2006年12月06日
移住の時代始まる
《ブログインタビュー 移住の時代始まる》
【ゲスト 金子恒夫さん】 A.S.JAPAN(エーエスジャパン)代表
2007年を間近に控え、定年を迎える団塊の世代のライフスタイルがいろいろなメディアで議論されている。
そのなかで、「退職後にどこに住むか」というテーマがクローズアップされてきた。
今年の10月に、NPO法人「100万人のふるさと回帰支援センター」主催による 『ふるさと回帰フェア2006』 が開かれたが、このフェアで掲げられたテーマが、まさに「団塊の世代の定年後の暮らし」であり、地方の再活性化対策として、彼らに「ふるさと回帰」を呼びかけるものだった。
団塊の世代にとって、はたして「ふるさと回帰」というテーマは魅力的なものなのかどうか、日本人の国内移住や海外移住に詳しい金子恒夫さんに尋ねてみた。
▼ふるさと回帰フェア ▼金子恒夫さん

【町田】 定年退職を間近にひかえた団塊の世代のあいだに、キャンピングカーによる日本一周とか、豪華客船による世界旅行とか、いろいろなライフスタイルの提案が出ていますが、「ふるさと回帰」というのは、どういうことなんですか?
【金子】 一言でいうと、高度成長期に、地方から労働力として大量に年に進出してきた団塊世代の人々に対し、「定年後はもう一度ふるさとに戻って、ゆとりある生活を取り戻してみませんか?」という提案です。
これはJA、連合、日本経団連などが主催し、総務省、国交省、農水省、環境省などの七つの省庁と、101自治体が関与した一大プロジェクトで、まさに国を挙げてのキャンペーンという趣を呈したものなんですね。
その趣旨は、「地方の過疎化に対応するため、大都会で暮らしている団塊世代の定年退職者は、ふるさとのような地方へ回帰して、自己の生活の安定化を図るとともに、地方の活性化に手を貸してほしい」
というところにあります。
【町田】 ただ、「ふるさと」といっても、実際には長男が実家を継いでいたり、家そのものが既になかったり、現実的にはいろいろ難しい面があるのではないですか?
【金子】 必ずしも、現実の「ふるさと」でなくていいわけです。
たとえば、子供の頃に魚釣りをした川原と似た風景があるとか、懐かしい進学路に似た田園風景が残っているとか、「心の原風景」に近い場所があれば、そこを「ふるさと」と見なしていいのではないか、ということなんですね。

【金子】 そもそも団塊の世代というのは、「移住」や「移動」に慣れた世代なんですよ。日本でサラリーマンの大規模な転勤生活が始まったのは、彼らが子供だった時代からです。
また、本人たちも、就職してから地方の転勤暮らしを数多く経験している。一地方に根を張って暮らすという発想から、比較的自由になっているのが彼らの世代なんですね。
ただ、そうはいっても、今までの彼らの「移住」は、いわば会社の辞令や社命に基づくもので、自分の意志ではなかった。
そこを今回は、初めて「自分のための移住を考えてみたらどうですか?」と提案するわけです。
《トレーラーハウスに住むという発想》
【町田】 しかし、実際に地方で暮らすとなると、家を建てるにせよ、それ相当の資金が必要になりますよね。
いくら地方は都市部より諸経費が安いとはいえ、退職金を住宅資金に充てるというのは、かなりの冒険であるようにも思えますが。
【金子】 そこが問題ですね。私としては、同じ団塊の世代として、退職金の半分以上は残しておいてください、と伝えたいですね。
よく耳にするのは、「田舎暮らし」商法に便乗した業者の高額な物件を買ってしまったとか、古民家を再生したけど、夫婦2人では大きすぎたとか、そういう例が結構あるんですよ。
セカンドライフの家は、それほど大きくなくてもいいんです。たかが家に1,000万円以上出費してしまうというのは、リスクが大きいと思います。
【町田】 そのための何かよい方策というのがあるのですか?
