2008年02月21日
バンテック新商品
バンテックといえば、今の日本のキャンピングカーシーンをリードしている会社というイメージがある。
実際に、業界のなかでもそう認知され、ユーザーのなかにも、そう感じている人は多いだろう。
そういうイメージが流布している背景には、いったい何があるのだろうか。
もちろん、販売台数の多さ、車両開発の巧みさという目に見える部分で、この会社が目立っていることはよく分かる。
しかし、それ以外に、やっぱりスタッフがめちゃめちゃ勉強している。
海外の動向、時代の流れ、消費者ニーズの変化などに対する目配りを、スタッフたちが片時もおろそかにしていないという雰囲気が伝わってくる。
そして、キャンピングカービルダーという、まだ国内産業の中では小さな業界のなかにあって、グローバルなテーマを追求するという姿勢を忘れない。
幕張の 「キャンピング&RVショー」 の会場で、バンテックの車両開発を担当している中島宇一郎さんと話す機会があった。
新型ジル520の開発コンセプトに話が及び、オルタネーターをインバーターに直結して、家庭用エアコンを駆動させるという話が出た。
要するに、エンジンのかかっているうちに、室内温度を設定温度まで下げてしまえば、宿泊場所に着いてからエアコンを回すことに比べて、消費電力が大幅に節約されるというのだ。
設定温度まで室内温を下げれば、後は低負荷でも最近のエアコンは駆動するので、トリプルバッテリーの力だけで冷房効果を維持できるという。
中島さんの意識には、「発電機に頼らないエアコン駆動は可能か」 というテーマがあったようだ。
この新システムを開発するに至った動機を、彼はこう語る。
「最近、家庭用のセパレートエアコンを標準装備するようなキャンピングカーが非常に増えてきています。
確かに、地球温暖化が進み、日本の夏も、年を追うごとに寝苦しい夜が続くようになりました。断熱対策が進んでいるとされるキャンピングカーにおいても、だんだんエアコンなしで車中泊することが難しくなってきていることは事実です。
しかし、道の駅で休息するようなとき、家庭用のセパレートエアコンを利用するためには、発電機の搭載が前提条件となります。
ところが、他の利用客も集中するような場所で発電機を回せば、騒音や排気ガスによって、周囲に迷惑を及ぼすこともありうるわけですね。
お客様に快適なキャンピングカーライフを提供することがビルダーの義務とはいえ、周囲の人々や自然環境に敵対するようなものであってはいけない。
私たちビルダーも、これからは社会や自然と共存共栄できるテクノロジーを開発していかなければならない。
そう考えて開発したのが、今回のオルタネーターの給電システムなんです」
中島さんは、このような試みを 「エコロジーを推進するための取っ掛かりにしたい」 という。
キャンピングカービルダーといえども、“地球環境” という大きな視野に立って開発を進めなければならない時代が来た、と彼は語る。
「環境保護」 と企業が言い出すとき、それは自社のイメージを向上させるためのマーケティング戦略である場合が多い。
だけど、バンテックが本気だということは、この展示会のブースの他の面においても見られた。
同社のブースに、「燃料電池」 と銘打たれた展示物があった。
AC電源やジェネレーターによる電力供給を補佐するものとして、ドイツ・ベバスト社から発売されているものだそうだ。
商品名を 「EFOYフュエルセル」 という。

この燃料電池は、24時間で1200Wという電気を生み出す力を持っている。
1200Wというのは、電流値に直すと100アンペア。
通常のサブバッテリーの発電力が約90アンペアであることからして、1日でサブバッテリー1個分の電気を生み出すことになる。これは、ソーラーパネル2枚分の効力に匹敵する。
中島さんに代わって、佐藤さんがソーラーの話を続けてくれた。
「今までは、走行充電できないときの電気チャージはソーラーシステムに頼っていたわけですね。
しかし、ソーラーは曇り日になると、充電力が晴天の30パーセントほどに落ちてしまう。電圧設定の高いものであっても、50パーセント。
夏・冬・晴・曇りを考慮して1日平均の日照時間を割り出すと、だいたい5時間程度なんですよ。そうなると、ソーラーが充電する電気は600W…」
しかし、このベバストで売られている 「燃料電池」 は、ソーラーシステムの2倍である1200Wの電気チャージを可能にするという。
まさに、キャンピングカーユーザーにとっては夢のような電力チャージアイテムなのだが、いくつかの問題点がある。
ひとつは価格。
今のところ、発売価格を割り出すとなると、だいたい40万円ぐらいになりそうだという。
ソーラーパネルを1枚ルーフに取り付けるとなると、だいたい工賃込みで10万円ぐらいだから、確かに高い。
