2008年02月13日
REN開発秘話
【 お勧めキャンカー21 「REN」 】
幕張のキャンピングカーショーで、見学者や業者の話題を独り占めしたようなトレーラーがある。
インディアナRVが発表した 「REN」 だ。

立方体の積み木を思わせるようなスクエアなフォルム。
特徴のある鮮やかなデカール。
そして、日本人の趣味にも合った、緻密な仕上げの家具類。
「異彩を放つ」
という表現がぴったりの、このトレーラー。
実は純国産品なのだ。
クナウス、トリガノなどのヨーロッパの名品をラインナップに揃えていたインディアナRVが、なぜ国産トレーラーの開発に踏み切ったのか。

▲ インディアナRV 降旗氏
同社の降旗貴史社長は、こう語る。
「トレーラーは、日本のキャンピングカー需要の一角を担うとても重要なジャンルなのに、国産品がほとんどありません。
その理由は、高い開発費をかけて国産品を造るより、ヨーロッパ製の方がコストも安くてクオリティも保証されていたからです。
しかし、時代は変わりました。
まずユーロがどんどん高くなり、原油の高騰で輸送費も上がってきている状況では、輸入品に頼っていても “良いものを安く” という原則が貫けなくなってきました。
それに、日本人のキャンピングカー開発力と技術力がめきめき向上してきました。
そろそろ、本格的な国産トレーラーが登場してもいい時期かな…と判断したのです」
国内で開発するならば、自国の法規制や使用条件に合った製品を、なんの制約を受けることなく実現することができる。
インディアナRVは、かつて左エントランスをはじめとする数々の日本仕様を採り入れたスポーツ400Jスペシャルを、ドイツのクナウス社に造らせていた。
しかし、それとて相当数の発注を入れることによって初めて達成できたものだった。
国産品なら、そのようなロットの制約を受けることなく、部材の選定範囲やレイアウトの自由度を限りなく広げることができる。
だが、問題がひとつ。
国産トレーラーを “量産” する力を、現在の日本のビルダーはまだどこも持ち得ていない。
降旗氏は悩んだ。
一ヵ所だけ、それをこなせそうな会社があった。
降旗社長が白羽の矢を立てたのは、秋田のビルダー 「ファーストカスタム」 だった。
「やっぱり、初めての分野にチャレンジするとき、自動車工学的な知識の深さからいっても、技術開発力からいっても、ファーストの佐藤社長にしか任せられないと思った」
と降旗氏はいう。
▲ ファーストカスタム 佐藤和秋氏
かつて 「グランドロイヤル」 というキャブコンをファーストカスタムが開発したとき、そのクオリティのあまりもの高さに、キャンピングカー先進国であるはずのヨーロッパのビルダーがこぞって驚嘆したという逸話が残っている。

グランドロイヤルで完成したスペースフレーム工法は、安全性と高性能を両立させたキャンピングカーの代名詞ともなり、ファーストカスタムの名前を飛躍的に高めた。
ファーストの技術力の向上は止まるところを知らず、ボディカットしたハイエースで実現した同社のCGシリーズは、キャンピングカー専門誌 『オートキャンパー』 の 「ベストキャンピングカー」 で堂々たる1位を獲得している。

そのファーストの佐藤社長が、国産トレーラーの製作を 「引き受けましょう」 と約束してくれたことが、どれほど降旗氏を喜ばせたことか。
「これはファースト製だぞ! と公表することで、どれだけブランドイメージが高まるか分からないと思った」
という氏の発言からも、それをうかがうことができる。
しかし、その製品が誕生するまでには、1年の歳月が必要だった。
なにしろ、降旗氏にすれば、生まれて初めて完全なるオリジナルトレーラーを創造することになる。
レイアウト、外装・内装デザイン、装備類。
どれひとつとっても、妥協はしたくない。
ファースト佐藤社長との協議には長い時間が費やされた。
まず、外形デザインには、インディアナRVが一昨年導入したデセオのようなスクエアフォルムが採用された。
「トレーラーは高速で移動する乗り物ではないのだから、エアロフォルムのような流線型ボディは必要ではない」
というのが、降旗氏の持論だ。
「それよりも、居住性の方が大事」
RENでは、スクエアなボディを実現することで四隅を無駄なく使うことに主眼が置かれた。