【金子】 ご自分でトレーラーハウスを所有されて、「家ごと移住されてはいかがですか?」と提案しています。
トレーラーハウスは、パークトレーラーともいいますが、もともとけん引式のキャンピングカーをさらに大きくしたもので、定置利用したときに快適な居住性が確保できるように設計されたものなんですね。
これなら一戸建ての家を買うよりもはるかにリーズナブルな金額で購入できます。

【金子】 戸建て住宅の場合は、万が一、移住先の土地と相性が合わなかったとか、親族や健康に変化が起きてしまったとか、そうなった場合に対応方法が限られてしまうわけですね。
第三者に貸すか、転売するか、解体放棄するしかないわけです。
せっかくの自由なセカンドライフを楽しもうと思っても、そうなるとかえって不自由なものになってしまいます。
移動が簡単なトレーラーハウスの場合は、同じ資産といえども、引っ越ししたくなったら家ごと引っ越しできますし、不要になったら中古として売り出すこともできます。
【町田】 つまり、「移住」というものに対する心理的・物理的な抵抗を相当やわらげることができるというわけですね。
トレーラーハウスに着目されたきっかけは何だったのですか?
【金子】 実は、私はもともとキャンピングカー業界の出身なんですね。
その業務に携わっていた10数年前に、カナダのリゾート地で、レイクサイドの丘陵地に、キッチンガーデン付きでサイトを売り出していたのを見たことがあるんですよ。
で、そのサイトにはオーナーのトレーラーハウスが設置されていて、その横にクラスCのキャンピングカーが置いてあったわけです。
その情景がとても素晴らしかった。
うわぁ、美しいなぁ! と感動した記憶が、いまだに鮮烈に脳裏に焼きついています。
そのときに、フロンティア時代から「移住」を当たり前のように経験し、それを文化の根幹に据えて楽しんでいる北米人の感受性が、初めて解かったような気になったんですね。
《団塊の世代はフロンティアに生きている》
【金子】 そのときに、「日本でもそうなる!」とひらめいたんです。
というのは、日本で最初にモータリゼーションを普及させた団塊の世代というのは、「移動」の意味を初めて理解した世代なんですね。
彼らはせわしない転勤も経験し、集団就職で都会暮らしも知って、都会と地方のライスタイルの差異も理解している。
こういう団塊の世代というのは、ある意味で、アメリカのフロンティアを生きた人々と同じではないのかと。
欧米の文化であるキャンピングカーだって、こんなにすっきりと取り入れたのは、団塊の世代からですよね。
彼らは、その前の世代よりも、はるかに「移住」を文化として捉えられる感性が発達している。
そう感じたわけです。
【町田】 実際にアメリカでは、定年後に家を売って、そのお金でモーターホームを買い、生涯を「旅の空の下で過ごす」という生き方も普及しています。
でも、まだ日本では、そういう生き方のモデルケースが育っていないとも感じるんですが。
【金子】 私は、団塊の世代で国内移住を考える人は、おおざっぱに分けると、「定住派」と「渡り鳥派」に分かれると思っているんです。
「定住派」は、基本的に戸建て住宅を買って、地方で「定住する人」という意味ですから、これはなんとなく想像つきますね。
こちらに属される方々は、多くの場合「定住」から「永住」へと軸足を移されていくようになると思います。
しかし、これから注目されるのは「渡り鳥派」なんですね。
つまり、転勤などで引っ越しに慣れた方々のなかには、4~5年ごとに移住先を変えたくなってしまう人たちがいます。
ノマドというか、遊牧民気質を持った人たちですね。
ただ、今までは子供の学校を変えたくなかったとか、進学に有利な都市に留まりたいなどという理由で、それがままならなかった。
しかし、定年を迎え、子育ても終了した人たちのなかには、思い切って「渡り鳥」になろうと決意する人が確実に増えていくはずです。

【町田】 そういう「渡り鳥派」のライフスタイルというのは、具体的にどのようなものになりますか?
【金子】 たとえば、茨城県の袋田大子町あたりの農家の隣りに、定借で100坪ぐらいの土地を借りると仮定してみましょうか。
まずそこに、自分のトレーラーハウスを設置するわけですね。
そして残った60~70坪ぐらいの土地を利用して、お花に囲まれた家庭菜園などをつくる。
トレーラーハウスなら戸建て住宅より安いですから、それこそ廉価な軽自動車キャンピングカーのようなものを合わせて買えます。
だから、そのトレーラーの移住先をベース基地にして、キャンピングカーで福島や栃木の温泉めぐりを3~4年かけてゆっくり回る。

【金子】 その土地に満足するまで暮らした後は、次は静岡県に移住して、そこで4~5年ほど暮らしてみる。
そして今度は、神奈川、静岡、山梨の温泉地や果樹園をめぐりを楽しむ。
そういうライフスタイルなら、同じキャンピングカーで旅行するにも、1回分の旅行を低コストに抑えることができるわけですね。
どうですか。楽しいと感じませんか?
