建物が点在しているだけで、いってしまえば殺風景な景色だ。舗道には、人影すら見えない。
もっともこう暑くちゃ、誰だってかき氷でも食べながらでもないと、家の外に出る気がしないだろう。
モーターホームを工場に寄せると、ショーン・コネリーを無口にしたような雰囲気のお父さんが出てきて、バッテリーケースの蓋を開け、液、配線のゆるみなどをチェックし始めた。
さらにヒューズ類もチェック。
そのへんまでは、問題はなさそうだ。
次にオフィスの中からテスターを引っ提げて戻ってきて、配線類を調べ始めた。
陽炎 (かげろう)が 舗道に揺れる静かな町で、物憂い時間が過ぎていく。
「う…む」
と、コネリー氏の顔がだんだん気むずかしくなる。
彼にもトラブルの原因がすぐには分からないらしい。
コネクター類を外したり、差し込んだりするたびに、モニターパネルの作動状況をチェック。
これも違うか…。
こっちでもなし…。
ってな感じだ。

▲ モーターホームを工場内に入れようと思ったが、結局、31フィートでは車体が収まりきらず、ノーズを突っ込んだだけで断念。
エントランスステップ裏のバッテリーボックスが怪しい! とコネリー刑事はそこを集中捜査。

▲ 修理工場の内部。工場というのは、基本的に “機能優先” のスペースなので、その構造や雰囲気はどこの国でも変わらない。
エンジンルーム内は特に問題がなさそうだ。
気むずかしげに仕事を進めるコネリー氏に、おそるおそる、
「What’wrong?」
と尋ねてみたが、意味が通じなかったのか、無視されてしまった。
もっとも、
「今それを調べているところだろ!」
っていう心境だったのかもしれない。
コネリー父さんの仕事ぶりを後ろから覗き込むのだが、その背中があまりにも広すぎて、何をしているのかよく見えない。
その背中を、ペイジの町を焦がす太陽が直撃している。
コネリー父さんの背中は、ホットプレート状態だ。
ご苦労さんです…。
と、こっちは日陰の見物を決め込む。
20分ほど経った頃、コネリー刑事はどうやら 「犯人」 を追い詰めたようだ。
配線の束から、ひとつのコネクターを取り外し、それを 「No good」 と言って、ひらひらかざして見せてくれた。
しかしそれに続く言葉に、がっかり。
「But We Have No Spare」 。
「部品がないからあしからずね」 ということであるらしい。
それが、無口なショーン・コネリー氏が口をきいてくれた最初で最後の言葉だった。
結局、何がノーグッドなのか教えてもらえず。
こういう場合のメンテナンス料は、車両不整備ということで、レンタル会社のエルモンテRVが持つことになる。
「その手続きは、事務所のカウンターにいるお母さんとね」
ってな顔で、コネリーお父さんは工場の奥に姿を消した。
最後の晩も、またランタンの明かりで夕飯を食べることに相成ってしまった。
「ま、走らないわけじゃないので、いいか…」。
私も小林さんも、すでにランタン生活に慣れてしまったので、そんなに深刻でもない。
陽もやや西に傾いた頃、私たちは、修理不調に終わったモーターホームに再び乗り込み、ザイオンを目指すことにした。

▲ 途中の給油所で休憩。隣のミニバンと比べると、我々のモーターホームのデカさが際立つ。

▲ インターステートハイウェイでよく見かける巨大な18輪トレーラー。ドライバーはファミリーを乗せて移動中。もしかして、こいつで家族ドライブ?