しかし、ランニングコストでいうと1日に200円~300円という計算になるわけだから、初期投資と割りきれば、購入した後のメリットは大きい。
もうひとつの問題は、このアイテムを駆動するための燃料が 「メタノール」 であること。
メタノールは不用意に扱うと引火することもあるため、扱う場合には多少なりとも、知識が要求される。
メタノール自体は、誰でも薬局で購入できる。
しかし、日本では 「危険物第4類アルコール」 とされ、消防法の規定により、400リットルを超える量を扱う場合は、危険物取扱者の資格が必要となる。
…とはいっても、通常のキャンピングカーユーザーが、一回の旅行で400リットルものメタノールを必要とすることは、まずない。
中島さんにいわせると、
「燃料電池に必要なメタノールの量は、1週間の旅行でも10リットル足らず。発電機に使用するガソリンを持ち歩くことを考えれば、危険度はガソリンの半分ぐらい」
という。
バンテックとしては、ユーザーがこのメタノールを安全に注入できる方法を検討中だ。それが実現されれば、国内で市販化される道筋もつけられるようになり、ユーザーにもたらされる便宜は計り知れない。
さらに面白い情報をひとつ。
それは 「ディーゼルクッカー」 だ。
これは、ベース車がディーゼル車の場合、フューエルタンクの軽油を利用して、そのままコンロの熱源にしてしまうというもの。
「見た目は、ちょうど電磁調理器のIHクッキングスタイルですよ」
と、中島氏はいう。
燃料消費も微量で、1時間燃焼させて、消費する軽油の量は、約0.09リットル = 90cc。
電源の供給が安定していないと使えない電磁調理器に比べ、こちらの方が格段に安定感がありそうだ。
また、最近、充填拒否の問題が起きているLPGに頼るコンロに比べても、これなら安心できる。
海外から、次々と新しい製品や情報を獲得してくるバンテックのスタッフたち。
彼らのアンテナ感度の良さが、「バンテック」 というブランドを維持する力のひとつになっていると思った。
実際に、業界のなかでもそう認知され、ユーザーのなかにも、そう感じている人は多いだろう。
そういうイメージが流布している背景には、いったい何があるのだろうか。
もちろん、販売台数の多さ、車両開発の巧みさという目に見える部分で、この会社が目立っていることはよく分かる。
しかし、それ以外に、やっぱりスタッフがめちゃめちゃ勉強している。
海外の動向、時代の流れ、消費者ニーズの変化などに対する目配りを、スタッフたちが片時もおろそかにしていないという雰囲気が伝わってくる。
そして、キャンピングカービルダーという、まだ国内産業の中では小さな業界のなかにあって、グローバルなテーマを追求するという姿勢を忘れない。
幕張の 「キャンピング&RVショー」 の会場で、バンテックの車両開発を担当している中島宇一郎さんと話す機会があった。
新型ジル520の開発コンセプトに話が及び、オルタネーターをインバーターに直結して、家庭用エアコンを駆動させるという話が出た。
要するに、エンジンのかかっているうちに、室内温度を設定温度まで下げてしまえば、宿泊場所に着いてからエアコンを回すことに比べて、消費電力が大幅に節約されるというのだ。
設定温度まで室内温を下げれば、後は低負荷でも最近のエアコンは駆動するので、トリプルバッテリーの力だけで冷房効果を維持できるという。
中島さんの意識には、「発電機に頼らないエアコン駆動は可能か」 というテーマがあったようだ。
この新システムを開発するに至った動機を、彼はこう語る。
「最近、家庭用のセパレートエアコンを標準装備するようなキャンピングカーが非常に増えてきています。
確かに、地球温暖化が進み、日本の夏も、年を追うごとに寝苦しい夜が続くようになりました。断熱対策が進んでいるとされるキャンピングカーにおいても、だんだんエアコンなしで車中泊することが難しくなってきていることは事実です。
しかし、道の駅で休息するようなとき、家庭用のセパレートエアコンを利用するためには、発電機の搭載が前提条件となります。
ところが、他の利用客も集中するような場所で発電機を回せば、騒音や排気ガスによって、周囲に迷惑を及ぼすこともありうるわけですね。
お客様に快適なキャンピングカーライフを提供することがビルダーの義務とはいえ、周囲の人々や自然環境に敵対するようなものであってはいけない。
私たちビルダーも、これからは社会や自然と共存共栄できるテクノロジーを開発していかなければならない。
そう考えて開発したのが、今回のオルタネーターの給電システムなんです」
中島さんは、このような試みを 「エコロジーを推進するための取っ掛かりにしたい」 という。