家ごと移動できるトレーラーハウスだからこそ、そのような渡り鳥的セカンドライフが楽しめるわけです。
いわば、キャンピングカーのロングステーバージョンといえるものかもしれませんね。
【町田】 ただ、そのような不安定な「移住」を、地元の町村役場が歓迎するかどうか…
【金子】 それは、私も心配しました。
ところが意外にも、町村の役場の担当者は、そういう「移住」にも前向きなんですね。
要するに、1人でも多く、わが町のファンになってくれる人を増やそうと、むしろ積極的なんです。
もちろん永住してくれれば、それにこしたことはないけれど、たとえ「お試し」であっても、「仮移住」であっても、歓迎しましょうと。
もちろん、そこが気に入れば「定住」してかまわないわけです。
トレーラーハウスというのは、「仮移住」に便利な構造になっていますが、クオリティとしては、「定住」にもしっかり耐えられる品質を備えています。定住用住宅として利用されても、なんら問題ないわけです。
今、田舎には、農業の後継者不足による耕作放棄地がいっぱいあるんですね。
だから、そういう土地が荒れ放題になっていくより、自治体としては、むしろ都会の人が来て、家庭菜園でもいいから、畑をつくってくれた方がいい。
彼らは、日本から「里山」の風景が絶滅しかかっていることに、非常な不安感を抱いているんです。
懐かしい里山風景がこの日本から消えれば、日本は本当に無味乾燥な、殺風景な国になってしまうでしょう。
もちろん、それは自然環境も破壊されてしまったことを意味するわけですね。
そのような危機感を感じていらっしゃる自治体には、私たちも真剣に応えてあげたい。
私たちA.S.JAPAN(エーエスジャパン)では、国内移住コンサルティング業務も行っていますから、そういう受け入れ間口の広い自治体には、積極的に「移住希望者」を紹介することもできます。
《田舎暮らしがお洒落》
【町田】 実際に、そのような「田舎暮らし」を望む人がたくさん出てきたとき、具体的にどのようなライフスタイルが可能になるんでしょうか?
【金子】 まず都会にいるより、はるかにローコストな暮らしができるようになるので、生活が安定します。
その分、自由になるお金が手元に残ります。
逆説的になりますが、「田舎暮らし」をする人ほど、「時間と空間とお金」を豊かに持てることになるんですね。
そのようなゆとりを手に入れて、あとは気の向いたときに海外旅行や都会のイベントに出かければよいわけです。
目安は「月10万円で暮らせる」こと。
食材などは、その土地で家庭菜園などを始めて、気に入った野菜を自給自足してもいいし、パン工房を始めて、地元で売り出してもいい。
あるいは、インターネットなどを利用して、その地方の観光情報を中央に発信するなんてのもいいと思いますね。
要するに、今までやっていた趣味や仕事の延長線上の技術を地元に還元し、多少のお小遣いにするなどということも、大いに可能ですね。

【町田】 団塊世代が現役時代にやれなかったことを、「田舎暮らし」で実現するというわけですね。
【金子】 そうです。それが「お洒落」だと感じられる時代が来ているんですね。
実際にスーパーで惣菜を買ってくるより、自宅の菜園で取れた新鮮な野菜でガーデンパーティを開く方がトレンディだ、という意識をもち始めた人が増えています。
豊かさの概念が変わってきて、お金や物を持っているより、自由に使える時間と空間を持っている方が豊かだ、という考え方が浸透してきたんですね。
実際に、『人生の楽園』、『ザ! 鉄腕! DASH村!!』、『10万円で豊かに暮らせる町&村』、『鶴瓶の家族に乾杯!』など、最近のテレビ番組の多くが、「田舎暮らし」を扱っています。
それだけ、世の中の視線がそっちに向いているということですね。
【町田】 なるほど、時代が動いている様子がよく分かりました。ありがとうございました。
【ゲスト 金子恒夫さん】 A.S.JAPAN(エーエスジャパン)代表
2007年を間近に控え、定年を迎える団塊の世代のライフスタイルがいろいろなメディアで議論されている。
そのなかで、「退職後にどこに住むか」というテーマがクローズアップされてきた。
今年の10月に、NPO法人「100万人のふるさと回帰支援センター」主催による 『ふるさと回帰フェア2006』 が開かれたが、このフェアで掲げられたテーマが、まさに「団塊の世代の定年後の暮らし」であり、地方の再活性化対策として、彼らに「ふるさと回帰」を呼びかけるものだった。
団塊の世代にとって、はたして「ふるさと回帰」というテーマは魅力的なものなのかどうか、日本人の国内移住や海外移住に詳しい金子恒夫さんに尋ねてみた。
▼ふるさと回帰フェア ▼金子恒夫さん
【町田】 定年退職を間近にひかえた団塊の世代のあいだに、キャンピングカーによる日本一周とか、豪華客船による世界旅行とか、いろいろなライフスタイルの提案が出ていますが、「ふるさと回帰」というのは、どういうことなんですか?