▲ 「バーガーキング」 で食べたハンバーガー。
一見、日本で売っている普通サイズのハンバーガーだが、これはお子様向けのジュニア・サイズ。日本人の胃袋だと、このサイズで十分。
…とにかく、アメリカは何でもデカい。
アメリカのモーターホームユーザーは、何でも引っ張る。
カーゴトレーラー。
ボートトレーラー。
乗用車。
自分が運転するモーターホームだけでも、30フィート、40フィートという大きさがあろうというのに、さらにその後ろに、トレーラーやら乗用車などをけん引していくという根性がアッパレというか、怖いもの知らずというか。
が、向こうのだだっぴろい土地と、走りやすい道を目の当たりにすると、大型モーターホームとトレーラーという組み合わせも、けっして無茶でも無謀でもないことが分かってきた。
RVパークに泊まろうが、カフェで休もうが、都市部を除けば駐車スペースは有り余るほどある。バックで出なければならない…ということもない。
ならば、
「みんな運んでしまえ!」
ということになって、結局ボート、物置小屋、自動車など、当座使うものはみなゴロゴロ引いていくという “民族大移動” 型の旅行スタイルが生まれることになる。
▲ 「モーターホームに乗用車が追突しそう!」 という光景に接したときは、たいていモーターホームオーナーが自分の自家用車をけん引していると見てよい。
▲ どんなRVパークでも、必ず1台はボートトレーラーを引くRVを見かける。
モニュメントバレーからレイクパウエルに向かう道を走ると、やたらボートトレーラーをけん引するモーターホームを見るようになった。
なにしろ、レイクパウエルといえば、世界でも2番目の規模を誇るといわれる人造湖。そこでモーターホームに泊まりながら、優雅な舟遊びを楽しもうというオーナーも多いのだろう。
しかし、電装トラブルを抱えたクルマに乗っている私たちは、レイクパウエルの風景を楽しむ余裕もなく、ペイジの町に直行した。
エルモンテRVからの連絡で、その町の 「サンウエスト・オート・マリン」 という店が、モーターホームのトラブルを見てくれるという情報を得たからだ。
きつい日差しが道路を焦がしている中心街を抜けて、町外れにある修理工場を探す。
ようやく、「RV&BOAT」 という看板を発見。
その看板から察すると、モーターホームとレジャーボートの両方の修理を行う店らしい。レイクパウエルを控えた町だけに、むしろボートの比率の方が高いのかもしれない。
工場の周辺には、倉庫なのか、民家なのか、店舗なのか分からない白っちゃけた平屋づくりの建物が点在しているだけで、いってしまえば殺風景な景色だ。舗道には、人影すら見えない。
もっともこう暑くちゃ、誰だってかき氷でも食べながらでもないと、家の外に出る気がしないだろう。
モーターホームを工場に寄せると、ショーン・コネリーを無口にしたような雰囲気のお父さんが出てきて、バッテリーケースの蓋を開け、液、配線のゆるみなどをチェックし始めた。
さらにヒューズ類もチェック。
そのへんまでは、問題はなさそうだ。
次にオフィスの中からテスターを引っ提げて戻ってきて、配線類を調べ始めた。
陽炎 (かげろう)が 舗道に揺れる静かな町で、物憂い時間が過ぎていく。
「う…む」
と、コネリー氏の顔がだんだん気むずかしくなる。
彼にもトラブルの原因がすぐには分からないらしい。
コネクター類を外したり、差し込んだりするたびに、モニターパネルの作動状況をチェック。
これも違うか…。
こっちでもなし…。
ってな感じだ。
▲ モーターホームを工場内に入れようと思ったが、結局、31フィートでは車体が収まりきらず、ノーズを突っ込んだだけで断念。
エントランスステップ裏のバッテリーボックスが怪しい! とコネリー刑事はそこを集中捜査。
▲ 修理工場の内部。工場というのは、基本的に “機能優先” のスペースなので、その構造や雰囲気はどこの国でも変わらない。
エンジンルーム内は特に問題がなさそうだ。
気むずかしげに仕事を進めるコネリー氏に、おそるおそる、
「What’wrong?」
と尋ねてみたが、意味が通じなかったのか、無視されてしまった。
もっとも、
「今それを調べているところだろ!」
っていう心境だったのかもしれない。
コネリー父さんの仕事ぶりを後ろから覗き込むのだが、その背中があまりにも広すぎて、何をしているのかよく見えない。
その背中を、ペイジの町を焦がす太陽が直撃している。
コネリー父さんの背中は、ホットプレート状態だ。
ご苦労さんです…。
と、こっちは日陰の見物を決め込む。
20分ほど経った頃、コネリー刑事はどうやら 「犯人」 を追い詰めたようだ。
配線の束から、ひとつのコネクターを取り外し、それを 「No good」 と言って、ひらひらかざして見せてくれた。
しかしそれに続く言葉に、がっかり。
「But We Have No Spare」 。
「部品がないからあしからずね」 ということであるらしい。
それが、無口なショーン・コネリー氏が口をきいてくれた最初で最後の言葉だった。
結局、何がノーグッドなのか教えてもらえず。
こういう場合のメンテナンス料は、車両不整備ということで、レンタル会社のエルモンテRVが持つことになる。
「その手続きは、事務所のカウンターにいるお母さんとね」
ってな顔で、コネリーお父さんは工場の奥に姿を消した。
最後の晩も、またランタンの明かりで夕飯を食べることに相成ってしまった。
「ま、走らないわけじゃないので、いいか…」。
私も小林さんも、すでにランタン生活に慣れてしまったので、そんなに深刻でもない。
陽もやや西に傾いた頃、私たちは、修理不調に終わったモーターホームに再び乗り込み、ザイオンを目指すことにした。
▲ 途中の給油所で休憩。隣のミニバンと比べると、我々のモーターホームのデカさが際立つ。
▲ インターステートハイウェイでよく見かける巨大な18輪トレーラー。ドライバーはファミリーを乗せて移動中。もしかして、こいつで家族ドライブ?
▲ 「バーガーキング」 で食べたハンバーガー。
一見、日本で売っている普通サイズのハンバーガーだが、これはお子様向けのジュニア・サイズ。日本人の胃袋だと、このサイズで十分。
…とにかく、アメリカは何でもデカい。
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