キャンピングカービルダーといえども、“地球環境” という大きな視野に立って開発を進めなければならない時代が来た、と彼は語る。
「環境保護」 と企業が言い出すとき、それは自社のイメージを向上させるためのマーケティング戦略である場合が多い。
だけど、バンテックが本気だということは、この展示会のブースの他の面においても見られた。
同社のブースに、「燃料電池」 と銘打たれた展示物があった。
AC電源やジェネレーターによる電力供給を補佐するものとして、ドイツ・ベバスト社から発売されているものだそうだ。
商品名を 「EFOYフュエルセル」 という。
この燃料電池は、24時間で1200Wという電気を生み出す力を持っている。
1200Wというのは、電流値に直すと100アンペア。
通常のサブバッテリーの発電力が約90アンペアであることからして、1日でサブバッテリー1個分の電気を生み出すことになる。これは、ソーラーパネル2枚分の効力に匹敵する。
中島さんに代わって、佐藤さんがソーラーの話を続けてくれた。
「今までは、走行充電できないときの電気チャージはソーラーシステムに頼っていたわけですね。
しかし、ソーラーは曇り日になると、充電力が晴天の30パーセントほどに落ちてしまう。電圧設定の高いものであっても、50パーセント。
夏・冬・晴・曇りを考慮して1日平均の日照時間を割り出すと、だいたい5時間程度なんですよ。そうなると、ソーラーが充電する電気は600W…」
しかし、このベバストで売られている 「燃料電池」 は、ソーラーシステムの2倍である1200Wの電気チャージを可能にするという。
まさに、キャンピングカーユーザーにとっては夢のような電力チャージアイテムなのだが、いくつかの問題点がある。
ひとつは価格。
今のところ、発売価格を割り出すとなると、だいたい40万円ぐらいになりそうだという。
ソーラーパネルを1枚ルーフに取り付けるとなると、だいたい工賃込みで10万円ぐらいだから、確かに高い。
しかし、ランニングコストでいうと1日に200円~300円という計算になるわけだから、初期投資と割りきれば、購入した後のメリットは大きい。
もうひとつの問題は、このアイテムを駆動するための燃料が 「メタノール」 であること。
メタノールは不用意に扱うと引火することもあるため、扱う場合には多少なりとも、知識が要求される。
メタノール自体は、誰でも薬局で購入できる。
しかし、日本では 「危険物第4類アルコール」 とされ、消防法の規定により、400リットルを超える量を扱う場合は、危険物取扱者の資格が必要となる。
…とはいっても、通常のキャンピングカーユーザーが、一回の旅行で400リットルものメタノールを必要とすることは、まずない。
中島さんにいわせると、
「燃料電池に必要なメタノールの量は、1週間の旅行でも10リットル足らず。発電機に使用するガソリンを持ち歩くことを考えれば、危険度はガソリンの半分ぐらい」
という。
バンテックとしては、ユーザーがこのメタノールを安全に注入できる方法を検討中だ。それが実現されれば、国内で市販化される道筋もつけられるようになり、ユーザーにもたらされる便宜は計り知れない。
さらに面白い情報をひとつ。
それは 「ディーゼルクッカー」 だ。
これは、ベース車がディーゼル車の場合、フューエルタンクの軽油を利用して、そのままコンロの熱源にしてしまうというもの。
「見た目は、ちょうど電磁調理器のIHクッキングスタイルですよ」
と、中島氏はいう。
燃料消費も微量で、1時間燃焼させて、消費する軽油の量は、約0.09リットル = 90cc。
電源の供給が安定していないと使えない電磁調理器に比べ、こちらの方が格段に安定感がありそうだ。
また、最近、充填拒否の問題が起きているLPGに頼るコンロに比べても、これなら安心できる。
海外から、次々と新しい製品や情報を獲得してくるバンテックのスタッフたち。
彼らのアンテナ感度の良さが、「バンテック」 というブランドを維持する力のひとつになっていると思った。

バンテックさんの努力と、最新技術に大きな期待を持ちます。
「発電機に頼らないエアコン」、ぜひ成功させていただきたいです。
エアコンのためだけに発電機を購入される方も多いと思います。
出来れば新型ジルだけでなく、トレーラーなどでも使用できる、「小型エンジン回転直結型エアコン」を開発していただきたいです。
私も前のキャンピングカーでは、車載型の発電機を使っておりましたし、それを買い換えてからは、ポータブル型の発電機を購入しました。
だから、発電機が安定した電気を供給してくれるものだということは実感しています。
ただ、どんどん新しい給電システムが出てくるようになれば、キャンピングカーそのものの進化につながるように思うのです。
そういった意味でも、こういう試みは大切なことなのでしょうね。