レイアウトは、ポルト6からスポーツJ400に連なる2段ベッド・2ダイネット方式が採り入れられた。
これは、自らがトレーラーのヘビーユーザーである降旗氏自身の経験を基にしたもので、ファミリーユースにも2人旅にも適した、理想的なレイアウトだという。
湿気の多いに日本で使用するには、床下の湿気対策も欠かせない。
それにも、新しい試みがなされた。
シャシーは、亜鉛メッキ加工を施されたアルコ製だから問題はないが、乾燥した風土のヨーロッパとは異なり、高温多湿の日本では、床下から進入する湿気が床そのものを腐らせる率が高くなる。
そこでRENでは、ヨーロッパ製高級トレーラーでもなかなか試みられない床下全面FRP加工が施された。
軽量化に徹することも、条件の一つだった。
RENのボディに使われているFRP部材には、ヨーロッパのアルミパネルトレーラーよりもさらに軽い部材が採用された。
一見、けん引免許対応の大型車のように感じられるRENだが、見た目がスクエアなために引き起こされる錯覚で、ファーストの佐藤社長の弁によると、計算上では、750kgの範囲にしっかりと収まっているとのこと。
このFRPパネルの中に、普通のヨーロッパトレーラーよりも1.5倍ほど断熱効果が高いといわれる発泡スチロールが封入され、断熱効果も、格段に優れたものとなった。

