町田の独り言 キャンピングカーのガイド本を編集する町田が語るよもやま話

最近の記事
新ブログのご案内
04/28 17:06
久々の更新です
04/27 19:06
3・11以降
04/12 09:56
人類に残された資源
04/05 10:18
ザ・ウォーカー
04/03 00:53
島尾敏雄・贋学生
04/02 03:45
日本人は変わるか
03/31 01:36
渚にて
03/26 02:03
テレビは終わった
03/23 00:23
明かりの果ての闇
03/21 08:05
東電を怒る父さん
03/18 17:00
深い言葉
03/16 09:53
何かが変わった
03/15 00:06
災害時のキャンカー
03/13 16:18
大地震
03/12 13:16
ジュリアンオピー
03/11 02:35
親孝行ビジネス
03/08 20:02
OMCの北斗
03/07 00:18
アレクサンドリア
03/05 15:49
AtoZのバンビ
03/03 20:36
かるキャン
03/02 18:39
ハーレーの魔力
02/28 21:59
パークウェイ
02/23 18:59
CG880
02/20 13:11
忙しいぞぉ!
02/18 22:01
都市型キャンプ場
02/09 23:55
ファビュラス日本
02/07 19:32
老人の孤独
02/06 20:36
「都会」 の匂い
02/05 01:53
エジプトでは何が?
02/04 15:44
同人雑誌仲間
02/03 00:20
自己啓発ビジネス
02/01 02:10
ノスタルジー
01/30 05:23
夫婦の会話の危機
01/28 23:58
その一服は必要か
01/24 23:40
荒野の炎
01/23 19:43
山口冨士夫の精神
01/22 03:11
焚き火で育つ感性
01/20 19:55
キャンカー1人旅
01/19 01:37
車中泊の社会実験
01/17 15:40
個人の時代
01/16 11:50
細くなるネクタイ
01/13 20:32
映画アバター
01/12 20:07
若者の考える商売
01/11 14:36
パリッシュの絵画
01/09 04:00
300万アクセス
01/08 12:15
不思議な青空
01/07 21:04
TV・新聞の凋落
01/06 19:44
中国ルネッサンス
01/05 20:19
ベルイマン・沈黙
01/04 21:33
出来事いろいろ
01/03 02:43
謹賀新年
01/01 00:48
オールドマン
12/30 18:53
好奇心の力
12/29 14:28
「孤独死」の原因
12/27 20:17
廃墟のある島
12/26 02:48
遠いクリスマス
12/25 01:06
ロビン・フッド
12/24 03:48
地獄の電車
12/23 11:35
バッグス・バニー
12/22 02:59
正義の話をしよう
12/19 23:46
空気人形
12/18 13:10
ジジイ同士の酒
12/17 04:32
世界ゲーム革命
12/14 02:47
ハイマー懇親会
12/13 16:11
ガールズキャンプ
12/12 23:48
イタリアをめざせ
12/10 15:15
外来種の驚異 Ⅱ
12/09 00:41
外来種の脅威とは
12/08 20:46
Kポップの台頭
12/07 01:19
うつろひ
12/06 01:21
海老蔵さんの悲劇
12/05 01:07
追悼ジョンレノン
12/03 04:52
「個性化」のワナ
11/30 04:13
戦うブログ
11/29 04:09
子供の自然体験
11/28 04:50
RV好きの芸能人
11/26 01:01
胃の中にヘビ
11/25 16:12
消えた秋
11/22 14:14
歌謡ブルースの謎
11/20 04:29
おひとりさま時代
11/19 00:33
3行で総てを語る
11/18 00:15
塔の形而上学
11/17 02:04
裕次郎スナック
11/15 23:10
自然は子供を養う
11/12 20:28
おれ、ねこ
11/10 01:19
NHK車中泊報道
11/09 17:17
お台場パラダイス
11/08 20:34
伝える力
11/05 00:12
お台場ショー迫る
11/04 02:02
昔は戻らない
11/03 02:11
電子タバコ
11/02 00:04
一般国道の不思議
10/29 18:25
酒場放浪記
10/26 22:25
名古屋RVショー
10/25 19:25
ハイマーカー322
10/21 12:31
猫会議
10/21 00:05
飽きるという知恵
10/20 01:28
ロボット兵器
