2008年02月25日
車が売れない時代
自動車メーカーやディーラーが頭を抱えている。
クルマが売れない。
先月、社団法人・日本自動車販売協会連合会 (自販連) から発表された、07年の軽自動車を除いた新車販売台数は、343万台。これは前年比7.6パーセント減で、4年連続して前年を下回ったという。
今までは軽自動車だけが、この落ち込みを免れていた。
ところが07年は、その軽自動車でさえ5.1パーセント減の192万台という販売台数に止まり、4年ぶりに後退した。
クルマが売れない理由として、原油高の影響や若者の “くるま離れ” に原因を求める声は今までもあった。
しかし、最大の原因は、クルマそのものに “魅力” がなくなってきたからではないか?
あるいは、クルマが魅力的に思える環境が、いま急激に変わろうとしているのではないか?
実は、クルマが売れないと言われ続けてきたこの4年間。キャンピングカーだけは、確実に売上げを伸ばしているのである。
昨年、日本RV協会から発行された 『キャンピングカー白書2007』 では、04年度と05年度の調査において、国産車では前年比14.22パーセント増。輸入車でも5.47パーセント増という増加率を示したことが発表された。
また、06年度以降の調査もすでに行なわれており、同じような増加率を示しているという。
さらに、07年度の増加率は、まだ集計されていないが、各販売店からのヒアリングを受けた感触から、05年、06年と同じような推移をたどったとも聞く。
一般の乗用車が売れなくなり、キャンピングカーだけが売上げを伸ばしているというのは、いったい何を物語っているのだろう。
それは、キャンピングカーが 「新しい価値」 を身につけているからだ。
自動車評論家の清水和夫さんは、今の日本の乗用車が 「価値」 を見失っている状況を、ご自分のブログで次のように表現されている。
……ヨーロッパにおいても、自動車は人々の欲しいものの上位にはいない。成熟した自動車文化を持つ欧州でもそうなのだ。
しかし、ヨーロッパでは、自動車は所有欲ではなく、利用欲に価値を見出すものして認知されている。
つまり、自動車を手に入れたとき、人々はどのような生活やライフスタイルを獲得できるのか。
その背景にある 「思想」 が確立されているがゆえに、自動車は立派な価値ある商品として、変わらぬ評価を受けている。
そのような意見を述べられた後、清水さんは次のようにいう。
「見せかけだけの性能しか語れない寂しい日本車が元気になりたかったら、ユーザーの立場に立った、新しい価値観を開発する必要がある」
キャンピングカーが、日本で売上げを伸ばしているのは、まさに清水さんがおっしゃるような 「新しい価値」 を創出しているからである。
その 「価値」 とは何か。
それを探るには、まずキャンピングカーという自動車のキャラクターを眺めることが手っ取り早い。
キャンピングカーは、走っているときよりも、停まっているときの方が人間の生活を支える乗り物である。
車内で食事を楽しむ。
くつろぐ。
睡眠をとる。
キャンピングカーならではのこういう過ごし方は、すべて停まっている状態でないと実現できない。
つまり、あらゆる自動車の中で、唯一エネルギーを消費して走り回るよりも、エネルギーを温存しているときの方が、本領を発揮する自動車なのである。
一言でいえば、地球資源の枯渇を最小にとどめ、温暖化の防止にもつながる乗り物なのだ。
また、キャンピングカーは、外壁と内壁の間に 「断熱材」 を封入しているものが多いため、車外の温度変化の影響を受けにくい。