完成したのは、幕張ショーの搬入日として定められた2月8日の午前2時だった。
秋田の工場を出たRENは、いきなり吹雪にさらされた。
降旗氏は、まだ一度も走行テストをしていないRENを伴って、雪の夜道を、幕張へと走り始めた。
豪雪の秋田道。
みぞれの東北道。
展示会への道が、そのままテストコースとなった。
「正直、不安はありました。空力にこだわらないスクエアフォルムが理想だなどと口では言ってみたものの、実際に、どれほどの高速走行に耐えられるか。自分自身の信念を試すような気持ちでした」
そういう降旗氏の思いに、RENはしっかりと応えた。
「なんていう安定感なのだろう!」
びっくりしたという。
「実は、トレーラーの法定速度にとらわれない運転も試みました。実際にはいけないことですが、お客様のために、僕にはこのトレーラーの走行性能を試す義務があると思ったからです。
すると、ヘッドのどんな速度にも無理なく応じ、RENは頼もしく追従してくる。
トレーラーを初めて造った会社の製品が、技術蓄積を背景に持つヨーロッパトレーラー以上の安定性を保証している。
あらためて、ファーストカスタムという会社の技術力に舌を巻く思いでした」
…こんなにうれしそうに取材に応えてくれる降旗氏を、初めて見た気がする。
RENとは、「レクリエーション&エディケーション with ネイチャー」 の意味。
自然を相手にくつろぎ、学ぶ。
アウトドアの原点に返るという思想が、このトレーラーには託されている。
インディアナRVが、今の会社の体制を整えてから、今年でちょうど10年。
RENは、その同社の10周年を飾る記念モデルとなった。
幕張のキャンピングカーショーで、見学者や業者の話題を独り占めしたようなトレーラーがある。
インディアナRVが発表した 「REN」 だ。
立方体の積み木を思わせるようなスクエアなフォルム。
特徴のある鮮やかなデカール。
そして、日本人の趣味にも合った、緻密な仕上げの家具類。
「異彩を放つ」
という表現がぴったりの、このトレーラー。
実は純国産品なのだ。
クナウス、トリガノなどのヨーロッパの名品をラインナップに揃えていたインディアナRVが、なぜ国産トレーラーの開発に踏み切ったのか。
▲ インディアナRV 降旗氏
同社の降旗貴史社長は、こう語る。
「トレーラーは、日本のキャンピングカー需要の一角を担うとても重要なジャンルなのに、国産品がほとんどありません。
その理由は、高い開発費をかけて国産品を造るより、ヨーロッパ製の方がコストも安くてクオリティも保証されていたからです。
しかし、時代は変わりました。
まずユーロがどんどん高くなり、原油の高騰で輸送費も上がってきている状況では、輸入品に頼っていても “良いものを安く” という原則が貫けなくなってきました。
それに、日本人のキャンピングカー開発力と技術力がめきめき向上してきました。
そろそろ、本格的な国産トレーラーが登場してもいい時期かな…と判断したのです」
国内で開発するならば、自国の法規制や使用条件に合った製品を、なんの制約を受けることなく実現することができる。
インディアナRVは、かつて左エントランスをはじめとする数々の日本仕様を採り入れたスポーツ400Jスペシャルを、ドイツのクナウス社に造らせていた。
しかし、それとて相当数の発注を入れることによって初めて達成できたものだった。
国産品なら、そのようなロットの制約を受けることなく、部材の選定範囲やレイアウトの自由度を限りなく広げることができる。
だが、問題がひとつ。
国産トレーラーを “量産” する力を、現在の日本のビルダーはまだどこも持ち得ていない。
降旗氏は悩んだ。
一ヵ所だけ、それをこなせそうな会社があった。
降旗社長が白羽の矢を立てたのは、秋田のビルダー 「ファーストカスタム」 だった。
「やっぱり、初めての分野にチャレンジするとき、自動車工学的な知識の深さからいっても、技術開発力からいっても、ファーストの佐藤社長にしか任せられないと思った」
と降旗氏はいう。
▲ ファーストカスタム 佐藤和秋氏
かつて 「グランドロイヤル」 というキャブコンをファーストカスタムが開発したとき、そのクオリティのあまりもの高さに、キャンピングカー先進国であるはずのヨーロッパのビルダーがこぞって驚嘆したという逸話が残っている。
グランドロイヤルで完成したスペースフレーム工法は、安全性と高性能を両立させたキャンピングカーの代名詞ともなり、ファーストカスタムの名前を飛躍的に高めた。
ファーストの技術力の向上は止まるところを知らず、ボディカットしたハイエースで実現した同社のCGシリーズは、キャンピングカー専門誌 『オートキャンパー』 の 「ベストキャンピングカー」 で堂々たる1位を獲得している。
そのファーストの佐藤社長が、国産トレーラーの製作を 「引き受けましょう」 と約束してくれたことが、どれほど降旗氏を喜ばせたことか。
「これはファースト製だぞ! と公表することで、どれだけブランドイメージが高まるか分からないと思った」
という氏の発言からも、それをうかがうことができる。
しかし、その製品が誕生するまでには、1年の歳月が必要だった。
なにしろ、降旗氏にすれば、生まれて初めて完全なるオリジナルトレーラーを創造することになる。
レイアウト、外装・内装デザイン、装備類。
どれひとつとっても、妥協はしたくない。
ファースト佐藤社長との協議には長い時間が費やされた。
まず、外形デザインには、インディアナRVが一昨年導入したデセオのようなスクエアフォルムが採用された。
「トレーラーは高速で移動する乗り物ではないのだから、エアロフォルムのような流線型ボディは必要ではない」
というのが、降旗氏の持論だ。
「それよりも、居住性の方が大事」
RENでは、スクエアなボディを実現することで四隅を無駄なく使うことに主眼が置かれた。
レイアウトは、ポルト6からスポーツJ400に連なる2段ベッド・2ダイネット方式が採り入れられた。
これは、自らがトレーラーのヘビーユーザーである降旗氏自身の経験を基にしたもので、ファミリーユースにも2人旅にも適した、理想的なレイアウトだという。
湿気の多いに日本で使用するには、床下の湿気対策も欠かせない。
それにも、新しい試みがなされた。
シャシーは、亜鉛メッキ加工を施されたアルコ製だから問題はないが、乾燥した風土のヨーロッパとは異なり、高温多湿の日本では、床下から進入する湿気が床そのものを腐らせる率が高くなる。
そこでRENでは、ヨーロッパ製高級トレーラーでもなかなか試みられない床下全面FRP加工が施された。
軽量化に徹することも、条件の一つだった。
RENのボディに使われているFRP部材には、ヨーロッパのアルミパネルトレーラーよりもさらに軽い部材が採用された。
一見、けん引免許対応の大型車のように感じられるRENだが、見た目がスクエアなために引き起こされる錯覚で、ファーストの佐藤社長の弁によると、計算上では、750kgの範囲にしっかりと収まっているとのこと。
このFRPパネルの中に、普通のヨーロッパトレーラーよりも1.5倍ほど断熱効果が高いといわれる発泡スチロールが封入され、断熱効果も、格段に優れたものとなった。
完成したのは、幕張ショーの搬入日として定められた2月8日の午前2時だった。
秋田の工場を出たRENは、いきなり吹雪にさらされた。
降旗氏は、まだ一度も走行テストをしていないRENを伴って、雪の夜道を、幕張へと走り始めた。
豪雪の秋田道。
みぞれの東北道。
展示会への道が、そのままテストコースとなった。
「正直、不安はありました。空力にこだわらないスクエアフォルムが理想だなどと口では言ってみたものの、実際に、どれほどの高速走行に耐えられるか。自分自身の信念を試すような気持ちでした」
そういう降旗氏の思いに、RENはしっかりと応えた。
「なんていう安定感なのだろう!」
びっくりしたという。
「実は、トレーラーの法定速度にとらわれない運転も試みました。実際にはいけないことですが、お客様のために、僕にはこのトレーラーの走行性能を試す義務があると思ったからです。
すると、ヘッドのどんな速度にも無理なく応じ、RENは頼もしく追従してくる。
トレーラーを初めて造った会社の製品が、技術蓄積を背景に持つヨーロッパトレーラー以上の安定性を保証している。
あらためて、ファーストカスタムという会社の技術力に舌を巻く思いでした」
…こんなにうれしそうに取材に応えてくれる降旗氏を、初めて見た気がする。
RENとは、「レクリエーション&エディケーション with ネイチャー」 の意味。
自然を相手にくつろぎ、学ぶ。
アウトドアの原点に返るという思想が、このトレーラーには託されている。
インディアナRVが、今の会社の体制を整えてから、今年でちょうど10年。
RENは、その同社の10周年を飾る記念モデルとなった。