10/19 02:52
最近のコメント
突然の書き込み失礼…
最近の流行 05/12 00:01
はじめまして~文…
すまそ 05/08 16:44
>TJさん、ようこそ…
町田 04/28 13:47
>TJさん、ようこそ…
町田 04/28 12:06
便利+楽=快適、これ…
TJ 04/28 10:05
町田さん久しぶり…
motor-home 04/28 06:07
やはり、時代の変化・…
TJ 04/21 02:27
私はこのところ「自然…
磯部 04/12 14:52
>aki さん、よう…
町田 04/12 10:18
何度も投稿ボタンを押…
aki 04/08 10:57
>aki さん、よう…
町田 04/08 09:13
今のVWに乗り換える…
aki 04/07 15:19
>雷さん、ようこそ。…
町田 04/06 15:20
>ミペット@倉庫の肥…
町田 04/06 13:46
>JoeCoolさん…
町田 04/06 11:06
キャンピングカーは、…
雷 04/05 21:37
率直に言うと、研究所…
ミペット@倉庫の肥やし保存中 04/05 20:10
町田さま度々失礼…
JoeCool (in Peanuts) 04/05 12:56
>aki さん、よう…
町田 04/05 11:14
今のこの国の空気、ど…
aki 04/04 10:32
>solocarav…
町田 04/01 11:08
>JoeCool さ…
町田 04/01 10:32
>ムーンライトさん、…
町田 04/01 09:56
>赤い屋根さん、よう…
町田 04/01 08:53
「心に届く言葉」・・…
solocaravan 03/31 23:23
今回のように社会全体…
雷 03/31 23:05
米国では9.11の前…
Jo 03/31 11:21
米国では9.11の前…
JoeCool 03/31 11:19
米国では9.11の前…
JoeCool 03/31 11:05
そうだ、普遍性だ。…
ムーンライト 03/31 09:31
町田さんおはようござ…
赤い屋根 03/31 07:50
>おおきに! さん、…
町田 03/30 15:47
>雷さん、ようこそ。…
町田 03/30 14:57
>雷さん、ようこそ。…
町田 03/30 14:33
町田編集長さん こん…
おおきに! 03/29 08:29
今回の震災では、各局…
雷 03/28 21:22
本作品のリメイクであ…
雷 03/28 21:09
>おおきに! さん、…
町田 03/23 19:54
町田編集長さん こん…
おおきに! 03/23 07:48
>s-_-s さん…
町田 03/23 01:19
>ムーンライトさん、…
町田 03/23 00:46
人間は電気によって闇…
s-_-s 03/22 22:55
追記です。先ほど…
ムーンライト 03/22 14:24
数日前、市内の大型ス…
ムーンライト 03/22 12:24
>ブタイチさん、よう…
町田 03/22 03:09
お久しぶりです。町田…
ブタイチ 03/21 22:54
>鈴木様、ようこそ。…
町田 03/19 23:12
>ムーンライトさん、…
町田 03/19 22:35
今日、店からはじめて…
デルタリンク宮城 03/19 19:40
この「東電を怒る父さ…
ムーンライト 03/19 11:45
>ゆんたさん、ようこ…
町田 03/19 09:11
言葉に出して誰かに代…
ゆんた 03/19 07:50
>鈴木 様本当に…
町田 03/18 00:00
町田さん、ご心配あり…
デルタリンク宮城 03/17 20:52
>鈴木様コメント…
町田 03/17 16:04
>TOMYさん、よう…
町田 03/17 14:39
町田さんこんにちは。…
デルタリンク宮城 鈴木 03/17 11:32
こんばんは、町田さん…
TOMY 03/16 20:23
世界中に5億人を超え…
フェイスブック 03/15 11:30
>s-_-s さん、…
町田 03/14 00:28
町田さんご無事で何よ…
s-_-s 03/13 22:55
>ムーンライトさん、…
町田 03/12 17:43
町田さん。ご無事でし…
ムーンライト 03/12 16:25
>YAMAさん、よう…
町田 03/12 13:33
シンプルな風景画、い…
Yama 03/11 12:14
>渡部竜生さん、よう…
町田 03/10 02:33
>キャンピングカーと…
渡部竜生 03/09 14:02
>スパンキーさん、よ…
町田 03/08 19:22
いいですね、北斗。久…
スパンキー 03/07 13:52