【金子】 一言でいうと、高度成長期に、地方から労働力として大量に年に進出してきた団塊世代の人々に対し、「定年後はもう一度ふるさとに戻って、ゆとりある生活を取り戻してみませんか?」という提案です。
これはJA、連合、日本経団連などが主催し、総務省、国交省、農水省、環境省などの七つの省庁と、101自治体が関与した一大プロジェクトで、まさに国を挙げてのキャンペーンという趣を呈したものなんですね。
その趣旨は、「地方の過疎化に対応するため、大都会で暮らしている団塊世代の定年退職者は、ふるさとのような地方へ回帰して、自己の生活の安定化を図るとともに、地方の活性化に手を貸してほしい」
というところにあります。
【町田】 ただ、「ふるさと」といっても、実際には長男が実家を継いでいたり、家そのものが既になかったり、現実的にはいろいろ難しい面があるのではないですか?
【金子】 必ずしも、現実の「ふるさと」でなくていいわけです。
たとえば、子供の頃に魚釣りをした川原と似た風景があるとか、懐かしい進学路に似た田園風景が残っているとか、「心の原風景」に近い場所があれば、そこを「ふるさと」と見なしていいのではないか、ということなんですね。
【金子】 そもそも団塊の世代というのは、「移住」や「移動」に慣れた世代なんですよ。日本でサラリーマンの大規模な転勤生活が始まったのは、彼らが子供だった時代からです。
また、本人たちも、就職してから地方の転勤暮らしを数多く経験している。一地方に根を張って暮らすという発想から、比較的自由になっているのが彼らの世代なんですね。
ただ、そうはいっても、今までの彼らの「移住」は、いわば会社の辞令や社命に基づくもので、自分の意志ではなかった。
そこを今回は、初めて「自分のための移住を考えてみたらどうですか?」と提案するわけです。
《トレーラーハウスに住むという発想》
【町田】 しかし、実際に地方で暮らすとなると、家を建てるにせよ、それ相当の資金が必要になりますよね。
いくら地方は都市部より諸経費が安いとはいえ、退職金を住宅資金に充てるというのは、かなりの冒険であるようにも思えますが。
【金子】 そこが問題ですね。私としては、同じ団塊の世代として、退職金の半分以上は残しておいてください、と伝えたいですね。
よく耳にするのは、「田舎暮らし」商法に便乗した業者の高額な物件を買ってしまったとか、古民家を再生したけど、夫婦2人では大きすぎたとか、そういう例が結構あるんですよ。
セカンドライフの家は、それほど大きくなくてもいいんです。たかが家に1,000万円以上出費してしまうというのは、リスクが大きいと思います。
【町田】 そのための何かよい方策というのがあるのですか?
【金子】 ご自分でトレーラーハウスを所有されて、「家ごと移住されてはいかがですか?」と提案しています。
トレーラーハウスは、パークトレーラーともいいますが、もともとけん引式のキャンピングカーをさらに大きくしたもので、定置利用したときに快適な居住性が確保できるように設計されたものなんですね。
これなら一戸建ての家を買うよりもはるかにリーズナブルな金額で購入できます。
【金子】 戸建て住宅の場合は、万が一、移住先の土地と相性が合わなかったとか、親族や健康に変化が起きてしまったとか、そうなった場合に対応方法が限られてしまうわけですね。
第三者に貸すか、転売するか、解体放棄するしかないわけです。
せっかくの自由なセカンドライフを楽しもうと思っても、そうなるとかえって不自由なものになってしまいます。
移動が簡単なトレーラーハウスの場合は、同じ資産といえども、引っ越ししたくなったら家ごと引っ越しできますし、不要になったら中古として売り出すこともできます。
【町田】 つまり、「移住」というものに対する心理的・物理的な抵抗を相当やわらげることができるというわけですね。
トレーラーハウスに着目されたきっかけは何だったのですか?