それとこれは私感なのでこんなこと言っていいかなあと思いつつなんですが、ボディに貼られた「REN」の文字、気を悪くされないで下さいねビルダーさん、私はパッとしてレンタルの「RENTAL」の頭の「REN」を想像してしまいました。なんとなくのイメージなのですが。余計なこといっちゃいました。
とてもインパクトのあるデザインで驚きました。
じつは下記ブログでデビュー前に予想記事を記してあります。あたりはずれいろいろ書いてあるのでよろしければ覗いて見ていただければと思います。
国内生産の裏話を読ませていただきあらためて開発者の意気込みが伝わりました。
http://blogs.yahoo.co.jp/solocaravan
スクエアなボディというのは、確かに、室内の有効容積を生かすには理想的な形です。キャブコンでも、昔は真四角なフォルムのクルマがたくさんありましたね。壁が立っている分、隅々まで有効に使えて便利でした。
スピードと効率だけを求めてきた文明の見直しとして、「ゆっくり走ろう」、「のんびり暮らそう」という考え方が育ってきそうな気配もあります。こういうフォルムのキャンピングカーは、時代の気分を先取りしているのかもしれません。
「REN」が「RENTAL」に見えるというわけですね。面白いです! でも「REN」というブランドが今後どんどん浸透していけば、逆に「RENTAL」という言葉の方が、「REN」に見えてきたりして…。
ブログの予想記事、読ませていただきました。
とても素晴らしいレポートですね。予想が “外れた” 部分においても、しっかりした論理の整合性が貫かれていて、それはそれで面白い見方になっていると感じました。
トレーラーユーザーとしての、solocaravanさんのシビアな評価と、トレーラーそのものへの愛情がバランスよく融合して、とても有益なブログになっていると感心しました。
また、勉強させてください。