>マッキー旅人さん、…
町田 03/03 22:45
町田さん、今日は。…
マッキー旅人 03/03 16:23
>ムーンライトさん、…
町田 02/28 22:42
町田さん。アマゾ…
ムーンライト 02/24 10:29
>渡部竜生さん、よう…
町田 02/19 05:42
>小平の福ちゃん様、…
町田 02/19 05:31
>matsumoto…
町田 02/19 05:18
>solocarav…
町田 02/19 05:03
>el さん、ようこ…
町田 02/19 04:50
>旭川の自称美女さん…
町田 02/19 04:14
幕張ではお世話になり…
渡部竜生 02/19 00:58
ご無沙汰しております…
小平の福ちゃん 02/19 00:03
お久しぶりです。ma…
matsumoto 02/14 07:35
ぜひ実現させたいアイ…
solocaravan 02/11 20:59
だいぶ経ってからのコ…
旭川の自称美女 02/11 11:51
町田さん、こんにちは…
el (エル) 02/11 11:11
>TOMY さん、よ…
町田 02/10 00:21
こんばんは、町田さん…
TOMY 02/09 21:45
>ムーンライトさん、…
町田 02/09 15:38
>ゆんた さん、よう…
町田 02/09 14:48
>Joe Cool …
町田 02/09 13:46
>磯部さん、ようこそ…
町田 02/09 11:54
「ゆんたさん」の文章…
ムーンライト 02/09 11:46
>TJさん、ようこそ…
町田 02/09 11:22
色々なことを考えまし…
ゆんた 02/09 06:36
同居していて5年前に…
JoeCool 02/08 16:01
最初に、このブログを…
磯部 02/08 05:14
写真で見る限り「FA…
TJ 02/07 21:20
>aki さん、よう…
町田 02/03 00:58
人生にドーピングはな…
aki 02/01 10:07
最近のトラックバック
ザ・バンド
12/11 09:46
鉄道の魅力、立体的に
09/10 07:38
関越高速道・・・寄居…
07/24 09:18
女性目線で見たキャン…
03/05 10:18
かるキャン 画期的な…
02/26 06:14
「くるま旅くらし読本…
02/06 10:22
言葉にならない
01/13 20:10
電動ポルシェ!?その…
10/31 09:50
路地裏
08/18 09:49
「すべての男は消耗品…
08/17 20:24
ガマの油
06/15 21:53
「ガマの油 」ちょっ…
06/15 07:58
52nd
04/25 21:52
007 カジノ・ロワ…
02/02 01:18
関西(大阪・京都・神…
01/30 05:21
【ネットができる宿|…
01/05 19:52
4輪&2輪
09/22 16:41
『秘伝 大学受験の国…
09/19 03:09
LPガスボンベ
07/26 11:37
ロス
05/28 22:39
テスト
05/28 22:36
大阪キャバクラnig…
04/26 20:37
キャバクラ/ニューク…
04/09 17:32
キャバクラ嬢ご用達し…
03/14 14:32
気になるキャンピング…
03/08 07:08
キャバクラ求人-Ag…
02/23 14:41
キャバクラ情報誌クラ…
02/22 19:14
No6 LPガスの充…
02/14 14:47
大阪キャバクラブログ
01/20 21:35
御当地!プルバック・…
12/20 00:53
カップヌードル
08/09 01:54
【キャンピングカー】…
08/05 16:23
【キャンピングカー】…
08/05 16:20
村松友視の「淳之介流…
08/04 11:11
荒井千暁著『職場はな…
06/29 22:35
元ちとせ/千の夜と千…
04/15 01:55
軽自動車エッセのうる…
03/26 08:21
カーナビの渋滞回避?…
03/10 20:07
車中泊なら虫の心配い…
03/07 18:35
こんなキャンピングカ…
03/07 03:56
キャンピング&RVシ…
03/02 01:17
キャンピング&RVシ…
02/23 18:45
キャンピング&RVシ…
02/18 06:43
キャンピング&RVシ…
02/17 00:23
ZECC(ゼック) …
02/15 23:27
トイレどうする?
02/15 10:25
キャンピング&RVシ…
02/10 21:46
新古車
02/04 17:19
軽自動車キャンピング…
01/25 13:10
ブレードランナー
01/14 12:03