【金子】 実は、私はもともとキャンピングカー業界の出身なんですね。
その業務に携わっていた10数年前に、カナダのリゾート地で、レイクサイドの丘陵地に、キッチンガーデン付きでサイトを売り出していたのを見たことがあるんですよ。
で、そのサイトにはオーナーのトレーラーハウスが設置されていて、その横にクラスCのキャンピングカーが置いてあったわけです。
その情景がとても素晴らしかった。
うわぁ、美しいなぁ! と感動した記憶が、いまだに鮮烈に脳裏に焼きついています。
そのときに、フロンティア時代から「移住」を当たり前のように経験し、それを文化の根幹に据えて楽しんでいる北米人の感受性が、初めて解かったような気になったんですね。
《団塊の世代はフロンティアに生きている》
【金子】 そのときに、「日本でもそうなる!」とひらめいたんです。
というのは、日本で最初にモータリゼーションを普及させた団塊の世代というのは、「移動」の意味を初めて理解した世代なんですね。
彼らはせわしない転勤も経験し、集団就職で都会暮らしも知って、都会と地方のライスタイルの差異も理解している。
こういう団塊の世代というのは、ある意味で、アメリカのフロンティアを生きた人々と同じではないのかと。
欧米の文化であるキャンピングカーだって、こんなにすっきりと取り入れたのは、団塊の世代からですよね。
彼らは、その前の世代よりも、はるかに「移住」を文化として捉えられる感性が発達している。
そう感じたわけです。
【町田】 実際にアメリカでは、定年後に家を売って、そのお金でモーターホームを買い、生涯を「旅の空の下で過ごす」という生き方も普及しています。
でも、まだ日本では、そういう生き方のモデルケースが育っていないとも感じるんですが。
【金子】 私は、団塊の世代で国内移住を考える人は、おおざっぱに分けると、「定住派」と「渡り鳥派」に分かれると思っているんです。
「定住派」は、基本的に戸建て住宅を買って、地方で「定住する人」という意味ですから、これはなんとなく想像つきますね。
こちらに属される方々は、多くの場合「定住」から「永住」へと軸足を移されていくようになると思います。
しかし、これから注目されるのは「渡り鳥派」なんですね。
つまり、転勤などで引っ越しに慣れた方々のなかには、4~5年ごとに移住先を変えたくなってしまう人たちがいます。
ノマドというか、遊牧民気質を持った人たちですね。
ただ、今までは子供の学校を変えたくなかったとか、進学に有利な都市に留まりたいなどという理由で、それがままならなかった。
しかし、定年を迎え、子育ても終了した人たちのなかには、思い切って「渡り鳥」になろうと決意する人が確実に増えていくはずです。
【町田】 そういう「渡り鳥派」のライフスタイルというのは、具体的にどのようなものになりますか?
【金子】 たとえば、茨城県の袋田大子町あたりの農家の隣りに、定借で100坪ぐらいの土地を借りると仮定してみましょうか。
まずそこに、自分のトレーラーハウスを設置するわけですね。
そして残った60~70坪ぐらいの土地を利用して、お花に囲まれた家庭菜園などをつくる。
トレーラーハウスなら戸建て住宅より安いですから、それこそ廉価な軽自動車キャンピングカーのようなものを合わせて買えます。
だから、そのトレーラーの移住先をベース基地にして、キャンピングカーで福島や栃木の温泉めぐりを3~4年かけてゆっくり回る。
【金子】 その土地に満足するまで暮らした後は、次は静岡県に移住して、そこで4~5年ほど暮らしてみる。
そして今度は、神奈川、静岡、山梨の温泉地や果樹園をめぐりを楽しむ。
そういうライフスタイルなら、同じキャンピングカーで旅行するにも、1回分の旅行を低コストに抑えることができるわけですね。
どうですか。楽しいと感じませんか?