そのため、エアコンやヒーターの設定温度を低く保ったり、さらには、冷暖房機そのものを使用しない時間を増やすことができる。当然、エネルギー消費を抑え、CO2の排出も抑えられるようになる。
さらに、ソーラーシステムによる太陽光や、燃料電池などによるエネルギーチャージなど、キャンピングカー業界は、環境にローインパクトな新しいエネルギーシステムを開発することに積極的である。
2008年という年は、今まで以上に 「地球環境の保護」 、「自然と人類の共生」 が求められる時代になるはずだが、そういう時代の 「思想」 を、キャンピングカーは体現している。
このようなキャンピングカーの特性は、いま注目を浴びている 「スロートラベル」 の思想とも相性がいい。
スロートラベルとは、旅行先で出会った地元の人たちとのんびり会話を交わしたり、地の食事や酒を楽しんだり、あるいはその土地を育んだ文化や歴史に触れたりするという、「滞在型」 の旅行を意味する言葉である。
すなわち、短時間のうちにたくさんのものを見物するという、従来の観光旅行パターンとは一線を画するものといっていい。
実は、すでにキャンピングカーユーザーはそのような 「旅」 を始めている。
『キャンピングカー白書2007』 によると、「ユーザーとして将来実現してみたい夢」 という設問に対し、なんと63.4パーセントのユーザーが 「気に入った場所でのんびり滞在したい」 と答えている。
キャンピングカーがあれば、豊かな自然に恵まれ、しかも料金設定がホテルなどよりも安いキャンプ場などで長期滞在できる。
そういう暮らしを続けていれば、当然、自然の恵みに敏感になる。
日本の戦後の歴史は、大気を汚染し、土の有機物を殺し、森をつぶしてゆく日々を繰り返した。
人々は、そのような環境を生き続けているうちに、五感を錬磨させる機会を見失った。
かつて草木の陰で鳴くスズムシの音や、木々を渡る野鳥のさえずりを愛でることを知っていた日本人だが、最近はそれを 「騒音」 と感じる人々も出てきている。
それだけ、人々は自然から受ける刺激にうとくなってきたのだろうと思う。

静かな自然のなかで1日過ごすだけでも、そのぶん情感は鋭敏になり、ひからびた感受性にもうるおいが与えられる。
キャンピングカーの旅が、人々にロマンを感じさせるのは、キャンピングカーそのものが 「自然」 との共存を図れるクルマだからだろう。
仕事も旅行も、すべて効率よくスピーディーに処理することに価値をおいてきた日本人は、今ようやくあくせくと働いたり、あわただしく旅をするスタイルを見直してきたように見える。
そういう人たちにアピールする力があるがゆえに、自動車が売れない今の日本において、唯一キャンピングカーだけが元気なのだろうと思う。
クルマが売れない。
先月、社団法人・日本自動車販売協会連合会 (自販連) から発表された、07年の軽自動車を除いた新車販売台数は、343万台。これは前年比7.6パーセント減で、4年連続して前年を下回ったという。
今までは軽自動車だけが、この落ち込みを免れていた。
ところが07年は、その軽自動車でさえ5.1パーセント減の192万台という販売台数に止まり、4年ぶりに後退した。
クルマが売れない理由として、原油高の影響や若者の “くるま離れ” に原因を求める声は今までもあった。
しかし、最大の原因は、クルマそのものに “魅力” がなくなってきたからではないか?
あるいは、クルマが魅力的に思える環境が、いま急激に変わろうとしているのではないか?