ウェブ人間論

《ネット時代に本は生き残るのか?》

 個人的な関心領域の話で恐縮であるが、今なんだかウェブの話ってのに非常に興味があって、そっち関係の本ばかり読んでいる。

 なにせ、私はいちおう出版業界に身を置く人間であるからして、「本」というものの存在が、この先どうなるのか、非常に気になってしまう。
 ネット文化は、本の文化にとって代わるのか?
 仕事の上からいっても、そういう動向に無関心ではいられない。

 そんなところに、ここ最近「ウェブ2.0」だとか、「グーグル」とか、「ロングテール」とか、やたらネットに関係した新しい言葉が飛び交うようになってきて、落ちついていられなくなった。
 そこで、ちょいとネット世界を覗いてみようと思ったわけだけど、いやぁ、不思議な世界だわ。

 こういう世界を覗こうとしたとき、いちばん面映いのは、パソコンの向こう側で何が起こっているのか、モニターの前に座っている限りでは、さっぱり見えないことだ。

 それを理解する手がかりとなったのが、『ウェブ人間論』という本であった。

ウェブ人間論

 これは梅田望夫さんと平野啓一郎さんという、「異分野の二人が徹底討論する!」(同書の帯より)刺激的な対談集である。

 ここに登場する梅田さんは、あの有名な『ウェブ進化論』を著したネット文化論のオーソリティ。
 一方、平野さんは、『日蝕』で在学中に芥川賞を受賞した新進気鋭の若手作家。
 ネットビジネスのコンサルティングも行うウェブのプロと、硬派の純文学をめざす物書きのプロが、劇的な討論を重ねるわけだから、基本的に「ネット」対「本」という形で、議論が白熱していく。
 私としては、非常に気になるところである。

 で、面白かったのは、文学者である平野さんが、将来「本」が存続するかどうかということに対して懐疑的であるのに比べ、ウェブの理解者であるはずの梅田さんが、むしろ「本」の可能性に注目しているところだった。

 梅田さんは、ネット時代になっても、本が生き残る理由のひとつとして、そのパッケージの効率のよさを挙げている。
 手軽に持ち運びができる。
 電源のないところでも読める。
 書き込みもできる。
 保存もしやすい。
 そして何よりもコストが安い。

 それに対して、ウェブ上にあがってくる情報は、長文を読むのに適さない。
 飛ばし読みしようとすると、目や神経にものすごい負担がかかる。
 そして、何よりも困ったことは、この世界には、まだまだネットから情報を得ようなどと考えたことがない、たくさんの読者が存在する。

《本は永久…とはいわないまでも、不滅だ!》
 
 だから、本という商品ないしは文化が、この世から放逐されることは、相当先の世にならないかぎり起こらない、というのが、楳田さんの考えだ。
 実際に、アマゾンが出てきてから、アメリカでは本全体の売り上げが今まで以上に伸びているのだとか。
 ロングテールの観念が浸透するにしたがって、それまで人に知られる機会がなかったような本にまで、人々の関心が向き始めたからだという。

 ただ、活字メディアの電子化が加速されると、情報性だけに依拠している雑誌、新聞というメディアは、将来危うくなるだろうという見方だけは、梅田さん平野さんとも共通した認識になっている。

 「本」か「電子メディア」かという選択は、読者の利便性の問題だけにとどまらない。書き手としての作家の立場も、そこで問われることになる。
 梅田さんは、本を書くことによって、自分の考えていたことが「構造化」できたという。