家ごと移動できるトレーラーハウスだからこそ、そのような渡り鳥的セカンドライフが楽しめるわけです。
いわば、キャンピングカーのロングステーバージョンといえるものかもしれませんね。
【町田】 ただ、そのような不安定な「移住」を、地元の町村役場が歓迎するかどうか…
【金子】 それは、私も心配しました。
ところが意外にも、町村の役場の担当者は、そういう「移住」にも前向きなんですね。
要するに、1人でも多く、わが町のファンになってくれる人を増やそうと、むしろ積極的なんです。
もちろん永住してくれれば、それにこしたことはないけれど、たとえ「お試し」であっても、「仮移住」であっても、歓迎しましょうと。
もちろん、そこが気に入れば「定住」してかまわないわけです。
トレーラーハウスというのは、「仮移住」に便利な構造になっていますが、クオリティとしては、「定住」にもしっかり耐えられる品質を備えています。定住用住宅として利用されても、なんら問題ないわけです。
今、田舎には、農業の後継者不足による耕作放棄地がいっぱいあるんですね。
だから、そういう土地が荒れ放題になっていくより、自治体としては、むしろ都会の人が来て、家庭菜園でもいいから、畑をつくってくれた方がいい。
彼らは、日本から「里山」の風景が絶滅しかかっていることに、非常な不安感を抱いているんです。
懐かしい里山風景がこの日本から消えれば、日本は本当に無味乾燥な、殺風景な国になってしまうでしょう。
もちろん、それは自然環境も破壊されてしまったことを意味するわけですね。
そのような危機感を感じていらっしゃる自治体には、私たちも真剣に応えてあげたい。
私たちA.S.JAPAN(エーエスジャパン)では、国内移住コンサルティング業務も行っていますから、そういう受け入れ間口の広い自治体には、積極的に「移住希望者」を紹介することもできます。
《田舎暮らしがお洒落》
【町田】 実際に、そのような「田舎暮らし」を望む人がたくさん出てきたとき、具体的にどのようなライフスタイルが可能になるんでしょうか?
【金子】 まず都会にいるより、はるかにローコストな暮らしができるようになるので、生活が安定します。
その分、自由になるお金が手元に残ります。
逆説的になりますが、「田舎暮らし」をする人ほど、「時間と空間とお金」を豊かに持てることになるんですね。
そのようなゆとりを手に入れて、あとは気の向いたときに海外旅行や都会のイベントに出かければよいわけです。
目安は「月10万円で暮らせる」こと。
食材などは、その土地で家庭菜園などを始めて、気に入った野菜を自給自足してもいいし、パン工房を始めて、地元で売り出してもいい。
あるいは、インターネットなどを利用して、その地方の観光情報を中央に発信するなんてのもいいと思いますね。
要するに、今までやっていた趣味や仕事の延長線上の技術を地元に還元し、多少のお小遣いにするなどということも、大いに可能ですね。
【町田】 団塊世代が現役時代にやれなかったことを、「田舎暮らし」で実現するというわけですね。
【金子】 そうです。それが「お洒落」だと感じられる時代が来ているんですね。
実際にスーパーで惣菜を買ってくるより、自宅の菜園で取れた新鮮な野菜でガーデンパーティを開く方がトレンディだ、という意識をもち始めた人が増えています。
豊かさの概念が変わってきて、お金や物を持っているより、自由に使える時間と空間を持っている方が豊かだ、という考え方が浸透してきたんですね。
実際に、『人生の楽園』、『ザ! 鉄腕! DASH村!!』、『10万円で豊かに暮らせる町&村』、『鶴瓶の家族に乾杯!』など、最近のテレビ番組の多くが、「田舎暮らし」を扱っています。
それだけ、世の中の視線がそっちに向いているということですね。
【町田】 なるほど、時代が動いている様子がよく分かりました。ありがとうございました。

日本人の場合の『土地』イコール『資産』。この固定観念が消えないといけないですが。人生を楽しむ事を大切にして欲しいですね。
人生を楽しむツボを心得ていらっしゃるTJさんらしい発想を知り、心強い気分になりました。
今回のブログは、記事が長かったので、UPするのに相当手間取りました。
しかし、金子さんという方の話があまりにも面白かったので、ぜひ皆さまにもお知らせしようと思った次第です。
実は旅人も20代のころから田舎暮らしを夢みて今日に至っております。
旅好きになったのもそのせいかもしれませんね。
山梨県の道志村という場所に3年前から土地を借り、あと数年後には中古のトレーラーハウスを設置して生活を始めようと思っています。
自給自足?なんて大げさなことは考えていませんが小さな畑で自分たちの食べる野菜ぐらいは作れそうですよ~
田舎暮らしを満喫しながら日本中の田舎を探索するのが旅人の最終目標です。
ということで道志村土地情報を少しばかり・・
1,物件は川沿いや山間など多数有り
2,水は井戸水で美味しい
3,道志川では鮎、ヤマメ、イワナが釣れます。
4,天然温泉が数カ所有り
気になる地代ですが150坪程度で月額1万5千円くらいで契約金も保証金も必要ありません。
水道代は年1万円で使い放題です。
旅人はまだ定住していませんが近所の方から聞いたところ月15万円あれば夫婦2人で十分生活出来るらしいですよ。
町田さんもどうですか?
釣りができて、温泉があり、美味しい水。
それで月15万ですか。
確かに魅力的ですね!