実は、クルマが売れないと言われ続けてきたこの4年間。キャンピングカーだけは、確実に売上げを伸ばしているのである。
昨年、日本RV協会から発行された 『キャンピングカー白書2007』 では、04年度と05年度の調査において、国産車では前年比14.22パーセント増。輸入車でも5.47パーセント増という増加率を示したことが発表された。
また、06年度以降の調査もすでに行なわれており、同じような増加率を示しているという。
さらに、07年度の増加率は、まだ集計されていないが、各販売店からのヒアリングを受けた感触から、05年、06年と同じような推移をたどったとも聞く。
一般の乗用車が売れなくなり、キャンピングカーだけが売上げを伸ばしているというのは、いったい何を物語っているのだろう。
それは、キャンピングカーが 「新しい価値」 を身につけているからだ。
自動車評論家の清水和夫さんは、今の日本の乗用車が 「価値」 を見失っている状況を、ご自分のブログで次のように表現されている。
……ヨーロッパにおいても、自動車は人々の欲しいものの上位にはいない。成熟した自動車文化を持つ欧州でもそうなのだ。
しかし、ヨーロッパでは、自動車は所有欲ではなく、利用欲に価値を見出すものして認知されている。
つまり、自動車を手に入れたとき、人々はどのような生活やライフスタイルを獲得できるのか。
その背景にある 「思想」 が確立されているがゆえに、自動車は立派な価値ある商品として、変わらぬ評価を受けている。
そのような意見を述べられた後、清水さんは次のようにいう。
「見せかけだけの性能しか語れない寂しい日本車が元気になりたかったら、ユーザーの立場に立った、新しい価値観を開発する必要がある」
キャンピングカーが、日本で売上げを伸ばしているのは、まさに清水さんがおっしゃるような 「新しい価値」 を創出しているからである。
その 「価値」 とは何か。
それを探るには、まずキャンピングカーという自動車のキャラクターを眺めることが手っ取り早い。
キャンピングカーは、走っているときよりも、停まっているときの方が人間の生活を支える乗り物である。
車内で食事を楽しむ。
くつろぐ。
睡眠をとる。
キャンピングカーならではのこういう過ごし方は、すべて停まっている状態でないと実現できない。
つまり、あらゆる自動車の中で、唯一エネルギーを消費して走り回るよりも、エネルギーを温存しているときの方が、本領を発揮する自動車なのである。
一言でいえば、地球資源の枯渇を最小にとどめ、温暖化の防止にもつながる乗り物なのだ。
また、キャンピングカーは、外壁と内壁の間に 「断熱材」 を封入しているものが多いため、車外の温度変化の影響を受けにくい。
そのため、エアコンやヒーターの設定温度を低く保ったり、さらには、冷暖房機そのものを使用しない時間を増やすことができる。当然、エネルギー消費を抑え、CO2の排出も抑えられるようになる。
さらに、ソーラーシステムによる太陽光や、燃料電池などによるエネルギーチャージなど、キャンピングカー業界は、環境にローインパクトな新しいエネルギーシステムを開発することに積極的である。
2008年という年は、今まで以上に 「地球環境の保護」 、「自然と人類の共生」 が求められる時代になるはずだが、そういう時代の 「思想」 を、キャンピングカーは体現している。
このようなキャンピングカーの特性は、いま注目を浴びている 「スロートラベル」 の思想とも相性がいい。
スロートラベルとは、旅行先で出会った地元の人たちとのんびり会話を交わしたり、地の食事や酒を楽しんだり、あるいはその土地を育んだ文化や歴史に触れたりするという、「滞在型」 の旅行を意味する言葉である。
すなわち、短時間のうちにたくさんのものを見物するという、従来の観光旅行パターンとは一線を画するものといっていい。
実は、すでにキャンピングカーユーザーはそのような 「旅」 を始めている。
『キャンピングカー白書2007』 によると、「ユーザーとして将来実現してみたい夢」 という設問に対し、なんと63.4パーセントのユーザーが 「気に入った場所でのんびり滞在したい」 と答えている。
キャンピングカーがあれば、豊かな自然に恵まれ、しかも料金設定がホテルなどよりも安いキャンプ場などで長期滞在できる。
そういう暮らしを続けていれば、当然、自然の恵みに敏感になる。
日本の戦後の歴史は、大気を汚染し、土の有機物を殺し、森をつぶしてゆく日々を繰り返した。
人々は、そのような環境を生き続けているうちに、五感を錬磨させる機会を見失った。
かつて草木の陰で鳴くスズムシの音や、木々を渡る野鳥のさえずりを愛でることを知っていた日本人だが、最近はそれを 「騒音」 と感じる人々も出てきている。
それだけ、人々は自然から受ける刺激にうとくなってきたのだろうと思う。
静かな自然のなかで1日過ごすだけでも、そのぶん情感は鋭敏になり、ひからびた感受性にもうるおいが与えられる。
キャンピングカーの旅が、人々にロマンを感じさせるのは、キャンピングカーそのものが 「自然」 との共存を図れるクルマだからだろう。
仕事も旅行も、すべて効率よくスピーディーに処理することに価値をおいてきた日本人は、今ようやくあくせくと働いたり、あわただしく旅をするスタイルを見直してきたように見える。
そういう人たちにアピールする力があるがゆえに、自動車が売れない今の日本において、唯一キャンピングカーだけが元気なのだろうと思う。

それに、信号などで隣に並んだクルマなんてエンブレム見ないとどこのメーカーかも区別がつかないですし・・・魅力のある=所有欲をもてるクルマがなくなっているのも事実ですね。
そうなるとキャンピングカーは乗用車、スポーツカーにはない価値が満載されていますね!!