 ブログやHPで発表する文章は、なによりも速報性とか勢いにおいて、読者にインパクトを与える力は大きい。
 しかし、それはたぶんに思いつきや、ひらめきに頼ったものであることも多い。
 だが、本となれば、細部をもう一度検証し直して、全体の構想を立て直さなければならない。
 その段階で、あやふやな思いつきが鍛え直され、頑強な建築物のように、思考が構造化されていく。
 …と、私は勝手に解釈したのだが、たぶん、そういうことなのだろう。

《インターネットには“中央”がない》

 この本は、さらにブログを書くような人たちに対しても、実践的な指南書になっている。
 たとえば、いかにしたら自分の発信した情報を、検索エンジンの上位にあげることができるか。

 梅田さんは、自著の『ウェブ進化論』のタイトルを考えるにあたって、まず徹底的に検索エンジンの組み合わせを考えたらしい。
 すると「ウェブ」というワードと、「進化論」というワードを組み合わせたものが、当時はほとんどなかったのだそうだ。
 それで、『ウェブ進化論』というタイトルならば、そこでトップを取れるとひらめいた…とか。

 この本には、そういう下世話(?)なノウハウもいっぱい散りばめられているのだけれど、この本の本質は、そういうところにあるわけではない。

 あと10年ぐらいのうちに、世界中の図書館に眠っている書物がほとんどスキャンされてしまうという時代を迎えて、人類の文化はどういう方向に進むのか。
 その眩いばかりの変化のゆくえが、ここでは語られている。

 面白かったのは、インターネットというものの本質を解き明かすくだり。
 「インターネットには、それをコントロールできる権力というものが、どこにもない」
 梅田さんはそういう。

 そもそもインターネットは、アメリカが何ものかに攻撃されたとき、それでも動くネットワークが必要だという思想のもとに開発されたものらしい。
 中央があれば、そこが攻撃の対象となる。
 それは避けたい。
 そういう思惑が背景にあるから、インターネットは、そもそもが中央集権の思想とは無縁の、分散の思想で動くものなのだ…そうだ。

 実際、アメリカで9・11同時多発テロが起こったとき、何が起こったのか正確な情報を知りたいと思った人や、家族の安否をいち早く知りたいと思った人の間で、ネットを通じた情報交換がさかんに行われた。
 それがブログの隆盛につながったというのは、有名な話らしい。

《スター・ウォーズ的な世界観が時代を動かす》

 さらに面白いのは、現在このインターネットのインフラを支えているのが、それを、ほとんどビジネスとして捉えることのないボランティア気分の人たちだということ。

 たとえば、あるソフトを開発しようとした場合、今までは、それを企画する企業が自社内にたくさんのプログラマーを抱え、厳正なプロジェクト管理のもとで進行させていた。
 もちろん、そうやって精度を高めたソフトは、その企業だけに利益をもたらすものとなり、最大級の企業秘密となった。

 しかし、今の最先端のソフトの開発はそうなっていない。
 開発途上のソフトの中核部分を、むしろポンとネット上に公開してしまう。
 それを世界中のプログラマーたちが寄ってたかって、新機能を付加し、バグを修正し、完成度を高めていく。
 そこに参加するプログラマーたちは、報酬を求めているわけではない。
 ただただ、「好きで面白い」からやっているに過ぎない。

 これが「オープンソース」という概念で、ネットに少しでも関心のある人たちには、「何を今さら…」という常識中の常識なのだろうが、そういうことを知らなかった私には、とにかく面白い。

 要するに、ビジネスという概念が変わりつつあることを、そこから感じる。
 資本主義に飲み込まれない何かが、いま育ちつつあるように思える。

 実際、アメリカのIT産業の中核を担うシリコンバレーで仕事をしているスタッフたちは、資本主義に荷担することを、
 「ダークサイドに墜ちる」
 といって、(冗談ぽくだが)いましめあっている。

 ダークサイドとは、映画『スター・ウォーズ』に出てくる“悪の帝国軍”の支配する世界だ。
 彼らは、まさに『スター・ウォーズ』的世界観のなかで生きている。
 スタッフたちの会議では、『スター・ウォーズ』に出てくる言葉が飛び交い、実際に、会社の中でライトセーバーを振り回している人もいるらしい。

 この無邪気さが、とてつもない技術革新を生み出す原動力となっていることは、なんだか示唆的だ。
 私のような中高年は、同じSFでも『ブレードランナー』の世界に感情移入する人間が多い。あの『スター・ウォーズ』の、単純な善悪二元論には耐えられないのだ。そのシンプルな世界観は、あまりにも退屈だ。

 しかし、この話を聞くと、ネット社会を生きる若者たちを理解する方法を変えなくてはいけないとも感じられてくる。
 あの『スター・ウォーズ』のシンプルな世界観には、世界を新しく統合するというイメージがある。それは、アンチユートピアを掲げる『ブレードランナー』にはないものだ。

 私から見れば、『スター・ウォーズ』は、悪の帝国軍を破って、善の共和国政府を助けるという、「独裁制」と「民主制」というお定まりの図式にしか見えないのだが、ひょっとしたら、シリコンバレーの中核にいる天才たちは、これを「ニュートン物理学」的な世界観を打破して、「量子力学」的な世界観へ統合していくというイメージと重ね合わせているのかもしれない。
 
 そう思うと、『スター・ウォーズ』が、指し示す政治的な世界像を、退屈だと断定しまうと、見えない世界があるのかもしれないと思った。

《アナロジーが通用しない時代?》

 「いま起こっている新しいことを、アナロジーで理解しようとしてはいけない」
 これは、梅田さんが先に出した『ウェブ進化論』の後書きで、語った言葉だ。
 
 それを読んだとき、ショックでもあり、斬新さも感じた。
 われわれ中高年で、しかも文科系の人間は、理解できない新しいものに接したとき、いままで理解していたものに当てはめて、解釈しがちである。
 特に、古い文化人は、類推…アナロジーで解釈することが得意であり、そのアナロジーの妙で文章を綴り、それをメシのタネにしている人が多い。

 ところが梅田さんは、
 「何かのアナロジーで考えようとするかぎり、ネット世界を丸ごと身体で理解している若い世代の考えを、つかむことはできない」
 と断言する。

 「ネット世界で起こっていることは、古い世代がそれまでの智恵を総動員して、一生懸命に理論武装したところで、理解するには限界があり、おおむね若い世代の持つ可能性に対して、シニカルで悲観的な視線を向ける結果に終わりがちだ」

 この指摘は、重要だと思った。
 自分の若い頃を思い出しても、音楽であり、スポーツであり、小説であり、そこから刺激を得たものを、自分のなかにインプットするときに、いちいちアナロジーの力など借りていなかった。
 それが若さというものなのだろう。

 ただ、人間が何かを思索するときに、結局、最後はアナロジーという手法を手放すことはないように思える。
 現に、シリコンバレーの天才たちは、『スター・ウォーズ』のアナロジーのなかで生きている。

 「アナロジーが通用しない」という梅田さんの発言は、既存社会のパラダイムをベースとしたアナロジーは、その先の時代には通用しない、という、それだけのことではないかと思う。 

 オジさんとしては、結局ウェブの世界で何が起ころうとしているのか、よく解からなかったのだけれど、古い「こだわり」に縛られているかぎり、見えない世界がある、ということが解かっただけでも、収穫だった。
 ま、「本」もしばらく残るという結論だったし、一安心。