走っているとき止まっているとき全て使えて、クルマとして部屋としての利用ができ個人が所有できるというクルマ+のメリットが理解されてきたのではないでしょうか!?
ポップアップルーフの軽キャンパーなども広い空間に価格帯、維持費、カーフェリーなども最低運賃で乗れるなど、↑で町田さんが書かれている『スロートラベル』との相性もそうとう良いと思います。
それにキャンピングカーが売れるということはユーザーからの意見が多く聴けて作り手側もより良い物を作り出せるのでしょう。
次々に魅力的な車が出てきて、充分にまだ走れる車をスクラップにしていくサイクルが短すぎる感もあります。
車の部品のリサイクル率はかなり高いようではありますけど、まだ使えるものをリサイクルにまわすのも無駄な話だと思います。
トヨタ1社で年間900万台も新しい車を作っています。
全世界で1年間に7000万台もの新車を作り続けて販売していく必要がほんとうにあるのでしょうか?
経済の振興とは別の観点で、新車の適正な生産台数はどのくらいなのか、試算されたことはないのですかね?
移動している状態よりも、止まっている状態で本領を発揮できるキャンピングカーというのはなるほど、他の車と大きく異なる付加価値ですね!
今度、山名湖の常設されたトレーラーハウスを体験する予定です。
“若者の車離れ” に関する貴重なご意見ありがとうございます。
おっしゃるとおり、合理的な観点に立てば、移動手段としての車というものが、都市に住む若者にとっては生活必需品でなくなっているという状況なわけですね。その通りかもしれません。
それに対し、メーカー側はいまだに、昔ながらの “夢” を実現できるアイテムとして車を売ろうとしている気がします。ところが、その “夢” が、どこか見当違いの方向に向かっている感じもします。
自動車は、その時代の思想なり、文化なりを端的に反映する乗り物だと思います。
そこのところで、自動車メーカーが考える自動車の思想・文化が、今の時代の現実とズレてきているようにも感じます。
上の 「赤の'57」 さんのコメントが示唆しているように、リサイクル率を高めるという対応が、社会に対する “免罪符” になっているのではないかという気がしないでもありません。
ヨーロッパのキャンピングカーメーカーなどの話を聞くと、彼らの方が乗用車メーカーよりも環境保全に切実感を持っているという話もあるようです。
歴史の大きな曲がり角に立っている現在、新しい自動車哲学が生まれることを切に願う次第です。
いつもは洒脱で粋な記事を書かれている'57さんから、このような重要なテーマを剛速球の正攻法でいただくことができて、感謝しております。
>「経済の振興とは別に、新車の適正な生産台数を試算する試み」 というのは、確かにとても大事なことだと思います。
しかし、すべての企業が市場原理で動かざるを得ない状況を考えると、そのような試算を試みるところがあっても、それが公表されるのかどうか。現状ではなかなか難しいものがあるかもしれません。
でも、消費者サイドで今の時代に見合った「車社会」のあり方を考える気運を盛り上げることはできます。
キャンピングカー業界がそれを助けることができるのかどうか、まだ未知数ですが、「スロートラベルの勧め」 というようなテーマを掲げた日本RV協会さんの最新の広報誌などを見ると、かなりそういうテーマに自覚的になっている様子はうかがえます。
'57さんのブログで、山中湖のトレーラーハウスでの体験記が綴られることを楽しみにしております。