音楽&映画&本 | 投稿者 町田編集長 22:48 | コメント(4)| トラックバック(0)
トラックバック
こちらの記事へのトラックバックは下のURLをコピーして行ってください。
コメント
いまや、ネットは私の仕事の一部でもあるわけですが、元編集者としては複雑なものを感じます。むかし、新聞や本に取って替わってラジオが出現、そしてテレビの登場となるわけですが、ネットはその続きぐらいに考えております。皆いまもうまく棲み分けていますよね。ただ、新しい媒体に持って行かれるものはマーケットとしても大きいのは確かです。そして、ネットがいままでのものと決定的に違うのは、敷居の低さにあると思うのです。誰でも本を出版できますか? 新聞に載るのも、ラジオやテレビに出させてもらうのも、これは一大事でしょう。いわゆる、実力者といわれる方たちは、自らの持論を不特定多数に向い、いろいろなメディアを使って発信できますし、本の出版も可能でしょう。しかし、ネットは「雑草の声」も発信できます。敷居が低いからです。私は中東のアルジャジーラに一定の評価を与えています。この統制だらけの世の中で、メディアの持つジャーナリスティクな側面を忘れていないからです。ネットにはその可能性が十分に秘められています。誰もがメディアを持てる。これはとてもフェアで民主的ともいえませんか? 権威ではなく、地を這う虫の声。私も、このネットの特性を活かしてメディアを持ち、自分の声を轟かせるのが、当面の夢でもあります。本題とズレましたが、町田さん分かるよね?
投稿者 磯部 2007/01/08 07:46
磯部さん 内容の濃いコメントを頂き、ありがとうございます。
磯部さんがお書きになったことは、実は、私も言おうとして、あまり長くなるのでやめておいた部分でした。

おっしゃるとおり、今までのメディアとネットが決定的に違うのは、「敷居の低さ」であり、「統制だらけの世の中でも、誰もが自分のメディアとして、民主的に情報発信できる」ところにあります。

それが可能になったのは、たとえばグーグルがGメールで、ユーザー一人ずつに1ギガバイトなどという巨大な電子メールストレージを無償で用意するなどという、サービス供給側の技術革新がすごく大きく作用しているわけで、それによって実現した情報発信の低コスト化が、磯部さんのおっしゃる「敷居の低さ」を招いているわけですね。

これは、ものすごく大きなことで、ラジオやテレビが出現した時以上に、メディアの本質を大きく変える“事件”といっていいかもしれません。
それによって、磯部さんがおっしゃるように、「誰でもメディアを持てる」ようになったわけで、その中からは相当優秀なコンテンツもたくさん輩出してくるでしょうから、既成のメディアに安住していた研究者、評論家、ジャーナリストたちは深刻な打撃をこうむることにもなるでしょう。

だから、まぁ「プロのライター」などという存在も、意味が変質していくのでしょうね。面白い時代でもあります。

ただ、「本」が存続するかどうかということに関しては、人間が「物」にこだわるというフェティッシュな関心を喪失しないかぎり、本は、今とは性格を変えて、生き残るように思います。
本は、内容もさることながら、装丁、フォントへの凝り方など、ものすごくデザイン的に洗練されたものとなり、プレゼント品として流通するような、お洒落なものになっていくように思えます。

そうでない、情報だけを届けようとする商品は、情報の流通がネット媒体を主体としていく時代には生き残れないでしょう。
とても、重要なことをご指摘いただいたコメントでうれしく思いました。
投稿者 町田 2007/01/08 12:19
 最近になってこのサイトを見るようになった者ですが、私も出版に関係している者なので、この記事は、コメントも含めて興味深く拝読させて頂きました。本が生き残るかどうかに関しては、町田さんと同じ思いを持っております。ただ、おそらく今後は、ネットと書籍は、お互いに相互補完的に作用しあい合うようになり、ともに変質していくように思います。今後の行く末を興味深く見守っていきたいですね。
投稿者 健康診断 2007/01/08 12:30
健康診断さん はじめまして。
>「ネットと書籍は、お互いに相互補完的に作用しあう…」
というご指摘、その通りだと思いました。
現に、最近目覚しく活躍しているライターの方々は、みな自分の著作の刊行をネットで紹介し、そこから得られたフィードバックを、また次の著作に生かすという感じで、両方の特性をうまく利用している方が目立つように思います。
読者とさまざまな意見交換できる著者だけが、次のステップに進めるような時代になってきたのかもしれません。
読者と著者が、ともに一体となって、情報の精度を高めていくという時代が来たんでしょうね。
コメントありがとうございます。今後とも、このブログの“健康診断”をよろしくお願い申し上げます。
投稿者 町田 2007/01/08 14:25
名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:
<<  2007年 1月  >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
ホビダス[趣味の総合サイト]